テスト計画の策定
テスト計画の構成は三つに分かれる
そのテストが成功するか、それとも失敗してしまうか、多くはテスト計画で決まると言って、過言ではありません。
テスト計画とは、テストの設計、実装、実施、管理といった、テストの全ての活動に対し、指針を定めるものです。
テスト計画の骨格は、以下の三つになります。
- 要求の整理・分析
- テスト対象・範囲は何か
- テストの目的・目標、重点項目は何か
- テスト対象の開発状況はどうか
- どんな課題やリスクがあるか
- 要求の実現方法
- テストはどんな組み立てで行うか
- ツールや環境はどんなものが必要か
- テストプロセスで生成する成果物は何か
- 各種基準や目標の詳細
- 体制・役割分担・作業場所
- スケジュール
- 各種管理の計画
- 課題管理、リスク管理
- 不具合管理
- 文書やデータの管理
- 進捗管理・コミュニケーション
上記の三つのパートは、違いに関連しあっています。
要求の整理・分析を行うことで、テストに対する要求を正しく理解し、とりま状況を整理し、課題・リスクを抽出します。
要求と状況を整理した上で、課題とリスクを踏まえながら、「2. 要求の実現方法」で実行計画を策定します。
更に、テストをした支えする各種マネジメントの準備を「3. 各種管理の計画」で定義します。
要求の整理・分析
「1. 要求の整理・分析」を行うことで、テストに対する要求を正しく理解し、取り巻く状況を整理し、課題・リスクを抽出します。
要求の実現方法
要求と状況を整理した上で、課題とリスクを踏まえながら、「2.要求の実現方法」で実行計画を策定します。
テストのの粒度と実施順序
- テストに要求されていることを元に、実施するテストタイプ(テストの種類)と粒度、実施順序を定めます。
- 単機能テストの正常パターンと限界パターン、を優先的に行う
- 次に、準正常パターン、異常パターン、組み合わせパターンテストをする
- 性能テストは定期的に行う
- リグレッションテストは自動テストで常に行う
このように、個々のテストを設計する前に、テストの全体を設計します。
ここで注意すべき点は「実施するテスト」を計画するだけでなく、「実施しないテスト」も計画することです。
使用する機材、ツール・環境
テストで使用する機材、ツール・環境は多岐に渡ります。
- テスト設計に用いるもの
- テスト実施に用いるもの
- 不具合報告、管理、分析に用いるもの
- 進捗管理、各種管理に用いるもの
- 構成管理、文書管理に用いるもの
これらを明らかにするとともに、機材の調達や、ツール・環境の準備に必要なタスクを洗い出し、計画に落とし込みます。 - ライセンスの取得、ID登録の数やタイミング
- 機材、ツール・環境のセットアップ、初期動作確認
- テストデータの調達、作成
- 不慣れなメンバーがいる場合、レクチャーと必要に応じてリハーサル
これらの準備は、意外にも時間も労力もかかります。あらかじめ計画しておかないと、後で突貫的に作業することが余儀なくされ、悪くすればテストの遅延が生じることになります。
成果物の定義
テストの成果物は、テストの各種プロセスからのアプトプットであり、さまざまなものがあります。
- テスト計画プロセスからのアウトプット
- テスト計画書
- テスト設計プロセスからのアウトプット
- テスト設計仕様書
- 機能動作確認一覧
- テストマップ
- テスト明細
- テスト実装プロセスからのアウトプット
- テストデータ
- テストケース
- 問題解決プロセス
- バグ表
- 課題表
- リスク表
- 進捗管理・品質管理プロセスからのアウトプット
- 各種計測データと、そこから導き出される分析データと見解
- 進捗報告、品質分析報告
- テスト終結プロセス
サマリーレポート
基準・目標
1. テスト開始基準
テスト対象の〇〇テストが実施され、不具合回収が完了している
テスト開始以降判断のためのプレテストOK率が00以上
客先のテスト移行判断判定会議で承認されている
- テスト中断基準
高頻度で頻発したり、テスト対象のリリース遅れなどにより、単位期間あたりのテスト実施率が00以下、OK率が00以下 - テスト再開基準
テスト再開判断のためのプレテストの、OK率が00以上 - テスト完了基準
テスト実施率100%、OK率100%、バグ回収率100%
上記に満たない場合、顧客の承諾が得られている
不具合状況を分析し、強化テスト等の対策が実施されている
各種管理の計画
テストをすこうする主軸は、計画、設計、実装、実施のプロセス。
これらのプロセスを円滑に的確に運用するために、各種管理の準備・計画を行います。
- 課題管理・リスク管理
課題管理・リスク管理の方法 - 不具合管理
使用するツール、BTS運用ルール、顧客連携 - 文書・データの構成管理
文書の識別管理、変更管理、配付管理、保管方法 - 変更管理
仕様変更、スケジュール変更の窓口、対処方法 - トレーサビリティ管理
仕様/設計/テスト項目とのトレーサビリティの取り方を定義 - 進捗管理・コミュニケーション
進捗フォーマット、報告頻度・ルート、意思疎通 - 機材・資材管理
テスト機材、テスト環境、顧客支給品 - レビュー計画
テストプロジェクトの成果物のレビュー - トレーニング計画
各種トレーニングの必要、対象、方法、時期 - その他プロジェクト内規約
その他、プロジェクト内で共有すべきルール
まとめ
- 要求の整理・分析
- 要求の実現方法
- 各種管理の計画
ポイントは、計画策定やテスト設計を行う前に、テストに対する要求を正しく理解し、取り巻く状況を整理することです。
要求を正しく理解し、状況を整理した上で計画を策定すると、考慮の漏れ抜けが防止でき、課題やリスクに対して配慮が行き届き、マネジメント力が向上します。つまり、テスト計画はテストへの要求をもとに、テスト設計や管理の個別の事項に橋渡しをする、重要な役割を持っているのです。