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※この記事は個人の体験に基づきます。制度・選考は年度やコースで変わる可能性があるため、必ず公式情報も確認してください。

この記事について

これは 総研大 統計科学コース Advent Calendar 2025 19日目の記事です.
このように記事を書くのは初めてで何を書くか迷いましたが、私の受験体験記を書くことにしました。
私は退職して総合研究大学院大学統計科学コースの博士課程に進学しました。受験に際して、社会人博士の情報こそあれど、退職して博士課程に進学する人の情報はかなり少なく、情報収集に困りました(お金のことや受験の準備について)。
これから退職して博士課程に進学を検討する人にとって情報の1つになればいいなと思い執筆します。

  • 想定読者:退職して博士後期課程への進学を検討している人/迷っている人

  • この記事で記載していること

    • 退職D進の動機と出願〜面接までに何を準備したか
    • 退職D進のお金問題について

自己紹介

私自身の情報を簡単に下記に記載します。

  • 学歴:地方の国立大学 → 修士課程修了(専攻は化学)
  • 職歴:生命科学系の企業で研究開発に従事(約3年半)
  • 受験時の状況:在職しながら準備 → 受験 → 合格後に退職 → 入学

なぜ「退職して」進学したのか

博士課程への進学を決意したきっかけ

  • 修士の時点から博士号に関心はあり、ゆくゆくは取得したいと漠然と思っていた(社会人博士も考えていた)
  • 将来も研究に関わるの仕事を希望する上では、博士号を取った方が良いと考えた
  • 漠然とデータサイエンスに興味があり、独学で勉強(機械学習やバイオインフォマティクス・ケモインフォマティクス)するなかで専門的な研究に取り組みたいと考えるようになった
  • 30歳までに修了できる年齢を考慮した(博士号を取るにしても早いに越したことはないと考えた)

社会人博士を選ばなかった理由(当時の判断)

  • 修士課程修了直後は経済的に厳しいと思っていた。(奨学金や現状の助成金を考えると不可能でも無かったが、当時はまったく考えつかなかった。)
  • 会社の制度上、専門分野を変えての社会人博士は現実的でなく、進学するにしても時間がかかりそうだった。
  • 専門分野を変えるため、社会人と二足の草鞋では修了ができないと考えた。

タイムライン

私は冬入試なので少し時期がズレますが、夏入試の方は試験当日を8月になるように考えてもらうといいかと思います。

時期 イベント
3〜6月 研究室探し、情報収集、入試説明会・オープンハウス参加
7〜10月 基本的な数学、ML/DLの学習
9〜11月 出願書類作成、学習の継続
12〜1月 発表資料作成、面接練習
1月中旬 入試本番
合格後 退職手続き、フェローシップ申請書類作成

総合研究大学院大学ではコースによって博士後期課程の入学試験は夏と冬に2回入試が実施されます。
統計科学コースは夏と冬に入試があり、私は冬入試(1月)を受験しています。
少し記憶が曖昧な部分もありますが、入試を受けるまでの準備と受験について以下に記載していきます。

入学試験出願まで(3月〜11月)

出願前、情報収集(3月〜6月)

社会人3年目の3〜4月ぐらいから、退職して博士課程に進学することを視野に入れて、色々と情報収集をしていました。研究室については、完全な実験系(wet系)ではなく、機械学習等の技術も駆使する研究(dry系)で情報収集を行い、いくつかの研究室をピックアップし、教員にコンタクトを取っていました。
総合研究大学院大学の統計科学コースもこのときに見つけ、入試説明会に参加しました。参加者は教員マッチングを依頼でき、興味のある内容を送るとその内容にマッチした統計数理研究所の教員を提案してもらえるので興味があれば、とりあえず参加してみることをおすすめします。
とりさんの統計科学コースの紹介記事にあるように統計数理研究所オープンハウスに参加すると学生から現場の声や入試のことを聞くことができます。とても役に立ちました!
次の項で記載しますが、私はオープンハウスで聞いた情報から準備が間に合わないと判断し、夏の受験を見送りました。

数学や機械学習等の学習(7月〜10月)

総合研究大学院大学博士後期課程(3年次編入)の入学試験は面接試験のみです。面接だけではありますが、基本的な大学レベルの線形代数、微積分、確率・統計は理解しておく必要があること、しっかり準備していないと結構落ちる人がいることをオープンハウスで知りました。
私は働きながら出願書類の作成と数学の準備を1~2ヶ月で行うのは不可能だと判断し、夏の受験を断念しました。しっかりと準備をしないと普通に落ちる点は後に指導教員からも念押しされました。
冬入試の出願を見据えて、線形代数、微積分、確率・統計の勉強と、機械学習や深層学習の勉強をしていました。私は統計検定準1級を取得していましたが、資格試験に特化した勉強をしていたため、口頭諮問がかなり不安でした。そのため、出願前までに少しづつ数学の勉強をしていました。下記に使用した教材を参考程度に記載しますが、学部時代の教養科目で使った教科書+αです。また、記載した参考書を全て完璧にはできず、中途半端に終わったものもあることは申し添えておきます。
機械学習や深層学習はkaggleや技術書の写経をしていましたが、もっと理論的な部分を勉強するべきだったと後悔しています。

使用した教材(クリックで展開)

出願書類の準備(9〜11月)

総研大は出願時にHPから書式をダウンロードして作成する出願書類に加えて、大学から取り寄せて記入をする書類もあります。もし総研大の受験を検討される際は、出願に間に合うように出願書類様式集を取り寄せるように注意してください。
出願書類の中で時間がかかるものとして志望研究内容(研究計画書)とこれまでに行なった研究の要旨があります。(博士後期課程では志望理由書の提出がありませんが、面接時に必ず聞かれるので、準備しておくと良いです。)
研究計画書については、指導教員とメールで数回やり取りをしながら作成しました。分野を変えたこともあり、かなり四苦八苦したことを記憶しています。
これまでの研究の要旨については修士論文を見返しつつ作成しました。修士までは完全な実験系の研究に取り組んでいたため、まったくの分野外の試験官の方々が読むことを想定して作成することを心がけました。修士までお世話になった教員に何度も確認していただき、修正を繰り返しました。
ご協力いただいた先生方には感謝しかありません。

出願後から入試まで(12月〜1月)

出願後、面接準備(12月〜1月上旬)

12月の頭に出願を終えた後も、上記の勉強を継続していました。また、面接試験に向けた資料作成を少しづつ進めていました。募集要項の博士後期課程試験内容の抜粋を下記に記載します。

(募集要項より:選考方法と合否判定について)
募集要項の記載を確認すると、評価は次の2本立てでした。
書類審査:志望研究内容、これまでの研究内容(修士論文・学術論文等)、成績証明書などで評価
面接試験:統計科学の基礎知識、専門知識、表現能力、研究計画の独創性などを評価

  • 面接は全体で50分以内(質疑含む)
  • 前半に、受験者が これまでの研究成果今後の研究計画 を説明
  • 説明には ホワイトボード/PC+プロジェクタ/資料配布 が利用可能(PCが用意できない場合は予備機の利用も可)

発表資料は20~25分を想定し、これまでの研究10分程度、これからの研究10〜15分程度になるように作成しました。誰かに発表を聞いてもらうという時間はなく、発表練習は自分でひたすら繰り返すのみでした。
出願書類提出後から試験までの期間が1ヶ月しかなく、仕事と数学の勉強と資料作成でてんやわんやしていました。 準備が間に合っている実感が全くなく、年末年始に帰省していたときも不安で落ち着きませんでした。

入試本番(1月中旬)

面接の準備では下記を心がけました。

  • 学部、修士の研究について説明ができる
  • 企業での研究について説明ができる
  • 志望動機 ・修了後のキャリアプランについて話ができる
  • 自分が研究計画に引用した論文の内容については説明ができる
  • 統計科学や微積分、線形代数の基本的な知識について問われたら説明ができる

最後の2つはできる限り取り組んできましたが、間に合っていない部分も多く、面接時もわからないと回答する部分が複数回あリました。ただ、バックグラウンドが数学と離れていることもあり、数学の部分で突っ込んだ質問はあまりなかった記憶があります。ここは受験する人のバックグラウンドにもよるのかなと思います。
「どれくらい統計や数学を理解できるのか?」や「プログラミングはどの程度できるのか?」という質問の回答にはかなり困りました。統計検定を挙げて回答しましたが、振り返ると他に成果物や資格などで示せるものがあれば良かったなと思います。
また、試験会場の部屋に入室すると面接官が7~10人(記憶が定かではない)いて、びっくりするとともにかなり緊張しました。結構人数がいると思って心構えしておくことをおすすめします。
全体を通して、あまりにも良かったところがなく、てっきり落ちたものだと思っていたのですが、大変ありがたいことに合格をいただきました。

合格後から入学まで

私は退職の兼ね合いで、合格から入学まで半年近く期間があったので、引き続き勉強をしつつ、退職の手続きを進めていました。また、総合研究大学院大学にはSOKENDAI特別研究員制度という経済的な支援制度があります。これは入学前の方も(受験生も)申請できるとのことで、私も入学する直前の7~9月にかけて申請書類を作成していました。
退職にあたっては、快く送り出してくれた職場とSOKENDAI特別研究員制度への推薦書を書いてくれた上司には感謝しかありません。

お金について

もし、これから退職博士進学を考える方がいれば、この部分が一番気になる部分だと思います。詳細に書くのも個人的に憚られるので幅を持たせますが、私の場合について記載します。
私は企業に就職した当初から博士進学が頭にちらついていたこともあり少しづつ貯金を進めていました。 私が当時参考にしていた退職D進学された方々のブログを下記に記載しています。こちらを確認していただくと皆さん記載されていますが、退職して進学すると前年度の収入に伴う住民税や社会保険料が降りかかり、これが結構高額です(私の場合、ざっくり住民税:20~30万円、健康保険料:20~30万円)。
一方で最近ではフェローシップが充実しはじめて、以前よりはいささか経済的な支援が得やすくなっている面もあります。
そういったことも想定して、初年度1年間の生活費+授業料+入学金と諸々の税金+引っ越し等を考慮し、250~300万円の貯金をしていました。進学後についてはSOKENDAI特別研究員になんとか採択されるように頑張ろうと考えていました。もし不採択であれば、日本学生支援機構(JASSO)奨学金やRA雇用、アルバイトを検討していました。
大変ありがたいことにSOKENDAI特別研究員に採択していただきました。結果的に想定よりも貯金がかなり残ったので、不安なく生活を送ることができています。感謝とともにこれからも研究に邁進する所存です。 もしお金の面について詳細を聞きたければ質問いただければと思います。
総合研究大学院大学は経済的支援が比較的充実していると思うので、これから受験を考える方は検討してみてください。

参考にしていた退職D進学された方のブログ等

こう見ると意外と情報が多い気もしてきました...

最後に

退職して博士課程に進学してからは、1日中好きに勉強や研究に取り組める環境がいかに幸せなのかを実感しています。分野を変えていろいろと不安になる部分も多いですが、心機一転頑張っていきたいと思います。
もしこれから博士号進学を検討する人にとって、少しでも参考になり、背中を押すことができればとても嬉しいです。

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