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AIに「元画像になんか似ている画像」の生成を簡単に指示するプロンプト

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はじめに

資料作成やブログ記事で、「この画像、イメージにぴったりだけど、著作権の問題でそのまま使えない…」と悩んだ経験はありませんか?

そんな時に役立つのが、AIを使って「似た雰囲気のオリジナル画像」を生成するテクニックです。

この記事では、元となる画像の「本質」をAIに深く理解させ、意図した通りの"あの感じ"の画像を生成させるための、強力なプロンプト術をご紹介します。

特定の画像生成AIモデルに限定されない、応用の効く方法です。
今回はgemini2.5proを使用しました。

ステップ1:お手本となる画像を用意する

まず、「こんな雰囲気の画像が欲しい」というお手本(元画像)を用意します。

今回は例として、自分のアイコン画像を使います。

元画像

ステップ2:プロンプトで画像を分析させる

次に、AIに元画像の持つ魅力を深く理解させるため、以下のプロンプトを使って分析を指示します。

このプロンプトのポイントは、画像を①抽象的な構造、コンセプトや雰囲気②具体的な構造、見たままの情報という2つの異なる視点から、多角的に分析させる点にあります。


画像分析用プロンプト
次の画像を
以下2つの類型を用いて、包括的構造的網羅的に詳細に言語化

# 形而上構造 (Metaphysical Structure)
1. 本質 (Essence)
2. 要素 (Elements)
3. 構成 (Composition)
4. 文脈 (Context)
5. 洗練 (Refinement)
6. 様式 (Style)

# 形而下構造 (Physical/Material Structure)
1. 前提 (Premise)
2. 状況 (Situation)
3. 動機 (Motive)
4. 目的 (Objective)
5. 制約 (Constraints)
6. 構図 (Composition)
7. トーン (Tone)

ステップ3:AIによる分析結果を確認する

プロンプトを実行すると、AIは以下のように画像を詳細に言語化してくれます。この「言語化された情報」が、新しい画像を生成するための設計図になります。

はい、承知いたしました。ご提示の画像を、2つの分析類型を用いて包括的かつ構造的に言語化します。


形而上構造 (Metaphysical Structure)

1. 本質 (Essence)

この画像の本質は、**「日常に侵入した非日常」であり、現代の労働環境における「役割からの逃避と諧謔(かいぎゃく)」**の寓話(ぐうわ)です。「リラックマ」という弛緩と癒やしの象徴が、緊張と規律を要求されるオフィスという空間で「仕事をする」という行為に没入している。この強烈な対比と矛盾そのものが、画像の核心的な意味を形成しています。

2. 要素 (Elements)

  • リラックマの頭部: 匿名性、遊び心、キャラクター性、現実逃避の象徴。
  • オフィスデスク: 労働、義務、現実、ストレスの象徴。
  • コンピュータ(ThinkPad): 知的労働、生産性、テクノロジーの象'徴。
  • 雑然とした私物: 生活感、個人の領域、混沌、仕事の多忙さの象徴。
  • 黒い衣服: キャラクターの存在を際立たせ、中の人物の個性を消す役割。

3. 構成 (Composition)

「癒やしのキャラクター(非日常)」が「労働の道具(日常)」に向かい合うという中心的な対立構造で成り立っています。キャラクターの巨大な頭部と、無機質で実用的なコンピュータやキーボードとの物質的な不均衡が、視覚的なユーモアと違和感を生み出しています。

4. 文脈 (Context)

撮影された場所は、おそらくIT系やクリエイティブ系の比較的自由な社風を持つ企業オフィスと推察されます。この一枚は、厳しい労働環境の中にユーモアや人間性を取り戻そうとするささやかな抵抗、あるいは同僚とのコミュニケーションの一環として行われたパフォーマンスの一瞬を切り取ったものでしょう。

5. 洗練 (Refinement)

単なる「着ぐるみ」ではなく、日本で広く認知されている「リラックマ」という特定のキャラクターを選択した点が、このイメージの意味を洗練させています。「リラックス」をその存在理由とするキャラクターが、最もリラックスから遠い行為(デスクワーク)に従事するという皮肉が、メッセージをより鋭く、共感性の高いものにしています。

6. 様式 (Style)

意図的に作り込まれた芸術写真ではなく、偶然の瞬間を捉えたような**「スナップショット」**の様式です。この気取らない、ありのままのスタイルが、非現実的な光景に妙な現実感を与え、シュールレアリスティックなユーモアを際立たせています。


形而下構造 (Physical/Material Structure)

1. 前提 (Premise)

オフィスの一角にあるデスクで、一人の人物がパソコン作業を行っている。

2. 状況 (Situation)

その人物は、頭部にリラックマの巨大なマスク(あるいは着ぐるみの一部)を被っている。デスクの上は、ノートパソコン、外付けキーボード、マウス、飲料、文房具などが散乱し、雑然としている。

3. 動機 (Motive)

この行動の動機は、生産的な業務遂行ではなく、**「場の空気を和ませる」「面白い写真を撮る」「ストレスを発散する」**といった、情緒的・遊戯的なものと考えるのが妥当です。

4. 目的 (Objective)

この状況における直接的な目的は、リラックマの姿でキーボードを操作し、「キャラクターが仕事をしている」という光景を現出させることにあります。写真撮影が伴う場合、その記録と共有も目的に含まれます。

5. 制約 (Constraints)

  • 物理的制約: 巨大な頭部は著しく視界を妨げ、正確なタイピングやマウス操作は極めて困難です。生産的な作業は実質的に不可能です。
  • 環境的制約: オフィスという公共の労働空間であるため、この行為が許容される時間や周囲の状況には限りがあると考えられます。

6. 構図 (Composition)

被写体を斜め横から捉えたアングルで、キャラクターの横顔とデスク全体がフレームに収められています。リラックマの丸い頭部が画面の左半分を大きく占め、視線(キャラクターの目の向き)が自然と右側のラップトップへと誘導される構図です。背景のギターや黄色いキャビネットが、この職場が画一的でないことを示唆しています。

7. トーン (Tone)

蛍光灯によるフラットで均一な照明が、オフィス空間のありのままの雰囲気を伝えています。加工や演出の少ない自然な写り方は、この非現実的な出来事をドキュメンタリーのように記録しており、そのことがかえってユーモラスでシュールなトーンを強調しています。

ステップ4:分析結果を元に新しい画像を生成する

最後に、AI自身が生み出したこの詳細な分析結果を使って、新しい画像を生成するように指示します。


【指示プロンプト】
上記の言語化された内容に基づいて、新しい画像を生成してください。

すると、AIはまるで人間のように元の画像の「雰囲気」や「コンセプト」を理解し、それを再現した新しい画像を生成してくれます。

生成された画像がこちら

生成された画像

元の画像のオフィスでキャラクターがPC作業をしているシュールでユーモラスな雰囲気や構図を見事に再現しつつも、著作権の問題をクリアした、全く新しい画像が完成しました。

まとめ:このプロンプト術のメリット

このテクニックを使えば、単に「〇〇のような画像」と指示するよりも、遥かに高精度で元画像の意図や雰囲気を再現できます。

  • 応用が効く: あらゆる画像に応用でき、AIに「伝えたいニュアンス」を正確に伝えられます。
  • アイデアが広がる: AIの分析を読むことで、自分では気づかなかった画像の魅力を再発見し、新たなクリエイティブのヒントを得ることも可能です。

資料作成やコンテンツ制作で「ちょうどいい画像」が見つからずに困っている方は、ぜひこの「分析→生成」のテクニックを試してみてください。

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