Pendoを触り始めたとき、まずつまずくのが独特な用語だと思います。
Visitor / Account / Segment など、一見なんとなく意味はわかるものの、実際にどう違うのか・どう使い分けるのかが曖昧なままだと、設定や分析で混乱しがちです。
この記事では、Pendoをこれから使い始める人向けに、基本的な用語とその関係性をシンプルに整理します。
細かい設定や高度な使い方ではなく、「まずここを押さえれば全体像が理解できる」というポイントに絞って解説します。
この記事でわかること
- Pendoの基本用語(Visitor / Account / Segment など)の意味
- 用語同士の関係性と役割
- 実務でどういう場面で使われるのかのイメージ
Visitor
プロダクトを利用している「個々のユーザー」を表す単位
Pendoでは、ユーザー1人ひとりをVisitorとして識別します。ログインユーザーIDなどを元にトラッキングされ、行動データはこの単位で蓄積されます。
ハマりポイント
- Visitor IDが適切に設定されていないと、同一ユーザーが別人としてカウントされる
- 未ログイン状態だとAnonymous Visitorとして扱われる
- 環境やブラウザが変わると別Visitorになるケースがある
どういうときに使うか
ユーザー単位の行動分析やセグメント作成、ガイド配信のターゲティングなどで使用
Visitor / Account の紐付き
Visitor(ユーザー)は、特定のAccount(企業・組織)に紐づく
Pendoでは、ユーザー単位の「Visitor」と、企業・組織単位の「Account」という2つの軸でデータを管理します。
1人のVisitorは、基本的に1つのAccountに紐づきます。
例えば、SaaSプロダクトにおいて「ある企業に所属するユーザー」は、同じAccountに属する複数のVisitorとして扱われます。
この紐付けは、Pendoのスニペット実装時に設定する「visitorId」と「accountId」によって決まります。
ハマりポイント
- 同じユーザーでも、accountIdを変えると別Accountに属するVisitorとして扱われる
- visitorIdは同じでも、accountIdが変わるとデータの見え方が変わる(特にセグメントや集計)
- accountIdを設定していない場合、Account単位の分析ができない
- マルチテナント環境でaccountIdの設計をミスると、データが分断・混在する
よくある勘違い
- 「1人のユーザーが複数Accountに所属できる」と思いがちだが、基本的には1 Visitor = 1 Account
- Accountは自動で推測されるわけではなく、明示的に設定が必要
どういうときに使うか
- 企業単位での利用状況分析(どの会社がアクティブか)
- 特定Accountへのガイド配信やターゲティング
- セールス・CS向けのヘルスチェック
Anonymous → Identified の切り替わり
未ログイン状態(Anonymous)のユーザーが、ログインなどをきっかけに特定のユーザー(Identified Visitor)として認識される仕組み
Pendoでは、ユーザーがログインしていない状態では「Anonymous Visitor」として扱われ、一意のID(匿名ID)でトラッキングされます。
その後、ログインなどによって visitorId が明示的に設定されると、そのユーザーは「Identified Visitor」として認識されます。
このとき、Anonymous状態での行動データは、後からIdentified Visitorに紐づけられる仕組みになっています。
ハマりポイント
- Anonymousの行動データは、自動でIdentifiedに統合されるとは限らない(実装やタイミングに依存)
- ログイン前後で visitorId の扱いをミスると、同一ユーザーが分断される
- セッションをまたぐと、Anonymousデータが別ユーザーとして扱われることがある
- 複数デバイス・ブラウザ間では、Anonymous状態は基本的に別ユーザー扱いになる
よくある勘違い
- 「ログインすれば自動的に過去のAnonymousデータが完全に紐づく」と思われがちだが、実際は実装依存の部分がある
- AnonymousとIdentifiedは単なる“状態の違い”ではなく、別IDとして扱われるケースがある
どういうときに影響するか
- ログイン前後のユーザー行動を一貫して分析したいとき
- ファネル分析(未ログイン → 登録 → 利用)を正しく見たいとき
- ガイド配信のターゲティング(ログインユーザー限定など)
補足:Anonymousデータの保持とマッピング
Pendoでは、Anonymous VisitorのIDはCookieやLocal Storageに保存され、最後のアクセスから100日間保持されます。
この期間内に同じユーザーが再訪した場合、同一のAnonymous Visitorとして扱われます。
その後、ログインなどによって visitorId が識別される状態になると、それまでのAnonymousとしての行動データが、そのVisitorにマッピングされます。
ハマりポイント
- 100日を過ぎるとAnonymous IDはリセットされ、過去データは別ユーザーとして扱われる
- 別ブラウザ・別デバイスでは別のAnonymous IDになる
- Cookie削除やシークレットモードでは同一ユーザーとして認識されない
- マッピングは「同一ブラウザ内でIDが維持されていること」が前提になる
イメージ
- 未ログインでサイト訪問(Anonymous ID A)
- 数日後に再訪(同じAとして記録)
- ログインして visitorId が設定される
- Anonymous ID Aの行動が、そのVisitorに紐づく
つまり、“同一ブラウザ・一定期間内・IDが維持されている”場合に限り、ログイン前後の行動がつながる
※ただし、実際の挙動は実装やidentifyのタイミングに依存します
Segment
特定の条件でユーザー(Visitor / Account)を絞り込むためのフィルタ
Segmentは、ユーザーの属性や行動データをもとに、対象となるVisitorやAccountを絞り込むための仕組みです。
例えば以下のような条件でセグメントを作成できます:
- 特定のページを訪れたユーザー
- 特定の機能(Feature)を利用したユーザー
- 一定期間ログインしていないユーザー
- 特定のAccountに属するユーザー
作成したSegmentは、分析・ガイド配信・レポートなど、Pendoのさまざまな機能で共通して利用されます。
ハマりポイント
- Segmentは「作っただけでは何も起きない」(分析やガイドで使って初めて意味を持つ)
- Visitor単位とAccount単位で評価対象が異なるので、意図しない絞り込みになることがある
- 条件によっては「過去データベース」か「リアルタイム」に近いかで結果がズレることがある
- 複雑な条件を組みすぎると、意図しないユーザーが含まれる/除外される
よくある勘違い
- 「Segment = 一時的なフィルタ」と思われがちだが、実際は再利用可能な“定義”として扱われる
- 「リアルタイムで完全に動く」と思われがちだが、データの更新タイミングに依存する
どういうときに使うか
- 特定ユーザー群の行動分析(例:新規ユーザーだけを見る)
- ガイド配信のターゲティング(例:特定機能を未使用のユーザーに表示)
- CSやPM向けのユーザー分類(アクティブ/非アクティブなど)
次の記事
PendoのSegmentは柔軟に条件を組める一方で、AND / ORや期間の解釈を誤ると、意図しないユーザーが抽出されることがあります。
こうした実務でハマりやすいポイントや、正しい条件の組み方については、以下の記事で詳しく解説しています。
https://qiita.com/lukeozaki/items/933540365f42d92ec8ce