2026年4月9日 現在パブリックプレビュー
はじめに
「あれ、そのMCPサーバー、うちのチームがもう作ってるよ?」
AIエージェントの活用が広がるにつれて、こんなやり取りが社内で増えていませんか? チームごとにエージェントやツールを開発した結果、似たような機能が乱立し、誰が何を作ったのか把握できない——いわゆるエージェントのサイロ化問題です。
2026年4月9日、AWSからこの課題に対応するAWS Agent Registryがプレビューとして利用可能になりました。
この記事では、Agent Registryの概要を解説し、実際にレジストリを作成してリソースを登録・検索するところまでやってみます。
忙しい人のために要点まとめ
- AWS Agent Registryは、AIエージェント・MCPサーバー・ツール・スキルを一元管理するカタログ&ディスカバリサービス
- Amazon Bedrock AgentCoreの一部として提供され、コンソール・CLI・SDK・MCPエンドポイントからアクセス可能
- セマンティック検索とキーワード検索のハイブリッド検索で、自然言語でもリソースを発見できる
- 承認ワークフローとCloudTrailによる監査証跡で、エンタープライズレベルのガバナンスを実現
AWS Agent Registryとは
AWS Agent Registryは、Amazon Bedrock AgentCoreの新機能として提供されるフルマネージドなディスカバリサービスです。組織内のAIエージェント、MCPサーバー、ツール、スキル、カスタムリソースを一つのカタログに集約し、検索・発見できるようにします。
これまでの課題
組織でAIエージェントの活用が進むと、以下のような問題が発生しがちです。
| 課題 | 具体例 |
|---|---|
| リソースのサイロ化 | チームAが作ったMCPサーバーの存在をチームBが知らない |
| 重複開発 | 同じようなツールが複数チームで別々に開発される |
| ガバナンスの欠如 | どんなエージェントが動いているか把握できない |
| 発見コストの増大 | 「使えるものがあるはず」なのに探せない |
Agent Registryが解決すること
Agent Registryは、これらの課題を以下のアプローチで解決します。
主要コンポーネント
Agent Registryは、大きく2つのリソースで構成されています。
- レジストリ(Registry): カタログ本体。名前・説明・認可設定・承認設定を持つ。用途に応じて複数作成可能(チーム別、環境別、リソースタイプ別など)
- レジストリレコード(Registry Record): レジストリに登録される個々のリソース。MCPサーバー、エージェント、スキル、カスタムリソースのメタデータを格納する
何がうれしいのか
1. エージェントが「自分で」ツールを見つけられる
Agent RegistryはMCPエンドポイントを公開しているため、MCP対応のAIエージェントがレジストリを検索できます。エージェント自身が必要なツールを自律的に発見できるのは大きなポイントです。
2. セマンティック検索で「あれ、なんて名前だっけ」が解決
「天気の情報を取得するやつ」のような自然言語のクエリでリソースを検索できます。正確な名前を覚えていなくても見つかるので、発見コストが大幅に下がります。
3. 承認ワークフローでガバナンスを確保
レコードは登録後すぐに検索可能になるわけではなく、管理者の承認を経てはじめて公開されます。セキュリティやコンプライアンスの基準を満たしたリソースだけをカタログに並べることができます。
4. CloudTrail連携で完全な監査証跡
誰がいつどのリソースを登録・検索・承認したかがCloudTrailに記録されます。コンプライアンス要件のある組織でも安心です。
やってみた
実際にAgent Registryを使って、レジストリの作成→レコードの登録→承認→検索までの一連の流れを試してみます。
手順1: レジストリを作成する
まずはリソースを格納するカタログ(レジストリ)を作成します。
AWSコンソールの場合
- AgentCoreコンソールを開く
- ナビゲーションペインから Registry を選択
- Create registry をクリック
- 以下の情報を入力し、Create registry をクリック
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| Name | my-agent-registry |
| Description | Organization-wide agent and tool catalog |
| Auth type | Use IAM Authorization |
| Auto-approval | オフ(手動承認) |
AWS CLIの場合
# レジストリを作成
aws bedrock-agentcore-control create-registry \
--name "my-agent-registry" \
--description "Organization-wide agent and tool catalog" \
--region ap-northeast-1
ステータスが CREATING → READY に変わるまで待ちます。
# ステータス確認
aws bedrock-agentcore-control get-registry \
--registry-id <registryId> \
--region ap-northeast-1
手順2: レジストリレコードを登録する
レジストリが READY になったら、MCPサーバーをレコードとして登録してみます。ここでは天気情報を返すMCPサーバーを例にします。
AWS CLIの場合
# MCPサーバーのレコードを作成
aws bedrock-agentcore-control create-registry-record \
--registry-id <registryId> \
--name "WeatherServer" \
--descriptor-type MCP \
--descriptors '{
"mcp": {
"server": {
"inlineContent": "{\"name\": \"weather/mcp-server\", \"description\": \"Weather data service providing current conditions and forecasts\", \"version\": \"1.0.0\"}"
}
}
}' \
--record-version "1.0" \
--region ap-northeast-1
レコードのステータスは CREATING → DRAFT の順に遷移します。
手順3: レコードを承認申請・承認する
レコードが DRAFT になったら、承認申請を行います。
承認申請(AWS CLI)
# レコードを承認申請
aws bedrock-agentcore-control submit-registry-record-for-approval \
--registry-id <registryId> \
--record-id <recordId> \
--region ap-northeast-1
承認(AWS CLI)
# レコードを承認
aws bedrock-agentcore-control update-registry-record-status \
--registry-id <registryId> \
--record-id <recordId> \
--status APPROVED \
--status-reason "Approved for production use" \
--region ap-northeast-1
手順4: レジストリを検索する
レコードが APPROVED になると、検索結果に表示されるようになります。
AWSコンソールの場合
- AgentCoreコンソールで Registry を選択
- 対象のレジストリを開く
- 検索バーに自然言語で入力(例: 「天気のデータを取得するサーバー」)
- セマンティック検索でマッチするレコードが表示される
MCPエンドポイント経由
Agent RegistryはMCPエンドポイントも公開しているため、MCP対応クライアントから直接検索できます。これにより、AIエージェントが自律的に必要なツールを発見するワークフローが実現できます。
登録できるリソースタイプ
Agent Registryには多様なリソースタイプを登録できます。
| タイプ | 説明 | スキーマ検証 |
|---|---|---|
| MCP | MCPサーバーとツール | MCPプロトコルスキーマで検証 |
| Agent | A2Aプロトコル対応エージェント | A2Aプロトコルスキーマで検証 |
| Agent Skills | エージェントのスキル(Markdownドキュメント付き) | オプション |
| Custom | API、Lambda関数、ナレッジベースなど任意のリソース | カスタムメタデータスキーマ |
MCPやAgentタイプの場合、登録時にプロトコルスキーマに対する自動検証が行われるため、不正なメタデータの登録を防げるのもうれしいポイントです。
気をつけるポイント・注意点
認可方式は作成後に変更不可
レジストリの認可タイプ(IAM or JWT)は作成後に変更できません。また、1つのレジストリで両方を同時に使うことはできません。用途に応じて事前に設計しましょう。
まとめ
AWS Agent Registryは、AIエージェントやツールが増え続ける組織にとって、「見つける」「管理する」「統制する」を一箇所で実現するサービスです。
特に注目すべきポイントは以下の3つです。
- MCPネイティブ対応: エージェント自身がレジストリを検索してツールを発見できる
- セマンティック検索: 正確な名前を知らなくても自然言語で探せる
- 承認ワークフロー + CloudTrail: エンタープライズ要件を満たすガバナンス

