はじめに
普段、AIを使ってマーケティング戦略の立案やSEO記事の作成を行っています。
しかし、AIを継続的に利用するうえで課題があります。
- AIが以前設定したペルソナの性格を忘れる
- ブランドの世界観や文章のトーンが変わる
- 過去に決めたマーケティング戦略が引き継がれない
- 新しいチャットを始めるたびに同じ情報を説明する必要がある
- 複数のAIエージェントで知識を共有しにくい
そこで、AI向けの知識管理ツール「Cognee」を使い、ペルソナやブランド戦略を長期記憶として管理する仕組みを構築してみます。
この記事は、自分用の技術メモも兼ねた実践記録です。
1. Cogneeとは?
Cogneeは、LLM向けのメモリ・知識管理フレームワークです。
文章やドキュメントなどの情報を取り込み、AIが検索・活用できる知識として構造化できます。
主な特徴:
- ナレッジグラフの構築
- ベクトル検索
- GraphRAGへの応用
- AIエージェントの長期記憶
- 複数の情報間の関係性の管理
公式サイト:
https://www.cognee.ai/
公式ドキュメント:
https://docs.cognee.ai/
GitHub:
https://github.com/topoteretes/cognee
2. 今回実現したいこと
目標は、AIマーケティングチームの共通知識をCogneeに保存することです。
┌────────────────────┐
│ Cognee │
│ 長期記憶DB │
└─────────┬──────────┘
│
┌────────────┼────────────┐
│ │ │
ペルソナ記憶 ブランド戦略 過去の学習
│ │ │
└────────────┼────────────┘
│
検索・情報取得
│
┌────────────┴────────────┐
│ │
記事作成AI Marketing AI
│ │
└────────────┬────────────┘
│
コンテンツ生成
│
結果を評価
│
記憶を更新
※ Cogneeと各AIの接続処理は別途実装します。
3. 長期記憶の設計
記憶を3つのカテゴリーに分けます。
3.1 固定記憶
頻繁に変更しない情報です。
- ペルソナの性格
- 価値観
- 購買心理
- ブランド理念
- ブランドの世界観
- 禁止表現
- 文章のトーン
3.2 戦略記憶
定期的に更新する情報です。
- SEO戦略
- ターゲットキーワード
- 競合分析
- コンテンツ戦略
- 商品の訴求ポイント
- コンバージョン戦略
3.3 学習記憶
実践から蓄積する情報です。
- 記事のパフォーマンス
- 成功した施策
- 失敗した施策
- 顧客からのフィードバック
- AIが生成した記事への修正履歴
重要なのは、AIが勝手に固定記憶を書き換えないようにすることです。
記憶の更新には承認プロセスを設けます。
4. 環境構築
必要なもの
- Python
- pip
- Cognee
- LLM APIキー
今回はPythonを使って最小構成を構築します。
4.1 仮想環境を作成
python -m venv .venv
macOS / Linux:
source .venv/bin/activate
Windows PowerShell:
.venv\Scripts\Activate.ps1
4.2 Cogneeをインストール
pip install cognee
4.3 APIキーを設定
macOS / Linux:
export LLM_API_KEY="YOUR_API_KEY"
Windows PowerShell:
$env:LLM_API_KEY="YOUR_API_KEY"
使用するLLMプロバイダーやモデルによっては、追加の環境変数設定が必要です。
5. ペルソナ情報を作成
最初は架空のペルソナで検証します。
data/persona.md
# ペルソナ:佐藤美咲
## 基本情報
- 年齢:35歳
- 職業:マーケティング担当者
- 関心:AI、自動化、SEO、業務効率化
## 性格
- 論理的
- 慎重
- 新しい技術に興味がある
- 誇張された広告表現を嫌う
## 悩み
- 記事作成に時間がかかる
- AIの出力品質が安定しない
- マーケティング業務を自動化したい
## 購買心理
- 導入効果を重視
- 実例や数値を求める
- 誇大広告を信用しない
## 好むコンテンツ
- 実践的な技術記事
- 比較記事
- ステップ形式の解説
- コード付きチュートリアル
6. ブランド戦略を作成
data/brand_strategy.md
# ブランド戦略
## ブランドの目的
AI技術を活用してマーケティング業務を効率化する。
## ターゲット
- マーケティング担当者
- 個人事業主
- コンテンツ制作者
## ブランドの性格
- 専門的
- 誠実
- 実践重視
- 論理的
## 文章のルール
- 結論を先に伝える
- 専門用語を説明する
- 実例を含める
- 誇張表現を避ける
- 根拠のない成果を約束しない
## コンテンツ戦略
- SEOを意識する
- 読者の検索意図を満たす
- 実践できる情報を提供する
- 読者の課題解決を優先する
7. Cogneeに長期記憶を登録
ingest.py
import asyncio
import cognee
async def main():
# ペルソナ情報を追加
await cognee.add("data/persona.md")
# ブランド戦略を追加
await cognee.add("data/brand_strategy.md")
# 知識を構造化
await cognee.cognify()
print("知識の登録が完了しました")
if __name__ == "__main__":
asyncio.run(main())
実行:
python ingest.py
cognify() により、登録した情報が検索可能な知識として処理されます。
8. 記憶を検索する
search.py
import asyncio
import cognee
async def main():
questions = [
"佐藤美咲の性格は?",
"佐藤美咲が嫌う広告表現は?",
"ブランドの文章ルールは?",
"このペルソナ向けの記事では何を重視すべき?"
]
for question in questions:
results = await cognee.search(
query_text=question
)
print(f"\n質問: {question}")
print(f"検索結果: {results}")
if __name__ == "__main__":
asyncio.run(main())
実行:
python search.py
別のPythonプロセスから検索することで、登録情報が永続化されているかを確認します。
※ データベースの保存先や設定が変わると、同じ記憶を参照できない場合があります。
9. 記事作成AIとの連携
記事作成前にCogneeから関連情報を取得します。
ユーザー:
「AIマーケティングについて記事を書いて」
↓
Cogneeから検索:
1. ターゲットペルソナ
2. ブランドの文章ルール
3. コンテンツ戦略
4. 関連する過去の知見
↓
記事作成AIへコンテキストを渡す
↓
記事生成
↓
人間が確認・修正
↓
修正内容や成果を記録
これにより、AIの出力をブランド戦略と整合させやすくなります。
ただし、検索結果が不完全な場合やLLMが指示に従わない場合もあるため、生成内容の検証は必要です。
10. 検証項目
以下の項目を実際に確認します。
- Cogneeをインストールできる
- ペルソナ情報を登録できる
- ブランド戦略を登録できる
- ナレッジグラフを生成できる
- ペルソナの性格を検索できる
- ブランドの文章ルールを検索できる
- Pythonを再起動しても検索できる
- 記憶を利用して記事を生成できる
- 記憶にない情報への回答を検証できる
実行結果
※ 実践後に追記
実行環境:
OS:
Pythonバージョン:
Cogneeバージョン:
LLMモデル:
データベース設定:
成功したこと:
発生したエラー:
改善したこと:
11. 今後の改善計画
Phase 1:基本的な長期記憶
- ペルソナを保存
- ブランド戦略を保存
- 自然言語検索を実装
Phase 2:記事作成AIとの連携
- 記事生成前に記憶を検索
- 検索結果をプロンプトへ注入
- ブランドとの整合性を評価
Phase 3:複数AIエージェントへの展開
- Marketing AI
- SEO AI
- 記事作成AI
- 編集・品質管理AI
複数のAIが共通の記憶を参照できる構成を目指します。
Phase 4:継続学習
- 記事の成果を記録
- 戦略の変更履歴を管理
- 成功・失敗パターンを蓄積
- 記憶の更新を承認制にする
12. まとめ
Cogneeを使えば、AIが参照するペルソナやブランド戦略を、チャットの外部に永続的に保存できます。
今回目指すのは、単なるチャット履歴の保存ではありません。
AIマーケティングチームが共通の知識を持ち、過去の意思決定を参照しながら、継続的にコンテンツを制作できる環境です。
今後は実際にCogneeを動かし、検索精度、記事品質、運用コストなどを検証していきます。
参考資料
タグ
Python AI RAG LLM Cognee