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Red Hat OpenShift Virtualizationに関するよくある質問と回答

Last updated at Posted at 2025-07-25

このページの目的

本ページでは、Red Hat OpenShift Virtualizationをこれから利用する方、または現在利用している方が必要となるであろう情報を、著者の独断と偏見でまとめることを目的としています。

私自身の意見を書くことよりも、さまざまな情報ソースの中から厳選したものをこのページに集約することで、信頼度の高い情報ソースにアクセスしやすくすることを目的としています。

なお、本記事は製品バージョンの更新に伴う機能強化や、関連するベンダーの情報がアップデートされた際などで不定期に更新をする予定です。

ご覧いただいたタイミングでは、その時点の最新でない場合もある可能性があるので、その点についてはご了承の上ご活用いただけると嬉しい限りです。


このページが想定するカバー範囲

基本的に本ページではOpenShift Virtualizationを使用するにあたって知っておいて欲しい情報を掲示します。
後述もしますが、OpenShift Virtualizationとは、Red Hat OpenShiftという製品が持つ数ある機能の中の1つを示しており、OpenShift VirtualizationとはKubeVirtと呼ばれるKubernetes環境上で仮想マシンを実行するソリューションに対するダウンストリーム製品です。

KubeVirtについては、Red Hat社員に次のスライドも参考にしていただけると幸いです。

上記の次第であるため、この記事で紹介する情報の中には、単一機能としてのOpenShift Virtualizationに特化した情報もあれば、Red Hat OpenShiftのための情報も含むことを予め宣言しておきます。

言い換えれば、この記事はVirtualization機能を使用しない方にもそれなりの情報を得られる作りにはなると言えます。


この記事が想定する製品バージョン

OpenShift Virtualization 4.19

  • 製品リリースノート

  • What's New


Red Hat OpenShift

Q. Red Hat OpenShiftとは何ですか?

A. Red HatがKubernetesに幾つかの機能を加えて提供する、Red Hat独自のKubernetesディストリビューションです。

  • サブスクリプションベースのサポートサービス
  • Web UI、メトリクス取得と監視、セキュアな外部通信を提供するネットワークリソースなどを初期搭載
    • Kubernetesの場合は、これらについては利用者が必要に応じて後で追加をします


Q. そもそもKubernetesとは何なのか?

A. Kubernetesは、Google社内で利用されていたクラスター管理システム「Borg」や「Omega」の知見をもとに設計・開発されたオープンソースのコンテナオーケストレーションプラットフォームです。

これらのシステムは、コンテナで動作するアプリケーションに対して、高可用性・耐障害性・スケーラビリティといった特性を持つ実行基盤を提供することを目的としています。

こちらのリンクではKubernetesの誕生にまつわるストーリーが読めるので興味がある方はご覧ください。


Q. OpenShift環境を手軽に試せる方法はあるか?

A. OpenShift Localと呼ばれるものが存在し、ある程度のスペックのノートPCがあればその上でOpenShiftを実行して試すことが可能。なお、このOpenShift Localは実際の製品版と比べて機能については制限的です。詳細は以下のリンクをご確認ください。


Q. OpenShiftのインストールはどうやって行うのか?

当社のソリューションアーキテクトが、次のリンクで図解をしてくれているのでこちらを参照いただけると幸いです。


Q. OpenShift環境には何台のサーバーが必要?

こちらのページに解説があります。


Q. Red Hat OpenShift環境ではRHEL(Red Hat Enterprise Linux)が物理サーバーにインストールされるのか?

A. 環境内のノードの種類によって指定があります。

  • コントロールプレーンノードの場合は、RHCOSを使用します。
  • ワークロード実行用のノードの場合は、RHCOSまたはRHELのどちらかを選択できます。

スクリーンショット 2025-07-25 15.21.35.png

RHCOSは、Red Hat Enterprise Linux Core OSのことであり、RHELをベースとしつつもコンテナ実行のために最適化を行なったコンテナワークロード向けのOSです。

次のページでは、RHELとRHCOSの違いを図解してくれているので参考になります。
https://www.scsk.jp/sp/openshift/security2.html

OpenShift Virtualizationを使用する環境では、RHCOSを使用したワーカーノードのみがサポートとなるため注意が必要です。

4.1.2.2 オペレーティングシステム要件 - Red Hat Documentation
スクリーンショット 2025-07-25 15.11.43.png


Q. エディションにはどのようなものがあるのか?

A. 2025年現在では、セルフマネージド型(いわゆる自社で管理)とマネージド型とに大別され、特にセルフマネージド型には4段階のエディションが存在します。

  • OpenShift Platform Plus
    • あらゆる機能を含む最上位エディション
  • OpenShift Container Platform
  • OpenShift Kubernetes Engine
  • OpenShift Virtualization Engine
    • コンテナではなく仮想マシンの実行のためのエントリーエディション


Q. OpenShift環境にて外部ストレージは利用可能か?

A. はい、可能です。外部ストレージをOpenShift環境で使用するためには、Container Storage Interface(CSI) に対応しているストレージ製品が必要です。

CSIは、ストレージベンダーが提供するものです。CSIそのものはKubernetes環境で実行されるコンテナや仮想マシンなどがストレージ領域を使用するために必要な要素であり、一般的にはCSIそのものもコンテナとして実行されます。


CSIに関する各ストレージベンダーの関連情報(社名アルファベット順)

Dell Technologiesの場合

Dell Technologiesでは、CSIについて追加機能を付与することで独自にCSM(Container Storage Module)と呼称しています。

HPEの場合

IBMの場合

NetAppの場合

NetAppが提供するCSIはTridentという名称で呼ばれています。

PureStorageの場合


Q. サポートするハードウェアの情報は?

Red Hat Ecosystem Catalogにて確認が可能です


Q. Red Hat OpenShift環境における構成の最大上限の調べ方は?

公式ドキュメントページ内に記述あり。


Red Hat OpenShift Virtualization

Q. OpenShift Virtualization環境では、ワーカーノードとしてRHELを使用することはできますか?

OpenShift Virtualizationを使用する場合は、RHELのワーカーノードはサポートされず、RHCOS限定となります。

4.1.2.2 オペレーティングシステム要件 - Red Hat Documentation
スクリーンショット 2025-07-25 15.11.43.png

なお、OpenShift Virtualizationを使用しない場合はRHELが使用できるため、注意が必要です。本記事内関連箇所へのリンク


Q. VMware vSphereとRed Hat OpenShift Virtualizationの機能比較情報はありますか?

これらのリソース内にて、機能比較のため情報が確認できます。


Q. サポートするゲストOSの種類は?


Q. OpenShift Virtualization上にてRHELをゲストOSとして仮想マシンを構成する場合は、別途サブスクリプションが必要ですか?

A. OpenShiftのエディションにより変わります。以下の箇所が原文となります。

Red Hat Enterprise Linux entitlements
Red Hat Enterprise Linux entitlements for OpenShift compute and infrastructure nodes are included with the OpenShift Kubernetes Engine, OpenShift Container Platform, and OpenShift Platform Plus.

This also includes entitled Pods for applications and guest OS entitlements for VMs. However, Red Hat OpenShift subscriptions do not include other entitlements for Red Hat Enterprise Linux nodes with the following exception:

A Red Hat Enterprise Linux node used specifically for bare-metal installer-provisioned infrastructure (IPI) provisioning.
OpenShift Virtualization Engine does not include Red Hat Enterprise Linux neither for compute and infrastructure nodes nor for guest OS entitlements of VMs. A Red Hat Enterprise Linux for Virtual Datacenters subscription or per-VM subscriptions are required for Red Hat Enterprise Linux guests on OpenShift Virtualization Engine.

Red Hat Enterprise Linux entitlements are not included for external nodes hosting services that OpenShift depends on, such as internet proxies, load balancers, or the mirror registry. Red Hat Satellite is not included as part of the entitlement.

つまり、4つあるOpenShiftのエディションのうち3つのエディションには無制限にRHELを構成することが可能なEntitlementが付帯されています。
つまり、おまえに、RHELを無制限にOpenShift上に建てて良い権利をやろう的な感じです

本情報をより詳しく解説している記事に、当社の製品担当者による分かりやすい記事もあるためよろしければこちらも参照ください。

本Entitlementでは、仮想マシンとしてのRHEL以外にもコンテナで使用されるコンテナイメージで実行されるRHELのイメージに対しても無制限実行権が付与されます。
(RHELのコンテナイメージは、Red Hat社が提供しており、Unibersal Base Image(通称UBI)と呼ばれています)

その詳細については次の記事が参考となります。

Q. 仮想マシンにの構成上限値の確認方法は?

次のページ内に記載があります。(要Red Hatアカウントログイン)


Q. Red Hat OpenShift Container PlatformとOpenShift Virtualizationはどう違うのか?

A. どちらもRed Hat OpenShiftが提供するエディションの名称です。(詳細は後述)

どちらのエディションにおいても、仮想マシンを実行することができます。(なお、この際仮想マシンはKubernetes制御プレーンから見たときにPodと呼ばれる単位として見えます。)

OpenShift Virtualizationでは、仮想マシンを含むPodのみが実行可能です。
OpenShift Container Platformでは、仮想マシンとコンテナの両方の種類のPodが実行可能です。


Q. Red Hat OpenShiftを使用して仮想マシンを実行する場合は、どんなハイパーバイザーが利用されますか?

A. KVMが使用されます。

KVMは、Kernel-based Virtual Machineの略称であり、Red Hatが2008年に買収したQumuranet社が開発し、オープンソース化したものです。

2025年現在では、KVMをベースとした多くの仮想化製品が存在します。

Nitro Hypervisor は、Linux カーネルベースの仮想マシン (KVM) のコアテクノロジーをベースに構築されていますが、汎用オペレーティングシステムコンポーネントは含まれていません。

Compute Engine は IaaS(Infrastructure-as-a-Service)サービスのひとつで、Google のインフラストラクチャでホストされる柔軟なセルフマネージド仮想マシン(VM)を提供します。Compute Engine には、KVM 上で動作する Linux および Windows ベースの VM、ローカル ストレージ オプションと永続ストレージ オプション、REST ベースのシンプルな構成 / 制御 API が含まれます。

Proxmox Virtual Environment is a complete, open-source server management platform for enterprise virtualization. It tightly integrates the KVM hypervisor and Linux Containers (LXC), software-defined storage and networking functionality, on a single platform.


Q. 仮想マシンのコンソール操作は可能か?サポートしているプロトコルや方法は?

次の方法がサポートされています。

  • OpenShift Web UI上での直接操作
  • virtctlコマンドによる接続
  • SSH(22), RDP(3389), VNC(5900+)によるネットワーク経由での接続


Q. OpenShift Virtualizationのパフォーマンス監視はどのように行いますか?

OpenShift Webインターフェースからは、デフォルトで準備されたパフォーマンスメトリックスチャートグラフが用意されています。

スクリーンショット 2025-07-28 8.59.25.png

上図のグラフは予め用意されたものです。
もしユーザーが、Grafanaを使用しているような場合はGrafanaを使用して以下のようにダッシュボードを構成することもできます。

image.png

image.png

Grafanaを使用すれば、マルチベンダーな環境監視を1つのツール経由で行える点が利点だと言えます。例えばこちらの図はDell Technologies PowerEdgeサーバーの監視の様子です。
image.png

もしこの手法にご興味がある場合はこちらをご覧ください。


Q. RHELとKVMを併用した通常の仮想基盤と比べ、OpenShiftを通じて仮想基盤を管理するOpenShift Virtualizationはどのように違いますか?

こちらの図が参考になります。管理手法が異なります。
image.png


Q. OpenStackも仮想化基盤の認識だが、OpenShift Virtualizationと同差別化されるのか?

初回投稿時点で手薄な記載になっていたので追記をしています。
(本コメントは追って削除予定です)

両者に共通している点として、仮想マシンの実行にQEMU/KVMを使用している点が挙げられます。
image.png

しかし、内包するソフトウェア要素とアーキテクチャには違いがあります。

  • Red Hat OpenShift Virtualizationの場合
    • ベースとなるソフトウェアにKubernetesが存在し、KubeVirtを使用し仮想マシンの管理をKubernetesのコントローラー経由で実施します。(本ページ上部で解説済み)
    • ストレージやネットワークの仕組みもKubernetesが持つリソースの概念(PVC, PV, CNI)などを使用します。

kubevirt.ioからの引用 アーキテクチャ図
image.png

OpenShift Virtualization では、仮想マシンは Kubernetes の Pod にカプセル化された特殊なワークロードとして扱われます。
これは、KVM で動作する仮想マシンを Pod 内で実行することで、スケジューリングや監視、ライフサイクル管理などを Kubernetes のネイティブな方法で行えるようにするためです。

  • OpenStackの場合
    • Nova, Neutron, Cinder, Keystone, Glance, Horizonといった複数の主要コンポーネントにより構成されるIaaSプラットフォームです。

openstack.orgからの引用 概念アーキテクチャー図
image.png

このように、両者の技術スタックは根本的に異なります。
もう少しOpenStackについても本記事内で掘り下げたい気持ちはありますが、記事の趣旨としてはOpenShift Virtualizationが主役の記事なので、一旦現時点では読者様にとって参考になりそうな記事を掲示しておきます。


Q. Red Hat Virtualizationって何?

以下の図内の一番左に掲載されているRed Hat Virtualizationですが、RHV 4.4というバージョンを最終バージョンとし、以降はOpenShift Virtualizationがロードマップ上の後継として位置しています。

image.png

Red Hat Virtualization Life Cycle- Red Hat Customer Portal
With the release of RHV 4.4 Red Hat continues to invest in and support customers with a production-ready virtualization portfolio. The latest addition to this portfolio is OpenShift with OpenShift Virtualization, which provides continuity and roadmap delivery for the KVM-based virtualization stack currently managed by RHV. Moving forward the RHV management feature set will be converged with OpenShift and OpenShift Virtualization providing customers with requirements for containers and VMs a migration path and a common platform for deploying and managing both.


Q. OpenShift Virtualizationに関して情報を集めたい場合のおすすめの記事は?

A. 赤帽ブログはおすすめです。

なお、他にも有用な情報があれば追記予定です。


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