概要
AIを使って書かれた記事や登壇資料に対して「品質が低い」という感想がついていることを見かけます。
私自身、確かに「AIっぽい表現だな」と感じるアウトプットは多くあります。
AIっぽいことと品質の高低を直接結びつけることそのものには反対1なのですが、AIっぽいことで記事の読み手や発表の聞き手(以下、まとめて「受け手」と記載)が嫌悪感を抱く事象はそこかしこで起きています。
「内容は良いのにAIっぽい表現のせいで忌避される」というのは発表側からすると避けたい事態です。
というわけで「AIっぽい」が原因で離れられないように工夫している点を記事にしてみました。
対象読者
- 記事を書くときにAIを利用している人
- 登壇資料を作成するときにAIを利用している人
最初にまとめ
- 「自分っぽさ」をAIに理解させるのに時間を使う
- AIに任せるのは「下書き作り」までにして、仕上げは自分の手で行う
私がやっていること
自分のアウトプットスタイルをAIに理解させる
私の場合は幸いなことに、AI時代を迎える前の時点で400記事程度2出力していました。
それらをAIに読ませて文体や構成の特徴を抜き出してもらうことで、自分で見ても「割と自分っぽい文章だな」と思えるものが出力されるようになりました。
とは言えそれだけだと漏れもありますから、自分の目でも自分の文章を見直して「こういうときはこういう言葉選びをしている」とか「言葉をひらく基準はこのあたり」とかを改めて言語化しました。
一応普段から自分の中にルールはあるわけですが、ほとんど無意識でやっているので、明確にするための時間を設けたのは良かったと思います。
400記事もあると学習ソースとしては潤沢ですが、大抵の人はそこまでの量はアウトプットしていないと思います。
ただそれでも、10や20くらいは自分の手だけで文章を作って、自分の癖が自分で見える状態にはしておいた方が良いと思います。
出力させるのは初期段階だけにさせる
すぐ前のセクションで自分の癖を学ばせたのに……という感じですが、これにも理由があります。
どうしてもAIにすべてを書かせようと「あれを直して」「この情報を追加して」と指示をしていると、内容が重複したり構成の一貫性が無くなっていきがちです。
それもあって、自分がやるのは次のどちらかのパターンが多いです。
- 記事や資料のセクション構成までを作らせて終わり
- 各セクションの説明または要約に相当する文章を数行だけ書かせて終わり
LTなど短めの発表のときは1番、30分以上の長めの発表の時は2番で、このどちらかのパターンで終わることが多いです。
大枠の構成をAIに作ってもらって、細かい内容は自分で書く、というスタイルです。
「それなら自分の文章のスタイルをAIに学ばせた意味が無いじゃないか」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
そもそも普段どのような構成にするかとか、セクションの導入ではどのような展開をするかとかは、学んでおいてもらわないと「普通」の域を出ないためです。
多くを出力させるときは自分で書き直す
しかしながら、ときには「一旦AIに全体を出力させて、それを横に置きながら全部自分で書き直す」というやり方をするときもあります。
ざっくりと言いたいことはあるけど、正直自分の中でもあまり整理できていない、みたいなときに使います。
このときは完成品を出力してもらうことが目的ではありません。
AIとの対話の中で自分の思考を整理したり不備を見つけるために使っています。
そのため、ひとしきりの文章が出てきたらそれをラフや下書きのようにつかい、自分の言葉で書き直します。
「効率的じゃない」という声が聞こえてきそうですが、アウトプット準備の効率が良くなったところで、受け手に「AIっぽい」と拒否感を持たれてしまっては意味がありません。
効率を良くするのが目的ではなく、より良いアウトプットをして、学んでもらったり役立ててもらうのが目的ですから、自分でも非効率だなと思いつつもこういう手法をとっています。
スライドテンプレートは自分で用意しておく
スライドの表紙や背景、レイアウトまですべてAIに作らせてしまうと、かなりAIっぽさが出てしまいます。
そのため私はSlidevのテーマを自作して、これを用いてスライドを作ってもらうようにしています。
大したテーマでもありませんが、自分のコントロール化に置き、必要に応じてサイズやレイアウトを調整することが大事かと思っています。
Marpを使っている人もよく見かけますし、あれも素晴らしいツールですが、レイアウトなどの自由度が低めなので、私はSlidevを使っています。
細かな調整に気を配る
資料を見ていて「なんだかなあ」と思うことが多いのは、変な改行になっているとか、1枚のスライドに同じことが2回書いてあるとかです。
変な改行というのは以下のようなものです。
ゴミを流さないよ
うにお願いします
この場合「ゴミを流さないように\nお願いします」か「ゴミを\n流さないように\nお願いします」かにしたいです。
「『ゴミを流さないように』で改行すると文字が入りきらない」みたいな場面もあるでしょうが、それならフォントサイズを調整します。
面倒ですし効率的でもないですが、何度も言うように効率化の結果受け手が気持ちよく見れないなんて意味が無いので、必要な手間だと思います。
AIで出力したものに対して「ほとんど完成しているから、最終チェックだけしよう」という気持ちで眺めていると、上記のようなものは生まれがちです。
ただ、これはAI云々というより各人の審美眼とか矜持の問題かもしれません。
まとめ
AIを使ったアウトプットが「AIっぽい」と感じられる原因の多くは、AIに任せすぎることにあります。
内容が良くても表現への拒否感で受け手が離れてしまうのは、発表側からすると避けたい事態です。
自分のスタイルをAIに理解させることは出発点として有効なので、まずはある程度の本数を自力で書き、AIに渡すようにすると良いでしょう。
「あれを直して」「これを追加して」と指示を重ねるほど、内容の重複や一貫性の欠如を招きやすくなるため、最初の取っ掛かりをAIで作るくらいに留めておく方が良いです。
AIに全体を出力させるにしても、それは思考整理のための下書きと位置づけ、最終的には自分の言葉で書き直します。
スライドは自作テンプレートを用意しておくことで、視覚的な要素にまでAIっぽさが出るのを防げます。
そして仕上げには、変な改行や内容の重複といった細部まで自分の目で確認することが欠かせません。
すべては、作り手の効率よりも受け手に気持ちよく受け取ってもらうことを優先した結果の工夫です。