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なぜ「脱Excel」したはずの現場で、今日もExcel出力ボタンが押されるのか

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はじめに

この記事は

Excel業務を「DX化して!」と言われたら、あなたならどう実現しますか?

という問いに対して、
なぜ、どんなに高機能なシステムを導入しても、現場がExcelを手放せないのか を、
システムを使う現場側の視点から整理したものです。

私は以前、ブラウザ上でExcelライクに操作できる業務システムを、
業務部門のユーザーとして日常的に使っていました。

脱Excelに成功したシステムです。

それでも私たちは、毎日迷うことなく
必要性に駆られてExcelエクスポートをしていました。

なぜでしょうか。

システムと現場のギャップ

システムは、常に正しい値を表示してくれていました。
しかし、現場で必要なのは正しいものだけではありません。

・Aの場合はどうか、Bの場合はどうか
・どう考えたのか
・なぜそうなったのか
・どう説明すれば納得してもらえるか

これらを整理するために、私たちはExcelに戻ります。
システムが見せているものと、
人間が仕事でしていることのズレから生まれています。

Excelが引き受けてしまった3つの役割

Excelは「表計算ソフト」です。
思考ツールでも、報告ツールでも、判断ツールでもありません。
それでも、Excelが優秀な表計算ソフトであるため、
結果として次の3つをExcelを使って仕事をしてきました。

1. 思考の場

多くのシステムは、確定した値を入力・表示する前提で設計されています。
清書されたものを入力する場所です。

けれども、実際の業務では、必ず複数のシミュレーションを行います。

・この計画を増やしたらどうなるか
・A案とB案はどちらがいいか
・ベストケース、バッドケースはどこか

Excelは、データ量がどんなに多くなろうとも、
うんうん唸りながら共に考え続けてくれました。

2. 報告

システムにインプットが終わっても、
仕事が終わったことにはなりません。

多くの組織では、

・一覧に集計されている
・ファイルとして提出できる

この状態になって初めて、
仕事が完了したと認識されます。

Excelは、マネジメントを納得させる
非常に強力な報告媒体でした。

3. 判断の補助

マネジメントが見たいのは、生データではありません。

・集計された結果
・前回との差
・問題のある箇所

それで、どうするのか、解釈された情報です。
Excelは、
集計し、強調し、メモを書き、結論を添えることまでやってくれます。

問題はツールではなく設計されていない部分

Excelという万能道具が引き受けてしまった
思考・報告・判断プロセスが
組織として設計されていない。

だから、現場はExcelに戻る。
とても自然な流れです。

役割を再設計すること

脱Excelとは、Excelを排除することではありません。
Excelがないと業務が回らない構造に問題があり、
必要なのは、役割を再設計することです。

その結果として、

  • 思考は、試行錯誤が速く回る形で
  • 報告は、提出ではなく見に行く形で
  • 判断は、個人の勘ではなく基準に基づいて

自然に役割が分かれていく。

この設計ができていないと、
どんなにツールを変えても、
現場はまたExcelに戻ってしまいます。

まとめ

Excel業務を「DX化して!」と言われたら、あなたならどう実現しますか?

私の答えは、
Excelが引き受けてしまっていた思考・報告・判断のプロセスを組織として意識的に設計し直すことです。

そうでなければ、ツールだけが新しくなった高価なExcel が量産されるだけです。

そのためには、何でもExcelで業務する前提で考えるのではなく、
一度その前提を外して考えられる人が、
職場で一人でも増えていくことが不可欠だと思っています。

私は部門のDX担当として
日々この前提を疑う視点を持ちながら、
業務設計そのものに向き合っていきたいと考えています。

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