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初めに
本記事では、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上の Windows サーバーに Oracle Database 19c をインストールする方法を、詳細かつ分かりやすく解説します。インストールに必要な事前準備から、実際のセットアップ手順、接続確認、さらにトラブルシューティングまで、初心者でも手順通りに進めるように構成しています。
オンプレミス環境からクラウドへの移行を検討している方や、検証目的で Windows 環境に Oracle DB を構築したい方にとって、実践的な参考になれば幸いです。
検証環境
- インスタンス・イメージ:OCI Windows Server 2022 Standard
- インスタンス・シェープ:1 OCPU, 12 GBメモリ
- DBバージョン:Oracle Database 19c (シングル・ノード)
- DBエディション:Enterprise Edition
ステップ
1. 事前準備
1-1. Windowsインスタンスの作成とロケール設定
インスタンスの作成手順は省略します。インスタンス作成直後の初期設定では、システムロケールが「英語(米国)」、表示言語も英語のみとなっています。日本語を使用するには、言語パッケージのインストールとロケールの変更が必要です。
本例では、以下の設定となっています。
- 表示言語:日本語
- システム・ロケール:日本語(日本)
※、表示言語は日本語で、システムロケールが日本語になっていない場合、文字化けやインストールエラーが発生することがありますので、ご注意ください。
1-2. OSユーザーの作成
デフォルトのopcでログインし、Oracle DBインストール用ユーザーを作成します。
- ユーザー名:
oracle
- 管理者権限持ち:
Yes
PowerShellのコマンド例:(管理者としての実行)
- ユーザー作成:
net user oracle <Password> /add
- 管理者グループに入れる:
net localgroup Administrators oracle /add
作成後、アカウント管理画面には以下のように表示されます。
1-3. ORACLE_HOME ディレクトリの作成
ユーザー作成後、Oracleユーザーでログインし、ホームディレクトリを作成します。
PowerShellのコマンド例:
New-Item C:\app\oracle\product\19.3.0\dbhome_1 -itemType Directory
コマンド・プロンプトの例:
mkdir C:\app\oracle\product\19.3.0\dbhome_1
1-4. インストール・ソフトの準備
ダウンロードURL:https://www.oracle.com/jp/database/technologies/oracle-database-software-downloads.html#db_free
ファイル名:WINDOWS.X64_193000_db_home.zip (2.9GB)
※、ダウンロードの前に、Oracleアカウントを準備してください(※OCIアカウントとは異なります)。
ダウンロードが完了しましたら、圧縮ファイルをホームディレクトリに展開してください。展開には10分以上かかりますので、そのままお待ちください。
PowerShellのコマンド例:
Expand-Archive -Path C:\Users\oracle\Downloads\WINDOWS.X64_193000_db_home.zip -DestinationPath C:\app\oracle\product\19.3.0\dbhome_1
2. Oracle DBのインストール
管理者としてC:\app\oracle\product\19.3.0\dbhome_1\setup.exe
を実行します。
STEP-1. 構成オプションの選択
STEP-2. システム・クラスの選択
デフォルトの選択肢:「デスクトップ・クラス」
この例の選択肢:「サーバー・クラス」
STEP-3. インストール・タイプの選択
STEP-4. データベースのエディションの選択
デフォルトの「Enterprise Edition」で進めます。
STEP-5. Oracleホーム・ユーザーの指定
STEP-6. インストール場所の指定
STEP-7. 構成タイプの選択
デフォルトの選択肢:「汎用目的トランザクション処理」
この例の選択肢:「データ・ウェアハウス」
STEP-8. データベース識別子の指定
STEP-9. 構成オプションの指定
メモリ、キャラクタセット、サンプルスキーマの3つは、デフォルト設定のまま進めます。必要に応じて適当に編集してください。
STEP-10. データベース記憶域オプションの指定
STEP-11. 管理オプションの指定
STEP-12. リカバリ・オプションの指定
STEP-13. スキーマ・パスワードの指定
デフォルトの選択肢:「スキーマごとに、異なるパスワードを利用」
この例の選択肢:「すべてのアカウントに同じパスワードを利用」
STEP-14. 前提条件チェックの実行
STEP-15. サマリー
内容を確認の上、問題がなければ「インストール」ボタンをクリックしてください。
STEP-16. 製品のインストール
この検証では、インストールが正常終了するまでにおよそ25分かかりました。
STEP-17. インストール終了
3. Oracle DBへの接続
- SQL*PlusからCDBへ接続する:
C:\app\oracle\product\19.3.0\dbhome_1\bin\sqlplus / as sysdba
C:\Users\oracle>C:\app\oracle\product\19.3.0\dbhome_1\bin\sqlplus / as sysdba
<中略>
Oracle Database 19c Enterprise Edition Release 19.0.0.0.0 - Production
Version 19.3.0.0.0
に接続されました。
SQL> show con_name;
CON_NAME
------------------------------
CDB$ROOT
SQL> show pdbs;
CON_ID CON_NAME OPEN MODE RESTRICTED
---------- ------------------------------ ---------- ----------
2 PDB$SEED READ ONLY NO
3 ORCLPDB READ WRITE NO
SQL> alter session set container=ORCLPDB;
セッションが変更されました。
SQL> show con_name;
CON_NAME
------------------------------
ORCLPDB
SQL>
- SQL*Plusから直接にPDBへ接続する:
sqlplus <username>/<password>@<hostname>:<port>/<service_name>
C:\Users\oracle>sqlplus system/<password>@Windows-2022:1521/orclpdb
<中略>
Oracle Database 19c Enterprise Edition Release 19.0.0.0.0 - Production
Version 19.3.0.0.0
に接続されました。
SQL> show con_name;
CON_NAME
------------------------------
ORCLPDB
SQL>
トラブルシューティング
問題-1: 文字化け
現象
可能な原因: システムロケールは日本語になっていない。
問題-2: インストール途中のエラー
エラーメッセージ:「Windowsのスタートメニューまたはデスクトップにアイテムを作成できません。」
可能な原因-1: システムロケールは日本語になっていない。
可能な原因-2: 管理者としての実行ではなかった。
可能な原因-3: OSのバージョンはサポート対象外。
MOSドキュメントをご参考ください。
Windows: Oracle Installer Fails To Create Desktop And Start Menu Shortcuts At The End Of Install (Doc ID 2940804.1)
参考記事
Oracle Database 19c (Windows Server版)のご利用方法
【Oracle Database 19c】インストール手順【Windows】