ゲームなどのコンテンツ開発には、キャラクター作りがつきものです。Qiitaの親会社はゲーム開発も手がける会社ということで、Qiitaにもゲーム関係の開発者はたくさんいそうです。というわけで、キャラクター設定の制作について、Skyworkを試してみました。
神話や伝承をモチーフにキャラを作る
特にゲームのような大規模なコンテンツの場合、神話や伝承をモチーフにキャラクターを揃えることはよくあります。すべて神話の通りにするのではなく、性格や役回りは参考にしつつ、物語は現代のコンテンツとして受け入れられるような調整が必要です。『ドラゴンボール』の主人公・悟空は中国の古典「西遊記」の孫悟空をモチーフにしていますが、『ドラゴンボール』と「西遊記」は同じストーリーではありません。借用しつつアレンジする、というのがクリエイターの腕の見せ所なのでしょう。
とはいえ、神話を調べるのはなかなか大変です。日本の伝承であっても、古文を読み解いたり、学者の書いた難しい論文を読んだりする必要がある。海外の神話なら、そこにさらに言語の壁も存在します。
そこで、海外の文献もぐいぐい調べてくれて、日本語でまとめてくれる、AIエージェントはすごく使えるのでは、ということで試してみました。
人気ゲーム『ブルーアーカイブ』を例に
ぼくのかんがえたさいきょうのゲーム設定をいきなり開陳しても記事にはならないので(笑)、人気作を分析してみます。いま私が大いにハマっている『ブルーアーカイブ』のキャラクターを分析し、そこから、キャラクター開発の技術を抽出するということをやってみます。
- ブルーアーカイブのキャラクターの元になる神話・伝承を調査する
- モチーフになった神話・伝承からどのようにアレンジをしているかを調べる
- アレンジの手法を一般化してドキュメントにする
ということを、Skywworkと一緒にやってみました。結論から言うと、かなり満足できる結果になりました。その流れをまとめてみます。
ブルーアーカイブのキャラクターのモチーフ
このゲームのキャラクターは、わりと明確に、モチーフになる神話や伝承が前面に出ています。舞台となる学園毎にモチーフはあって、トリニティ総合学園の生徒はキリスト教の聖書に出てくる天使、ゲヘナ学園はキリスト教やそこから発展した文学に出てくる悪魔がモチーフです。アビドス高等学校は名前の通り、エジプト神話。ミレニアムサイエンススクールは他の舞台ほど明確ではないものの、ストーリーの中にはメソポタミアの神話の用語がちょくちょく出てきます。百鬼夜行連合学院や山海経高級中学校は、そのまま、日本の妖怪の伝承である「百鬼夜行」、中国の古典地理書「山海経」がモチーフでしょう。ものすごく広範囲の資料をあたって作られていることが想像できます。
いざ自分がゲームを作ろうと思ったとき、こんなに広範囲の資料集めるの無理……と思ってしまうところですが、AIエージェントなら助けてくれそうです。
モチーフの元になる話と、ブルーアーカイブにおける役どころとを比較してもらう
というわけで、このゲームの中でも人気キャラである「ティーパーティー」の3人の、モチーフの元になったであろう設定をSkyworkに分析してもらいました。
調査レポートをURLで共有できるのは便利ですね! 最初はファンの考察などばっかり資料として参照していたので、原典や信頼性のある学者による言及を参考とするように、また、外国語の資料も幅広く集めるようにと追加で指示をしています。
追加で与えたプロンプト
日本のファンによる二次情報が多いです。モチーフとなった聖書、神話、伝承については、外国語の資料、特に、神話や古典文学を資料として全体をまとめてください。一次情報、定本、実績ある研究者による論文などを元にしてください。ファンの二次情報は資料としないでください。また、文中には引用元も明確にしてください
こういう指示を追加で与えることで、読み応えのあるレポートになりました。外国語の資料も集めてくれるのはとても助かります。
というわけで、ティーパーティーの3キャラクターと、聖書に出てくる天使の関連性を考察できました。聖書にも色々ありますが、いま普及している版の聖書にはミカエルとガブリエル以外は名前のある天使として出てこないので、ガブリエルの要素がセイアとナギサの二人に分散しているのは納得感もあります。
分析結果を一般論のメソッドにして、自分の作品の設定制作に役立てる
こうして得られたレポートを、個別作品から切り離して、一般的なメソッドにしてみましょう。これもSkyworkがやってくれました。
得られたレポートを添付して、以下のプロンプトで作ってもらいました。
添付の書類は、ブルーアーカイブというゲームを例にとり、神話や伝承からキャラクターが導出される過程を考えたレポートです。このレポートを参考に、 ブルーアーカイブに言及しない一般論として 神話や伝承をモチーフにキャラクターを作る時、キャラクターの魅力を強め、現代の物語として輝かせるためのメソッドをまとめてください。物語の作り方ではなく、キャラクターの作り方にフォーカスしてください。
すると、以下の様に、古典から設定を作るためのガイドを作ってくれました。
ちなみに、あからさまに間違っているところは、削除しました。結果レポートの編集機能が付いているのは便利です。人に共有するときなどに、AIが完全でないところを人間の知識で補足できるのは助かります。
今回はゲームのキャラクターにフォーカスしましたが、具体的な事例を分析し、一般論を抽出する具象→抽象プロセスは、キャラクター開発に限らず、様々な場面で応用できるやり方だと思います。
神話などは原典そのままでは現代の物語にしづらいですし、人気作をただパクるのももちろんよくありません。古典がどのように解釈され発展したのかについて外国語の資料も交えながらAI相手に議論を深めることで、パクりを脱却し、自分なりの考え方が作れるかもしれません。
他のAIエージェントでも同じようなことはできますので、あとは自分に合った物を使うのが良さそうです。SkyworkはChatGPTやClaudeのDeep Researchよりも回答が速く、また、箇条書きばかりではない読み応えのあるレポートにしてくれたところはかなり気に入りました。
これからもちょくちょく使っていこうと思います。
(Appleの決済で課金されるときは注意しよう)
グローバルなサービスだとよくあるのですが、小数点が使われる通貨とそうでない通貨とで勘違いが発生していて、びっくりするような金額を請求されることがあります。実装時のミスのはずですが、Skyworkでもあってヒエッとなったので現象と対策も共有します。
「一ヵ月で2200円か~。1ヵ月だけとりあえずサブスク登録してみるか」
「ファッ!? 24980円!?」
まちがえて年間プランで入ってしまったのかと思ったけど、24,980円/月 とあるので、月額のようだ。
プランを見ると、年額22,000円の上に、月額24,980円がある。どういうことだ。僕は、この月に24,980円に加入したことになってしまったようだ。
慌ててサブスクリプションを解約し、Appleに返金申請をしました。申請は無事に受理されてホッとしました。
Webから加入する分には、金額に異常はないようです。
というわけで、サブスクに入ってみようと思うなら、Webから加入するのをおすすめします。Apple決済はやめておきましょう。
通貨処理のところの単なる実装ミスだとは思うのですが、日本のサービスであるQiitaとタイアップキャンペーンをするくらい日本市場に注目してくれているのなら、通貨の設定ミスは早めに修正されるといいなぁ……とは思います。いいサービスなのにもったいない。





