ナノバナナ 2で画像を1枚作るだけなら、自然言語のプロンプトでも十分です。
しかし、同じ人物を複数カットに登場させる、商品ロゴを維持する、画像内の日本語を正確に表示する、といった制作になると、長いプロンプトを1本書くだけでは管理しにくくなります。修正のたびに別の要素まで変わり、「なぜ前回と違うのか」を説明できなくなるためです。
そこで本記事では、ナノバナナ 2の入力を単なる文章ではなく、レビュー可能な「画像仕様書」として扱う方法を整理します。対象は広告、サムネイル、商品画像、インフォグラフィックなど、反復修正を前提とする画像制作です。
ナノバナナ 2は、Googleのモデル名では Gemini 3.1 Flash Image に当たります。公式情報では、文字描画、複数の参照画像、被写体の一貫性、512pxから4Kまでの出力などが特徴として挙げられています。
まず「完成条件」を文章から分離する
最初に決めるべきなのは、雰囲気のよいプロンプトではなく、何を満たせば完成なのかです。
たとえば、商品告知用の画像なら次のように定義できます。
project: spring-campaign-01
model: gemini-3.1-flash-image
purpose: ECサイトとSNSで使う新商品の告知画像
canvas:
aspect_ratio: "4:5"
resolution: "2K"
must_keep:
- 商品ボトルの形状
- ロゴの色と位置
- モデルの髪型と顔立ち
copy:
headline: "春の光を、肌へ。"
subheading: "NEW BOTANICAL SERUM"
price: "3,980円"
layout:
product: "中央より少し右"
headline: "左上"
price: "左下"
exclude:
- ロゴの変形
- 読めない文字
- 架空の認証マーク
- 余分な商品
この仕様書には、画風より先に「変えてはいけないもの」を書きます。画像生成では、生成のたびに細部が変化します。固定項目を明示しておくと、変化してよい部分と失敗を区別しやすくなります。
プロンプトを7つのレイヤーに分ける
実際のプロンプトは、次の順番にすると差分を管理しやすくなります。
- 用途
- 主役
- 構図
- 画像内テキスト
- 光と質感
- 参照画像の役割
- 禁止事項
例:
用途:
日本のスキンケアブランドの春キャンペーン用、4:5の縦型広告。
主役:
参照画像 product_front の商品ボトルを主役にする。
形状、キャップ、ラベル、ロゴの比率を変更しない。
構図:
商品を中央より少し右に配置する。
左側には見出し用の十分な余白を設ける。
画像内テキスト:
左上に「春の光を、肌へ。」
その下に「NEW BOTANICAL SERUM」
左下に「3,980円」
表記は一字一句変更しない。
光と質感:
朝の柔らかい自然光。淡い桜色とアイボリー。
高級感のある商品写真。過度な光沢は避ける。
参照画像:
product_front は商品の同一性を保つために使う。
talent_face は人物の顔立ちと髪型だけに使う。
禁止事項:
ロゴを再設計しない。商品を追加しない。
架空のバッジ、認証、説明文を生成しない。
重要なのは、修正時にレイヤーを一つだけ変えることです。「もっと明るく」「人物を少し左へ」「見出しを大きく」を同時に変更すると、どの指示が結果に影響したのか分からなくなります。
参照画像はファイル名ではなく役割で管理する
image1.png や「2枚目の画像」のような指定は、アップロード順が変わると壊れます。参照画像には安定したIDと役割を与えます。
{
"references": [
{
"id": "product_front",
"role": "product_identity",
"preserve": ["shape", "logo", "label_color"]
},
{
"id": "talent_face",
"role": "character_identity",
"preserve": ["face", "hair"]
},
{
"id": "mood_spring",
"role": "style_only",
"preserve": ["palette", "lighting"]
}
]
}
ここで style_only とした画像から、人物や商品までコピーさせないことがポイントです。「何を参照するか」だけでなく、「何を参照しないか」も指定します。
画像内テキストはコピー原稿として扱う
ナノバナナ 2は文字描画が改善されていますが、生成画像をそのまま正解とみなすべきではありません。文字列はプロンプトの一部ではなく、検証対象のデータです。
最低限、次の項目を確認します。
- 文字列が原稿と完全一致しているか
- 句読点、長音、濁点が欠けていないか
- 価格や単位が変わっていないか
- 意図しない説明文が追加されていないか
- 小さい画面でも読めるコントラストがあるか
文字修正だけを行う場合は、画像全体を再生成するより、「構図と商品は保持し、指定した文字だけを置き換える」と編集範囲を限定した方が安全です。
低解像度で探索し、高解像度で仕上げる
最初から4Kで何度も生成する必要はありません。制作工程を2段階に分けます。
1. 探索パス
- 512pxまたは1K
- 構図、余白、色、主役の位置を確認
- 候補を3〜4枚に絞る
- テキストは内容より配置を確認
2. 仕上げパス
- 採用した構図だけを2Kまたは4Kで生成
- 商品、人物、ロゴ、文字を個別に検証
- 必要なら限定的な編集指示で修正
- 最終用途のサイズに書き出して再確認
この分離により、探索中の試行回数を増やしながら、最終成果物にだけ高解像度のコストと確認時間を使えます。
合否判定を2回に分ける
レビューも、機械的な確認と視覚的な確認を分けます。
| 段階 | 確認内容 |
|---|---|
| 仕様チェック | アスペクト比、解像度、文字列、商品数、必須要素、禁止要素 |
| 視覚チェック | 主役の明確さ、視線誘導、ブランドらしさ、違和感、縮小時の可読性 |
判定結果は、次のような小さなログで十分です。
{
"generation_id": "spring-campaign-01-v07",
"result": "revise",
"checks": {
"copy_exact": false,
"logo_preserved": true,
"product_count": 1,
"layout_ok": true
},
"next_change": "見出しだけを正しい日本語に置き換える"
}
一度に一つの失敗だけを直すと、再生成が説明可能になります。
初代ナノバナナとナノバナナ 2をどう使い分けるか
初代ナノバナナは Gemini 2.5 Flash Image、ナノバナナ 2は Gemini 3.1 Flash Image です。
Googleの現行ドキュメントでは、ナノバナナ 2が速度、品質、コスト、知識のバランスを取る標準的な選択肢として案内されています。初代ナノバナナで作った既存フローを維持する必要がなければ、新しい制作ではナノバナナ 2を基準にするのが分かりやすいでしょう。
一方、非常に複雑なレイアウト、厳密なブランド管理、高い事実精度が必要な最終成果物では、ナノバナナ Proを比較候補にします。実務では「探索をナノバナナ 2、難しい最終カットだけPro」という分け方もできます。
ブラウザで同じ仕様書を試す場合は、ナノバナナ 2の画像生成・編集環境やプロンプト例のライブラリを使うと、レイヤーごとの差し替えを確認しやすくなります。
※上記はGoogle公式サービスではなく、各モデルをブラウザで試すための独立したWebツールです。
実務での結論
画像生成の安定性は、プロンプトを長くするだけでは上がりません。必要なのは、制作意図を比較・検証できる形に分解することです。
- 完成条件を先に定義する
- 固定要素と変更可能な要素を分ける
- 参照画像にIDと役割を与える
- 画像内テキストをデータとして検証する
- 低解像度の探索と高解像度の仕上げを分ける
- 修正は一度に一項目だけ行う
ナノバナナ 2の性能が高くても、最終判断は人間の仕事です。ただし、仕様書と検証ログがあれば、失敗を分類でき、採用理由を説明でき、次の生成を改善できます。