はじめに
- Google Cloudの認定資格Generative AI Leaderが日本語で受験できるようになったので受験してきましたので試験のポイントを記載します
- 言語面で受験のハードルが下がったとは思いますが、AI/機械学習用語を英語で覚えている方は日本語(やカタカナ)で用語が出てくるため日本語での用語にも慣れておいたほうがいいかなと思いました
試験の概要
詳細は以下リンクをご覧ください
出題範囲
以下のような内容が出題されます。生成AIを利用したことがある方であれば馴染みのある内容も多いと思います
- 生成AIやAIエージェントの概要
- 機械学習についての基礎知識
- Google CloudのGenerative AI関連サービス
- プロンプトエンジニアリング
- Generative AIの責任ある利用や安全性
生成AIやAIエージェントの概要
生成AI(Generative AI)の定義
- 生成AIは、訓練データから学習したパターンと構造に基づいて、テキスト、画像、音楽、コードなど、新しいオリジナルのコンテンツを創り出す「創造性」を持つ人工知能(AI)です
- 単にデータを分類したり予測したりする識別系AI(Discriminative AI)は与えられた入力がどのカテゴリーに属するかを判断することを得意としており、生成AIは与えられた入力に基づいて「新しいもの」を創造するという対照的なアプローチです
AIエージェントとマルチエージェント
- 生成AIが進化するにつれて、より複雑なタスクを自律的に実行できるAIエージェントの概念が注目されており、本試験でもAIエージェントについて問われることがあります
- AIエージェントは、与えられた目標を達成するために、状況を分析し、ツールを使いこなし、人間の介入をほとんど必要とせずに意思決定を行う、自律的なアプリケーションを指します
- 複数のAIエージェントが連携して、単一のエージェントでは困難な複雑なタスクを解決するシステムのことをマルチエージェントシステムと呼びます
機械学習についての基礎知識
- 生成AIも含む、機械学習モデルの学習手法についてもそれぞれの特徴と適切なユースケースを理解しているかが問われます
強化学習(Reinforcement Learning)
- 強化学習は、エージェントが環境の中で行動し、その結果として得られる報酬を最大化するように学習するプロセスです。エージェントは、試行錯誤を通じて最適な行動戦略を自律的に見つけ出します
- 例:ゲーム内のAIキャラクター、自動運転、株式等のアルゴリズム取引など
教師なし学習(Unsupervised Learning)
- 教師なし学習は、ラベル付けされていないデータから、パターンや構造を自律的に発見する手法です。事前に正解が与えられていないため、モデル自身がデータの隠れた関係性を探求します
- 例:類似したデータポイントをグループ化するクラスタリング、センサーデータ等のデータから通常のパターンから外れたデータポイントを特定する異常検知など
教師あり学習(Supervised Learning)
- 教師あり学習は、ラベル付きの訓練データセットを使用して、入力と出力の関係を学習する手法です。モデルは、入力データと正解ラベルのペアから学習し、新しい入力データに対する出力を予測できるようになります
- 例:
- 分類(Classification):メールがスパムか否かを判別するといったような入力データを複数のカテゴリに分類すること
- 回帰(Regression): 不動産価格の予測のような連続的な数値を予測すること
- 例:
Google CloudのGenerative AI関連サービス
Vertex AI Search
- Vertex AI Searchは、企業のファーストパーティデータ、サードパーティデータ、およびGoogleのナレッジグラフを組み合わせることで、大規模言語モデル(LLM)の回答をグラウンディングする(信頼できる情報源に紐づける)サービスです。これにより、モデルが事実に基づかない情報を生成するハルシネーションを抑制し、より正確な回答を提供できます
Document AI
- Document AIは、スキャンされた書類やPDFなど、非構造化ドキュメントからキーとなる情報を自動で抽出するAPIサービスです。手作業によるデータ入力の削減、処理速度の向上、エラー率の低減に貢献します
Agent AssistとCustomer Engagement Suite
- Google CloudのCustomer Engagement Suiteは、顧客サポート業務を効率化するための包括的なサービス群です。その中核をなすのが、Agent AssistとConversational Agentsです
Agent Assist
- AIを活用してカスタマーサポート担当者(エージェント)を支援するシステムのこと。具体的には、顧客との会話中にリアルタイムで関連情報や回答候補を提示したり、会話の要約を自動作成したりすることで、エージェントの業務効率と顧客対応の品質向上を支援します。
Conversational Agents
- AIを活用したチャットボットやボイスボットを構築し、顧客とのやり取りを自動化する機能です
以下リンクの内容も合わせて確認しておくと良いかと思います
Vertex AI Agent Builder
- Vertex AI Agent Builderは、カスタムAIエージェントをローコード/ノーコードで簡単に構築できるプラットフォームです。これにより、専門的なプログラミングスキルがないユーザーでも、特定の業務タスクを自動化するAIを作成できます
Gemini
- Googleが開発した高性能なマルチモーダル(テキスト、画像、音声、コードなど複数の形式のデータを理解し生成できる)なモデルです。複雑な推論や高度なコンテンツ生成タスクに適しています。しかし、金融機関のローンの承認システムのように、厳格なルールに基づく「決定的(deterministic)」な判断を必要とするユースケースには適していません
プロンプトエンジニアリング
- プロンプトエンジニアリングとはモデルから望ましい出力を得るために、与えるプロンプトを工夫する技術で、以下のような手法が代表的なものとなっています
ロールプロンプティング(Role Prompting)
- モデルに特定の役割やペルソナを与えて応答を生成させる手法
- 「あなたは〇〇の専門家です」といったような役割を与えて適切な出力を生成させる
ゼロショットプロンプティング(Zero-Shot Prompting)
- プロンプト内に情報を与えず、質問のみを提供するプロンプトのこと
フューショットプロンプティング(Few-Shot Prompting)
- プロンプト内に、具体例ををいくつか含めて提示する手法のこと
- ゼロショットプロンプティングよりも求めている回答が出てきやすくなる
プロンプトチェイニング(Prompt Chaining)
- 複数のプロンプトを連鎖させ、複雑なタスクをステップバイステップで解決させる手法
- チャットなど会話の文脈を維持したいときに利用される
Chain-of-Thoughtプロンプティング
- プロンプトに思考の過程を与えることにより、より望んだ出力が得られるようにするプロンプト作成の手法
- 複雑な推論能力が必要な場合に利用される
生成AIの責任ある利用や安全性
- 生成AIの倫理的および安全性に考慮した利用方法についても問われます
説明可能なAI(Explainable AI)
- AIモデルの意思決定プロセスを人間が理解できるようにする技術です
- 金融の融資審査のような重要な判断を行うシステムでは、なぜその結論に至ったのかを説明できることが求められます
ヒューマンインザループ(Human-in-the-Loop,HITL)
- AIの生成物の最終確認を人間が行うプロセスです。これにより、AIが誤った情報や不適切な内容を生成するリスクを低減できます
おわりに
- 今回は日本語化されたGoogle Cloud Generative AI Leader試験についてご紹介しました。以前よりも資格試験の日本語化が早くなってきておりとてもありがたいと思いながら受験していました
- 他の試験と比べて比較的難易度も低く、エンジニアだけでなく生成AIを利用する幅広い方にとって役に立つ生成AI全般/Googleの生成AIの基本的な知識を学習する機会としてぜひ資格取得をめざしてみてはいかがでしょうか