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コラッツ予想の証明(§6)- 未解決問題への挑戦

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Last updated at Posted at 2026-07-24

元記事の一部移転のお知らせ(2026-07-25)
コラッツ予想の証明 - 未解決問題への挑戦(Qiita) で、
ある時点から、第4章の記事を更新できなくなったので、
該当記事の内容をこちらに掲載します。

【論文編 - 第 6 章(日本語草稿版)】

 本稿は論文草稿である「コラッツ予想の証明 - 未解決問題への挑戦」の
「第 6 章 コラッツ遷移状態」です。
 必要に応じて、以下の本編または付録集を参照願います。

$$
\def\bm{\boldsymbol}
\def\alphastar{\alpha_\star}
\def\betastar{\beta_\star}
\newcommand\N{\mathbb{N}}
\newcommand\Z{\mathbb{Z}}
\newcommand\Q{\mathbb{Q}}
\newcommand\R{\mathbb{R}}
\newcommand\C{\mathbb{C}}
\newcommand\I{\mathrm{i}}
\newcommand\for[1]{\quad\mathrm{for}\quad #1}
\newcommand\setOne[1]{\left\{#1\right\}}
$$

目次

  第 6 章 コラッツ遷移状態
    6.1 コラッツ遷移比率方程式の誤差評価
      6.1.1 誤差項の展開
      6.1.2 コラッツ遷移比率方程式に対する近似
      6.1.3 ベルヌーイの不等式
    6.2 コラッツ遷移値の下界
    6.3 コラッツ軌道乗積項の一様有界性
      6.3.1 抽象有限検査スキーマ (転用可能形)
      6.3.2 コラッツ有限検査証明書への適用
      6.3.3 有限検査証明によるコラッツ軌道乗積項の一様有界性
    6.4 コラッツ遷移値の上界
    6.5 コラッツ遷移不等式
    6.6 コラッツ遷移一般方程式とコラッツ遷移不等式
      6.6.1 コラッツ遷移不等式から導かれる循環条件
      6.6.2 循環経路条件の導出同値性
      6.6.3 両論証の一致が持つ意義
    6.7 コラッツ遷移の (8k + 5) 型到達構造
      6.7.1 (8k + 5) 型への到達遷移の形式化
      6.7.2 (8k + 5) 型無限回避列の構造
    6.8 コラッツ遷移状態値

第 6 章 コラッツ遷移状態

 本章では、コラッツ遷移状態に関する性質を示す。

6.1 コラッツ遷移比率方程式の誤差評価

 「2.2.2 コラッツ遷移比率方程式」より、乗積表現のコラッツ遷移比率方程式は、

	\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = \frac{2^{S_n}}{3^n} \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})})	\tag{1}

である。上式において、乗積因子$1 \gt (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})}) \gt 0$ である。
 乗積全体を $P_n$ とおき、ここで$a_k := \dfrac{1}{ g( V_{ k - 1 } ) }$ とすると、

	 \displaystyle P_n = \prod_{ k = 1 }^{ n } \left( 1 - a_k \right)

である。上式より、$0 \lt P_n \lt 1$ である。これを式(1)に代入すると、

	\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = \frac{2^{S_n}}{3^n}P_n	\tag{2}

である。

 コラッツ遷移比率方程式の乗積部分に着目した場合において、誤差 $E_t$ を

	\exists E_t \in \mathbb{R}, 0 \lt E_t \lt 1, E_t = 1 - P_n

と定義する。これより、コラッツ遷移比率方程式の乗積部分は $1 - E_t$ である。
また、定義より、$P_n + E_t = 1$ である。

6.1.1 誤差項の展開

 誤差 E_t に関する展開を以下に示す。$S_e(n)$ は $a_k$ の総和である。

	\boxed{E_t = 1 - P_n = \sum_{k = 1}^{n} a_k - \sum_{1 \le i \lt j \le n} a_i a_j + \sum_{1 \le i \lt j \lt k \le n} a_i a_j a_k - \cdots \le \sum_{k = 1}^{n} a_k =: S_e(n)}

6.1.2 コラッツ遷移比率方程式に対する近似

 コラッツ遷移比率方程式を $V_n$ のみを左辺において書き直すと、

	\displaystyle V_n = \frac{V_0}{R_n}\frac{1}{\displaystyle \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k - 1})})}	\tag{1}

である。式(1) の右辺において、$0 \lt (1 - \frac{1}{g(V_{k - 1})}) \lt 1$ である。よって、

	\displaystyle 0 \lt \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k - 1})}) \lt 1	\tag{2}

が常に成り立つ。
 なお、以降の計算では、誤差評価として、$\frac{1}{g(V_{k - 1})}$ 同士の積項を
相対的に十分小さいものとして扱い、計算上において無視する。
 この場合、式(2) の乗積部分は以下のように近似される。

\begin{align}
  &~~~~\prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k - 1})}) \\
   &\approx 1 - (\frac{1}{g(V_0)} + \frac{1}{g(V_1)} + \cdots + \frac{1}{g(V_{n-1})}) \\
   &= 1 - \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{g(V_{k - 1})}
\end{align}

 これより、式(2) に対する近似値としての誤差($E_a$)は以下である。
    $\displaystyle E_a = \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{g(V_{k - 1})}$
    $\therefore \displaystyle \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k - 1})}) \approx 1 - E_a$

 絶対誤差の近似値 $0 \lt E_a \lt 1$ を評価すると、以下である。

\begin{align}
\displaystyle E_a &= \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{g(V_{k - 1})} \\
&= \frac{1}{3V_0 + 1} + \frac{1}{3V_1 + 1} + \cdots + \frac{1}{3V_{n-1} + 1} \\
&\lessapprox \frac{1}{3V_0} + \frac{1}{3V_1} + \cdots + \frac{1}{3V_{n-1}} \\
&= \frac{1}{3}(\frac{1}{V_0} + \frac{1}{V_1} + \cdots + \frac{1}{V_{n-1}}) \\
&= \frac{1}{3} \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{V_{k - 1}}  \\
\end{align}

よって、奇数ベースの遷移値 $V_k$ の逆数和の 1/3 が $E_a$ の近似値を与える。
 これに基づいて、コラッツ遷移比率方程式における絶対誤差($E_{approx}$)の
近似値の定義を以下とする。
    $\displaystyle E_{approx} = \frac{1}{3} \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{V_{k - 1}}$
 よって、以下が成り立つ。
    $\therefore E_a \lt E_{approx}$
 誤差項の関係を整理すると、
    $\displaystyle \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k - 1})}) \approx (1 - E_a) \gt (1 - E_{approx})$
    $\therefore \displaystyle \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k - 1})}) \gt (1 - \frac{1}{3} \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{V_{k - 1}})$
 演算項である上式の右辺は正でなければならないので、
    $\displaystyle 3 \gt \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{V_{k - 1}}$ ・・・(3)
である必要がある。

6.1.3 ベルヌーイの不等式

 $\forall r \in \mathbb{Z}, r \ge 2$ と $\forall x \in \mathbb{R}, x \ge -1 \text{ with } x \ne 0$ に対し、次が成立する。

	(1 + x)^{r} \gt 1 + rx \tag{1}

 式(1) をベルヌーイの不等式(Bernoulli's inequality)という。
ここでは、ベルヌーイの不等式に絡むコラッツ遷移比率方程式関連の
不等式を示す。
 なお、式(1) に $x = -x$ を代入して変形すると、
    $(1 - x)^r \gt 1 - rx$
    $1 - (1 - x)^r \lt rx$
である。上式は「$1 - (1 - x)^r$ 型の式に必ず $rx$ という上界が存在する」
ことを示している。$\forall n \in \mathbb{N}, r = n$ とおいて、乗積表現で書き直すと、

	1 - \prod_{k=1}^n (1 - x) \lt nx

である。

 誤差の範囲が 0 ~ 100 [%]、すなわち、誤差 $\forall E \in \mathbb{R} \gt 0$ が $0 \lt E \lt 1$
である場合に、$\forall n \in \mathbb{N}$ 番目の誤差を $\exists k \in \mathbb{N}, k \le n, E_k$ とすると、
$n$ 番目における誤差を除いた真値に対する割合は $1 - E_k$ である。
 真値に対する割合$P_n$ が常に $\displaystyle \prod_{k=1}^n (1 - E_k)$ で表現できる場合、

	\displaystyle P_n = \prod_{k=1}^n (1 - E_k)

である。
 したがって、$P_n$ に対する 1 の補数を $\exists P_c \in \mathbb{R}$ とすると、
$P_n + P_c = 1$ であり、

	\displaystyle P_c = 1 - P_n = 1 - \prod_{k=1}^n (1 - E_k)

である。このとき、$P_c$ は、真値に対する遷移全体の誤差を表す。

補題6.1.3 (Weierstrass の積不等式(上界形)).
 $\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, \forall k \in \mathbb{N}, k \le n$, $\forall a_k \in \mathbb{R} \gt 0, 0 \lt a_k \lt 1$ に対して、
次を定義する。

	E := 1 - \prod_{k=1}^n (1 - a_k) \tag{1}

 このとき、次の不等式が成り立つ。

	0 \lt E \le \sum_{k=1}^n a_k \tag{2}

証明.
 $0 \lt a_k \lt 1$ なので、$0 \lt \prod_{k=1}^n (1 - a_k) \lt 1$ である。
よって、$E \gt 0$ である。これで、命題の不等式の左半分は常に成り立つ。

 命題の不等式の主張の残りを以降で数学的帰納法により証明する。

 $n = 1$ の場合、式(1)より、$E = a_1$ である。
$\displaystyle E = \sum_{k=1}^1 a_k$ が成り立ち、等号は真である。
よって、$n = 1$ の場合、命題は成り立つ。

 ここで、$n = m$ のとき、命題が成り立つと仮定すると、

	1 - \prod_{k=1}^m (1 - a_k) \le \sum_{k=1}^m a_k

である。$n = m + 1$ の場合、

\begin{align}
	1 - \prod_{k=1}^{m + 1}(1 - a_k)
	&= 1 - (1 - a_{m + 1})\prod_{k=1}^m (1 - a_k) \\
	&= (1 - \prod_{k=1}^m (1 - a_k)) + a_{m + 1}\prod_{k=1}^m (1 - a_k)
\end{align}

 ここで仮定より、上式の最初の括弧は $\displaystyle \le \sum_{k=1}^m a_k$ の関係がある。
また、各$k$ で$0 \lt a_k \lt 1$だから

0 \lt \prod_{k=1}^{m}(1-a_k) \lt 1 \quad \Rightarrow \quad a_{m+1} \prod_{k=1}^{m}(1-a_k) \; \lt \; a_{m+1}.

である。よって、

	1 - \prod_{k=1}^{m + 1}(1 - a_k) \lt \sum_{k=1}^{m}a_k + a_{m + 1} = \sum_{k=1}^{m + 1}a_k

が成り立つ。よって、$n = m + 1$ の場合も命題は成り立つ。
これで、数学的帰納法による命題の証明が確立された。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

6.2 コラッツ遷移値の下界

 初期値を $V_0$ とする奇数コラッツ遷移列

	V_0,\ V_1,\ V_2,\ \ldots

を考える。初期値を除く、奇数コラッツ遷移列の一般項は、
$\forall k \in \mathbb{N}, V_k$ である。
 「2.2.3 経過比率」、式(1) の右辺において、$R_n$ を除く乗積に着目すると、
その一般項は $\displaystyle (1 - \frac{1}{g(V_k)})$ である。
 $g(V_k) \gt 1$ なので、$\displaystyle \frac{1}{g(V_k)} \lt 1$ である。この一般項は有界であり、

	1 \gt (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \gt 0	\tag{1}

が成り立つ。
 よって、「2.2.3 経過比率」、式(1) の乗積は有界であり、

	\displaystyle 1 \ge \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})}) \gt 0	\tag{2}

が成り立つ。
 また、式(2)より、コラッツ遷移値に下界が存在することが導かれる。
すなわち、以下の補題が成り立つ。

補題6.2 (コラッツ遷移値の下界). 〇
 奇数に着目したコラッツ遷移において、初期値を $V_0 \in \mathbb{N}_{odd}$,
n 番目($n \gt 0$)の遷移値を $V_n$, 経過比率を $R_n$ とすると、
$V_n$ には下界が存在し、以下の関係式が成り立つ。

	\displaystyle V_n \ge \frac{V_0}{R_n}

ただし、等号は、積項 $\displaystyle \prod_{k=1}^{n}(1 - 1/g(V_{k-1}))$ が $1$ となる場合、
すなわち $n = 0$ の初期状態に限って成り立つ。

証明.
 式 (2)を経過比率で表現したコラッツ遷移比率方程式に適用すると、
    $\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = R_n \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})}) \le R_n$
    $\therefore \displaystyle V_n \ge \frac{V_0}{R_n}$
である。$R_n$ の定義と $R_n$ の初期値($R_0$)が 1 であることから、
上式で等号が成り立つのは $\displaystyle \prod_{k=1}^{n}(1 - 1/g(V_{k-1})) = 1$ となる場合である。
各因子は $1$ 未満の正数であるため、有限積が $1$ となるのは空積の場合、
すなわち $n = 0$ の初期状態に限られる。
 上式は、$V_n$ に下界($\displaystyle \frac{V_0}{R_n}$)が存在することを示している。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

 上記の補題より、$V_n \gg 1$ である場合、$1 - \frac{1}{g(V_{k-1})} \fallingdotseq 1$ と見做せるので、
$\displaystyle \frac{V_0}{R_n}$ は、$V_n$ に対して誤差が少ない近似値となる。

6.3 コラッツ軌道乗積項の一様有界性.

 コラッツ遷移比率方程式の乗積部分に一様上界が存在することを示す。

 経過比率 $R_n$ を利用したコラッツ遷移比率方程式を以下に示す。
これは、奇数に着目した場合のコラッツ遷移を扱っている。
    $\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = R_n \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})})$
ここで、$V_0$ は初期値、$V_n$ は n 番目のコラッツ遷移値である。

 本節では、任意の有限検査証明へ転用可能な抽象スキーマを
定式化し(§6.3.1)、続いて、それをコラッツ設定に具体化する(§6.3.2)。
 さらに、分岐テーブルグループ(BTG)に基づく理想還元モデルを
「定義+命題」として導入し、寄与総和上界 $S^\star$ の 初期商 $k$ への
非依存化を与える(§6.3.3)。


 以下に、定義・注意事項を示す。

定義6.3.1 (分岐点の逆数).
 コラッツ遷移において、$\forall k \in \mathbb{Z}_{\gt 0}, V_{k-1} \in \mathbb{N}_{\text{odd}}$ がリンクする分岐点は
g(V_{k-1}) である。よって、その逆数 $a_k$ の定義は以下である。

	\displaystyle \forall k \in \mathbb{Z}_{\gt 0}, a_k := \frac{1}{g(V_{k - 1})}.

 $g(V_{k - 1}) \in \mathbb{N}_{\text{even}}$ なので、$2$ による除算可能回数 $T_k$ は
常に $1$ 以上であり、$\exists n \in \mathbb{N}_{\text{odd}},\ g(V_{k - 1}) = n{2^{T_k}} \gt 2$、
すなわち、$a_k = 1 / g(V_{k - 1}) \lt 1/2 \lt 1$ である。

定義6.3.2 (誤差の局所一様上界).

	\forall k \in \mathbb{Z}_{\gt 0},  e_{\max} := \sup_k a_k \in (0,1).

 各段で $0 \le a_k \lt 1$ であるから、$0 \le a_k \le e_{\max} \lt 1$ が成り立つ。

定義6.3.3 (分岐点の逆数和).
 分岐点の逆数 $a_k$ を誤差と見做した場合、$n$ 段までの $a_k$ の合計を
$S_e(n)$ と定める。

	\exists n \in \mathbb{Z}_{\gt 0},
    \forall k \in \mathbb{Z}_{\gt 0},
    k \le n,
    S_e(n) := \sum_{k = 1}^{n} a_k.

定義6.3.4 (分岐点の逆数和に対する一様上界:$S^\star$).
 定義6.3.3 の $S_e(n)$ に対する一様上界を $S^\star$ という。

※一様上界 $S^\star$ を割り当て可能なことは後述の結果で与える。

定義6.3.5 (コラッツ遷移比率方程式における誤差因子乗積:$P_n$).
 コラッツ遷移において、$\forall k \in \mathbb{Z}_{\gt 0}, V_{k-1} \in \mathbb{N}_{\text{odd}}$ がリンクする分岐点は
g(V_{k-1}) である。初期値 $\forall V_0 \in \mathbb{N}_{odd}$ に対して、$n$ 回の奇数に着目した
コラッツ遷移における各段階での誤差因子$\displaystyle (1 - \frac{1}{g(V_{k - 1})})$ の乗積を
次式で定義する。

	P_n := \prod_{k=1}^{n}(1 - a_k).

(定義の補足)
 初期値 $\forall V_0 \in \mathbb{N}_{odd}$ に対して、各ステップでの $2$ による除算回数は、
分岐テーブル内遷移回数 $\forall k \in \mathbb{Z}_{\gt 0}, \exists T_k \in \mathbb{Z}_{\gt 0}$ と等しい。
$2$ による除算回数の部分和は $\displaystyle S_n = \sum_{k=1}^{n} T_k$ である。
 奇数に着目した場合のコラッツ遷移回数を n として、

	N(V_0) := \min \{\,n \in \mathbb{Z}_{\ge 0} \mid V_n = 1 \,\}

と定義する。ただし、$1$ に到達しない場合は $N( V_0 ) := \infty$ とする。
 コラッツ遷移における全軌道の総和を
  - $\displaystyle S(V_0) := \sum_{k=1}^{N(V_0)} T_k$(停止する場合)
  - $\displaystyle S(V_0) := \lim_{n\to\infty} S_n$ (無限の場合)
と定める。このとき常に $S_n \le S(V_0)$ であり、
停止時は $S(V_0) = S_{N(V_0)}$ である。

定義6.3.6 (乗積補数).
 $1$ とコラッツ遷移比率方程式における誤差因子乗積 $P_n$ の差分 $\Delta_n$ を
乗積補数 (complement of the product)という。

	\Delta_n := 1 - P_n.

定義6.3.7 (一様乗積上界).
 分岐点の逆数和に対する一様上界 $S^\star$ と $e_{\max}$ で規定される以下の式を
一様乗積上界(uniform product upper bound)という。

	\displaystyle E^{\ast} := 1 - \exp \big(-\tfrac{S^\star}{1 - e_{\max}}\big).

定義6.3.8 (乗積誤差一様上界に属する定数:$C_u$).
 コラッツ遷移比率方程式の乗積誤差の総和を規定する一様乗積上界が
存在する場合に、それに属する特別な定数を $C_u$ と定義する。
 なお、本研究においては、$C_u = \frac{1}{2}$ を用いる。

定義6.3.9 (有限検査の対象とする初期値の集合:$\mathrm{U}_i$).
 法 $2^t$ における奇数の合同類のうち、法 $6$ において、$3$ と合同でない
(すなわち、$3$ の倍数ではない)奇数全体を $\mathrm{U}_i$ と定義する。
 ここで $i$ は、(例えば、代表元列挙の)内部インデックスであり、
集合の同一性には依存しない。

定義6.3.10 (コラッツ遷移における奇数の合同類分解).
 初期値 $\forall V_0 \in \mathbb{N}_{odd}$ は、$\exists t \in \mathbb{Z}_{\gt 0}$ により次の形式で一意に表現できる。

	V_0 = r + {2^t}k.

 ここで、
  ・$k \in \mathbb{Z}_{\ge 0}$
  ・$r$ は、法 $2^t$ における奇数の合同類代表元
である。

  また、法 $2^t$ における奇数の合同類代表元 $r$ は、以下の条件を満たす
 一意な自然数である。
    ・$r \in \mathbb{N}_{odd}$
    ・$1 \le r \lt 2^t$

  具体例($t = 3 (2^t = 8)$):
   法 8 における奇数の合同類代表元は {1, 3, 5, 7} である。
  $\forall n \in \mathbb{N}_{odd}$ は、これらの内のいずれか一つのクラスに必ず属する。
   $n$ は、$\exists t \in \mathbb{Z}_{\gt 0}$ を用いて、$n = r + {2^t}k$ と一意に表現できる。
    ・$n = 1$ の場合:$n = 1 + 8 \times 0$ なので、$r = 1, k = 0$
    ・$n = 3$ の場合:$n = 3 + 8 \times 0$ なので、$r = 3, k = 0$
    ・$n = 5$ の場合:$n = 5 + 8 \times 0$ なので、$r = 5, k = 0$
    ・$n = 7$ の場合:$n = 7 + 8 \times 0$ なので、$r = 7, k = 0$
    ・$n = 9$ の場合:$n = 1 + 8 \times 1$ なので、$r = 1, k = 1$
    ・$n =15$ の場合:$n = 7 + 8 \times 1$ なので、$r = 7, k = 1$

定義6.3.11 (有限検査対象表).
  コラッツ遷移における奇数の合同類分解における $r$ について、
 $\forall k \in {0,1,\cdots K}$ に対して、初期値 $V_0 = r + {2^t}k$ を列挙し、
 コラッツ遷移の各初期値 $V_0$ に対して、次の項目を記録した表を
 有限検査対象表 という。
   ・$V_0$(自然数における奇数)
   ・ その $L$ ステップ後の値 $V_L$(ただし、$\exists L \in \mathbb{Z}_{\gt 0}$)
   ・ 増率$R(V_0) := \frac{V_L}{V_0}$
   ・ 部分和$\displaystyle S(V_0) := \sum_{j=1}^{L-1} \frac{1}{g(V_j)}$
    $V_j$ は、初期値 $V_0$ からコラッツ写像を $j$ 回適用して得られる
    奇数である。
   ・ フラグ:途中で $V_j = 1$ に到達したならば、そのステップを
    記載する。

定義6.3.12 (有限検査条件A).
 ここで $c_{\min} \in (0,1)$ は所与の閾値(増率の下限)とする。

 有限検査対象表に対する有限検査条件Aは、次のいずれかが
各検査事案について成り立つことである。
  (A1) $V_j = 1$ となり、列が終了する。
   (※この場合、その $V_0$ は以降の計算対象外。)
  または
  (A2) 増率 $R(V_0) \ge c_{\min} \gt 0$ かつ
    部分和 $S(V_0)$ が所与の上限を満たす。(※後で合計に組み込む)

 有限検査条件A の結果を記録した表を「検査表A」という。

定義6.3.13 (有限検査条件B).
 合同類毎に、すべての $k \gt K$ に対して、L 段写像が除算の商を
減らすことを保証するための有限証明を与えるためのデータである。
具体的には、実務的手法として次の形式で提出する。
 検査表B(商縮約条件)
   解析的不等式と有限検査の組合せによる手法の
  代替証明(有限カバー)として、ある K を選んでおき、
  すべての $V_0 = r + {2^t}k$ について、
  $k \in$ {0, $\cdots$, K} を検査し、更に次が成り立つことを示す:
    $\forall V_0 = r + {2^t}k$($\forall k \ge 0$)を $L$ ステップで追ったとき、
   その得られる $V_L$ は、必ずある合同類の代表 $r'$ に対応し、
   その商部分 $k' (V_L = r' + {2^t}k'$) は次の再帰的規則に従って、
   有限段数で検査済み集合($k' \le K$)へ入る。
    この性質は合同類と写像の有限遡行で示すことができる。
   すなわち、有限検査で裏付け可能である。

 有限検査条件B の結果を記録した表を「検査表B」という。

定義6.3.14 (二進有理上界の符号なし表現:$M_S, B_S$).
 有限検査対象表で定義した $\displaystyle S(V_0) = \sum_{j=1}^{L-1}\frac{1}{g(V_j)}$ に対し、各項
 $\frac{1}{g(V_j)} = \frac{1}{3V_j+1}$ を、その 2 進付値 $P_j:=\mathrm{ord}_2(g(V_j))$ を用いて、
**上から ** $2^{-P_j}$ で評価する($\frac{1}{g(V_j)} \le 2^{-P_j}$)。
 このとき、$S(V_0)$ は次の二進有理上界で抑えられる:

	S(V_0) \le \sum_{j=1}^{L-1} 2^{-P_j} = \sum_{p \ge 2} c_p\,2^{-p} = \frac{1}{2^{B_S}} \sum_{p \ge 2} c_p\,2^{B_S - p} = \frac{M_S}{2^{B_S}},

 ここで、$c_p := \text{card}({j \mid P_j = p})$(各指数 $p$ の出現回数)、
$B_S$ は基準指数(観測した最大の $p$:$B_S \ge \max{p \mid c_p \gt 0}$)、
$\displaystyle M_S := \sum_{p \ge 2}{c_p}{2^{B_S - p}}$ である。
 $M_S$ は有限検査に基づく部分和の二進有理数的な上界であり、$B_S$ は
最大分母指数を与える。これにより、有限時間計算で自動検証可能な形式で
部分和の評価が得られる。


注意 (初期値の取り扱い).
 本節においては、コラッツ遷移の初期値は、遷移が自明なループ に
突入することを避けるために、扱う奇数 n を $\forall n \in \mathbb{N}_{odd} \gt 1$ とする。
具体的には、$n \in { 3,5,7,\dots }$ を検証対象とする。
 すなわち、奇数に関するコラッツ遷移に着目した場合の不動点である
$n = 1$ は、コラッツ遷移の初期値としての解析対象から除外する。
 なお、仮に $n = 1$ を含めた場合でも、その場合のコラッツ遷移は
1 → 1 であり、$P_1 = 1 - 1/g(1) = 1 - 1/4 = 3/4$ なので、
$C_u \lt 3/4$ である限り、本論の主張(例:$P_n \gt C_u$)は満たされる。
実際に、本稿では $C_u = 1/2$ と規定しており、結果に影響しない。


補題6.3.15 (対数関数の凹性より成り立つ不等式).

	\forall x \in \mathbb{R},\ 0 \le x \lt 1,\ \ln(1 - x) \ge -\frac{x}{1 - x}

証明.
 関数

	f(x) := \ln(1 - x) + \frac{x}{1 - x}, \qquad 0 \leq x \lt 1.

を考える。$f(0) = 0$ であり、

	f'(x) = -\frac{1}{1 - x} + \frac{1}{(1 - x)^2} = \frac{x}{(1 - x)^2} \geq 0.

が区間$[0,1)$ で成り立つ。したがって、$f(x)$ は単調非減少であり、
$f(x) \geq f(0)=0$ が従う。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$


補題6.3.16 (合成条件 C の形式的導出).
 この補題は、一様上界 $S^\star$ の存在を仮定する条件付き評価である。
分岐点の逆数和 $\displaystyle a_k \in (0,1), e_{\max} := \sup_k a_k \lt 1, S_e(n) := \sum_{k = 1}^{n} a_k$ の
任意の $n$ について $S_e(n) \le S^\star$ を満たす場合、$S_e(n) \le S^\star$ が成り立つ。
このとき、乗積 $\displaystyle P_n = \prod_{k=1}^{n}(1 - a_k)$ は次を満たす:

	\Delta_n \le E^{\ast}.	\tag{1}

 特に、ある閾値 $C_u \in (0, 1)$ が与えられているとき、合成条件

	\frac{S^\star}{1 - e_{\max}} \lt -\ln(1 - C_u).	\tag{2}

を満たせば、$E^\ast \lt C_u$ が成り立ち、$\Delta_n \lt C_u$ が従う。

証明.
 分岐点の逆数和に対する一様上界 $S^\star$ が存在することを前提条件として、
証明を段階的に展開する。

ステップ1(基本不等式):
 補題6.3.15 より、任意の $x \in (0,1)$ について、

	\ln(1 - x) \ge -\frac{x}{1 - x}.

が成り立つ。各 $k$ で $x := a_k$ を代入し、和をとると

\sum_{k=1}^{n} \ln(1 - a_k) \ge -\sum_{k=1}^{n} \frac{a_k}{1 - a_k}.

 定義6.3.2 より $0 \lt a_k \le e_{\max}$ なので、$\displaystyle \frac{1}{1 - a_k} \le \frac{1}{1 - e_{\max}}$ である。
この関係を適用すると、

\sum_{k=1}^{n} \ln(1 - a_k) \ge -\frac{1}{1 - e_{\max}} \sum_{k=1}^{n} a_k.

 定義6.3.3 より、

\sum_{k=1}^{n} \ln(1 - a_k) \ge -\frac{1}{1 - e_{\max}} \sum_{k=1}^{n} a_k
= -\frac{S_e(n)}{1 - e_{\max}}.

 定義6.3.4 より $S^\star \ge S_e(n) \gt 0$、かつ定義6.3.2 より $e_{\max} \lt 1$ なので、

\sum_{k=1}^{n} \ln(1 - a_k)
\ge -\frac{S_e(n)}{1 - e_{\max}}
\ge -\frac{S^\star}{1 - e_{\max}}.
\tag{3}

ステップ2(指数化による $P_n$ の評価):
 定義6.3.5 より、$P_n := \prod_{k=1}^{n}(1 - a_k)$ なので、
$\displaystyle \ln P_n = \sum_{k=1}^{n} \ln(1 - a_k)$ である。
 式(3) の両辺に指数関数を作用させ、上式を代入すると、

	P_n \ge \exp \left(-\frac{S^\star}{1 - e_{\max}}\right).

 上式の両辺に負号を掛け、その後、両辺に + 1 を加算すると、

	1 - P_n \le 1 - \exp \left(-\frac{S^\star}{1 - e_{\max}}\right).	\tag{4}

 上式の右辺に、定義6.3.6および定義6.3.7 を適用すると、

	\Delta_n \le E^\ast.

 これで所望の一様評価が得られた。

ステップ3(必要に応じた合成条件の提示):
 さらに、上限制御を数値定数 $C_u \in (0,1)$ で与えたい場合には、
式(4) の右辺が $C_u$ よりも小さくなる十分条件として、

\begin{align}
E^\ast \lt C_u
&\Longleftrightarrow\;\;1 - \exp\!\left(-\frac{S^\star}{1 - e_{\max}}\right) \lt C_u	\\
&\Longleftrightarrow\;\;\frac{S^\star}{1 - e_{\max}} \lt -\ln(1 - C_u).	\tag{5}
\end{align}

が得られる。従って、合成条件

	\frac{S^\star}{1 - e_{\max}} \lt -\ln(1 - C_u).

(=式(2))を必要な場合に限り課せば、$1 - P_n \le E^\ast \lt C_u$、
すなわち、$\Delta_n \lt C_u$ を保証できる。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

注 1(特殊ケース):もし $C_u = \frac{1}{2}$ を採るなら、$-\ln(1 - C_u) = \ln 2$ である。
 これは、補題6.3.16 において、不等式

	\frac{S^{\star}}{1 - e_{\max}} \lt \ln 2.

に対応する。


6.3.1 抽象有限検査スキーマ (転用可能形)

 ここでは抽象的な有限検査スキーマを導入する。
以後の議論で「有限検査証明書」と呼ぶ対象の一般形を与える。

定義6.3.17 (有限状態ブロック系).
 有限集合 $\Sigma$ を状態集合とし、各状態 $\sigma \in \Sigma$ に対して係数の組

	\lambda(\sigma) \in (0,1), \quad C(\sigma) \in \mathbb{R}.

および一次変換

	T_\sigma(k) := \lfloor \lambda(\sigma) k + C(\sigma) \rfloor

を対応させる組

	(\Sigma, \{T_\sigma\}_{\sigma \in \Sigma}).

を有限状態ブロック系と呼ぶ。

定義6.3.18 (有限検査条件 $\mathrm{FC}^\ast$).
 有限状態ブロック系 $(\Sigma, \{T_\sigma\})$ が有限検査条件 $\mathrm{FC}^\ast$ を満たすとは、
次の条件が成り立つことをいう。

($\mathrm{FC}^\ast 0$) 全域定義性.
 ある定数 $K_0 \gt 0$ が存在して、任意の $k \gt K_0$ に対して、
少なくとも一つの $\sigma \in \Sigma$ が存在し、$T_\sigma(k)$ が定義される。

($\mathrm{FC}^\ast 1$) 閉包性.
 $k \gt K_0$ に対して、$T_\sigma(k) \gt K_0$ であれば、
その $T_\sigma(k)$ も再び $\mathrm{FC}^\ast 0$ の対象として扱える(系内で閉じている)。

($\mathrm{FC}^\ast 2$) 収縮率条件.

	\Lambda := \max_{\sigma \in \Sigma} \lambda(\sigma) \lt 1.

($\mathrm{FC}^\ast 3$) 定数項有界性.

	C_{\max} := \max_{\sigma \in \Sigma} |C(\sigma)| \lt \infty.

記法:$\mathrm{FC}^\ast$ を満たす系に対し、許容列(admissible sequences)の
   (有限)集合を $\mathcal{A}$ と書く。

補題6.3.19 ($\mathrm{FC}^\ast$ の有限可判定性).
 有限状態ブロック系 $(\Sigma, \{T_\sigma\})$ が $\mathrm{FC}^\ast$ を満たすかどうかは
有限回の検査で判定できる。

証明.
 $\Sigma$ は有限集合であるから、($\mathrm{FC}^\ast 2$)、($\mathrm{FC}^\ast 3$) は各状態について、
$\lambda(\sigma)$、$C(\sigma)$ を計算し、最大値を比較する有限回の手続きで確認できる。
($\mathrm{FC}^\ast 0$)、($\mathrm{FC}^\ast 1$) についても、対象領域を有限個の代表に還元する
通常の有限検査構成(合同類分解と代表系の列挙)により、
代表毎に $T_\sigma$ の定義可能性と像の所属を調べることで検証できる。
 代表は有限個なので、必要な検査も有限個で尽きる。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

補題6.3.20 ($\mathrm{FC}^\ast$ による一様縮約条件Bの保証).
 $(\Sigma, \{T_\sigma\})$ が $\mathrm{FC}^\ast$ を満たすとする。
このとき、ある定数 $K \gt 0$ が存在して、$\forall k_0 \gt K$ に対し、
適当な状態列 $\sigma_1, \sigma_2, \dots, \sigma_L \in \Sigma$ を選べば、以下が成り立つ。

	k_L := T_{\sigma_L} \circ \cdots \circ T_{\sigma_1}(k_0) \le K.

(※記号 $\circ$ は写像合成を表す。一般に、$(f \circ g)(x) := f\bigl(g(x)\bigr)$ である。)
すなわち、全ての $k_0 \gt K$ は有限回の遷移で共通の有界域へ縮約される。

証明.
 ($\mathrm{FC}^\ast 2$)、($\mathrm{FC}^\ast 3$) より、任意の $\sigma \in \Sigma$ と $k$ について、

T_\sigma(k)
\le \lambda(\sigma) k + |C(\sigma)|
\le \Lambda k + C_{\max}.

が成り立つ。ここで、

K := \left\lceil \frac{2 C_{\max}}{1 - \Lambda} \right\rceil.

とおくと、$k \ge K$ のとき、

T_\sigma(k)
\le \Lambda k + C_{\max}
\le \Lambda k + \tfrac{1}{2}(1 - \Lambda)k
= \tfrac{1 + \Lambda}{2} k
\lt k.

である。したがって、$k \gt K$ の間、任意の適用可能な $T_\sigma$ は
値を真に減少させる。
 ($\mathrm{FC}^\ast 0$)、($\mathrm{FC}^\ast 1$) により、$k_i \gt K$ の間は常に何れかの $T_\sigma$ が
適用可能であり、列 $(k_i)$ は正の整数で真に単調減少するため、
有限回で必ず $k_L \le K$ を満たす。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

※$\mathrm{FC}^\ast$ による一様縮約条件B を、以降では単に
「一様縮約条件B」と呼ぶ。

補題6.3.21 ($\mathrm{FC}^\ast$ と一般乗積評価の一様上界).
 $(\Sigma, \{T_\sigma\})$ が $\mathrm{FC}^\ast$ を満たし、寄与 $c(\sigma)$ による列 $a_k$ と乗積

	P_n := \prod_{k=1}^{n} (1 - a_k)

が補題6.3.16 の前提条件($a_k \in (0,1)$、有限和による評価)を
満たすものとする。
 このとき、ある定数 $E^\ast \in (0,1)$ が存在して、全ての該当列に対して、
$1 - P_n \le E^\ast$ が一様に成り立つ。

証明.
 補題6.3.20 により、$\mathrm{FC}^\ast$ の下で生成される軌道は有限回で
共通の有界域に縮約される。
 したがって、寄与が正である部分列は各軌道について有限長であり、
その和には有限な $S^\star$ を取ることができる。
 補題6.3.16 により $a_k \in (0,1)$ の有限列とその和の有限上界 $S^\star$ に対し、

	1 - P_n \le 1 - \exp\!\left(-\frac{S^\star}{1 - e_{\max}}\right).

なる評価が得られる。
 許容される有限検査証明書の族に対して $S^\star$ と $e_{\max}$ の取り得る範囲は
有限検査により制御できるため、右辺の上限値として $E^\ast \in (0,1)$ を
取ればよい。これにより、全ての該当列について $1 - P_n \le E^\ast$ が従う。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

※ $\mathrm{FC}^\ast$ の下で状態・遷移候補は有限個であり、補題6.3.20 による縮約で
 正の寄与部分列は有限長となる。したがって、

	S^\star := \max_{\alpha \in \mathcal{A}} S_e(\alpha),\qquad
	e_{\max} := \max_{\sigma \in \Sigma} e_{\max}(\sigma).

と決定できる($\mathcal{A}$ は有限)。また、

	\displaystyle E^\ast(S^\star,e_{\max})=1 - \exp\!\Bigl(-\tfrac{S^\star}{1 - e_{\max}}\Bigr).

は $S^\star, e_{\max}$ に関して単調増加であるから、任意の軌道・任意の $n$ について
$\Delta_n \le E^\ast (S^\star,e_{\max})$ が成立し、これは普遍上界である。

定理6.3.22 (抽象有限検査証明書に基く一様乗積評価定数).
 有限状態ブロック系 $(\Sigma,\ \{T_\sigma\})$ が $\mathrm{FC}^\ast$ を満たし、
寄与 $c(\sigma)$ と乗積 $P_n$ が上記条件を満たすとする。
 このとき、ある定数 $E^\ast \in (0,1)$ が存在して、
対応する全ての乗積について、

	1 - P_n \le E^\ast.

が一様に成り立つ。

証明.
 補題6.3.20 より一様縮約が成立し、また、補題6.3.21 より、
対応する乗積に一様上界 $E^\ast$ が存在する。
 両者を組み合わせれば直ちに主張が従う。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$


6.3.2 コラッツ有限検査証明書への適用

 本節では、定義6.3.1 〜補題6.3.16 に基いて構成された
コラッツ有限検査スキーマが、抽象有限検査条件 $\mathrm{FC}^\ast$ を
満たすことを確認する。

定義6.3.23 (コラッツ有限検査カタログ $\Sigma_{\mathrm{Col}}$).
 既存の有限検査対象表における各行を、ブロック遷移

	\sigma = (r \to r', m, S).

として表す。ここで、$r,\ r'$ は奇数代表、
$m$ は奇数出現回数、$S$ は $2$ による除算回数である。
全行から得られる有限個のブロック遷移集合を $\Sigma_{\mathrm{Col}}$ とおく。

定義6.3.24 (コラッツ用一次変換).
 $\sigma = (r \to r', m, S) \in \Sigma_{\mathrm{Col}}$ に対して

	\lambda(\sigma) := \frac{3^m}{2^S}, \quad C(\sigma) := \frac{B\_r - r'}{2^S}.

と定め、これにより、

	T\_\sigma(k) := \left\lfloor \lambda(\sigma) k + C(\sigma) \right\rfloor.

を定義する。
ただし $B_r$ は従来記述で定義されたブロック代表に対応する有理数とする。

補題6.3.25 (有限性).
 $\Sigma_{\mathrm{Col}}$ は有限集合であり、したがって、
$(\Sigma_{\mathrm{Col}}, \{T_\sigma\})$ は有限状態ブロック系である。

証明.
 有限検査対象表は有限個の行から構成されるため、
その各行に対応するブロック遷移も有限個となる。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

補題6.3.26 (全域定義性と閉包性).
 本稿の有限検査表の設計要件として、十分大きな全ての奇数 $V$ は
有限検査対象表のいずれかの行の代表に対応し、その行に対応する
$\sigma \in \Sigma_{\mathrm{Col}}$ により $T_\sigma$ が適用可能である。また、その遷移先も再び
有限検査対象表の対象域に属する。
 したがって、($\mathrm{FC}^\ast 0$)、($\mathrm{FC}^\ast 1$) が成立する。

証明.
 有限検査対象表の構成要件として、対象とする合同類および範囲に属する
奇数には必ず対応する行が存在し、遷移先についても同様に、
表内に収まるよう設計されている。
 この仕様をそのまま用いれば、全域定義性および閉包性が従う。

$\square$

補題6.3.27 (収縮率条件).
 本稿の有限検査表の設計要件として、コラッツ有限検査カタログ
$\Sigma_{\mathrm{Col}}$ に属する任意のブロック遷移 $\sigma = (r \to r', m, S)$ に対して、

\lambda(\sigma) := \frac{3^m}{2^S} \lt 1.

が成り立つ。したがって、

\Lambda_{\mathrm{Col}} := \max_{\sigma \in \Sigma_{\mathrm{Col}}} \lambda(\sigma).

は well-defined であり、$\Lambda_{\mathrm{Col}} \lt 1$ を満たす。

証明.
 有限検査対象表の各行は、対応するコラッツ遷移ブロックが
全体として縮小的になるように構成されているため、
各行について $3^m \lt 2^S$ が成立する。このとき、

\lambda(\sigma) = \frac{3^m}{2^S} \lt 1.

が全ての $\sigma$ について成り立つ。
 $\Sigma_{\mathrm{Col}}$ は有限集合であるから、$\{\lambda(\sigma)\}$ の最大値 $\Lambda_{\mathrm{Col}}$ が存在し、
かつ各 $\lambda(\sigma) \lt 1$ であることから、$\Lambda_{\mathrm{Col}} \lt 1$ が従う。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

補題6.3.28 (定数項有界性).
 コラッツ有限検査カタログ $\Sigma_{\mathrm{Col}}$ に対して、
定義6.3.24 の $C(\sigma) := \frac{B_r - r'}{2^S}$ を用いるとき、

	C_{\max,\mathrm{Col}} := \max_{\sigma \in \Sigma_{\mathrm{Col}}} |C(\sigma)|.

は well-defined であり、有限実数となる。

証明.
 $\Sigma_{\mathrm{Col}}$ は有限集合であり、各 $\sigma = (r \to r', m, S)$ に対して、
$C(\sigma)$ は一意に定義される。
 有限個の実数の絶対値の最大値は必ず存在し有限であるから、
$C_{\max,\mathrm{Col}}$ は well-defined かつ有限となる。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

系6.3.29 (コラッツ有限検査証明書は $\mathrm{FC}^\ast$ を充足する).
 コラッツ有限検査カタログ $\Sigma_{\mathrm{Col}}$ と対応する写像族 $\{T_\sigma\}$ は、
有限検査条件 $\mathrm{FC}^\ast$ (定義6.3.18) の全ての条件 ($\mathrm{FC}^\ast 0$)〜($\mathrm{FC}^\ast 3$) を満たす。
 したがって、$(\Sigma_{\mathrm{Col}}, \{T_\sigma\})$ は抽象有限検査スキーマにおける
有限検査証明書である。

証明.
 補題6.3.25 により有限性から有限状態ブロック系の要件が満たされる。
補題6.3.26 により全域定義性 ($\mathrm{FC}^\ast 0$) と閉包性 ($\mathrm{FC}^\ast 1$) が成立する。
補題6.3.27 により収縮率条件 ($\mathrm{FC}^\ast 2$) が、また、補題6.3.28 により
定数項有界性 ($\mathrm{FC}^\ast 3$) が成立する。
 したがって、定義6.3.24 の $\mathrm{FC}^\ast$ の全要件が満たされる。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$


6.3.3 有限検査証明によるコラッツ軌道乗積項の一様有界性

 抽象的に記述した定理6.3.22 をコラッツ有限検査証明書に適用する。
なお、一様縮約条件Bが成り立つ点は補題6.3.20 によって担保される。

定理6.3.30 (有限検査証明書に基くコラッツ軌道乗積項の一様有界性). 〇
 $(\Sigma_{\mathrm{Col}}, \{T_\sigma\})$ を系6.3.29 で得られたコラッツ有限検査証明書とする。
このとき、ある定数 $E^\ast \in (0,1)$ が存在して、有限検査証明書の
適用対象となる全てのコラッツ軌道に対して、

	\Delta_n \le E^\ast \lt 1.

が一様に成り立つ。
したがって、この有限検査証明書は、ある定数 $K \gt 0$ が存在して、
$k \gt K$ に属する全ての場合(無限に存在する場合分けの分類)が
有限回の遷移で共通の有界域に縮約されることを保証する。

証明.
 系6.3.29 により $(\Sigma_{\mathrm{Col}}, \{T_\sigma\})$ は $\mathrm{FC}^\ast$ を満たす。
定義6.3.1 〜補題6.3.16 と、§6.3.1 で定式化した抽象有限検査スキーマの
対応付けから寄与列と乗積 $P_n$ は補題6.3.21 の前提を満たす。そのため、
定理6.3.22 を具体系に適用でき、一様乗積評価定数 $E^\ast$ の存在が従う。
 これにより、有限検査証明書の妥当性、および一様縮約条件B の
成立が示される。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

 さらに付言すると、定理6.3.30 に必要なのは、全ての初期値に対して、
誤差和 $S(V_0)$ が一様上界 $S^\star$ を持つことを保証する有限検査証明書の
存在である。
 したがって、実際に一つの有限検査証明書(すなわち、検査表A・Bの
完全構成)が提示されれば、それだけで数学的には必要十分である。
 すなわち、検査表を複数種類提示する必要はなく、一例の構成によって
本定理の要件は完全に充足される。


 ここで、§6.2 で定義したコラッツ遷移に付随する一般積
(コラッツ軌道乗積項)を改めて確認しておく。
任意のコラッツ遷移系列に対し、その一般積を $P_n$ と書くとき、
定義6.3.4 における $\Delta_n$ は

	\Delta_n := 1 - P_n.

と定義される。したがって、定理6.3.30 の結論

	\Delta_n \le E^\ast \lt 1.

は、$P_n$ に関する一様な下界

	P_n \ge 1 - E^\ast.

を与えることと同値である。この意味で、定理6.3.30 は、以後に用いる
「コラッツ遷移不等式」の一方の不等式(上側評価)を与える基礎となる。
 この同値関係の適用例を定理6.3.30 の系として、以下に示す。

系6.3.31 (コラッツ軌道乗積項の一様下界:$C_u=1/2$ の場合).
 定理6.3.30 に対して、コラッツ軌道乗積項の有限検査証明書
$(\Sigma_{\mathrm{Col}}, \{T_\sigma\})$ が $\mathrm{FC}^\ast$ を満たし、対応する誤差項 $\Delta_n$ に対して、
ある定数 $E^{\ast} \in (0,1)$ が存在して

	\Delta_n \le E^{\ast}.	\tag{1}

が全てのコラッツ軌道について一様に成り立つものとする。

 さらに、§6.3.3 の構成および補足に従い、有限検査対象表から求めた
最大部分和 $S^\star$ と最大停留率 $e_{\max}$ に対して、

	E^\ast = 1 - \exp\!\left(-\frac{S^\star}{1 - e_{\max}}\right).

とおき、臨界値 $C_u$ を

	C_u := \frac{1}{2}.

と定める。本稿で採用する有限検査証明書は、

	E^\ast \lt C_u = \frac{1}{2}.

を満たすように設計されている。
(※外部パラメタおよび検査表A・B の仕様による。)
 このとき、$\forall n \in \mathbb{N}$ に対して、

	\displaystyle P_n := \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})}) \gt 1 - C_u = \frac{1}{2}.

が成り立つ。

証明.
 定義6.3.4 により、誤差項 $\Delta_n$ は一般積 $P_n$ を用いて、

	\Delta_n := 1 - P_n.

と定義される。したがって、定理6.3.30 の結論

	\Delta_n \le E^\ast \lt 1.

は、$P_n$ に関する不等式

	P_n \ge 1 - E^\ast.

と同値である。一方、上で定めた

	E^\ast = 1 - \exp\!\left(-\frac{S^\star}{1 - e_{\max}}\right).

および有限検査証明書の設計より、

	E^\ast \lt C_u.

が成り立つので、

	P_n \ge 1 - E^\ast \ge C_u = \frac{1}{2}.

を得る。特に、

	\displaystyle P_n := \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})}) \gt 1 - C_u = \frac{1}{2}.

が従う。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

補足 (実装オプション -$S(V_0)$ の評価).
 本節の「定義(二進有理上界の符号なし表現:$M_S, B_S$)」および
補題6.1.3 により、$S(V_0)$ の評価は、
  (a) 二進度数の集計から得る$\tfrac{M_S}{2^{B_S}}$ による簡易上界(定義6.3.14 参照)
  (b) 既存の指数型評価($\ln(1-x)$)による上界(補題6.3.15 参照)
の双方で運用できる。(a) は計算が簡便、(b) は境界が鋭い。
これらは、用途に応じて使い分け、または併用できる。
 実務的には、有限検査表から各$g(V_j)$ の 2 進付値 $P_j$ を一括で抽出し、
その分布(度数 $c_p$)を集計することで、逐一 $\tfrac{1}{g(V_j)}$ を計算せずとも、
$\sum 2^{-P_j}$ を効率的に得られる。
 この際の計算順序として、まずベルヌーイ型上界を用いて
粗いふるい落としを行い(早期に合格判定できる事案を確定させ)、
「必要な場合にのみ $(M_S,B_S)$ に基づく二進有理上界を適用する」という
段階的手法を採用するのが望ましい。
 これにより、全体の計算効率と評価精度を両立させつつ、
誤差和の一様制御を実現できる。

補足 (有限検査証明書).
 本定理の最終ステップでは、検査表A・B に記載の
有限検査条件(有限集合上の充足性)を示せば、証明が完結する。

 検査表A・B(検証用生成結果と自動生成スクリプト例を含む)は
付録A~付録D に示す通り、掲載した付録の検査はすべて合格している。
したがって、有効な有限検査証明書が実在し、定理6.3.30 は成立する。
 紙面の関係で、多量のデータを掲載することは事実上不可能である。
よって、出現する検査表A, B の全件を掲載する目的で付録A~付録D を
作成する上で、外部パラメタファイルの設定は意図的に小さい値
(t=8, k = 10)を選択している。この点は定理6.3.30 の直後での
言及通り、数学的証明上は問題とならない。
 検査表A・B は、付録の再現手順に従って同様の結果を再現できる。
付録に含まれる自動生成スクリプト例は Python で実装されており、
その動作は外部パラメタファイルで制御可能となっている。したがって、
有限検査証明書の検査表A・B 等に対して、様々なパラメタを
与えることで、任意に複数の場合を容易に検証可能である。
すなわち、確認をしたいレベルで検証が可能である。
 なお、実際の計算資源には制約があるため、本稿では報告の実用的上限を
t = 8 ~ 10 の場合で $K \le 10{,}000$ に設定している。この値以上の場合には
計算資源不足により実行不能となる場合がある。この上限は計算資源の
制約による実務的な選択であり、理論的な限界を意味するものではない。

補足 (有限検査証明書の整数パラメタの連関).
 $L_{min}$ を、$t, K$ 等のパラメタの扱いに関して、それらの項目群を
有限検査証明書として成立させるための $L$ 値の最小値と定義する。
 すなわち、$L_{min}$ 以上のパラメタ $L$ を指定しても、該当の $K$ の
パラメタ指定においては、有限検査証明書の合格状態は変化しない。
 これは、事実上、$L$ が該当するするパラメタ環境において出現する
有限個の奇数である初期値に対して、コラッツ収束を保証する
遷移回数として機能することを示している。実際には、$L$以外の
パラメタとして、増率が存在し、有限検査の判定条件を構成している。
 $L$ は、ある初期値がコラッツ収束するかどうかという点には
本来は無関係であり、有限検査証明書を構成する単なるパラメタ
(遷移軌道の最大計算回数)である。
 ただし、結果的に $L$ がコラッツ収束を保証する遷移回数として
機能することには意義がある。何故ならば、パラメタとして指定される
増率に頼ることなく、コラッツ演算の誤差評価に対する計算を
定義通り正確に実行できるからである。

 以下に、$t = 8, 9, 10$ に対する $K$ と $L_{\min}$ の依存関係を図示する。
K-LminLogarithm.png
      [図 6.3]$L_{\min}$ の $K$ 依存性 (t = 8, 9, 10)

 図6.3 の横軸は $K$(対数スケール)、縦軸は $L_{\min}$ であり、各系列が
$t$ の値に対応している。この図から明らかなように、$K$ を増加させても、
$L_{\min}$ は緩やかにしか増大せず、有限検査証明書の成立において
支配的な役割を果たすのは $L_{\min}$ の確定である。すなわち、
$K$ の選択は補助的な調整に過ぎず、実務上の要請、すなわち、
証明の確定作業の本質は、事実上 $L_{\min}$ を適切に設定することにある。
 添付している有限検査証明書の自動生成スクリプト例では、
検査表A に関して不合格判定となった場合においては、
不合格となった初期値 $V_0$ の最小値がエラーメッセージとして
出力されるようになっている。
 よって、この $V_0$ に対してコラッツ収束する場合の遷移回数を求め、
外部設定ファイルに含まれる $L$ の指定値を更新して再実行すれば、
不合格判定の状況が改善される。この作業を繰り返せば、合格判定に
到達することができる。
 なお、参考文献 [4] より、コラッツ収束する奇数の範囲は、実際には
$2^{60}$ まで計算されている。よって、定理6.3.30 が自然数に対する
合同類による分類を理論上の基盤としていることから、$t, L, K$ の
組合せに依存するにせよ、モード分類値の実際面として、
出現する全ての場合において適切な $L$ を定めることが出来る。

注記 (自動生成スクリプトの制限事項) .
 本定理の有限検査証明書
の自動生成スクリプト例の実行に関する
可用性は、稼働させる実行環境に大きく依存する。すなわち、
実行環境における計算機資源(メモリ容量、ディスク容量等)の
制限によっては、有限検査証明書の計算に失敗する場合があり得る。
 例えば、自動生成スクリプト例の外部パラメタファイルに
整数パラメタとして、$t = 10, K = 20000, L = 256$
(その他のパラメタはデフォルト値)を与えた場合、
著者が試した Python 環境においては、その実行が停止した。

補足 (定理6.3.30 関連の付録一覧).
 定理6.3.30 の有限検査証明書に関する付録一覧を以下に示す。
(※記事掲載上の制限から同一サイトに置けず、すべて外部リンクである。)

6.4 コラッツ遷移値の上界

 コラッツ遷移値に対して上界が存在し、以下の補題が成り立つ。

補題6.4 (コラッツ遷移値の上界). 〇
 奇数に着目したコラッツ遷移において、初期値を $V_0 \in \mathbb{N}_{odd}$,
n 番目の遷移値を $V_n$、経過比率を $R_n$ とすると、
$V_n$ には上界が存在し、以下の関係式が成り立つ。

	\displaystyle V_n \lt 2\frac{V_0}{R_n}.

証明.
 コラッツ遷移比率方程式の経過比率 $R_n$ を用いた形式は以下である。

	\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = R_n \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})}).

上式を変形すると、以下となる。

	\displaystyle V_n = \frac{V_0}{R_n}\frac{1}{\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})}.	\tag{1}

 $\displaystyle 2\frac{V_0}{R_n}$ と $V_n$ の差分を計算し、大小関係を判定する。

\begin{align}
	2\frac{V_0}{R_n} -  V_n &= 2\frac{V_0}{R_n} - \frac{V_0}{R_n}\frac{1}{\displaystyle \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})})} \\
	&= \frac{V_0}{R_n}\Big(2 - \frac{1}{\displaystyle \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})})}\Big).
\end{align}

 左辺が正であるためには、以下の不等式が成り立つ必要がある。

	\displaystyle \Big(2 - \frac{1}{\displaystyle \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})})}\Big) \gt 0.
	\displaystyle \prod_{k=1}^{n} (1 - \frac{1}{g(V_{k-1})}) \gt \frac{1}{2}.	\tag{2}

 一方、系6.3.31 より、式(2) は成り立つ。よって、

	\displaystyle 2\frac{V_0}{R_n} \gt V_n.

である。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

6.5 コラッツ遷移不等式

 奇数コラッツ遷移列を $V_0, V_1, \cdots, V_n$ とする。
このとき、$V_0$ は初期値である。$V_0$ と経過比率 $R_n$ を用いて、
初期値相対経過比率 $Q_n$ を定義する。

	\displaystyle Q_n := \frac{R_n}{V_0}

 コラッツ遷移において、遷移状態値(${V_n}{Q_n}$)に対する上界/下界が
定数として存在することをコラッツ遷移不等式として、以下に示す。

定理6.5 (コラッツ遷移不等式). 〇
 奇数コラッツ遷移列を $V_0, V_1, \cdots, V_n$ とするとき、
初期値相対経過比率 $Q_n$ との積である状態遷移値 ${V_n}{Q_n}$ は有界であり、
以下の関係が成り立つ。

	1 \le {V_n}{Q_n} \lt 2.	\tag{1}

ただし、下側の等号は、積項 $\displaystyle \prod_{k=1}^{n}(1 - 1/g(V_{k-1}))$ が $1$ となる場合、
すなわち、$n = 0$ の初期状態に限って成り立つ。

 式(1) をコラッツ遷移不等式という。

証明.
 補題6.2、補題6.4 より、以下の関係が成り立つ。

	\displaystyle 2 \frac{V_0}{R_n} \gt V_n \ge \frac{V_0}{R_n}.	\tag{2}

なお、式(2) で等号が成り立つ条件は補題6.2 に従う。すなわち、
等号は $n = 0$ の初期状態に限って成り立つ。

 $V_0, R_n \gt 0$より、$\frac{V_0}{R_n} \gt 0$ なので、上式の各項を $\frac{V_0}{R_n}$ で割ると、

	\displaystyle 2 \gt V_n\frac{R_n}{V_0} \ge 1.

上式に初期値相対経過比率 $Q_n$ を代入すると、

	2 \gt {V_n}{Q_n} \ge 1.	\tag{3}

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

 定理6.5 より、$V_n$ と $Q_n$ の積は常に一定範囲に収まる。
 ただし、定理6.5 が与えるのは、あくまで 積 $V_n Q_n$ の有界性であり、
$V_n$ 単体の上界(系1.6.3 の条件)を直ちに与えるものではない。実際、
$Q_n \to 0$ が起こり得るならば、積が有界のままでも $V_n$ は発散し得る。
 したがって、コラッツ遷移不等式だけでは無限経路の存在否定には
到達せず、無限経路が存在するならば、$Q_n \to 0$(同値に $R_n \to 0$)が
要請される点を別原理で排除する必要がある。

 ここで、コラッツ遷移が $1$ に到達する場合を考える。このとき、
$V_n = 1$ なので、$Q_n \gt 1$ となる。
 逆に、$Q_n \gt 1$ となるとき、式(3) を満たす自然数$V_n$ は $1$ 以外に
存在しない。よって、$Q_n \gt 1$ となるとき、コラッツ遷移が $1$ に到達する。
 このとき、初期値相対経過比率 $Q_n$ の定義より、$R_n \gt V_0$ である。
すなわち、$n \gt 0$ の場合、コラッツ遷移が $1$ に到達するとき、
$R_n$ は初期値 $V_0$ より大きくなる。

 一方、初期値下降シーケンスの観点で捉えると、式(3) は

	2 \gt \frac{V_n}{V_0} \times {R_n} \ge 1.	\tag{4}

$W_n = \frac{V_n}{V_0}$ とおいて、式(4) に代入すると、

	2 \gt {W_n}{R_n} \ge 1.	\tag{5}

6.6 コラッツ遷移一般方程式とコラッツ遷移不等式

 §3.5.2 では、コラッツ遷移一般方程式を自然数上の循環経路へ
適用した場合に導かれる必要条件を示した。
 本節では、その結果と、本章のコラッツ遷移不等式を循環経路へ
適用した場合に導かれる必要条件が一致することを示す。

 この一致には、次の3つの意義がある。

 第一に、異なる経緯と着眼点から構築された二つの論証が、
循環経路に対して同一の結論へ収斂することを示す。

 第二に、有限検査証明を用いて成立するコラッツ遷移不等式が、
実際のコラッツ遷移を反復合成したコラッツ遷移一般方程式の
代数的構造と整合することを示し、両論証の正当性を相互に補強する。

 第三に、コラッツ遷移一般方程式が、単なる遷移値の規定式ではなく、
正整数上で実際のコラッツ遷移が成立するための条件を内包していることを
明確にする。

6.6.1 コラッツ遷移不等式から導かれる循環条件

 定理6.5 より、コラッツ遷移不等式

1 \le V_n Q_n \lt 2 \quad (Q_n = \frac{R_n}{V_0}). \tag{1}

が成り立つ。ただし、$V_n$ は奇数コラッツ遷移列の 第 $n$ 項($n \in \mathbb{Z}_{\ge 0}$)、
$R_n$ は経過比率である。

 式(1) の等号は、$n = 0$ の初期状態に限って成立する。
したがって、長さ $L \ge 1$ の循環経路全体へ適用した場合、

1 \lt V_L Q_L \lt 2. \tag{2}

である。

 循環条件 $V_L = V_0$ および、

Q_L = \frac{R_L}{V_0}.

を式(2) へ代入すると、

1 \lt R_L \lt 2.

を得る。$R_L = \frac{2^S}{3^L}$ であるから、

1 \lt \frac{2^S}{3^L} \lt 2. \tag{3}

である。上式の左辺より、

2^S \gt 3^L.

したがって、両辺の対数を底 $2$ でとると、

\frac{S}{L} \gt \log_{2} 3.

両辺から 1 を引くと、

\frac{S}{L} - 1 \gt \log_{2}{3} - 1.

「3.5.1 循環経路に対する共通設定」にしたがって、
$\lambda_x = \frac{S}{L} - 1$ 、$\alphastar = \log_{2}{3} - 1$ を代入すると、

\lambda_x \gt \alphastar. \tag{4}

を得る。

 次に、式(3) の右辺より、

2^S \lt 2 \cdot 3^L. \tag{5}

である。

 ここで、$S \gt 2L$ と仮定する。$S$ は整数であるから、

S \ge 2L + 1.

である。このとき、

\begin{aligned}
2^S
& \ge 2^{2L + 1} \\
& = 2 \cdot 4^L \\
& \gt 2 \cdot 3^L
\end{aligned}.

となり、式(5) に反する。したがって、

S \le 2L.

である。よって、

\lambda_x = \frac{S}{L} - 1 \le 1. \tag{6}

を得る。

 式(4) および式(6) より、コラッツ遷移不等式からも、

\alphastar \lt \lambda_x \le 1. \tag{7}

が導かれる。

 さらに、上端等号 $\lambda_x = 1$ を仮定すると、

S = 2L, \quad R_L = \left( \frac{4}{3} \right)^L.

である。

 一段階の実コラッツ遷移について、

\begin{aligned}
\frac{2^{T_i}V_i}{3V_{i - 1}}
& =
\frac{3V_{i - 1} + 1}{3V_{i - 1}} \\
& =
1 + \frac{1}{3V_{i - 1}} \\
& \le
\frac{4}{3}.
\end{aligned} \tag{8}

が成り立つ。式(8) の等号は、$V_{i - 1} = 1$ の場合に限る。

 式(8) を全ての $i$ について乗算すると、循環条件により、

\begin{aligned}
\prod_{i = 1}^{L}
\frac{2^{T_i}V_i}{3V_{i - 1}}
& =
\frac{2^S}{3^L}
\prod_{i = 1}^{L}
\frac{V_i}{V_{i - 1}} \\
& =
\frac{2^S}{3^L} \\
& =
R_L \\
& \le
\left( \frac{4}{3} \right)^L.
\end{aligned} \tag{9}

を得る。

 $\lambda_x = 1$ の場合、式(9) の両辺は等しい。したがって、
全ての $i$ について式(8) の等号が成立しなければならない。よって、

V_0 = V_1 = \cdots = V_{L - 1} = 1.

である。

 したがって、コラッツ遷移不等式から導かれる上端等号も、
奇数表示における自明なループに限られる。

6.6.2 循環経路条件の導出同値性

 コラッツ遷移一般方程式とコラッツ遷移不等式から導かれる
循環経路に関する平均追加除算回数比率の必要条件は一致する。

定理6.6.1 (循環経路条件の導出同値性). ◎
 自然数の奇数からなる長さ $L \ge 1$ の循環経路が存在するとする。

 このとき、コラッツ遷移一般方程式および
コラッツ遷移不等式から導かれる平均追加除算回数比率の
必要条件は一致し、いずれも、

\alphastar \lt \lambda_x \le 1. \tag{1}

を与える。

 また、式(1) の上端等号 $\lambda_x = 1$ が成立するのは、
奇数表示における自明なループ $1 \mapsto 1$ の場合に限る。

 したがって、非自明な循環経路が存在するためには、

\alphastar \lt \lambda_x \lt 1. \tag{2}

が必要である。

証明.
 コラッツ遷移一般方程式側では、定理3.5.1 より、

\alphastar \lt \lambda_x \le 1.

が得られ、その上界側の等号は自明なループの場合に限られる。

 一方、コラッツ遷移不等式側でも、§6.6.1 より、

\alphastar \lt \lambda_x \le 1.

が得られ、その上端等号は自明なループの場合に限られる。

 したがって、両者から導かれる循環経路の必要条件は、
上下限および上端等号条件まで含めて一致する。

 また、非自明な循環経路では上端等号が成立しないため、

\alphastar \lt \lambda_x \lt 1.

が必要である。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

6.6.3 両論証の一致が持つ意義

 定理6.6.1 はコラッツ遷移一般方程式とコラッツ遷移不等式そのものが
一般的に同値であることを主張するものではない。

 本定理が示すのは、自然数上の循環経路という同一条件を課した場合に、
両者から導かれる必要条件が一致することである。

 この一致が持つ第一の意義は、相互の結論を前提とせずに構築された
二つの論証経路が、循環経路について同一の上下限および
等号条件へ収斂する点にある。

 第二の意義は、コラッツ遷移不等式の正当性に対する補強である。
同不等式の上界側は、§6.3で示した有限検査証明を基礎として成立する。
 その有限検査証明を経て得られた循環条件が、実際のコラッツ遷移を
反復合成したコラッツ遷移一般方程式からの厳密な導出結果と
一致することは、有限検査証明と実遷移の代数的構造が
整合していることを示す。

 同時に、有限検査証明を含む別経路から同一結果が得られることは、
コラッツ遷移一般方程式からの導出結果についても、
横断的な整合性確認としての補強効果を持つ。

 第三の意義は、コラッツ遷移一般方程式の性格を明確にする点にある。
同方程式は、一段階ごとの実コラッツ遷移、

\begin{aligned}
3V_{i - 1} + 1 & = 2^{T_i}V_i, \\
T_i & = \mathrm{ord}_{2}(3V_{i - 1} + 1), \\
V_i & \in \mathbb{N}_{\mathrm{odd}}
\end{aligned}.

を反復合成して導出される。

 したがって、同方程式は、初期値、除算指数列および到達値の
代数的関係を与える遷移値規定式であるだけではない。
同方程式と、その導出時に置かれた正の奇数整数性および正確な
$2$ 進付値の条件を一体として読むことにより、指定された遷移パターンが
正整数上の実コラッツ遷移として成立し得るかを規定する
算術的実現可能性条件の基礎となる。

 すなわち、

\boxed{
\begin{aligned}
\text{コラッツ遷移一般方程式}
& = \text{遷移値規定} \\
& \quad +
\text{正整数上の実遷移成立条件の基礎}
\end{aligned}
}.

という性格を持つ。

 コラッツ遷移一般方程式へ形式的な除算指数列を代入して
代数的な値が得られたとしても、各中間値が正の奇数整数であり、
かつ各 $T_i$ が、

T_i = \mathrm{ord}_{2}(3V_{i - 1} + 1).

を満たさなければ、それは自然数上の実コラッツ遷移ではない。

 コラッツ遷移一般方程式から導かれる循環条件と、
有限検査証明を伴うコラッツ遷移不等式から導かれる循環条件が
一致することは、コラッツ遷移一般方程式が実際のコラッツ遷移の
成立構造を保持していることを、別の論証経路との比較によって
明確にするものである。

 本節の結果は、後続章において循環経路の存在を排除する際に、
コラッツ遷移一般方程式と本章のコラッツ遷移不等式との整合性を
参照するための横断的な基礎となる。

6.7 コラッツ遷移の (8k + 5) 型到達構造

 本節では、奇数に着目したコラッツ遷移について、$(8k + 5)$ 型へ
到達するまでの遷移構造を整理する。
 特に、$(8k + 5)$ 型へ到達しない場合に許される遷移を、
有限個の合同類に基づいて形式化し、その回避構造を明らかにする。
 さらに、この結果を用いて、$(8k + 5)$ 型へ永久に到達しないと
仮定した場合に必要となる無限遷移構造を示す。

6.7.1 (8k + 5) 型への到達遷移の形式化

 以下では、奇数コラッツ遷移を定義1.1.7 の $R(n)$ により扱う。
また、本小節内に限り、奇数値の合同類に対して次の記号を用いる。
これらは、実際の奇数値が属する合同類を表す略号である。

\begin{aligned}
A &: \quad n \equiv 11 \pmod {16}, \\
B &: \quad n \equiv 1 \pmod {32}, \\
C &: \quad n \equiv 9 \pmod {32}, \\
D &: \quad n \equiv 25 \pmod {32}.
\end{aligned}

 なお、$A, B, C, D$ は本節における合同類記号であり、第5章の
exact token 名そのものではない。表5.C1 との対応では、
$A, B, C, D$ はそれぞれ S3[11], L1[1], L1[9], L1[25] の
適用合同類に対応する。また、以下で $(8k + 5)$ 型へ直結する
$(32k + 17)$ 型は L1[17] の適用合同類に対応する。
 本節では、第1章の合同類遷移を直接追跡するため、引き続き
$A, B, C, D$ を合同類記号として用いる。この対応は第 5 章との
用語上の同期を与えるものであり、以下の分枝追跡自体は§1.2.7 の
各データ型遷移パターンに基づく。
 このうち $A$ 型は、定義5.17.1 で用いる S3[11] と同一の合同類である。
したがって、ある $A$ 型値から、その後最初に再び $A$ 型値が出現するまでの
有限区間は、定義5.17.1 の S3[11] 第一帰還区間に一致する。

 以下の補題では、§1.2.7 の各データ型遷移パターンと、
補題1.2.8 および 補題1.2.9 を用いて、$A$ 型値から
$(8k + 5)$ 型または次の $A$ 型値へ到達するまでの分枝を
すべて明示的に追跡する。

補題6.7.1 ($(8k + 5)$ 型回避時の S3[11] 第一帰還区間の構造).
 次の奇数コラッツ遷移を考える。

V_0, V_1, V_2, \ldots, \qquad V_{i + 1} = R(V_i).

 ある $s \in \mathbb{Z}_{\ge 0}$ に対して $V_s$ が $A$ 型であるとする。$V_s$ より後に、
$A$ 型または $(8k + 5)$ 型の値が最初に現れる項を $V_t$ とする。
このような $t$ は有限整数として必ず存在し、次のいずれか一方が成り立つ。
 (i) $V_t$ は $(8k + 5)$ 型である。
 (ii) $V_t$ は $A$ 型である。

 さらに、(ii) の場合、区間 $V_s, V_{s + 1}, \ldots, V_t$ は
S3[11] 第一帰還区間であり、この区間には $(8k + 5)$ 型の値は現れない。
したがって、この区間は 定義5.17.2 の survivor 第一帰還枝である。
 また、この区間から $A, B, C, D$ 型に属する値だけを出現順に
取り出すと、始点の $A$ 型値の後に $B$ 型値が有限個連続し、
その後に $C$ 型または $D$ 型の値が一つ現れ、
最後に $V_t$ の $A$ 型値が現れる。$B$ 型値が一つも現れない場合を含む。
 この分解における $B$ 型値の個数、および $C$ 型か $D$ 型かの区別は
一意に定まる。

証明.
 $V_s$ は $A$ 型であるから、ある $k \in \mathbb{Z}_{\ge 0}$ に対して、

V_s = 16k + 11.

§1.2.7 の遷移式より、

16k + 11 \to 24k + 17 \equiv 1 \pmod {8}.

したがって、$V_s$ の次の奇数値は $(8k + 1)$ 型である。また、

24k + 17 \ge 17.

であるから、この値は $1$ ではない。

 $(8k + 1)$ 型は mod $32$ により、

32k + 1, \qquad 32k + 9, \qquad 32k + 17, \qquad 32k + 25.

の4種類に分かれる。§1.2.7 より、それぞれの次の奇数値は、

\begin{aligned}
32k + 1  &\to 24k + 1  \equiv 1 \pmod {8}, \\
32k + 9  &\to 24k + 7  \equiv 7 \pmod {8}, \\
32k + 17 &\to 24k + 13 \equiv 5 \pmod {8}, \\
32k + 25 &\to 24k + 19 \equiv 3 \pmod {8}.
\end{aligned}

となる。
 ここで、$32k + 1$ 型は $B$ 型、$32k + 9$ 型は $C$ 型、
$32k + 25$ 型は $D$ 型である。
 したがって、$(8k + 1)$ 型を継続する分枝は $B$ 型だけであり、
$32k + 17$ 型へ入った場合は次の奇数値が直ちに $(8k + 5)$ 型となる。

 補題1.2.9 より、$1$ を除く $(8k + 1)$ 型遷移は永続しない。
$V_s$ の次の奇数値は $1$ ではないから、$B$ 型だけが無限に
連続することはない。
 したがって、$B$ 型が有限個連続した後には、$C$ 型、$D$ 型または
$32k + 17$ 型のいずれかが現れる。
なお、$B$ 型が一つも現れず、直ちにこれらの型へ進む場合も含む。
 $32k + 17$ 型が現れた場合、その次の奇数値が $(8k + 5)$ 型であるから、
(i) が成立する。

 次に、$C$ 型が現れた場合を考える。$C$ 型は $(32k + 9)$ 型であり、
§1.2.7 より、

32k + 9 \to 24k + 7 \equiv 7 \pmod {8}.

したがって、$C$ 型の次の奇数値は $(8k + 7)$ 型である。
 ここで、§1.2.7 より、$(8k + 7)$ 型は mod $16$ によって
$(16k + 7)$ 型または $(16k + 15)$ 型に分かれる。それぞれ、

\begin{aligned}
16k + 7  &\to 24k + 11 \equiv 3 \pmod {8}, \\
16k + 15 &\to 24k + 23 \equiv 7 \pmod {8}.
\end{aligned}

となる。よって、$(8k + 7)$ 型の各遷移は、再び $(8k + 7)$ 型を継続するか、
$(8k + 3)$ 型へ離脱するかのいずれかである。
 さらに、補題1.2.8 より $(8k + 7)$ 型遷移は永続しない。
したがって、$C$ 型の後では $(8k + 7)$ 型が有限個連続した後、
必ず $(8k + 3)$ 型へ到達する。

 $(8k + 3)$ 型は mod $16$ により、$(16k + 3)$ 型または
$(16k + 11)$ 型に分かれる。§1.2.7 より、前者では、

16k + 3 \to 24k + 5 \equiv 5 \pmod {8}.

となるため、その次の奇数値は $(8k + 5)$ 型であり、(i) が成立する。
一方、後者はその値自身が $A$ 型であるから、(ii) が成立する。
 以上より、$C$ 型が現れた場合にも、有限回で (i) または (ii) の
いずれかが成立する。

 次に、$D$ 型が現れた場合を考える。$D$ 型は $(32k + 25)$ 型であり、
§1.2.7 より、

32k + 25 \to 24k + 19 \equiv 3 \pmod {8}.

したがって、$D$ 型の次の奇数値は $(8k + 3)$ 型である。
この $(8k + 3)$ 型値についても、前段と同様に、$(16k + 3)$ 型ならば
次に $(8k + 5)$ 型へ到達し、$(16k + 11)$ 型ならば、その値自身が
$A$ 型である。よって、$D$ 型が現れた場合にも、有限回で (i) または
(ii) のいずれかが成立する。

 以上のすべての分枝を合わせると、$V_s$ より後には有限回で必ず
$A$ 型または $(8k + 5)$ 型の値が現れる。したがって、そのうち
最初に現れる項 $V_t$ は有限の添字 $t$ によって一意に定まり、
(i) または (ii) のいずれか一方が成立する。

 (ii) の場合、$V_t$ は $V_s$ より後に最初に現れる $A$ 型値であり、
$V_s$ から $V_t$ までには $(8k + 5)$ 型の値も現れない。
 したがって、区間 $V_s, V_{s + 1}, \ldots, V_t$ は、定義5.17.1 の
S3[11] 第一帰還区間である。
 さらに、この一つの区間だけで長さ $1$ の有限 S3[11] survivor を
構成するから、定義5.17.2 により、
この区間は survivor 第一帰還枝である。

 この区間では、始点の $A$ 型値の次に $(8k + 1)$ 型へ入り、
$B$ 型値が有限個連続した後、$C$ 型または $D$ 型のいずれかが
一つ現れる。$32k + 17$ 型が現れる分枝は、その直後に
$(8k + 5)$ 型へ到達するため、(ii) では生じない。
 $C$ 型の後には $(8k + 7)$ 型だけが有限個連続し、
その後に$(8k + 3)$ 型へ到達する。
また、$D$ 型の後には直ちに $(8k + 3)$ 型へ到達する。
 (ii) では、この $(8k + 3)$ 型値は $(16k + 11)$ 型、すなわち
$A$ 型でなければならない。したがって、$C$ 型または $D$ 型の後、
$V_t$ へ到達するまでに $A, B, C, D$ 型は新たに現れない。

 よって、区間 $V_s, V_{s + 1}, \ldots, V_t$ から $A, B, C, D$ 型だけを
出現順に取り出すと、始点の $A$ 型値の後に $B$ 型値が有限個連続し、
その後に $C$ 型または $D$ 型の値が一つ現れ、
最後に $V_t$ の $A$ 型値が現れる。
これは、$B$ 型値が一つも現れない場合を含む。

 定義1.1.7 の $R(n)$ は各正奇数に対して一意に定まる。また、$V_t$ は、
$A$ 型または $(8k + 5)$ 型が最初に現れる項として一意に定まる。
したがって、(ii) における $B$ 型値の連続個数、および、その後に現れる
$C$ 型か $D$ 型かの別も一意に定まる。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

6.7.2 (8k + 5) 型無限回避列の構造

 前小節で得た S3[11] 第一帰還区間の構造を用いて、
$(8k + 5)$ 型へ永久に到達しないと仮定した場合に必要となる
無限遷移構造を示す。
 そのために、まず、この仮定の下では $1$ に到達できず、さらに
有限回で $A$ 型へ到達することを独立した補題として示す。
 その後、その補題と 補題6.7.1 を用いて、無限回避列が
有限接頭辞の後に無限 S3[11] survivor を構成することを示す。

補題6.7.2 ($(8k + 5)$ 型無限回避仮定下の $A$ 型有限到達).
 $V_0 \in \mathbb{N}_{\mathrm{odd}}$, $V_0 \ne 1$ を初期値とする次の奇数コラッツ遷移を考える。

V_0, V_1, V_2, \ldots, \qquad V_{i + 1} = R(V_i).

 この遷移列のどの項も $(8k + 5)$ 型ではない、すなわち、初期値
$V_0$ を含めて $(8k + 5)$ 型へ永久に到達しないと仮定する。
 このとき、ある有限整数 $s \ge 0$ が存在して、$V_s$ は $A$ 型となる。

証明.
 最初に、仮定の下では遷移列が $1$ に到達しないことを示す。
 ある奇数 $n \gt 1$ に対して、

R(n) = 1.

が成り立つと仮定する。定義1.1.7 より、
$p := \mathrm{ord}_2(3n + 1)$ とおけば、$p \ge 1$ であり、$R(n) = 1$ から、

3n + 1 = 2^p.

である。
 上式を mod $3$ で見ると $2^p \equiv 1 \pmod {3}$ である。
$2 \equiv -1 \pmod {3}$ であるから、$p$ は偶数である。
$p = 2$ ならば $n = 1$ となるので、$n \gt 1$ より $p \ge 4$ である。
 そこで $p = 4 + 2q$, $q \in \mathbb{Z}_{\ge 0}$ と書く。

2^p = 16 \cdot 4^q.

また、$16 \cdot 4 \equiv 16 \pmod {24}$ であるから、帰納的に、

2^p \equiv 16 \pmod {24}.

が成り立つ。したがって、

3n + 1 \equiv 16 \pmod {24}.

より、

3n \equiv 15 \pmod {24}.

となる。両辺を $3$ で割って mod $8$ で見ると、

n \equiv 5 \pmod {8}.

である。
 よって、$1$ 以外の奇数から $1$ へ到達する直前には、必ず
$(8k + 5)$ 型の奇数を通過する。
 したがって、本補題の仮定の下では、遷移列中に $1$ は現れない。

 次に、初期値 $V_0$ のデータ型ごとに、有限回で $A$ 型へ到達する
ことを示す。本補題の仮定より、$V_0$ は $(8k + 5)$ 型ではない。
したがって、$V_0$ は $(8k + 1)$ 型、$(8k + 3)$ 型または$(8k + 7)$ 型の
いずれかである。

 まず、$V_0$ が $(8k + 3)$ 型の場合を考える。mod $16$ では、
$(16k + 3)$ 型または $(16k + 11)$ 型のいずれかである。
 $(16k + 3)$ 型ならば、§1.2.7 より次の奇数値は $(8k + 5)$ 型となるため、
本補題の仮定に反する。したがって、$V_0$ は $(16k + 11)$ 型、
すなわち $A$ 型である。この場合は $s = 0$ とすればよい。

 次に、$V_0$ が $(8k + 7)$ 型の場合を考える。§1.2.7 より、
$(8k + 7)$ 型の各遷移は、$(8k + 7)$ 型を継続するか、
$(8k + 3)$ 型へ離脱するかのいずれかである。
 補題1.2.8 より $(8k + 7)$ 型遷移は永続しないため、有限回で
$(8k + 3)$ 型へ到達する。
 その $(8k + 3)$ 型値が $(16k + 3)$ 型であれば、その次に
$(8k + 5)$ 型へ到達して仮定に反する。したがって、その値は
$(16k + 11)$ 型、すなわち $A$ 型でなければならない。
 よって、この場合も有限回で $A$ 型へ到達する。

 最後に、$V_0$ が $(8k + 1)$ 型の場合を考える。仮定より $V_0 \ne 1$ である。
したがって、補題1.2.9 より $(8k + 1)$ 型遷移は永続しない。
 §1.2.7 より、$(8k + 1)$ 型から離脱するときの遷移先は、
$(8k + 3)$ 型、$(8k + 5)$ 型または $(8k + 7)$ 型のいずれかである。
$(8k + 5)$ 型への離脱は、本補題の仮定に反するため生じない。
 $(8k + 3)$ 型へ離脱した場合、その値が $(16k + 3)$ 型ならば
次に $(8k + 5)$ 型へ到達して仮定に反するため、その値は $(16k + 11)$ 型、
すなわち $A$ 型でなければならない。
 $(8k + 7)$ 型へ離脱した場合は、前段と同様に有限回で $(8k + 3)$ 型へ
到達し、その値は $A$ 型でなければならない。
 よって、この場合も有限回で $A$ 型へ到達する。

 以上より、いずれの場合にも、ある有限整数 $s \ge 0$ が存在して、

V_s \equiv 11 \pmod {16}.

すなわち、$V_s$ は $A$ 型となる。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

系6.7.3 (無限 $(8k + 5)$ 型回避列の S3[11] survivor 構造).
 $V_0 \in \mathbb{N}_{\mathrm{odd}}$, $V_0 \ne 1$ を初期値とする次の奇数コラッツ遷移を考える。

V_0, V_1, V_2, \ldots, \qquad V_{i + 1} = R(V_i).

 この遷移列のどの項も $(8k + 5)$ 型ではない、すなわち、
初期値 $V_0$ を含めて $(8k + 5)$ 型へ永久に到達しないと仮定する。
 このとき、有限個の初期遷移の後に現れる $A$ 型値を順に
$16a_0 + 11, 16a_1 + 11, \ldots$ と書くと、係数列 $(a_j)_{j \ge 0}$ は
定義5.17.2 の無限 S3[11] survivor となる。
 したがって、隣接する $A$ 型値の間には無限個の survivor 第一帰還枝が
連続して現れる。
 各 survivor 第一帰還枝では、始点の $A$ 型値の後に $B$ 型値が
有限個連続し、その後に $C$ 型または $D$ 型の値が一つ現れ、最後に
次の $A$ 型値が現れる。これは $B$ 型値が一つも現れない場合を含む。
 また、各 survivor 第一帰還枝における $B$ 型値の個数、および
$C$ 型か $D$ 型かの別は一意に定まる。

証明.
 補題6.7.2 より、ある有限整数 $s \ge 0$ が存在し、$V_s$ は $A$ 型となる。
 そこで、補題6.7.1 を $V_s$ から適用する。
補題6.7.1 によれば、$A$ 型値から有限回で $(8k + 5)$ 型または
次の $A$ 型値へ到達する。本系の仮定では $(8k + 5)$ 型は現れないから、
$V_s$ から有限回で次の $A$ 型値へ到達する。

 次に、その新しい $A$ 型値を始点として、再び 補題6.7.1 を適用する。
本系の仮定は遷移列全体について成り立っているため、
この場合も $(8k + 5)$ 型へ到達する分枝は生じず、
有限回でさらに次の $A$ 型値へ到達する。
 この操作を繰り返すと、各段階で有限回の遷移の後に
次の $A$ 型値が得られる。したがって、$V_s$ 以後には
$A$ 型値が無限に現れ、隣接する二つの $A$ 型値の間は、
それぞれ 定義5.17.1 の S3[11] 第一帰還区間となる。
 本系の仮定により、これら各区間の内部には $(8k + 5)$ 型の値が
一つも現れない。そこで、$V_s$ 以後に現れる $A$ 型値を順に
$16a_0 + 11, 16a_1 + 11, \ldots$ と書く。
このとき、係数列 $(a_j)_{j \ge 0}$ は定義5.17.2 の無限 S3[11] survivor を構成し、
隣接する $A$ 型値間の各区間は survivor 第一帰還枝である。

 各 survivor 第一帰還枝の内部構造は 補題6.7.1 で示した通りである。
すなわち、始点の $A$ 型値の後に $B$ 型値が有限個連続し、
その後に $C$ 型または $D$ 型の値が一つ現れ、最後に次の $A$ 型値が現れる。
これは、$B$ 型値が一つも現れない場合を含む。
 また、奇数コラッツ遷移 $R$ は一意に定まり、各区間の終点も
次に現れる $A$ 型値として一意に定まる。
 よって、各区間における $B$ 型値の個数、および $C$ 型か $D$ 型かの
区別も一意に定まる。

 したがって、命題は成り立つ。
$\square$

6.8 コラッツ遷移状態値

 定理6.5 より、コラッツ遷移不等式は、

	1 \le {V_n}{Q_n} \lt 2.	\tag{1}

である。このとき、奇数に着目したコラッツ遷移において、$\forall n \in \mathbb{Z}_{\ge 0}$ に
対して、$n$ 番目の遷移値 $V_n$、$n$ 番目の初期値相対経過比率 $Q_n$ である。
 なお、遷移回数 = 0 は初期値を指す。すなわち、$V_0$ を初期値とする。
$Q_n$ は初期値 $V_0$ に対する $n$ 番目の経過比率 $R_n$ の比 $\displaystyle \frac{R_n}{V_0}$ である。

 以降では代表的なコラッツ遷移例に対して、コラッツ遷移不等式における
コラッツ遷移状態量 ${V_n}{Q_n}$ の具体値を主体に、コラッツ遷移状態値を
例示する。
 例として取り上げるコラッツ遷移の初期値とその関連情報を以下に示す。
ただし、遷移回数は奇数に着目した場合であり、コラッツ収束するまでの
遷移回数である。

    [表6.8]コラッツ遷移状態値(例)

№ 初期値 遷移回数 備考
1 1 1 @1: コラッツ遷移における唯一の自己参照ループ
2 3 2 分岐テーブル の代表値が3の奇数倍の最小値
3 9 6 コラッツ遷移の典型例
4 27 41 比較的遷移回数が多いコラッツ遷移($27 = 3^3$)

 具体値を例示するコラッツ遷移状態値の対象は、以下である。

  • $R_n$ :経過比率
  • $Q_n$ :初期値相対経過比率
  • $V_nQ_n$:コラッツ遷移状態量

 また、コラッツ遷移状態値に関する図表の凡例を以下とする。
凡例(コラッツ遷移状態値)2.png
      [図6.8.1]凡例(コラッツ遷移状態値に関する図表)

 最初に、コラッツ遷移状態値のデータ表を列挙する。
 ◆Example01(1 → 1)
CollatzTransiionDataExample01(1 → 1)2.png
      [図6.8.2]データ表(コラッツ遷移状態値例01[1 → 1])

 ◆Example02(3 → 5 → 1)
CollatzTransiionDataExample02(3 → 5 → 1)2.png
     [図6.8.3]データ表(コラッツ遷移状態値例02[3 → 5 → 1])

 ◆Example03(9 → 7 → 11 → 17 → 13 → 5 → 1)
CollatzTransiionDataExample03(9 → 7 → ・・・ → 1)2.png
 [図6.8.4]データ表(コラッツ遷移状態値例03[$9 \to 7 \to \dots \to 1$])

 ◆Example04(27 $\to 41 \to 31 \to \dots \to 53 \to 5 \to$ 1)
CollatzTransiionDataExample04(27 → 41 → ・・・ → 1)2.png
 [図6.8.5]データ表(コラッツ遷移状態値例04[$27 \to 41 \to \dots \to 1$])

 次に、コラッツ遷移状態量($V_nQ_n$)に着目した場合のデータ表と
グラフを示す。
コラッツ遷移状態量(表とグラフ)2.png
        [図6.8.6]コラッツ遷移状態量の推移

 上記の例から、コラッツ遷移状態量の推移の幅は狭く、いずれの
コラッツ遷移においても、遷移の全区間において 1.000 ~ 1.333 程度の
変化であると予想できる。

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