1. なぜ「Excel → テキスト変換ツール」じゃなくて、CSV/TSV前提なのか?
Excelをそのまま扱えるツールにすると、確かに便利です。
でも、実務でツールを作るときに大事なのは 「開発コストが少ないこと」。
Excelファイルを直接扱おうとすると、
- ファイルアップロード
- Excelパーサーのライブラリ
- シート構造の理解
- セル参照の扱い
このあたりで一気にハードルが上がります。
でも実務の現場では、実はもっとシンプルなケースが多い。
- Excelから必要な行だけコピーして貼り付ける
- ExcelをCSV/TSVで保存して扱う
- 表データをそのままテキストとして処理する
こういう“軽い運用”がほとんどだし、このほうが利用シーンが広がるんです。
つまり、
Excelを直接扱わなくても、実務で必要な変換処理は十分に再現できる。
むしろ、
CSV/TSV前提のほうがツール開発コストが低く、現場のリアルに近い。
なので、今回の課題は CSV/TSVを扱う前提 にしています。
Excelが読めるより、ちゃんと使えることが大事です。
2. サンプル課題(じゃあ試しにこんなのどう?)
まずはこんな課題から始めてみよう。
JavaScriptなどのブラウザアプリを想定していますが、他の言語でもOK。
表データ(CSVまたはTSV)をテンプレート文字列に埋め込んで、
テキストを生成するツールを作ってください。
(AIの利用は禁止とします)
■仕様
・CSVまたはTSVのテキストを入力する
・テンプレート文字列を入力する
・変換結果をテキストエリアに表示する
今回もコード例はあえて書きません。
自分で調べて作ることが学習になるからです。
▼ 入力例(Excelの表からコピペしたTSV)
user01 田中 tanaka@example.com
user02 佐藤 sato@example.com
user03 鈴木 suzuki@example.com
▼ テンプレート例(こういう形式に変換したい)
{
"id": "{0}",
"name": "{1}",
"email": "{2}"
}
▼ 変換後のイメージ
{
"id": "user01",
"name": "田中",
"email": "tanaka@example.com"
}
{
"id": "user02",
"name": "佐藤",
"email": "sato@example.com"
}
{
"id": "user03",
"name": "鈴木",
"email": "suzuki@example.com"
}
3. 発展系を考える(実務をよく観察すると見えてくる)
今回、発展系はあまり書きません。
実務をよく観察してみて考えてみましょう。
例えば、
-
Excelの列が追加されたらツールはどうなるかな?
→ ツールが使えなくなったら困るから、すぐに変えられるように工夫しよう。 -
似たようなシーンって他にもないかな?あったらどうする?
→ 同じツールに機能を足したほうがいい?ツール自体分けた方がいい?
アプリ開発に限らず、いろいろな問題解決スキルが身に付きます。
これはエンジニアの本質であり、仕事の本質です。
4. 課題の狙い(まとめ)
この課題の狙いは、
「実務をよく観察して、ちょっとした不便に気づけるようになること」 です。
現場では、ExcelやCSVを扱うときに、こんな小さな困りごとがよくあります。
- 列の数や順番が変わることがある
- 余計な空白や改行が混ざっている
- 1行だけフォーマットが崩れている
- 毎回同じ変換を手作業でやっている
- コピペのたびに微妙に整形が必要
こういう“地味な不便”を見つけて、
「これツールにしたら楽じゃない?」
と気づけるようになるのが、実務では本当に大事。
今回の課題は、その練習になります。
- CSV/TSVをどう扱うか
- 変換ロジックをどう書くか
- どこでミスが起きやすいか
- どうしたら自分が困らないか
こういう視点が自然と身につく。
つまり、
実務を観察して改善する“目”を育てるための課題
というのが、この課題の本当の狙いです。
アプリ開発だけじゃなく、仕事全体に効いてくるスキルです。
5. あとがき
今回で「ツールづくり学習法」シリーズはいったん区切りです。
3つの題材を通して、
- 小さく作る
- 自分で調べる
- 実務を観察する
という学習の基本が身につけば、あとはどんな題材でも応用できます。
また別のテーマで書きたくなったら、ゆるく続けていきます。
📚 シリーズ一覧
- 【第1回】後輩に「どう学習してますか?」と聞かれたので真面目に考えてみた話
- 【第2回】学習ネタ①:じゃんけんアプリ — 最初の一歩に最適な理由
- 【第3回】学習ネタ②:文字列変換ツール — 実務に直結する最強題材
- 【第4回】学習ネタ③:表データ → テキスト変換ツール — Excelなしで実務感をつかむ(この記事)