0. はじめに
突然ですが、皆さんは「最新技術」を学んでいますか?(学べていますか?)
私の場合は、ふだん企画系の業務を担っていることもあり、新しい技術がどういったもので、ビジネスにおいてどのように役立てられるか、という観点で調査をすることがあります。
興味・関心の高い技術であれば深めに追うこともありますが、どう頑張っても専門家や実際の開発現場の方々にはかないませんので、基本的には浅く・広く学ぶことになります。
勝てないからといって 「学ばない」という選択肢はあり得ない というのは、おそらくですが、ここにいらっしゃる皆さまとの共通認識ではないかと想像します。これは情報技術に限らず、他の分野でも同じことが言えるとも思います。
もし、「学ばない(学んでいない、学べていない)」という方がいたとしたら、それはなぜでしょうか?
実務で使わないから、興味がないから、あるいは学び方が分からないから・・・?
理由はさまざまあると思います。
それらを否定するつもりはありませんが、日ごろから自分事として意識したいと思っているのは、『“私には関係ない”と考え、興味・関心を抱かず、学びを放棄することはやめよう』 ということです。
また、学ばないということは、環境変化の激しい今の時代における考え方として得策ではない、とも考えております。
そこで今回は、私なりの最新技術の学び方について具体的なキーワードをあげながら改めて考えてみたいと思います。
1. 最新技術とは?
そもそも「最新技術」とは何でしょうか?
最新というくらいですから、新しいものであることは間違いありませんが、必ずしも「出来立てほやほや」という意味でもないようです。
ざっくり言えば、「最近使えるようになってきた技術」あるいは「もうじき使えそうになる技術」の中でも、社会的に大きなインパクトをもたらす可能性がある技術を指すように思います。
逆に「新しい技術だが、どうにも使えそうな場面が思いつかない」といったものが「最新技術」として多くの方に認識され、ビジネス現場で普及することはありません。
技術というのは現実世界へいかに適用し、社会的な貢献に結びつけられるか、ということがとても重要であり、最新技術というキーワードには、このような概念も含まれているものだと私は考えています。
2. 最新技術の学びにおけるハードル
最新技術の学びには、経験的にいくつかのハードルがあるように感じます。
いくつかあげてみます。
①そもそも、どんな技術なのかがよくわからない
新しい技術は新しい概念とセットで登場することがよくあります。たとえば、Web3.0やNFT、あるいはメタバースなどが該当します。ひと昔前では、ブロックチェーンもそういった類のものでした。
ある程度普及すれば入門者向けの説明がいたるところでなされるようになりますが、黎明期はなかなか理解しづらい状況であることが多いように感じます。
②学びの教材が少ない(見つからない)
新しい技術に興味を抱き、いざ学ぼうとしても学べる教材が全然ないということがあります。
私の場合、2017年ごろに量子コンピューターの学習をはじめましたが、当時は初学者が読んで理解できるような教材が少なく、またそもそもの理解が難しいということもあり苦労したことをよく覚えています。どうにも概念が理解できず、複数の書籍やら雑誌やらを見比べては徐々に理解を深めていくように工夫していました。
しかし世間の注目度が高まるにつれて、初学者や非IT系の方でも理解しやすくわかりやすい書籍がどんどんと出てくるようになりました。こうした動向変化は、黎明期の最新技術ならではだと感じます。
③どう学んでいいかわからない
興味を持ったとしても、どのように学べばよいのかがわからない、というのが最大の障壁といってよいでしょう。特に新しいことを学ぶ習慣が身についていないと、何から手を付けていいかわからないものです。そして、このような「わからない状況」になってしまっている自分自身に対して反省すべき状況でもあります。
3. 「最新技術の学び」の要諦
最新技術の学びでは、上記のことだけが問題になるわけではありません。
学習プロセスの中には、他にも様々な課題があります。
そこで課題の解決として手っ取り早いのは「餅は餅屋」という考え方です。
つまり「その道の専門家に聞いてしまえ」ということです。
これが最もシンプルかつ最短の方法であると思います。
ひと昔前では、専門家にリーチするのはなかなか難しいことでしたが、現在はオンラインの関連サービスが広く普及しています。こういったサービスを利用しない手はありません。積極的に活用していきましょう。
4. 最新技術を学ぼう!
ここからは、実際に学びを進めることを想定し、タイトルにも入れた「ChatGPT」や「量子コンピューター」など、それぞれの学び方について考えてみたいと思います。
4-1. ChatGPT
あっという間に説明不要なポジションを確立したChatGPTですが、その内容や具体的な使い方をまだ理解できていない人は多いようです。実際周囲に聞いたところ、「簡単な動作デモは見たことがあるけど、まだ使ったことがない」という方が多くいました。
それでは、学びのプロセスの例を見ていきます。
まずは次の講座を見てみましょう、おすすめポイントをあわせて記載していきます。
※各紹介ページのスクリーンショットも引用として、あわせて掲載させていただいております。
いかがでしたでしたか、「ChatGPTは強力なツールになっていくこと間違いなし」と思えたのではないでしょうか。
概要を理解したあとに我々がなすべきことは、優れたツール(技術)をいかに使いこなすか、ということです。次の講座で具体的な使い方を学んでいきます。
さらに活用の幅を広げるていくために、より詳しい情報を得ていく必要があります。
ChatGPTの場合は、AIに適切な指示を与えることがとても大切です。その指示をうまく与えるには「プロンプトエンジニアリング」という考え方が重要になります。
少しレベルはあがりますが、どういったものなのか「ガイド」を覗いてみましょう。
ここまでくれば「使ってみる」というレベルではバッチリだと思います。
次のステップではQiitaの記事らしく、ChatGPTをアプリへ組み込むことにトライしてみます。
実際に手を動かしてみることは大事ですが、講座の動画を視聴することで擬似的に実装体験を得ることもできます。
タイパを意識した学びというのも時には重要ですし、書籍とは違った動画ならではのイマドキの学び方だと思います。
4-2. 量子コンピューター
昨今では「実体がよくわからない最新技術の王様」といっても過言ではない量子コンピューター。
ここ数年でよい学習教材が増えました。
まずは原理についての基礎理解から始めていきましょう。
基礎をおさえると量子コンピューターの原理をより深く知りたくなるところです。
そうなると、量子力学に足を踏み入れるしかありませんが、興味を持ったタイミングこそが絶好の学びのチャンスとも言えます。軽い気持ち(?)で新しい世界を覗いてみましょう。
いかがでしょうか。
なかなか難しいところではありますが、ここまでこなせれば周囲と比べて「圧倒的に知っている人」になっているはずです。
量子コンピューターの学習教材はさまざまありますが、やはり量子プログラミングに取り組むのが理解をするうえでは何よりも良い方法だと思います。
そこで次のステップは「Qiskit Textbook」を見ていきましょう。
Qiskitの使い方がわかってきたら、Qiskit開発者向けの認定試験がありますので、こちらにトライしてみるのもよいでしょう。ちなみに、試験の概要は、こちら(IBM、量子コンピューター業界初の開発者認定資格を提供開始)の記事が分かり易いです。
- 4.IBM Certified Associate Developer - Quantum Computation using Qiskit v0.2X
- シラバスをベースに取り組むことで、Qiskitの基礎を網羅的に学ぶことができる。
- 試験に合格すれば量子開発者として認定される。(Qiskit Advocate の認定要件でもある)
- 手前みそですが、私が参加したIBMコミュニティ活動の成果物である「虎の巻」を活用いただくことで、学習が捗ること間違いなし!です。
書籍を使って学習する方法もあります。
少し古いですが私が以前書いたQiita記事を参考にしてみてください。
4-3.AWS
最新技術の要素として外せないものに「クラウド・サービス」があります。
ひと昔前(だいぶ前?)では情報リスクの観点等から敬遠される存在でしたが、今となっては当たり前に使われていますし、エンジニアとしては必須の分野と言ってよいでしょう。
そして最新技術を適用したサービスはクラウド経由でリリースされるケースも増えてきています。例えば、量子コンピューターはハードウェア環境の制約上、オンプレで設置するのが難しいためクラウド経由で利用するのが通常です。また、ChatGPTはブラウザからサービスを直接利用することもできますが、より柔軟性の高い使い方になるとクラウド経由(API、Azure)で利用することになったりもしますので、クラウドサービスの使い方が分からないと、なかなか厳しい状況になります。
クラウド技術を学ぶには、サービスシェアのトップを走り続けているAWSから入るのが最適だと思います。そしてAWSには認定試験が教材を含めて充実しているのも特筆すべき点です。そこで、AWS認定試験をモデルに学習プロセスを考えてみたいと思います。
まずは以下の講座です。クラウド・サービスを理解するには、ハンズオン(実際に触れてみる)が一番の近道だと思います。
AWSの基本的な使い方やサービスのイメージが掴めたら、AWS認定試験に取り組んで知識を体系的に見に着けるのが次のステップとして最適でしょう。最初は「クラウドプラクティショナー」へのチャレンジです。試験の合格を目指して取り組んでみましょう。
- 2.書籍(Amazon) - AWS認定資格試験テキスト AWS認定 クラウドプラクティショナー
- まずは公式テキストで知識を網羅的にインプット。
- 体系的な知識としては、公式テキストを使うのが最も信頼性が高くおすすめ。
テキストで知識を得たら、次は試験対策です。知識を記憶として定着させるには、実際に問題を解いて覚えるのが効果的です。
クラウドプラクティショナーに合格したら、さらに上位の試験を目指してみましょう。全部で12試験ありますので、やりがいはかなりあると思います。
5.おわりに
Qiitaを活用されている方には少ないとは思いますが、「最新技術を学ぶ」という行動は習慣化していないとなかなか難しいものです。私自身も反省すべきところがありますし、周囲の方を見ていても難しさを痛感せざるを得ない状況にあります。
特に日本人は「学ばない」ことで有名で、ごく当たり前に取り組むべき “学び” のハードルが高いという、実に不名誉な状況にあります。
コロナ禍を経て、一人ひとりが幸せであるべきという「ウェルビーイング」がより重要視されていますが、自分だけでなく他人も「幸せ」にすべく、そして次の世代にも「幸せ」をつないでいくためにも、学んで、活用して、社会貢献をし続ける、ということに取り組んでいくことが大切ではないでしょうか。
私自身も、そのような気持ちを持ちながら今後も学びを、それこそ死ぬまで続けていきたいと思っています。
※ 5/23 追記:「0. はじめに」について、執筆時の意図が正しく表現できていない部分がありましたため、訂正いたしました。