― コスト最適化・障害対応の迅速化・アプリとインフラの統合監視の実体験 ―
昨今、クラウドサービスの利用が拡大し、オンプレミスとクラウドが混ざり合うハイブリッドなシステム構成が当たり前になってきました。私が所属する組織でも例外ではなく、AWS・SaaS・社内オンプレサーバーが複雑に絡み合い、年々監視の負担が増加していました。
長年インフラ監視として Zabbix を中心に運用してきましたが、クラウドリソースやアプリケーションの増加に伴い、従来の方法ではカバーしきれないポイントが見えてきました。そうした状況を背景に、私たちはNew Relicへ段階的に移行することを決め、その後実際に運用してみて得られた効果や気づきをこの記事でまとめます。
この記事では「New Relicの製品紹介」というよりも、現場で苦労してきた管理者として
“本音で感じたメリットと改善点”を語ろうと思います。
同じように監視基盤の見直しに悩む方へ、少しでも参考になれば幸いです。
■ 移行のきっかけ:複雑化する監視対象と負担の増加
最初に問題として顕在化したのは、次の3つでした。
1. クラウドサービスの増加
Zabbixでもクラウドの監視は可能ですが、API連携や監視項目の追加設定に手間がかかり、
「気づけば監視設定だけに時間が取られる」というケースが増えていました。
2. アプリケーション監視との分断
アプリ側のエラーやパフォーマンス問題は別のAPMやログツールで確認。
障害対応時には「Zabbix → ログ基盤 → APM → クラウドコンソール…」
という“監視ツールのはしご”が当たり前でした。
3. コストの見えにくさ
サーバー台数やクラウドのリソース利用が増えるにつれ、
どこに無駄があるのか判断しづらく、最適化に手が回らない状態になりつつありました。
これらを解消するため、私たちは「インフラ・アプリ・ログを統合して見られるツール」を探し始め、
その中で最も条件に合ったのが New Relicでした。
■ 実際に移行して感じたこと:Zabbixと共存しながら段階的に移行
すべてを一気に移行するのではなく、以下のように段階的に導入しました。
・AWS のインフラメトリクスを New Relic へ接続
・アプリケーション(Java/PHP/Node.js)へAPMエージェント導入
・ログをNew Relic Logsへ集約
・Zabbixと監視項目を比較しながら置き換え
特に良かった点は、ZabbixとNew Relicを併用できたことです。
必要に応じてZabbixのテンプレートを残しつつ、徐々にNew Relic側の監視へ移行しました。
■ 管理者として感じた最大のメリット
ここからは「使ってみて本当に効いたポイント」を現場の視点でまとめます。
1. インフラとアプリの“つながり”が一目で分かる
Zabbixはインフラ監視として非常に優秀ですが、「アプリの中で何が起きているか」までは把握できません。
New Relicでは、“CPU負荷 → アプリのレスポンス遅延 → DBクエリの詰まり → ユーザー影響”
という流れを1つの画面で追える点が非常に大きいです。
障害時に、
どのサーバーが負荷増?
どのAPIが遅い?
どのクエリが重い?
その影響を受けたユーザー数は?
まで一度に確認できるため、原因特定までの時間が劇的に短縮されました。
2. 障害対応のスピードが“体感で半分以下”に
これは導入して最初に驚いたポイントです。
従来:
Zabbixでアラート検知
ログを確認
アプリ側の可視化を別ツールで調査
クラウド側のメトリクスと突き合わせる
New Relic:
アラート発生
同じ画面でログ・トレース・インフラ状況・ユーザー影響を確認
ほぼ「問題箇所の地図」が最初から表示されている
特にログとトレースが自動で紐づくのは、管理者からすると非常にありがたい機能です。
レガシーなシステムでも目に見える効果がありました。
3. コスト最適化にすぐ着手できた
クラウド利用が増えてくると、
「なんとなくリソースを増やしてしまい、最適化できていない」
という状態になりがちです。
New Relicを使うと、
ほぼ使われていないEC2、容量過剰なRDS、無駄にAPI通信を繰り返しているアプリ
などが可視化され、対策が明確になります。
その結果、実際に私たちの環境では
クラウドコストが月数十万円規模で最適化できました。
4. ダッシュボード作成が圧倒的に楽
Zabbix ではグラフ作成に多少手間がかかりますが、
New Relic のダッシュボードはドラッグ&ドロップ感覚で作れます。
運用担当者、アプリ担当者、マネジメント層が同じ情報を見られる統合ビューの
環境を簡単に整えることができました。
■ 移行して感じた “課題” も正直に伝えます
メリットだけでなく、管理者として「ここは改善の余地がある」と思った点も共有します。
・ダッシュボードやNRQLクエリは慣れが必要
・ログ量の多い環境はデータ量課金を意識する必要
・オンプレサーバーが多い場合はエージェント配布作業が発生
特にログは“何でも流す”のではなく、
必要な情報を整理してから取り込む設計が重要だと感じました。
■ まとめ:監視運用の考え方そのものが変わった
Zabbix を中心に運用していた頃と比べて、New Relic 移行後は
「インフラとアプリを切り離して考える運用」から
「全体をひとつのシステムとして見る運用」へ変化しました。
・障害対応が速くなる
・コスト削減ポイントが明確になる
・チーム間の情報共有がスムーズになる
・アプリとインフラのつながりを理解できる
・AI による分析が実務で役立つ
特に、複数ツールを行き来していた時代と比べると、
「運用のストレスが減る」というのが正直な感想です。
もし今、監視の複雑化やコスト増加に悩んでいる管理者の方がいれば、
New Relicを「次世代の統合監視基盤」として検討する価値は高いと感じています。
技術的にも、また運用的にもこれからのクラウド時代に合った選択肢だと思います。