OpenMontageとは
動画が持つ情報伝達力は非常に大きいと感じたことはありませんか?
何枚ものPowerPointスライドより、わずか数秒の動画のほうが内容を直感的に伝えられることは少なくありません。
OpenMontageは「〇〇の動画を作成して」と入力すると、その内容に沿った動画を生成してくれるツール。いわゆるTTV(Text to Video)のツールです。
専門的な動画編集スキルがなくても、誰でも手軽に伝わる動画を生成でき、プレゼンや情報発信を強力にサポートしてくれます。
OpenMontageのインストール
OpenMontageは、下記のように、AIコーディングエージェントと組み合わせて利用するツールです。サポートしている環境はClaude Code、Codex、cursor、Github Copolot、Windsurfなどです。
これらのAIコーディングエージェントがインストールされた環境で、下記のようにOpenMontageのリポジトリをクローンし、makeするだけです。
$ git clone https://github.com/calesthio/OpenMontage.git
$ cd OpenMontage
$ make setup
これでコーディングエージェントから利用できる状態になっています。
驚くほど簡単。
動画を生成してみる
簡単な動画生成であればやることは殆どありません。
AIコーディングエージェントから、例えば「OpenMontageを使ってOracle 26aiの20秒ほどの動画を生成してください。」と入力してみます。
(下記はCodex CLIからの実行例)
これだけ。
待つこと約20分。
git cloneしたローカルリポジトリのprojectsディレクトリにoracle-database-in-20-secondsというディレクトリが自動作成され、その配下のrendersディレクトリに、生成された動画 final.mp4 が保存されていました。
$ pwd
/home/opc/openmontage/OpenMontage/projects/oracle-database-in-20-seconds/renders
$ ls
final.mp4
できあがったのは以下のような動画です。
今回はOracle CloudのCompupteインスタンス(AMD E4 x2コア、16GBメモリ)の環境を使いましたが、約20分ほどで作成完了。最初に指示文を入力した後は何もせず放っておくだけでした。
後述しますがOpenMontageのベースはRemotionやHyperFramesといったブラウザ技術を利用して動画をレンダリングする仕組みが採用されているため、GPUでなくてもCPUでそれなりの動画生成が可能です。
本格的に利用する場合は、当然、最初の指示文に強調したい点などシナリオとなるコンテキストや、文字・絵の動きについて詳細に記述することになりますが、基本的には驚くほど簡単に動画が作成できることがわかります。
無償のライブラリでここまでできるのであれば、プレゼン資料やWebページに差し込む動画などいろいろユースケースは考えられそうです。
OpenMontageのしくみ
OpenMontageのリポジトリを見ると、Remotion、HyperFrames、FFmpeg、Piper TTSというAPIがリストされています。
これらは動画編集、特にコードベースの動画生成を行っている方々にはお馴染みのツールになり、主に下記のような処理を行うことができます。
Remotion
動画素材を並べてシーンを繋いだり、文字や絵に動きを付けたり、最終的なファイルとして書き出したりという一般的な動画編集を実行するツールです。
ただし、その操作は一般的なGUIベースの動画編集ソフトで行うのではなくはなく、プログラミングベースで行います。JavaScriptやTypeScriptで動画生成ロジックを記述し、そのコード(Reactコードと呼びます)をレンダリングして動画を生成します。
これらの処理は、プログラマティック動画生成やVideo as Codeなどと呼ばれ、Remotionはその分野で最も著名なツールと言っていいでしょう。
HyperFrames
こちらもRemotionと同じく、プログラミングベースで動画を生成するツールです。RemotionはReactコードがベースですが、こちらはHTML/CSSで画面を作り、GSAPで画面を動かすような処理をするプログラムを書いて動画生成を行います。
Piper TTS(Piper-Plus)
テキストデータを作成し、それを人間の肉声のオーディオデータに変換するツールです。日本語処理とイントネーションを強化したフォーク版の Piper-Plus もあり、こちらを別途インストールして利用するほうがいいでしょう。
FFmpeg
エンコード、字幕の焼き付け、オーディオミキシング、カラーグレーディングなどの処理を行い、様々なデータを一つに纏めて最終的な動画を作成するツールです。
動画生成のメイン構造に関わるライブラリが上述したものになります。つまり、入力されたプロンプトに応じて、AIコーディングエージェントが、
- Remotion、HyperFramesなどを使い、シーン別動画を生成
- Piper TTSを使い、ナレーション音声を生成
- 上記で生成された動画や音声データをFFmpegで纏めて一本の動画を生成している
というのがOpenMontage内部で行われる大まかな処理フローということになります。
動画といっても様々なタイプの動画あり、上記の各ツールには得意・不得意があります。
Remotion は情報を構造化して見せる動画生成が得意です。たとえば、プレゼン、解説動画、ダッシュボード、図表中心の説明、スライド的な構成の動画の場合、Remotionが優先して利用されます。
HyperFrames はWeb 表現をそのまま映像に落とし込む動画生成が得意です。たとえば、ランディングページ風の演出、キネティックタイポグラフィ、製品プロモーション、Webサイトで使われているデザインや表現、GSAP特有のモーション表現(絵や文字の入り方・止まり方・連なり方の動き)の動画が向いているので、そのような場合はこちらが優先され使われます。
OpenMontageはユーザーの入力に応じてこれらを使い分け、もしくは併用しながら最終的な動画を生成します。
有償のサービスと組み合わせると、2D/2.5Dのキャラクター素材をもとに、キャラクターを歩かせる、口パクさせる、手を振らせるなどの動画生成もできます。(OpenMontageのリポジトリにあるサンプル動画です。)いわゆる、グラフィックス編集で作成するようなアニメーションや映画のような動画です。この場合、GPUが必要になります。
OpenMontageのアーキテクチャ
OpenMontageのリポジトリを見ると、下図のようなディレクトリ構造で、各ディレクトリにどのような役割のファイルが配置されているかが説明されています。
OpenMontage/
├── tools/ # 48 Python tools (the agent's hands)
│ ├── video/ # 13 video gen tools + compose, stitch, trim
│ ├── audio/ # 4 TTS providers + Suno/ElevenLabs music, mixing, enhancement
│ ├── graphics/ # 9 image/graphics generation tools + diagrams, code snippets, math
│ ├── enhancement/ # Upscale, bg remove, face enhance, color grade
│ ├── analysis/ # Transcription, scene detect, frame sampling
│ ├── avatar/ # Talking head, lip sync
│ └── subtitle/ # SRT/VTT generation
│
├── pipeline_defs/ # YAML pipeline manifests (the agent's playbook)
├── skills/ # Markdown skill files (the agent's knowledge)
│ ├── pipelines/ # Per-pipeline stage director skills
│ ├── creative/ # Creative technique skills
│ ├── core/ # Core tool skills
│ └── meta/ # Reviewer, checkpoint protocol
│
├── schemas/ # 15 JSON Schemas (contract validation)
├── styles/ # Visual style playbooks (YAML)
├── remotion-composer/ # React/Remotion video composition engine
├── lib/ # Core infrastructure (config, checkpoints, pipeline loader)
└── tests/ # Contract tests, QA integration tests, eval harness
この中ではtools、pipeline_defs、skillsの3つのディレクトリがOpenMontageの処理フローのメイン構造を作り出していると言えます。
pipeline_defs
OpenMontageで動画を制作するためのワークフロー(パイプライン)を定義するディレクトリです。動画の種類ごとに、シナリオ作成、素材収集、シーン生成、ナレーション生成、字幕生成、動画の仕上げといった処理手順や、各工程で利用するツール(Remotion、HyperFrames、Piper TTS、FFmpegなど)の実行順序や設定をYAML形式で記述し、AIエージェントがその定義に従って一貫した動画制作を実行できるようにします。
skills
AIコーディングエージェントが各ツールを使いこなせるように、各ツールのskillが予め定義されており、主に下記の3種類のスキルがあります。
- FFmpeg、Remotion、HyperFrames、Piper、その他様々な基盤ツールの使い方のスキル
- Video Editing、Enhancement Strategy、Data Visualizationなど見せ方や素材選び、演出、音まわりまでカバーした映像づくりの実務寄りスキル
- Shorts、長尺、画面録画、映画調などの用途別や、Executive Producer、Script Director、Scene Directorのような工程別スキル
映像作成の専門家やこれらのAPIを熟知している技術者がもつ動画づくりのための様々なノウハウがスキルとして定義されています。「どのツールを、どんな順番で、どんな品質基準で使うか」を AI エージェントに教えるための実務マニュアルのようなものです。
tools
pipeline_defs や skills に従って、AIコーディングエージェントが tools 配下の各ツールを呼び出し、動画制作を進めます。具体的には、上述したRemotion、HyperFrames、Piper TTS、FFmpegなど実際に動画を生成するAPIを実行するツールやAIサービスを呼び出すツールを中心に、動画制作全体を支えるツール群が定義されています。AIコーディングエージェントが使える動画制作に必要な個々の機能を実装した実行モジュール群です。
ここまでのOpenMontageの仕組みとアーキテクチャの内容を纏めると、ようは下図のような流れで作業フローが実行され、動画が生成されます。
AIコーディングエージェント(Claude Code、Codexなど)
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▼
pipeline_defs(どのような動画を作るか、そのための処理手順の計画)
│
▼
skills(制作手順・ノウハウ)
│
▼
tools(動画作成のための各APIを実行)
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│ │ │
▼ ▼ ▼
Remotion HyperFrames Piper TTS
動画生成 動画生成 ナレーション生成
│ │
└────┬───┘
▼
字幕生成
│
▼
FFmpeg
(映像・音声・字幕を統合)
│
▼
完成したMP4
つまり、OpenMontageとは、動画作成に必要なノウハウと、それに従って実際に実行するAPIが全てセットになったライブラリということがわかります。


