はじめに
業務アプリの開発に活用されることが増えている Power Platform。
「具体的にどのようなアプリを作れるのか?」と気になったことはありませんか?
本記事では、SharePointとPower Platform(Power Apps・Power Automate・Power BI) を組み合わせて開発した「体重/BMI分析アプリ」 の紹介をします。
このアプリは複数ユーザーで使うことができ、日々の体重データの管理・分析や、入力催促メールの送信を行うことができます。
「Power Platformでどのようなアプリが開発できるのか知るたい」という方はぜひ本記事を読んでください。
目次
1.体重/BMI分析アプリの概要
2.使用するサービスと必要なライセンス
3.体重/BMI分析アプリ開発ステップ1:SharePointでのデータソースの準備
4.体重/BMI分析アプリ開発ステップ2:Power Appsでのアプリ開発
5.体重/BMI分析アプリ開発ステップ3:Power Automateでのメール送信フローの作成
6.体重/BMI分析アプリ開発ステップ4:Power BIでの体重/BMIの可視化レポートの作成
7.まとめ
1.体重管理アプリの概要
1-1.アプリ概要
本アプリは、日々の体重を記録・管理し、グラフで可視化できる 体重/BMI分析アプリとなります。
以下の図のように、データ入力・保存・自動処理・可視化 の各役割を Power Platform のサービスが担います。
システムの流れ
1.Power Apps でユーザーが体重を入力
2.SharePoint にデータを保存
3.Power Automate が定期的にデータをチェックし、3日以上未入力の場合に通知を送信
4.Power BI で体重・BMIの推移をグラフ化
2.使用するサービスと必要なライセンス
本アプリの動作には、MicrosoftのPower Platformが必要となります。
具体的には以下の4つのサービスを使用します。
サービス | 用途・役割 |
---|---|
SharePoint | 入力された個人方法や体重データを管理するデータソース |
Power Apps | 個人情報や体重データを入力 |
Power BI | 体重/BMIの推移を可視化 |
Power Automate | 3日以上未入力の場合、入力催促メールを送信 |
2-2.必要なライセンス
本アプリを開発するには、以下のライセンスが必要となります。
必要なライセンス | 用途・役割 |
---|---|
Microsoft 365 | SharePoint・Power Platformの利用に使用 |
Power BI Pro | Power BIレポートをPower Appsに埋め込む際に必要 ※「体重/BMI分析レポート」画面作成時に使用 |
3.体重管理アプリ開発ステップ1:
SharePointでのデータソースの準備
本ステップでは、Power Apps で入力した体重データや個人情報を保存するための データソースとして、SharePointリストを用意しました。
3-1.作成したSharePointリスト
今回作成したSharePointリストは二つとなります。
①ユーザー情報
ユーザーごとの個人情報を管理するためのリストとなります。
このリストでは、名前や身長・初期体重などの管理を行います。
項番 | 列名 | 列の種類 |
---|---|---|
1 | 名前 | ユーザーまたはグループ |
2 | Eメールアドレス | 1行テキスト |
3 | 身長 | 数値 |
4 | 初期体重 | 数値 |
5 | 目標体重 | 数値 |
6 | 目標到達予定日 | 日付と時刻 |
7 | 現在の体重 | 数値 |
8 | 体重最終入力日 | 日付と時刻 |
9 | 初期設定日 | 日付と時刻 |
②体重記録
ユーザーの日々の体重を記録するためのリストとなります。
このリストでは、名前を基に「ユーザー情報」と紐づけ、日ごとの体重データを記録します。
項番 | 列名 | 列の種類 |
---|---|---|
1 | 名前 | 1行テキスト |
2 | 身長 | 数値 |
3 | 体重 | 数値 |
4 | 入力日 | 日付と時刻 |
5 | BMI | 数値 |
6 | 登録日時 | 日付と時刻 |
4.体重管理アプリ開発ステップ2:
Power Appsでのアプリ開発
本ステップでは、Power Appsを使用して体重データや個人情報を入力・管理するアプリの画面を開発しました。
4-1.アプリの画面構成
①ログイン画面
・アプリのホーム画面となります。
・ユーザーが新規登録画面や体重登録画面へ遷移できるためのボタンを配置します。
②新規会員登録画面
・初めてアプリを利用するユーザーが、ユーザーの個人情報を登録する画面となります。
・「名前」「身長」「初期体重」などの個人情報を入力できるフォームを設置し、
登録ボタンを押すと「ユーザー情報」にデータが保存される仕組みとなります。
③体重登録画面
・ユーザーが日々の体重を記録する画面となります。
・「入力日」「体重」などが入力できるフォームを設置し、登録ボタンを押すと「体重記録」にデータが保存されます。
④体重/BMI分析レポート画面
・登録した体重やBMIの推移を確認する画面となります。
・「体重記録」のデータをPower BIに取り込みレポートを作成します。
5.体重/BMI分析アプリ開発ステップ3:
Power Automateでのメール送信フローの作成
本ステップでは、Power Automateを用いて体重登録の催促メールを送信する機能を作成しました。 毎朝SharePointからデータを取得しメールを送るまでの概要を説明します。
5-1. Power Automate フローの概要
今回作成したフローの主な流れは以下となります。
5-2.入力催促メールイメージ
実際に以下のようなメールがPower Automateより送られてきます
6.体重/BMI分析アプリ開発ステップ4:
Power BIでの体重/BMIの可視化レポートの作成
本ステップでは、Power BIを用いて体重やBMIの推移がわかるグラフを作成しました。 SharePointの「体重記録」からデータを取得し、ユーザーが視覚的に変化を確認できるようにしました。
6-1. Power BI で作成したグラフの概要
今回作成したグラフは以下の 3 つとなります。
①体重/BMI推移グラフ(折れ線&縦棒グラフ)
・ユーザーの体重/BMIの変化を日付ごとに表示します。
・体重を縦棒グラフ、BMIを折れ線グラフで表示します。
②期間別スライサー
・体重/BMI推移グラフのデータを期間で絞り込めます。
・「1か月以内」「2~3か月以内」「4~6か月以内」のボタンをクリックすると、クリックした期間のデータを表示します。
③現在の体重&目標体重のデータカード
・現在の体重と目標体重の値を個別に表示します。
・現在の体重の進捗が一目で分かるようにします。
④名前スライサー
・体重/BMI推移グラフのデータをユーザー名で絞り込めます。
7.まとめ
本記事では、Power Platform を活用した「体重/BMI分析アプリ」 の開発を通じて、SharePoint・Power Apps・Power Automate・Power BI を組み合わせたデータ管理・可視化・自動化の仕組みを紹介しました。
具体的には、以下機能を組み合わせることでアプリを作成しました。
1.SharePointリストの作成
2. Power Apps で直感的にデータを入力・管理
3. Power Automate で記録のリマインドメールを自動送信
4. Power BI で体重や BMI の推移を分析・可視化
Power Platform は、ノーコード/ローコードで簡単に業務アプリを開発できる強力なサービスとなります。
本記事の内容を参考に、業務の課題解決やデータ管理の効率化に Power Platform を活用してください。