はじめに
プリザンターのインストール手順は公式サイトに用意されていますが、OSやDBの組み合わせごとにページが分かれているため、初めて触る方だと「結局どの手順を追えばいいのか」で迷いやすい構成になっています。
実際に導入をご検討中のお客様からも「リンクが多くて迷う」「自分の環境だとどれが正解かわからない」といった相談を受けることがありました。
そこでこの記事では、構成を一つに固定して手順を一本化し、「どれを見ればいいか」で迷わず進められる ようにします。対象は次の構成です。
環境
OSはWindows 11、データベースはSQL Server 2022 Expressを利用します。
その他構成は以下の通りです。
| # | 対象 | 環境・バージョン |
|---|---|---|
| 1 | OS | Windows 11 |
| 2 | DB | SQL Server 2022 Express |
| 3 | アプリケーション | SQL Server Management Studio 22(SSMS) |
| 4 | Webサーバ | IIS |
| 5 | Platform | .NET 8 |
| 6 | Pleasanter | 1.4.23.3 |
なぜこの構成にするのか(Windows 11 + SQL Server Express)
この記事では、あえて選択肢を広げず、Windows 11 + SQL Server 2022 Express に構成を固定しています。理由は、最短でインストールを完走し、 動作確認まで到達しやすい ためです。
プリザンターは複数のOSやDBで動かせますが、初回は迷いポイントが少ない構成を選ぶほうが、結果的に近道になります。
最低限必要な知識
プリザンターのインストールをスムーズに進めるため、事前に知っておくとよい操作を整理します。
-
Windows操作
- アプリケーションのインストール
- ZIPファイルの解凍
-
スタートボタンからのアプリケーション実行
- コントロールパネル
- ダウンロードフォルダーの場所
本記事の構成
この記事は公式手順をベースに作成しています。
本記事のリンクを辿る順番は以下のリンクの順番となります。
- Windowsの機能の有効化(Windows 11)
- .NETのインストール(Windows環境)
- SQL Server 2022 Expressのインストール及び設定
- プリザンターをWindowsにインストールする
事前準備(Windows初期設定)
ここでは、IISと.NETのインストール、初期設定を行います。
コントロールパネルの起動
スタートキーからコントロールパネルを選択します。
コントロールパネル
プログラムを選択します。
プログラムと機能
「Windowsの機能の有効化または無効化」を選択します。
Windowsの機能
Windowsの機能で以下のものを選択してください。
- IIS 管理コンソール
- 静的なコンテンツ
- ASP .NET 4.8
機能追加の成功
OK を選択すると、機能が追加されます。
IISの設定変更
スタートメニューから「インターネットサービス(IIS)マネージャー」を選択します。
「アプリケーションプール」の「DefaultAppPool」を選択し「アプリケーションプール既定値の設定」を選択します。

「アイドルタイムアウトの操作」を 「Terminate」から「Suspend」 に変更し OK を選択します。

.NETのインストール
.NETはSDKとHosting Bundleをインストールします。
SDKのダウンロード
.NETのサイトより、64bit版をダウンロードします。※赤枠部分を選択します。

SDKのインストール
セットアップの進行状況
インストールを選択するとセットアップが開始されます。
インストールの成功
インストールが成功するとこのような画面になります。
Hosting Bundleのダウンロード
.NETのサイトより、Hosting Bundleをダウンロードします。※赤枠部分を選択します。
Hosting Bundleのインストール
「ライセンス条約および使用条件に同意する」 にチェックを入れてインストールを選択します。
セットアップの進行状況
インストールを選択するとセットアップが開始されます。
インストールの成功
インストールが成功するとこのような画面になります。
データベースのインストール(SQL Server)
ここでは、SQL Server 2022 Express と SQL Server Management Studio(SSMS)のインストールを行います。
SQL Server 2022 Express の制限
SQL Server 2022 Express は無償で手軽に使える一方で、いくつか制限があります。代表的なものは 「データベース 1 つあたり最大 10GB」 まで、そして CPU やメモリの使用量にも上限 がある点です。
小規模な検証や学習用途には十分ですが、データベース容量が10GBを超える想定がある場合は、Standard / Enterprise など上位エディションの利用も検討してください。
SQL Serverのダウンロード
ダウンロード センターより、Microsoft SQL Server 2022 Expressをダウンロードします。※赤枠部分を選択します。
メディアのダウンロード
ダウンロード後、インストーラーを起動し、 メディアのダウンロード を選択します。
パッケージの選択
Express Advancedを選択 し、ダウンロードボタンを選択します。

メディアのダウンロード
メディアがダウンロードされます。
ダウンロードの成功
ダウンロード成功後、 フォルダーを開く を選択します。
インストーラーの実行
ダウンロードフォルダーにある SQLEXPRADV_x64_JPN.exe を実行します。
SQL Serverのインストール
SQL Serverインストールセンターにある SQL Serverの新規スタンドアロン インストールを実行するか、既存のインストールに機能を追加 を選択します。
ライセンス条項
ライセンス条項と次に同意します を選択し 次へ を選択します。
Microsoft Update
Microsoft Updateを使用して更新プログラムを確認する にチェックを付けて 次へ を選択します。
インストール ルール
結果がこのように表示されていれば問題ありません。 次へ を選択します。
SQL Server 用 Azure拡張機能
今回はSQL Server 用 Azure拡張機能を利用しないので、SQL Server 用 Azure 拡張機能 のチェックを外し、 次へ を選択します。
機能の選択
インスタンス機能が図の通りになっていたら、次へを選択します。
- データベース エンジン サービス
- SQL Server レプリケーション
- Machine Learning Services および言語の拡張
- 検索のためのフルテキスト抽出とセマンティック抽出
インスタンスの構成
インスタンスの構成 を 既定のインスタンス を選択し、次へを選択します。

サーバーの構成
特に変更することがないので 次へ を選択します。
データベース エンジンの構成
認証モードを設定します。
-
設定内容
- 混合モード を選択します
- SQL Serverのシステム管理者(sa)アカウントのパスワードを設定します
- SQL Server 管理者の指定はインストールしているユーザーがあらかじめ設定されています
SQL Server の sa ユーザーは、ざっくり言うと 「SQL Server に最初からいる最強クラスの管理者アカウント」 です。
インストールの進行状況
インストールが完了するまでしばらく待ちます。
完了
セットアップが完了後 「閉じる」 を選択します。
SQL Serverの初期設定
ここでは、プリザンターから接続できるようにSQL Serverの通信設定(TCP/IP)を有効化します。
SQL Server 構成マネージャーの起動
スタート の検索から「SQL Server 2022」と検索すると「SQL Server 構成マネージャー」が候補として上がります。
TCP/IPの有効
SQL Server Configuration Managerより「SQL Server ネットワークの構成」の「MSSQLSERVER のプロトコル」を選択し「TCP/IP」を右クリックし「有効」を選択します。
警告
サービスを再起動しないと有効にならないので、SQL Serverを再起動します。
SQL Serverの再起動
SQL Server Configuration Managerより「SQL Server のサービス」の「SQL Server(MSSQLSERVER)」を右クリックし「再起動」を選択します。
SQL Server Management Studioのインストール
ここでは、SQL Server Management Studio(SSMS)をインストールします。
SQL Server Management Studio 22 インストーラーのダウンロード
SQL Server Management Studio をインストールするより、SQL Server Management Studio 22 インストーラーのダウンロードを選択します。※赤枠部分を選択します。
SQL Server Management Studioインストーラーの起動
SQL Server Management Studio 22 インストーラー(vs_SSMS.exe)を選択します。
Visual Studio Installer
続行 を選択します。
Visual Studio インストーラーの準備
ダウンロードとインストールが実行されます。
インストール中 SQL Server Management Studio 22
特に変更することがないため インストール を選択します。
Visual Studio Installer
Visual Studio Installer経由で SQL Server Management Studio がインストールされます。
インストールの完了
インストールが完了すると 再起動 を求められます。
SQL Server Management Studioの起動
スタート から SQL Server Management Studio を検索しSQL Server Management Studio 22 を選択します。
SQL Server Management Studio サインイン
SQL Server Management Studioのサインインを求められますが、ここでは後でアカウントをスキップ追加します。 を選択します。
接続
ログインに必要な情報を設定します。 接続プロパティ情報 を入力し 接続 を選択します。
接続プロパティ情報 は以下の項目を設定します。
接続プロパティ情報
| # | 項目 | 値 |
|---|---|---|
| 1 | サーバー名 | (local) |
| 2 | 認証 | SQL Server 認証 |
| 3 | ユーザー | sa |
| 4 | パスワード | インストール時に設定したパスワード |
| 5 | パスワードを記憶する | チェック(任意) |
| 6 | 暗号化 | オプション |
SQL Server Management Studio メニュー
ログインが成功するとメニュー画面が表示されます。
プリザンターのインストール
プリザンターのダウンロード
プリザンターをダウンロードします。ダウンロードはGitHubのreleasesからダウンロードできます。今回は Pleasanter_1.4.23.3 をダウンロードします。※ 赤枠のものをダウンロードしてください。
プリザンターの解凍
ダウンロードフォルダーから、プリザンターを解凍します。
プリザンターの設置
解凍したプリザンターを設置します。
はじめに、Cドライブに「web」フォルダーを作成し、そこに「pleasanter」 フォルダーを配置します。
以下のフォルダー構成になっていれば成功です。
- C:\web\pleasanter\Implem.Pleasanter
- C:\web\pleasanter\Implem.CodeDefiner
- C:\web\pleasanter\Tools
Rds.jsonの設定
データベースの接続情報を設定します。
Rds.json は以下のディレクトリパスになります。
C:\web\pleasanter\Implem.Pleasanter\App_Data\Parameters\Rds.json
設定項目は以下のものとなります。
設定情報(公式より引用)
| # | プロパティ名 | 値 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | Dbms | "SQLServer" | |
| 2 | SaConnectionString | "Server=(local);Database=master;UID=sa;PWD=XXX;Connection Timeout=30;" | PWDの値はSQL Serverのsaアカウントのパスワードを入力してください。 |
| 3 | OwnerConnectionString | "Server=(local);Database=#ServiceName#;UID=#ServiceName#_Owner;PWD=XXX;Connection Timeout=30;" | PWDの値は任意のパスワードを入力してください。 |
| 4 | UserConnectionString | "Server=(local);Database=#ServiceName#;UID=#ServiceName#_User;PWD=XXX;Connection Timeout=30;" | PWDの値は任意のパスワードを入力してください。 |
以下のRds.jsonをコピーしSaConnectionStringの SQL Serverのsaアカウントのパスワード nにSQL Serverのインストール時に設定したsaのパスワード を入力します。
{
"Dbms": "SQLServer",
"Provider": "Local",
"SaConnectionString": "Server=(local);Database=master;UID=sa;PWD=<SQL Serverのsaアカウントのパスワード>;Connection Timeout=30;",
"OwnerConnectionString": "Server=(local);Database=#ServiceName#;UID=#ServiceName#_Owner;PWD=SetAdminsPWD;Connection Timeout=30;",
"UserConnectionString": "Server=(local);Database=#ServiceName#;UID=#ServiceName#_User;PWD=SetUsersPWD;Connection Timeout=30;",
"SqlCommandTimeOut": 0,
"MinimumTime": 3,
"DeadlockRetryCount": 4,
"DeadlockRetryInterval": 1000,
"DisableIndexChangeDetection": true,
"SysLogsSchemaVersion": 1,
"MySqlConnectingHost": "%"
}
PowerShellの起動
PowerShellを起動します。PowerShellはスタートボタンを右クリックし「ターミナル(管理者)」を選択します。
CodeDefinerの実行
以下のコマンドを実行します。
cd C:\web\pleasanter\Implem.CodeDefiner
dotnet Implem.CodeDefiner.dll _rds /l "ja" /z "Tokyo Standard Time"
Community Editionの選択
コマンド実行後、 Community Editionの選択 を尋ねられます。yキーを入力しEnterで実行します。
PS C:\web\pleasanter\Implem.CodeDefiner> dotnet Implem.CodeDefiner.dll _rds /l "ja" /z "Tokyo Standard Time"
<INFO> Starter.Main: Implem.CodeDefiner 1.4.23.3
<INFO> RdsConfigurator.CreateDatabase: Implem.Pleasanter
<INFO> UsersConfigurator.Execute: Implem.Pleasanter_Owner
<INFO> UsersConfigurator.Execute: Implem.Pleasanter_User
<INFO> SchemaConfigurator.Configure:
<INFO> Configurator.OutputLicenseInfo:
ServerName: (local)
Database: master
Deadline: 0001/01/01
Licensee:
Users: 0
<INFO> Configurator.OutputLicenseInfo: This edition is "Community Edition".
Type "y" (yes) if the license is correct, otherwise type "n" (no).
y "ここでyキーを入力しEnter"
設定の完了
SUCCESS と表示されていれば設定は完了です。
(為参考)データベースの確認
CodeDefiner実行後、SQL Serverのデータベースにプリザンターのデータベースが作成されている事が確認できます。
IISのセットアップ
IISマネージャーの起動
スタート より、インターネットインフォメーションサービスマネージャーを起動します。
アプリケーションプールの設定
「アプリケーションプール」の「DefaultAppPool」を選択し「基本設定」を選択します。
アプリケーションプールの編集
.NET CLR バージョン を、「マネージドコードなし」に変更し OK を選択します。
プリザンターの登録
サイトの「Default Web Site」を選択し、 詳細設定 を選択します。
詳細設定
詳細設定の 全般 項目にある 物理パス を以下に設定します。
C:\web\pleasanter\Implem.Pleasanter
Webサイトの再起動
サイトの「Default Web Site」を選択し、 Webサイトの管理の 再起動 を選択します。
Webサイト(プリザンター)の参照
サイトの「Default Web Site」を選択し、 Webサイトの参照から *:80(http)参照 を選択します。ブラウザが立ち上がり、プリザンターのWeb画面が起動します。
プリザンターの動作確認
プリザンターのログイン画面が表示されたら、ログインIDに Administrator、初期パスワードに pleasanter を入力し、ログイン をクリックします。
おわりに
今回は Windows 11 + SQL Server 2022 Express + IIS + .NET 8 + Pleasanter の構成にしぼって、プリザンターのインストール手順を1本にまとめました。
公式手順はとても丁寧ですが、使うOSやデータベースの種類によってページが分かれているため、初めてだと「自分はどの手順を見ればいいの?」と迷いやすいです。
この記事では構成を固定することで、リンクを行ったり来たりせずに、上から順番に進めるだけでインストールできるようにしました。
この記事が、インストール作業のつまずきを減らす助けになれば幸いです。

























































