概要
「オリジナルキーボードレイアウト(FMIX)の検討」や「オリジナルキーボードレイアウト(FMIX)の検討5 -まとめ」では小説データでスコアを測定した。本記事では、記号や数字の入力が多い英語の技術文書入力を想定してスコアを算出する。この技術にはプログラ厶が含まれている。また、記号や数字の配置を最適化したレイアウトも追加している。
レイアウト
FMIX14
FMIX14+

FMIX14に対し記号や数字の配置を最適化、アナライザの設定に制限があるので記号キーの配置はスコアを算出するためだけの参考レイアウト
ちなみに、筆者は実運用としてJISキーボードを使い、スペース長押しと各キーの同時に押下で記号入力、スペース隣のキーの押下でエンター入力としている
より高度なものを含めて、このようなカスタマイズはAutohotkeyで実現できる。
FMIX12
FMIX12+

FMIX12に対し英字の配置は同じで、記号や数字の配置を最適化
アナライザの設定に制限があるので記号キーの配置はスコアを算出するためだけの参考レイアウト
Arensito

記号数字配置最適化した既存レイアウト
https://www.pvv.org/~hakonhal/main.cgi/keyboard
スコア(対数距離)
ThinkPython
| Layout | Score |
|---|---|
| Arensito | 74.24 |
| FMIX14+ | 71.75 |
| FMIX12+ | 69.05 |
| FMIX14 | 66.66 |
| Colemak | 66.35 |
| MTGAP | 66.19 |
| Astarte | 64.58 |
| FMIX12 | 63.56 |
入力データ
https://greenteapress.com/thinkpython2/thinkpython2.pdf
コピペしてテキストを抽出
ThinkC++
| Layout | Score |
|---|---|
| Arensito | 75.20 |
| FMIX14+ | 72.38 |
| FMIX12+ | 68.93 |
| FMIX14 | 66.68 |
| Colemak | 66.43 |
| MTGAP | 65.83 |
| Astarte | 64.04 |
| FMIX12 | 63.02 |
入力データ
https://www.greenteapress.com/thinkcpp/thinkCScpp.pdf
コピペしてテキストを抽出
算出方法
オリジナルキーボードレイアウト(FMIX)の検討2 - スコア算出方法や「オリジナルキーボードレイアウト(FMIX)の検討5 -まとめ」のスコア(対数距離)と同じ(これはKLAスコアを筆者の好みでカスタマイズしたもの)
解説
今回のスコア測定用のデータには記号や数値が多く含まれる。スコアはArensito、FMIX14+、FMIX12+の順に高いがArensitoは少しトリッキー。FMIX14+とFMIX12+は、FMIX14とFMIX12に比べ、記号数字配置最適化が有効といえるくらいスコアは向上している。(右シフトの位置が変更してある影響もある)実際の感覚でも楽になったと感じる。ただし、入力データや記号数字配置の微妙な変更でスコアも変動し、入力環境によってカスタマイズの自由度も異なるので、レイアウトやスコアはあくまでも参考であり、実際の記号や数字の配置はキーボードの物理形状に合わせて考える必要がある。なお、言うまでもなく、FMIX14+、FMIX12+に適用した記号数字配置最適化は他のレイアウトにも適用可能である。
FMIX14/FMIX12は、-の記号入力位置をカスタマイズしている。このカスタマイズを除いたThinkPythonのFMIX14のスコアは66.47、ThinkC++のFMIX14のスコアは66.53なので、これらの文書でもColemakとFMIX14のスコア差はそれほど大きくない。
一方、「オリジナルキーボードレイアウト(FMIX)の検討5 -まとめ」での比較に対し、入力データを変更したことで、FMIX12とFMIX14のスコア差が大きく開いた。やはり、特定入力データのスコアだけで優劣を語っても意味のないことがわかる。入力データの特性で変動してしまうスコアに囚われすぎないか、自分が入力する文字の特性(プログラムを書くならpythonなどの自分が使う言語の特性)に対し、徹底的にスコア最適化するしかない。FMIXは、ある程度スコアを考慮しつつ、qwertyとの類似性を重視しているので、個別のデータに対する極度な最適化にはなっていないはず。qwertyとの類似性は、慣れればそれほど重要でないかもしれない。しかし、新レイアウト移行中や移行後、再度qwertyで打つ必要があるとき一瞬、迷うことがあるが、レイアウトがqwertyに近いほど、迷いが軽減され打鍵しやすくなると考えている。
FMIX14+のスコアはFMIX12+よりもよいが、FMIXのコンセプトであるqwertyとの類似性を考えると、英字入力に関してはFMIX12+を勧めたい。ただ、筆者としてはFMIX系のレイアウトがベストだというつもりはなく、元記事で書いた通りColemakも十分選択肢になりうる。結局、万能レイアウトは存在しないので、多様なデータ、もしくは、自身が優先するデータでスコアを確認した上で、何を優先するかを見極めてレイアウトを選ぶべきと考える。
変更履歴
2025/8/15 ThinkPythonのスコアが間違っていたので修正、FMIX12+のスコアを追加

