はじめに
「気づいたら、不確実性の海のど真ん中にいた」
プロジェクトを進めていると、こういう瞬間ありませんか?
- リリースに向けた計画はスカスカなのに、リリース日だけは決まっている
- 見えていないことが多く、いつの間にか計画が“積み上げ式”になって破綻する
私は、まさにこの状態に遭遇しました。
私の場合は「これだといけそう」という1パターンの楽観的な仮説の上に計画を積み上げ続けてしまい、気づいたときには「予定していたリリース日が現実的ではない」状態になっていました。
今思い返すと、
最初から完全にほぼ犬掻き状態でPJTを進めていたのに、そこに気付けないまま進めてしまっていました。
この記事は、そのときの反省を踏まえて、
不確実性が高いPJTで、計画が破綻して溺死するのをどうやって回避するか
を、振り返ります。
溺死しないためにやる4つのこと
不確実性の海で溺れないために、私がやるべきだったことを4つにまとめます。
1) まず「成功条件(ゴール)」を先に決める
成功条件が決まってないと、計画も判断も全部ブレる。
「ある程度決まったらリリース日と詳細計画を決めます」というスタンスで進めていました。
その結果、
- マイルストンはあるのに、順調かどうかが判断できない
- 「見えていないから決めない…」を繰り返す
- 気づいたら計画が積み上げ式になり、破綻する
状態に陥っていました。
ここで私が先に決めるべきだったのは、
PJTで得たいアウトカムに対して、「いつまでに」「どこまで到達できれば成功と言えるのか?」です。
ここが曖昧なままだと、プロジェクトは簡単に漂流します。
2) 仮でもいいから「根拠ある計画」を置く
完璧より“根拠ある仮説”。粗くてもいいから仮説を元に計画を置いて更新する。
私は当時、リリース目標が曖昧なまま要件定義前になり、いよいよリリースが現実的になってきたタイミングで、
- 「目標に置いたら、なんか達成できる方法あるっしょ!」
- 「年内リリースだ!!」
という“気合いブースト”で計画を立てました。
結果、年内リリースの計画は
- リソース増やす? → 無理じゃん
- スコープ削る? → 無理じゃん
- 品質落とす? → 無理じゃん
- どうやっても無理じゃん
と、お手上げ状態になってしまいました。
最初から完璧な計画を作ることは無理なので、仮置きでもいいので、**今ある情報を元に「根拠ある計画」**を作るのが大事です。
ポイント
- 100点を目指さない
- 100点の計画が作れるほど不確実性が低いなら、そもそも困ってない
- 「今わかっていること」と「未確定なこと」を分ける
- 未確定なことは 確定するまで、“決めない”ではなく いつ決めるか?決めるための計画を立てる
3) 視界を揃え続ける(ゴール・計画を定期更新する)
ズレを放置し続けると大きな歪みとなって返ってくる。
ここまでくると、PJTメンバーの自分達も曖昧なゴールのまま進めてきたことで、
- 関係者間で計画やリリース時期の認識がズレる
- 合意が取れていないため、ゴールの再調整が入る
- 結果的に計画のズレが増幅する
といったことが起こりやすくなります。
ポイント
- 「ゴール」「計画」「不確実性(前提・リスク)」をセットで更新して定期的に共有・擦り合わせる
私は、直近3ヶ月のゴールとマイルストンだけをすり合わせてしまい、プロジェクト全体のマイルストンまで揃えられていませんでした。
その結果、関係者ごとに「今どこに向かっているのか」の認識がズレていきました。
4) 不確定要素は「決め方」まで含めて計画に埋める
不確実性があることが問題なんじゃない。“放置”が問題。
不確定要素は放置すると、後から影響が肥大化し、どうしようもなくなることがあります。
これを防ぐには、
- この不確定要素はいつまでに、何をもって確定するか
- 確定できない場合、どの仮説で進めるか
を、計画の中に入れておくことが大事です。
これを決めておくと、不確実性が“管理できるもの”になります。
不確実性があることが問題なのではなく、
解消されない・されようとしないまま放置されることが問題です。
教訓:不確実でも仮の計画を置いて、更新し続けよう
- 成功条件を決める
- 粗い計画でもいいから仮置きする
- 不確実性を管理する(決定期限・リスク・意思決定)
- 定期的に更新して、視界を揃え続ける
不確実性はなくならないけど、放置しなければ小さくできる。
そしてそれが、溺れないためのプロジェクトマネジメントだと思っています。
来年は、溺れずに楽しくプロジェクトを進めたいものです。