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OCIオブジェクト・ストレージへのファイル転送方法のまとめ

Last updated at Posted at 2022-06-20

本ブログは、オラクル・クラウドの個人ブログの1つです。

初めに
OCIオブジェクトストレージへのファイル転送には、さまざまな方法があり、それぞれに利点があります。どの方法をいつ利用するか迷っている方に向けて、各種方法を比較しました。少しでもお役に立てれば幸いです。

転送方法のまとめ

提供者 タイプ ツール 対応OS 認証方式 料金 備考
オラクル Web ブラウザ OCIコンソール 制限なし ユーザ・パスワード 無償
同上 CLI OCI CLI Linux, MacOS, Windows APIキー 無償
同上 Mount OCI Storage Gateway Linux APIキー 無償 End of life
他社 CLI/Mount Rclone Linux, MacOS, Windows, FreeBSD アクセスキー・秘密キー 無償 オーペンソース
同上 GUI WinSCP Windows アクセスキー・秘密キー 無償 オーペンソース
同上 GUI Cloudberry Explorer Windows, MacOS アクセスキー・秘密キー 選択可能 フリー版: Freeware
プロ版: 15日間トライアル
同上 GUI Cyberduck Windows, MacOS アクセスキー・秘密キー 無償 Freeware
同上 CLI/Mount s3fs-fuse Linux, MacOS, FreeBSD アクセスキー・秘密キー 無償 オーペンソース
同上 GUI/Mount Cloudberry Drive Windows アクセスキー・秘密キー 有償 15日間トライアル

※上記以外、REST API/SDKの方法もありますが、ここで割愛させてください。

いつどの方法を利用すればよいかは、転送量(ファイル数とサイズ)、転送頻度、自動・手動実行、対応OS、コストなど、さまざまな要素によりますので、一概には言えません。どの方法にも利点と制限がありますので、要件に応じて適切な転送方法を選択しましょう。

1. OCIコンソール

イメージは、以下のようです。

適用場面
最も一般的な転送方法で、軽く利用したい時最適です。

項目 可否
ファイルごとのアップロード・ダウンロード・削除 Yes
複数ファイルの一括アップロード Yes
複数ファイルの一括削除 Yes
複数ファイルの一括ダウンロード No
フォルダ全体のアップロード・ダウンロード No

サポート対象のブラウザ

  • Google Chrome 69 or later
  • Safari 12.1 or later
  • Firefox 62 or later

IEはサポート対象外です。ブラウザの情報は、以下のMOSドキュメントから確認できます(アカウント必要)。
What browsers and versions are supported in the OCI Console? (Doc ID 2697934.1)

2. OCI CLI

OCI公式なコマンドラインのツールです。

利点
✅ オフィシャル・サポートがある。
✅ 比較的軽量なツールで、インストールと認証設定が簡単。
✅ 大量のファイル(フォルダ全体)の転送に適している。
✅ スケジューラやジョブと連携し、日次ファイルのバックアップや同期が可能。例:Linuxの場合はcrontab、Windowsの場合はタスクスケジューラを利用する。
✅ 巨大なファイルに対して、マルチパート・アップロードが可能。

項目 可否
ファイルごとのアップロード・ダウンロード・削除 Yes oci os object put|get|delete
フォルダ全体のアップロード
(サブフォルダを含む)
Yes oci os object bulk-upload
フォルダ全体のダウンロード
(サブフォルダを含む)
Yes oci os object bulk-download
複数ファイルの一括削除 Yes `oci os object bulk-delete

コマンド例
ファイルごとのアップロード:oci os object put -bn <bucket_name> --file <local_file_name>
ファイルごとのダウンロード:oci os object get -bn <bucket_name> --file <local_file_name> --name <object_name>

注意点
os object put|get|deleteを利用する時、1個のファイルしか指定できません。put --file file1 file2あるいはput --file file*のような書き方ができません。

インストール
利用端末にインストールと設定が必要です。OCI Cloud Shellにインストールと認証設定が済んでいるため、直接利用することが可能です。

次の記事には、インストールと設定方法、及びオブジェクトストレージにアクセスするためのコマンド例が記載されていますので、ご参考にしてください。
便利なOCI CLIコマンド例

3. OCI Storage Gateway

2024年3月追記
Storage Gatewayは、2024/2/28よりEnd of Lifeになることがアナウンスされました。代替案は、OCI-CLIか、Rcloneなどをご利用ください。アナウンスの詳細は、こちらを参照ください。


「Storage Gateway」とは、オンプレミス・アプリケーションをOCIに接続できるクラウド・ストレージ・ゲートウェイです。Storage Gatewayの各NFSマウント・ポイントは、Object Storageバケットにマッピングされます。NFSインターフェイスを使用すると、従来のファイル・システム・コマンドを使用してクラウド・ストレージを操作できます。

利点

  • オフィシャル・サポートがある。
  • 従来のアプリケーションは、NFSが利用できれば、変更を加えることなく簡単にオブジェクトストレージを利用できる。
  • 管理コンソールがあるため、ファイルシステムと「Cloud Sync Job」の管理が便利です。

注意点

  • Windowsを対応していない。
  • 汎用のNASサーバではなく、データ転送の目的として使ってください。

インストール
以下の記事をご参考ください(ステップ・バイ・ステップの設定手順を含め)。
OCI Storage Gatewayの利用方法

4. Rclone

Rclone は、クラウド・ストレージ上のファイルを管理するコマンドライン・プログラムです。OCI Object Storage、AWS S3、Azure Blob、Google Cloud Storageなど、多くのクラウドベンダーがサポートされています。On-Pからクラウドの間、あるいは異なるクラウド・ストレージ間でデータを簡単に転送できます。

利点
✅ マルチクラウドを利用しているユーザーに適している
✅ CLI系のツールで、大量のファイル転送に向いている
✅ 同期(Sync)機能があり、日次バックアップにも適している

AWS、AzureからOCIへの転送例
RcloneでAWS S3からOCIオブジェクト・ストレージにデータをコピー

RcloneでAzure BlobからOCIオブジェクト・ストレージにデータをコピー

※上記の転送例の記事に、アクセスキーと秘密キーの作成方法を書いてあります。下記5番からの各方法は、いずれもアクセスキーと秘密キーを利用しています。作成方法を知りたいなら、上記のRcloneの記事のSTEP-2をご参照ください。

rclone mountを使用すると、Linux、FreeBSD、macOS、および Windows で、Rclone のクラウド・ストレージ・システムを FUSE を使用してファイル・システムとしてマウントできます。

OCI オブジェクト・ストレージを Windows のローカルファイル・システムにマウントするには、こちらの記事(4. Rclone mountの利用)をご参照ください。

5. WinSCP

GUI系の転送ツールです。WinSCPに慣れているユーザーにおすすめです。
ダウンロードURL: https://winscp.net/eng/download.php

Cloudberry Explorerと比べての利点

  • OCI ホーム・リージョン以外も利用可能👍

Cloudberry Explorerと比べての制限事項

  • ローカル端末とOCIオブジェクトストレージ間のファイル転送には対応していますが、他のクラウドとOCIオブジェクトストレージ間、またはOCIバケット同士のファイル転送には対応していません。
ツール リージョンの制限 ローカル ⇔ OCI クラウド
同士
バケット
同士
WinSCP なし Yes No No
Cloudberry Explorer OCI ホームリージョン Yes Yes Yes

接続設定画面

項目 内容
File Protocol Amazon S3
Host name <Object_Storage_Namespace>.compat.objectstorage.<Region_ID>.oraclecloud.com
(文字列の先頭にhttps://をつけないでください)
Port Number 443 (デフォルト)
Access Key & Secret Key OCIコンソールから事前に作成しておく

※、ネームスペースとリージョン識別子の確認方法、及びアクセスキーと秘密キーの作成方法について、この記事をご参照ください。

上記情報を入力した後、Advancedボタンをクリックします。

Environment → S3を選択し、次の情報を入力します。
Default region: ap-tokyo-1 (手入力、この例では東京リージョンを使用)
URL style: Path (デフォルトのVirtual Hostを使わない)


※、OCIのリージョンIDはAWSのリージョンとは異なるため、リストから直接選ぶことはできませんので、ご注意ください。

名前を付けて、接続設定を保存します。

Loginをクリックし、接続を開始します。

接続後、オブジェクトのアップロード・ダウンロードができるようになります。
image.png

6. Cloudberry Explorer

GUI好きなユーザ向けの転送ツールです。多くのクラウド・ベンダーを対応しています。OCI Object Storageを利用したい時、"S3 Compatible"を選択してください。

公式サイトよりダウンロードしてから、画面の指示に従ってインストールしてください。インストールと設定は簡単です。

アカウント設定画面:

  • Display name: 任意
  • Service point: https://<Object_Storage_Namespace>.compat.objectstorage.<Region_ID>.oraclecloud.com
  • Access Key & Secret Key: OCIコンソールより事前に作成しておく。
  • Signature version: 4

制限事項
OCIホーム・リージョンのみを対応しています。

ライセンス
フリー版とプロ版の2種類があります。価格と機能の差異について、ここをご参照ください。

7. Cyberduck

GUI系の転送ツールです。Cloudberry Explorerと比べて以下の利点があります。

✅ OCIホーム・リージョン以外でも利用可能
✅ OCIとOCI-Classicの2種類のオブジェクトストレージに、一つのツールでアクセスできる
✅ 全機能が利用できるフリーウェア

インストール
公式サイトからダウンロードしてインストールしてください。

OCIオブジェクト・ストレージへの接続手順が提供されていますので、こちらをご参照ください。
接続設定は簡単で、オフィシャル手順から抜粋させてください。

1.接続プロファイルをダウンロード(東京リージョンを例に)
image.png

2.プロファイルをダブル・クリックしたら、 Cyber​​duckによってオープンされる。以下のように項目を入力する。

  • Nickname: 任意
  • Server: <Object_Storage_Namespace>.compat.objectstorage.<Region_ID>.oraclecloud.com
  • Access Key & Secret Key: OCIコンソールより事前に作成しておく。

ネームスペースとリージョン識別子の確認方法、及びアクセスキーと秘密キーの作成方法について、この記事に詳しく書いてありますので、ご参照ください。

3.作成後のブックマークをダブルクリックし、接続する。

4.接続後のイメージ(OCIコンソール上の表示内容と同じ)

8. s3fs-fuse

s3fs-fuseを利用すれば、OCI Object Storageのバケットをローカルのファイルシステムにマウントすることが可能です。インストールと設定方法については、次の記事をご参照ください。
OCI Object StorageのバケットをLinux/Windowsのローカルにマウントする

利点
マウント後は、ローカルのフォルダやファイルと同様に、バケットやオブジェクトを使用できます。

注意点
端末再起動後にマウントポイントが切断されないよう、手動で再マウントするか、自動マウントの設定を行ってください。(例:/etc/fstabを編集)。

9. Cloudberry Drive

Windowsのファイル・システムへマウントするのに、Cloudberry Driveは代表的なツールのひとつです。インストールと設定方法は、上記のs3fs-fuseと同じの記事に書いてありますので、ご参照ください。

注意点

  • OCI ホーム・リージョンのみを対応 (Cloudberry Explorerと同様)
  • 15日間のトライアル期間を過ぎると、有償利用となる。(フリー版なし)

サマリ
目的は一つですが、さまざまな方法があります。要件をしっかり把握し、適切な方法を選んで、ベストプラクティスを提供するのがクラウドアーキテクトの仕事です。

以上です。


改訂歴
2022年6月:初版作成
2023年5月:追記 - Rclone mount の利用
2024年2月:追記 - WinSCP の利用
2024年3月:追記 - Storage Gateway のアナウンス (End of life)


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