はじめに
LaTeXで論文やレポートを書く際には、文献を正しく引用して出典を明示することが重要である。ここでは、\citeコマンドと\thebibliography環境を用いた、図書・雑誌論文・ウェブサイトの3種類の基本的な文献リスト作成例を示す。
文中での引用例
〜ことが知られている\cite{櫻井}。また、〜ことが指摘されている\cite{古重}。
さらに、〜についても検討が進められている\cite{文科省}。
このように、文中の文末や文中挿入で\cite{ラベル名}を用いると、LaTeXが自動的に文献番号を割り当てる。
文献リストの例
文献リストは、\begin{thebibliography}{9}環境の中に記述する。
{9}は文献番号の最大桁数を指定する目安であり、文献が10件以上になる場合は{99}のように指定する。
\begin{thebibliography}{9}
\bibitem{櫻井}
櫻井武. 睡眠の科学 —なぜ眠るのかなぜ目覚めるのか. 講談社, 2010.
\bibitem{古重}
古重奈央. 小学校家庭科における片づけの学習の検討. 日本教科教育学会誌. 2019, vol.42, no.3, p.55–67.
\bibitem{文科省}
中央教育審議会. “新しい時代の初等中等教育の在り方について”. 文部科学省. 2019. \url{https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1415877.htm}, (参照 2022-06-30).
\end{thebibliography}
ウェブサイトなどのURLを表示する場合は、\url{}コマンドを使うことで自動的に改行され、クリック可能なリンクとして出力される。
ただし、この機能を使うには、プリアンブルで\usepackage[dvipdfmx]{hyperref}を宣言し、hyperrefパッケージを読み込む必要がある。
記載内容の順序について
文献情報の並び順は、使用する学会や論文スタイルによって異なるが、SIST 02(理系で多く採用)では次のように整理する。
-
図書(書籍)の場合:
著者名. 書名. 出版社, 出版年, 総ページ数, シリーズ名. -
雑誌論文の場合:
著者名. 論文名. 誌名. 出版年, 巻数, 号数, p.始め–終わり. -
ウェブサイトの場合:
著者(団体)名. “ページ名”. サイト名. 更新日. 入手先URL, (閲覧日).
ただし、学校や学会の指示に合わせて順序を変更しても問題はない。
重要なのは、すべての文献で一貫した形式を保つことである。
まとめ
LaTeXでは\citeと\thebibliographyを使うことで、簡単に文献を整理し、複数の文献をまとめて引用することもできる。
より高度な管理やスタイル指定を行いたい場合は、BibTeXやBibLaTeXの利用を検討するとよい。