AIエージェントを育てる:参考資料を渡して、商談準備資料の構成を改善した
今回改善したかったこと
前回は、会社として案件を引き受けられるか判断するための基準を追加しました。
その結果、商談準備資料に、受入判断や保留理由、自社で確認すべき事項が記載されるようになりました。
一方で、資料の分量が増え、商談前や商談中に必要な情報を探しにくいと感じました。
そこで今回は、エージェントが資料を作る際に参照できるサンプルを追加し、資料構成を見直しました。
今回の更新内容
更新したのは、次の2点です。
- 商談準備資料の参考サンプルをPDFで追加した
-
sales_agent.mdに、参考サンプルの構成を参照する手順を追加した
モデル自体の追加学習は行っていません。参照する資料と作業手順を更新しています。
参考サンプルを3種類用意した
今回は、用途の異なる3つのサンプルを作りました。
| サンプル | 用途 | 主な構成 |
|---|---|---|
| 要点1枚型 | 商談前に概要を確認する | 結論、背景、自動化候補、必須質問 |
| ヒアリング進行型 | 商談を進めながら使う | 進行案、質問、回答欄、宿題 |
| 受入判断型 | 社内で案件を検討する | 判定、根拠、未確認事項、次の行動 |
「見やすくしてください」という指示に加えて、どのように情報を並べたいかをサンプルで示す形にしました。
作成したPDFは、knowledge フォルダ内の「参考準備資料」に格納しました。
sales_agent/
├── sales_agent.md
├── 顧客フォルダ/
└── knowledge/
├── 自動化案件の受入判断基準/
└── 参考準備資料/
├── 商談準備サンプル01_要点1枚型.pdf
├── 商談準備サンプル02_ヒアリング進行型.pdf
└── 商談準備サンプル03_受入判断型.pdf
sales_agent.md の進め方を更新した
資料を出力する前に、参考サンプルの構成を確認する手順を追加しました。
7. knowledgeフォルダ内の参考準備資料の資料構成を参考に、資料を作成し、出力する
出力形式は、これまでと同じWordファイルです。
参考資料はPDFですが、そのまま複製するのではなく、構成を参考にしてWord資料を作成するようにしています。
同じ顧客情報で再実行した
更新後も、対象は前回と同じ株式会社ミナトパーツ工業としました。
顧客情報と受入判断基準を維持したまま、参考資料と作成手順を更新した場合に、出力がどう変わるかを確認しました。
使用している顧客情報は、動作検証用に作成された架空企業の資料です。
資料はどう変わったか
今回の主な変化は、情報の並べ方と、用途ごとの分け方です。
| 観点 | 更新前の資料 | 更新後の資料 |
|---|---|---|
| 冒頭 | 用語や検討範囲から説明 | 結論、背景、候補、商談で決めることを配置 |
| 候補の説明 | 詳細説明と追加の判断票に情報が分散 | 上位3候補と、工具・接触作業の2候補に整理 |
| 質問 | 説明や判断条件とともに記載 | 質問先・質問・回答で決まることを表に整理 |
| 商談中の記録 | 持ち帰り事項を文章で提示 | 回答・担当者・提出日を記入する欄を追加 |
| 社内確認 | 詳細な補足として追加 | 受入判断と自社の宿題をまとめて配置 |
変化1:冒頭で結論を確認できるようになった
今回の資料では、冒頭に次の内容がまとまりました。
- 今回の結論
- 顧客資料に記載された背景
- 自動化候補5件の優先順位
- 今回の商談で決める3点
資料を読み始めた段階で、「何を提案し、何を確認したい商談なのか」を把握できる構成になりました。
第一候補は、引き続き軽量部品の整列箱詰めです。受入判断も、必要な情報が不足しているため「保留」のままです。
今回の更新では、判断を変えるよりも、その判断を見つけやすくする変化がありました。
変化2:候補の説明がまとまった
自動化候補は、前回と同じ5件です。
| 優先順位 | 自動化候補 |
|---|---|
| 1 | 検査済み部品の整列箱詰め |
| 2 | 検査装置への載せ替え |
| 3 | 組付用部品のキット化 |
| 4 | 単一種クリップの押込み |
| 5 | 治具支持部品のゲート切断 |
今回は、候補1〜3を「まず調査する作業」、候補4〜5を「工具・接触作業」として分けました。
それぞれについて、作業の単純さ、データ収集、安全、費用、学習計算の負担を整理しています。
候補数や優先順位を変えずに、説明を読む順序を整理した形です。
変化3:質問と判断のつながりが一覧になった
質問は、次の3項目を並べた表になりました。
| 質問先 | 質問の例 | 回答で決まること |
|---|---|---|
| 工場長 | 人手不足はどの工程で、何時間発生しているか | 調査対象の工程 |
| 設備課長・班長 | 品番別のタクトや箱交換時間はどれくらいか | 実証範囲と人に残る仕事 |
| 安全・情報管理担当 | 区画確保や撮影・記録を許可できるか | 実証準備に進めるか |
| 品質担当 | 合否基準と工程変更の承認範囲は何か | 評価条件と承認経路 |
前回も質問の理由はありましたが、今回は表の中で確認できるようになりました。
商談中に質問を選び、回答の意味を確認するために使いやすそうです。
変化4:回答と宿題を記入する欄が追加された
今回の資料には、当日記入するための欄も設けられました。
- 対象セルと品番群
- 手順書・動画・実績の提供範囲
- 安全・品質・データ利用の担当者
- 次回の受入判断日と出席者
回答だけでなく、担当者と提出日も記録する構成です。
商談準備として読む資料に加えて、商談後の対応を残す用途も持たせられました。
変化5:自社の宿題をまとめた
最後には、受入判断と次の行動をまとめています。
顧客に確認する事項とは別に、自社側で確認する内容も整理されました。
- 機体を調達できるか
- 開発担当者を確保できるか
- 安全設計と保守を提供できるか
- 工数や保証範囲をどう設定するか
顧客への質問と社内の宿題を分けたことで、誰が確認する内容なのかを追いやすくなりました。
今回の結果をどう捉えるか
今回の出力では、参考サンプルの「要点」「ヒアリング」「受入判断」という構成が反映されました。
ただし、PDFの見た目がそのままWordに再現されたわけではありません。確認できたのは、主に情報の順序、表による整理、記入欄の追加です。
また、今回は参考資料の追加と手順の更新を同時に行っています。どちらが出力の変化にどの程度寄与したかは、この1回の実行だけでは分かりません。
実際の商談で使いやすいか、別の顧客でも同じように整理できるかは、今後の確認事項です。
次回試したいこと
次回は、資料構成の再現性を確認したいと思います。
今回の結果を踏まえ、使いやすかった構成を少しずつ作成ルールとして明文化していく予定です。