第2章 Apache Ant の環境構築
Antの環境構築は複雑ではありません。
手順というよりは、バージョンの選択に重点を置き、解説したいと思います。
Ant のバージョンについて
ツールは、学習に使うバージョンによって「今となっては使わないもの」
の学習に時間を取られてしまうことも。
このトピックでは、状況に適したバージョンを選ぶためのヒントになるような情報を
いくつかあげたいと思います。
学習書籍などに合わせる
ネット記事や書籍で学習すると、使用するバージョンが明記されていることが多いと思います。
バージョンによって無効な記述などもあったりするので、とりあえず学習をスムーズに進めたい
という人はバージョンを合わせるのが無難です。
あえて最新バージョンを使用する
前述ではとりあえずバージョンを合わせると書きましたが、あえて最新バージョンを利用すると
学習と同時に最新バージョンでは使えなくなっているものを洗い出すことができます。
こうすることで、わざわざリリースノートを追わなくても差分箇所がエラーで出てくるので、
一つの学習のアプローチとして有効だと思います。
補足情報として、2020年5月現在のAntのリリース状況について軽く触れておきます。
Antは現在、2つのマイナーバージョンの開発が同時に進行しています。
既存機能のバグ修正など、ブラッシュアップ用の1.9.x系と、新規機能追加などを
活発に行う1.10.x系です。(1.9.x系の方が安定していると言えます)
また、2000年代初頭は3年周期くらいでマイナーバージョンの更新が行われて
いましたが、2013年3月7日の1.9.0へのバージョンアップ以降、7年もの間、
マイナーバージョンの更新が行われていません。
現状の開発は1.9.x系で安定していると言えるので、とりあえずでバージョンを
選択する人は、1.9.x系で問題ないと思います。
IDEが導入しているバージョンを参考にする
ここでは私の環境である、Eclipse 4.5(Mars)を例にしたいと思います。
IDEには大体、有名な各種ツールがプラグインとして組み込まれています。Eclipseでは、
<Eclipseのホーム>/plugins
直下に各種ツールが配置されているので、ここを確認して
同じバージョンを使います。
(Antはorg.apache.ant_1.x.x.v〜
というフォルダ名で格納されています)
すると、実践的な学習をしようとIDEから実行してみたらこのバージョンでは使えなかった!
なんて事態を回避できます。
(Eclipseから、参照するJARファイルを差し替えてバージョンを変更する手もありますが、
デフォルトで入っているバージョンを使った方が色々と楽ですよね。)
共通:リリースノートを読む
バージョンを選択したら、一度はリリースノートに目を通すことをオススメします。
各種プロジェクトがバージョンアップされる時、同時にリリースノートが掲載されるはずです。
リリースノートとは、ツールのバージョンアップ毎に発表される資料で、新規追加・削除された
機能や修正されたバグなど、前バージョンからの変更点がまとめられています。
使用するバージョンの直前〜直後のバージョンのリリースノート程度は確認してみましょう。
環境構築手順
バイナリファイルのダウンロード
選択したバージョンのバイナリファイルを、以下のURLからダウンロードしてください。
ダウンロードして解凍したフォルダ群は、任意の場所へ配置します。
最新バージョン:https://ant.apache.org/bindownload.cgi
古いバージョン:https://archive.apache.org/dist/ant/binaries/
環境変数の設定
フォルダの配置が完了したら、以下の環境変数を設定します。
- ANT_HOME:Antのフォルダ群を配置した任意の場所
- JAVA_HOME:JDKがインストールされているディレクトリ
- PATH:Antの実行ファイルの場所(ANT_HOME/bin)
稼動確認
ターミナル、プロンプトで以下のコマンドを実行し、
バージョン情報が出力されたら環境構築は成功です。
$ ant -version
Apache Ant(TM) version 1.9.0 compiled on May 10 2020