【研究編】
お知らせ(2024-12-04)
コラッツ遷移の循環経路と無限経路の存在を排除しました。
よって、計算誤り等が無い限り、初等的な数学的知識による
コラッツ予想の証明が実質的に完成したと考えています。
今後は、記事全般のレビューを実施して、誤記の訂正や議論の
質的精度を高める作業を実施していく予定です。
<まえがき>
コラッツ予想に正面から向き合って、その統一的理解と本格的な論証を
試みました。それらの成果として、以下の結論を得ました。
「コラッツ予想は、肯定的に成り立つ。」
本稿では、遷移の構造と関係を探し求めて確認できた経路の性質と、
それらを踏まえた予想に対する独自研究の成果を公開しています。
ここでは、意図的に、”確率論による期待値”を用いない証明を
志向しています。問題への対処の基本方針は、コラッツ遷移全体を
パターン分類して、統一的に扱うことです。
1937年、ドイツの数学者 Lothar Collatz が予想したコラッツの問題は、
数論の未解決問題の一つです。2021 年時点で言うと、80 年以上を経ても、
数学界で広く公認されたかという観点で、その真偽が解決されていません。
コラッツ予想の命題を簡単に述べると、以下となります。
「任意の自然数に対して、偶数の場合は2で割る、
奇数の場合は3倍して1を足す。
これらの操作を繰り返せば、有限回で必ず1に到達し、
その後は、1 → 4 → 2 → 1 の遷移を繰り返す。」
例として、3 を出発点とすると、その遷移過程は以下です。
ex. 3 → 10 → 5 → 16 → 8 → 4 → 2 → 1 (→ 4 → 2 → 1 → $\cdots$)
この問題の意味は、誰でも簡単に理解できる事柄でしょう。
しかし、その簡明さに反して、すべての自然数に対して、
「コラッツ予想は正しい」と主張するのは非常に難しく、大変です。
その解決の糸口でさえ、数学の専門家の間においても、未だ
見つかっていないのが、近年までの状況のようです。
コラッツ予想に懸賞金が出た以下の投稿(※2021年7月7日公開)を
見て、この未解決問題の存在を初めて知りました。普段の生活では、
数学の世界とは無縁です。
URL: https://mathprize.net/ja/posts/collatz-conjecture/
解決できてないことが、何だかとっても悔しくないですか?!
知的好奇心が騒ぎ出しました。独力では完全に解けないかもしれませんが、
現代は人類始まって以来のインターネットによる集合知の時代です。
記事を書いて、もし何等かの反響があり、問題点に関する示唆を
得られれば、そして、不具合がある場合、修正を繰り返していけば、
もしかしたら最後には、真の証明に辿り着けるかもしれない。
そう考えて、挑戦しました。
最終目標は「コラッツの問題」を解決し、記事を様々な観点からの
検証に耐え得る内容とすることです。凡人には無謀かつ大胆な夢ですが、
失敗を繰り返しながらも、前に進んで行けたらと思っています。
また、公開した内容が広く受け入れられることを目指しています。
ただし、数学の素人が書いているので変な記述などもあるかもしれません。
しかし、それらの点に関して、誤魔化すことも、言い訳をするつもりも
全くありません。ただ、事実に向き合って、改善していくのみです。
記事に誤りや論理の飛躍、循環論法に陥っている点等があれば、
今後とも改めていきたいので、反例や反証等のご指摘をお願いします。
コラッツ予想の演算に従って、自然数を配置した概観を以下に示します。
独自に定義した用語として、分岐テーブルと分岐テーブルグループを
使用しています。なお、それらについては<用語集>にまとめています。
なお、下図に示したコメント以外にも定性的な関係が存在します。
[図A]コラッツ遷移のリンク系統(終端付近)
注1)本書の位置付け
コラッツ予想の証明は海図無き航海です。証明が完了するまでは、
本稿は、その時点の到達点を示すものとなります。
注2)現状の問題点・課題
なし - 2024-11-07
※現時点では、「コラッツ予想を解決できた」と考えている。
(過去ログ)
2024-01-01 無限経路の存在を排除するために必要な証明の
対象範囲は、以下のデータ型に絞られた。
・無限経路 A-1:(24k + 7)/(24k + 19)型
・無限経路 A-2:(24k + 3)/(24k + 15)型
今後は、上記すべての遷移が初期値下降シーケンス
であることを示すことに注力する予定である。
2023-06-24 無限経路の存在否定のために、コラッツ遷移は、
「初期値下降シーケンスが連結したものである。」
との仮説を立てた。もし、この仮説が成り立てば、
コラッツ遷移に無限経路が存在しないことが
自然に導かれる。(ex. 9 → 7 → ... → 5 → 1)
この仮説を立証するために、自然数において、
すべてのデータ型が、最初に与えられた初期値よりも
小さくなる値が現れるシーケンスが、順次連結した
ものであることの確認を目指している。
部分的な調査結果の段階ではあるが、
コラッツ遷移の初期値更新間隔には、一定の規則性が
あるように見える。
2023-04-19 [補題F-16]での結果(「逆方向展開リンク系統は
(6k + 3) 型分岐テーブルに到達」)だけでは、
無限経路Aの存在否定の説明に不十分な点がある。
(※[F-5-4]が全体として未完成)
2023-02-12 逆方向展開リンク系統の外に存在する可能性のある
無限経路Aに関する存在否定が未完となっている。
(※「[F-4-5]無限経路」を参照)
2023-01-23 ルート分岐テーブルグループを起点とした
逆方向リンク展開において、循環参照と無限経路の
存在可能性が明確に排除されていない。
2022-06-26 以下の証明で不具合が見つかったので撤回した。
・[補題]ルートテーブルに到達しない経路は存在しない。
注3)研究編の内容について
研究編では、コラッツ予想を証明するために調査の過程で得られた
内容の中で有用と思われるものを関連事項と共に盛り込んでいます。
また、自身にとって自明でない点は、定理・補題、または
説明による記述とし、思考過程の記録を残すようにしています。
従って、掲載されている内容は、証明に必要となる正味の
内容のみで構成されている訳ではありません。
また、<研究編>=<前書き>+<日本語論文>の体裁に
近づけるように努めます。ただし、目次の付番等については、
編集の都合上、従来のままとしています。
注4)修正について
誤り等が判明し、それらを理解出来た場合、可能な限り、積極的に
修正します。また、今後証明できなかった点が残る場合、その旨を
該当箇所に示すようにします。
なお、修正作業は、この話題に割ける時間が許される限り、
随時行います。従いまして、段階的に修正を実施する場合がある
都合上、閲覧される時期によっては、修正作業が未完了である時点が
ある点は、ご容赦願います。
また、誤りと判断した場合や不適切と思われる表現等が
見つかった場合、躊躇せずに変更を行うつもりです。
注5)記述内容の編集について
もし将来可能ならば、従来の記述部分である【記事編】とは別に、
本稿の証明に関する正味部分を集めた【論文編】を作成する作業を
実施予定です。
注6)分岐テーブルと分岐テーブルグループの表記変更について
(2024-04-14)
本書では、分岐テーブルと分岐テーブルグループの表記を
以下としていました。ただし、$\forall n \in N_o$ です。
分岐テーブル :@[n]
分岐テーブルグループ:#[n]
今後は、上記のおける [] を除いた表記に変更する予定です。
すなわち、以下とします。
分岐テーブル :@n
分岐テーブルグループ:#n
なお、既存記述部分の変更が完了するまでは、当面、
どちらも併存します。
特に掲載している図に関しては、修正が追い付いていません。
[主要な改版履歴](※ ×:証明として、不十分、または不適切。)
・2024-11-06 証明掲載([補題I-10]無限経路は存在しない。)
・2024-11-03 証明掲載(すべての遷移で、コラッツ遷移不等式が成立)
・2024-09-28 証明掲載(奇数のコラッツ遷移は (8k + 5) 型へ到達)
・2024-05-07 コラッツ遷移最大値の存在仮説(約 13 万件で定性分析)
・2023-04-12 証明掲載(無限経路Aの存在否定:端点ありの無限経路)×
・2023-04-08 証明掲載(無限経路Bの存在否定:端点なしの無限経路)
・2023-04-07 証明掲載(逆方向遷移は必ず (6k + 3) 型 BT に到達)
・2023-02-01 一般的証明(コラッツ遷移方程式による循環経路の存在否定)
・2023-01-15 証明掲載(逆方向展開による循環参照と無限経路の存在否定)×
・2022-01-19 証明掲載(コラッツ遷移に対する循環参照の存在否定)
・2021-12-21 確率論的遷移モデルを利用した無限経路の存在否定
・2021-10-15 初稿×
<要約>
コラッツ予想は正しい。
コラッツ予想の主張は、以下である。
「任意の正の整数に対して、以下の関数を繰り返し適用すると、
有限回で1に到達する。」 ・・・(命題A)
\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, f(n) = \left \{ \begin{array} \\
n \mathbin{/} 2 & (n \equiv 0 \pmod 2) \\
3n + 1 & (n \equiv 1 \pmod 2)
\end{array}
\right.
「コラッツ遷移」を上記の演算を適用することと定義し、(命題A)を
コラッツ予想の正否を絡めたものとして言い換えると、以下となる。
「初期値 $\forall n \in \mathbb{N}$ からコラッツ遷移を繰り返した場合、
循環経路にも無限経路にも突入しなければ、
コラッツ予想は正しい。」 ・・・(命題B)
本稿では、(命題B)が真であることを証明した。
したがって、コラッツ予想は肯定的に成り立つこと証明された。
<目次>
◆はじめに
◆記号
◆略称
◆本文
[A]コラッツ予想に対する証明方針
[B]コラッツ演算の挙動
[B-1]コラッツ遷移の自明な例
[B-2]3の剰余による分類
[B-3]6の剰余による分類
[B-4]除数3の余りに関する型変換
[B-5]値が減少するデータ型
[B-6]値が増大するデータ型
[B-7]連続増加するデータ型
[B-8](8k + 5) 型継続パターン
[B-9]遷移最大値の上界
[C]コラッツ演算の外面的性質
[C-1]演算連続適用による変化
[C-2]奇数全体集合と g(n) 対応
[C-3]<3の余りによる分類>と g(n) の関係
[C-3-1]g(n) 適用の意味
[C-4]<8の余りによる分類>と g(n) の関係
[C-5]g()に対する2の除算回数
[C-5-1]2による除算回数
[C-6]各データ型遷移パターン
[C-7]遷移最大値の存在仮説
[C-8]極大値は (4k + 1) 型
[C-9]遷移最大値と Mn 遷移
[C-9-1]遷移最大値の傾向
[C-9-2]遷移最大値と Mn 遷移極大値の関係
[C-9-3]Mn 型遷移の極大値
[C-10]Mn型遷移とその関連
[C-10-1]63 の遷移
[C-10-2]3077 直前の遷移
[C-11]初期下降シーケンスに関する傾向調査
[C-11-1](8k + 5) 型コラッツ遷移の特徴
[C-11-2](8k + 5) 型最大値の発生位置
[C-11-3]コラッツ遷移で出現する最大値
[C-12]コラッツ遷移の極大値
[D]自然数の分類とコラッツ演算
[D-1]2の冪乗による分類
[D-2]4の冪乗による奇数分類
[D-3](4a + 1)関係と合流
[D-4]除数6の余りによる分類
[D-5](6m + 4)型の性質
[D-6]コラッツ演算の規則性
[D-7]遷移の定式化
[D-7-1]遷移比率
[D-7-2]遷移方程式
[D-7-3]分岐点遷移方程式
[D-7-4]コラッツ遷移方程式
[D-7-5]コラッツ遷移不等式
[D-7-6]コラッツ遷移方程式例
[D-7-7]コラッツ遷移の最終段階の考察
[D-7-8]経過比率/コラッツ遷移閾値に対する考察
[D-8]初期値下降シーケンス
[D-8-1]コラッツ収束列に対する考察
[D-8-2]初期値下降シーケンスのモード分類
[D-9]循環経路の存在否定
[E]分岐点に関する考察
[E-1]奇数と(6m + 4)型対応
[E-2]分岐点に関する補題解釈
[E-3]リンク対象点全体
[F]分岐テーブル
[F-1]概要
[F-2]分岐テーブルのリンク
[F-2-1]基本接続パターン
[F-2-2]基本接続パターンの遷移値
[F-2-3]コラッツ遷移の分類過程とリンク対象点の出現
[F-3]分岐テーブルグループ
[F-3-1]代表値の2倍関係
[F-3-2]経路グラフの末端
[F-4]経路パターンの考察
[F-4-1]遷移のリンク形態
[F-4-2]経路パターン分類
[F-4-3]固定経路
[F-4-4]循環経路
[F-4-5]無限経路
[F-4-6]無限経路の条件
[F-4-7]無限経路 A-1 の最小値のデータ型
[F-4-8]無限経路 A-2 の最小値のデータ型
[F-4-9]コラッツ遷移方程式による無限経路の考察
[F-5]遷移系統の逆方向展開
[F-5-1]逆方向展開の定式化
[F-5-2]逆方向展開と自然数全体の包含
[F-5-3]「逆方向遷移の起点となる分岐テーブル」は何か?
[F-5-4]逆方向展開時の無限経路の存在否定
[F-5-5]逆方向展開と任意 BT への到達可能性
[F-5-6]逆方向展開と循環参照の存在否定
[G]分岐テーブル内の遷移
[H]分岐テーブル間のリンク
[H-1]リンクの対象点と基準点
[H-1-1]分岐点について
[H-1-2](リンク対象点~代表値~最初の分岐点)関係
[H-2]BT 間リンクの関係式
[H-2-1]リンク状態の定義
[H-2-2]2つの BT 間
[H-2-3]3つの BT 間
[H-2-4](8k + 5)型 BT へのリンク
[H-3]コラッツ遷移
[H-3-1](8k + α) 型遷移
[H-3-2](4k + 3) 型遷移
[I]分岐テーブル間リンクの関係性
[I-1]概要
[I-2]BTG 単位のリンク一意性
[I-3]BTG 内での同一データ型に関する対応関係
[I-4]BTG の関係
[I-4-1]BTG と BT 間リンクの構造
[I-4-2]隣接する(6k + 1)/(6k + 5)型BTにリンクする代表値関係
[I-4-3]3の奇数倍を挟んだ BT にリンクする代表値の関係
[I-4-4](6k + 3) 型 BT への逆方向展開と遷移元データ型
[I-5]コラッツ遷移系統における奇数の収容状態
[I-6]IVDS が生じる要因
[J]分岐テーブル集合の構造
[J-1]経路テーブルの階層構造
[J-2]「順方向遷移が行き着く先の分岐テーブル」の必要条件
[J-3]「順方向遷移が行き着く先の分岐テーブル」は存在するか?
[J-4]経路テーブルの構築
[K]経路テーブルの性質
[L]おわりに
◆補題
[補題A]整数論に関する補題
[補題A-1]奇数×奇数=奇数
[補題A-2]$\forall n \in N_o, 3n + 1$ は偶数
[補題A-3]2^n → (3n + 1) の条件
[補題A-4]$(4^n - 1)$ は3の奇数倍
[補題A-5]4の冪乗は(6m + 4)型
[補題A-6]2の冪乗因数による自然数の一般表現
[補題A-7](4n + 1)演算を連続適用の奇数列は3の奇数倍を含む。
[補題A-8]奇数に対する周期的データ分類におけるコラッツ演算
[補題A-9]コラッツ予想の証明対象は (6k + 3) 型に対する証明で十分
[補題A-10]$(M_n + 1)$は2の冪乗
[補題A-11]"(10)*1" 型2進数のみ、3n がメルセンヌ数
[補題A-12]演算1回で収束する2進パターンは "(10)*1" のみ
[補題A-13](8k + 7)型は有限回で(8k + 3)型に到達
[補題A-14]4^n は (6m + 4) 型
[補題A-15]2^p - 1 ≠ 3n
[補題A-16]8^k - 1 は7の奇数倍
[補題A-17]16^k - 1 は5の奇数倍
[補題A-18]16^k - 1 は15の奇数倍
[補題A-19]32^k - 1 は31の奇数倍
[補題A-20]64^k - 1 は7の奇数倍
[補題A-21]64^k - 1 は9の奇数倍
[補題A-22]64^k - 1 は63の奇数倍
[補題A-23]偶数 n に対する n^k - 1 は n - 1 の奇数倍
[補題A-24](6m + 4) 型の4倍は (6m + 4) 型
[補題A-25](6m + 4) 型の2倍は (6m + 4) 型ではない。
[補題A-26]任意の奇数 n > 1 に対して、4n > g(n)
[補題A-27](6k + 3) は素数ではない。
[補題A-28]2, 3を除く素数は (6k ± 1) 型
[補題B]分岐点に関する補題
[補題B-1]2^n の包含($N_2, N_4$)
[補題B-2]偶数集合(N0/N2/N4)に対する関数 h の適用
[補題B-3]g() ∈ N4
[補題B-4]自然数に対する ghk(n) の演算結果 ∈ N4
[補題B-5]n ∈ N4 に対する(gh/gh2/h2)の演算結果 ∈ N4
[補題B-6]N4 に対するインデックス演算
[補題B-7]3 の奇数倍はコラッツ遷移の対象外
[補題B-8](6k + 1)/(6k + 5)型 BT の分岐点に全奇数がリンク
[補題C]コラッツ演算に関する補題
[補題C-1](コラッツ演算結果)≠(演算前の元の値)
[補題C-2]コラッツ演算の2回連続適用結果 ≠ 演算前の元の値
[補題C-3]奇数のコラッツ遷移では奇数成分の変化はモード非依存
[補題C-4](4k + 3)型→(4k + 1)型となる場合の最小のモード係数は 8
[補題C-5](4k + 3) 型は、有限回で (4k + 1) 型となる。
[補題C-6](8k + 5) 型へ遷移する基本データ型
[補題C-7](8k + 7) 型遷移は永続しない。
[補題C-8](8k + 3) 型遷移は永続しない。
[補題C-9](8k + 1) 型遷移は永続しない。
[補題C-10](8k + 5) 型遷移は永続しない。
[補題C-11]g() の2進数伸長ビット数は最大 2
[補題C-12](32k + 25) 型遷移は初期値下降シーケンス
[補題C-13]上限が存在する関数の特定値への到達
[補題C-14]先頭遷移最大値数のコラッツ遷移は収束する。
[補題C-15]先頭遷移最大値数へリンクする遷移は収束する。
[補題C-16]BTG 基準値が TAM → 従属値も TAM
[補題C-17]BTG 基準値が TAM → 従属値はコラッツ収束
[補題C-18]コラッツ遷移で極大値が発生するシーケンス
[補題C-19]コラッツ遷移最大値のデータ型は (4k + 1) 型
[補題D]分岐テーブルに関する補題
[補題D-1]BT 間リンクの一意性
[補題D-2]複数BT間リンクの一意性
[補題D-3]BT 最初のリンク対象点
[補題D-4]リンク対象点にリンクする奇数の関係
[補題D-5](6m + 3) 型分岐テーブルにはリンク対象点が存在しない。
[補題D-6]コラッツ演算結果として、(6m + 3) 型奇数は出現しない。
[補題D-7](8k + 1) 型 BTG 代表値は (6k + 1) 型 BT にリンク
[補題D-8](4k + 3)型 BT の遷移先は (6k + 5) 型
[補題E]循環参照に関する補題
[補題E-1]分岐テーブルは自分自身にリンクできない。
[補題E-2]2つの分岐テーブル間で循環参照は発生しない。
[補題E-3]3つの分岐テーブル間で循環参照は発生しない。
[補題E-4]端点シーケンスでは循環参照は発生しない。
[補題E-5]コラッツ遷移における同一奇数の重複出現の否定
[補題F]リンクに関する補題
[補題F-1]他の分岐テーブルへ遷移しない自己参照型分岐テーブル
[補題F-2]他の分岐テーブルへ遷移しない分岐テーブル
[補題F-3]全ての分岐テーブルに他分岐テーブルからのリンクが存在
[補題F-5]逆方向遷移の起点となる分岐テーブルは @1
[補題F-4]BT は必ず他 BT へリンク
[補題F-6](6k + 1) 型 BT リンク基準点へのリンクは(8k + 1)型
[補題F-7](6k + 5) 型 BT リンク基準点へのリンクは (4k + 3) 型
[補題F-8]分岐テーブル2番目の要素とリンク対象点の次要素の関係
[補題F-9]BTG 内で連続する分岐テーブル間での要素関係
[補題F-10](6k + 5) 型 BT のリンク基準点からの逆方向リンク
[補題F-11](6k + 1) 型 BT のリンク基準点からの逆方向リンク
[補題F-12](18n + 5)型 BT リンク基準点逆方向リンクは3の奇数倍
[補題F-13](18n + 7)型 BT リンク基準点逆方向リンクは3の奇数倍
[補題F-14](6k + 3) 型 BT へ逆方向遷移する代表値のデータ型
[補題F-15](6k + 3) 型へ逆方向遷移する BTG 基準値のデータ型の数
[補題F-16]BTG 基準値の逆方向遷移は (6k + 3) 型 BT に到達
[補題F-17]逆方向遷移は、必ず (6k + 3) 型分岐テーブルに到達
[補題F-18](8k + α)型遷移パターン
[補題F-19](8k + 7)→(8k + 7)遷移
[補題F-20](4k + 1)→(4k + 1)遷移
[補題G]BTG に関する補題
[補題G-1]奇数 n, 4n + 1 は同一値に遷移する。
[補題G-2]BTG 従属値のデータ型
[補題G-3]BTG の一般項
[補題G-4]BTG 内 (6k + 1)/(6k + 3)/(6k + 5) 型出現の周期性
[補題G-5]BTG 間のリンク一意性
[補題G-6]分岐テーブルの2倍関係
[補題G-7]リンク基準点には、BTG 基準値の BT のみがリンク
[補題G-8]BTG 従属値からの遷移
[補題G-9]端点シーケンスの末端
[補題G-10]x が 基準値ならば、BTG 並行シーケンス y も基準値
[補題G-11](8k + 5) 型へリンクする基本データ型
[補題G-12]奇数のコラッツ遷移は (8k + 5) 型へ到達する。
[補題H]初期値下降シーケンス関連
[補題H-1](4k + 1) 型のコラッツ遷移は初期値下降シーケンス
[補題H-2](16k + 3) 型のコラッツ遷移は初期値下降シーケンス
[補題H-3](32k + 11) 型のコラッツ遷移は初期値下降シーケンス
[補題H-4]BTG 基準値の遷移が IVDS → BTG 所属代表値の遷移は IVDS
[補題H-5](24k + 19) 型関連の初期値下降シーケンス
[補題H-6]BTG に属する代表値パターンの遷移
[補題H-7](ak + b) が IVDS ⇒ (nak + b) も IVDS
[補題I]無限経路に関する補題
[補題I-1]無限経路内 BT 代表値全体の最大値には下限が存在
[補題I-2]無限経路の分岐テーブルの代表値は際限なく増大
[補題I-3]コラッツ遷移が初期値下降シーケンスである場合の到達点
[補題I-4]分岐テーブルグループの従属値を経由する遷移
[補題I-5]分岐テーブルの代表値が減少する遷移パターン
[補題I-6]遷移値が初期値よりも小さくなる(12k + 3)系データ型
[補題I-7]無限経路の最小値は奇数
[補題I-8]無限経路の最小値のデータ型は (4k + 3) 型
[補題I-9]無限経路のコラッツ遷移値の逆数和は発散
[補題I-10]無限経路は存在しない。
[補題J]扱う数値
[補題J-1]$\log_{2} 3$ は無理数である。
[補題J-2]2^p = 3^q を満たす p, q 関係
[補題K]代表的な関係式
[補題K-1]ln(x) ≦ x - 1 where x > 0
[補題L]無限級数
[補題L-1]調和級数は発散
[補題L-2]偶数の逆数和は発散
[補題L-3]奇数の逆数和は発散
[補題L-4]合成数の逆数和は発散
[補題L-5]素数の逆数和は発散
[補題M]極限値
[補題M-1]正定数の n 乗根の極限
[補題M-2]n の n 乗根の極限
◆<用語集>
◆<定義関数>
◆<参考文献>
◆<参考 URL>
◆<付録A:循環参照に関するコラッツ遷移の考察>
◆<付録B:確率論による無限経路に関するコラッツ遷移の考察>
◆<付録C:2進数パターンによるアプローチ>
◆<付録D:@5 を経由するコラッツ遷移の割合>
◆<付録E:コラッツ遷移値の近似による最大誤差率>
◆<付録F:参考プログラム(CollatzAnalyzer)>
◆<付録G:コラッツ予想解析用 Excel VBA 関数>
◆<付録Y:コラッツ演算の早見表>
◆<付録Z:MathJax 表現>
◆謝辞
<はじめに>
コラッツ予想が肯定的に成り立つことを証明した。
コラッツ予想が肯定的に成り立つことを証明するために必要な要件は、
以下である。
◆コラッツ遷移系統に含まれるサイクル1は、ルートテーブルに
含まれる唯一の自明なシーケンス(1 → 4 → 2 → 1)のみである。
◆コラッツ遷移系統には、循環経路が存在しない。
ただし、自明なループ(1 → 4 → 2 → 1)を除く。
◆コラッツ遷移系統には、無限経路が存在しない。
本稿では、上記の要件がすべて満たされることを示した。
したがって、コラッツ予想は正しい。
1: サイクル、Wikipedia (URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/コラッツの問題)
<記号>
本稿では、C++14 or later に倣って、数値を以下のように表記する。
10進数リテラル(プレフィックスの指定なし)
16進数リテラル(0x or 0X をプレフィックスとして指定する)
8進数リテラル(0 をプレフィックスとして指定する)
2進数リテラル(0b or 0B をプレフィックスとして指定する)
本稿で用いる記号の定義を以下に示す。
$\mathbb{Z}$:整数全体の集合。
$\mathbb{N}$:自然数(正の整数)全体の集合。
k:文中で特に断らない限り、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ を表す。
$N_e$:$\mathbb{N}$ における偶数全体の集合。
$N_o$:$\mathbb{N}$ における奇数全体の集合。
$N_0$:$n \in \mathbb{N},\ n\ mod\ 6 = 0$ である n 全体の集合。
$N_1$:$n \in \mathbb{N},\ n\ mod\ 6 = 1$ である n 全体の集合。
$N_2$:$n \in \mathbb{N},\ n\ mod\ 6 = 2$ である n 全体の集合。
$N_3$:$n \in \mathbb{N},\ n\ mod\ 6 = 3$ である n 全体の集合。
$N_4$:$n \in \mathbb{N},\ n\ mod\ 6 = 4$ である n 全体の集合。
$N_5$:$n \in \mathbb{N},\ n\ mod\ 6 = 5$ である n 全体の集合。
+ :加算(Addition)
- :減算(Subtraction)
* :乗算(Multiplication)
/ :除算(Division)
^ :冪乗(Exponentiation)
Π :乗積(product)
a mod n:$a, n \in \mathbb{N}$が既知の場合の a に対する n による剰余
$h^2$ :合成関数(h() を連続して2回適用)
$h^k$ :合成関数(h() を連続して k 回適用)
$gh$ :合成関数(h() の次に g() を適用)
$gh^2$ :合成関数(h() を連続2回適用後、g() を適用)
max{}:{} 内に含まれる要素の最大値を表す。
@n :代表値が n である分岐テーブル
#n :基準値が n である分岐テーブルグループ
<略称>
本書で使用している略称の一覧をアルファベット順に以下に示す。
略称 | Full spell | 日本語 |
---|---|---|
BP | Branch Point | 分岐点 |
BT | Branch Table | 分岐テーブル |
BTG | Branch Table Group | 分岐テーブルグループ |
IVDS | Initial Value Down Sequence | 初期値下降シーケンス |
IVUS | Initial Value Up Sequence | 初期値上昇シーケンス |
RL | Reversed Link | 逆方向リンク |
<本文>
[A]コラッツ予想に対する証明方針
コラッツ予想の主張は、以下である。
「任意の正の整数に対して、以下の関数を繰り返し適用すると、
有限回で1になる。」
\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0,\ f(n) = \left \{ \begin{array} \\
n \mathbin{/} 2 & (n \equiv 0 \pmod 2) \\
3n + 1 & (n \equiv 1 \pmod 2)
\end{array}
\right.
上記の関数 $f$ を「コラッツ関数」という。
これは、コラッツ写像1とも呼ばれている。
$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$ に対して、関数 $f$ を繰り返し適用することで、
自然数の数列 ${a_i}$ を得る。数列の定義は以下である。
a_{i} = \left \{ \begin{array} \\
n & for \ i = 0 \\
f(a_{i-1}) & for \ i > 0
\end{array}
\right.
この数列によるコラッツ予想の形式的表現は、以下となる。
$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, \exists i \in \mathbb{Z} \gt 0 : (a_0 = n \Rightarrow a_i = 1)$
なお、コラッツ予想の主張自体は、証明すべき要件に関して、
何も言及していない点には注意を要する。
コラッツ遷移を繰り返したときに 1 に到達しない要因を列挙すると、
以下である。
(A) 自明なループ「1 → 4 → 2 → 1」以外の循環経路が存在する。
(B) 遷移値が無限大に発散する。
コラッツ操作によって得られる数列を $\lbrace A_n \rbrace$、
k 番目以降に現れた数列の中で最も大きい値を $M_k$ とした場合、
k を大きくしていくと、$M_k$ は無限大に発散する。
すなわち、$A_n$ の状態は以下となる。
$\displaystyle \limsup_{n \to \infty} A_n = \infty$
(C) 無限大に発散せず、循環経路にも突入せずに、遷移を繰り返す。
(A)、(B) の場合、明らかに、何度コラッツ操作を繰り返しても、
1 に到達しない。
ここで、(C) となる場合があると仮定する。
コラッツ操作によって得られる数列を $\lbrace A_n \rbrace$ とすると、
$\exists x, y \in \mathbb{N}, x \lt A_n \lt y$ が成り立つ。
このとき、$\lbrace A_n \rbrace$ の最大項数は $(y − x + 1)$ である。
仮定から、経路途中には循環経路は存在しないので、
すべてのコラッツ操作の結果は、常に相異なる値となる。
したがって、最大で (y − x + 1) 個の数から、
常に異なる値を無限にとり続けることになる。これは矛盾である。
よって、(C) の場合は存在しない。
したがって、コラッツ操作を繰り返しても 1 に到達しない場合は,
(A)、(B) の場合に絞られる。
よって、コラッツ予想が誤りであると仮定すると、1 を含まない数列を
生成する初期値 $\exists n \in \mathbb{N}$ が存在し、n からコラッツ遷移を繰り返すと、
以下のいずれかの状態となる。
・1 を含まない繰り返し数列に突入する。 ・・・循環経路の存在
・初期値 n から遷移値が際限なく増大する。 ・・・無限経路の存在
したがって、コラッツ予想の主張は、以下と言い換えることができる。
「コラッツ予想が成り立たないならば、初期値 $\exists n \in \mathbb{N}$ に対する
遷移過程は、循環経路または無限経路に突入する。」
上記の命題の対偶は、以下である。
「初期値 $\forall n \in \mathbb{N}$ に対する遷移過程が、循環経路にも無限経路にも
突入しなければ、コラッツ予想は正しい。」・・・(命題A)
これは、コラッツ予想の主張の「有限回で1になる」部分を
より具体的に言い換えたものである。
本稿では、(命題A)の真偽を解決する証明を行う方針で臨む。
すなわち、以下が成り立つことを立証する。
・遷移の終端は自然数全体で唯一のサイクル(1→4→2→1)である。
・コラッツ遷移には、循環経路が存在しない。
・コラッツ遷移には、無限経路が存在しない。
1: コラッツ写像、Wikipedia (URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/コラッツの問題)
2: サイクル、Wikipedia (URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/コラッツの問題)
[B]コラッツ演算の挙動
ここでは、独自の調査結果として、コラッツ演算に関する概観を
証明なしで示す。
主に、3による除算の余りにより自然数を分類した場合に
注目している。
整数に対する除算を考えると、被除数(dividend)に対して、
除数 (divisor) による除法(division)により、商(quotient)と
剰余(remainder)が得られる。この関係を以下に示す。
被除数 = 除数 × 商 + 剰余
よって、任意の整数 n に対して、除数を a ≠ 0、商を k、
剰余を b とおくと、以下の関係が成り立つ。
n = ak + b
したがって、n を ak + b であるデータ型として分類可能である。
[B-1]コラッツ遷移の自明な例
コラッツ予想において、自然数が 1, 2 の場合、コラッツ予想は
明らかに成り立つ。
----------------------------
自然数 | 値の遷移
----------------------------
2 | 2 → 1
1 | 1 → 4 → 2 → 1
----------------------------
上記の 1 → 4 → 2 → 1 は、自明なサイクル1と呼ばれる。
この遷移過程は、1に対する自己参照ループである。
上記の結果より、自然数が2の冪乗($\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, 2^k$)の場合、
コラッツ予想は明らかに成り立つ。
1: サイクル、Wikipedia (URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/コラッツの問題)
[B-2]3の剰余による分類
自然数全体を3の倍数に着目して分類した場合、自然数に対する
除算の結果として、その整数商($n \in \mathbb{N}$)と余りにより、
以下のパターンに分類される。
・3n
・3n + 1
・3n + 2
<3による除算の余りによる分類>では、数値を偶数・奇数の観点で
議論することはできない。
何故ならば、上記の分類における n は、偶数または奇数のどちらにも
成り得るからである。
[B-3]6の剰余による分類
<3の剰余による分類>において、n を奇数と偶数の場合に分けて、
さらに細かく分類すると、以下となる。
◆(3n)型
$\forall n \in N_e: \exists m \in \mathbb{Z} \gt 0$, set n = 2m,
3n = 3(2m) = 6m
$\forall n \in N_o: \exists m \in \mathbb{Z} \ge 0$, set n = 2m + 1,
3n = 3(2m + 1) = 6m + 3
◆(3n + 1)型
$\forall n \in N_e: \exists m \in \mathbb{Z} \gt 0$, set n = 2m,
3n + 1 = 3(2m) + 1 = 6m + 1
$\forall n \in N_o: \exists m \in \mathbb{Z} \ge 0$, set n = 2m + 1,
3n + 1 = 3(2m + 1) + 1 = 6m + 4
◆(3n + 2)型
$\forall n \in N_e: \exists m \in \mathbb{Z} \gt 0$, set n = 2m,
3n + 2 = 3(2m) + 2 = 6m + 2
$\forall n \in N_o: \exists m \in \mathbb{Z} \ge 0$, set n = 2m + 1,
3n + 2 = 3(2m + 1) + 2 = 6m + 5
上記の結果を整理して表にまとめると、以下となる。
[表B-3]6による除算の余りによる分類
--------------------------------
n mode 3 : n mode 6
--------------------------------
even odd
--------------
(3n)型 ⇔ 6m , 6m + 3
(3n + 1)型 ⇔ 6m + 4, 6m + 1
(3n + 2)型 ⇔ 6m + 2, 6m + 5
--------------------------------
<3の剰余による分類>に関して、偶数・奇数の観点を含めて
議論する場合には、<6の剰余による分類>で扱う必要がある。
コラッツ演算 g(n) に対して、<6の剰余による分類>の奇数の場合を
適用すると、以下となる。ただし、$\forall n \in N_o,\ \exists m \in \mathbb{Z} \ge 0$ である。
◆(3n)型 ⇔(6m + 3)型
n = 6m + 3 とおく。
g(n) = 18m + 10 = 2(9j + 5) = 2(3(3j + 1) + 2)
◆(3n + 1)型 ⇔(6m + 1)型
n = 6m + 1 とおく。
g(n) = 18m + 4 = 2(9j + 2) = 2(3(3j) + 2)
◆(3n + 2)型 ⇔(6m + 5)型
n = 6m + 5 とおく。
g(n) = 18m + 16 = 2(9j + 8) = 2(3(3j + 2) + 2)
以上の結果から、g(n) 適用結果は、(3n + 2)型の倍数となる。
また、分岐点の値として出現する型は、(3n + 1)演算において、
n が奇数の場合である。
$\forall n \in \mathbb{N},\ \exists m \in \mathbb{Z} \ge 0,\ n = 2m + 1$ とおくと、
3n + 1 = 3(2m + 1) + 1 = 6m + 4
よって、分岐点の型は、(6m + 4)であり、偶数である。
なお、上記の結果より、3の奇数倍の奇数に対する分岐点の値は、
(18m + 10)型である。
また、(6m + 4)の 6m 部分は m のパリティに依存せず、
(6m + 4)全体は偶数となる。よって、より詳細に考察するには、
別の観点での再分類が必要となる。
以下では、複数の観点での再分類パターンを示す。
◆m へのパリティ適用による再分類
$\forall m \in N_e,\ \exists k \in \mathbb{Z} \gt 0$, m = 2k とおく。
6m + 4 = 12k + 4 = 4(3k + 1)
$\forall m \in N_o,\ \exists k \in \mathbb{Z} \ge 0$, m = 2k + 1 とおく。
6m + 4 = 12k + 10 = 2(6k + 5) = 2(3(k + 1) + 2)
上記の結果は、以下の点を示している。
・m が偶数の場合:(3n + 1)型の4倍となる。
・m が奇数の場合:(3n + 2)型の2倍となる。
◆奇数 n に対する<6の剰余による分類>による再分類
m を<6の剰余による分類>で、
再分類すると以下となる。ただし、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$である。
◇(6m + 1)型:(3n + 1)型
m = 6k + 1 とおく。
6m + 4 = 36k + 10 = 2(18k + 5)
◇(6m + 3)型:(3n)型 // 3の奇数倍
m = 6k + 3 とおく。
6m + 4 = 36k + 22 = 2(18k + 11)
◇(6m + 5)型:(3n + 2)型
m = 6k + 5 とおく。
6m + 4 = 36k + 34 = 2(18k + 17)
[B-4]3の剰余に関する型変換
3の剰余による分類に関して、2倍または4倍した値に注目する。
2(3n + 2) = 6n + 4 // (3n + 2)型の2倍は分岐点の型
2(3n + 1) = 6n + 2 = 3(2n) + 2 // (3n + 1)型の2倍は(3n + 2)型
4(3n + 1) = 6(2n) + 4 // (3n + 1)型の4倍は分岐点の型
同様の観点で、6の剰余による分類による奇数の場合に注目する。
・6m + 1: // これは (3n + 2)型ではない。
2(6m + 1) = 12m + 2 = 6(2m) + 2 //2倍すると (3n + 2)型
・6m + 3: // 3(2m + 1) : これは(3n + 2)型でない。
2(6m + 3) = 12m + 6 = 6(2m + 1) //2倍値は (3n + 2)型でない。
この型は3の奇数倍であるため、整数倍しても
(3n + 2)型になることはない。
・6m + 5 = 3(2m + 1) + 2 // この型は (3n + 2)型
コラッツ関数の2つの規則の実態は、上記パターン間の
型変換を誘発するものとして捉えることができる。
例として、自然数3(奇数)を起点として、コラッツ演算による
遷移例を以下に示す。
3 → 10 → 5 → 16 → 8 → 4 → 2 → 1
上記を3の倍数による分類基準で眺めると、以下となる。
[表B-4]コラッツ演算の遷移値と型変換の関係
--------------------------------------------------------------------
№ |3n型 3n + 1型 3n + 2型|適用操作 |コメント
--------------------------------------------------------------------
0 | 3 | 初期値 | 3n 型から開始
1 | 10 | 3n + 1 | 3n → 3n+1
2 | 5 | n / 2 | 3n+1 → 3n+2
3 | 16 | 3n + 1 | 3n+2 → 3n+1
4 | 8 | n / 2 | 3n+1 → 3n+2
5 | 4 | n / 2 | 3n+2 → 3n+1
6 | 2 | n / 2 | 3n+1 → 3n+2
7 | 1 | n / 2 | 3n+2 → 3n+1
--------------------------------------------------------------------
上表のコメント欄に、前回状態から発生した型遷移を記載している。
意味を強調して述べると、コラッツ関数は、単に値変換だけではなく、
同時に、3の倍数による分類基準による型変換を発生させている。
特に、(3n + 2)型に着目した場合、以下の性質と関係している。
・分岐点(6m + 4)は、 (3n + 2) 型の値の2倍となっている。
・@a が(3n + 2)型、i.e. (6k + 5) 型の場合、最初の分岐点は 2a。
・@a が(3n + 1)型、i.e. (6k + 1) 型の場合、最初の分岐点は 4a。
ただし、m は、奇数インデックスである。
[B-5]値が減少するデータ型
$\forall k \in \mathbb{z} \ge 0, (4k + 1)$ 型のコラッツ遷移は、$k \gt 0$ の場合、
遷移値が減少する。
$k = 0$ の場合、 1 に対するコラッツ遷移なので、
奇数ベースでは値が変化しない。
(4k + 1) 型のコラッツ演算は、以下である。
g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1)
$k \gt 0$ の場合、$(4k + 1) \gt (3k + 1)$ なので、
(4k + 1) 型の遷移後の値は遷移前の値よりも必ず減少する。
すなわち、(4k + 1) 型のコラッツ遷移は、初期値下降シーケンスである。
また、遷移前の値に対する遷移後の値の比は、約 (3/4 = 0.75) である。
[B-6]値が増大するデータ型
$\forall k \in \mathbb{z} \ge 0, (4k + 3)$ 型のコラッツ遷移は、遷移値が増大する。
(4k + 3) 型のコラッツ遷移は、以下である。
g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5)
$(4k + 3) \lt (6k + 5)$ なので、(4k + 3) 型の遷移後の値は、
遷移前の値よりも増大する。
すなわち、(4k + 3) 型のコラッツ遷移は、初期値上昇シーケンスである。
また、遷移前の値に対する遷移後の値の比は、約 (3/2 = 1.5) である。
[B-7]連続増加するデータ型
(8k + 7) 型関連のコラッツ遷移は、複数のデータ型に遷移しない。
実際の状態を列挙すると、以下となっている。
・(8k + 7) → (8k + 7) 型 // ex. g(16k + 15) = 2(8(3k + 2) + 7)
・(8k + 7) → (8k + 3) 型 // ex. g(16k + 7) = 2(8(3k + 1) + 3)
・(8k + 3) → (4k + 1) 型
・(4k + 1) → (3k + 1) 型
コラッツ遷移におけるデータ型が (8k + 7) → (8k + 3) → (4k + 1)型
であるパターンは、(4k + 3) 型が継続しているため、
その遷移値が増大する。(ex. 7 → 11 → 17)
[補題F-19]より、コラッツ遷移におけるデータ型が
(8k + 7) → (8k + 7) 型となるパターンは、遷移元のデータ型が
(16k + 15) 型の場合のみである。
(16k + 7) 型の遷移は、以下である。
g(16k + 7) = 48k + 22 = 2(24k + 11) = 2(8(3k + 1) + 3)
(32k + 15) 型のコラッツ遷移は、以下である。
g(32k + 15) = 96k + 46 = 2(48k + 23) = 2(16(3k + 1) + 7)
よって、(32k + 15) 型は、(16k + 7) 型へ遷移する。
(32k + 15) 型に対する 2n1 従属値は (64k + 31) 型である。
(64k + 31) 型のコラッツ遷移は、以下である。
g(64k + 31) = 192k + 94 = 2(96k + 47) = 2(32(3k + 1) + 15)
よって、(64k + 31) 型は、(32k + 15) 型へ遷移する。
(64k + 31) 型に対する 2n1 従属値は (128k + 63) 型である。
(128k + 63) 型のコラッツ遷移は、以下である。
g(128k + 63) = 384k + 190 = 2(192k + 95) = 2(64(3k + 1) + 31)
よって、(128k + 63) 型は、(64k + 31) 型へ遷移する。
以降は同様に、(256k + 127) 型等の 2n1 従属値を求め、
そのコラッツ遷移を求めることができる。このようなデータ型の
遷移先のデータ型は、そのいずれも再び (16k + 15) 型となる。
したがって、(8k + 7)型が継続して出現するデータ型パターンの
遷移全体は、以下となる。これを (8k + 7) 型継続シーケンスという。
(8k + 3)←(16k + 7)←(32k + 15)←(64k + 31)←(128k + 63)←・・・
上記の遷移でモードを除いた数値部分に着目するとメルセンヌ数である。
よって、コラッツ遷移において、2の冪乗で分類した同一範囲の奇数集合
(ex. 4 ~ 8, 8 ~ 16, 16 ~ 32, 32 ~ 64, ...)の場合で比較すると、
(4k + 3)型が継続して出現することにより、最も遷移値が増大していく
データ型パターンは、値が 7 以上であるメルセンヌ数の場合である。
実際のデータとしては 7, 15, 31, 63, ... が、この場合に該当する。
また、(8k + 3) 型、(4k + 1) 型のコラッツ遷移は、以下である。
g(8k + 3) = 24k + 10 = 2(12k + 5) = 2(4(3k + 1) + 1)
g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1)
よって、上記内容を加味した(8k + 7)型継続パターン全体は、
コラッツ演算が確定する部分として、以下となる。
(3k + 1)←(4k + 1)←(8k + 3)←(16k + 7)←(32k + 15)←(64k + 31)←・・・
従って、値が継続して増大するデータ型パターンは以下である。
・・・→(64k + 31)→(32k + 15)→(16k + 7)→(8k + 3)→(4k + 1)
上記のパターンにおいて、最後の (4k + 3) 型の結果を反映して、
(4k + 1) 部分で遷移値が極大となる。以下に例を示す。
//・・・→(64k + 31)→(32k + 15)→(16k + 7)→(8k + 3)→(4k + 1)
// k: 270040 810121 2430364 7291093 21873280
17282591 →25923887 →38885831 →58328747→87493121
なお、途中の遷移において、各データ型のモード変数 k を異なる変数で
表現した場合、異なる変数間の関係は、(3k + 1) で統一されている。
以下に、(128k + 63)~(8k + 3) 型に至る過程の状況例を示す。
上述の内容を逆順に記述すると、以下である。
g(128k + 63) = 2(64(3k + 1) + 31)
g(64k + 31) = 2(32(3k + 1) + 15)
g(32k + 15) = 2(16(3k + 1) + 7)
g(16k + 7) = 2(8(3k + 1) + 3)
g(8k + 3) = 24k + 10 = 2(12k + 5) = 2(4(3k + 1) + 1)
上記において、モード変数をそれぞれ p, q, r, s, t, u として、
置換した結果をそれらの関係式と共に示す。
g(128p + 63) = 2(64(3p + 1) + 31)
g(64q + 31) = 2(32(3q + 1) + 15), where q = 3p + 1
g(32r + 15) = 2(16(3r + 1) + 7), where r = 3q + 1
g(16s + 7) = 2(8(3s + 1) + 3), where s = 3r + 1
g(8t + 3) = 2(12t + 5) = 2(4(3t + 1) + 1), where t = 3s + 1
g(4u + 1) = 4(3u + 1), where u = 3t + 1
この置換の結果として、(128k + 63)~(8k + 3)~(3k + 1) 型に
至る過程の表現は、g(n) = 3n + 1 の関係を反映して以下である。
(128p + 63)→(64q + 31)→(32r + 15)→(16s + 7)→(8t + 3)→(4u + 1)→(3u + 1)
where q = 3p + 1, r = 3q + 1, s = 3r + 1, t = 3s + 1, u = 3t + 1
上式において、基数部分の変化に着目すると、以下である。
・・・ → 63 → 31 → 15 → 7 → 3 → 1
// $M_6 M_5 M_4 M_3 M_2 M_1$
これらの値は、すべてメルセンヌ数($\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, M_n$)である。
すなわち、(8k + 7)~(8k + 3)~(4k + 1)型のコラッツ遷移値は、
実際の数値を $\exists m\in \mathbb{Z} \ge 0, \exists r \in N_o, \forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (mk + r)$ 型と
見做して、r をメルセンヌ数で表現可能である。
こうすることで、(8k + 7)~(8k + 3)~(4k + 1) 型の
コラッツ遷移における基数は、メルセンヌ数 $M_n$ ($2^n - 1$) に
対応する変化として捉えることができる。
この結果より、・・・~(16k + 7)~(8k + 3)~(4k + 1) 型の遷移回数は、
初期値を (mk + r) 型として扱い、基数 r を $M_n$ で表現した場合、
初期値 $M_n$ の (n - 2) と一致する。
以下に例($M_7$ 対応, コラッツ遷移回数=5)を示す。
ex. 319 → 479 → 479 → 1619 → 2429 // 27 のコラッツ遷移の一部
// (128k + 63) 型 :319 = 128 * 2 + 63
// (64k + 31) 型 :479 = 64 * 7 + 31, 7 = g(2) = 3 * 2 + 1
// (32k + 15) 型 :719 = 32 * 22 + 15, 22 = g(7) = 3 * 7 + 1
// (16k + 7) 型 :1079 = 16 * 67 + 7, 67 = g(22) = 3 * 22 + 1
// (8k + 3) 型 :1619 = 8 * 202 + 3, 202 = g(67) = 3 * 67 + 1
// (4k + 1) 型 :2429 = 4 * 607 + 1, 607 = g(202) = 3 * 202 + 1
[B-8](8k + 5) 型継続パターン
コラッツ遷移において、(8k + 5) 型が2個以上継続するデータ型の
パターンを調査した結果を以下に示す。
(A) (192k + 13) → (72k + 5) // ex. 13 → 5; 205 → 77
(B) (768k + 53) → (72k + 5) // ex. 53 → 5; 821 → 77
(C) (192k + 77) → (72k + 29) // ex. 77 → 29; 269 → 101
(D) (1536k + 277)→ (72k + 13) // ex. 277 → 13; 1813 → 85
上記の場合において、最初の (8k + 5) 型にリンクするデータ型を
以下に示す。(8k + 5) 型にリンクするデータ型は、(16k + 3) 型、または、
(32k + 17) 型のいずれかである。
(A') (256k + 17) → (192k + 13) → (72k + 5) // ex. 17 → 13 → 5; 273 → 205 → 77( → 29)
(B') (512k + 35) → (768k + 53) → (72k + 5) // ex. 35 → 53 → 5; 547 → 821 → 77( → 29)
(C') (128k + 51) → (192k + 77) → (72k + 29)// ex. 51 → 77 → 29; 179 → 269 → 101
(D') (2048k + 369) → (1536k + 277) → (72k + 13)// ex. 369 → 277 → 13; 2417 → 1813 → 85
[B-9]遷移最大値の上界
ここでは、コラッツ遷移に関する極大値と、一連のコラッツ遷移内に
現れる極大値の集合全体における最大値に関して、考察する。
注目すべきは、「2のべき乗」で分類した場合における境界の
メルセンヌ数のコラッツ遷移における冒頭(8k + 7)~(4k + 1)型が、
2のべき乗グループ単位として、コラッツ遷移の最大値の制約条件である
上界のヒントを与える点である。
自然数を「2のべき乗」で分類した場合、2のべき乗グループ単位に
(8k + 7) 型の奇数を選択し、それらに対するコラッツ遷移を記述した
表を以下に示す。なお、本章での収録範囲は 1 ~ 256 である。
このとき、$2^n ~ 2^{n+1}$ 内に、すなわち、各2のべき乗グループ毎に、
メルセンヌ数 $M_n$ が一つ存在する。
一般に、コラッツ遷移上の数値は、(8k + 3) → (8k + 1) 型の遷移が
出現した場合に、(8k + 1) 型となった時点で極大値となる。
また、一般に、コラッツ遷移上の数値が継続して増大するパターンは、
他のどのパターンと対比して、(8k + 7) 型が継続した後、
(8k + 3) → (8k + 1) 型の遷移が後続するパターンの
(8k + 1) 型部分が最大のケースを与える。
ex. 31 → 47 → 71 → 107 → 161
すなわち、{・・・ → (32k + 15) →} (16k + 7) → (8k + 3) → (4k + 1) 型の
遷移を一般形式とするデータ型のパターンが極大値を与える。
メルセンヌ数に対するコラッツ遷移は、このパターンに該当する。
ex. 319 → 479 → 719 → 1079 → 1619 → 2429
なお、メルセンヌ数以外の場合でも、上記のパターンは発生する。
ex. 23 → 35 → 53
よって、2のべき乗グループ単位の範囲において、(8k + 7) 型の
最大の極大値を与えるパターンは、メルセンヌ数を初期値とする
コラッツ遷移である。
何故ならば、g(n) は単調増加する一次関数であり、
2のべき乗グループ単位の最大値はメルセンヌ数だからである。
したがって、2のべき乗グループに属する数値に関する遷移の最大値は、
その数値が属する2のべき乗グループに属するメルセンヌ数の遷移の
最大値を超えない。
ex. 32 ~ 64 の範囲の(8k + 7) 型コラッツ遷移の最大値は 485
この値は、メルセンヌ数 $M_6 (= 63)$ のコラッツ遷移で
出現する極大値である。
実際のコラッツ遷移では、初期値がコラッツ遷移における最大値
であるか、または、上記のパターンが複数繰り返される場合か、
または、上記パターン出現の直後で、その間に (8k + 5) 型の遷移が
連続しない条件で、再び、(8k + 3) → (8k + 1) 型の遷移が出現する
パターンの最終部分で、最大値となる。
ex1. 初期値がコラッツ遷移における最大値
13 → 5 → 1 // (8k + 5) 型が初期値で、(4k + 3) 型が出現しない場合
ex2. (16k + 7) → (8k + 3) → (4k + 1) 型の繰返し(途中が (8k + 1) 型)
239 → 359 → 539 → 809 → 607 → 911 → 1367 → 2051 → 3077
// 32k15 16k7 8k3 8k1 64k31 32k15 16k7 8k3 8k5
ex2. (16k + 7) → (8k + 3) → (4k + 1) 型の繰返し(途中が (8k + 5) 型)
319 → 479 → 719 → 1079 → 1619 → 2429 → 911 → 1367 → 2051 → 3077
//128k63 64k31 32k15 16k7 8k3 8k5 32k15 16k7 8k3 8k5
[表 (8k + 7) 型コラッツ遷移一覧(2のべき乗グループ単位)と極大値]
下表では、(8k + 7) 型初期値~最大値、<最大値の次の遷移値>までを
収録している。すなわち、1 以外では、最後から2番目が極大値である。
(凡例)
Mn : メルセンヌ数
range : 2のべき乗グループの範囲
Max : (8k + 7) 型コラッツ遷移における極大値
* : 各 range 内における遷移の最大値
Max range <Collatz's transitions>
1 - 2
1* 1 1 // $M_1$
2 - 4
5* 3 5 1 // $M_2$: 8k3 → 4k1 (k: 0, 1)
4 - 8
17* 7 11 17 13 // $M_3$: 16k7 → 8k3 → 4k1 → 3k1 (k: 0, 1, 4, 4)
8 - 16
53* 15 23 35 53 5 // $M_4$: 32k15 → 16k7 → 8k3 → 4k1 (k: 0, 1, 4, 13)
16 - 32
53 23 35 53 5 // 16k7 → 8k3 → 4k1 (k: 1, 4, 13)
161* 31 47 71 107 161 121 // $M_5$: 64k31 → 32k15 → 16k7 → 8k3 → 4k1 → 3k1 (k: 0, 1, 4, 13, 40(, 40))
32 - 64
89 39 59 89 67 // 16k7 → 8k3 → 4k1 (k: 2, 7, 22)
161 47 71 107 161 121 // 32k15 → 16k7 → 8k3 → 4k1 → 3k1 (k: 1, 4, 13, 40, 40)
125 55 83 125 47 // 16k7 → 8k3 → 4k1 (k: 3, 10, 31)
485* 63 95 143 215 323 485 91 // $M_6$: 128k63 → 64k31 → 32k15 → 16k7 → 8k3 → 4k1 (k: 0, 1, 4, 13, 40, 121)
64 - 128
161 71 107 161 121 //
269 79 119 179 269 101 //
197 87 131 197 37 //
485 95 143 215 323 485 91 //
593 103 155 233 175 263 395 593 445 //
377 111 167 251 377 283 //
269 119 179 269 101 //
1457* 127 191 287 431 647 971 1457 1093 // $M_7$
128 - 256
305 135 203 305 229 //
485 143 215 323 485 91 //
341 151 227 341 1 //
809 159 239 359 539 809 607 //
377 167 251 377 283 //
593 175 263 395 593 445 //
413 183 275 413 155 //
1457 191 287 431 647 971 1457 1093 //
449 199 299 449 337 //
701 207 311 467 701 263 //
485 215 323 485 91 //
1133 223 335 503 755 1133 425 //
521 231 347 521 391 //
809 239 359 539 809 607 //
557 247 371 557 209 //
4373* 255 383 575 863 1295 1943 2915 4373 205 // $M_8$
・・・
[C]コラッツ演算の外面的性質
コラッツ演算の性質をいくつかの観点で示す。
・3による除算の余りに関する型変換
・コラッツ演算の連続適用による値の変化
[C-1]演算連続適用による変化
コラッツ演算を連続適用する場合において、得られる奇数の
値の変化に着目する。
以下に、コラッツ演算に着目した場合における奇数に関する性質の
外観図を示す。
[図C-1]コラッツ遷移の奇数全体集合と(3a + 1, 4a + 1)の演算関係
最初に、奇数である自然数 a > 2 に対して、コラッツ演算を一回
適用した場合を考える。
得られる奇数 b > 3 と a の関係は、2の冪乗の指数部分を
自然数 p として、以下となる。
3a + 1 = b(2^p)
上式を b に着目して整理すると、以下となる。
b = (3a + 1)(2^-p) ・・・(C-1-1)
上式の両辺を a で除算すると、コラッツ演算結果と元の値との
比が得られる。
b/a = (3 + 1/a)(2^-p) ・・・(C-1-2)
式(C-1-2)において、p = 1 の場合、以下となる。
b/a = (3 + 1/a)(1/2) > 3/2
よって、p = 1 の場合、b/a ≠ 1 である。
式(C-1-2)において、p = 2 の場合、以下となる。
b/a = (3 + 1/a)(1/4) = 3/4 + 1/4a
a > 2 なので、1/4a ≦1/12 である。
∴(3/4 + 1/4a) ≦(3/4 + 1/12) = 9/12 + 1/12 = 10/12 = 5/6
よって、b/a ≦ 5/6 < 1 である。したがって、b/a ≠ 1 である。
式(C-1-2)において、p > 2 の場合、p = 2 の場合と同様となる。
よって、コラッツ演算の結果は、元の値とは異なる値となる。
すなわち、コラッツ遷移を1回適用した場合、2の冪乗の指数 p の
値によって、元の値(a)に対する演算結果の倍率が異なることになる。
p が 1, 2, 3, 4 の場合、その倍率は概算で、3/2, 3/4, 3/8, 3/16 となる。
奇数である自然数 a > 2 を出発点として、コラッツ演算を順次
適用していった場合、得られる値を出発点の値 a で表現すると、
以下となる。ただし、p1, p2, ... > 0 は自然数であり、個々の
遷移回数の場合における2の冪乗の指数である。
[表C-1]コラッツ演算の値の変化と関係式
遷移
回数 関係式
0 a
1 b = (3a + 1)(2^-p1)
2 c = (3b + 1)(2^-p2) = (3(3a + 1)(2^-p1) + 1)(2^-p2)
3 d = (3c + 1)(2^-p3) = (3(3(3a + 1)(2^-p1) + 1)(2^-p2) + 1)(2^-p3)
4 e = (3d + 1)(2^-p4) = (3(3(3(3a + 1)(2^-p1) + 1)(2^-p2) + 1)(2^-p3) + 1)(2^-p4)
...
上表において、遷移回数毎の演算結果と出発点の値との比 r は、
遷移回数=1の場合は既に上記で示されており、r ≠ 1 である。
この関係はリンク状態の二項関係として、全てのコラッツ演算で成り立つ。
したがって、奇数である自然数 a > 2 を出発点として、コラッツ演算を
適用した場合、二項関係としての遷移比率 r = b/a ≠ 1 の演算が繰り返される。
[C-2]奇数全体集合と g(n) 対応
コラッツ演算における奇数をパラメタとする g(n) = 3n + 1 の
演算結果は、3の奇数倍を除く、すべての奇数を含むことを以下に示す。
ただし、この議論は g(n) の演算結果から2の冪乗値を除去したものを
対象とする。すなわち、ここで扱う対象は奇数のみである。
以下に、奇数全体と g(n) 演算の対応関係を図示する。
下図では、1 ~ 63 の範囲の奇数 n に対して、得られる奇数との
対応関係を示している。
この対応関係は、64 以上の値の場合でも、同様の結果となる。
[図C-2]奇数全体と(3a + 1) 演算結果の対応関係
上図に示されている奇数 n と (3n + 1) 演算の対応関係(※矢印を参照)から
わかるように、すべての奇数に対して、g() の演算結果が定まり、
演算結果に対して、3の奇数倍を除き、g() に与えるパラメタの
(4k + 1)型/(4k + 3)型の奇数が規則的に対応する。
ただし、一部の演算結果は、同一値に重複してマッピングされる。
すなわち、写像「f: 奇数 → 奇数全体」の結果は、全射でも単射でもない。
しかし、値域を3の奇数倍を除いた奇数集合に絞れば、全射である。
よって、この場合、すべての奇数から遷移可能で、遷移先の型は
(6k + 1)/(6k + 5)型の奇数となる。
演算対象の奇数を4の倍数の分類で考えると、以下の2つの型に
分類できる。
・(4k + 1)型奇数
・(4k + 3)型奇数
◆(4k + 3)形式の奇数:3, 7, 11, …
n = 4k + 3 とおいて、g(n) を計算する。
ただし、n > 0 は奇数, k ≧0 は整数とする。
g(n) = 3n + 1
= 3(4k + 3) + 1
= 12k + 10
= 2(6k + 5)
= 2(3(2k + 1) + 2)
よって、(4k + 3)形式の奇数は、g(n)/2 が(3n + 2)型の
奇数となる。何故ならば、3 と (2k + 1) は奇数であり、
[補題A-1]より、奇数と奇数の乗算は奇数となるからである。
◆(4k + 1)形式の奇数:1, 5, 9, …
n = 4k + 1 とおいて、g(n) を計算する。
ただし、n > 0 は奇数, k ≧0 は整数とする。
g(n) = 3n + 1
= 3(4k + 1) + 1
= 12k + 4
= 4(3k + 1)
よって、(4k + 1)形式の奇数は、g(n)/4 の結果が
(3k + 1)型となる。この場合、k の属性により、結果が
偶数になるか、奇数になるかが決まる。
・k が偶数の場合、結果は奇数になる。
・k が奇数の場合、結果は偶数になる。
k が奇数の場合、さらに必要な回数の2の除算を実行すれば、
奇数が得られる。その除算回数は、奇数全体に対する
0相対インデックスでの開始位置と発生間隔により定まる。
[C-3]<3の余りによる分類>と g(n) の関係
「[B-3]6の余りによる分類」で示したように、
除数3の余りに着目した場合の奇数は、以下の形式に分類される。
ただし、以下において、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ である。
また、g(n) 適用結果は必ず (6k + 4) 型となる。
■(6k + 3) 型:n = 2k + 1 // 3n 部分は3の奇数倍
$\forall n \in N_o$, a = 3n = 3(2k + 1) = 6k + 3
g(a) = 3(6k + 3) + 1 = 18k + 10 = 6(3k + 1) + 4
■(6k + 1) 型:n = 2k for 3n + 1 // 3n 部分は偶数
$\forall n \in N_e$, a = 3n + 1 = 3(2k) + 1 = 6k + 1
g(a) = 3(6k + 1) + 1 = 18k + 4 = 6(3k) + 4
■(6k + 5) 型:n = 2k + 1 for 3n + 2 // 3n 部分は奇数
$\forall n \in N_o$, a = 3n + 2 = 3(2k + 1) + 2 = 6k + 5
g(a) = 3(6k + 5) + 1 = 18k + 16 = 6(3k + 2) + 4
[C-3-1]g(n) 適用の意味
g() の重要な役割は、パラメタとして与えられた奇数を
偶数に変換することを介して、(6k + 3) 型以外の奇数に変換する
ことである。すなわち、g() は演算対象の奇数を
(6k + 1) / (6k + 5) 型に変換する。
変換する理由は、(6k + 3) 型代表値を持つ分岐テーブルが
リンク対象点を持たない性質と対応している。
[C-4]<8の余りによる分類>と g(n) の関係
$\forall n \in N_o, g(n) = 3n + 1$ に対して、8による除算の余りによる
自然数の分類上の奇数に着目した場合の演算結果を以下に示す。
8による除算の余りによる自然数の分類上では、奇数の一般形式は、
8k + 1/8k + 3/8k + 5/8k + 7
である。ただし、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ とする。
■(8k + 1)型
g(8k + 1) = 24k + 4 = 4(6k + 1) = 4(3(2k) + 1)
よって、g(n) 適用と2回の<2による除算>後、
(6k + 1) 型となる。
■(8k + 3)型
g(8k + 3) = 24k + 10 = 2(12k + 5) = 2(3(4k + 1) + 2)
よって、g(n) 適用と1回の<2による除算>後、
(6k + 5) 型となる。
■(8k + 5)型
g(8k + 5) = 24k + 16 = 8(3k + 2)
上式は、 k の属性により、さらなる展開があることを示す。
すなわち、k のパリティに依存し、さらなる分類が必要である。
if k is odd, then $\exists i \in \mathbb{Z} \ge 0$, k = 2i + 1,
8(3k + 2) = 8(6i + 5) = 8(3(2i + 1) + 2)
よって、k が奇数の場合、g(n) 適用と3回の
<2 による除算>後、(6k + 5) 型となる。
if k is even, then $\exists i \in \mathbb{Z} \ge 0$, k = 2i,
8(3k + 2) = 8(6i + 2) = 16(3i + 1)
よって、k が偶数の場合、g() 演算後、
4回の<2による除算>後、(6k + 1) 型の値となる。
この段階に至っても、上式の(3i + 1)型が、偶数/奇数の
どちらになるかは、i のパリティに依存している。
■(8k + 7)型
g(8k + 7) = 24k + 22 = 2(12k + 11) = 2(6(2k + 1) + 5)
よって、g(n) 適用と1回の<2による除算>後、
(6k + 5) 型となる。
以上の結果を整理すると、以下となる。
元のデータ型 <2の除算回数> 演算後のデータ型
◇(8k + 1)型 2 (6k + 1) 型
◇(8k + 3)型 1 (6k + 5) 型
◇(8k + 5)型 3 (6k + 5) 型, where $k \in N_o$
4(※注1) (6k + 1) 型, where $k \in N_e$
◇(8k + 7)型 1 (6k + 5) 型
注1)(8k + 5)型の場合において、k が偶数の場合、
<2による除算回数>が4回とは限らない。これは、
分岐テーブル内におけるリンク対象点の位置に依存する。
[C-5]g()に対する2の除算回数
$\forall n \in N_o,\ g(n) = 3n + 1$ に対して、奇数が得られるまで、
除数2による除算を繰り返した場合の回数(抜粋)を以下に示す。
[図C-5]の結果より、奇数の昇順に並べた場合、以下の状態となる。
■(4k + 3) 型奇数の g(n) 対する2による除算回数は常に1である。
(8k + 3)/(8k + 7) 型の場合における g(n) 演算結果に対する
2による除算回数は、常に1である。
■(4k + 1) 型奇数の g(n) 対する2による除算回数には、規則性が
存在し、データ型に依存して、同一値が一定周期で出現する。
・(8k + 1) 型の場合における g(n) 演算結果に対する2による
除算回数は、常に2である。
・(8k + 5) 型の場合における g(n) 演算結果に対する2による
除算回数は、3以上の値である。
■2による除算回数の系列は、(4k + 1)/(4k + 3) 型に分類できる。
データ型としての (4k + 1)/(4k + 3) 型の系列は、共に、
(4k + 1) 型奇数に対して、取り得るデータ型に対応して、
2による除算回数の値が(4n + 1)関係となっている。
-(4k + 1)型系列:1, 5, 21, 85, 341, ・・・
-(4k + 3)型系列:3, 13, 53, 213, 853, ・・・
[C-5-1]2による除算回数
(8k + α)型に着目した場合のコラッツ遷移における
2による除算回数を以下に示す。
[図C-5-1](8k + α)型の2による除算回数(コラッツ演算)
(8k + α)型に関する g(n) に対する2による除算回数の傾向を
以下に示す。
・(8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 7)型の2による除算回数は、
固定であり、それぞれ 2, 1, 1 である。
・(8k + 5)型の2による除算回数は3以上であり、
分岐テーブルグループ内の存在位置により変化する。
[C-6]各データ型遷移パターン
$\forall n \in \mathbb{N}, \forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, \exists a \in N_e,\exists b \in N_o,\ n = ak + b$ の形式で
コラッツ遷移で出現するすべてのデータ型を対象として、それらの
遷移パターンを整理した結果を以下に示す。
すべての遷移先のデータ型が(24k + α)型となる点が特徴的である。
また、(8k + 5) 型を除くと、(8k + 1)/(8k + 7) 型は、同一データ型が
継続する場合がある。
特に、(8k + 7) 型の類型としての (16k + 7) 型, (32k + 15) 型等が
複数回繰り返して出現する場合、それらの区間は、複数の (8k + 7) 型が
継続する。
なお、(8k + 5) 型に関しては、すべてのデータ型を一意に表現する
方法が存在せず、基本的な成立パターンを (ak + b) とするとき、
4(ak + b) + 1 の演算で生成される無数のパターンが存在する。
※同一モードにおいて、それに含まれる全パターンが完結しない。
ex. mod 64 の場合、5, 21, 37, 53 には対応不可で、
別途、異なるモードが必要となる。
この点は、(8k + 5) 型として存在する分岐テーブルグループの
従属値が無数に存在することに対応している。
ex. 16k + 3 に対する 4(ak + b) + 1 演算結果は、64k + 13 である。
■(8k + 1) 型:すべての(8k + α)型へ遷移する。
遷移元 分類 遷移先
◆(32k + 1) → (8k + 1) (24k + 1)
◆(32k + 17) → (8k + 5) (24k + 13)
◆(32k + 9) → (8k + 7) (24k + 7)
◆(32k + 25) → (8k + 3) (24k + 19)
■(8k + 3) 型:(8k + 1)/(8k + 5)型へ遷移する。
遷移元 分類 遷移先
◆(16k + 3) → (8k + 5) (24k + 5)
◆(16k + 11) → (8k + 1) (24k + 17)
■(8k + 7) 型:(8k + 3)/(8k + 7)型へ遷移する。
遷移元 分類 遷移先
◆(16k + 7) → (8k + 3) (24k + 11)
◆(16k + 15) → (8k + 7) (24k + 23)
■(8k + 5) 型:すべての(8k + α)型へ遷移する。
モードを除く値部分は、基準値ベース(ex. 13 の基準値は 3)の
値から遷移すると見做せる。
遷移元 分類 遷移先 // 基準値ベース
◆(64k + 13) → (8k + 5) (24k + 5) // 16k + 3
◆(64k + 29) → (8k + 3) (24k + 11) // 16k + 7
◆(64k + 45) → (8k + 1) (24k + 17) // 16k + 11
◆(64k + 61) → (8k + 7) (24k + 23) // 16k + 15
◆(128k + 5) → (8k + 1) (24k + 1) // 32k + 1
◆(128k + 37) → (8k + 7) (24k + 7) // 32k + 9
◆(128k + 69) → (8k + 5) (24k + 13) // 32k + 17
◆(128k + 101) → (8k + 3) (24k + 19) // 32k + 25
◆(256k + 53) → (8k + 5) (24k + 5) // 64k + 13
◆(512k + 21) → (8k + 1) (24k + 1) // 128k + 5
・・・
上記の内容を基に、コラッツ遷移において、データ型が変化する様相の
概要を以下に示す。
[図C-6-1]コラッツ遷移におけるデータ型の変化
コラッツ遷移全体フローの概要を、途中で出現する(8k + α)型に
着目して、より具体的に示すと以下となる。
(凡例)
[(8k + 7) → ・・・ →]:有限個 ≧ 0 の (8k + 7)型連続列
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
| |
| ーーーーーーー |ーーーーー
↓ ↓ ||↓ |
[(8k + 7) → ・・・ →] (8k + 7) → (8k + 3)ーーー→(8k + 1) ーーー
↑ ↑ | ↓ ↑
| | ーーーー→(8k + 5)←ーーー
| | | || |
| ーーーーーーー | ーーーー
| |
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[図C-6-2]コラッツ遷移データ型フロー(概要)
[C-7]遷移最大値の存在仮説
コラッツ遷移において最大値が存在する場合、有限回で最大値に達する。
もし、すべてのコラッツ遷移において最大値が存在するならば、
その最大値以下の自然数の個数は有限なので、循環参照が存在しなければ、
取り得るコラッツ遷移値がいずれ尽きるので1に到達する。すなわち、
任意の自然数に対するコラッツ遷移は無限大に発散しない。
よって、「コラッツ遷移には無限経路が存在しない」ことが証明される。
なお、前提条件としてコラッツ遷移において循環参照が存在しないことは、
[D-7-4]で論じており、[補題E-5]として証明済みである。
初期値 $\forall n \in N_o$ に対するコラッツ遷移列の最大値を与える関数を
$x(n)$ とするとき、$x(n)$ が n の何乗に相当するかを考える。
ここで、n のべき乗の指数を $\exists p \in \mathbb{R} \gt 0$ とし、$n^p = x(n)$ となる
p を求める。この式の両辺の常用対数をとると、
$p \times log_{10} n = log_{10} x(n)$
∴$\displaystyle p = \frac{log_{10}x(n)}{log_{10}(n)}$ ・・・(1)
以下に、1 ~ 270271 の範囲において、式(1)で定義される p を
計算した結果のグラフを示す。グラフの横軸は n 、縦軸は p である。
また、開始点がコラッツ遷移の最大値の場合、p = 1 である。
すべてのコラッツ遷移には最大値 $M(n)$ が存在すると予想できる。
以下に、上記の範囲における結果において、2以上の値を示す初期値を
列挙する。
表[C-7]遷移最大値と n のべき乗との比較時のべき乗指数(2 以上)
値 p
---------------
27 2.436925947
31 2.338887683
41 2.162799114
47 2.086078563
55 2.004253204
上表において、55 以外は、27 のコラッツ遷移列に含まれる数値である。
また、55 は 27 に対して 2n1 関係にある値である。すなわち、27, 55 は、
コラッツ遷移上で同一の値(47)に合流する。したがって、上表に現れる
数値は、広義の意味で、すべて同一系列にあるものと見做せる。
コラッツ遷移全体として、遷移最大値と n のべき乗との比較時の
べき乗指数(p)は、p < 2.5 である可能性が非常に高い。
何故ならば、p > 2 となるコラッツ遷移は、相対的に非常に少なく、
その場合、2± ε である。(※ε < 0.3 程度)
全体の傾向として、n > 100 の場合、$M(n) ≒ n^2$ である。
これは、$\displaystyle \frac{M(n)}{n^2} \fallingdotseq 1$ とも解釈できる。
また、上記の掲載グラフから読み取れる結果として、27 の場合の遷移が
p の最大値を与えると予想される。
これは、初期下降シーケンスの分類パターンとして、(32k + 27) 型が
他の(32k + α) 型と比較して、全般に長いコラッツ遷移回数を与える
傾向にあることに関係していると考えられる。
[C-8]極大値は (4k + 1) 型
奇数に着目したコラッツ遷移において、その極大値は (4k + 1) 型の
場合に出現することを示す。
[C-8-1](4k + α) 型による分類
奇数を mod 4 で分類した場合、(4k + 1)/(4k + 3) 型のいずれかである。
以下では、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ である場合の奇数>1について考察する。
(4k + 1) 型の遷移は、初期値下降シーケンスである。
∵g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1)
(4k + 1) > (3k + 1) なので、初期値が (4k + 1) 型である場合、
次の遷移値は、必ず初期値よりも小さくなる。
(4k + 3) 型の遷移は、初期値上昇シーケンスである。
∵g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5)
(4k + 3) < (6k + 5) なので、初期値が (4k + 3) 型である場合、
次の遷移値は、必ず初期値よりも大きくなる。
したがって、奇数に着目したコラッツ遷移において、その極大値は、
初期値が (4k + 3) 型の遷移以降で出現する。
[C-8-2](4k + 3) 型による分類
(4k + 3) 型を mod 8 で分類した場合、(8k + 3)/(8k + 7) 型の
いずれかである。また、(8k + 7) 型が連続して出現する場合の遷移は、
[補題A-13]より、最終的に (8k + 3) 型に帰着する。
(8k + 3) 型の遷移は、以下である。
g(8k + 3) = 24k + 10 = 2(12k + 5) = 2(4(3k + 1) + 1) // (4k + 1) 型
g(12k + 5) = 36k + 16 = 4(9k + 4) = 2(3(3k + 1) + 1) // (3k + 1) 型
すなわち、(8k + 3) 型の遷移は、(8k + 3) → (12k + 5) → (9k + 4) である。
これは、(8k + 3) 型に対する遷移値が極大値となることを示している。
したがって、奇数ベースの遷移において、極大値は (4k + 1) 型である。
すなわち、奇数に着目したコラッツ遷移で出現する極大値は、
(8k + 1) 型、または (8k + 5) 型である。
[C-9]遷移最大値と Mn 遷移
コラッツ遷移最大値とメルセンヌ数に対する遷移の最大値の関係を
調査した結果を以下に示す。
[C-9-1]遷移最大値の傾向
コラッツ遷移における最大値の出現傾向を以下に示す。
(A)コラッツ遷移における最大値のデータ型
[補題C-19]より、コラッツ遷移における最大値のデータ型は、
(4k + 1) 型である。
実際、1 ~ 270000 の範囲における奇数のコラッツ遷移に関して、
出現する最大値を調査した結果、それらのデータ型は、
(8k + 1) / (8k + 5) 型のいずれかとなっている。
これらは、いずれも (4k + 1) 型に属する。
(B)最大値出現に関する (8k + 1)/(8k + 5) 型の出現割合
1 ~ 20000 の範囲における (4k + 1) 型としての最大値の
データ型、(8k + 1)/(8k + 5) 型の発生回数は以下である。
・(8k + 1) 型:2971
・(8k + 5) 型:7029
よって、(8k + 1) 型の出現割合は、約 30 [%]、
(8k + 5) 型の出現割合は、約 70 [%] である。
[C-9-2]遷移最大値と Mn 遷移極大値の関係
分岐テーブルグループ内のコラッツ遷移最大値と、
メルセンヌ数に対する遷移の極大値の関係を以下に示す。
[図C-9-2]コラッツ遷移最大値とメルセンヌ数遷移の極大値の関係
上記の結果より、メルセンヌ数に対する遷移の最大値が
コラッツ遷移最大値を与えるとは限らない。
[C-9-3]Mn 型遷移の極大値
初期値がメルセンヌ数 $\forall n \in \mathbb{N} \ |\ M_n$ であるコラッツ遷移の
最初の極大値 $L(n)$ は予測可能である。
$L(1) = 1$ であり、$M_{n+1}$ に対するコラッツ遷移の最初の極大値を与える
漸化式は、$L(n+1) = 3L(n) + 2$ である。
以下に、初期値がメルセンヌ数の場合のコラッツ遷移例を示す。
[図C-9-3]メルセンヌ数型コラッツ遷移の極大値
メルセンヌ数 $M_n$ の添え字 $n \gt 2$ が与えられた場合、
該当する初期値は (8k + 7) 型である。この場合のコラッツ遷移は、
(8k + 7) 型の遷移がいくつか継続した後、必ず (8k + 3) 型に到達し、
その後は (4k + 1) 型へ遷移する。すなわち、最終的には、必ず
(8k + 1) 型、または (8k + 5) 型へ到達する。
このときの (4k + 1) 型が、初期値に対してグラフ上の極大値を与える。
もしも、該当のコラッツ遷移全体において、最大の極大値ならば、
それは、該当するコラッツ遷移の最大値である。
以上の結果より、初期値がメルセンヌ数の場合、そのコラッツ遷移の
最初の極大値 $L_n$ の一般式は、以下である。
$L_0 = 1, \forall k ∈ \mathbb{Z} \ge 0\ |\ L_{k+1} = L_0 + 2(3^k - 1)$
n = k + 1 を代入すると、
$\forall n ∈ \mathbb{Z} \ge 1\ |\ L_n = 1 + 2(3^{n-1} - 1)$
[C-10]Mn型遷移とその関連
ここでは、メルセンヌ数に対するコラッツ遷移と同型の遷移が
ある値のコラッツ遷移の途中に出現する例を示す。
[C-10-1]63 の遷移
以下の2つのコラッツ遷移シーケンスが同一データ型である。
◆63 95 143 215 323 485
◆319 479 719 1079 1619 2429
以下のデータ型遷移がこの場合の一般形である。
(256k + 63)→(384k + 95)→(576k + 143)→(864k + 215)
→(1296k + 323)→(1944k + 485)
2429 は、27 に対するコラッツ遷移に含まれる。この遷移では、
比較的小さな奇数を出発点とする、多くのコラッツ遷移において、
その遷移列の最大値となる場合が多い 3077 が出現する。
以下に、27 に対する遷移における 3077 に至る部分の抜粋を示す。
319 479 719 1079 1619 2429 911 1367 2051 3077
また、上記の例の対応関係の概要を以下に示す。
(8k + 7) (8k + 7) (8k + 7) (8k + 7) (8k + 3) (4k + 1)
(256k + 63)→(384k + 95)→(576k + 143)→(864k + 215)→(1296k + 323)→(1944k + 485)
◆63 95 143 215 323 485
◆319 479 719 1079 1619 2429
[C-10-2]3077 直前の遷移
コラッツ遷移が 2429 → 911 → 1367 → 2051 → 3077 の場合を考える。
2429 は (64k + 61) 型である。このデータ型は (8k + 5) 型の類型であり、
基準値が (16k + 15) 型である分岐テーブルグループの従属値となっている。
∵2429 = 64k + 61, where k = 37
64k + 61 = 8(8k + 7) + 5 = 4(16k + 15) + 1
なお、(16k + 15) 型は、メルセンヌ数である 15, 31 のデータ型である。
分析結果の詳細を以下に示す。
遷移値: 2429 911 1367 2051 3077
8k+α : 8k5 8k7 8k7 8k3 8k5
コラッツ遷移経過: 2429 → 911 → 1367 → 2051 → 3077
g(64k + 61) = 192k + 184 = 8(24k + 23) // 2429 → 911, where k = 37
g(24k + 23) = 72k + 70 = 2(36k + 35) // 911 → 1367
g(36k + 35) = 108k + 106 = 2(54k + 53) // 1367 → 2051
g(54k + 53) = 162k + 160 = 2(81k + 80) // 2051 → 3077
補足すると、2429 は #607 に属する。よって、BTG 仮想経路を
想定して、2429 → 607 を考慮すると、以下となる。
607 → 911 → 1367 → 2051 → 3077
g(16k + 15) = 48k + 46 = 2(24k + 23)
g(24k + 23) = 72k + 70 = 2(36k + 35)
g(36k + 35) = 108k + 70 = 2(54k + 35)
g(54k + 35) = 162k + 106 = 2(81k + 53)
上記の遷移は、コラッツ遷移経過で示した遷移の先頭部分において、
"(64k + 61)" を "32k + 15" に置換したものとなっている。
また、対象としたコラッツ遷移を比較するために並べると、以下となる。
2429 → 911 → 1367 → 2051 → 3077
607 → 911 → 1367 → 2051 → 3077
15 → 23 → 35 → 35 → 53
よって、以下に示すコラッツ遷移は、同型と見做せる。
・2429 → ・・・ → 3077
・607 → ・・・ → 3077
・15 → ・・・ → 53
すなわち、これらは、メルセンヌ数 15 からの遷移の類型である。
[C-11]初期下降シーケンスに関する傾向調査
ここでは、奇数を初期値とした場合における初期下降シーケンスに
関する、限られた調査範囲における事実関係を列挙する。
したがって、本章の記載内容は、すべての奇数を対象とした
初期値に対して、一般的に成り立つとは限らないことに留意されたい。
[C-11-1](8k + 5) 型コラッツ遷移の特徴
分岐テーブルグループ間リンクの関係の一端を調査した結果として、
(8k + 5) 型コラッツ遷移に着目し、コラッツ遷移における最大値の
状態を見る。
(8k + 5) 型のコラッツ遷移の初期値は、多くの場合において、
該当するコラッツ遷移全体の最大値となっている。
この場合、明らかに、そのコラッツ遷移は、初期値下降シーケンスを
構成し、かつ、コラッツ収束する。
以下にいくつかの例を示す。下記において、先頭の〇印は、
(8k + 5) 型の初期値が該当コラッツ遷移の最大値であることを示す。
一方、×印は (8k + 5) 型の初期値が該当コラッツ遷移の最大値でない
ことを示す。
また、"// ・・・" は、初期値が属する分岐テーブルグループである。
〇 ex1. 5 → 1 // #1
〇 ex2. 13 → 5 → 1 // #3
〇 ex3. 21 → 1 // #1
〇 ex4. 29 → 11 → 17 → 13 → 5 → 1 // #7
〇 ex5. 37 → 7 → 11 → 17 → 13 → 5 → 1 // #9
〇 ex6. 45 → 11 → 17 → 13 → 5 → 1 // #11
〇 ex7. 53 → 5 → 1 // #3
〇 ex8. 61 → 23 → 35 → 53 → 5 → 1 // #15
〇 ex9. 69 → 13 → 5 → 1 // #17
〇 ex10. 77 → 29 → 11 → 17 → 13 → 5 → 1 // #19
〇 ex11. 85 → 1 // #1
〇 ex12. 93 → 35 → 53 → 5 → 1 // #23
〇 ex13. 101 → 19 → 11 → 17 → 13 → 5 → 1 // #25
× ex14. 109 → 41 → 31 → 47 → 71 → ・・・ // #27
〇 ex15. 117 → 11 → 17 → 13 → 5 → 1 // #7
× ex16. 125 → 47 → 71 → 107 → ・・・ // #31
上記においては、(8k + 5) 型のコラッツ遷移の初期値が
コラッツ遷移全体の最大値でない場合の例が2つ列挙されている。
それらは、ex14, ex16 である。
この2つの例の共通点は、遷移過程に #31 系列が含まれることである。
メルセンヌ数である $@ 31$のコラッツ遷移の概要は以下である。
31 → 47 → 71 → ・・・ → 3077 → ・・・ → 1 // 遷移最大値は 3077
[C-11-2](8k + 5) 型最大値の発生位置
1 ~ 3077 において、初期値が (8k + 5) 型である場合の最大値の
発生位置の概況は、以下である。
・奇数の総数(1~3077) :1539
・(8k + 5) 型の総数(1 ~3077) : 385(100 [%])
・(8k + 5) 型で、初期値が最大値である総数: 216( 56 [%])
・(8k + 5) 型で、最大値が 3077 である総数: 145( 38 [%])
・(8k + 5) 型で、最大値が 3077 でない総数: 24( 6 [%])
上記に関する調査結果の詳細を以下に示す。
(A)初期値がコラッツ遷移全体の最大値でなく、最大値が 3077
(8k + 5) 型のコラッツ遷移の初期値(1 ~ 3077)が
コラッツ遷移全体の最大値でない場合で、最大値が 3077 である
場合を列挙すると、以下となる。
◆最大値=3077:総数=145
№ 奇数(10 個/行)
1) 165 189 221 253 285 293 333 365 381 389
2) 413 429 437 445 485 501 517 549 573 581
3) 589 621 637 645 661 669 685 701 733 757
4) 765 773 781 797 829 861 885 893 925 933
5) 941 957 973 1005 1013 1029 1037 1053 1061 1101
6) 1133 1141 1165 1173 1189 1197 1245 1253 1277 1293
7) 1309 1333 1341 1349 1373 1381 1389 1405 1413 1437
8) 1461 1509 1525 1549 1557 1565 1581 1597 1645 1653
9) 1661 1669 1701 1717 1749 1781 1797 1829 1837 1853
10) 1869 1885 1917 1941 1949 1965 2005 2013 2061 2069
11) 2085 2093 2109 2125 2157 2173 2197 2213 2269 2293
12) 2325 2349 2357 2373 2381 2397 2429 2437 2469 2477
13) 2485 2493 2509 2549 2581 2597 2605 2621 2645 2677
14) 2701 2741 2757 2765 2781 2789 2805 2829 2877 2925
15) 2933 2949 3021 3029 3053
(B)初期値がコラッツ遷移全体の最大値でなく、最大値が 3077 以外
(8k + 5) 型のコラッツ遷移の初期値(1 ~ 3077)が
コラッツ遷移全体の最大値でない場合で、最大値が 3077 以外である
場合を列挙すると、以下となる。
◆最大値が 3077 以外:総数=24
最大値 数量 奇数
1457 5 509, 677, 901, 1149, 1357
2693 1 2237
3509 1 2461
3725 1 2941
4373 3 1021, 1533, 2301
4769 2 1981, 2973
7229 2 2669, 3005
13121 5 1789, 2045, 2685, 2725, 3069
13841 1 2557
83501 1 2813
計 24
[C-11-3]コラッツ遷移で出現する最大値
奇数に対するコラッツ遷移の最大値 a が先頭遷移最大値数である場合、
a が出現した後の遷移では、a を超える遷移値は出現しない。
先頭遷移最大値数のデータ型は、必ず (4k + 1) 型であり、(8k + 3) 型の
直後に出現する。したがって、先頭遷移最大値数は、常に極大値である。
[C-12]コラッツ遷移の極大値
自然数における奇数を mod 4 で分類すると、以下である。
・(4k + 1) : g(4k + 1) = 4(3k + 1), (4k + 1) > (3k + 1) // ↓
・(4k + 3) : g(4k + 3) = 2(6k + 5), (4k + 3) < (6k + 5) // ↑
なお、コメント欄における "↑", "↓" は、遷移前後の値の増減状態を示す。
また、自然数における奇数を mod 8 で分類すると、以下である。
・(8k + 1) : g(8k + 1) = 4(6k + 1), (8k + 1) > (6k + 1) // ↓
・(8k + 3) : g(8k + 3) = 2(12k + 5), (8k + 3) < (12k + 5) // ↑
・(8k + 5) : g(8k + 5) = 8(3k + 2), (8k + 5) > (3k + 2) // ↓
・(8k + 7) : g(8k + 7) = 2(12k + 11), (8k + 7) < (12k + 11) // ↑
(4k + 1) 型は、以下の2種類に対応する。
- (8k + 1) 型
- (8k + 5) 型
また、(4k + 3) 型は、以下の2種類に対応する。
- (8k + 3) 型
- (8k + 7) 型
ここで、コラッツ遷移の変化が極大値を構成する場合を考える。
このとき、極大値となるデータ型は、mod 4, mod 8 の分類では、(4k + 1) 型である。
また、極大値となるデータ型の直前のデータ型は、(8k + 3) 型である。
すなわち、コラッツ遷移の変化が極大値を構成する場合、
(8k + 3) 型の直後に現れる (4k + 1) 型の時点で極大となる。
一方、(8k + 7) 型のコラッツ遷移後のデータ型は、(8k + 3) 型、
または (8k + 7) 型である。すなわち、[補題C-7]、[補題C-8]より、
(8k + 7) 型がいくつか連続した後に (8k + 3) 型が出現し、その後に、
極大値としての (4k + 1) 型が出現する。
なお、(8k + 7) 型が連続する個数は0でもよい。この場合は単に、
(8k + 3) 型 → (4k + 1) 型のシーケンスとなる。
以下に、いくつかの例を示す。
・3 → 5 → 1 // 8k3 → 8k5→ 8k1
・7 → 11 → 17 → 13 // 8k7 → 8k3 → 8k1→ 8k5
・15 → 23 → 35 → 53 → 5 // 8k7 → 8k7 → 8k3 → 8k5→ 8k5
・31 → 47 → 71 → 107 → 161 → 121
// 8k7 → 8k7 → 8k7 → 8k3 → 8k1→ 8k1
(8k + 3) 型 → (4k + 1) 型のシーケンスにおいて、(4k + 1) 部分が
(8k + 1) 型となるか、(8k + 5) 型となるかは、(8k + 3) 型の属性に依存する。
(8k + 3) 型を mod 16 で分類すると、以下である。
・(16k + 3) 型 : g(16k + 3) = 48k + 10 = 2(24k + 5) // (8k + 5) 型
・(16k + 11) 型: g(16k + 11) = 48k + 34 = 2(24k + 17) // (8k + 1) 型
つまり、(8k + 3) 型部分が (16k + 3) 型の場合、遷移が (8k + 5) 型となり、
(8k + 3) 型部分が (16k + 11) 型の場合、遷移が (8k + 1) 型となる。
遷移値が (8k + 5) 型となる場合、遷移値が (8k + 1) 型となる場合と
比較して、その後の遷移値の変化率が大きくなる。
以下に比較例を示す。
・11 → 17 → 13 // 16k11 → 8k1→ 8k5 ・・・ (A)
・35 → 53 → 5 // 16k3 → 8k5→ 8k5 ・・・ (B)
上記の例に対して、初期値を1とした相対倍率の変化は以下となる。
・1 → 1.545 → 1.182 ・・・ (A)
・1 → 1.514 → 0.142 ・・・ (B)
すなわち、(8k + 3) 型 → (8k + 5) 型の変化であるパターン(B) は、
パターン(A) と比較して、(8k + 3) 型からの遷移としては同型であるが、
相対倍率の変化として、劇的に遷移値が減少する。
よって、コラッツ遷移の経過において、(8k + 5) 型が出現することが
特徴的であり、コラッツ収束面で、死活的に重要な意味を持っている。
[D]自然数の分類とコラッツ演算
以下の点に着目した場合の自然数の分類を示す。
・2の冪乗
・4の冪乗による奇数の分類
・6による除算の余り
また、コラッツ演算結果に規則性があることを示す。
[D-1]2の冪乗による分類
自然数全体を2の冪乗($2^n$)を境界として分類する。
ただし、$\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0$ である。
この場合の境界値や含まれる値は、2の冪乗の指数に応じて、
以下となる。ただし、境界値間で含まれる自然数は、
$2^n$ ~ $2^{n+1}$ の範囲とし、境界値は含まないものする。
ex.境界値 2 に着目した場合、境界値 2 ~ 4 を対象とする。
この場合、含まれる数値は、3 のみとなる。
2の冪乗レベルの最下位から出発し、そのレベルの範囲に含まれている
奇数の小→大の順序に着目して整理すると、奇数ベースで、自然数全体を
分類可能である。
すなわち、[表D-1]において、頂点に位置する奇数を基準値として、
その基準値に対する2の冪乗倍となる偶数を束ねて、
2の冪乗の要素集合と見做すと、自然数全体は整列する。
2の冪乗の指数によって分類できる要素全体を
「2の冪乗グループ」という。
(※[表D-1]における「含まれる値」欄の | 記号で囲まれた縦方向の
数値部分を参照)
2の冪乗グループの個々の数値の関係は、すべてのグループ内で
共通であり、前項に対して2倍したものになる。
この観点での奇数の最小値は1で、[表D-1]では境界値の欄に
縦方向に記されている。これらの値は、公比2の等比数列であり、
全体として2の冪乗を表す。
以下に、2の冪乗グループの構造を図解したものを示す。
2の冪乗グループの構造は相似である。また、2の冪乗分類において、
奇数に注目した場合、上位層と下位層における分岐における関係は、
上位層の奇数を a とすると、(2a - 1)、または(2a + 1)の関係と
なっている。
すなわち、2の冪乗分類での全体構成は、基本構造を端的に示す
2の冪乗(1, 2, ...)を除くと、3を頂点として、
(2a - 1)/(2a + 1) 関係が拡張されていった構造となっている。
また、自然数の範囲において、
(奇数に対する2の冪乗グループ全体の集合)∪(2の冪乗集合)は、
自然数全体の集合に一致する。
ex.1, 2, 4,... // 2の冪乗グループ1(代表値:1)
3, 6,12,... // 2の冪乗グループ3(代表値:3)
5,10,20,... // 2の冪乗グループ5(代表値:5)
7,14,28,... // 2の冪乗グループ7(代表値:7)
...
[D-2]4の冪乗による奇数分類
自然数における奇数全体を$\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0, 4^n$ を境界として分類する。
この場合の境界値や含まれる値は、4の冪乗の指数に応じて、
下表のようになる。ただし、境界値間で含まれる自然数は、
$4^n ~ 4^{n+1}$ の範囲とし、境界値は含まない。
ex.境界値 4 に着目した場合、境界値 4 ~ 16 を対象とする。
この場合、含まれる数値は、5 ~ 15 となる。
4の冪乗の指数により分類できる要素全体を「4の冪乗グループ」
という。また、奇数 a が $4^p \lt a \lt 4^{p+1}$ であるとき、
「a は4の冪乗グループ p に所属している」という。
[表D-2-1]4の冪乗による奇数の分類
****************************************************************
4の冪乗 |指数|含まれる値
****************************************************************
1 | 0| 1, 3
----------------------------------------------------------------
4 | 1| 5, 7, 9,11,13,15
----------------------------------------------------------------
16 | 2| 17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,...
----------------------------------------------------------------
64 | 3| 65, 67, 69, 71, 73, 75, 77, 79, 81, 83, 85,...
----------------------------------------------------------------
256 | 4|257,259,261,263,265,267,269,271,...
----------------------------------------------------------------
... |...|...
****************************************************************
$n \in N_o$ に対する(4n + 1)が存在し、それは奇数として一意に定まる。
逆に、F(n) = (n - 1) / 4 とすると、F(4n + 1) = n であり、一意に定まる。
[図D-2-1]奇数の(4n + 1)関係
ここで、[表E-2-1]に対して、さらに、垂直方向の分類構造を
導入する。その分類方法を以下に示す。
(1)4の冪乗の指数による分類単位に属する奇数を昇順に並べる。
(2)上位の4の冪乗値(n)の直下に (4n + 1)の値を置く。
上記の分類方法に従って構成した表(全体の一部)を以下に示す。
[表D-2-2]4の冪乗の指数と(4n + 1)関係による奇数の分類
****************************************************************
4の冪乗|指数|含まれる値
****************************************************************
1 | 0 | 1 3
----------------------------------------------------------------
4 | 1 | 5, 13, 7, 9, 11, 15
----------------------------------------------------------------
16 | 2 | 21, 53,29, 37, 45, 61, 17, $\cdots$
----------------------------------------------------------------
64 | 3 | 85, 213,117, 149, 181, 245,69, 65, $\cdots$
----------------------------------------------------------------
256 | 4 | 341, 853,469, 597, 725, 981,277,261, $\cdots$
----------------------------------------------------------------
$\cdots$ |$\cdots$ |$\cdots$
****************************************************************
[表D-2-2]から、自然数における奇数全体は、4の冪乗の指数に
着目し、同時に(4n + 1)関係を考慮して並べると、
整列した分類状態となる。
自然数の奇数全体を(4n + 1)形式で分類した要素を
「(4n + 1)グループ」という。
なお、(4n + 1)グループの要素は、値の昇順に並べるものとする。
以下に例を示す。
ex. 3, 13, 53, 213, 853, ...
定義より、(4n + 1)グループの構造は相似である。
(4n + 1)グループの要素の最初の要素を「基準値」という。
また、(4n + 1)グループに属する基準値でない要素を
「従属値」という。
上記の例(#3)の場合、基準値は 3、その他は従属値である。
従属値の一般形式は、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$, 8k + 5 である。
従属値の一般形式の導出を以下に示す。
(4n + 1)グループの値を a とすると、a は奇数を対象としているので、
$\forall a \in N_o, \exists k \in \mathbb{Z} \ge 0, a = 2k + 1$ と書ける。
a の次の要素を n とすると、n = 4a + 1 である。
これを展開すると、以下となる。
n = 4(2k + 1) + 1 = 8k + 5
上記より、(4n + 1)グループに属する基準値の型は、8を法として、
(8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 7)形式のいずれかである。
これらは、4を法とした場合の (4k + 1) / (4k + 3) 形式に対応する。
[D-3](4a + 1)関係と合流
奇数である自然数 a から、コラッツ演算で生成される奇数を n とする。
この場合、4a + 1 である奇数も、コラッツ演算の結果は n になる。
例えば、 1 と 5 の関係である。
1 → 4 → 2 → 1
5 → 16 → 8 → 4 → 2 → 1
また、この 4a + 1 のさらに(4倍+1)も、同様に n になる。
すなわち、これは、4(4a + 1) + 1 = 16a + 5 の場合である。
例えば、 1 に対する 5 と 21 の関係である。
21 → 64 → 32 → 16 → 8 → 4 → 2 → 1
コラッツ遷移の性質として、{a, 4a + 1, 16a + 5, $\cdots$} の組は、
同一の値に遷移する。すなわち、基準値 a と(4a + 1)関係にある
奇数は、コラッツ遷移のシーケンスとして合流する。
ただし、この場合の基準値となる奇数には条件がある。
すなわち、a は、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$,(8k + 5)型以外である必要がある。
この理由を以下に示す。
(4a + 1) に対して、g(n) を適用すると、以下となる。
g(4a + 1)
= 3(4a + 1) + 1
= 12a + 4
= 4(3a + 1)
= 4g(a)
上式より、(4a + 1) に対する g(n) 適用結果は、g(a) = (3a + 1) の
4倍である。よって、その後のコラッツ演算規則における2の除算により、
結果的に、a に対してコラッツ演算を適用したことに等しくなる。
ここでは、漸化式(4a + 1)を連続適用した数列に対する
コラッツ演算が同じ値となることを、記号 ”←” を用いて、
以下のように表す。
n ← a、4a + 1, 16a + 5, $\cdots$
実際に、コラッツ演算結果の n = 1, 5, 7, ・・・と、
それを導く数列の対応を列挙すると以下となる。
なお、赤字部分は3の倍数である。
[表D-3-1]コラッツ演算結果と(4n + 1)グループの対応関係
----------------------------------------------------------------
奇数index n ← (4n + 1)グループ
----------------------------------------------------------------
0 1 ←{ 1, 5, 21,$\cdots$} // a = 1:(8k + 1)型
1 (3)
2 5 ←{ 3,13, 53,$\cdots$} // a = 3:(8k + 3)型
3 7 ←{ 9,37,149,$\cdots$} // a = 9:(8k + 1)型
4 (9)
5 11 ←{ 7,29,117,$\cdots$} // a = 7:(8k + 7)型
6 13 ←{17,69,277,$\cdots$} // a = 17:(8k + 1)型
7 (15)
8 17 ←{11,45,181,$\cdots$} // a = 11:(8k + 3)型
9 19 ←{25,101,405,$\cdots$} // a = 25:(8k + 1)型
10 (21)
11 23 ←{15,61,245,$\cdots$} // a = 15:(8k + 7)型
12 25 ←{33,133,533,$\cdots$} // a = 33:(8k + 1)型
13 (27)
14 29 ←{19,77,309,$\cdots$} // a = 19:(8k + 3)型
15 31 ←{41,165,661,$\cdots$} // a = 41 :(8k + 1)型
16 (33)
17 35 ←{23,93,373,$\cdots$} // a = 23:(8k + 7)型
18 37 ←{49,197,789,$\cdots$} // a = 49:(8k + 1)型
19 (39)
20 41 ←{27,109,437,$\cdots$} // a = 27:(8k + 3)型
21 43 ←{57,229,917,$\cdots$} // a = 57:(8k + 1)型
22 (45)
23 47 ←{31,125,501,$\cdots$} // a = 31:(8k + 7)型
24 49 ←{65,261, 1045,$\cdots$} // a = 65:(8k + 1)型
25 (51)
26 53 ←{35,141, 565,$\cdots$} // a = 35:(8k + 3)型
・・・
----------------------------------------------------------------
上表の ”←” の左側は、奇数全体から3の奇数倍を除いたものとなる。
すなわち、矢印の左辺の型は、(6k + 1) / (6k + 5) 型である。
また、上表の ”←” の右側における先頭以外の数値は、(8k + 5)型の
奇数である。これらは、「[D-2]4の冪乗による奇数分類」で
示されている従属値であり、奇数に対する (4n + 1) 演算に対応している。
また、 ”←” の右側における数列では、連続する3個の要素の一つは、
3の奇数倍である。この点に関しては、以下の補題で証明している。
・[補題A-7](4n + 1)演算を連続適用の奇数列は3の奇数倍を含む。
結果として、上記の計算対象集合は(4n + 1)グループの集合である。
よって、(4n + 1)グループ全体は、重複なしで、すべての奇数を含む。
奇数である自然数 a に対して、漸化式(4a + 1)を
順次適用した結果は、以下である。
[表D-3-2]漸化式(4a + 1)を複数回適用した場合の計算式
------------------------------------------------
回数 値
------------------------------------------------
1 4a + 1
2 16a + 5 // 4(4a + 1) + 1 = 16a + 5
3 64a + 21
4 256a + 85
5 1024a + 341
6 4096a + 1365
7 16384a + 5461
...
------------------------------------------------
漸化式(4a + 1)の適用結果を自然数 s > 0, t > 0 を係数とする
a に関する1次式、sa + t の形式と見做すと、s = 3t + 1 の関係であり、
具体的な値は以下となっている。
この関係式は(4のべき乗)- 1 が3の倍数であることを示している。
この点に関する証明は、[補題A-4]を参照されたい。
[表D-3-3]漸化式(4a + 1)を複数回適用した場合の係数の変化
------------------------------------------------
← 3t + 1
s t
4a --------------------- 4a + 1
↓ 4 1 ↓
↓ 16 5 ↓
↓ 64 21 ↓
↓ 256 85 ↓
↓ 1024 341 ↓
↓ 4096 1365 ↓
↓ 16384 5461 ↓
...
------------------------------------------------
上表からわかるように、s は分岐テーブル @1 の分岐点の値であり、
t は s の要素に対応する分岐テーブルグループ #1 に属する
分岐テーブルの代表値が並んでいる。
[D-4]除数6の余りによる分類
自然数全体の集合 $\mathbb{N}$ を6による除算の余りによって、
以下の6つの集合に分類する。ただし、∀m ≧ 0 ∈ $\mathbb{Z}$ とする。
なお、G0 において、0 は要素ではない。
以下では、各集合の要素を一般形で示している。
$N_0$ = {6m + 0} // 3(2m) :偶数に対する(3n)型 ex. 6, 12, ...
$N_1$ = {6m + 1} // 3(2m) + 1 :偶数に対する(3n + 1)型 ex. 1, 7, 13, ...
$N_2$ = {6m + 2} // 3(2m) + 2 :偶数に対する(3n + 2)型 ex. 2, 8, 14, ...
$N_3$ = {6m + 3} // 3(2m + 1) :奇数に対する(3n)型 ex. 3, 9, 15, ...
$N_4$ = {6m + 4} // 3(2m + 1) + 1 :奇数に対する(3n + 1)型 ex. 4, 10, 16, ...
$N_5$ = {6m + 5} // 3(2m + 1) + 2 :奇数に対する(3n + 2)型 ex. 5, 11, 17, ...
ex. $1 \in N_1, 2 \in N_2, 3 \in N_3, 4 \in N_4, 5 \in N_5, 6 \in N_0$
ここでは、奇数に対する関数 g(n) = 3n + 1 について、考察する。
$\forall n \in N_o, \exists m \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2m + 1$ とおくと、以下である。
g(n) = 3(2m + 1) + 1 = 6m + 4 = 2(3m + 2)
すなわち、奇数に対して関数 g(n) を適用すると、
その演算結果は(6m + 4)型となる。
(6m + 4)型は、分岐テーブルにおける分岐点のデータ型である。
注目すべき点として、分岐点の値は、同時に以下の2つの形態に
対応するデータ形式となっていることが挙げられる。
(※<g(n) の演算結果>=<(3n + 2)型数値の2倍>)
$\forall n \in N_o, \exists m \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2m + 1$ とおく。
◆関数 g(n) の演算結果(代表値のリンク対象分岐点)
g(n) = 3(2m + 1) + 1 = 6m + 4
◆(3n + 2)型数値の2倍
・(3n + 2)型代表値の2倍(BT のリンク基準点)
3n + 1 = 3(2m + 1) + 1 = 2(3m + 2)
・(3n + 1)型代表値の4倍(BT のリンク基準点)
$2(3n + 1) = 6n + 2$ // (3n + 1) 型代表値の次の偶数
$4(3n + 1) = 6(2n) + 4$ // リンク基準点
[D-5](6m + 4)型の性質
$\forall n \in N_o, g(n)$ により、(6m + 4)型は分岐点に対応する。
(6m + 4)型の値はさらに細分化できる。すなわち、以下となっている。
■(6k + 3) 型: g(6k + 3) = 18k + 10 = 2(9k + 5) // 3の奇数倍
■(6k + 1) 型: g(6k + 1) = 18k + 4 = 2(9k + 2)
■(6k + 5) 型: g(6k + 5) = 18k + 16 = 2(9k + 8)
すなわち、分岐点のデータ型は3つのパターンに分類できる。
分岐点のデータ型が(18k + 10)型の場合、リンクする分岐テーブルの
代表値は3の奇数倍であり、その分岐テーブルの枝は途中で分岐しない。
以下に、分岐点に関係する要素のデータ対応の一般形を示す。
[図D-5-1]分岐点周辺のデータ対応関係(一般形)
なお、(3n + 1)型代表値の2倍のデータ型は、(3n + 2)型である。
∵$∀k ∈ \mathbb{Z} \ge 0, n = 2k + 1$ とおくと、
2(3n + 1) = 6n + 2 = 6(2k + 1) + 2 = 12k + 8 = 3(4k + 2) + 2
また、以下に、(6k + 3) 型を代表値として持つ分岐テーブルと
分岐点周辺の対応関係(赤枠部分)を示す。
[図D-5-2](6k + 3) 型と分岐点周辺の対応関係
[D-6]コラッツ演算の規則性
自然数における奇数に対して $g(n)$ を適用した場合、
その演算結果に規則性があることを以下に示す。
[表D-3-1]において、コラッツ演算結果に着目して、その規則性を
図示すると、以下となる。
[図D-6-1](4a + 1)関係とコラッツ演算結果の対応関係
3の奇数倍が g(n) 演算結果の対象外である点を考慮したコラッツ演算結果は、
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ とするとき、(8k + 1)型または(4k + 3)型の
奇数で表現可能であることが上図よりわかる。
このことをより詳細に以下に示す。下図の右端部分で、
同一の(4n + 1)グループに属さない場合の演算結果が示されている。
[図D-6-2]コラッツ遷移における演算結果
上図より、奇数に対する8による除算の余りの分類に従って、
コラッツ演算結果の奇数を求めることができることがわかる。
以下に、各データ型の奇数に対して、コラッツ演算結果を得る計算式を示す。
これらの計算式は、データ型の分類において得られる奇数を8で除算した
整数商 k に依存する。ここでの k は、奇数インデックスに着目した場合、
4個単位の周期で変化する。
奇数インデックスにおける4個単位の周期は、自然数に対して、
8による除算の余りで奇数を分類することに相当する。
以下に、コラッツ演算結果の規則性を整理した結果を示す。
[表D-6-1]奇数分類によるコラッツ演算結果
--------------------------------------------------------------------------------------------
:<g(n) 演算結果から2の冪乗を除いた代表値の分類>
------------------------------------------------------------------------
奇数データ型:基本型 :小分類:代表値(※k = 2j or (2j + 1) for(8k + 1)型)
---------------------------------------------------------------------------------------------
◆(8k + 1)型:6k + 1 :k ∈ Ne:6k + 1 = 12j + 1 // ex. 17: k = 2 → j = 1 → 代表値=13
:6k + 1 :k ∈ No:6k + 1 = 12j + 7 // ex. 9: k = 1 → j = 0 → 代表値=7
◆(8k + 3)型:6k + 5 : :12k + 5 // ex. 11: k = 1 → 代表値=17
◆(8k + 5)型:2k + 1 : :2k + 1 // ex. 13: k = 1 → 代表値=3
◆(8k + 7)型:6k + 5 : :12k + 11 // ex. 15: k = 1 → 代表値=23
--------------------------------------------------------------------------------------------
ただし、上記において、(8k + 5)型の奇数は、
(4n + 1)グループにおける従属値であり、特殊な場合となる。
これらは、漸化式(4a + 1)関係にある(4n + 1)グループに属している。
(4n + 1)グループの基準値を得るには、(4n + 1)型でなくなるまで
計算を続行する。
値域を自然数全体の奇数集合から3の奇数倍を除く集合に限定した場合、
(8k + 1) / (8k + 3) / (8k + 7) 型のコラッツ演算結果は、全単射である。
従って、(4n + 1)グループ間の代表値に関するコラッツ演算において、
(8k + 5)型に関する g(n) 演算は、他のデータ型のコラッツ演算結果相互の
独立性に影響を与えない。
[表D-6-1]および上記の考察より、自然数全体を8による除算の余りで
分類した場合、各(8k + α)分類において k = 0, 1, ... と変化させた場合に
得られる g(n) 演算結果から2の冪乗を除いた代表値は、
以下の対応関係であり、従属値の場合を除いて、全て相異なる。
{8k + 1, 8k + 3, 8k + 5, 8k + 7} → {6k + 1, 12k + 5, 2k + 1, 12k + 11}
従属値は(8k + 5)型の奇数であり、従属値に対する g(n) 演算結果から
2の冪乗を除いた代表値は、その他の(8k + α)分類の場合に帰着する。
[D-7]遷移の定式化
ここでは、遷移過程の定式化を試みる。
[D-7-1]遷移比率
複数の遷移が継続する a → b → c → $\cdots$ → z の場合、その遷移回数を n、
前項と現在項の遷移比率を $r_i\ (i = 1, 2, \cdots)$ とすると、
$z = (((ar_1)r_2) \cdots)r_n = a\prod_{i=1}^n r_i$
と表される。よって、初期値 a と個別の遷移比率が既知ならば、
始点から終点を求められる。
上式において、始点 a から終点 z への遷移比率 r は以下となる。
$\displaystyle r = \frac{z}{a} = \prod_{i=1}^n r_i$
[D-7-2]遷移方程式
二項関係が遷移比率で決まる遷移過程を一般化することを考える。
この場合の遷移方程式は、遷移比率の継続適用を反映して、以下である。
ただし、$\forall V_k \in \mathbb{Z} \gt 0, V_k$ は、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$, k 番目の遷移値とする。
ここで、$V_0$ は初期値である。
$\displaystyle \frac{V_n}{V_0} = (\frac{V_1}{V_0})(\frac{V_2}{V_1}) \cdots (\frac{V_n}{V_{n-1}})$ ・・・(1)
上式を簡約すると、対応する分母・分子は、以下のように相殺される。
$\displaystyle \frac{V_n}{V_0} = (\frac{\bcancel{V_1}}{V_0})(\frac{\bcancel{V_2}}{\bcancel{V_1}})(\frac{\bcancel{V_3}}{\bcancel{V_2}}) \cdots (\frac{\bcancel{V_{n-1}}}{\bcancel{V_{n-2}}})(\frac{V_n}{\bcancel{V_{n-1}}})$
すなわち、途中の遷移の影響は相殺されて、全体の遷移比率は
始点と終点だけで決まる。
よって、式(1)は、途中で複雑な遷移を繰り返す状態が
記述されているにも関わらず、遷移方程式は恒等式である。
式(1)の定義において、ある遷移状態から次の遷移状態への
移行方法に制約はないので、遷移比率の関係は、
恒等式を展開した形式として一般的に適用可能である。
以下に例を示す。
コラッツ遷移が確立されている場合、(代表値/代表値)形式、または、
(代表値/分岐点)形式の遷移方程式が恒等式として成り立つ。
すなわち、この場合、上記の遷移方程式A、Bが成り立つ。
以下の命題は、上記の対偶として成り立つ。
「(代表値/代表値)形式または(代表値/分岐点)形式の
遷移方程式が恒等式として成り立たないならば、
そのようなコラッツ遷移は存在しない。」
[D-7-3]分岐点遷移方程式
遷移回数$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$、コラッツ遷移の途中で現れる奇数が
$V_0, V_1, \cdots, V_n \in \mathbb{Z} \gt 0$であるコラッツ遷移を考える。ただし、
$V_0$ を初期値、$V_k$ を $\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$, k 番目の遷移値とする。
コラッツ関数 g(n) は、分岐テーブルの代表値 n に対する分岐点の
値を定める。素因数分解の一意性より、
$\exists V_{k+1} \in \mathbb{Z} \gt 0, \exists P_k \in \mathbb{Z} \gt 0\ |\ g(V_k) = 3V_k + 1 = V_{k+1}2^{P_{k+1}}$
が成り立つ。[補題C-1]より、$V_k \gt 1$ ならば、$ V_{k+1} \neq V_k$ である。
上記の関係は、分岐テーブル間リンクを考慮した場合、対象値に対する
コラッツ演算 g(n) における3倍の扱いを以下のように解釈できる。
$3V_k = g(V_k) - 1$
遷移方程式を中間項 g($V_k$) で表現すると、以下となる。
$\frac{V_n}{V_0} = \frac{1}{2^{S_n}} \times \frac{g(V_0)}{V_0} \times \frac{g(V_1)}{V_1} \times \cdots \times \frac{g(V_{n-1})}{V_{n-1}}$ ・・・(1)
ただし、$\displaystyle S_n = {\sum_{k=1}^{n}}P_k = P_1 + P_2 + \cdots + P_n$ である。
ここで、$P_k$ は個々の分岐テーブル内遷移回数、$S_n$ は $P_k$ の総和である。
また、分岐テーブル間遷移回数 n と $S_n$ は、初期値は共に 0 である。
式(1)において、両辺の逆数をとると、
$\frac{V_0}{V_n} = 2^{S_n} \times \frac{V_0}{g(V_0)} \times \frac{V_1}{g(V_1)} \times \cdots \times \frac{V_{n-1}}{g(V_{n-1})}$ ・・・(2)
$\therefore \frac{V_0}{V_n} = 2^{S_n} \times \frac{V_0}{V_1 2^{P_1}} \times \frac{V_1}{V_2 2^{P_2}} \times \cdots \times \frac{V_{n-1}}{V_n 2^{P_n}}$ ・・・(3)
式(3)を「分岐点遷移方程式」という。分岐点遷移方程式は、
遷移方程式の一種であり、分岐テーブルの代表値と、分岐点を
2のべき乗とその他の素因数による合成数の積で表現した2つの要素で、
遷移過程を表現している。すなわち、始点の分岐テーブルの代表値から
出発して、終点の分岐テーブルの代表値に到達する過程を表現している。
式(3)において、対応する部分を取り消し線でマーキングすると、
$\frac{V_0}{V_n} = \bcancel{2^{S_n}} \times \frac{V_0}{\cancel{V_1} \bcancel{2^{P_1}}} \times \frac{\cancel{V_1}}{\cancel{V_2}\bcancel{2^{P_2}}} \times \cdots \times \frac{\cancel{V_{n-1}}}{V_n \bcancel{2^{P_n}}}$
上式からわかるように、右辺から中間項をを間引くと、明らかに、
分岐点遷移方程式は恒等式であり、コラッツ収束の可否に依存しない。
すなわち、コラッツ遷移方程式は、本来の値に帰着する状態を保ったままで
変形可能であり、適切な値を選択すれば、必ず定式化できる。
遷移方程式内に現れる”たすき掛け”の分子と分母の値を同一に保つ限り、
必要に応じて、中間項の数を任意に拡張可能である。
また、恒等式を成立させるという意味において、中間項の値は任意である。
すなわち、出発点とした遷移比率に対して途中で挿入した中間項が
全体として相殺できるならば、任意の値を中間項としてよい。
式(3)では、分岐点遷移方程式の値は、途中の遷移過程に依存せず、
$V_0 / V_n$ となっている。ただし、分岐点遷移方程式の場合、
中間項に関して g() を使うという制約を受ける。
[D-7-4]コラッツ遷移方程式
分岐点遷移方程式は、以下である。
$\frac{V_0}{V_n} = 2^{S_n} \times \frac{V_0}{V_1 2^{P_1}} \times \frac{V_1}{V_2 2^{P_2}} \times \cdots \times \frac{V_{n-1}}{V_n 2^{P_n}}$ ・・・(1)
上式を分岐テーブル間遷移回数 n を使用して書き直すと、
$\frac{V_0}{V_n} = \frac{2^{S_n}}{3^n} \times \frac{3V_0}{V_1 2^{P_1}} \times \frac{3V_1}{V_2 2^{P_2}} \times \cdots \times \frac{3V_{n-1}}{V_n 2^{P_n}}$
$g(V_k) = V_{k+1}2^{P_{k+1}},\ 3V_k = g(V_k) - 1$ を考慮すると、
$\frac{V_0}{V_n} = \frac{2^{S_n}}{3^n} \times \frac{g(V_0) - 1}{g(V_0)} \times \frac{g(V_1) - 1}{g(V_1)} \times \cdots \times \frac{g(V_{n-1})-1}{g(V_{n-1})}$
$\frac{V_0}{V_n} = \frac{2^{S_n}}{3^n} (1 - \frac{1}{g(V_0)}) (1 - \frac{1}{g(V_1)}) \cdots (1 - \frac{1}{g(V_{n-1})})$ ・・・(2)
式(2) を「コラッツ遷移方程式」という。コラッツ遷移方程式は、
遷移方程式の一種であり、コラッツ遷移過程は分岐点($g(V_k)$)のみで
表現されている。
分岐点のデータ型は (6k + 4) 型であり、分岐テーブル間遷移に関する 3 と
分岐テーブル内遷移に関する 2 が係数($\frac{2^{S_n}}{3^n}$)を構成する。
式(2)の右辺において、$(1 - \frac{1}{g(V_k)}) \lt 1$ である。よって、
$(1 - \frac{1}{g(V_0)}) (1 - \frac{1} {g(V_1)}) \cdots (1 - \frac{1}{g(V_{n-1})}) \lt 1$ ・・・(3)
上記の不等式を式(2)に適用すると、
$\frac{V_0}{V_n} \lt \frac{2^{S_n}}{3^n}$ ・・・(4)
よって、任意のコラッツ遷移において、始端 $V_0$ と終端 $V_n$ の
比には上界が存在する。閾値となる R = $\frac{2^{S_n}}{3^n}$ を「経過比率」という。
遷移前の状態において、$n = S_n = 0$ なので、R の初期値は 1 である。
上式を R を用いて表現すると、
$V_n \gt \frac{V_0}{R}$ ・・・(5)
上式より、R > 1 ならば、$V_n \lt V_0$ である。このとき、
初期値 $V_0$ のコラッツ遷移は初期値下降シーケンスである。
逆に、R < 1 ならば、式(3) より、$V_n \gt V_0$ である。このとき、
初期値 $V_0$ のコラッツ遷移は初期値下降シーケンスではない。
よって、$V_n$ と $V_0$ の大小関係は、R を用いて、
1と比較することにより判別可能である。すなわち、
遷移が初期値下降シーケンスであるかどうかは、"R > 1" で判断できる。
式(2) を R を用いて表現すると、
$\frac{V_0}{V_n} = R (1 - \frac{1}{g(V_0)}) (1 - \frac{1}{g(V_1)}) \cdots (1 - \frac{1}{g(V_{n-1})})$ ・・・(6)
留意すべき点は、R は、直接的には、指数関数の異なる底に対する
2つの変数 $n, S_n$ により変動することである。
n と $S_n$ は、以下の場合を除いて、常に連動して+1ずつ増加する。
・(4k + 1) 型から遷移する。
・(8k + 5) 型へ遷移する。
よって、$\exists q \in \mathbb{Z} \ge 0,\ S_n = n + q$ である。
このとき、q の初期値は 0 であり、$V_0 \ge 1,\ S_n \ge n$ である。
R に対する q による表現は以下である。
$\displaystyle R = \frac{2^{S_n}}{3^n} = \frac{2^{n + q}}{3^n} = (\frac{2}{3})^n 2^q$
上式の最終項で式(5) を表現すると、
$\frac{V_0}{V_n} \lt (\frac{2}{3})^n 2^q$
式(8) の両辺を $V_0$ で割ると、
$\frac{1}{V_n} = \frac{R}{V_0} (1 - \frac{1}{g(V_0)}) (1 - \frac{1}{g(V_1)}) \cdots (1 - \frac{1}{g(V_{n-1})})$
上式において、$\displaystyle T = \frac{R}{V_0}$ とおくと、
$\frac{1}{V_n} = T (1 - \frac{1}{g(V_0)}) (1 - \frac{1}{g(V_1)}) \cdots (1 - \frac{1}{g(V_{n-1})})$
T を「コラッツ遷移閾値」という。このとき、$R \ge T$ である。
なお、$V_0 = 1$ の場合は等号が成立し、$R = T$ である。
また、R の初期値が 1 なので、初期値 $V_0 \ge 3$ の条件で、
T の初期値は $\frac{1}{3} \ge \frac{1}{V_0} \gt 0$ である。
すなわち、コラッツ収束前の遷移では $V_0 \gt 1$ なので、
T の初期状態は $T \ll 1$ である。
コラッツ遷移閾値 T は、経過比率 R に関する初期値 $V_0$ の
影響を排除したコラッツ遷移における統一的な指標である。
ここで、コラッツ遷移閾値による近似の誤差の程度を見る。
コラッツ遷移方程式における n 番目の遷移値 $V_n$ は、
コラッツ遷移閾値 T によって、その下界における下限($\frac{1}{T}$)による
粗い近似式と見做せる。
$V_n \gt \frac{1}{T} = \frac{V_0}{R}$ ・・・(7)
すなわち、$\frac{V_0}{R}$ は $V_n$ の近似値である。
天井関数を用いて、$V_n$ を近似値で示すと、
$V_n \gtrapprox \lceil \frac{1}{T} \rceil$
$V_n$ を近似した場合の実例を以下に示す。ただし、下図は、以下の補正を
実施したものである。
・近似補正値:近似値 (1/T) に対して、天井関数(CEILING)により
:整数値に補正した値。
・奇数補正値:近似補正値が偶数の場合に、+1 した値。
:奇数の場合は補正しない。
[図D-7-4A]コラッツ遷移近似値の誤差率
[D-7-5]コラッツ遷移不等式
コラッツ遷移値に対して近似を考え、コラッツ遷移値に上界/下界が
存在することを示す。
また、その上限値/下限値を定め、コラッツ遷移不等式を導く。
(A)遷移値の近似と誤差項
コラッツ遷移方程式を $V_n$ のみを左辺において書き直すと、
$\displaystyle V_n = \frac{V_0}{R}\frac{1}{\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})}$ ・・・(1)
である。なお、以降の計算では、$(1 - \frac{1}{g(V_k)})$ において、
$\frac{1}{g(V_k)}$ を除いた場合の誤差($\frac{1}{g(V_k)}$)同士の積項を
相対的に十分小さいものとして扱い、計算上において無視する。
式(1)の右辺において、$0 \lt (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \lt 1$ である。よって、
$\displaystyle 0 \lt \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \lt 1$ ・・・(2)
が常に成り立つ。
式(2)の乗積部分は、以下のように近似される。
\begin{align}
&~~~~\prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \\
&\approx 1 - (\frac{1}{g(V_0)} + \frac{1}{g(V_1)} + \cdots + \frac{1}{g(V_{n-1})}) \\
&= 1 - \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)}
\end{align}
これより、式(2)に対する近似値として、誤差($E_t$)は以下である。
$\displaystyle E_t = \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)}$
$\therefore \displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \approx 1 - E_t$
絶対誤差の近似値 $0 \lt E_t \lt 1$ を評価すると、以下である。
\begin{align}
\displaystyle E_t &= \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)} \\
&= \frac{1}{3V_0 + 1} + \frac{1}{3V_1 + 1} + \cdots + \frac{1}{3V_{n-1} + 1} \\
&\lt \frac{1}{3V_0} + \frac{1}{3V_1} + \cdots + \frac{1}{3V_{n-1}} \\
&= \frac{1}{3}(\frac{1}{V_0} + \frac{1}{V_1} + \cdots + \frac{1}{V_{n-1}}) \\
&= \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k} \\
\end{align}
すなわち、奇数ベースの遷移値 $V_k$ の逆数和の $\frac{1}{3}$ が絶対誤差の
上限を与える。
これに基づいて、コラッツ遷移方程式における絶対誤差($E$)の定義を
以下とする。
$\displaystyle E = \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k}$
よって、以下が成り立つ。
$\therefore \displaystyle E_t \lt E$
誤差項の関係を整理すると、
$\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \approx (1 - E_t) \gt (1 - E)$
$\therefore \displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \gt (1 - \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k})$
演算項である上式の右辺は正でなければならないので、
$\displaystyle 3 \gt \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k}$ ・・・(3)
である必要がある。
なお、[補題L-3]より、自然数における奇数の逆数和は
無限大に発散する。よって、無限経路が存在する場合、奇数ベースの
コラッツ遷移値の逆数和も無限大に発散すると予想できる。
実際に、[補題I-9]で、この点を証明した。
よって、無限経路の存在を仮定した場合において、背理法により、
式(3)に対する矛盾が導かれるので、コラッツ遷移において、
無限経路は存在しない。
(B)近似値の誤差見積り
真値 $V_n$ に対する近似値 $\frac{1}{T} (= \frac{V_0}{R})$ の誤差を見積る。
各遷移値毎の相対誤差 $(\frac{V_0}{R}) \div V_n\ (= \frac{V_0}{RV_n})$ を考える。
(A)の式(1)より、$\frac{V_0}{R}$ は $V_n$ 以外の部分を 1 で近似するために、
($1 - \frac{1}{g(V_i)}$) において、$\frac{1}{g(V_i)}$ を無視したものである。
よって、$\frac{V_0}{R}$ の $V_n$ に対する相対誤差は、以下である。
$\displaystyle \frac{V_0}{RV_n} = \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})$
また、ある初期値に対するコラッツ遷移における相対誤差率 (%) の変化を
いくつかの実例に対して、以下にグラフ表示する。
下記のグラフにおいて、横軸が遷移回数、縦軸が相対誤差率(%)である。
[図D-7-4B]相対誤差率(9 - 6回遷移時)
(※遷移過程:9 → 7 → 11 → 17 → 13 → 5 → 1)
相対誤差率が 1% 以上となる最初の遷移値:7 at $V_1$
[図D-7-4C]相対誤差率(27 - 41回遷移時)
(※遷移過程:27 → 41 → 31 → ・・・ → 23 → 35 → 53 → 5 → 1)
相対誤差率が 1% 以上となる最初の遷移値:27 at $V_1$
[図D-7-4D]相対誤差率(270271 - 150回遷移時)
(※遷移過程:270271 → 405407 → ・・・ → 35 → 53 → 5 → 1)
相対誤差率が 1% 以上となる最初の遷移値:143 at $V_{113}$
ここで、上式における個別項の実際の誤差を確認してみる。
$V_k \in N_o$ に対して、1 と $(1 - \frac{1}{g(V_k)})$ の差、すなわち、
一般項としての計算上の個別誤差は $\left| \frac{1}{g(V_k)} \right| = \frac{1}{g(V_k)}$ である。
よって、$(1 - \frac{1}{g(V_k)})$ の1に対する個別相対誤差は、$\frac{1}{g(V_k)}$ である。
◆$V_k \ge 1$ の場合:最大誤差 = 25 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{4}$
◆$V_k \ge 3$ の場合:最大誤差 = 10 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{10}$
◆$V_k \ge 5$ の場合:最大誤差 = 6.25 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{16}$
◆$V_k \ge 7$ の場合:最大誤差 ≒ 4.5 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{22}$
◆$V_k \ge 9$ の場合:最大誤差 ≒ 3.6 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{28}$
◆$V_k \ge 11$ の場合:最大誤差 ≒ 2.9 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{34}$
◆$V_k \ge 13$ の場合:最大誤差 ≒ 2.5 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{40}$
◆$V_k \ge 17$ の場合:最大誤差 ≒ 1.9 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{52}$
◆$V_k \ge 19$ の場合:最大誤差 ≒ 1.7 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{58}$
◆$V_k \ge 21$ の場合:最大誤差 ≒ 1.6 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{64}$
◆$V_k \ge 23$ の場合:最大誤差 ≒ 1.6 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{70}$
◆$V_k \ge 25$ の場合:最大誤差 ≒ 1.3 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{76}$
◆$V_k \ge 27$ の場合:最大誤差 ≒ 1.2 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{82}$
◆$V_k \ge 29$ の場合:最大誤差 ≒ 1.1 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{88}$
◆$V_k \ge 31$ の場合:最大誤差 ≒ 1.06 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{94}$
◆$V_k \ge 33$ の場合:最大誤差 = 1.00 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{100}$
◆$V_k \ge 35$ の場合:最大誤差 ≒ 0.94 [%]
$\frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{3V_k + 1} \le \frac{1}{106}$
上記より、コラッツ遷移方程式において、1 に到達するまでの
個別の遷移に伴う最大誤差は、遷移値が大きい程小さくなる。
実際、$V_k \ge 33$ の場合、個別の遷移に伴う演算誤差は、1% 以下となる。
1 の場合の除くと、$V_k \ge 3$ の場合の誤差が最大で 10% である。
よって、$\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})$の最大誤差は、計算過程における誤差の累積を
考慮しても、$V_k \ge 1$ の場合を除くと、遷移過程の殆どの場合で、
$V_k \ge 3$ の場合の誤差の2倍程度と予想される。
すなわち、$\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})$ の最大誤差は、20 % 程度と予想される。
以下に、誤差の実例の調査結果を示す。この場合の観点は、以下である。
・最大絶対誤差は、どの時点で生じるか?(遷移値: 1 ~ 301)
・比較的大きな値では、絶対誤差は非常に小さいのでは?
上記の結果から、$V_k$ に対する最大誤差の傾向として、以下が成り立つ。
・比較的大きな遷移値では、絶対誤差は非常に小さい。
ex. 100000 を超える遷移値が、全体として 1000 個出現した
場合でも、最大誤差に与える影響は、1 % 未満である。
・コラッツ収束する場合の最大絶対誤差は、コラッツ収束する
直前の値で生じる。(※最終部分の形状は、非常によく似ている。)
・無限経路のコラッツ遷移値は最終的に無限大に発散する。
すなわち、$V_k$ に対する最大誤差は無限小となる。
よって、この場合、コラッツ遷移の途中における遷移最小値に対する
絶対誤差が無限経路の $V_k$ に対する最大誤差となる。
1 を除くすべてのコラッツ遷移において、発生する$\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})$ の
最大絶対誤差は、初期値 9 のコラッツ遷移の場合の 0.227(約23%)と
推定している。これが妥当ならば、1 を除く奇数の最小値が 3 なので、
すべての場合において、相対誤差率は $\frac{0.227}{3} \fallingdotseq 7.6$ [%] 以下である。
また、$\frac{1}{V_k}$ が 1% 以下となる場合を無視して、
1 ~ n の範囲の奇数の逆数和($S_a$)を $n = 101$ の場合で求めると、
$\displaystyle \sum_{k=0}^{50} \frac{1}{2k + 1} \approx 2.948$
である。上式で、$1$ の逆数 = 1 を除外すると、$S_a = 1.948$ である。
コラッツ遷移では、3の奇数倍である分岐テーブルの代表値は
通過しない。1 ~ 101 における3の奇数倍である分岐テーブルの
代表値の逆数和を計算すると、
$\displaystyle S_3 = \frac{1}{3} + \frac{1}{9} + \cdots \frac{1}{99} \approx 0.799$
である。よって、コラッツ遷移で発生する可能性がある
遷移値の逆数和 $S_r$は、多めに見積ると以下である。
$S_r = S_a - S_3 \approx 1.948 - 0.799 = 1.149$
なお、実際のコラッツ遷移では、コラッツ演算操作に伴う
分岐テーブルの代表値間にそれぞれ固有のリンク関係があるので、
上記の $S_r$ よりも更に小さくなる。
すなわち、$S_a$ は、101 以下の任意の初期値に対して、
実際のコラッツ遷移では決して出現することがない遷移値を含めて、
計算に組み入れているからである。
これは、$10^2$ を超える自然数が多数出現する場合において、
最大誤差に与える影響を相殺または排除する効果を発揮する。
(C)近似値の誤差評価
ここでは、「$\frac{V_0}{R}$ の2倍が必ず $V_n$ より大きい」ことを以下に示す。
「(B)近似値の誤差見積り」の結果より、奇数である遷移値の
逆数和 $S_r$ に関して、$\frac{1}{V_k}$ が 1% 以下となる場合を無視した場合、
3 ~ 101 に含まれる奇数を対象として、$S_r \le 1.149$ なので、
$\displaystyle E = \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k} = \frac{1.149}{3} \lt 0.383$ ・・・(2)
である。すなわち、すべての遷移値($V_k$)に対する最大絶対誤差の
理論値は、$\frac{1}{V_k}$ が 1% 以下を無視した場合、約 38% である。
以下では、$2\frac{V_0}{R}$ と $V_n$ の差分を計算し、大小関係を判定する。
\begin{align}
2\frac{V_0}{R} - V_n &= 2\frac{V_0}{R} - \frac{V_0}{R}\frac{1}{\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})} \\
&= \frac{V_0}{R}(2 - \frac{1}{\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})}) \\
&\approx \frac{V_0}{R}(2 - \frac{1}{1 - E_t}) \\
&= \frac{V_0}{R}(\frac{1 - 2E_t}{1 - E_t}) \\
\end{align}
上式の最終項に着目した場合、式変形の結果は以下である。
$\displaystyle 2\frac{V_0}{R} - V_n \approx \frac{V_0}{R}(\frac{1 - 2E_t}{1 - E_t})$ ・・・(6)
上式の右辺において、$1 \gt E_t \gt 0$ なので、$(1 - E_t) \gt 0$ である。
よって、上式の符号は $(1 - 2E_t)$ に依存して決まる。すなわち、
$(1 - 2E) \gt 0$, i.e. $0.5 \gt E_t$ ならば、上式の右辺>0である。
また、1 を除く 1 ~ 301 に含まれる奇数の逆数和は、
$\displaystyle \sum_{k=0}^{150} \frac{1}{2k + 1} \approx 3.4904$
である。上式で、$1$ の逆数 = 1 を除外すると、$2.4904$ である。
この範囲における3の奇数倍の逆数の総和は $0.9793$ なので、
これを除去すると、$1.5111$ である。絶対誤差は、この $\frac{1}{3}$ なので、
$E \fallingdotseq 0.5037 \gt 0.5$ である。
この結果より、コラッツ遷移で発生する上記の $E$ 以外の $(1 - E)$ は、
$303$ 以降の奇数の逆数和で生成される。
すなわち、コラッツ遷移において出現する、$301$ を超える奇数全体の
逆数和は、理論値として、誤差項の性質($1 \gt E$)より 0.5 を超えない。
よって、コラッツ遷移値が $301$ を超える場合の $V_k$ では、
絶対誤差が $0.5$ を超えない。
実際、初期値 $270271$ の場合を例にとると、最初に $301$ 以下である
奇数が出現する $199$ 時点での最大誤差は、$0.003 $ である。すなわち、
1% にも満たない。この状態は、すべてのコラッツ遷移において、
共通の現象である。
したがって、1 ~ 301 に含まれる奇数に対するコラッツ遷移において、
それらの奇数の逆数和の具体値が 0.5 を超えなければ、理論値対応として、
すべてのコラッツ遷移において、奇数の逆数和が 0.5 を超えないことを
実証したことになる。
「<付録E:コラッツ遷移値の近似による最大誤差率>」より、
$max(E) = 0.227~at~V_0 = 9$ であり、この要請は実際に成り立つ。
したがって、$E_t \lt E$ なので、すべての $E_t$ に対して、
式(5)の右辺>0が成り立つ。
よって、式(1)と併せて、以下が成り立つ。
$\therefore 2\frac{V_0}{R} \gt V_n$
(D)コラッツ遷移不等式の導出
上記(C)より、以下の関係が成り立つ。
$2 \frac{V_0}{R} \gt V_n \gt \frac{V_0}{R}$ ・・・(1)
式(1)を「コラッツ遷移不等式」という。
上式の各項を $\frac{V_0}{R}$ で割ると、
$2 \gt V_n\frac{R}{V_0} \gt 1$ ・・・(2)
上式は、$V_0, V_n, R$ で表される遷移状態の関係式($V_n\frac{R}{V_0}$)が、
必ず有限範囲に収まることを示している。
式(2)を「コラッツ遷移状態不等式」という。
[D-7-6]コラッツ遷移方程式例
【経過比率・コラッツ遷移閾値に着目した例】
以下の例においては、計算式を以下としている。
$\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = R \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})$
なお、結果的に、$V_n = 1$ なることが確認できる。
ex1) 奇数ベースのコラッツ遷移 1 → 1 では、遷移回数 = 1 ある。
この場合の遷移の詳細は、1 → 4 → 1 である。
すなわち、g(1) = 4 である。
2による除算は、4 → 1 の箇所で発生し、合計回数は 2 である。
計算式の右辺に上記の値を代入して計算すると、以下となる。
\begin{align}
\frac{V_0}{V_n} &= \frac{1}{1} \\
&= R(1 - 1/g(V_0)) \\
&= \frac{2^{S_n}}{3^n}(1 - 1/g(V_0)) \\
&= \frac{2^5}{3^1}(1 - 1/g(1)) \\
&= \frac{4}{3}(1 - \frac{1}{4}) \\
&= (\frac{4}{3})(\frac{3}{4}) \\
&= 1
\end{align}
このとき、経過比率 $R = \frac{2^2}{3^1} = \frac{4}{3} \fallingdotseq 1.333 \gt 1$、
コラッツ遷移閾値 $T = \frac{4}{3} \div 1 = \frac{4}{3} \fallingdotseq 1.333$ である。
ex2) 奇数ベースのコラッツ遷移 5 → 1 では、遷移回数 = 1 ある。
この場合の遷移の詳細は、5 → 16 → 1 である。
すなわち、g(5) = 16 である。
2による除算は、16 → 1 の箇所で発生する。
そして、2による除算回数は 4 なので、合計は 4 である。
計算式の右辺に上記の値を代入して計算すると、以下となる。
\begin{align}
\frac{V_0}{V_n} &= \frac{5}{1} \\
&= R(1 - 1/g(V_0)) \\
&= \frac{2^{S_n}}{3^n}(1 - 1/g(V_0)) \\
&= \frac{2^4}{3^1}(1 - 1/g(5)) \\
&= \frac{16}{3}(1 - \frac{1}{16}) \\
&= (\frac{16}{3})(\frac{15}{16}) \\
&= 5
\end{align}
このとき、経過比率 $R = \frac{2^4}{3^1} = \frac{16}{3} \fallingdotseq 5.333 \gt 5$、
コラッツ遷移閾値 $T = \frac{16}{3} \div 5 = \frac{16}{15} \fallingdotseq 1.066$ である。
ex3) 奇数ベースのコラッツ遷移 3 → 5 → 1 では、遷移回数 = 2 ある。
この場合の遷移の詳細は、3 → 10 → 5 → 16 → 1 である。
すなわち、g(3) = 10, g(5) = 16 である。
2による除算は、10 → 5, 16 → 1 の箇所で発生する。
そして、2による除算回数は 1, 4 なので、合計は 5 である。
計算式の右辺に上記の値を代入して計算すると、以下となる。
\begin{align}
\frac{V_0}{V_n} &= \frac{3}{1} \\
&= R(1 - 1/g(V_0))(1 - 1/g(V_1)) \\
&= \frac{2^{S_n}}{3^n}(1 - 1/g(V_0))(1 - 1/g(V_1)) \\
&= \frac{2^5}{3^2}(1 - 1/g(3))(1 - 1/g(5)) \\
&= \frac{32}{9}(1 - 1/10)(1 - \frac{1}{16}) \\
&= (\frac{32}{9})(\frac{9}{10})(\frac{15}{16}) \\
&= 3
\end{align}
このとき、経過比率 $R = \frac{2^5}{3^2} = \frac{32}{9} \fallingdotseq 3.56 \gt 3$、
コラッツ遷移閾値 $T = \frac{32}{9} \div 3 = \frac{32}{27} \fallingdotseq 1.185$ である。
【(6k + 3) 型分岐テーブルを出発点とする例】
(6k + 3) 型分岐テーブルを出発点とする例(@9 → @5)を示す。
コラッツ遷移の数列は、奇数部分のみに着目すると、
9 → 7 → 11 → 17 → 13 → 5 である。
この場合における遷移比率の乗算回数は5である。
これは矢印("→")の数と一致する。
この場合のコラッツ遷移方程式に与える具体値は、
$V_0 = 9, V_n = 5, ΣP_i = 9 (= 2 + 1 + 1 + 2 + 3)$ である。
なお、上式における ΣPi の()内は、4, 2, 2, 4, 8 に対応する
2のべき乗の指数表現である。
$V_0 / V_n = 2^9(\frac{9}{g(9)})(\frac{7}{g(7)})(\frac{11}{g(11)})(\frac{17}{g(17)})(\frac{13}{g(13)})$
$= (2^9(\frac{9}{28})(\frac{7}{22})(\frac{11}{34})(\frac{17}{52})(\frac{13}{40})$
$= (2^9(\frac{9}{4 \times 7})(\frac{7}{2 \times 11})(\frac{11}{2 \times 17})(\frac{17}{4 \times 13})(\frac{13}{8 \times 5})$
$= (2^9(\frac{9}{4 \times \cancel{7}})(\frac{\cancel{7}}{2 \times \cancel{11}})(\frac{\cancel{11}}{2 \times \cancel{17}})(\frac{\cancel{17}}{4 \times \cancel{13}})(\frac{\cancel{13}}{8 \times 5})$
$= 2^9(\frac{9}{2^2})(\frac{1}{2^1})(\frac{1}{2^1})(\frac{1}{2^2})(\frac{1}{2^3 \times 5})$
$= \frac{9}{5}$
【分岐テーブルの代表値のみに着目した例】
コラッツ収束する場合の分岐テーブルの代表値のみに着目した例を
以下に示す。
また、下図は、上図に加えて、自己参照ループ(1 → 4 → 2 → 1)を
考慮した内容としている。そのため、上記の例と比較すると、
新たにリンク対象点 4 が付加されている。
それらの結果として、2のべき乗の指数が、自己参照ループを
考慮しない場合よりも、+2だけ大きくなっている。
(※$2^{15}$ 部分:15 = 13 + 2 = (9 + 4) + 2)
【奇数の相殺に着目した例】
コラッツ遷移方程式を、逆方向リンク展開の順序で記述した場合
における「奇数の相殺」の例を以下に示す。
特に、最終項において、奇数の相殺は、分子部分のみが対象となる。
すなわち、恒等式として成立するコラッツ遷移方程式では、
最終項の分子に存在する奇数項は、相殺されない。
以下に例を示す。下図においては、最終項の 9 は相殺されない。
一方、2のべき乗部分は、すべて相殺される。
[D-7-7]コラッツ遷移の最終段階の考察
遷移の到達値 $V_n = 1$、すなわち、コラッツ収束する場合、
分岐点遷移方程式に代入すると、最終項の分母は $2^{P_n}$ となる。
$V_0 = 2^{S_n} \times \frac{V_0}{V_1 2^{P_1}} \times \frac{V_1}{V_2 2^{P_2}} \times \cdots \times \frac{V_{n-1}}{\color{red}{2^{P_n}}}$
これは注目すべき特徴である。すなわち、コラッツ遷移の最終段階の
分岐テーブル間遷移において、g() 演算結果が2のべき乗となることを
示している。これは、最終的にリンクする分岐テーブルがルートテーブル
(@1)であることに対応する。@1 は2のべき乗のみで構成されている。
よって、コラッツ収束する必要条件は、コラッツ遷移の最終段階で、
ルート分岐テーブルグループ(#1)に属する何れかの分岐テーブルに
リンクすることである。#1 に属する分岐テーブル(ex. @5)は、
すべて @1 にリンクするので、それらの代表値に対する g() 演算結果が
2のべき乗となる。
より具体的には、#1 の要素は{1, 5, 21, $\cdots$}である。これらの
g() 演算結果は{4, 16, 64, $\cdots$}である。従って、コラッツ遷移で
1に到達する奇数の g() 演算結果は4のべき乗となる。
この点については、[補題A-4]の結果と対応している。
すなわち、$\forall p \in \mathbb{Z} \ge 0, \exists v \in N_o,\ 4^p = 3v + 1$ である。
[D-7-8]経過比率/コラッツ遷移閾値に対する考察
[D-7-4]の式(7)を引用すると、$V_n, R, T$ の関係は以下である。
$V_n \gt \frac{V_0}{R}$ ・・・(1)
$V_n \gt \frac{1}{T}$ ・・・(2)
式(2)の T を $V_0, L_n = \frac{1}{R}$ で表現すると、
$\displaystyle \frac{V_n}{V_0} \gt L_n = \frac{3^n}{2^{S_n}} = (\frac{3}{2})^n \times \frac{1}{2^q}$
よって、もし、コラッツ遷移の進行に伴って、(4k + 1) 型からの遷移、
または、(8k + 5) 型への遷移が全く発生しない場合、q = 0 なので、
$2^q = 1$ である。この場合、n → ∞ のとき、$(\frac{3}{2})^n$ → ∞ なので、
$L_n$ は無限大に発散する。それに伴って、$V_n$ も無限大に発散する。
一方、[補題C-7]~[補題C-10]より、(8k + α) 型のコラッツ遷移は
同一データ型が永続することはない。すなわち、(8k + 1)/(8k + 5) 型からの
コラッツ遷移は必ず発生する。
これは、@1 内のみでコラッツ遷移が完結する特別な場合を除いて、
(4k + 1) 型からの遷移が必ず発生することを意味する。したがって、
コラッツ遷移においては、特別な場合を除き、必ず q > 0 の状態となる。
よって、実際の遷移では、コラッツ遷移の進行に応じて、
値の増大/減少が発生し、$(\frac{3}{2})^n$ と $\frac{1}{2^q}$ が互いに相殺しながら、
せめぎ合うことになる。必ずしも $V_n$ が無限大に発散するとは限らない。
コラッツ予想の主張は、$(\frac{3}{2})^n$ と $\frac{1}{2^q}$ の効果が釣り合うことを示している。
コラッツ予想の主張の本質の一つは、(4k + 1) 型分岐テーブル通過による
遷移値の減衰($2^{-q}$)が、$(\frac{3}{2})^n$ の単調増加現象を抑える点にある。
なお、分岐テーブル間遷移回数 n に対する (4n + 1) 型通過回数 q の
発生頻度は非常に低くなる可能性があるので、コラッツ収束する場合でも、
コラッツ遷移全体としては n が非常に大きくなる、すなわち、
コラッツ収束が非常に遅い場合が起こり得る。
式(2)より、$V_n = 1$ ならば、コラッツ遷移閾値 T >1である。
このとき、$\displaystyle T = \frac{R}{V_0}$ なので、以下が成り立つ。
∴$R \gt V_0$ ・・・(4)
すなわち、コラッツ遷移が進行してコラッツ収束するとき、
$n, S_n$ が関わる経過比率 R は、初期値 $V_0$ よりも必ず大きくなる。
コラッツ遷移不等式に、式(7)の内容を反映すると、
$(\frac{2}{3})^n2^q \gt V_0$
$2^q \gt V_0(\frac{3}{2})^n$ ・・・(5)
上式は、「コラッツ収束する場合、コラッツ遷移の進行に伴って、
初期値を$(\frac{3}{2})^n$ した値よりも、(4k + 1) 型からの遷移による
減衰効果の総体($2^q$)の方が大きくなる。」ことを意味している。
この点に関して、実際、$V_0 = 9$ の場合、n = 6, q = 7 である。
よって、$2^q = 128, 1.5^n = 11.390625, V_0(1.5^n) = 102.515625$ である。
128 > 102.515625 なので、式(4)は成り立つ。
実際的な値を確認してみる。
式(5)に対して、底2で両辺の対数をとると、
$q \gt \log_{2}V_0 + n(\log_{2}3 - 1)$
$q \gt \log_{2}V_0 + n(1.585 - 1)$
$q \gt 0.585n + \log_{2}V_0$ // 伸長ビット数
$q \gt 0.585n + \frac{\log_{10}V_0}{\log_{10}2}$
$q \gt 0.585n + \frac{\log_{10}V_0}{0.301}$
$q \gt 0.585n + 3.3219\log_{10}V_0$
上式において、$V_0 = 9$ の場合:
$q \gt 0.585n + 3.3219\log_{10}9 = 0.585n + 6.6439\log_{10}3$
∴$q \gt 0.585n + 3.1699$
上式において、初期値 $V_0 = 9$ に対する n = 6 を代入すると、
$0.585n + 3.1699 \fallingdotseq 6.6799$
よって、q が自然数であることを考慮すると、q = 7 である。
これは、実際の値と一致する。
[D-8]初期値下降シーケンス
コラッツ遷移列において、出発点とする値(初期値)よりも小さい値が
出現する場合、そのシーケンスを「初期値下降シーケンス」という。
コラッツ遷移において奇数に着目した場合、
$\forall a \in \mathbb{Z} \gt 0, \forall b \in N_o, \forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, a \gt b$, (ak + b) 型奇数の
コラッツ遷移が初期値下降シーケンスであるかどうかの判定は、
遷移後の値が$\exists c \in \mathbb{Z} \gt 0,\exists d \in N_o, \forall k \in \mathbb{Z} \gt 0, c \gt d, (ck + d)$
であるとき、(ak + b) > (ck + d), a > c, b > d であるかで判断する。
以下に例を示す。ただし、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ である。
■(4k + 1)型(※k = 0 の場合を除く。)
g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1)
(4k + 1) > (3k + 1) なので、(4k + 1)型のコラッツ遷移は
必ず初期値下降シーケンスである。
■(4k + 3)型
g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5)
(4k + 3) < (6k + 5) なので、(4k + 3)型のコラッツ遷移は
必ず初期値上昇シーケンスである。
[D-8-1]コラッツ収束列に対する考察
ここでは、コラッツ遷移におけるシーケンス分類の組合せに関して、
コラッツ収束する組合せを考察する。
・コラッツ収束シーケンス
・初期値下降シーケンス
・初期値上昇シーケンス
◆コラッツ収束シーケンスは全体として初期値下降シーケンスである。
∵コラッツ収束することは、その遷移が1に到達することである。
1は正である奇数の最小値なので、1以外を起点とする任意の
奇数 n に対して、n > 1 が成り立つ。よって、
コラッツ収束シーケンスは、初期値下降シーケンスである。
◆コラッツ遷移において、途中で通過するすべての端点シーケンスが
初期値下降シーケンスならば、その遷移はコラッツ収束する。
∵コラッツ収束することは、その遷移が1に到達することである。
すべての端点シーケンスが初期値下降シーケンスならば、
コラッツ遷移全体は端点シーケンスが連結したものであり、
1は正である奇数の最小値なので、初期値 n に対する
コラッツ遷移は、 n → 1 となる。
◆コラッツ収束シーケンスに連結する遷移シーケンス s は収束する。
∵シーケンス s の初期値を n、s とコラッツ収束シーケンスの
連結点を m とすると、n → m, m → 1 である。∴n → 1 である。
これは、s が全体として、コラッツ収束することを意味する。
※この結果は、s が初期値上昇シーケンスの場合でも成り立つ。
[D-8-2]初期値下降シーケンスのモード分類
$\forall k \in \mathbb{Z} \gt 0$, (4k + 1) 型は必ず初期値下降シーケンスである。
また、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$, (4k + 3) 型に対する初回のコラッツ遷移は、
初期値上昇シーケンスである。
ここでは、(4k + 3) 型に対するコラッツ遷移が初期値下降シーケンス
であることを確認する場合において、データ型のモード(i.e. k の係数)
の分類方針を示す。なお、(4k + 3) 型を分類する場合におけるモードは、
2の冪乗で分類する。
(4k + 3) 型をデータ分類した場合の冒頭部分を抽出すると、
以下となる。
◆(4k + 3)
(8k + 3)
(16k + 3)
(32k + 3)
(32k + 19)
(16k + 11)
(32k + 11)
(32k + 27)
(8k + 7)
(16k + 7)
(32k + 7)
(32k + 23)
(16k + 15)
(32k + 15)
(32k + 31)
最初に、実例として、3 に対するコラッツ遷移を奇数ベースで考える。
この場合のコラッツ遷移は、3 → 5 → 1 である。
この遷移をデータ型のコラッツ遷移として捉えると、以下となる。
◆(4k + 3) 型として見た場合
g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5)
g(6k + 5) = 18k + 16 = 2(9k + 8)
(4k + 3) < (9k + 8) なので、(4k + 3) 型は
初期値上昇シーケンスである。
◆(8k + 3) 型として見た場合
g(8k + 3) = 24k + 10 = 2(12k + 5)
g(12k + 5) = 36k + 16 = 4(9k + 4)
(8k + 3) < (9k + 4) なので (8k + 3) 型は
初期値上昇シーケンスである。
◆(16k + 3) 型として見た場合
g(16k + 3) = 48k + 10 = 2(24k + 5)
g(24k + 5) = 72k + 16 = 8(9k + 2)
(16k + 3) > (9k + 2) なので (16k + 3) 型は
初期値下降シーケンスである。
この場合、k が奇数ならば、(9k + 2) は奇数である。
また、k が偶数ならば、$\forall j \in \mathbb{Z} \ge 0, k = 2j$ とおくと、
16k + 3 = 32j + 3
9k + 2 = 18j + 2 = 2(9j + 1)
よって、(32j + 3) → (9j + 1) であるコラッツ遷移に相当する。
なお、このとき、(9j + 1) のパリティは不定であるが、
全体として、初期値下降シーケンスである。
◆(32k + 3) 型として見た場合
g(32k + 3) = 96k + 10 = 2(48k + 5)
g(48k + 5) = 144k + 16 = 16(9k + 1)
(32k + 3) > (9k + 1) なので (32k + 3) 型は
初期値下降シーケンスである。
この場合、k が偶数ならば、(9k + 1) は奇数である。
また、k が奇数ならば、$\forall j \in \mathbb{Z} \ge 0, k = 2j + 1$ とおくと、
32k + 3 = 64j + 35
9k + 1 = 18j + 10 = 2(9j + 5)
よって、(64j + 35) → (9j + 5) であるコラッツ遷移に相当する。
なお、このとき、(9j + 5) のパリティは不定であるが、
全体として、初期値下降シーケンスである。
◆(64k + 3) 型として見た場合
g(64k + 3) = 192k + 10 = 2(96k + 5)
g(96k + 5) = 288k + 16 = 16(18k + 1) // (18k + 1) は奇数
(64k + 3) > (18k + 1) なので (64k + 3) 型は
初期値下降シーケンスである。
上記の例より、あるデータ型の遷移が初期値下降シーケンスであると
特定できる場合でも、複数のパターンが存在することがわかる。
上記の例を整理し、特徴をまとめると、以下となる。
(A)(16k + 3) 型として見た場合
・初期値下降シーケンスである。(※(16k + 3) → (9k + 2))
・遷移後の値は、k のパリティ依存で特定のデータ型として
定まらない。
(B)(32k + 3) 型として見た場合
・初期値下降シーケンスである。(※(32k + 3) → (9k + 1))
・遷移後の値は、k のパリティ依存で特定のデータ型として
定まらない。
(C)(64k + 3) 型として見た場合
・初期値下降シーケンスである。(※(64k + 3) → (18k + 1))
・遷移後の値は、奇数として定まる。
よって、あるデータ型のコラッツ遷移を初期値下降シーケンスとして
捉える場合、大別して、以下の分類が考えられる。
(Type A)初期値下降シーケンスであることを大局的に捉えるモード
※直接的な遷移結果は奇数であるとは限らない。
さらに小さい値に遷移する場合がある。
(Type B)初期値下降シーケンス、かつ、遷移結果が奇数となることを
保証するモード
なお、以下に (16k + 3) 型として見た場合を例として挙げるが、
(16k + 3) → (9k + 2) の遷移結果に対する細分類を進めても、
最終的なデータ型が確定しない点には、注意を要する。
この場合の過程を参考に以下に示す。
以下の記述の末尾部分において、(9s + 2) は、以前に現れた (9k + 2) と
同型である。よって、(16k + 3) 型の展開は永久に継続する!
この点は、データ型としての (16k + 3) 型が無数に存在する点に
対応する。
(16k + 3) → (9k + 2)
k が奇数の場合、k = 2j + 1 とおくと、
16k + 3 = 16(2j + 1) + 3 = 32j + 19
9k + 2 = 9(2j + 1) + 2 = 18j + 11
∴(32j + 19) → (18j + 11)
k が偶数の場合、k = 2j とおくと、
16k + 3 = 16(2j) + 3 = 32j + 3
9k + 2 = 9(2j) + 2 = 18j + 2 = 2(9j + 1)
∴(32j + 3) → (9j + 1)
j が偶数の場合、j = 2i とおくと、
32j + 3 = 64i + 3
9j + 1 = 18i + 1
∴(64i + 3) → (18i + 1)
j が奇数の場合、j = 2i + 1 とおくと、
32j + 3 = 64i + 35
9j + 1 = 18i + 10 = 2(9i + 5)
∴(64i + 35) → (9i + 5)
i が偶数の場合、i = 2p とおくと、
(128p + 35) → (18p + 5)
i が奇数の場合、i = 2p + 1 とおくと、
64i + 35 = 128p + 99
9i + 5 = 18p + 14 = 2(9p + 7)
∴(128p + 99) → (9p + 7)
p が偶数の場合、p = 2q とおくと、
(256q + 99) → (18q + 7)
p が奇数の場合、p = 2q + 1 とおくと、
128p + 99 = 256p + 227
9p + 7 = 18q + 16 = 2(9q + 8)
∴(256q + 227) → (9q + 8)
q が奇数の場合、q = 2r + 1 とおくと、
(512r + 483) → (18r + 17)
q が偶数の場合、q = 2r とおくと、
512r + 227 → (18r + 8) = 2(9r + 4)
r が奇数の場合、r = 2s + 1 とおくと、
1024s + 739 → (18s + 13)
r が奇数の場合、r = 2s とおくと、
1024s + 227 → (18s + 4) = 2(9s + 2)
以上の結果より、コラッツ遷移を初期値下降シーケンスとして
扱う場合、データ型のモード分類方針を適切に選択しないと、
論理展開が完結しない可能性がある。
[D-9]循環経路の存在否定
コラッツ遷移において、循環経路は存在しないことを以下に示す。
コラッツ遷移において、遷移経路が定まることは、
コラッツ遷移方程式において、途中の遷移比率がすべて定まり、
恒等式として成立することに帰着する。
ここでは、奇数に着目し、逆方向遷移の順序で記述した13 → 5 の例を
以下に示す。
[図D-9-1]コラッツ遷移(13 → 5)
以下では、コラッツ遷移において、循環参照が発生しないことを
コラッツ遷移方程式を利用して一般的に示す。
すなわち、コラッツ遷移の過程において現れる奇数に関して,
「コラッツ遷移において、循環経路は存在しない。」ことを
背理法によって示す。
最初に、具体例(13 → 5)で考える。
この場合の様子は上図で示されている。
この場合において、13 を対象に、矛盾が無い遷移過程において、
同一の奇数が再び現れるシーケンスが存在すると仮定すると、以下となる。
[図D-9-2]コラッツ遷移(13 に対する循環参照)
なお、ここでは、13 を再び出現する奇数としているので、
その最初の遷移値である 5 は、13 が再び出現するまでの途中の過程で、
再度出現することはない。
何故なら、もし、5 が途中の遷移過程で出現するなら、
その直前の遷移値は 13 であり、この状況の仮定に反するからである。
よって、途中の遷移過程で出現する遷移値 $a \in N_o$ は、
a ≠ 13, a ≠ 5 でなければならない。
仮定から式(2)が成り立つ前提として、式(2)における
2の冪乗の指数 p は、少なくとも、式(1)における2の冪乗の
指数値(= 3)を超えており、その値は「途中で 13 が再び現れる」と
仮定した結果としての2による除算回数の総和である。
よって、式(1)に相当する部分の寄与を除いた2の冪乗の指数を
$q \in \mathbb{Z} \gt 0$ とすると、p = q + 3 である。
式(1)を式(2)に代入すると、以下となる。
$(13/5) * (1 / 2^3) * \cdots * (13 / (5 * 8)) * (2^p) = (13/5)$
$1 * \cdots * (13 / (5 * 8)) * 2^q = 1$
上式は遷移方程式なので、途中の対応する奇数項は相殺される。
また、2の冪乗項は、2での除算回数の総和に対して、
全体として相殺される。
2の冪乗項が相殺された結果を $\exists r \in \mathbb{Z} \ge 0$ として式を整理する。
$1 * \cdots * (13 / 5) * 2^r = 1$
上記の例からわかるように、2の冪乗項はすべて相殺される。
すなわち、r = 0 である。よって、上式は、以下となる。
$1 * \cdots * (13 / 5) = 1$
(中間項が存在しない場合)// 上式の $\cdots$ 部分が空
13 = 5
上式は矛盾である。
(中間項が存在する場合) // 上式の $\cdots$ 部分が有効
この場合、最終項は分子が簡約対象である。
奇数項の簡約で分母に残る奇数を $a \in \mathbb{N}$ とすると、
上式は以下となる。
a = 5
遷移過程の途中で出現する奇数は、仮定より、a ≠ 5 なので、
上式は矛盾である。
上記の結果は、中間項の有無に関わらず、矛盾となる。
これより、「途中で 13 が再び現れる」とした仮定は誤りである。
したがって、この例の場合のコラッツ遷移では、
同一の奇数項(13)は重複して現れない。
上記の具体例の議論を一般化して、以下の補題としている。
・[補題E-5]コラッツ遷移における同一奇数の重複出現の否定
[E]分岐点に関する考察
ここでは、分岐点に着目し、(6m + 4)型の値に着目した場合における
コラッツ演算(関数 g, h)の合成関数に関して、それらの性質と特徴を
[補題B]で示している。
[E-1]奇数と(6m + 4)型対応
6による除算の余りによる自然数の分類のグループ$N_0~N_5$に対して、
その要素を参照する場合、各グループ内の要素全体を配列と見做し、
その値を参照することにする。ただし、各グループ内の要素の値は
昇順に並べるものとする。
このとき、参照する値を $N_k[i]$ と記述する。
ただし、k = 0 .. 5 である。
この場合において、$\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0$ は配列インデックスである。
ex. $N_4[1]$ = 10, where $N_4$ = {4, 10, 16, 22, 28, $\cdots$ , 6i + 4, $\cdots$}
なお、この配列インデックスは、奇数列に対して0相対の連番を
付与した値と一致する。
(ex. 奇数列{1, 3, 5, ...}⇔ 奇数列インデックス {0, 1, 2, ...})
以下に、奇数全体に対して、0相対の連番(インデックス)を
付与した数列、奇数 n に対して(3n + 1)演算を適用した数列、
(6m + 4)型数列の対比を示す。
奇数 index (i): 0 1 2 3 ...
N4 index (m) : 0 1 2 3 ...
奇数 n : 1 3 5 7 ...// 2i + 1
(3n + 1) : 4 10 16 22 ...
(6m + 4) : 4 10 16 22 ...// 6m + 4
上記の表から、奇数に対する(3n + 1)演算結果は、N4 集合の要素を
昇順に並べたものと一致することがわかる。
これは、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, 6m + 4 = 3(2m + 1) + 1$ であることの
帰結である。すなわち、分岐点の値は(6m + 4)型、かつ、
奇数 n に対する(3n + 1)型の形式である。
また、この値は偶数であり、かつ(3n + 2)型の2倍である。
[E-2]分岐点に関する補題解釈
[補題B-2]~ [補題B-4]と[補題B-5]の結果から、
コラッツ遷移において発生する合成関数の組合せは3通りである。
また、3種類の合成関数 ($gh/h^2/gh^2$) の演算結果は $N_4$ に属する。
以下に、経路グラフ上で発生する具体的なパターンを示す。
・分岐テーブル内での分岐点間の遷移($h^2$)
・(6k + 5) 型のリンク基準点~(6k + 5) 型~分岐点の遷移($gh$)
・(6k + 1) 型のリンク基準点~(6k + 1) 型~分岐点の遷移($gh^2$)
よって、分岐点に関する補題として得られた結果、すなわち、
(合成関数の種類とそのパターン数)は、経路グラフの実際の状態と
合致している。
以下に、初期値 9 に対するコラッツ遷移と、それに対応する3種類の
関数適用パターンを図示する。
コラッツ演算結果の数列は、一見、規則性ない並びのように
見受けられるが、
「コラッツ数列は、$N_4$ に属する値で区切られて構成されている。」
と捉えることができる。
したがって、最初に、どのような自然数を選んでも、
一度 $N_4$ に属する値となった後は、コラッツ遷移の経過の一部として、
繰り返し $N_4$ に属する値が現れる。
これを図形的に眺めると、$N_4$ に属する値は、経路グラフ上の
分岐点となっている。この理由は、$N_4$ に属する値が、奇数 n に対する
(3n + 1)型であることによる。
これは、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0$, (6m + 4) 型の値を、分岐点と同一視できる。
さらに、分岐点とその値を g(n) で生成する奇数は全単射の関係にある。
よって、(6m + 4) 型の値の性質は分岐テーブルの代表値にも反映される。
すなわち、分岐テーブルの代表値と、それにリンクする分岐点は、
自然数全体において、1対1に対応する。この様子を以下に示す。
[E-3]リンク対象点全体
コラッツ遷移のリンク対象点である分岐点は、分岐テーブルの代表値の
データ型が (6k + 1)/(6k + 5)型である場合のみ有効である。
[補題B-8]より、代表値が (6k + 1)/(6k + 5)型である分岐テーブルの
分岐点全体は、すべての奇数に対するコラッツ遷移のリンクを収容する。
この点は、(6k + 3) 型を代表値とする分岐テーブルがリンク対象点を
持たないにも関わらず、成り立つ。
一方、(8k + 1)/(4k + 3) 型のコラッツ遷移は、代表値が
(6k + 1)/(6k + 5)型である分岐テーブルにリンクする。
分岐テーブルグループの基準値は (8k + 1)/(4k + 3) 型のいずれかなので、
上記の関係より、すべての分岐テーブルグループと、それらの
リンク関係から構成されるコラッツ遷移系統は、すべての自然数を含む。
[F]分岐テーブル
2の冪乗グループに着目した場合の要素を「分岐テーブル」として扱う。
すべての自然数 n は、任意の奇数と2のべき乗によって、$a(2^k)$ と表現できる。
すなわち、$\forall a \in N_o, \forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, n = a(2^k)$ である。
この形式は、「自然数は、奇数成分と2のべき乗成分で構成される」と
見做したものである。
以下に、$a(2^k)$ の例を以下に示す。
a k n
2のべき乗 1 * 2^k // a(2^k) = 2^k
奇数 * 0 a // a(2^k) = a (∵2^0 = 1)
偶数 * > 0 a(2^k) // 分岐テーブル表現の基礎
[F-1]概要
2の冪乗グループ毎に、それに含まれる奇数を基準として、
その値に対して、2の冪乗倍の値を持つ偶数の数列を組として構成する。
この基本的な構造を持つ個別シーケンスを「分岐テーブル」という。
この場合の基準値は、その分岐テーブルの「代表値」であり、かつ、
その分岐テーブル内で最初に出現すると同時に、その最小値となる。
なお、この分岐テーブルは、代表値である奇数に対応する、
2倍対応関係を繰り返して得られる全ての偶数を含む。
ex.奇数3を代表値とする分岐テーブルの並びは以下となる。
3, 6, 12, ...
なお、個々の分岐テーブルは、基準値を初項とする公比2の等比数列
であり、この意味で、すべての分岐テーブルの構造は相似である。
特に、1が代表値である分岐テーブルを「ルートテーブル」という。
ルートテーブルの数列は、1, 2, 4, 8, 16, ...である。
すなわち、ルートテーブルは2の冪乗値の集合であり、結果として、
4の冪乗値(4, 16, 64, ...)を内包する。
分岐テーブルの例を列挙すると、以下となる。
1, 2, 4,... // ルートテーブル (代表値:1)
3, 6,12,... // 2の冪乗グループ3(代表値:3)
5,10,20,... // 2の冪乗グループ5(代表値:5)
7,14,28,... // 2の冪乗グループ7(代表値:7)
...
分岐テーブルに含まれる偶数 b > 0 の一般形式は、代表値を a > 0、
リンク対象点の相対インデックスを i > 0 (i = 1, 2, ...) とすると、
b = a(2^i) である。
偶数の一般形式を約数の観点で見ると、分岐テーブルに含まれる
偶数は、奇数である約数を一つだけ含むものとなっている。
以下に、(4n + 1)グループにおける分岐点に対応する奇数の分類の
概念を反映したコラッツ遷移系統の一部を数値ベースで示す。
[図F-1]コラッツ遷移系統の階層における先頭部分
[F-2]分岐テーブルのリンク
ここでは、分岐テーブルの代表値に対する3の除算による余りによる
分類に着目して、分岐テーブルの接続パターンを分類する。
[F-2-1]基本接続パターン
分岐テーブルの基本的な接続パターンの種類を以下に示す。
接続パターンの種類は、3の除算による余りによる分類は、
以下の3種類なので、それから2つを取り出す組み合わせの数となる。
・(3n)型
・(3n + 1)型
・(3n + 2)型
また、分岐テーブルのリンクに関しては、リンク対象の分岐テーブルに
制約がある。すなわち、(3n)型には分岐点(i.e. リンク対象点)がない。
よって、(3n)型が遷移先となる組み合わせは存在しない。
この点を考慮すると、あり得る組み合わせは、以下となる。
(a-1)(3n)型→(3n + 1)型 // ex. @9 → @7
(a-2)(3n)型→(3n + 2)型 // ex. @3 → @5
(b-1)(3n + 1)型→(3n + 1)型 // ex. @25 → @19
(b-2)(3n + 1)型→(3n + 2)型 // ex. @7 → @11
(c-1)(3n + 2)型→(3n + 1)型 // ex. @41 → @31
(c-2)(3n + 2)型→(3n + 2)型 // ex. @23 → @35
[F-2-2]基本接続パターンの遷移値
@a → @b の場合における関係式を以下に示す。
ただし、リンク対象点は、遷移後の分岐テーブルのリンク基準点とする。
すなわち、リンク対象点から代表値までの遷移回数は、1または2となる。
この理由は、遷移元の分岐テーブルの代表値が a > 0 である場合において、
コラッツ遷移が成立するためには、遷移先の分岐テーブルの代表値を
n > 0 とすると、遷移先のリンク対象点の値が(3n + 1)形式となる
必要があることによる。
(3n + 1)型または(3n + 2)型の代表値の場合、それらの
リンク対象点インデックスは、それぞれ 1 または 2 である必要がある。
この場合の (3n + 1) に対する乗算係数は、2^p (p = 1 or 2)で得られる。
この件に関して、代表値が(3n + 1)型と(3n + 2)型の場合に分けて、
恒等式の展開結果として、以下に示す。
◆代表値が(3n + 1)型の場合: // リンク対象点インデックス=2
リンク対象点インデックス=2の場合、(3n + 1) に対する
乗算係数は 4 である。
4(3n + 1)
= 12n + 4
= 3(4n + 1) + 1
上式の最終結果は、全体として(3n + 1)形式となっている。
◆代表値が(3n + 2)型の場合: // リンク対象点インデックス=1
リンク対象点インデックス=1の場合、(3n + 1) に対する
乗算係数は 2 である。
2(3n + 2)
= 6n + 4
= 3(2n + 1) + 1
上式の最終結果は、全体として(3n + 1)形式となっている。
また、ここでの考察では、ルートテーブルへリンクする場合を除外する。
終点におけるリンク基準点の2の冪乗の指数は、上記の結果より、
以下である。
(3n + 1)型:2
(3n + 2)型:1
したがって、リンク対象点の値は、以下である。
(3n + 1)型:4b
(3n + 2)型:2b
以下では、到達値の計算式と検証例を示す。
(a-1)(3n)型 →(3n + 1)型
b = (3a + 1) / 4
(検証例) @9 → @7 : 9 → 28 → 14 → 7
(a-2)(3n)型 →(3n + 2)型
b = (3a + 1) / 2
(検証例) @3 → @5 : 3 → 10 → 5
(b-1)(3n + 1)型 →(3n + 1)型
b = (3a + 1) / 4
(検証例) @25 → @19 : 25 → 76 → 38 → 19
(b-2)(3n + 1)型 →(3n + 2)型
b = (3a + 1) / 2
(検証例) @7 → @11 : 7 → 22 → 11
(c-1)(3n + 2)型 →(3n + 1)型
b = (3a + 1) / 4
(検証例) @41 → @31:41 → 124 → 62 → 31
(c-2)(3n + 2)型 →(3n + 2)型
b = (3a + 1) / 2
(検証例) @23 → @35 :23 → 70 → 35
[F-2-3]コラッツ遷移の分類過程とリンク対象点の出現
$\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0$ を 奇数インデックスとすると、
$\forall n \in N_o$ は、n = 2i + 1 と表現できる。
また、3による除算の余りによって自然数を分類すると、以下となる。
(3n) 型奇数: (6k + 3)
(3n + 1)型奇数: (6k + 1)
(3n + 2)型奇数: (6k + 5)
奇数 n に対して、コラッツ演算 g(n) = 3n + 1 を適用すると、以下となる。
g(n) = 3(2i + 1) + 1 = 6i + 4 = 2(3i + 2)
上式において、i は任意の整数なので、 (3i + 2) に対する偶奇性の
パリティは不定である。
以下では、パリティに着目して、(3i + 2) を分類する過程を示す。
結果として、以下の観点のデータ型が複合的に組み合わさっている。
・(6k + 1)/(6k + 3)/(6k + 5) 型
・(4n + 1)/(4n + 3) 型
・(8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 5)/(8k + 7) 型
また、以下の分類過程では、分岐テーブルのリンク対象点が
系統的に出現する。
なお、任意の奇数 n に対して、コラッツ演算 g(n) を
順次適用していった場合、奇数は無数に存在するので、
上記の分類過程は完結することなく、無限に続く。
◆奇数インデックスが奇数:
set i = 2m + 1 → n = 4m + 3 // (4k + 3) 型の場合
3i + 2 = 3(2m + 1) + 2 = 6m + 5
∴g(n) = 2(6m + 5) // (6k + 5) 型のリンク基準点
---
m が奇数:set m = 2p + 1 → n = 8p + 7 // (8k + 7)型の場合
6m + 5 = 6(2p + 1) + 5 = 12p + 11 = 3(4p + 3) + 2 = 4(3p + 2) + 3
m が偶数:set m = 2p → n = 8p + 3 // (8k + 3)型の場合
6m + 5 = 6(2p) + 5 = 12p + 5 = 3(4p + 1) + 2 = 4(3p + 1) + 1
---
◆奇数インデックスが偶数:
set i = 2m → n = 4m + 1 // (4k + 1) 型の場合
3i + 2 = 3(2m) + 2 = 6m + 2 = 2(3m + 1)
∴g(n) = 4(3m + 1)
m が奇数:set m = 2p + 1 → n = 8p + 5 // (8k + 5) 型の場合
3m + 1 = 6p + 4 = 2(3p + 2)
g(n) = 8(3p + 2) // (3p + 2) はパリティ不定
p が奇数:set p = 2q + 1
3p + 2 = 3(2q + 1) + 2 = 6q + 5
g(n) = 8(6q + 5) // (6k + 5) 型の2番目リンク対象点
p が偶数:set p = 2q
g(n) = 16(3q + 1)
q が奇数:set q = 2r + 1
3q + 1 = 6r + 4 = 2(3r + 2)
g(n) = 32(3r + 2) // (3r + 2) はパリティ不定
r が奇数:set r = 2s + 1
3r + 2 = 6s + 5
g(n) = 32(6s + 5) //(3n + 2)型の3番目リンク対象点
r が偶数:set r = 2s
g(n) = 64(3s + 1) // (3s + 1)はパリティ不定
s が奇数:set s = 2t + 1
3s + 1 = 6t + 4 = 2(3t + 2)
g(n) = 128(3t + 2) // (3t + 2) はパリティ不定
... // 以降、無限に続く。
s が偶数:set s = 2t
g(n) = 64(6t + 1) // (6k + 1) 型の3番目リンク対象点
q が偶数:set q = 2r
g(n) = 16(6r + 1) // (6k + 1) 型の2番目リンク対象点
m が偶数:set m = 2p → n = 8p + 1 // (8k + 1)型の場合
g(n) = 4(6p + 1) // (6k + 1) 型リンク基準点
[F-3]分岐テーブルグループ
コラッツ遷移系統は、「[D-2]4の冪乗による奇数分類」に
従って分岐テーブル全体がグループ化されており、それらを
分岐テーブルグループという。
分岐テーブルグループに属するすべての分岐テーブルは、
同一の分岐テーブルへリンクする。
本稿では、分岐テーブルグループを記述する場合、
分岐テーブルグループの基準値 $a \in N_o$ を先頭として、
含まれる分岐テーブルを代表値の昇順に並べたものを対象として、
#a と記述する。
分岐テーブルグループにおける最小の基準値は 1 であり、
@1 を含む分岐テーブルグループは、#1 である。
分岐テーブルグループの基準値のデータ型は、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$,
(8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 7) 型のいずれかである。
また、分岐テーブルグループの従属値のデータ型は、(8k + 5) である。
基準値 a と次の要素の値の関係は、(4a + 1) である。
分岐テーブルグループ内で隣接するその他の要素の関係も同様である。
よって、含まれる分岐テーブルの代表値は、以下となる。
@a, @(4a + 1), @(16a + 5), ...
以下に、分岐テーブルグループの例を示す。
[図F-2-A]分岐テーブルグループ一覧(抜粋)
ある分岐テーブルグループに着目した場合、
その分岐テーブルグループがリンクする分岐テーブルは、
分岐テーブルのリンクの性質より、唯一である。
最初に、ルートテーブルをリンク対象とする分岐テーブルグループの
場合を示す。ルートテーブルのリンク対象点は、4, 16, ...である。
この場合、リンクする分岐テーブルは、それぞれ以下である。
{ @1, @5, @21, @85, @341, ...}
ルートテーブルに対する分岐テーブルグループ #1 は、
上記の分岐テーブルの集合である。
#1 を「ルート分岐テーブルグループ」という。
なお、@1 は、1 → 4 → 2 → 1 である自己参照ループを含んでいる。
また、例えば、@5のリンク対象点は、10, 40, ...である。
これらのリンク対象点にリンクする分岐テーブルグループ #3 は、
{ @3, @13, @53, ...} で構成される。
その他の分岐テーブルグループも同様に定まる。
分岐テーブルグループは、基準値を持つ分岐テーブルに対応した
分岐テーブルの集合として、確定的に定まる。
また、分岐テーブルグループ全体は[D-2]の分類に従うため、
それらを代表値とする分岐テーブルを含む。
それらの代表値は互いに重複することはなく、結果として、
代表値全体は自然数のすべての奇数を含む。
よって、分岐テーブルグループ全体は、すべての分岐テーブルを
含むことになり、その帰結として、すべての自然数を含む。
分岐テーブルグループの基準値が $\forall a \in N_o$ であるとき、
分岐テーブルグループの要素の一般項 $A_n$ は、以下である。
ただし、$\forall p \in \mathbb{Z} \ge 0$ は、分岐テーブルグループ内の
分岐テーブルに対する先頭からの0相対の順序番号である。
$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, A_n = (g(a)4^p - 1)/3$
この点を[補題G-3]で証明している。
また、「[図F-1]コラッツ遷移系統の階層における先頭部分」から
わかるように、分岐テーブルグープ内においては、
(6k + 1)/(6k + 3)/(6k + 5) 型を3個で一組とした場合、
この組が周期的に現れる。この点を[補題G-4]で証明している。
別の見方をすると、分岐テーブルグループにおいて、
連続した3つの要素を抽出した場合、そのいずれかは (6k + 3) 型である。
なお、コラッツ予想の収束の観点では、分岐テーブルグループは
分岐テーブルの集合体なので、#1 がコラッツ収束の終点となる。
つまり、コラッツ予想において、コラッツ収束の対象となる
分岐テーブルグループは、ルート分岐テーブルグループである。
また、分岐テーブルグループと分岐テーブルの関係性の観点では、
「分岐テーブルの階層は、分岐テーブルグループ内の
(6k + 1)/(6k + 5) 型分岐テーブルからのリンクを介して
拡張されている。」
と捉えることができる 。
この様子を以下に示す。ただし、下図においては、
分岐テーブルグループ内における矩形(ex. 7)は、分岐テーブルを表す。
[図F-2-B]BTG の (6k + 1)/(6k + 5) 型分岐テーブルからの派生
[F-3-1]代表値の2倍関係
[図F-2-2]において、分岐テーブルグループ内の分岐テーブルの
逆方向リンクとして、(6k + 1)/(6k + 5) 型から派生する
最初の代表値をa, b とすると、b = 2a + 1 であり、
「代表値の2倍関係」が継続する関係として出現する。
ex. 2つのコラッツ遷移シーケンス間(@17 → @11 → @7 → @9 と
@35 → @23 → @15 → @19)には、(2a + 1) 関係が存在する。
(@17, @35), (@11, @23), (@7, @15), (@9, @19))
上記の関係は、3の奇数倍である代表値を持つコラッツ遷移の
末端(@9)で終わる。すなわち、端点シーケンス内で継続する。
なお、この関係の始端 (@17, @35) にリンクしている
分岐テーブルは、#3 における(8k + 5)型従属値としての
代表値を持つ (@13, @53) の対である。
以下に、「代表値の2倍関係」がどのように対応しているかを示す。
(A)(8k + 1)型はインデックス 2k 関係の(16k + 3)型と対応
(B)(8k + 3)型はインデックス 2k 関係の(16k + 7)型と対応
(C)(8k + 7)型はインデックス 2k + 1 関係の(16k + 15)型と対応
ただし、条件(B)の場合を除く。
[図F-2-1-A]代表値の2倍関係の対応(8k + α 分類)
また、「代表値の2倍関係」の起点となる場合を以下に列挙する。
・(8k + 1)型は、すべて起点となる。
・(8k + 3)型で k が奇数の場合、起点となる。
・(8k + 7)型で、 (8k + 3)型における k が偶数の場合の
値に対する代表値の2倍関係の値が起点となる。(ex. 3 → 7)
※これは、(8k + 1)型の k に対して(8k + 7)に相当する。
・(8k + 7)型で奇数の2倍関係の終点となった値に対する
代表値の2倍関係の値が起点となる。(ex. 15 → 31)
上記の点を形式的に示すと、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ として以下となる。
・8k + 1 // (8k + 1)型
・16k + 11 // (8k + 3)型で k が奇数の場合
・32k + 7 // (8k + 7)型[1]
・64k + 47 // (8k + 7)型[2]
・n = 1 の場合の(4n + 3)倍の連鎖
// (8k + 7) 型[3]、(ex. 7, 31, 127, ...)
上記の結果の詳細図を以下に示す。
[図F-2-1-B]代表値の2倍関係の対応(16k + α 分類)
また、代表値の2倍関係を起点/終点の観点で考察した場合の
詳細は、以下となる。
(起点となる場合)
・(8k + 1)型
・(16k + 11)型
・(32j + 7)型
・(64j + 47)型
・(128j + 31)型
・(256j + 191)型
(終点となる場合)
・(16k + 3)型
・(32j + 23)型
・(64j + 15)型
・(128j + 95)型
・(256j + 63)型
・(256j + 127)型
[F-3-2]経路グラフの末端
ここでは、分岐テーブルで構成される経路グラフの末端、すなわち、
その分岐テーブルから分岐しないコラッツ遷移の開始点としての
端点に着目する。
コラッツ遷移系統を奇数のみに注目して見た場合、
分岐テーブルグループの階層構造が浮かび上がる。
以下に、経路グラフを奇数項のみで表現した図を示す。
[図F-2-2-A]コラッツ遷移系統(奇数項)
上図では、分岐テーブルグループが水平方向に並ぶ。実際には、
分岐テーブルグループの基準値に対する漸化式($A_{n+1} = 4A_n + 1$)で
定まる分岐テーブルの代表値が無数に存在するが、図示の都合上、
3個分までを列挙している。
[図F-2-2-A]に示されているように、ルートテーブルを出発点に、
コラッツ遷移を逆方向展開した場合、分岐テーブル単位の展開では、
(3n)型代表値を持つ分岐テーブルが逆方向リンク展開の末端となる。
この理由は、分岐テーブルの代表値が3の奇数倍である場合、
その分岐テーブルにはリンク対象点が存在しないため、
その分岐テーブルからその他の分岐テーブルが派生しないからである。
(ex. @9 にはリンク対象点がないため、
他の分岐テーブルがリンクしない。)
この点に着目して、経路グラフ全体を俯瞰してみる。
3n 型代表値を持つ分岐テーブルの遷移シーケンス全体を
分岐テーブルの合流を考慮して重ね合わせると、すべての経路グラフの
末端から順方向へ向かう経路を含むので、コラッツ遷移系統全体を
カバーすることになる。
すなわち、端点シーケンスに着目して、
$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0$, (6m + 3)型代表値を持つ分岐テーブルの
経路全体を扱うことは、コラッツ遷移系統全体を扱うことに等しい。
端点シーケンスに注目した場合のコラッツ遷移図(抜粋)を
以下に示す。
[図F-2-2-B]分岐テーブルグループ階層表(概要)
コラッツ経路末端に注目した場合、奇数に関する
すべてのコラッツ遷移は、端点シーケンスの一部である。
すなわち、任意の自然数 n を出発点とするコラッツ遷移は、
n を含む分岐テーブル内の遷移と n が属する分岐テーブルの代表値を
始端とする端点シーケンスで構成される。
ただし、代表値 n が3の奇数倍でない場合、
@n を収容している端点シーケンスの途中からコラッツ遷移が
開始されていることを意味する。
[F-4]経路パターンの考察
ここでは分岐テーブルに注目し、コラッツ遷移において存在する
可能性のある経路パターンを考察する。
もし、経路に端点がない場合、無限遠に端点があるものとして扱い、
その仮想的な端点を「∞」と表記する。
[F-4-1]遷移のリンク形態
コラッツ遷移のリンクを進行方向で分類した場合、以下の2種類がある。
・順方向リンク
・逆方向リンク
リンク系統を辿る点に関して、コラッツ遷移の進行方向により、
その様相は異なる。順方向リンクに関しては、単にリンク系統が継続する。
一方、(3n)型代表値を持つ分岐テーブルの存在がリンク系統の
区切りとなっている。
■順方向リンク
出発点とする奇数から、ルートテーブルに到達するまでは、
延々とそのリンクが継続する。ただし、必ず、ルートテーブルに
到達するかどうかは不明である。
■逆方向リンク
出発点とする奇数から、(3n)代表値を持つ分岐テーブルに
到達するまでは、延々とそのリンク系統が継続する。
なお、分岐テーブルグループには、(3n)型以外に
(3n + 1)/(3n + 2)型の代表値が含まれるので、
逆方向リンクとしては、自然数の無限大方向へ限りなく、
リンク系統が伸びている。
■逆方向リンク展開の終端
コラッツ遷移のリンク系統全体を分岐テーブルグループ間リンクで
捉えた場合、以下となる。
逆方向リンク展開の視点では、端点シーケンスの始端である
3n 型代表値を持つ分岐テーブルが終端となる。
この点の証明を以下に示す。
3の奇数倍に対するコラッツ遷移に着目して、奇数に対する
除数 18 の余りにより代表値を分類し、それらの代表値に
リンクする 3n 型分岐テーブルを抽出した結果を以下に示す。
なお、この場合において、3の奇数倍の代表値を持つ分岐テーブルは
対象外となる。すなわち、上表はコラッツ遷移のリンクとして発生する
すべてのデータ型が含まれた考察である。
任意の (3n + 1) / (3n + 2) 型分岐テーブルに対する逆方向展開を
考えた場合、上表より、すべての場合において、(3n)型代表値が
存在する。
なお、分岐テーブルにリンクする(3n)型代表値の最小値を
選択した場合、(8k + 5)型でない代表値、すなわち、
分岐テーブルグループの従属値でない代表値は、
分岐テーブルグループの基準値である。
このことより、任意の分岐テーブルの代表値に対して、
その分岐テーブルに遷移する固定的な(3n)型代表値を定めることが
可能である。このように定めた分岐テーブルは、逆方向展開時の
終端として機能する。
すなわち、コラッツ遷移系統には必ず端が存在し、
3n 型代表値を持つ分岐テーブルを始端とする端点シーケンスが、
分岐テーブルグループ内の(3n + 1)/(3n + 2)型分岐テーブルを
経由して、連鎖的にリンクした構成と見做すことができる。
上記の結果として、逆方向リンク展開において、
3n 型分岐テーブルが終端となる点を順方向遷移で言い換えると、
コラッツ遷移の起点として、任意の奇数を出発点とすることは、
端点シーケンスの始端、または端点シーケンスの途中を、
起点として選択していることに相当する。
[F-4-2]経路パターン分類
コラッツ遷移において、存在する可能性のある経路は、大別して、
以下に分類できる。
・固定経路:固定値である始端と終端が定まっている経路。
遷移の起点と終点の値が確定している。
・循環経路:循環参照となっている経路。
遷移における特定の起点/終点がない。
・無限経路:際限なくコラッツ遷移を繰り返すリンク系統。
遷移の終点が確定しない。遷移の起点が確定しない場合もあり得る。
コラッツ予想を完全に証明するためには、コラッツ遷移全体が
固定経路のパターンのみで構成されていることを示す必要がある。
すなわち、経路全体として、循環経路と無限経路が含まれていないことを
証明する必要がある。
[F-4-3]固定経路
コラッツ遷移において、固定値である始端と終端が定まっている経路を
「固定経路」という。固定経路には遷移の起点と終点が存在する。
以下に、固定経路の例を示す。下図では、$V_0$ が始端、$V_n$ が終端である。
[F-4-4]循環経路
コラッツ遷移において、通過する要素としての分岐テーブルの代表値の
配置が環状であるリンク系統を「循環経路」という。
循環経路には、起点となる端点が存在しない。
全ての要素が始端であり、また、終端である。
以下に例を示す。
循環経路に関しては、「遷移の起点/終点が存在しない」と考えないで、
「循環経路のいずれの要素も遷移の起点と終点が同一である。」
と捉えることもできる。
[補題F-2]より、コラッツ遷移において、ルートテーブル以外を
起点とする循環経路は存在しない。
[F-4-5]無限経路
際限なくコラッツ遷移を繰り返すリンク系統を「無限経路」という。
無限経路には、コラッツ遷移の端点が存在しない。
無限経路が存在するならば、[補題I-2]より、コラッツ遷移の
遷移値は、際限なく増大する。ここでは、端点が存在しない状態を
記号 ”∞” で表現する。
存在する可能性のある無限経路の形態は、以下の2種類である。
・無限経路A(始端 → ∞)
ある固定値の始端から、際限なく遷移を繰り返すリンク系統
・無限経路B(∞ → ∞)
始端も終端もなく、際限なくコラッツ遷移を繰り返すリンク系統
無限経路Bには、起点となる端点が存在しない。
なお、無限経路が存在する場合、その経路に合流するすべての
コラッツ遷移は無限経路である。
(A)無限経路Bの存在否定
「[F-4-1]遷移のリンク形態」における考察の結果より、
(6k + 3) 型を持つ分岐テーブルは端点シーケンスの始端として機能する。
また、[補題F-17]より、ルートテーブルを除いて、
分岐テーブルグループ内の (6k + 3) 型でない、すべての分岐テーブルの
代表値に関して、それらを始点として、逆方向遷移を繰り返すと、
必ず (6k + 3) 型奇数を代表値とする分岐テーブルに到達する。
すなわち、コラッツリンク系統には、必ず端点が存在する。
そして、端点である分岐テーブルは、(6k + 3) 型を代表値とする。
よって、起点側の端が ∞ 状態である無限経路Bは存在しない。
すなわち、コラッツ遷移では、無限経路Aのパターンのみ、
存在する可能性がある。
(B)無限経路Aの細分類
無限経路Aを最小値の存在位置によって分類すると、以下となる。
ただし、$V_0$ を始点、$V_{min}$ を最小値とする。
・無限経路A-1:経路途中で分岐テーブルの代表値が最小となる。
・無限経路A-2:経路先頭で分岐テーブルの代表値が最小となる。
コラッツ遷移の出発点は任意だが、特定の値から逆方向展開した場合、
[補題F-17]より、ルートテーブルを除いて、必ず (6k + 3) 型を
代表値とする分岐テーブルに到達する。よって、
無限経路 A-1 の端点 $V_0$ は (6k + 3) 型分岐テーブルである。
(B-1)無限経路 A-2 の起点
無限経路A-2 の起点 $V_0$ は (4k + 3) 型に限る。
何故ならば、$V_0$ は 最小値なので、最初の遷移値は少なくとも
$V_0$ より大きくなる必要ある。
よって、$V_0$ は 4を法とする場合、(4k + 3) 型でなければならない。
すなわち、$V_0$ は (4k + 1) 型ではない。
∵g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1), (4k + 1) > (3k + 1) where k > 0
g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5), (4k + 3) < (6k + 5)
また、無限経路 A-2 の起点に他からのリンクが存在しない条件より、
A-2 は (6k + 3) 型である必要がある。
(B-2)無限経路A-2 の遷移傾向
無限経路 A-2 の存在を仮定した場合、$V_{min}$ の次の遷移値を
$V_1$ とすると、$V_1$ への遷移は、分岐テーブルのリンク基準点への
遷移であり、かつ、$V_1$ のデータ型は (6k + 5) 型である必要がある。
何故ならば、$V_{min} \lt V_1$ が必要条件だからである。
リンク基準点へ遷移する場合の (6k + 5) 型への遷移値 v は、
元の奇数 n に対して、約 3/2 倍となる。(∵v = (3n + 1) / 2; ex. 3 → 5)
リンク基準点へ遷移する場合の (6k + 1) 型奇数への遷移値 v は、
元の奇数 n に対して、約 3/4 倍となる。(∵v = (3n + 1) / 4; ex. 9 → 7)
リンク基準点以外へ遷移する場合、(6k + 1)/(6k + 5) 型奇数への
遷移値 v は、最低でもさらに、約 1/4 倍の効果が加わる。
この理由は、分岐テーブル内の2つのリンク対象点を
$V_n, V_{n+1}$ とすると、$V_{n+1} = 4V_n$ の関係にあるからである。
また、分岐テーブルグループ間遷移の観点で見た場合、
(基準値 → 基準値)の遷移でない場合、すなわち、従属値からの
遷移である場合、さらに、最低でも、約 1/4 倍の効果が加わる。
この場合の例を以下に示す。
(基準値 → 基準値):11 → 17:17 ≒ 11 * (3/2)
(従属値 → 基準値):45 → 17:17 ≒ 45 * (3/2) * (1/4)
※45 は、#11 における最初の従属値である。
(B-3)無限経路A-1 の最小値
無限経路A-1 の最小値 $V_{min}$ は、(6k + 1)/(6k + 5) 型
分岐テーブルに限定される。何故ならば、もし、$V_{min}$ が (6k + 3) 型
分岐テーブルならば、$V_{min}$ にリンクする分岐テーブルが
存在しないので、パターン分類の条件に反するからである。
以上の考察から、無限経路Aのパターンは、結果的に、
最小値が (6k + 3) 型かどうかで分類した形態となっている。
[F-4-6]無限経路の条件
コラッツ遷移において、無限経路が存在する条件を考察する。
無限経路Bは存在しないので、考察対象を以下の条件と範囲に限定する。
・無限経路Aを考察対象とする。
・ルートテーブル以外の循環経路が存在しないことを前提とする。
・コラッツ遷移の始点を端点((6k + 3) 型)とする。
なお、ここでは、分岐テーブルの代表値を、単に代表値と記述する。
この場合、無限経路Aは、以下の条件を同時に満足する必要がある。
・ルートテーブルから逆方向展開した代表値を含まない。
・経路全体が初期値下降シーケンスの組のみで構成されていない。
(A)代表値が減少するパターン
コラッツ遷移において、代表値が減少するのは以下の場合である。
■分岐テーブルのリンク基準点以外へ遷移する。
2番目以降のリンク対象点へ遷移する例を以下に示す。
ex1. (6k + 1) 型 → (6k + 5) 型:181 → 17 (cf. 11 → 17)
ex2. (6k + 5) 型 → (6k + 5) 型:29 → 11 (cf. 7 → 11)
※(cf. ...)で示したシーケンスと対比すると、
リンク対象点位置の差異が、代表値の減少に
大きく関係している。
■(6k + 1) 型分岐テーブルへ遷移する。
これは、(4k + 1)型代表値を起点にした場合の
コラッツ遷移である。(∵g(8k + 1) = 24k + 4 = 4(6k + 1))
以下に、例を示す。
ex1. (6k + 3) 型 → (6k + 1) 型:9 → 7
ex2. (6k + 1) 型 → (6k + 1) 型:577 → 433
ex3. (6k + 5) 型 → (6k + 1) 型:113 → 85
■分岐テーブルグループの従属値を経由して遷移する。
この場合、始点、または従属値を経由する場合の
分岐テーブルとして、ルートテーブルは対象外である。
同一の分岐テーブルグループ(#9)に属する代表値
(@9, @19)が分岐テーブルグループ(#7)の
(@7, @29)を経由し、同一の分岐テーブル(@11)へ
合流する、2つのコラッツ遷移の例を以下に示す。
・9 → 7 → 11 // 7: 分岐テーブルグループの基準値
・19 → 29 → 11 // 29: 分岐テーブルグループの従属値
@29 は、 #7 従属の (8k + 5) 型分岐テーブルである。
また、@19 は @9 に対して<奇数の2倍関係>にある。
3つの代表値を含む2つのコラッツ遷移全体を見た場合、
分岐テーブルグループの従属値を経由する経路末端の
代表値は、起点となる代表値よりも必ず小さくなる。
これらに関する証明を以下で示した。
・[補題I-5]分岐テーブルの代表値が減少する遷移パターン
(B)無限経路Aに関する最小値のデータ型の考察結果
無限経路Aが存在すると仮定した場合における最小値のデータ型条件を
考察した結果を以下に図示する。
[F-4-7]無限経路 A-1 の最小値のデータ型
ここでは、無限経路 A-1 の起点を奇数の場合に限定して議論する。
無限経路Aのコラッツ遷移において、通過する分岐テーブルの代表値に
関して、その最小値 $\forall m \in N_o \gt 1$ について考える。
また、@m の遷移先を @n 、@m へ遷移する分岐テーブルを @l
とする。すなわち、@l → @m → @n を仮定する。
m は、通過する分岐テーブルの代表値において最小なので、
l > m, n > m である。
なお、@m が (6k + 3) 型分岐テーブルならば、@m へ遷移する
分岐テーブルは存在しない。この場合、@m が無限経路の起点となる。
これは、「[F-4-5]無限経路」における無限経路A-2に相当する。
もし、m が (8k + 5) 型なら、m は所属する分岐テーブルグループの
従属値である。よって、m の遷移する値は、分岐テーブルグループの
基準値(2k + 1)が遷移する値と同一である。
g(2k + 1) = 2(3k + 2) なので、m は (3k + 2) へ遷移する。
(8k + 5) > (3k + 2) であるから、m の遷移値は m よりも小さくなる。
これは矛盾である。よって、m は (8k + 5)型ではない。
m が (8k + 1) 型の場合、g(8k + 1) = 4(6k + 1) なので、m の遷移値は
m よりも小さくなる。これは最小値の仮定に反するので、矛盾である。
従って、m は (8k + 3)/(8k + 7) 型のいずれかである必要がある。
一方、代表値としての m が最小であるためには、
@l → @m を考えた場合、l > m が成り立つ必要がある。
これを満たすには、m が (6k + 1) 型でなければならない。
何故ならば、(6k + 3) 型はリンク対象点が存在しないので対象外であり、
m が (6k + 5) 型の場合は、m > l となるので条件に反する。
なお、m が(3n + 2)型でよいと仮定して、m = 6k + 5 とおくと、
g(6k + 5) = 2(9k + 8) なので (9k + 8) が奇数になり、確定しないので、
(12k + α)型で考えると以下となる。
g(12k + 5) = 36k + 16 = 4(9k + 4)
g(12k + 11) = 36k + 34 = 2(18k + 17)
上記において、(12k + 5) 型は (9k + 4) に遷移するので、
元の値よりも小さくなる。これは、必要条件を満たさない。
また、(12k + 11) は (18k + 17) に遷移するので、元の値よりも
大きくなる条件を満たす。
一方、(12k + 11) にリンクするデータ型は、減少する型である
必要がある。7 → 11 なので、(12k + 11) 型にリンクするデータ型を
(ak + 7) とおくと、以下となる。
g(ak + 7) = 3ak + 22 = 2((3a/2)k + 11)
しかし、a < (3a/2) かつ 7 < 11 なので、元の値よりも増加している。
よって、(12k + 11) 型は遷移で最小値を実現するデータ型として
適合しない。
上記の結果より、(6k + 5) 型は最小値を構成するデータ型として
不適合である。
(6k + 1)型かつ (8k + 3)/(8k + 7) 型を同時に満たすデータ型を
採用するために、6 と 8 の最小公倍数である 24 で自然数の奇数を
分類すると、それらのデータ型は、以下のいずれかである。
・24k + 7 // (6k + 1) and (8k + 7)
・24k + 19 // (6k + 1) and (8k + 3)
よって、無限経路 A-1 において、奇数の最小値であるデータ型は、
(24k + 7) / (24k + 19) 型のいずれかである必要がある。
(A)(24k + 7) 型
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$, (24k + 7) 型のコラッツ遷移の調査結果を以下に示す。
(凡例)
○:初期値下降シーケンスであることが確定。
?:未確認
mode: starting mode
t : starting target (i.e. initial value)
md_g: mode by g()
v_g : value by g()
ND2 : number of division by 2
r_md: mode of result
r_v : value of result
(24k + 7):
(48k + 7):
(96k + 7):
(192k + 7):
(384k + 7): ○ // 7 11 17 13 5
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
384 7 1152 22 1 576 11
576 11 1728 34 1 864 17
864 17 2592 52 2 648 13
648 13 1944 40 3 243 5
(384k + 199):
(768k + 199): ○
(1536k + 199): ○ // 199 299 449 337 253 95
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
1536 199 4608 598 1 2304 299
2304 299 6912 898 1 3456 449
3456 449 10368 1348 2 2592 337
2592 337 7776 1012 2 1944 253
1944 253 5832 760 3 729 95
(1536k + 967): ○ // 967 1451 2177 1633 1225 919
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
1536 967 4608 2902 1 2304 1451
2304 1451 6912 4354 1 3456 2177
3456 2177 10368 6532 2 2592 1633
2592 1633 7776 4900 2 1944 1225
1944 1225 5832 3676 2 1458 919
(768k + 583):
(1536k + 583):
(3072k + 583): ○
(6144k + 583): ○
(12288k + 583): ○
(24576k + 583): ○
(49152k + 583): ○
(98304k + 583): ○ // 583 875 1313 985 739 1109 13
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
98304 583 294912 1750 1 147456 875
147456 875 442368 2626 1 221184 1313
221184 1313 663552 3940 2 165888 985
165888 985 497664 2956 2 124416 739
124416 739 373248 2218 1 186624 1109
186624 1109 559872 3328 8 2187 13
(98304k + 49735): ○ // 49735 74603 111905 83929 62947 94421 2213
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
98304 49735 294912 149206 1 147456 74603
147456 74603 442368 223810 1 221184 111905
221184 111905 663552 335716 2 165888 83929
165888 83929 497664 251788 2 124416 62947
124416 62947 373248 188842 1 186624 94421
186624 94421 559872 283264 7 4374 2213
(49152k + 25159): ○ // 25159 37739 56609 42457 31843 47765 2239
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
49152 25159 147456 75478 1 73728 37739
73728 37739 221184 113218 1 110592 56609
110592 56609 331776 169828 2 82944 42457
82944 42457 248832 127372 2 62208 31843
62208 31843 186624 95530 1 93312 47765
93312 47765 279936 143296 6 4374 2239
(24576k + 12871): ○ // 12871 19307 28961 21721 16291 24437 2291
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
24576 12871 73728 38614 1 36864 19307
36864 19307 110592 57922 1 55296 28961
55296 28961 165888 86884 2 41472 21721
41472 21721 124416 65164 2 31104 16291
31104 16291 93312 48874 1 46656 24437
46656 24437 139968 73312 5 4374 2291
(12288k + 6727): ○ // 6727 10091 15137 11353 8515 12773 2395
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
12288 6727 36864 20182 1 18432 10091
18432 10091 55296 30274 1 27648 15137
27648 15137 82944 45412 2 20736 11353
20736 11353 62208 34060 2 15552 8515
15552 8515 46656 25546 1 23328 12773
23328 12773 69984 38320 4 4374 2395
(6144k + 3655): ○ // 3655 5483 8225 6169 4627 6941 2603
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
6144 3655 18432 10966 1 9216 5483
9216 5483 27648 16450 1 13824 8225
13824 8225 41472 24676 2 10368 6169
10368 6169 31104 18508 2 7776 4627
7776 4627 23328 13882 1 11664 6941
11664 6941 34992 20824 3 4374 2603
(3072k + 2119): ?
1536k + 1351: ?
(192k + 103): ?
(96k + 55): ○ // 55 83 125 47
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
96 55 288 166 1 144 83
144 83 432 250 1 216 125
216 125 648 376 3 81 47
(48k + 31): ?
上記の結果より、もし、以下のすべてのデータ型のコラッツ遷移が
初期値下降シーケンスならば、(24k + 7) 型の遷移は初期値下降シーケンスである。
・(48k + 31) 型
・(192k + 103) 型
・(1536k + 1351) 型
・(3072k + 2119) 型
(B)(24k + 19) 型
(24k + 19)型代表値のすべてのコラッツ遷移が、
初期値下降シーケンスであることを証明するためには、
モード 96 に関する以下のすべてのデータ型が初期値より小さくなる
ことを示す必要がある。
・(96k + 19) 型 // 96k + 19 = 16(6k + 1) + 3 : (16k + 3) type
・(96k + 43) 型 // 96k + 19 = 32(3k + 1) + 11: (32k + 11) type
・(96k + 67) 型 // 96k + 67 = 16(6k + 4) + 3 : (16k + 3) type
・(96k + 91) 型
上記の (96k + 91) 型以外のデータ型については、[補題H-5]で、
それらのコラッツ遷移が初期値下降シーケンスであることを証明した。
もし、(96k + 91) 型のコラッツ遷移が初期値下降シーケンスならば、
(24k + 19) 型のコラッツ遷移は、すべて初期値下降シーケンスである。
[F-4-8]無限経路 A-2 の最小値のデータ型
ここでは、無限経路 A-2 の起点を奇数の場合に限定して議論する。
無限経路A-2の起点 $V_{min}$ のデータ型は、
「[F-4-5]無限経路、(B-1)無限経路 A-2 の起点」より、
(4k + 3) 型かつ (6k + 3) 型である。
よって、A-2 起点のデータ型は、4 と 6 の最小公倍数をモードとして、
(12k + 3) 型に限定される。24 を法とする場合、以下のいずれかである。
・24k + 3
・24k + 15
具体的な例としては、3, 15, 27, 39, ...が該当する。
もし、(24k + 3) / (24k + 15) 型すべてのコラッツ遷移が、
初期値下降シーケンスならば、無限経路 A-2 は存在しない。
(A) (24k + 3) 型
(24k + 3) 型のコラッツ遷移は、48 を法として分類すると、
以下となる。
・(48k + 3) 型 // (16k + 3) 型
・(48k + 27) 型
(16k + 3) 型のコラッツ遷移は、初期値下降シーケンスである。
∵g(16k + 3) = 48k + 10 = 2(24k + 5)
g(24k + 5) = 72k + 16 = 8(9k + 2)
よって、(16k + 3) → (9k + 2) である。
また、実際に、以下に示す結果でも、(48k + 3) 型のコラッツ遷移は
初期値下降シーケンスであることが確認できる。
したがって、(24k + 3) 型が初期値下降シーケンスでない場合は、
(48k + 27) 型に限定される。
(48k + 27) 型は、さらに以下のデータ型に分類される。
・96k + 27
・96k + 75
ここで、(96k + 75) 型のコラッツ遷移は、以下の結果より、
初期値下降シーケンスである。
したがって、(24k + 3) 型が初期値下降シーケンスでない場合は、
(96k + 27) 型に限定される。
また、(96k + 27) 型において、下記の検証結果より、
以下のデータ型に対するコラッツ遷移は初期値下降シーケンスである。
・(192k + 123) 型
・(384k + 219) 型
よって、残る (384k + 27) 型のコラッツ遷移が初期値下降シーケンス
ならば、(24k + 3) 型のコラッツ遷移は初期値下降シーケンスである。
(凡例)
○:初期値下降シーケンスであることが確定。
?:未確認
mode: starting mode
t : starting target (i.e. initial value)
md_g: mode by g()
v_g : value by g()
ND2 : number of division by 2
r_md: mode of result
r_v : value of result
(24k + 3):
(48k + 3): ○
(96k + 3): ○
(192k + 3): ○ // 3 5 1
g(192k + 3) = 576k + 10 = 2(288k + 5)
g(288k + 5) = 864k + 16 = 16(54k + 1)
(192k + 3) > (54k + 1) なので、
(192k + 3) 型の遷移は初期値下降シーケンスである。
(192k + 99): ○ // 99 149 7
(384k + 99): ○ // 99 149 7
g(384k + 99) = 1152k + 298 = 2(576k + 149)
g(576k + 149) = 1728k + 448 = 64(27k + 7)
(384k + 99) > (27k + 7) なので、
(384k + 99) 型の遷移は初期値下降シーケンスである。
(384k + 291): ○ // 291 437 41
g(384k + 291) = 1152k + 874 = 2(576k + 437)
g(576k + 437) = 1728k + 1312 = 32(54k + 41)
(384k + 291) > (54k + 41) なので、
(384k + 291) 型の遷移は初期値下降シーケンスである。
(96k + 51): ○ // 51 77 29
g(96k + 51) = 288k + 154 = 2(144k + 77)
g(144k + 77) = 432k + 232 = 8(54k + 29)
(96k + 51) > (54k + 29) なので、
(96k + 51) 型の遷移は初期値下降シーケンスである。
(48k + 27):
96k + 27: ?
192k + 27: ?
384k + 27: ?
384k + 219: ○
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
768 219 2304 658 1 1152 329
1152 329 3456 988 2 864 247
864 247 2592 742 1 1296 371
1296 371 3888 1114 1 1944 557
1944 557 5832 1672 3 729 209
192k + 123: ○
384k + 123: ○
768k + 123: ○
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
768 123 2304 370 1 1152 185
1152 185 3456 556 2 864 139
864 139 2592 418 1 1296 209
1296 209 3888 628 2 972 157
972 157 2916 472 2 729 118
768k + 507: ○
1536k + 507: ○
3072k + 507: ○
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
3072 507 9216 1522 1 4608 761
4608 761 13824 2284 2 3456 571
3456 571 10368 1714 1 5184 857
5184 857 15552 2572 2 3888 643
3888 643 11664 1930 1 5832 965
5832 965 17496 2896 3 2187 362
3072k + 2235: ○
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
3072 2235 9216 6706 1 4608 3353
4608 3353 13824 10060 2 3456 2515
3456 2515 10368 7546 1 5184 3773
5184 3773 15552 11320 3 1944 1415
384k + 315: ○
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
384 315 1152 946 1 576 473
576 473 1728 1420 2 432 355
432 355 1296 1066 1 648 533
648 533 1944 1600 3 243 200
96k + 75: ○ // 75 113 85 1
192k + 75: ○
384k + 75: ○
768k + 75: ○
1536k + 75: ○
3072k + 75: ○
6144k + 75: ○
12288k + 75: ○
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
12288 75 36864 226 1 18432 113
18432 113 55296 340 2 13824 85
13824 85 41472 256 8 162 1
12288k + 6219: ○
24576k + 6219: ○ // 6219 9329 6997 41
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
24576 6219 73728 18658 1 36864 9329
36864 9329 110592 27988 2 27648 6997
27648 6997 82944 20992 9 162 41
24576k + 18507: ○
49152k + 18507: ○ // 18507 27761 20821 61
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
49152 18507 147456 55522 1 73728 27761
73728 27761 221184 83284 2 55296 20821
55296 20821 165888 62464 10 162 61
49152k + 43083: ○ // 43083 64625 48469 71
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
1411743744 43083 4235231232 129250 1 2117615616 64625
2117615616 64625 6352846848 193876 2 1588211712 48469
1588211712 48469 4764635136 145408 11 2326482 71
6144k + 3147: ○ // 3147 4721 3541 83
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
6144 3147 18432 9442 1 9216 4721
9216 4721 27648 14164 2 6912 3541
6912 3541 20736 10624 7 162 83
3072k + 1611: ○ // 1611 2417 1813 85
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
3072 1611 9216 4834 1 4608 2417
4608 2417 13824 7252 2 3456 1813
3456 1813 10368 5440 6 162 85
1536k + 843: ○ // 843 1265 949 89
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
1536 843 4608 2530 1 2304 1265
2304 1265 6912 3796 2 1728 949
1728 949 5184 2848 5 162 89
768k + 459: ○ // 459 689 517 97
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
768 459 2304 1378 1 1152 689
1152 689 3456 2068 2 864 517
864 517 2592 1552 4 162 97
384k + 267: ○ // 267 401 301 113
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
384 267 1152 802 1 576 401
576 401 1728 1204 2 432 301
432 301 1296 904 3 162 113
192k + 171: ○ // 171 257 193 145
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
192 171 576 514 1 288 257
288 257 864 772 2 216 193
216 193 648 580 2 162 145
因みに、(384k + 27) 型以降でモードを拡大していく過程における
分類過程のすべてが初期値下降シーケンスである保証はないが、
到達するであろうと目される 27 に対するコラッツ遷移のデータ型は、
(3458764513820540928k + 27) である。
なお、3458764513820540928 = 3 * 1152921504606846976 であり、
1152921504606846976 = 2^60 である。
このデータ型に対するコラッツ遷移は、初期値下降シーケンスとして
成り立つことを以下に示す。
すなわち、(3458764513820540928k + 27) 型は、
初期値下降シーケンスである。
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
3458764513820540928 27 10376293541461622784 82 1 5188146770730811392 41
5188146770730811392 41 15564440312192434176 124 2 3891110078048108544 31
3891110078048108544 31 11673330234144325632 94 1 5836665117072162816 47
5836665117072162816 47 17509995351216488448 142 1 8754997675608244224 71
8754997675608244224 71 26264993026824732672 214 1 13132496513412366336 107
13132496513412366336 107 39397489540237099008 322 1 19698744770118549504 161
19698744770118549504 161 59096234310355648512 484 2 14774058577588912128 121
14774058577588912128 121 44322175732766736384 364 2 11080543933191684096 91
11080543933191684096 91 33241631799575052288 274 1 16620815899787526144 137
16620815899787526144 137 49862447699362578432 412 2 12465611924840644608 103
12465611924840644608 103 37396835774521933824 310 1 18698417887260966912 155
18698417887260966912 155 56095253661782900736 466 1 28047626830891450368 233
28047626830891450368 233 84142880492674351104 700 2 21035720123168587776 175
21035720123168587776 175 63107160369505763328 526 1 31553580184752881664 263
31553580184752881664 263 94660740554258644992 790 1 47330370277129322496 395
47330370277129322496 395 141991110831387967488 1186 1 70995555415693983744 593
70995555415693983744 593 212986666247081951232 1780 2 53246666561770487808 445
53246666561770487808 445 159739999685311463424 1336 3 19967499960663932928 167
19967499960663932928 167 59902499881991798784 502 1 29951249940995899392 251
29951249940995899392 251 89853749822987698176 754 1 44926874911493849088 377
44926874911493849088 377 134780624734481547264 1132 2 33695156183620386816 283
33695156183620386816 283 101085468550861160448 850 1 50542734275430580224 425
50542734275430580224 425 151628202826291740672 1276 2 37907050706572935168 319
37907050706572935168 319 113721152119718805504 958 1 56860576059859402752 479
56860576059859402752 479 170581728179578208256 1438 1 85290864089789104128 719
85290864089789104128 719 255872592269367312384 2158 1 127936296134683656192 1079
127936296134683656192 1079 383808888404050968576 3238 1 191904444202025484288 1619
191904444202025484288 1619 575713332606076452864 4858 1 287856666303038226432 2429
287856666303038226432 2429 863569998909114679296 7288 3 107946249863639334912 911
107946249863639334912 911 323838749590918004736 2734 1 161919374795459002368 1367
161919374795459002368 1367 485758124386377007104 4102 1 242879062193188503552 2051
242879062193188503552 2051 728637186579565510656 6154 1 364318593289782755328 3077
364318593289782755328 3077 1092955779869348265984 9232 4 68309736241834266624 577
68309736241834266624 577 204929208725502799872 1732 2 51232302181375699968 433
51232302181375699968 433 153696906544127099904 1300 2 38424226636031774976 325
38424226636031774976 325 115272679908095324928 976 4 7204542494255957808 61
7204542494255957808 61 21613627482767873424 184 3 2701703435345984178 23
(B)(24k + 15) 型
(24k + 15) 型のコラッツ遷移を分類した結果を下表に示す。
これより、もし、以下のすべてのデータ型のコラッツ遷移が
初期値下降シーケンスならば、(24k + 15) 型の遷移は
初期値下降シーケンスである。
・(96k + 63)
・(192k + 111)
・(384k + 207)
・(384k + 231)
・(384k + 327)
・(768k + 423)
(凡例)
○:初期値下降シーケンスであることが確定。
?:未確認
mode: starting mode
t : starting target (i.e. initial value)
md_g: mode by g()
v_g : value by g()
ND2 : number of division by 2
r_md: mode of result
r_v : value of result
(24k + 15):
(48k + 15): // 15 23 35 53 5
(96k + 15):
(192k + 15):
(384k + 15): ○
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
384 15 1152 46 1 576 23
576 23 1728 70 1 864 35
864 35 2592 106 1 1296 53
1296 53 3888 160 4 243 10
(384k + 207):?
(192k + 111):?
(96k + 63):?
(48k + 39):
(96k + 39):?
(192k + 39):?
(384k + 39):?
(768k + 39): ○
(1536k + 39): ○ // 39 59 89 67 101 19
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
1536 39 4608 118 1 2304 59
2304 59 6912 178 1 3456 89
3456 89 10368 268 2 2592 67
2592 67 7776 202 1 3888 101
3888 101 11664 304 4 729 19
(1536k + 807): ○ // 807 1211 ... 2045 767
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
1536 807 4608 2422 1 2304 1211
2304 1211 6912 3634 1 3456 1817
3456 1817 10368 5452 2 2592 1363
2592 1363 7776 4090 1 3888 2045
3888 2045 11664 6136 3 1458 767
(768k + 423):?
(384k + 231):?
(192k + 135):?
(384k + 135): ○
(768k + 135): ○
(1536k + 135): ○ // 135 203 305 229 43
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
1536 135 4608 406 1 2304 203
2304 203 6912 610 1 3456 305
3456 305 10368 916 2 2592 229
2592 229 7776 688 4 486 43
(1536k + 903): ○ // 903 1355 2033 1525 143
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
1536 903 4608 2710 1 2304 1355
2304 1355 6912 4066 1 3456 2033
3456 2033 10368 6100 2 2592 1525
2592 1525 7776 4576 5 243 143
(768k + 519): ○ // 519 779 1169 877 329
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
768 519 2304 1558 1 1152 779
1152 779 3456 2338 1 1728 1169
1728 1169 5184 3508 2 1296 877
1296 877 3888 2632 3 486 329
(384k + 327):?
(96k + 87): ○
(192k + 87): ○
(384k + 87): ○ // 87 131 197 37
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
384 87 1152 262 1 576 131
576 131 1728 394 1 864 197
864 197 2592 592 4 162 37
(384k + 279): ○ // 279 419 629 59
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
384 279 1152 838 1 576 419
576 419 1728 1258 1 864 629
864 629 2592 1888 5 81 59
(192k + 183): ○ // 183 275 413 155
mode t md_g v_g ND2 r_md r_v
192 183 576 550 1 288 275
288 275 864 826 1 432 413
432 413 1296 1240 3 162 155
[F-4-9]コラッツ遷移方程式による無限経路の考察
無限経路に関して、コラッツ遷移方程式を利用した観点を以下に示す。
コラッツ遷移方程式に関する詳細については、以下の章を参照されたい。
・[D-7-4]コラッツ遷移方程式
(A)概要
$\forall V_0 \in N_o \gt 1$ を初期値、コラッツ遷移の途中で現れる
{$\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0$} 番目の奇数 $V_i$、分岐テーブル間遷移回数$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$、
分岐テーブル内遷移回数 $P_i \ge 1$、その総和が $\displaystyle p = {\sum_{i=1}^{n}}P_i$ である
コラッツ遷移方程式は以下である。
$\frac{V_0}{V_n} = \frac{2^p}{3^n} (1 - \frac{1}{g(V_0)}) (1 - \frac{1}{g(V_1)}) \cdots (1 - \frac{1}{g(V_{n-1})})$ ・・・ (1)
上式の右辺において、$(1 - \frac{1}{g(V_i)}) \lt 1$ である。よって、
$(1 - \frac{1}{g(V_0)}) (1 - \frac{1}{g(V_1)}) \cdots (1 - \frac{1}{g(V_{n-1})}) \lt 1$ ・・・ (2)
したがって、コラッツ遷移のすべての進行状態において、
以下の関係が成り立つ。
$\displaystyle \frac{V_0}{V_n} \lt \frac{2^p}{3^n}$ ・・・ (3)
このとき、常に $p \ge n$ である。何故ならば、コラッツ演算規則
$\forall n \in N_o\ |\ g(n) = 3n + 1$ において、演算結果は必ず偶数であり、
少なくとも1回は2による除算が可能である。
また、$V_0 \frac{3^n}{2^p}$ は、$V_n$ に対する粗い近似値である。
したがって、 n の進行に伴い、必ず p は最低でも +1 は増加する。
また、p の増加要因は他にも存在する。すなわち、
(8k + 1) 型から遷移する場合、上記の要因以外に、p は +1 増加する。
さらに、遷移元が (8k + 5) 型の場合、属する分岐テーブルグループの
従属値インデックスに従って、p は更に増加する。
式(3)で経過比率 $\displaystyle R = \frac{2^p}{3^n}$、コラッツ遷移閾値 $\displaystyle T = \frac{R}{V_0}$ とおくと、
$\displaystyle \frac{V_0}{V_n} \lt R$ ・・・ (4)
$\displaystyle V_n \gt \frac{1}{T}$ ・・・ (5)
式(5) は、$V_n$ に対する下限による近似式の表現と見做せる。
$\displaystyle V_n \gtrapprox \frac{1}{T} = \frac{V_0}{R} = V_0(\frac{3^n}{2^p})$ ・・・ (6)
(B)経過比率 R における p, n の関係
ここで、$\displaystyle \frac{2^p}{3^n} \gt 1$ の境界値を求める。
$2^p = 3^n$ を対象に、底2で両辺の対数をとると、
$p = n \log_{2} 3$
$2^p \gt 3^n$ が成立するのは、以下の条件である。
∴$\displaystyle \frac{p}{n} \gt \log_{2} 3$
なお、$\log_{2} 3 = \log_{10} 3 / \log_{10} 2 = 0.4771 / 0.3010 \fallingdotseq 1.585$ である。
この値は、$\forall n \in N_o\ |\ g(n)$ における 3n が寄与する値拡大率と
対応する。すなわち、3n に対する2進数表現における理論的な
ビット拡大率は約 1.585 である。
(C)コラッツ収束時のコラッツ遷移閾値(T)
式(5)において、$V_n = 1$ の場合、すなわち、
コラッツ収束する場合、$T \gt 1$ である。このとき、$R \gt V_0$ である。
$\displaystyle 1 \lt T = \frac{R}{V_0} \lt R = \frac{2^p}{3^n}$ ・・・ (7)
式(7)より、T には上限が存在する。[D-7-4]の結果より、
T の上限は $\frac{4}{3} \fallingdotseq 1.333$ である。また、$\displaystyle \frac{p}{n} \gt \log_{2} 3$ が成立する。
したがって、コラッツ収束する遷移における T の変化の概要は、
コラッツ収束時の値を $T_c$ とすると、$\frac{1}{V_0} → T_c (\lt 1.333)$ である。
すなわち、コラッツ収束する場合の T は、初期値$\frac{1}{V_0} \lt 1$ から、
1を超える状態まで変化する。
また、この状態は $R \gt 1$ なので、式(4)より、$V_0 \gt V_n$ である。
すなわち、$V_n$ は、初期値 $V_0$ よりも小さい。よって、
コラッツ収束する場合、$\displaystyle \frac{p}{n} \gt \log_{2} 3$ となり、1 に到達する。
(D)初期下降シーケンスの指標
$\displaystyle \frac{p}{n}$ が $\log_{2} 3$ 未満の状態から $\log_{2} 3$ 境界を通過し、
$\displaystyle \frac{p}{n} \gt \log_{2} 3$ となるとき、初期値未満の値が出現する。すなわち、
コラッツ遷移の中に、初期下降シーケンスとしての値が現れる。
コラッツ遷移において、初期下降シーケンスとしての
対象値である間は、$\displaystyle \frac{p}{n} \gt \log_{2} 3$ の状態が継続する。
すなわち、分岐テーブル内遷移回数の総和 p と
分岐テーブル間遷移回数 n の比 $\displaystyle \frac{p}{n}$ が、初期下降シーケンスの
対象値の出現を示す指標となっている。
(E)コラッツ遷移最大値の出現タイミング
(B)より、コラッツ遷移における最大値の出現タイミングは、
当然、$\displaystyle \frac{p}{n}$ が境界値 $\log_{2} 3$ を横切る最初の時点より前である。
何故ならば、コラッツ遷移における最大値が出現した以降は、
その値を上回る値は出現しないからである。
コラッツ収束に関して、$T \gt 1$ に着目して、逆の見方をすると、
式(6)より、$\frac{1}{T} (= \frac{V_0}{R})$ は $V_n$ の近似値なので、
$V_n$ が1に到達するまでは、$\frac{1}{T} \gt 1$ である。よって、
初期値 $V_0$ から出発してコラッツ収束する直前までは、$T \lt 1$
である。したがって、T が最小となる時点で、$V_i$ が最大となる。
この点については、経過比率 R は、コラッツ遷移閾値 T の
定数倍($\frac{1}{V_0}$)なので、以下と同値である。
「R が最小となる時点で、$V_i$ が最大となる。」
(F)コラッツ遷移閾値の実例
コラッツ遷移における以下の要素の相関図(例)を以下に示す。
・コラッツ遷移値($V_n$)
・コラッツ遷移閾値(T)
・コラッツ遷移の近似値($\frac{1}{T}$)
・BT 内遷移回数の総和 p とBT 間遷移回数 n の比($\frac{p}{n}$)
ただし、図における目盛は、コラッツ遷移値のみに対して有効である。
その他のグラフについての縮尺は、コラッツ遷移値の変化に合わせて、
相対的に拡縮されている。よって、対応する目盛りは各々異なる。
※初期値下降シーケンスの対象値が出現しているのは、
n = 1, 5, 6 の場合である。
このとき、$\displaystyle \frac{p}{n} \gt \log_{2} 3 \fallingdotseq 1.585$ が成り立っている。
※コラッツ遷移最大値が出現しているのは、n = 3 の場合である。
このとき、T = 0.066 であり、これは T の最小値である。
[F-5]遷移系統の逆方向展開
ここでは、コラッツ遷移系統の分岐テーブル集合を
ルートテーブルを起点に、逆方向にリンク展開する場合を考える。
[F-5-1]逆方向展開の定式化
奇数に対する逆方向遷移例(抜粋:1 ~ 63)を以下に示す。
[図F-5-1-1]奇数に対する逆方向遷移例
分岐テーブルグループ内では、(6k + 1)/(6k + 3)/(6k + 5) 型奇数の
分岐テーブルが周期的に現れる。そして、(6k + 1)/(6k + 5) 型奇数の
分岐テーブルから派生する2つの分岐テーブルの列は、端点シーケンスを
構成し、それらの2つのシーケンスとして構成される個々の要素としての
分岐テーブルグループ間には、一定の関係性が存在する。
ex. (6k + 1) 型分岐テーブルにリンクする基準値を持つ分岐テーブルの
代表値 a、(6k + 5) 型分岐テーブルにリンクする基準値を持つ
分岐テーブルの代表値を b とすると、b = 2a + 1 である
代表値の2倍関係が端点シーケンスが途切れるまで継続する。
ある分岐テーブルを起点にする場合のコラッツ遷移の関係式 $f(n)$ の
逆関数を考える。実際の分岐テーブルのリンクでは、順方向ベースで
考えた場合、リンク対象の 分岐テーブルの代表値の型には、
(6k + 1)/(6k + 5) 型の2種類がある。
以下に、ルート分岐テーブルグループを起点にした場合の
逆方向遷移例を示す。
[図F-5-1-2]#1 を起点にした場合の逆方向遷移例
(A)逆方向遷移値の分布
逆方向に展開する場合においての関係式は、それぞれの場合で
若干異なる。既に、一般式として g(n) の逆関数 r(n) = (n - 1) / 3 を
定義済みであるが、ここでは、さらに場合分けをする。
q をリンクされている側の分岐テーブルの代表値とすると、
順方向のリンク元分岐テーブルの代表値 p は n = 4q or 2q を
適用して、以下の関係式で表現できる。
(6k + 1) 型: p = (4q - 1) / 3 ・・・ (1)
(6k + 5) 型: p = (2q - 1) / 3 ・・・ (2)
なお、上式において、2q または 4q が使用されているが、
それらの係数(4 or 2)の値は、それぞれの型における
最初のリンク対象点位置である。
代表値 q は奇数なので、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, q = 2m + 1$ とおくと、
m は、奇数インデックスである。式 (1), (2) は以下となる。
(6k + 1) 型: p = (8m + 3) / 3 ・・・ (3)
(6k + 5) 型: p = (4m + 1) / 3 ・・・ (4)
上記の関係式を例示すると、以下となる。
[図F-5-1-3]コラッツ遷移系統の逆方向展開グラフ
一方、逆方向リンク n を奇数インデックス m で表現した場合の
遷移は、以下である。
(6k + 1) 型: n = 1, 7, 13, ... ⇔ m = 0, 3, 6, ...
(6k + 5) 型: n = 5, 11, 17, ... ⇔ m = 2, 5, 8, ...
逆方向リンク n に対する奇数インデックス m の一般形式は、
$\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0$ として、以下である。
(6k + 1) 型: m = 3i ・・・ (5)
(6k + 5) 型: m = 3i + 2 ・・・ (6)
式 (5), (6) を式 (3), (4) に代入すると、
(6k + 1) 型:n = (8k + 3) / 3 = (24i + 3) / 3 = 8i + 1
(6k + 5) 型:n = (4k + 1) / 3 = (12i + 9) / 3 = 4i + 3
したがって、奇数インデックス $\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0$ に対して、
自然数における奇数 $\exists n \in \mathbb{Z} \gt 0, n = 2m + 1$ が定まり、
@n のリンク基準点に対する逆方向リンク R(n) は以下である。
R(n) = \left \{ \begin{array} \\
8m + 1 & (n \equiv 1 \pmod 6) \\
4m + 3 & (n \equiv 5 \pmod 6)
\end{array}
\right.
(B)逆方向展開における (6k + 3) 型の出現傾向
上記(A)では、逆方向展開を奇数インデックス m で定式化した。
ここでは、"6k3-index"で分類した場合を考える。
分岐テーブルの代表値が a であるとき、i = (a + 3) / 6 ∈ N を
a の「6k3-index」という。ただし、i は除算の整数商である。
@aにリンクする分岐テーブルグループの基準値を b とすると、
(6k + 1)/(6k + 5) 型代表値の分岐テーブルのリンク基準点に対して、
コラッツ遷移のリンクが存在し、その関係式は以下である。
b = \left \{ \begin{array} \\
8i + 1 & (n \equiv 1 \pmod 6) \\
4i - 1 & (n \equiv 5 \pmod 6)
\end{array}
\right.
すなわち、分岐テーブルに対する逆方向リンクは、6k3-index により、
一意に定まる。
このとき、6k3-index (i) が3の倍数の場合、分岐テーブル (@a) に
リンクする分岐テーブルグループの基準値 (b) は3の奇数倍である。
以下に実例を示す。
[図F-5-1-4]逆方向展開における (6k + 3) 型の出現傾向
上図の状態に関する補足を以下に示す。
・(6k + 5) 型へリンクする遷移は、初期値上昇シーケンスとなる。
∵g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5) // (4k + 3) 型 → (6k + 5)型
・(6k + 1) 型へリンクする遷移は、初期値下降シーケンスとなる。
∵g(8k + 1) = 24k + 4 = 4(6k + 1) // (8k + 1) 型 → (6k + 1)型
・@a と #b の差分の絶対値は、6k3-index (i) の2倍である。
すなわち、|a - b| = 2i である。分岐テーブルが
(6k + 1) 型の場合、a < b、(6k + 5) 型の場合、a > b である。
(C)逆方向リンクの統一表現
前項「(B)逆方向展開における (6k + 3) 型の出現傾向」における
[図F-5-1-4]に対して、分岐テーブルの奇数インデックスを
加味すると、以下の図が得られる。
[図F-5-1-5]奇数インデックスで見た逆方向リンク
分岐テーブル @a, @b の代表値に対する奇数インデックスを
それぞれ $m_a, m_b$ とすると、
$m_a = (a - 1)/2$
$m_b = (b - 1)/2$
逆方向リンクの奇数インデックス差分を $D_m$ とすると、
$D_m = m_a - m_b = (a - b)/2$
上式を変形して整理すると、
$b = a - 2D_m$
逆方向リンクの奇数インデックス差分 $D_m$ の絶対値は、
6k3-index (i) の値と一致するので、
$b = a - 2i$ ・・・(1)
ここで、符号を与える s = a - 6i を考える。
ex. a = 5, 7 ⇒ i = 1, a = 11, 13 ⇒ i = 2
(6k + 5)型の場合は s = -1、(6k + 1) 型の場合は s = 1である。
ex1. a = 5 ⇒ s = -1, a = 7 ⇒ s = 1
ex2. a = 11 ⇒ s = -1, a = 13 ⇒ s = 1
よって、@a に対する逆方向リンク @b の関係は、
6k3-index によって、以下のように表現できる。
$b = a + 2is$ ・・・(2)
式(2)は、(6k + 1)/(6k + 5) 型の分岐テーブルに対して
個別に成り立つ式を符号 s を利用して統一した形式となっている。
[F-5-2]逆方向展開と自然数全体の包含
ここでは、コラッツ遷移系統を逆方向展開した場合、その展開範囲が
自然数全体に及ぶことを示す。すなわち、コラッツ遷移の逆方向演算 r(n) を
順次適用していった結果を考察対象とする。
ただし、分岐テーブルグループ間リンクの順序性は問わない。
以下に、コラッツ遷移の逆方向リンクに関して、3を法として、
奇数を分類した場合の抜粋(範囲:1 ~ 31)を示す。
[表F-5-2]コラッツ遷移の逆方向リンク(3n 分類)
上表と「[図F-5-1-3]コラッツ遷移系統の逆方向展開グラフ」より、
すべての (6k + 1)/(6k + 5) 型に対して、逆方向展開が可能である。
また、コラッツ遷移のすべての逆方向リンクは、
それらに対応する順方向リンクと1対1に対応する。
(A)コラッツ遷移の逆方向リンクに関する性質
以下に、上表から得られるコラッツ遷移の逆方向リンクに
関する性質を示す。以下では、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ である。
また、奇数インデックスを $\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0$ とする。
m は、$\forall n \in N_o$ に対して、$n = 2m + 1$ の関係にあり、
任意の奇数と1対1に対応している。
◆逆方向リンクは、(6k + 1)/(6k + 5) 型に適用される。
◆(6k + 1)/(6k + 5) 型に対する逆方向リンクは、
順方向リンクを逆に捉えたものなので、対応する要素は
相互に1対1に対応する。
◆3の奇数倍は、逆方向リンクの起点にならない。
(∵(6k + 3) 型分岐テーブルは、その分岐テーブルに対する
リンク対象点を持たない。)
◆(8k + 5)型(ex. 5, 13, ...)は、1対1の対応関係を持つ
逆方向リンク集合の対象外である。
◆(6k + 3) 型でない(8k + 5)型に対する逆方向リンクは1対N関係
ex. 5 ⇔ 3, 13, ...
それらは1対1対応でないが、逆方向リンクの起点に成り得る。
◆逆方向リンクの結果が (6k + 3) 型となった場合、
その要素は、該当する逆方向リンク系統の終端である。
◆BTG において、基準値と従属値全体の関係は1対Nである。
また、従属値→基準値の演算は、一意に定まる。
◆(6k + 5) 型 5, 11, 17, …に対応して、それらの逆方向リンクは、
3, 7, 11, …である。(6k + 5) 型逆方向リンクの一般形式は、
$\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0, 4n + 3$ である。
◆(6k + 1) 型 1, 7, 13, …に対応して、それらの逆方向リンクは、
1, 9, 17, … である。(6k + 1) 型逆方向リンクの一般形式は、
$\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0, 8n + 1$ である。
◆逆方向リンクにおいて連続する (6k + 1)/(6k + 5) 型に対する値を
$\forall a \in N_o, \exists b \in N_o$ とすると、b = 2a + 3 の関係がある。
(ex. 連続する奇数: (a, b) = (5, 7), (11, 13), (17, 19), ...
↓ ↓ ↓
逆方向リンク: (3, 9), (7, 17), (11, 25), ...)
◆コラッツ遷移の逆方向リンクの起点と終点は1対1に対応する。
コラッツ遷移の逆方向リンク値は、m を奇数インデックスと
した場合、「[F-5-1]逆方向展開の定式化」の結果より、
$\exists i \in \mathbb{Z} \ge 0$ に対して、以下である。
(6k + 5) type:y = 4i + 3, where m = 3i + 2 // m = 2, 5, …
(6k + 1) type:y = 8i + 1, where m = 3i // m = 0, 3, …
上記の2つの関数は1次関数なので、そのパラメタと関数値は、
1対1に対応する。よって、逆方向リンクの起点と終点は、
1対1に対応する。
上記より (6k + 5) 型に対する逆方向リンクは (4k + 3) 型なので、
8 を法として表現すれば、(8k + 3)/(8k + 7) 型のいずれかである。
従って、逆方向遷移において、リンクする (6k + 1)/(6k + 5) 型
に対する型は、(8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 7) 型のいずれかとなる。
ここで、上記の型は、(8k + 5) 型を含まない点に注意する。
一方、逆方向展開の結果として得られる
(8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 7) 型奇数の全体は、
自然数全体のそれらを漏れなく、かつ、重複なく含む。
何故なら、その生成過程で使用しているパラメタは、
(6k + 1)/(6k + 5) 型に対応する奇数インデックスから
導出されているからである。
また、(8k + 5)型の集合は、分岐テーブルグループの
従属値の集合である。よって、すべての分岐テーブルグループの
基準値と従属値を合わせて逆方向展開を実行すれば、
得られるコラッツ遷移系統は、すべての奇数を含む。
上記の結果から、逆方向リンクで得られる演算結果集合と
(8k + 5)型全体の和集合は、奇数全体の集合である。
以上の結果より、分岐テーブルグループに着目して、逆方向展開を
実行したコラッツ遷移系統全体は、すべての奇数を含む。
これらのコラッツ遷移系統全体は分岐テーブルグループ全体の
集合であり、分岐テーブル集合全体を含む。
一方、分岐テーブル集合の全体は自然数のすべての偶数を含む。
従って、すべての分岐テーブルグループに対して、
逆方向展開を実施した結果として得られるコラッツ遷移系統全体は、
すべての自然数を含む。
すなわち、この集合は無限集合であり、$\mathbb{N}$ と一致する。
なお、上記で得られた結論から、ルート分岐テーブルグループを
出発点として逆方向展開した場合に得られるコラッツ遷移系統全体が
自然数全体を含むとは必ずしも言い切れない。
何故ならば、ルート逆方向展開リンク系統以外の遷移系統が
存在する可能性が残っているからである。
(B)コラッツ遷移の逆方向リンクの最小値
コラッツ遷移の逆方向リンクの値は、前項(A)の結果より、
m を奇数インデックスとした場合、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, \exists i \in \mathbb{Z} \ge 0$
に対して、以下である。
(6k + 5) type :y = 4i + 3, where m = 3i + 2
(6k + 1) type :y = 8i + 1, where m = 3i
従って、(6k + 1)/(6k + 5) 型のいずれの場合も、i = 0 の場合が
上式において、自然数としての最小値を与える。すなわち、
(6k + 5) 型では 3、(6k + 1) 型では 1 が最小値である。
一方、3 を出発点とする奇数ベースの順方向のコラッツ遷移は、
3 → 5 → 1 である。従って、コラッツ遷移における
逆方向リンク集合全体の最小値は1である。
(C)(6k + 1)/(6k + 5) 型に対するコラッツ遷移の逆方向リンク値
コラッツ遷移の逆方向リンクの値は、m を奇数インデックス
とした場合、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, \exists i \in \mathbb{Z} \ge 0$ に対して、以下である。
(6k + 5) type :y = 4i + 3, where m = 3i + 2
(6k + 1) type :y = 8i + 1, where m = 3i
上記の2つの直線の方程式 y = 4i + 3, y = 8i + 1 において、
交点に関して調べる。
4i + 3 = 8i + 1 とおくと、$i = \frac{1}{2}$ である。
よって、2直線の交点座標は、$(i, y) = (\frac{1}{2}, 5)$ である。
それ以外の交点は存在しない。
従って、$\forall i \in \mathbb{N}$ の場合、2直線における i に対するy 座標は、
すべて異なる。すなわち、分岐テーブルグループにおいて、
連続する (6k + 1)/(6k + 5) 型に対する逆方向リンクの値は、
すべて相異なる。
(D)コラッツ遷移の逆方向リンク値の重複と漏れについて
すべての分岐テーブルグループに含まれる分岐テーブルの
代表値は、すべて、相異なる奇数である。
また、分岐テーブルの代表値が3の奇数倍である場合、
逆方向リンクする場合の起点の対象外である。
一方、前項(C)より、一つの分岐テーブルグループにおいて、
連続する (6k + 1)/(6k + 5) 型に対する逆方向リンク値は、
すべて相異なる。
従って、一つの分岐テーブルグループに含まれる各分岐テーブルの
代表値から生成される逆方向リンク値は、すべて相異なる。
また、すべて分岐テーブルグループに含まれる分岐テーブルの
代表値全体は、相異なるすべての奇数を含む。
従って、すべて分岐テーブルグループを対象とした場合、
分岐テーブルグループに含まれる分岐テーブルの代表値から
生成される逆方向リンク値は、すべて相異なり、
自然数全体の奇数を、漏れなく、かつ、重複なく含む。
[F-5-3]「逆方向遷移の起点となる分岐テーブル」は何か?
逆方向リンクの起点となる分岐テーブルの必要条件は、以下である。
(a)逆方向リンクの終点となる分岐テーブルが存在する。
(b)その分岐テーブルが他の逆方向リンクの終点とならない。
(c)分岐テーブルの代表値が (6k + 1)/(6k + 5) 型である。
条件(a)は、「[F-5-1]逆方向展開の定式化」より、
逆方向リンクを生成する以下の関数の値が任意の i に対して
確定するため、常に成り立つ。
--------------------------------------------------------------------
コラッツ遷移の逆方向リンクの値は、m を奇数インデックス
とした場合、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, \exists i \in \mathbb{Z} \ge 0$ に対して、以下である。
(6k + 5) type :y = 4i + 3, where m = 3i + 2
(6k + 1) type :y = 8i + 1, where m = 3i
--------------------------------------------------------------------
条件(b)を満たす分岐テーブルの代表値のコラッツ遷移は、
自己参照ループを形成する必要がある。これを満たす代表値は、
「[補題F-2]他の分岐テーブルへ遷移しない分岐テーブル」より、
1のみであり、該当の分岐テーブルは、ルートテーブル(@1)である。
ルートテーブルの逆方向リンクの終点は、コラッツ遷移が奇数ベースで
1 → 1 なので自己復帰型であり、ルートテーブル自身である。
なお、条件(c)において、(3n)型代表値を持つ分岐テーブルが
除外されている理由は、(3n)型分岐テーブルがリンク対象点を
持たないことによる。この点により、(3n)型分岐テーブルには、
逆方向リンクの起点が存在しない。
以下では、「[F-5-1]逆方向展開の定式化」の結果から、
逆方向リンクの起点となる分岐テーブルを考える。この方法は、
分岐テーブルグループ内の(3n + 1)/(3n + 2)型代表値を持つ
分岐テーブルが対象となるので、自動的に、条件(c)を満たす。
逆方向リンク展開の場合、(3n + 1)/(3n + 2)型で得られる
逆方向リンクのデータ形式が異なるので、それぞれの場合に分けて考える。
なお、この場合の分岐テーブルは、自己復帰型である必要がある。
何故ならば、自己復帰型でない分岐テーブルは、分岐テーブル間リンクの
一意性より、必ず他の分岐テーブルへ遷移するからである。
以下では、自己参照ループとなる場合を調べる。
(3n + 1)型の場合:
(4n - 1)/3 = n
4n - 1 = 3n
∴n = 1
よって、(3n + 1)型の場合に自己参照ループとなるのは、
分岐テーブルの代表値が1の場合である。
(3n + 2)型の場合:
(2n - 1)/3 = n
2n - 1 = 3n
∴n = -1
よって、(3n + 2)型の場合、自然数の範囲では解が存在しない。
上記の結果より、逆方向リンク展開の場合で自己参照ループとなる値は、
1のみである。したがって、逆方向リンクで自己参照ループとなる
分岐テーブルは、ルートテーブルだけである。
また、循環経路と無限経路を除いて、逆方向リンク展開の起点となり得る
分岐テーブルグループは、ルートテーブルを含むルート分岐テーブルグループ
のみである。
[F-5-4]逆方向展開時の無限経路の存在否定
任意の分岐テーブルグループから逆方向リンク展開した経路において、
その範囲内では無限経路は存在しない。
[F-5-5]逆方向展開と任意 BT への到達可能性
ここでは、ルート分岐テーブルグループ(#1)から逆方向展開
した場合、任意の分岐テーブルへ到達可能であることを示す。
議論の前提として、以下がある。
・[F-5-2]逆方向展開と自然数全体の包含
#1 から逆方向展開した場合、すべての自然数を含む。
すなわち、ルートテーブルを含む「コラッツ遷移系統」以外の
リンク系統は存在しない。
・[F-5-3]「逆方向遷移の起点となる分岐テーブル」は何か?
逆方向リンク展開の起点となる分岐テーブルグループは、
ルート分岐テーブルグループ(#1)である。
・[F-5-4]無限経路の存在否定
任意の分岐テーブルグループからから逆方向リンク展開した
経路において、無限経路は存在しない。
上記の前提から、#1 から逆方向リンク展開した場合、途中の経路を
すべて定めることが可能ならば、任意の分岐テーブルに到達可能である。
一方、コラッツ演算に対する分岐テーブル間リンクの遷移、および
分岐テーブル内遷移の逆写像(関数 r(n), h(n) の適用)は、演算関数が
自然数に対する一次関数なので、必ず演算結果の存在が保証される。
よって、逆方向リンク展開における一連の遷移は、連鎖的に
経路すべての値が確定し、途中で途切れることはない。
すなわち、任意の分岐テーブルグループから逆方向展開した場合、
途中の経路としての分岐テーブルの代表値は、すべて定まる。
これは、任意の分岐テーブルグループからの逆方向展開時に、
自然数全体が経路の対象候補となるので、適切な値が必ず存在し、かつ、
演算関数の関数値が定まることによる。
また、それらは、すべて1対1に対応する写像なので、
その合成写像として、一連の遷移の始端と終端は1対1対応となる。
これは、始端~終端間の遷移経路が紛れのない一本道となることを
意味する。
なお、この点に関してだけ言えば、順方向のコラッツ演算に関しても、
同様に成り立つ。
何故ならば、上記の論理を、逆方向展開に対応する r(n) から
g(n) に置換するだけだからである。
したがって、#1 から逆方向リンク展開した場合、無限経路である別の
リンク系統が存在しない点を考慮すると、#1 からの経路全般として、
任意の分岐テーブルへ到達可能である。
[F-5-6]逆方向展開と循環参照の存在否定
ここでは、任意の分岐テーブルグループを起点にコラッツ遷移の
リンク系統を逆方向展開した場合、分岐テーブルの代表値が
循環参照する可能性を考える。
任意の分岐テーブルグループを起点に逆方向展開した場合、
循環参照が発生しないことを示す。この結果は、順方向の遷移において、
循環参照が発生しない以下の結果と整合している。
・[D-9]循環経路の存在否定
(A)ルート BTG 起点に逆方向展開では、循環参照は発生しない。
ルート分岐テーブルグループを起点に逆方向展開した場合、
順方向遷移において、最終的に1に到達することが保証される。
よって、循環参照は存在しない。
(B)BTG を起点に逆方向展開した場合、循環参照は発生しない。
[F-5-2]より、ルート分岐テーブルグループを起点に、
BTG に着目して、逆方向展開した逆方向展開リンク系統は、
すべての自然数を含む。
ここで、任意の分岐テーブルグループを起点に逆方向展開する
場合を考える。以下では、順方向の遷移に関して、分岐テーブルの
代表値の循環参照が発生しないことを示す。
(命題)
任意の分岐テーブルグループを起点に逆方向展開した場合、
循環参照は発生しない。
ただし、#1 に属するルートテーブルを除く。
(証明)
#a を起点として、コラッツ遷移のリンク系統を、
複数回(=∀N > 0 ∈ $\mathbb{Z}$)、逆方向展開したとする。
この場合に得られる分岐テーブルの代表値は、
以下の結果より、常に、すべて相異なる。
・「[F-5-2]逆方向展開と奇数の網羅性」、(D)
ここで、現在の逆方向展開中のリンク系統に対して、
(N + 1) 回目の逆方向展開を行うものとする。
この場合、(N + 1) 回目の逆方向リンク値が既存の
逆方向展開値と同一の値になることはない。
何故ならば、逆方向展開で生成される分岐テーブルの
代表値は、既存の生成された値とは相異なる。
また、その生成された分岐テーブルの代表値を
逆方向展開した場合、常にすべて相異なるものとなる。
すなわち、新規の逆方向展開で生成される値は、
1 ~ N 回目までに逆方向展開された分岐テーブルの代表値と
同一の値になることは、分岐テーブル間リンクの一意性に
反するので矛盾である。
よって、既出の値には成り得ない。
なお、上記の場合において、分岐テーブルグループの
レベルにおける循環参照の可能性が残るが、
それが発生しないことを示す。
例として、∀a, b, ..., x ∈ $\mathbb{Z}$ > 0, #a ← #b ← $\cdots$ ← #x である
順方向のコラッツ遷移を考えると、x = a となる可能性がある。
何故ならば、a は既出の逆方向展開結果ではないからである。
以下では、分岐テーブルグループの遷移を
分岐テーブルグループの基準値を対象とする分岐テーブルの
遷移と見做す。
@a ← @b ← $\cdots$ ← @x ← @y // "←" は順方向
ただし、y からの遷移があるのは、x が (3n + 1) / (3n + 2) 型の
いずれかである。x が 3n 型の場合、リンク対象点がないので、
@x ← @y のリンクは存在しない。同様に、@x ← @a の
リンクも存在しない。従って、x が 3n 型の場合、x ≠ a である。
なお、x が(3n + 1)/(3n + 2)型の場合、
コラッツ遷移における逆方向展開の定義式から、
必ず ∃y ∈ $\mathbb{Z}$ > 0 が存在する。
既出の逆方向展開結果がリンクとして現れることがないので、
分岐テーブルの代表値に関する状況は以下である。
x ≠ {b, c, d} // {...} は、分岐テーブルの代表値の集合
よって、x = a である可能性は残る。この可能性を反映した
状況を図示すると以下となる。
ただし、x は(3n + 1)/(3n + 2)型の場合である。
→→→→→→→→→→→→→→
↑ ↓
@a ← @b ← $\cdots$ ← @x ← @y
一方、分岐テーブルグループの基準値がリンクする先の
分岐テーブルのリンク対象点は、リンク先分岐テーブルの
リンク基準点である。
また、分岐テーブル間リンクの一意性より、同一の
リンク対象点に対してリンクする分岐テーブルの個数は
常に 1 である。
上図では、 @x における最初のリンク対象点に、
@a と @y がリンクしており、分岐テーブル間リンクが
複数存在するので矛盾である。
よって、x ≠ a であり、x = a となる可能性は無い。
したがって、任意の分岐テーブルグループを起点に
逆方向展開した場合、順方向の遷移において、
循環参照は発生しない。
□
以上の結果より、逆方向展開されたすべてのリンク系統において、
分岐テーブルの代表値の循環参照は発生しない。
[G]分岐テーブル内の遷移
分岐テーブル内の数値を辿ることを、以降、「遷移」という。
分岐テーブル内の遷移は、コラッツ予想において、数値が偶数の場合における
関数 h(n) = n / 2 の演算に対応するものである。
分岐テーブル内のある要素を起点とした場合、一般に2つの方向がある。
ここでは、分岐テーブルの基準点である奇数を除いた場合を考える。
すなわち、分岐テーブル内の偶数のみを対象とする。
注目点の半分の数値に遷移する場合を”順方向”とする。
注目点の2倍の数値に遷移する場合を”逆方向”とする。
また、分岐テーブル内におけるリンク対象点の3の除算による余りの
分類型に関して、分岐テーブル内の配置順序には規則がある。
リンク基準点の3の除算による余りの分類型は、分岐テーブル毎に異なる。
しかし、リンク基準点に続くリンク対象点の3の除算による余りの分類型は
確定し、必ず(3n)型/(3n + 1)型/(3n + 2)型の順序が周期的に現れる。
以下に、実例による分岐テーブル内の3の除算による余りの型分類の
存在パターンを示す。
[H]分岐テーブル間のリンク
経路テーブルにおける構成要素としての分岐テーブル間の関係性として、
論理的な経路である「リンク」を定義する。
リンクは、分岐テーブル間での相互の移動先を与えるものである。
よって、2つの分岐テーブル間の要素を辿ることも、”遷移”という。
分岐テーブル間のリンクを介した遷移は、コラッツ予想において、
数値が奇数の場合における関数 f(n) = 3n + 1 の演算に対応するものである。
奇数に対するコラッツ関数 f(n) の演算結果は偶数となる。
これは、分岐テーブル間を遷移した直後の遷移が分岐テーブル内の領域で
行われることを示しており、分岐テーブルを基本とした経路テーブル全体の
構造となっている。
ある分岐テーブル @a の先頭要素である奇数 $n \in \mathbb{Z} \gt 0$ に対する(3n + 1)を
$v \in N_e$ とする。v と一致する要素が存在する分岐テーブルを @b とする。
この場合、@a は @b の v へ論理的遷移が可能なリンクが存在している
ものとする。
リンクに対する遷移は双方向なので、遷移の方向性として、
”順方向”/”逆方向”を以下のように定義する。
遷移元の要素 $n \in \mathbb{Z} \gt 0$ に対して、遷移先の要素が (3n + 1) の
対応関係がある場合、”順方向”遷移の経路があるものとする。
逆に、分岐テーブル上の偶数要素 $\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, v = 6m + 4$ に対し、
(v - 1) / 3 = 2m + 1 の対応関係がある場合、リンク対象点(6m + 4)を起点とし、
分岐テーブルの代表値(2m + 1)を終点とする”逆方向”遷移の経路があるものとする。
なお、m は、奇数インデックスである。
分岐テーブルの例として、関連する2つを以下に示す。
--------------------------------
奇数(起点)| 分岐シーケンス
--------------------------------
3 | 3, 6,12,...
5 | 5,10,20,...
--------------------------------
上記の例(奇数 3, 5)に対して、リンク関係は以下となる。
--------------------------------
代表値 | 分岐テーブル
--------------------------------
3 | 3 6 12 ...
| ↑
| ↓
5 | 5 10 20 ...
--------------------------------
(∵ f(3) = 3*3 + 1 = 10)
すなわち、上記において、@3 の先頭要素 3 が、@5 の2番目の要素 10 とリンクする。
この場合、3 → 10 の遷移が”順方向”である。また、10 → 3 の遷移が”逆方向”である。
コラッツ予想では、この定義における順方向のみを対象としている。
なお、分岐テーブルは、複数のリンク先となる要素を持つ。
これは、分岐テーブル内に(6m + 4)形式となる複数の偶数項が内在することによる。
[H-1]リンクの対象点と基準点
分岐テーブルの偶数に対し、他の分岐テーブルからリンクが発生する。
他の分岐テーブルからのリンク先となる偶数を「リンク対象点」という。
ただし、リンク対象点は値の昇順に並んでいるものと見做す。
リンク対象点のデータ型は、(6m + 4)型である。
また、分岐テーブルのリンク対象点において、最も代表値に近い
リンク対象点を「リンク基準点」という。すなわち、分岐テーブル内の
最小値であるリンク対象点がリンク基準点である。
リンク基準点は、代表値が(3n + 1)型と(3n + 2)型では、
代表値 a から見た場合の位置が異なる。
(3n + 1)型では、2番目の偶数 4a がリンク基準点となる。また、
(3n + 2)型では、最初の偶数 2a がリンク基準点となる。
リンク基準点を b とすると、リンク対象点は b, 4b, 16b, ...となる。
すなわち、隣り合うリンク対象点の値は、値が小さい方の値を
v とすると、次のリンク対象点の値は、4v である。すなわち、
4の倍数関係となっている。
この関係を4の冪乗値の指数で見ると、隣り合うリンク対象点の値は、
値が小さい方のリンク対象点の4の冪乗値の指数を c とすると、
次のリンク対象点の4の冪乗値の指数は、c + 1 である。
この関係を2の冪乗値の指数で見ると、隣り合うリンク対象点の値は、
値が小さい方のリンク対象点の2の冪乗値の指数を c とすると、
次のリンク対象点の2の冪乗値の指数は、c + 2 である。
以下に、リンク対象点とリンク基準点の具体例(ex. @7 )を示す。
@7 は、(3n + 1)型の代表値を持つ分岐テーブルである。
(分岐テーブルのリンク対象点の例:代表値7)
-----------------------------
2の冪乗指数 | 0 1 2 3 4 ...
代表値ベース | a 2a 4a 8a 16a ...
具体値 | 7 14 28 56 112 ...
-----------------------------
* +
-----------------------------
※上記では、*がリンク基準点、+が2番目のリンク対象点
※最初のリンク対象点に 9、2番目のリンク対象点に 37 がリンク
∵ 28 = 3 * 9 + 1, 112 = 3 * 37 + 1
また、リンク対象点とリンク基準点の具体例(@5 の場合)を以下に示す。
@5 は、(3n + 2)型の代表値を持つ分岐テーブルである。
(分岐テーブルのリンク対象点の例:代表値7)
-----------------------------
2の冪乗指数 | 0 1 2 3 4 ...
代表値ベース | a 2a 4a 8a 16a ...
具体値 | 5 10 20 40 80 ...
-----------------------------
* +
-----------------------------
※上記では、*がリンク基準点、+が2番目のリンク対象点
※最初のリンク対象点に 3、2番目のリンク対象点に 13 がリンク
∵ 10 = 3 * 3 + 1, 40 = 3 * 13 + 1
以下に、分岐テーブル、分岐テーブルグループ、リンク関係に
着目した場合におけるコラッツ遷移系統の終着点付近の概要を示す。
[図H-1]コラッツ遷移系統(概要)
コラッツ遷移系統は、分岐テーブルを要素とする二分木で一意に
表される。そして、系統図の分岐点にリンクする分岐テーブルの
代表値間の関係として、分岐テーブルグループを構成する。
なお、代表値が(3*奇数)である分岐テーブルは、その要素である
偶数に対して、分岐テーブルがリンクしない。(ex. 3,6,12,24,...)
よって、代表値が3の奇数倍である分岐テーブルの分岐点は、
リンク対象外である。
この点に関する証明を以下の補題で扱っている。
・[補題B-7]3 の奇数倍はコラッツ遷移の対象外
[H-1-1]分岐点について
分岐テーブルにおける分岐点の値は、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0,\ 6m + 4$ である。
何故ならば、分岐点は、分岐テーブルの代表値 a に対して、
g(n) = 3n + 1 の演算結果としての値を持つ。
よって、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0,\ a = 2m + 1$ とおくと、以下で得られる。
3a + 1 = 3(2m + 1) + 1 = 6m + 4 = 2(3m + 2)
6m + 4 は、偶数なのでであり、直ちに、関数 h の演算対象となる。
また、この関係は、分岐テーブルの代表値が(3n + 2)型の場合、
分岐点と代表値が直結することを示している。
すなわち、リンク先分岐テーブルの代表値が(3n + 2)型の場合、
その分岐テーブルの最初の要素がリンク基準点となる。
一方、リンク先分岐テーブルの代表値 a が(3n + 1)型の場合、
a = 3m + 1 とおくと、(3n + 1)型代表値の分岐テーブルの
最初の偶数要素は、(6m + 2)型である。
∵2a = 2(3m + 1) = 6m + 2
(6m + 2)型の偶数要素をさらに2倍して(3n + 1)型代表値の
分岐テーブルの2番目の偶数要素を求めると、2(6m + 2) = 6(2m) + 4
なので、(6m + 4)型となる。
よって、(3n + 1)型代表値の分岐テーブルの最初のリンク基準点は、
その分岐テーブルの2番目であることがわかる。
別の観点で言い換えると、分岐テーブル内に含まれる偶数は、
リンク対象点でない場合、そのデータ形式の一般形は、
$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0,\ 6m + 2$ である。
[H-1-2](リンク対象点~代表値~最初の分岐点)関係
分岐テーブルの代表値を a とした場合、リンク対象点は g(a) = 3a + 1 である。
また、分岐テーブルの最初の分岐点は、分岐テーブルの代表値の型が
(3n + 1)型の場合は 4a、(3n + 2)型の場合は 2a である。
一般に、(リンク対象点~代表値~最初の分岐点)の間には以下の関係がある。
(3n + 1) 型:<リンク対象点> = 1 + <最初の分岐点> - <代表値>$\cdots$ (1)
(3n + 2) 型:<リンク対象点> = 1 + <最初の分岐点> + <代表値>$\cdots$ (2)
(証明)
代表値の型は、(3n + 1) 型または (3n + 2) 型のいずれであるので、
それぞれの場合に分けて、以降に示す。
ここでは、<代表値> = a、<リンク対象点> = 3a + 1 とする。
(3n + 1)型の場合:
この場合、<最初の分岐点> = 4a である。
これらの値を式(1)に代入して妥当性を確認する。
1 + <最初の分岐点> - <代表値>
= 1 + 4a - a = 3a + 1 = <リンク対象点>
よって、式(1)は成り立つ。
(3n + 2)型の場合:
この場合、<最初の分岐点> = 2a である。
これらの値を式(2)に代入して妥当性を確認する。
1 + <最初の分岐点> + <代表値>
= 1 + 2a + a = 3a + 1 = <リンク対象点>
よって、式(2)は成り立つ。
上記より、すべての場合で成り立つことが示された。
よって、命題は成り立つ。
□
以下に、上記の関係式の実例を示す。
◆代表値が(3n + 1)型の場合の例:
ex. @7 : 22 = 1 + 28 - 7
ex. @13 : 40 = 1 + 52 - 13
ex. @85 : 256 = 1 + 340 - 85
◆代表値が(3n + 2)型の場合の例:
ex. @11: 34 = 1 + 22 + 11
ex. @17: 52 = 1 + 34 + 17
ex. @53: 160 = 1 + 106 + 53
以下に、コラッツ遷移系統に対して、分岐点に着目した場合の
参考図を示す。
[H-2]BT 間リンクの関係式
分岐テーブル間リンクの関係式をパターン別に整理した結果を以下に示す。
ここでのパターンには、代表値に対する3による除算の余りを使用する。
[H-2-1]リンク状態の定義
以下に、代表値が異なる複数の分岐テーブル @a, @b, @c を
以下に定義し、考察のベースとする。
ただし、a,b,c: 奇数である自然数とする。
・@a:(a,2a,4a,8a,...)
・@b:(b,2b,4b,8b,...)
・@c:(c,2c,4c,8c,...)
・a ≠ b, a ≠ c, b ≠ c
・a > 2, b > 3, c > 3
・b, c は、3の奇数倍ではない。
@a から順方向へ複数のリンクが継続し、@a → @b→ @c
となっている状態を仮定する。
@a → @bの関係は、以下である。
$\exists n \in \mathbb{Z} \gt 0,\ 3a + 1 = b(2^n)$ ・・・(H-3-1)
@b→ @c の関係は、以下である。
$\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0,\ 3b + 1 = c(2^m)$ ・・・(H-3-2)
@c → @d の関係は、以下である。
$\exists l \in \mathbb{Z} \gt 0,\ 3c + 1 = d(2^l)$ ・・・(H-3-3)
リンク対象の分岐テーブルが(3n + 2)型の場合、
リンク基準点は、最初の偶数である。
リンク対象の分岐テーブルが(3n + 1)型の場合、
リンク基準点は、2番目の偶数である。
2番目以降のリンク対象点にリンクする場合、
該当するリンク対象点の値は、直前のリンク対象点の値の4倍となる。
リンク基準点との関係で見た場合、リンク基準点の値を B とすると、
該当するリンク対象点の値は、B(4^i) である。
ただし、i は 0 相対のリンク対象点インデックスである。
[H-2-2]2つの BT 間
2つの分岐テーブル間(@a → @b)の関係式を以下に示す。
[H-2-2-1]@bが(3n + 1)型の場合(Top of n = 2)
@a が @bのリンク基準点にリンクする場合、
式(H-3-1)では、n = 2 である。
よって、@a → @bの関係は、以下となる。
3a + 1 = 4b
@a が @bの2番目のリンク対象点にリンクする場合、
式(H-3-1)では、n = 4 である。
よって、@a → @bの関係は、以下となる。
3a + 1 = 16b
@a が @bの3番目以降のリンク対象点にリンクする場合、
式(H-3-1)では、n = 6, 8, ...となる。
[H-2-2-2]@bが(3n + 2)型の場合(Top of n = 1)
@a が @bのリンク基準点にリンクする場合、
式(H-3-1)では、n = 1 である。
よって、@a → @bの関係は、以下となる。
3a + 1 = 2b
@a が @bの2番目のリンク対象点にリンクする場合、
式(H-3-1)では、n = 3 である。
よって、@a → @bの関係は、以下となる。
3a + 1 = 8b
@a が @bの3番目以降のリンク対象点にリンクする場合、
式(H-3-1)では、n = 5, 7, ...となる。
[H-2-3]3つの BT 間
3つの分岐テーブル間(@a → @b→ @c)の
関係式を以下に示す。
式(H-3-1)の両辺を3倍した結果を式(H-3-2)に代入すると、
3(3a + 1) = (2^n)(c(2^m) - 1) ・・・(H-3-4)
@b, @c の3による除算の余りのタイプ(3n + 1/3n + 2 型)
により、それぞれ関係式が異なる結果となる。
[H-2-3-1]@bが(3n + 1)型の場合(Top of n = 2)
@c のパターンにより、2つの場合に分けて、以下に示す。
[H-2-3-1-1]@c が(3n + 1)型の場合(Top of m = 2)
(m = 2 の場合)タイプ№=1-1-1-1:(3n + 1) 型→(3n + 1) 型
3(3a + 1) = 4(4c - 1) ・・・(H-3-4-2-2)
9a + 3 = 16c - 4
16c = 9a + 7
∴c = (9a + 7) / 16
この場合の例として、@33 → @25 → @19 がある。
上式に a = 33 を代入すると、以下となる。
(9a + 7) / 16 = (9*33 + 7) / 16 = 304 / 16 = 19
[H-2-3-1-2]@c が(3n + 2)型の場合(Top of m = 1)
(m = 1 の場合)タイプ№=1-2-1-1:(3n + 1) 型→(3n + 2) 型
3(3a + 1) = 4(2c - 1) ・・・(H-3-4-2-1)
9a + 3 = 8c - 4
8c = 9a + 7
∴c = (9a + 7) / 8
この場合の例として、@9 → @7 → @11 がある。
上式に a = 9 を代入すると、以下となる。
(9a + 7) / 8 = (9*9 + 7) / 8 = 88 / 8 = 11
[H-2-3-2]@bが(3n + 2)型の場合(Top of n = 1)
@c のパターンにより、2つの場合に分けて、以下に示す。
[H-2-3-2-1]@c が(3n + 1)型の場合(Top of m = 2)
(m = 2 の場合)タイプ№=2-1-1-1:(3n + 2) 型→(3n + 1) 型
3(3a + 1) = 2(4c - 1) ・・・(H-3-4-1-2)
9a + 3 = 8c - 2
8c = 9a + 5
∴c = (9a + 5) / 8
この場合の例として、@11 → @17 → @13 がある。
上式に a = 11 を代入すると、以下となる。
(9a + 5) / 8 = (9*11 + 5) / 8 = 104 / 8 = 13
[H-2-3-2-2]@c が(3n + 2)型の場合(Top of m = 1)
(m = 1 の場合)タイプ№=2-2-1-1:(3n + 2) 型→(3n + 2) 型
3(3a + 1) = 2(2c - 1) ・・・(H-3-4-1-1)
9a + 3 = 4c - 2
4c = 9a + 5
∴c = (9a + 5) / 4
この場合の例として、@23 → @35 → @53 がある。
上式に a = 23 を代入すると、以下となる。
(9a + 5) / 4 = (9*23 + 5) / 4 = 212 / 4 = 53
[H-2-4](8k + 5)型 BT へのリンク
分岐テーブルグループの従属値は(8k + 5)型である。
以下に、従属値を代表値とする分岐テーブルにリンクする分岐テーブルの
代表値の一覧(抜粋)を示す。
■(8k + 5) 型へ遷移するデータ型
(8k + 5) 型へコラッツ遷移するデータ型は、複数存在する。
それらには、基本形(mode: a, value: b, $\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, ak + b$)が存在し、
その基本形に対して、mode を4倍、value を (4n + 1) 倍することにより、
派生するデータ型((4a)k + (4v + 1))が得られる。
ex. 基本形 が 16k + 3 の場合、派生型の一つは 64k + 13 である。
value 部分は、分岐テーブルグループの2つの要素間の対応関係に等しい。
基本形から得られた派生型からは、さらに連鎖的に新たな派生型が得られる。
◆(16k + 3) 型
16k + 3 // 基本形(3 → 5)
64k + 13
256k + 53
1024k + 213
・・・
◆(32k + 17) 型
32k + 17 // 基本形(17 → 13)
128k + 69
512k + 277
・・・
◆(64k + 35) 型 // (32k + 17) 型の(2n + 1)倍
64k + 35 // 基本形(35 → 53)
256k + 141
1024k + 565 //
・・・
◆(128k + 113) 型
128k + 113 // 基本形(113 → 85)
512k + 453
2048k + 1813
・・・
[H-3]コラッツ遷移
コラッツ遷移に関する調査結果を以下に示す。
[H-3-1](8k + α) 型遷移
奇数ベースのコラッツ遷移において、8を法として奇数を分類した場合、
剰余 α は{1, 3, 5, 7}のいずれかとなる。ここでは、これらの場合を
総称して、(8k + α)型という。
ここでのすべてのパターンとは、以下のいずれかである。
・(8k + 1)型
・(8k + 3)型
・(8k + 5)型
・(8k + 7)型
コラッツ遷移のデータ型を全て(8k + α)型と見做した場合の変化を
以下に示す。ただし、#1 に属する代表値に関しては、この分類では、
式展開が完結しない。しかし、式展開が完了しない部分については、
式展開をより継続した場合、(8k + 5)型として同様の結果となる。
すなわち、(8k + 5)型は(8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 5)/(8k + 7)型の
いずれかに遷移する。
◆(8k + 1):To (8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 5)/(8k + 7) // ↓
g(32k + 1) = 4(24k + 1) // To (8k + 1); ex. 1 → 1, 33 → 25
g(32k + 9) = 4(24k + 7) // To (8k + 7); ex. 9 → 7, 41 → 31
g(32k + 17) = 4(24k + 13) // To (8k + 5); ex. 17 → 13, 49 → 37
g(32k + 25) = 4(24k + 19) // To (8k + 3); ex. 25 → 19, 57 → 43
◆(8k + 3):To (8k + 1)/(8k + 5) // ↑
g(16k + 3) = 2(24k + 5) // To (8k + 5); ex. 3 → 5, 19 → 29
g(16k + 11) = 2(24k + 17) // To (8k + 1); ex. 11 → 17, 27 → 41
◆(8k + 7):To (8k + 3)/(8k + 7) // ↑
g(16k + 7) = 2(24k + 11) // To (8k + 3); ex. 7 → 11, 23 → 35
g(16k + 15) = 2(24k + 23) // To (8k + 7); ex. 15 → 23, 31 → 47
◆(8k + 5):To (8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 5)/(8k + 7) // ↓
○g(16k + 5) = 16(3k + 1)
g(32k + 5) = 16(6k + 1)
g(128k + 5) = 16(24k + 1) // To (8k + 1); ex. 5 → 1
g(128k + 37) = 16(24k + 7) // To (8k + 7); ex. 37 → 7
g(128k + 69) = 16(24k + 13) // To (8k + 5); ex. 69 → 13
g(128k + 101) = 16(24k + 19) // To (8k + 3); ex. 101 → 19
g(32k + 21) = 32(3k + 2)
g(64k + 21) = 64(3k + 1)
g(128k + 21) = 64(6k + 1)
g(512k + 21) = 64(24k + 1) // To (8k + 1); ex. 21 → 1
g(512k + 149) = 64(24k + 7) // To (8k + 7); ex. 149 → 7
g(512k + 277) = 64(24k + 13) // To (8k + 5); ex. 277 → 13
g(512k + 405) = 64(24k + 19) // To (8k + 3); ex. 405 → 19
g(128k + 85) = 128(3k + 2)
g(256k + 85) = 256(3k + 1)
g(2048k + 85) = 256(24k + 1) // To (8k + 1); ex. 85 → 1
g(2048k + 597) = 256(24k + 7) // To (8k + 7); ex. 597 → 7
g(2048k + 1109) = 256(24k + 13) // To (8k + 5); ex. 1109→13
g(2048k + 1621) = 256(24k + 19) // To (8k + 3); ex. 1621→19
★ g(512k + 341) = 1536k + 1024 = 512(3k + 2)
・・・ // continue to expand formulas
// going to (8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 5)/(8k + 7)
g(256k + 213) = 128(6k + 5)
g(1024k + 213) = 128(24k + 5) // To (8k + 5); ex. 213 → 5
g(1024k + 469) = 128(24k + 11)// To (8k + 3); ex. 469 → 11
g(1024k + 725) = 128(24k + 17)// To (8k + 1); ex. 725 → 17
g(1024k + 981) = 128(24k + 23)// To (8k + 7); ex. 981 → 23
g(64k + 53) = 32(6k + 5)
g(256k + 53) = 32(24k + 5) // To (8k + 5); ex. 53 → 5
g(256k + 117) = 32(24k + 11) // To (8k + 3); ex. 117 → 11
g(256k + 181) = 32(24k + 17) // To (8k + 1); ex. 181 → 17
g(256k + 245) = 32(24k + 23) // To (8k + 7); ex. 245 → 23
○g(16k + 13) = 8(6k + 5)
g(64k + 13) = 8(24k + 5) // To (8k + 5); ex. 13 → 5
g(64k + 29) = 8(24k + 11) // To (8k + 3); ex. 29 → 11
g(64k + 45) = 8(24k + 17) // To (8k + 1); ex. 45 → 17
g(64k + 61) = 8(24k + 23) // To (8k + 7); ex. 61 → 23
上記の遷移関係を整理すると、以下のパターンとなる。
◆(8k + 1)/(8k + 5)型展開は、すべてのパターンに変化する。
◆(8k + 3)型展開は一方通行で、必ず (4k + 1)型となる。すなわち、
”(8k + 3) → (8k + 1)” または ”(8k + 3) → (8k + 5)”である。
より具体的には、以下である。
・(16k + 3) → (8k + 5)
・(16k + 11) → (8k + 1)
◆(8k + 7)型展開は、”(8k + 7) → (8k + 3)” または
”(8k + 7) → (8k + 7)”である。
◆同一のデータ型が継続するパターンは、以下である。
・(8k + 1) → (8k + 1)
・(8k + 5) → (8k + 5)
・(8k + 7) → (8k + 7)(※最終的に (8k + 3)型へ変化する)
コラッツ遷移におけるデータ型の変化の概要を以下に示す。
ただし、{} 内は省略可である。
{{{(8k + 7) → ・・・ →} (8k + 7)→} (8k + 3)→ } (8k + 1) → (8k + 1)
→ (8k + 3)
→ (8k + 5)
→ (8k + 7)
{{{(8k + 7) → ・・・ →} (8k + 7)→} (8k + 3)→ } (8k + 5) → (8k + 1)
→ (8k + 3)
→ (8k + 5)
→ (8k + 7)
[H-3-2](4k + 3) 型遷移
(4k + 3)型奇数は、8を法として分類すると、(8k + 3)/(8k + 7)型の
いずれかである。
(4k + 3) 型に対するコラッツ遷移は、(8k + 3) 型、または (8k + 7)型の
奇数を初期値として、最終的には必ず (4k + 1) 型に到達する。
(8k + 3) 型奇数が初期値である場合、直ちに (4k + 1) 型に遷移する。
(8k + 3) → (4k + 1) // ∵g(8k + 3) = 2(12k + 5) = 2(4(3k + 1) + 1)
(8k + 7) 型が初期値である場合の遷移過程(概要)を以下に示す。
(8k + 7) → ・・・ → (8k + 7) → (8k + 3) → (4k + 1)
この場合、1回以上の (8k + 7) 型が現れ、その後に (8k + 3) 型と
(4k + 1) 型が続く。(8k + 7) 型が連続する部分を詳細に示すと、
下記のような進行となっている。{} 部分は省略可能であり、可変である。
{{{{{・・・→}(128k+63)→}(64k+31)→}(32k+15)→}(16k+7)→}(8k+3)→(4k+1)
ただし、上記の遷移において、各項の k は一般に値が異なる。
[表H-3-1]に、(4k + 3)型奇数に対するコラッツ遷移が
(4k + 1)型に到達するまでの過程における2項間のコラッツ演算の
関係を示す。なお、表内における型の列挙は発生順序とは逆順としている。
[表H-3-1](4k + 3)型コラッツ遷移(~ (4k + 1)型)
type | next type | Collatz transitions for odd numbers | remarks |
---|---|---|---|
4k+1 | - | (4k+1)→(3k+1) | 2^1-1 |
8k+3 | 4k+1 | (8k+3)→(12k+5)=4(3k+1)+1 | 2^1-1 |
8k+7 | 8k+3 | (16k+7)→(24k+11)=8(3k+1)+3 | 2^2-1 |
8k+7 | 16k+7 | (32k+15)→(48k+23)=16(3k+1)+7 | 2^3-1 |
8k+7 | 32k+15 | (64k+31)→(96k+47)=32(3k+1)+15 | 2^4-1 |
8k+7 | 64k+31 | (128k+63)→(192k+95)=64(3k+1)+31 | 2^5-1 |
8k+7 | 128k+63 | (256k+127)→(384k+191)=128(3k+1)+63 | 2^6-1 |
$\cdots$ | $\cdots$ | $\cdots$ | $\cdots$ |
上表をメルセンヌ数と g() を用いて書き直すと、以下となる。
index | from→to | transitions for odd numbers | settings |
---|---|---|---|
0 | 4k+1→3k+1 | $(2^2k_0+M_1)→g(k_0)$ | $k_0=g(k_1)$ |
1 | 8k+3→4k+1 | $(2^3k_1+M_2)→2^2g(k_1)+M_1$ | $k_1=g(k_2)$ |
2 | 16k+7→8k+3 | $(2^4k_2+M_3)→2^3g(k_2)+M_2$ | $k_2=g(k_3)$ |
3 | 32k+15→16k+7 | $(2^5k_3+M_4)→2^4g(k_3)+M_3$ | $k_3=g(k_4)$ |
4 | 64k+31→32k+15 | $(2^6k_4+M_5)→2^5g(k_4)+M_4$ | $k_4=g(k_5)$ |
5 | 128k+63→64k+31 | $(2^7k_5+M_6)→2^6g(k_5)+M_5$ | $k_5=g(k_6)$ |
6 | 256k+127→128k+63 | $(2^8k_6+M_7)→2^7g(k_6)+M_6$ | $k_6=g(k_7)$ |
$\cdots$ | $\cdots$ | $\cdots$ | $\cdots$ |
なお、メルセンヌ数の一部を以下に示す。
$M_1=1, M_2=3, M_3=7, M_4=15, M_5=31, M_6=63, \cdots$
以下に、(4k + 3)型奇数の遷移例(1 ~ 63)を示す。
[図H-3-1](4k + 3)型コラッツ遷移(1~63)
[表H-3-1]より、(4k + 3)型コラッツ遷移には、以下に示す
特徴があることがわかる。
◆(4k + 3)型コラッツ遷移では、隣接する2項のデータ型は
奇数の2倍関係となる。(ex. 2(8k + 3) + 1 = 16k + 7)
◆(4k + 3)型奇数のデータ型別連続数
(4k + 3)型を初期値とするコラッツ遷移において、
(4k + 3)型が連続して出現する個数は以下となっている。
(※詳細は、[図H-3-1]を参照。)
(8k + 3)型:1
(16k + 7)型:2
(32k + 15)型:3
(64k + 31)型:4
(128k + 63)型:5
(256k + 127)型:6
・・・
◆(4k + 3)型コラッツ遷移では、(4k + 3)型が連続する場合、
各データ型の値部分(ex. 3, 7, ...)はメルセンヌ数である。
◆(4k + 3)型のモード部分を除く各項の値部分はメルセンヌ数
なので、初期値におけるモード部分の2の冪乗の指数を
n > 0 とすると、(n - 1) 個の(4k + 3)型が継続する。
(ex. 初期値 7 (= 2^3 - 1) の場合、7 → 11 → 17 なので、
(4k + 3)型の連続数は、7 と 11 である 2 個 (= 3 - 1))
従って、(4k + 3)型のモード部分を除く各項の値部分が
メルセンヌ数の場合、コラッツ遷移における(4k + 3)型の
連続数を予測可能である。
[I]分岐テーブル間リンクの関係性
分岐テーブル間のリンクと遷移、分岐テーブルグループの
関係性を以下に示す。
分岐テーブル間リンクには一定の関係性がある。この点は単に
分岐テーブルを並べて図示するだけでは気付き難い、隠れた構造である。
この点については、「[I-4]BTG の関係」で示している。
[I-1]概要
ある分岐テーブルの代表値を n (n: 自然数 > 0、n: 奇数)とすると、
その分岐テーブルに対するリンク対象(偶数)は、必ず存在する。
何故ならば、自然数全体では、3n + 1 となる偶数は必ず存在し、かつ、
経路テーブルは、分岐テーブルの集合体として、すべての偶数を
含むからである。
このことより、経路テーブルにおいて、(3n + 1)の関係性を持つ
要素を含む分岐テーブル同士は必ずリンクする。
また、[補題D-1]より、ある特定の2つの分岐テーブル間を結ぶ
リンクは、経路テーブル内で一意に定まる。
[I-2]BTG 単位のリンク一意性
ここでは、分岐テーブルグループ単位のリンク一意性を考察する。
あるリンク対象の分岐テーブル @c が存在する場合において、
@c のリンク基準点にリンクする分岐テーブルを @a とすると、
@a が所属する分岐テーブルグループのその他の代表値は、
@(4a + 1), @(16a + 5), ... となる。
リンク対象の分岐テーブルが存在する場合において、所定の正規である
リンク元である分岐テーブルグループに所属する分岐テーブル以外は、
リンク対象の分岐テーブルにリンクできない。
ただし、ルートテーブルは対象外とする。
以下に、@c をリンク対象の分岐テーブルとした場合の例を示す。
この場合の一般的な定義と関連条件は以下である。
・c > 3 は奇数、かつ、3の奇数倍ではない。
・#A[n]:正規のリンク元である BTG であり、その基準値は n
・#B[m]:非正規リンク元である BTG であり、その基準値は m
・m ≠ n
上記の条件を適用した実例の一つは以下である。
・リンク対象の分岐テーブル:@17
・#A[n]:@11, @45, ... // 正規のリンク元(ex. 45=4*11 + 1)
・#B[m]:@7, @29, ... // 非正規リンク元
ある分岐テーブル @a に対して、異なる分岐テーブルからの
複数のリンクが存在する場合、そのリンク元の分岐テーブルが
所属する分岐テーブルグループ #b が存在する。
この場合、#b に所属しない他の分岐テーブルは、 @a に
リンクできない。[補題G-5]で、この点に関して証明している。
[I-3]BTG 内での同一データ型に関する対応関係
分岐テーブルグループ内での同一データ型に対するモードと余りの
対応関係を以下に示す。
分岐テーブルグループの隣接する要素間の値は、基準値または
基準値に近い側の値を n とすると、(4n + 1) 関係にある。
この対応関係をデータ型 (ak + b, ck + d) の観点で見ると、
c = 4a, d = 4b + 1 である。
この意味で、隣接する同一データ型間の関係は、
分岐テーブルグループ内で常に成り立つ。
また、この関係を同一データ型 (ak + b, ck + d) の観点で見ると、
c = 64a, d = 64b + 21 である。
下図における 1 と 85 を例とすると、256 = 4 * 64, 85 = 4 * 21 + 1
となっている。
[I-4]BTG の関係
ある一つの分岐テーブルグループに着目した場合、
着目した分岐テーブルグループ内の分岐テーブルは、除数6による余りの
分類による奇数のデータ型(6k + 1/6k + 3/6k + 5)の代表値を持つ
分岐テーブルが周期的に現れる。
これらの分岐テーブルにリンクする分岐テーブルの代表値間には、
以下の関係がある。
■同一の分岐テーブルグループにおいて、隣接する
(6k + 1) 型と (6k + 5) 型分岐テーブルにリンクする代表値は、
リンクする (6k + 1) 型分岐テーブル代表値を a、
(6k + 5) 型分岐テーブルの代表値を b とすると、
以下の関係がある。
b = 2a + 1
ex. In #3, @17 → @13, @35 → @53.
If a = 17 and b = 35, then 35 = 2 * 17 + 1.
■同一の分岐テーブルグループ内において、3の奇数倍を挟んだ
2つの分岐テーブルにリンクする分岐テーブルの代表値の
関係は、先行してリンクする (6k + 5) 型分岐テーブルの
代表値を a、リンクする (6k + 1) 型分岐テーブルの
代表値を b とすると、以下の関係がある。
b = 32a + 17
実際には、上記で示した以外にも、着目点に応じた厳密な関係性が
存在している。
以下に、分岐テーブルグループの関連図(概要)を示す。
[図I-4-A] 分岐テーブルグループの関連
また、以下に、分岐テーブルグループ単位で見た場合の遷移と、
分岐テーブルグループに含まれる分岐テーブルの代表値間のリンク関係の
概略を示す。なお、赤色の数字は (6k + 3) 型を表す。
これは、一覧としての「[表D-3-1]コラッツ演算結果と
(4n + 1)グループの対応関係」の各行を並び替えたものである。
[図I-4-B]分岐テーブルグループ間リンクの関係(概要)
[I-4-1]BTG と BT 間リンクの構造
2つの分岐テーブルグループとそれらの構成要素である分岐テーブルの
関係を考察する。
コラッツ遷移における分岐テーブル間リンクは、BTG 内の
(6k + 1) 型分岐テーブル、または (6k + 5) 型分岐テーブルを
リンク対象とする。
分岐テーブルグループ内には、その他に (6k + 3) 型分岐テーブルが
存在するが、(6k + 3) 型分岐テーブルは、リンクの起点にはなるが、
リンク対象とはならない。
すべての分岐テーブルの代表値は、自然数に対する4のべき乗分類に
より、規則的に整列化されており、すべての分岐テーブルは、
いずれかの分岐テーブルグループに属している。よって、
分岐テーブル間リンクは、必ず分岐テーブルグループ間リンクである。
一方、分岐テーブル間リンクは、その代表値間の関係として
一意性がある。また、[補題C-1]より、コラッツ演算結果が
演算前の元の値と一致することはない。
これらの点を合わせて、2つの分岐テーブルグループ間における
基準値のリンクを考えると、一方の分岐テーブルグループの先頭の
分岐テーブルの代表値(基準値)と、そのリンク先の他方の
分岐テーブルグループの先頭の分岐テーブルの代表値(基準値)は、
相異なる値となる。
2つの基準値が異なる分岐テーブルグループを比較した場合、
それらの分岐テーブルグループに属する分岐テーブル同士も、
すべての分岐テーブルグループの構造が相似であるため、
相異なる値となる。
よって、単一回数のコラッツ遷移後の代表値は、
遷移元の分岐テーブルグループに属さない。
以下に具体例を示す。
[図I-4-1]分岐テーブルグループ間リンクの構造
上記の結果は、複数の分岐テーブルグループ間に跨るコラッツ遷移に
対しても、同様に、かつ連鎖的に適用される。
この点に関しては、コラッツ演算結果の規則性(※[D-6]参照)
からも、同様の結果が導かれる。
[補題E-4]より、端点シーケンスにおけるコラッツ遷移では、
循環参照は発生しない。端点シーケンスは、コラッツ遷移の
連鎖において、明確な境界を持つ部品と見做せる。
端点シーケンスにおけるコラッツ遷移は、全て
分岐テーブルグループ間遷移なので、上記の点を踏まえると、
端点シーケンス上の分岐テーブルの代表値を出発点として、
コラッツ遷移を開始した場合、単に同一の値にならないだけではなく、
元の値に戻らない。
一方、「[F-3-2]経路グラフの末端」の結果より、
端点シーケンスに着目して、代表値が∀m ≧ 0 ∈ $\mathbb{Z}$, 6m + 3 である
分岐テーブルの経路全体を扱うことは、コラッツ遷移系統全体を
扱うことに等しい。
すなわち、ある奇数を出発点としたコラッツ遷移は、
複数の端点シーケンスを経由して、最終到達点に向うことに等しい。
[I-4-2]隣接する(6k + 1)/(6k + 5)型 BT にリンクする代表値関係
分岐テーブルグループ内の (6k + 1) 型 n へリンクする代表値を a,
(6k + 5) 型へリンクする代表値を b とすると、
分岐テーブルグループ間の代表値に対して、以下の関係式が成り立つ。
b = 2a + 1
この関係式の例を以下に示す。
ex. 2*17 + 1 = 35 // a = 17
この例では、分岐テーブルグループ(@3, @13, @53, ...)の要素に
対して、先頭部分の分岐テーブルに @17, @35 がリンクしている。
@13 が (6k + 1) 型、@53 が (6k + 5) 型である。
以下に、自然数全体における配置における(2a + 1)の
対応関係の先頭部分を示す。
[図I-4-2]コラッツ遷移における演算結果
また、上記の関係式の導入経過を以下に示す。
(6k + 1) 型代表値の先頭リンク対象点インデックスは 2 である。
そのリンク対象点に @a がリンクするので、以下となる。
(2^2)n = g(a)
一方、(6k + 5) 型代表値の最初のリンク対象点インデックスは
1である。また、仮定より、(6k + 1) 型代表値を持つ分岐テーブルと
(6k + 5) 型代表値を持つ分岐テーブルは、隣接しているので、
(6k + 5) 型代表値は (4n + 1) である。
(2^1)(4n + 1) = g(b)
上記の2つの式を展開すると、以下となる。
4n = 3a + 1
2(4n + 1) = 3b + 1
2((3a + 1) + 1) = 3b + 1
2(3a + 2) = 3b + 1
6a + 4 = 3b + 1
6a + 3 = 3b
∴b = 2a + 1
注目すべき点として、(2a + 1) 関係は、継続するリンクに対しても
同様に成り立つ。この関係は、(2a + 1) 関係を保って継続する
2つのリンク系統のペアにおいて、どちらかのリンク系統に、
後続のリンクが無くなる (6k + 3) 型代表値が現れるまで続く。
特に、2つのリンク系統ペアとして、リンク先の代表値が
共に (6k + 5) 型の場合、それらのペアにリンクする
2つの分岐テーブルの代表値は、(2a + 1) の関係となる。
例えば、分岐テーブルに関して、以下のリンク関係がある。
ex1. @13 ← @17 ← @11
ex2. @53 ← @35 ← @23
上記の例の場合、@13 と @53 は #3 に属しており、
@13 は (6k + 1) 型、@53 は (6k + 5) 型である。
このとき、@17 と @35 は、(2a + 1) の関係にある。
@11 と @23 は、@17, @35 に継続するリンクであり、
(2a + 1) の関係にある。
この場合、(@17, @35)のペアは、共に (6k + 5) 型であり、
それらにリンクする (@11, @23)のペアは、(2a + 1) 関係となっている。
さらに、(@11, @23)は共に (6k + 5) 型なので、
これらにリンクする(@7, @15)の関係も (2a + 1) となる。
しかし、@15 は、3の奇数倍が代表値となっているので、
このリンク系統としての(2a + 1) の関係は途切れることになる。
以下に、2つのリンク系統のペアとして、リンク先の代表値が
共に (6k + 5) 型の場合、それらのペアにリンクする
2つの分岐テーブルの代表値が奇数の2倍関係となる理由を示す。
分岐テーブルグループ内の隣接する分岐テーブル @n, @m に
おいて、n を (6k + 1) 型、m を (6k + 5) 型とした場合に、
以下のリンク関係があると仮定する。
@n ← @a ← @c
@m ← @b← @d
このとき、m = 4n + 1 である。また、b = 2a + 1 である。
よって、上記のリンク関係は、以下のように表現できる。
@n ← @a ← @c
@(4n + 1) ← @(2a + 1) ← @d
また、@a ← @c、@b← @d のリンク関係は、
a, b のリンク対象点インデックスを p, q とすると、以下である。
a(2^p) = 3c + 1 // c → a, p > 0 ・・・(1)
b(2^q) = 3d + 1 // d → b, q > 0 ・・・(2)
式(2)に、b = 2a + 1 を代入すると、以下となる。
(2a + 1)(2^q) = 3d + 1 ・・・(3)
ここで、a, b が共に (6k + 5) 型であるとすると、p = q = 1 である。
p = q = 1 を式(2)、(3)に代入すると、以下となる。
2a = 3c + 1 ・・・(4)
2(2a + 1) = 3d + 1 ・・・(5)
式(4)を(5)に代入すると、以下となる。
2(3c + 1 + 1) = 3d + 1
6c + 4 = 3d + 1
6c + 3 = 3d
3(2c + 1) = 3d
∴d = 2c + 1
上式は、d が c に対する”2倍の奇数”であることを示している。
すなわち、ペアと見るリンク系統のリンク先の代表値が
共に (6k + 5) 型の場合、それらのペアにリンクする
2つの分岐テーブルの代表値は、(2a + 1) の関係となる。
以下では、2つの分岐テーブルの代表値が (2a + 1) 関係を
保った状態で分岐テーブルの終端が現れる場合について、考察する。
分岐テーブルの終端が現れる場合のパターンは、 (2a + 1) 関係の
ベースとなっている代表値 n に注目した場合、以下である。
(a)代表値 n が (6k + 3) 型となる。
(b)代表値 n が (6k + 1) 型となる。
なお、代表値 n が (6k + 5) 型の場合、
2(6k + 5) + 1 = 12k + 11 = 6(2k + 1) + 5
となるので、ペアの他方は (6k + 5) 型であり、
(6k + 3) 型が現れることはない。
(a)代表値 n が (6k + 3) 型となる場合
ペアの他方の代表値は、2(6k + 3) + 1 = 6(2k + 1) + 1。
すなわち、ペアの他方は (6k + 1) 型となる。
(b)代表値 n が (6k + 1) 型となる場合
ペアの他方の代表値は、2(6k + 1) + 1 = 6(2k) + 3 。
すなわち、ペアの他方は (6k + 3) 型となる。
[I-4-3]3の奇数倍を挟んだ BT にリンクする代表値の関係
分岐テーブルグループ内の(3n + 2)型奇数 n へリンクする代表値を a,
(6k + 1) 型へリンクする代表値を b とすると、
分岐テーブルグループ間の基準値に対して、以下の関係が成り立つ。
b = 32a + 17
以下に例を示す。
ex. 32*3 + 17 = 113 // a = 3
この例では、分岐テーブルグループ(@113, @453, @1813, ...)の
要素に対して、@75, @2417 がリンクしている。
@113 が (6k + 5) 型、@453 が (6k + 3) 型、@1813 が (6k + 1) 型である。
上記の関係式の導入経過を以下に示す。
3の奇数倍を挟んだ分岐テーブルグループなので、
分岐テーブルグループ内の奇数を2度辿る必要がある。
また、(6k + 1) 型代表値の最初のリンク対象点インデックスは
2 なので、関係式は以下となる。
(2^2)(4(4n + 1) + 1) = g(b)
64n + 20 = 3b + 1
64n + 19 = 3b
一方、(6k + 5) 型代表値の先頭リンク対象点インデックスは 1 である。
ここで、2n = 3a + 1 とおくと、
32(3a + 1) + 19 = 3b
96a + 51 = 3b
∴b = 32a + 17
[I-4-4](6k + 3) 型 BT への逆方向展開と遷移元データ型
(6k + 3) 型分岐テーブルに対して、逆方向リンク展開を行う場合に、
遷移元の値とデータ型がどうなっているかを調査した結果を以下に示す。
[I-5]コラッツ遷移系統における奇数の収容状態
奇数 n に対するコラッツ遷移が1に到達する場合において、
「2の冪乗に到達する直前に通過する #1 に属する代表値は何か?」を
調査した結果と参考図を以下に示す。
調査結果の要約を以下に示す。
・4^n 以下の奇数は、@1 の 4^n にリンクする
(6k + 1)/(6k + 5) 型である代表値を経由してコラッツ収束する。
ただし、少ないが一部に例外が存在する。
これは、分岐テーブルの代表値に関する分布状態の手掛かりである。
上記の結果から、分岐テーブルの代表値の分布状態は、一般に、
以下となっていると予想される。
「@1 に属する 4^n 以下の奇数は、@1 の 4^(n + 1) までに
リンクする (6k + 1)/(6k + 5) 型である代表値を経由して、
コラッツ収束する。」
◆#1 の代表値(1, 5, 21, 341, 1365, 5461, 21845, 87381, ...)は、
直接 1 へ遷移する。
◆64 以下の代表値は、#1 に属する 5 を経由して収束する。
◆256 以下の代表値は、以下の例外を除いて、#1 に属する
256 以下の 3n 型でない代表値(1, 5, 85)を経由して収束する。
(※341 を経由して1に収束する代表値がいくつか存在する。)
- 151 227 341 1
- 201 151 227 341 1
- 227 341 1
◆1024 以下の代表値は、#1 に属する 5, 85, 341 を経由して収束する。
◆4096 以下の代表値は、#1 に属する 5, 85, 341 を経由して収束する。
◆16384 以下の代表値は、以下の例外を除いて、#1 に属する
256 以下の 3n 型でない代表値(1, 5, 85, 341)を経由して収束する。
(※21845 を経由して1に収束する代表値が一つ存在する。)
- 14563 21845 1
◆65536 以下の代表値は、#1 に属する 256 以下の 3n 型でない
代表値(1, 5, 85, 341, 5461, 21845)を経由して収束する。
◆262144 以下の代表値は、以下の例外を除いて、#1 に属する
256 以下の3n 型でない代表値(1, 5, 85, 341, 5461, 21845)を
経由して収束する。
(※349525 を経由して1に収束する代表値が二つ存在する。)
184111 276167 414251 621377 466033 349525 1
245481 184111 276167 414251 621377 466033 349525 1
[I-6]IVDS が生じる要因
コラッツ遷移において、初期値下降シーケンスが生じる要因の
奇数ベースの分析結果を以下に示す。
なお、分岐テーブルグループの従属値のデータ型は (8k + 5) である。
コラッツ遷移の例として、27 の場合の遷移における数値変化に対する
総合倍率を (8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 5)/(8k + 7) 型に分離して
求めると、以下となる。
下表において、(4k + 3) は、(8k + 3) 型と (8k + 7) 型を
合わせたものである。
[表I-5-1]コラッツ遷移(27)における数値変化の総合倍率
Transition ratio (4k + 3):18286.060
Transition ratio (8k + 1):0.05747141
Transition ratio (8k + 5):0.00003524
Total ratio :0.03703704
総合倍率において、(4k + 1)型演算による効果と
(8k + 5)型である従属値を通過する効果の比率は、約1631倍である。
∵0.0574714086978157/0.0000352423000713793 ≒ 1630.75079
すなわち、コラッツ遷移において、遷移値が減少する要因は、圧倒的に、
遷移途中で分岐テーブルグループの従属値を経由する点が支配的である。
以下に上記の値を求めた詳細を示す。
[図I-5-1]コラッツ遷移(27)における遷移倍率
奇数に対するコラッツ演算として、(4k + 1) / (4k + 3) 型のそれぞれで、
数値の拡縮倍率は、約 0.75 / 1.5 である。コラッツ遷移において、
(4k + 1)/(4k + 3) 型が出現する割合は、確率的にほぼ同程度と考えられる。
一方、奇数に対する作用倍率に差があるので、半々の確率の場合、
実際に出現する数値は、全般に拡大傾向にあると予想される。
他の拡縮要因として、分岐テーブルの代表値は分岐テーブルグループの
3n 型でない従属値((8k + 5) 型)にリンクするが、同一の
分岐テーブルグループに属する分岐テーブルの代表値のリンクは、
同一の分岐テーブルへ遷移する。
よって、同一の分岐テーブルグループに属する分岐テーブルの代表値の
遷移は、途中のコラッツ演算の経過を無視して、遷移値だけに注目した
場合、その分岐テーブルグループの基準値からの遷移と等価である。
すなわち、分岐テーブルグループの従属値からのコラッツ遷移は、
分岐テーブルグループ内の基準値からの従属値の相対位置に対応して、
その時点で、1/(4n + 1) に縮小される過程が繰り返し適用された後、
分岐テーブルグループの基準値から、次の分岐テーブルへ遷移すると
見做すことができる。
ex.(@13 → @5)⇔(@13 ∈ #3, @3 → @5)
∵3 = (13 - 1) / 4 // 分岐テーブルグループ内での仮想的な移動
なお、このような仮想的な移動は、コラッツ遷移値を2進数表記した
場合における "01" 部分の2ビット削減("1101" → "11")に対応する。
これは、(8k + 5) 型の2進数表記が正規表現で ".*101" であることによる。
[J]分岐テーブル集合の構造
分岐テーブル全体の集合は、個別の分岐テーブル間に対応するリンクが
存在し、方向性が定まれば、経路を辿れるグラフとなっている。
コラッツ予想の証明で必要となるのは、基本的には、分岐テーブルおよび
それらのリンクの順方向のみである。
分岐テーブル全体の集合を「経路集合と呼ぶ。
また、すべての分岐テーブルに対して、個々のリンク対象点にリンク可能な
分岐テーブルのリンクがすべて確立された状態にある場合、
その分岐テーブル集合を「経路テーブル」という。
分岐テーブル間のリンクの定義より、分岐テーブルは、その代表値が
他の分岐テーブル内の(3n + 1)型の偶数にリンクする。
ここで、「リンクが行き着く先の分岐テーブル」を定義する。
「リンクが行き着く先の分岐テーブル」とは、分岐テーブルへの
リンクを持たない分岐テーブルをいう。
経路テーブル全体として自明でないのは、以下の点である。
(a)「リンクが行き着く先の分岐テーブル」が存在するならば、
どのような分岐テーブルか?
(b)リンクが行き着く先の分岐テーブルは、存在するか?
(c)リンクが行き着く先の分岐テーブルは、複数個存在するか?
[J-1]経路テーブルの階層構造
以下に、経路テーブルの階層構造が、全体として、どのような構成を
持つかの概略を示す。
経路テーブル内の階層構造における個々の分岐テーブルの配置は、
コラッツ演算で束縛される値に従って、一意に定まる。
なお、経路テーブルは無限集合となる仮想的テーブルなので、
遷移のためのリンクが形成される点において、物理的、または
時間・空間的等の制約が無いものとして扱う。
実際に経路テーブルにおける分岐テーブルの階層構造が、
どのように形成されるかの概要を以下に示す。
(a)分岐テーブルグループ
分岐テーブル全体は、「[D-2]4の冪乗による奇数分類」で
示した状態で整列されているものと見做せる。
(b)ルートテーブルのリンク対象点
ルートテーブルは一種の分岐テーブルであり、リンク接続可能な
箇所は、「[E]自然数の分類」で示した観点による(3n + 1)型の
値を持つ要素、すなわち、分岐点が対象となる。
ルートテーブルの初項は1であるので、要素の系列は以下である。
1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128, 256, 512, 1024, 2048, 4096, ...
ルートテーブルでリンク接続可能な要素は、[補題A-3]より、
4のべき乗に限定される。それらの値は、4, 16, 64, ...である。
(c)経路テーブルの階層構造の構成
経路テーブル全体は、以下の方法で構成できる。
(c-1)自然数全体を「[E]自然数の分類」の観点で
経路集合と見る。
(c-2)経路集合において、すべての分岐テーブルに対して、
リンク対象点に対するリンクを確立する。
上記の過程が完了した時点で、経路集合は経路テーブルとなる。
経路テーブルは、コラッツ遷移系統を含む。
コラッツ遷移系統は、経路テーブルにおいて、ルートテーブルを
複数の分岐テーブル間リンクを確立する出発点として、
ルートテーブルにおけるすべてのリンク対象点に対して、
繰り返し r(n) を適用することで、そのリンク対象点から
逆方向に向かって、再帰的に生成されたものと見ることが出来る。
なお、分岐テーブルの代表値を出発点として、経路テーブルを
順方向に遷移していく場合、その操作を何度行っても、
出発点の代表値が同一である限り、経路テーブルにおいて、
途中で通過する経路は同一となる。
(d)コラッツ遷移の収束性
ルートテーブルは特殊な分岐テーブルであり、
コラッツ収束する場合の最終到達点となる。
(e)経路テーブル構成の可能性
経路テーブルの構成要素は、大別して以下である。
・コラッツ遷移系統(ルートテーブルを含む)
・上記以外(同一経路の循環参照、無限経路の場合を含む)
なお、ルートテーブルを含むコラッツ遷移系統以外の形態である
分岐テーブルは、複数個、存在する可能性がある。
よって、一般に、「順方向遷移が行き着く先の分岐テーブル」は、
全体として、複数のパターンが存在する可能性がある。
したがって、一般には「コラッツ遷移は収束する。」とは言えない。
コラッツ予想を肯定的に証明するには、演算の連続適用の結果として、
最終的に1に到達しないリンク系統の存在を否定する必要がある。
また、同一経路を複数回通過する循環参照が存在しないことも、
同時に証明する必要がある。
[J-2]「順方向遷移が行き着く先の分岐テーブル」の必要条件
順方向のコラッツ遷移に関して、
「それ以上異なる代表値にリンクしない分岐テーブルが存在する。」
と仮定すると、あり得る可能性は、以下のいずれかとなる。
(a-1)それ以上リンクすることのない分岐テーブルの
代表値による演算結果に対応する偶数が存在しない。
(a-2)自己参照型
その分岐テーブルの代表値より計算した(3n + 1)型の偶数が、
その分岐テーブルの要素の一部となっている。つまり、自己自身の
要素に回帰する形態の分岐テーブルである。
[J-3]「順方向遷移が行き着く先の分岐テーブル」は存在するか?
上記の可能性(a-1)については、コラッツ演算の結果は
再び自然数である。すなわち、演算結果は必ず確定するので、
このような場合は存在しない。
よって、以降では、[J-2]における(a-2)の場合についてのみ
検討する。
上記の可能性(a-2)については、自己参照型である自明な例が
存在する。それは、1 を代表値とする分岐テーブル(@1)、すなわち、
ルートテーブルである。
よって、「順方向遷移が行き着く先の分岐テーブル」の候補は、
少なくとも一つは存在する。
1 を出発点とするコラッツ遷移は、1 → 4 → 2 → 1 であり、
別の分岐テーブルへ遷移しない。このコラッツ遷移シーケンスは
2のべき乗値のみを含む数列であり、ルートテーブルの一部である。
また、[補題C-1]より、自己参照型分岐テーブルは、
ルートテーブル以外には存在しない。
したがって、「リンクが行き着く先の分岐テーブル」と成り得るのは、
ルートテーブルのみである。
[J-4]経路テーブルの構築
ここでの議論の前提として、以下がある。
・[J-4]「逆方向遷移の起点となる分岐テーブル」は何か?
ルートテーブルは、分岐テーブルとしての逆方向リンク展開の
唯一の起点である。
ルート分岐テーブルグループ(#1)は、ルートテーブルを
含み、順方向遷移で考えれば、#1 に含まれる分岐テーブルは、
すべてルートテーブルへ遷移する。よって、逆方向リンク展開の
起点とする分岐テーブルグループとして、#1 を選択することが
相応しい。
・[F-5-2]逆方向展開と自然数全体の包含
コラッツ遷移のリンクを分岐テーブルグループに着目して
逆方向展開した場合、すべての自然数を含む。
・[F-5-4]無限経路の存在否定
コラッツ遷移系統に無限経路は存在しない。
・[F-5-5]逆方向展開と任意 BT への到達可能性
#1からの逆方向リンク展開により、任意の分岐テーブルへ
到達可能である。
・[F-5-6]逆方向展開と循環参照
#1 から逆方向リンク展開した経路において、
循環参照は発生しない。
経路テーブルの構成方法は、大別して、以下である。
(a)すべての分岐テーブルを順方向リンクで連結する。
この場合、生成されるリンク系統は、以下に分類できる。
・コラッツ遷移系統(ルートテーブルを含む)
・上記以外(同一経路の循環参照、無限経路を含む)
☆生成されたリンク系統は、すべての自然数を含む。
★生成されたリンクを辿ってコラッツ遷移を繰り返した場合、
最終的に1に到達するとは、必ずしも断言できない。
∵ルートテーブルを含むコラッツ遷移系統以外の
リンク系統が存在する可能性がある。
(b)ルート BTG を起点に、逆方向リンク展開を繰り返す。
☆すべての分岐テーブルグループに対して、それらに
含まれるすべての分岐テーブルを逆方向リンクで
連結すると、そのコラッツ遷移系統は、
すべての自然数を含む。
☆ルート BTG からの逆方向リンク展開により、リンク経路が
存在する任意の分岐テーブルへ到達可能である。
☆ルート分岐テーブルグループを起点にコラッツ遷移の
逆方向展開がなされているので、すべての自然数に対して、
出発点とする値から順方向にコラッツ遷移を行った場合、
最終的に1に到達することが保証されている。
すなわち、無限経路は存在しない。
☆すべての逆方向展開において、分岐テーブルの代表値の
循環参照は発生しない。
構成方法として、上記(b)を採用した場合、順方向遷移では、
無限経路は存在しない。
ただし、コラッツ遷移系統全体としての循環参照は検証が必要である。
[J-5]無限経路の極限について
[補題I-10]より、コラッツ遷移系統に無限経路は存在しない。
このことから、コラッツ遷移値は無限大に発散しないので、
以下が成り立つ。
系I-9-A:任意の初期値に対するコラッツ遷移には上限が存在する。
初期値 $\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$ で始まるコラッツ遷移 $T_n$ の初期値を $V_0 = n$、
系I-9-A により定まる上限を M、遷移値を $\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0, V_i$ とおく。
ここで、n からコラッツ遷移が繰り返された場合の経過を考える。
M と $V_0$ の大小関係でコラッツ遷移経過を分類すると、以下となる。
Case $M \le V_0$: // 初期値 $V_0$ は先頭最大値数
常に $V_i \lt M \le V_0$ なので、$T_n$ は初期値下降シーケンスである。
Case $V_0 \lt M$:
$V_0 \le V_i \lt M$ である $V_i$ の個数は有限である。
よって、コラッツ遷移を繰り返した場合、
いずれ、$V_i \lt V_0$ である状態となる。
したがって、$T_n$ は初期値下降シーケンスである。
以上の結果より、系I-9-A の下で、$T_n$ は必ず
初期値下降シーケンスとなる。よって、以下が成り立つ。
系I-9-B:コラッツ遷移の全パターンが初期値下降シーケンスである。
系I-9-B から、以下が成り立つ。
系I-9-C:すべての奇数のコラッツ遷移は、有限回で 1 に到達する。
系I-9-C と分岐テーブルの性質から、以下が成り立つ。
系I-9-D:すべての偶数のコラッツ遷移は、有限回で 1 に到達する。
系I-9-C、系I-9-D から、以下が成り立つ。
系I-9-E:すべての自然数のコラッツ遷移は、有限回で 1 に到達する。
系I-9-E、分岐テーブル間の逆方向リンクの存在と一意性より、
以下が成り立つ。
系I-9-F:ルート逆方向展開リンク系統は、すべての自然数を含む。
[K]経路テーブルの性質
補題または、これまでの考察により、以下の事柄が証明されている。
☆コラッツ遷移の終点:[補題F-2]による。
他の分岐テーブルへ遷移しない唯一の分岐テーブルは、
ルートテーブル(@1)である。
☆循環経路の存在否定:[補題E-5]による。
コラッツ遷移において、循環参照は発生しない。
ただし、ルートテーブルからの遷移を除く。
詳細については、[D-9]を参照されたい。
☆無限経路の存在否定:[補題I-10]による。
コラッツ遷移において、永久に遷移を繰り返す経路は、
存在しない。
☆コラッツ遷移の収束:[J-5]を参照。
[補題I-10]の系I-9-E より、
すべての自然数のコラッツ遷移は、有限回でコラッツ収束する。
☆ルート逆方向展開リンク系統の完全性
[補題I-10]の系I-9-F より、
ルート逆方向展開リンク系統は、すべての自然数を含む。
コラッツ遷移において、循環参照も無限経路も存在しないので、
経路の途中の過程では、分岐テーブルと1対1に対応するリンクを
経由して、分岐点を通過する。
その経路は、始点~終点間で一本道となり、その到達点は、
他の分岐テーブルへリンクしないルートテーブルしか存在しない。
ルートテーブルは、2の冪乗値の集合なので、その到達点は 1 である。
よって、コラッツ遷移の終端は 1 となる。
その後は、1 → 4 → 2 → 1 の遷移を繰り返す。
上記の点を踏まえると、経路テーブルには、以下の性質がある。
(a)経路テーブルは、すべての自然数を含む。
(b)経路テーブルの要素は、重複しない。
(c)経路テーブルの要素は、リンク対象点において、
g(n), h(n) による関係を満たす分岐テーブル内外の関係により、
一連の系統が結合されている。
-h(n) 適用は分岐テーブル内での遷移に相当する。
-g(n) 適用は分岐テーブル間リンクを介した遷移に相当する。
(d)経路テーブルには、循環参照が存在しない。
(e)経路テーブルには、無限経路が存在しない。
(f)経路テーブルにはルートテーブルを含むコラッツ遷移系統以外は
存在しない。
(g)コラッツ遷移は、有限回で 1 に到達する。
[L]おわりに
経路テーブルの性質より、任意の自然数を出発点として、
順方向に遷移した場合、任意の自然数 n > 0 に対して、
コラッツ演算をを繰り返すと、有限回で 1 に到達する。
よって、コラッツ予想は、肯定的に証明された。
なお、コラッツ予想が証明されたことにより、直接的に
何かに役立つような波及効果があるかどうかは現時点では不明である。
また、コラッツ予想の証明に直接の影響はないが、関連事項として、
明らかになっていない事柄が多数ある。それらのいくつかを以下に示す。
・出発点の自然数が、コラッツ遷移のリンク系統上の
どの位置に存在するか?
・コラッツ遷移のリンク系統上の素数分布に、規則性があるか?
・コラッツ遷移の定義を実数・複素数等に拡張した場合、
自然界の法則との関連はあるか?
これらの解明は、今後の課題である。
<補題>
[補題A]整数論に関する補題
ここでは、整数論に関する補題を列挙する。
[補題A-1]奇数×奇数=奇数
(命題)
自然数において、奇数と奇数の乗算結果は奇数となる。
(証明)
奇数である2つの自然数 m > 0, n > 0 に対する乗算を考える。
ここで、m, n を以下のようにおく。
$\exists p \in \mathbb{Z} \ge 0, m = 2p + 1$
$\exists q \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2q + 1$
m*n = (2p + 1)(2q + 1)
= 4pq + 2p + 2q + 1
= 2(2pq + p + q) + 1
上式の右辺は奇数である。
よって、2つの奇数の乗算結果は、奇数になる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-2]∀n ∈ No, 3n + 1 は偶数
(命題)
$\forall n \in N_o$ に対して、(3n + 1)は偶数である。
(証明)
$\exists k \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2k + 1$ とおくと、
3n + 1 = 3(2k + 1) + 1 = 6k + 4 = 2(3k + 2)
よって、(3n + 1)は偶数である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-3]2^n → (3n + 1) の条件
(命題)
自然数 n > 0 に対して、2のべき乗が 3n + 1 となるのは、
その値が同時に4のべき乗でもある場合のみである。
(証明)
$\forall n \in \mathbb{N}$, 2のべき乗が 3n + 1 の倍数である場合、以下とする。
$\forall p \in \mathbb{N} \ge 2, 2^{2k} = 3n + 1$ ・・・(2-1)
自然数は、偶数または奇数であるかのどちらかである。
ここでは、2のべき乗として計算する場合を偶数と奇数の場合に
分けて考える。
以下において、k > 0 を自然数とする。
( (3n + 1) が2のべき乗となる自然数の最小値)
式(2-1)を満たす n の最小値は、n = 1 の場合である。
すなわち、2^p = 2^2 であり、このとき、p = 2 である。
(指数が偶数の場合)
自然数 n > 0 に対して、2のべき乗が 3n + 1 の
倍数となる場合、p = 2k とすると、以下となる。
2^2k = 3n + 1
k = 1 の場合は、既に上記で示されている。
以降は、k > 1 の場合を考える。
上式において、底2で両辺の対数をとる。
2k = log(3n + 1)
また、(3n + 1) は、奇数×奇数+1の形式であり、
計算結果は偶数である。ここで、3n + 1 = 2m とおく。
ただし、m は自然数で、2 ≦ m とする。
2k = log(2m)
2k = log(m) + 1
上式が成り立つには、m は2のべき乗である
必要がある。m = 2^q とおくと、以下となる。
2k = q + 1
上式の左辺は偶数なので、q は奇数である必要がある。
そこで、q = 2r + 1 (r は自然数、0 ≦ r) とおく。
2k = (2r + 1) + 1
2k = 2r + 2
∴k = r + 1
よって、p = 2(r + 1) の形式である必要がある。
2^2(r+1) = 3n + 1
4^(r+1) = 3n + 1
したがって、2のべき乗の指数が偶数の場合、
2のべき乗は、4のべき乗である必要がある。
(指数が奇数の場合)
自然数 n > 0 に対して、2のべき乗が 3n + 1 の
倍数となる場合、p = 2k + 1 とすると、以下となる。
2^(2k+1) = 3n + 1 とおく。
両辺に2を加えると、以下となる。
2^(2k+1) + 2 = 3n + 3
2(2^2k + 1) = 3(n + 1)
左辺は偶数なので、右辺の n は奇数である必要がある。
n = 2k + 1 とおくと、
2(2^2k + 1) = 3((2k+ 1) + 1) = 3(2k + 2) = 6(k + 1)
2^2k + 1 = 3(k + 1)
2^2k = 3k + 2
2^2k = 2(k + 1) + 1
上式は、左辺は偶数、右辺は奇数となるので矛盾である。
よって、指数が奇数の場合には、式(1)を満たす
自然数は存在しない。
以上の結果より、自然数 n > 0 に対して、
2のべき乗が 3n + 1 となるのは、
2のべき乗が4のべき乗である場合のみである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-4](4^n - 1) は3の奇数倍
(命題)
$\forall n \in \mathbb{N}, 4^n - 1$ は、3の奇数倍である。
(証明A)合同式による証明
$4 \equiv 1\ (mod\ 3)$ なので、$4^n \equiv 1^n\ (mod\ 3)$
∴$4^n - 1 \equiv 0\ (mod\ 3)$
よって、$a = 4^n - 1 \gt 0$ は、奇数かつ3の倍数である。
これは、$\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0, a = 3m$ と表現できる。
a が奇数なので 3m は奇数×奇数の形式である。
よって、m は奇数であり、a は3の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
(証明B)因数分解による証明
整数係数 n 次の方程式 $x^n - 1 = 0$ は x = 1 を解に持つので、
因数定理より、(x - 1) で割り切れる。よって、
$Q(x) = x^{n-1} + x^{n-2} + \cdots + x + 1$ とおくと、
$x^n - 1 = (x - 1)Q(x)$
ここで、x = 4 の場合を考えると、x - 1 = 3 である。
よって、$x^n - 1 = 4^n - 1 = 3Q(4)$ である。
$4^n - 1$ は奇数なので、Q(4) は奇数である。
よって、$4^n - 1$ は3の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
(証明C)数学的帰納法による証明
$\forall n \in \mathbb{N}$ を4の冪乗の指数とする。また、$f(n) = 4^p$ とおく。
以下、数学的帰納法で証明する。
n = 1 の場合、$f(1) - 1 = 4^1 - 1 = 3$ であり、命題は成り立つ。
n = k の場合に成り立つと仮定すると、4 = 3 + 1 と分解した
形式で、乗算が k 個並ぶ以下の形式として表現できる。
$f(k) = 4^k = (3+1)(3+1)\cdots(3+1)$
先頭の(3 + 1) 部分に着目して、3と1に分離して展開すると、
3の倍数項である 3(3 + 1)・・・(3 + 1)形式の乗算が
(k - 1) 個並んだ後に、最終項として、(3 + 1)が追加される
以下の形式として表現できる。
ex. n = 2: f(2) = (3+1)(3+1) = 3(3+1) + (3+1)
ex. n = 3: f(3) = (3+1)(3+1)(3+1)
= 3(3+1)(3+1) + (3+1)(3+1)
= 3(3+1)(3+1) + 3(3+1) + (3+1)
この展開を繰り返すと、(k - 1) 個の3の倍数項と最終項 (3 + 1) の
和の形式となる。
∴f(k) = {3(3+1)$\cdots$(3+1)} + {3(3+1)$\cdots$(3+1)} + $\cdots$ + (3+1)
f(k+1) の場合も同様に、k 個の3の倍数項と、最終項 (3+1) の
和の形式となる。
f(k+1) = {3(3+1)$\cdots$(3+1)} + {3(3+1)$\cdots$(3+1)} + $\cdots$ + (3+1)
f(k+1) - 1 は、3の倍数項のみの加算形式となるので、全体として
3の倍数となる。よって、$\exists a \in \mathbb{N},\ 4^n - 1 = 3a$ と書ける。
∴$4^n = 3a + 1$
左辺は偶数なので、上式の a は奇数である必要がある。
$\forall m \in \mathbb{N}, a = 2m + 1$ とおくと、
$4^n = 3(2m + 1) + 1 = 6m + 4$
∴$4^n - 1 = 6m + 3 = 3(2m + 1)$
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-5]4の冪乗は (6m + 4) 型
(命題)
$\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0, 4^n$ は、$\exists m \in \mathbb{Z} \ge 0, 6m + 4$ と表現できる。
(証明)
[補題A-4]より、$(4^n - 1)$ は3の奇数倍である。
よって、$\forall n \in \mathbb{N}, \exists a \in N_o, 4^n - 1 = 3a$ と書ける。
a は奇数なので、$\exists m \ge 0 \in \mathbb{Z}, a = 2m + 1$ とおくと、
$4^n - 1 = 3(2m + 1) = 6m + 3$
∴$4^n = 6m + 4$
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-6]2の冪乗因数による自然数の一般表現
(命題)
$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$ は、$\exists a \in N_o, p \in \mathbb{Z} \ge 0, n = a(2^p)$ と表現できる。
(証明)
すべての自然数 n は、素数か合成数である。
自然数が素数の場合:
n が素数である必要十分条件は、
(a が素数、かつ、p = 0)である。
・n = 2 の場合、a = 2, p = 0 であり、命題は成り立つ。
・n ≠ 2 の場合、2の冪乗成分 ($2^p$) がないので、
p = 0 であり、n = a となって、命題は成り立つ。
自然数が合成数の場合:
素因数分解の一意性より、合成数は素数の積で
一意に表現できる。よって、n は、2を特別扱いした場合、
2の冪乗成分 $2^p$ と、それ以外の素数の合成数 a > 0 の
積と見做すことが出来る。
よって、$n = a(2^p)$ と表現できる。
上記の結果より、すべての場合で任意の自然数が
$n = a(2^p)$ と表現できる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-7](4n + 1)演算を連続適用の奇数列は3の奇数倍を含む。
(命題)
$\forall a \in \mathbb{Z} \gt 0$ を起点として、(4n + 1)関係を
連続2回適用した、要素が3個の数列{ a, 4a + 1, 16a + 5 } には、
必ず一つ、3の奇数倍が含まれる。
(証明)
$\forall a \in \mathbb{Z} \gt 0$ を3による除算の余り(0, 1, 2)で分類すると、
すべての奇数は、3n/(3n + 1)/(3n + 2) 型奇数に分類される。
a が 3n 型奇数の場合:
a が3の奇数倍なので、命題は明らかに成り立つ。
a が(3n + 1)型奇数の場合:
(3n + 1)型奇数の場合、n は偶数である。
$\forall b \in N_e \ge 0, a = 3b + 1$ とおくと、
16a + 5 = 16(3b + 1) + 5 = 48b + 21 = 3(16b + 7)
したがって、(16a + 5)は、3の奇数倍である。
よって、命題は成り立つ。
a が(3n + 2)型奇数の場合:
(3n + 2)型奇数の場合、n は奇数である。
$\forall b \in N_o \gt 0, a = 3b + 2$ とおくと、
4a + 1 = 4(3b + 2) + 1 = 12b + 9 = 3(4b + 3)
したがって、(4a + 1)は、3の奇数倍である。
よって、命題は成り立つ。
上記の結果より、任意の奇数に対して、3の余りによる分類の
すべての場合において、命題が成り立つ。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-8]奇数に対する周期的データ分類におけるコラッツ演算
(命題)
数値$\forall n \in N_o$ に対して、周期$\forall m \in N_e \gt n$,
順序番号を $\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ とすると、以下が成り立つ。
g(mk + n) = 3mk + g(n)
すなわち、n に対する周期的なデータ分類型 mk + n に対して
コラッツ演算を適用した場合の結果において、n に対する
コラッツ演算部分 g(n) は、周期的なデータ分類の影響を受けない。
(証明)
$\forall p \in N_e,\forall n \in N_o$ とすると、p + n は奇数である。
g(p + n) = 3(p + n) + 1 = 3p + (3n + 1) = 3p + g(n)
$\forall k \in Z \ge 0$ とすると、mk は偶数である。
上式において、p = mk とおくと、
g(mk + n) = 3mk + g(n)
よって、命題は成り立つ。
□
[補題A-9]コラッツ予想の証明対象は (6k + 3) 型に対する証明で十分
(命題)
すべての (6k + 3) 型に対して、コラッツ予想が成り立てば、
すべての自然数に対して、コラッツ予想が成り立つ。
(証明)
すべての奇数に対してコラッツ予想が成り立てば、
その奇数に対して、偶数倍である偶数全体に対して
コラッツ予想が成り立つことは、コラッツ演算式の偶数部分に
対する定義より、自明である。
よって、すべての奇数に対してコラッツ予想が成り立てば、
すべての自然数に対して、コラッツ予想が成り立つ。
これは、すべての分岐テーブルに対してコラッツ予想が成り立てば、
すべての自然数に対してコラッツ予想が成り立つことと同値である。
また、分岐テーブルグループ全体の集合は、全ての自然数を含む。
同一の分岐テーブルグループに属するすべての分岐テーブルは、
コラッツ演算の結果として、同一の分岐テーブルへ遷移する。
よって、分岐テーブルグループの基準値を持つ任意の
分岐テーブルを出発点とするコラッツ遷移が収束するならば、
コラッツ予想が成り立つ。
一方、[補題A-7]より、$\forall a \in N_o$ を起点として、
(4n + 1)関係を2回連続適用した数列 { a, 4a + 1, 16a + 5 } には、
必ず一つ、3の奇数倍が含まれる。
これは、a を分岐テーブルグループの基準値とみなすと、
基準値を含めて数えて、分岐テーブルグループ内における
3個以内に、3n 型奇数の代表値を持つ分岐テーブルが
存在することを意味する。
したがって、すべての (6k + 3) 型に対して、コラッツ予想が
成り立つ場合、分岐テーブルグループの基準値が (6k + 3) 型なら、
コラッツ収束する。
また、分岐テーブルグループの基準値が (6k + 3) 型でない
場合でも、分岐テーブルグループの先頭3個以内には、
必ず (6k + 3) 型が存在する。
分岐テーブルグループのすべての分岐テーブルは、
同一の分岐テーブルへ遷移するので、この場合においても、
コラッツ収束する。
この結果は、すべての分岐テーブルグループに対して
適用されるので、命題は成り立つ。
□
[補題A-10](Mn + 1) は2の冪乗
(命題)
メルセンヌ数に対して+1した値は、2の冪乗である。
(証明)
メルセンヌ数を $M_n$ とすると、$M_n = 2^n - 1$ である。
よって、$M_n + 1 = 2^n$ である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-11]"(10)*1" 型2進数のみ、3n がメルセンヌ数
(命題)
$\forall n \in No, 3n$ がメルセンヌ数となるのは、n のビットパターンが
正規表現 "(10)*1" にマッチする2進数の場合のみである。
(証明)
$\forall n \in Z \gt 0, 3n = 2n + n$ なので、3n は 2n と n の加算で
生成される。数値の加算は、2進法表現における XOR 演算と
XOR(1, 1) の場合の桁上り(None or 1)と見做せる。
2n は、n の2進数表現では、MSB 方向への 1 bit シフト演算で
計算できる。また、2n + n は、ビット単位の排他的論理和
(XOR)と見做せる。ただし、XOR(1, 1) の場合は carry が
発生するので、それらを考慮する必要がある。
正規表現 "(10)*1" にマッチする2進数(ex. 101...0101)は、
ビット配列全体として先頭と末尾が 1 であり、その他の部分は
0 と 1 が交互に現れる。
"(10)*1" を 1 bit シフトした値(2n)と、"(10)*1" の XOR を
実行する場合、0 と 0, 1 と 1 の組合せが生じない。0 と 1 に対する
XOR 演算結果は 1 なので、この場合、上位桁への桁上がりが
発生せず、全ビットが 1 となる。この様子を以下に示す。
1010...10101
XOR) 1010...10101
---------------------
1111...111111
このビット配列パターン以外の場合、ビット配列のどこかで、
ビット値が 0 となる。すなわち、ビット配列のいずれかで
XOR(0, 0) または XOR(1, 1) の演算が発生する。
それらの結果として、一部のビットが必ず 0 となる。
よって、値 n の3倍(3n)が 2^n - 1、すなわち、n の全ビットが
1となるビットパターンは、"(10)*1" 以外に存在しない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-12]演算1回で収束する2進パターンは "(10)*1" のみ
(命題)
正規表現で "(10)*1" の2進数は、コラッツ演算1回で収束する。
コラッツ演算が1回で収束する他の2進数パターンは存在しない。
(証明)
最初に、正規表現 "(10)*1" の2進数パターンが収束することを
示す。次に、その他の2進数パターンが存在しないことを示す。
[補題A-11]より、正規表現で "(10)*1" 型2進数 n に対する
3n はメルセンヌ数である。
[補題A-10]より、(メルセンヌ数+1)は、2の冪乗である。
一方、2の冪乗に対して、2による除算を繰り返すと1となる。
よって、n に対するコラッツ演算1回で1に到達する。
また、[補題A-11]より、初期値 n に対する 3n がメルセンヌ数と
なるのは、2進数の正規表現で "(10)*1" パターンのみである。
+1演算の対象値がメルセンヌ数でない場合、コラッツ演算値は、
2の冪乗とならない。よって、正規表現 "(10)*1" パターン以外に
対する g(n) から2の冪乗成分を除去しても1にならない。
よって、1回のコラッツ演算でコラッツ収束する、"(10)*1" 以外の
2進数パターンは存在しない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-13](8k + 7)型は有限回で(8k + 3)型に到達
(命題)
(8k + 7)型のコラッツ遷移は、有限回で必ず(8k + 3)型に
到達する。ただし、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ である。
(証明)
(8k + 7) 型のコラッツ遷移を計算すると、以下となる。
g(8k + 7) = 24k + 22 = 2(12k + 11) = 2(4(3k + 2) + 3)
よって、(8k + 7) 型は (4k + 3) 型へ遷移する。
(8k + 7) / (4k + 3) 型を偶数/奇数のパリティで分類すると、
以下となる。
k が偶数の場合:
$\forall j \in \mathbb{Z} \ge 0, k = 2j$ とおくと、
8k + 7 = 16j + 7
4k + 3 = 8j + 3
よって、(16j + 7)型 → (8j + 3)型である。
k が奇数の場合:
$\forall j \in \mathbb{Z} \ge 0, k = 2j + 1$ とおくと、
8k + 7 = 16j + 15
4k + 3 = 8j + 7
よって、(16j + 15)型 → (8j + 7)型である。
したがって、(8k + 7) 型は、(8j + 3) 型または (8j + 7) 型へ
遷移する。これは、一般に、∃n, i, j, k ∈ Z ≧ 0 として、
以下の遷移が発生することを意味する。ただし、{ }内の
遷移が発生するかどうかは、(8k + 7) 型コラッツ遷移の
開始点の値に依存する。
{(8n + 7) → (8i + 7) → ・・・ →}(8j + 7) → (8k + 3)
(4k + 3) 型をパリティで分類する場合、(8j + 7) は
上記の論理展開で k を j に変更したものであるから、
(8k + 7) 型コラッツ遷移が継続する場合、論理展開上の
モードと、その剰余の変化を逆方向に辿ると、以下となる。
(8k + 7) ← (16j + 15) ← (32i + 31) ← ・・・
すなわち、コラッツ遷移上のモードとその剰余の逆方向展開の
変化は、モードが2倍、剰余値は (2n + 1) 関係を保って増大する。
しかし、コラッツ遷移における初期値は有限なので、順方向で
見た (8k + 7) 型のコラッツ遷移は、モード・剰余値共に遷移の
進行に伴って半減していくので、永続しない。
すなわち、順方向遷移における (8k + 7) 型遷移の継続回数は、
(8k + 7) 型コラッツ遷移の開始点の値として与えられる
2の冪乗としてのモードで制限される。
そして、(8k + 7) 型の系である (16k + 7) 型に到達した時点で、
次のコラッツ遷移値は (8k + 3) 型となる。
以上の結果より、(8k + 7) 型で始まるコラッツ遷移は永続せず、
有限回数で、(8j + 3) 型へ遷移する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-14]4^n は (6m + 4) 型
(命題)
$\forall n \in \mathbb{N}, 4^n$ は、$\exists m \in \mathbb{Z} \ge 0, (6m + 4)$ 型である。
(証明A)数学的帰納法による証明
数学的帰納法で証明する。
n = 1 のとき、4^n = 4 なので、(6m + 4) 型である。
よって、n = 1 の場合、命題は成り立つ。
n = k のとき、命題が成り立つと仮定すると、
$4^k = 6m + 4$ と書ける。
$4^{k + 1} = 4(4^k) = 4(6m + 4) = 24m + 16 = 6(4m + 2) + 4$
$4^{k + 1}$ は (6m + 4) 型なので、n = k + 1 の場合にも成り立つ。
したがって、命題は成り立つ。
□
(証明B)合同式による証明
4 ≡ 1 (mod 3) なので、$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, 4^n \equiv 1^n\ (mod\ 3)$ である。
よって、$4^n - 1 ≡ 0\ (mod\ 3)$ である。
したがって、$\exists m \in N_o$ に対して、以下が成り立つ。
$4^n - 1 = 3m$
m は奇数なので、$\exists k \in \mathbb{Z} \ge 0, m = 2k + 1$ である。
これを上式に代入すると、
$4^n - 1 = 3(2k + 1)$
∴$4^n = 6k + 4$
よって、$4^n$ は (6k + 4) 型である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-15]2^p - 1 ≠ 3n
(命題)
$\forall p \in N_o, 2^p - 1$ は3の倍数ではない。
(証明)
$\forall q \in \mathbb{Z} \ge 0, p = 2q + 1$ とおくと、
2^p - 1 = 2^(2q + 1) - 1
= 2*(4^q) - 1
= 2*(4^q - 1 + 1) - 1
= 2*(4^q - 1) + 1
q = 0 の場合、上式の最終部分は1なので、3の倍数ではない。
q > 0, (4^q - 1) は、[補題A-4]より、3の倍数なので、
$\exists r \in \mathbb{Z} \gt 0, (4^q - 1) = 3r$ とおくと、
2^p - 1 = 6r + 1 = 3(2r) + 1
よって、2^p - 1 は3の倍数ではない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-16]8^k - 1 は7の奇数倍
(命題)
$\forall n \in \mathbb{N}, 8^k - 1$ は、7の奇数倍である。
(証明A)合同式による証明
$8 \equiv 1\ (mod\ 7)$ なので、$8^k \equiv 1^k\ (mod\ 7)$
∴$8^k - 1 \equiv 0\ (mod\ 7)$
したがって、$a = 8^k - 1$ は、奇数かつ7の倍数である。
これは、$\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0, a = 7m$ と表現できる。
a が奇数なので 7m は奇数×奇数の形式である。
よって、m は奇数であり、a は7の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-17]16^k - 1 は5の奇数倍
(命題)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0,\ (16^k - 1)$ は5の奇数倍である。
(証明)
$16 \equiv 1 (mod\ 5)$ なので、$16^k \equiv 1^n\ (mod\ 5)$
∴$16^k - 1 \equiv 0\ (mod\ 5)$
よって、$a = 16^k - 1$ は、奇数かつ5の倍数である。
a は、$\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0, a = 5m$ と表現できる。
a が奇数なので 5m は奇数×奇数の形式である。
よって、m は奇数であり、a は5の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-18]16^k - 1 は15の奇数倍
(命題)
$\forall k \in \mathbb{N},\ 16^k - 1$ は 15 の奇数倍である。
(証明)
$16 \equiv 1\ (mod\ 15)$ なので、$16^k \equiv 1^n\ (mod\ 15)$
∴$16^k - 1 \equiv 0\ (mod\ 15)$
よって、$a = 16^k - 1$ は、奇数かつ 15 の倍数である。
a は、$\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0, a = 15m$ と表現できる。
a が奇数なので 15m は奇数×奇数の形式である。
よって、m は奇数であり、a は 15 の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-19]32^k - 1 は31の奇数倍
(命題)
$\forall k \in \mathbb{N},\ 32^k - 1$ は 31 の奇数倍である。
(証明)
$32 \equiv 1\ (mod\ 31)$ なので、$32^k \equiv 1^n\ (mod\ 31)$
∴$32^k - 1 \equiv 0\ (mod\ 31)$
よって、$a = 32^k - 1$ は、奇数かつ 31 の倍数である。
a は、$\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0, a = 31m$ と表現できる。
a が奇数なので 31m は奇数×奇数の形式である。
よって、m は奇数であり、a は 31 の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-20]64^k - 1 は7の奇数倍
(命題)
$\forall k \in \mathbb{N},\ 64^k - 1$ は7の奇数倍である。
(証明)
$64 \equiv 1\ (mod\ 7)$ なので、$64^k \equiv 1^n\ (mod\ 7)$
∴$64^k - 1 \equiv 0\ (mod\ 7)$
よって、$a = 64^k - 1$ は、奇数かつ7の倍数である。
a は、$\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0, a = 7m$ と表現できる。
a が奇数なので 7m は奇数×奇数の形式である。
よって、m は奇数であり、a は7の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-21]64^k - 1 は9の奇数倍
(命題)
$\forall k \in \mathbb{N},\ 64^k - 1$ は9の奇数倍である。
(証明)
$64 \equiv 1\ (mod\ 9)$ なので、$64^k \equiv 1^n\ (mod\ 9)$
∴$64^k - 1 \equiv 0\ (mod\ 9)$
よって、$a = 64^k - 1$ は、奇数かつ9の倍数である。
a は、$\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0, a = 9m$ と表現できる。
a が奇数なので 9m は奇数×奇数の形式である。
よって、m は奇数であり、a は9の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-22]64^k - 1 は63の奇数倍
(命題)
$\forall k \in \mathbb{N},\ 64^k - 1$ は 63 の奇数倍である。
(証明)
$64 \equiv 1\ (mod\ 63)$ なので、$64^k \equiv 1^n\ (mod\ 63)$
∴$64^k - 1 \equiv 0\ (mod\ 63)$
よって、$a = 64^k - 1$ は、奇数かつ 63 の倍数である。
a は、$\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0, a = 63m$ と表現できる。
a が奇数なので 63m は奇数×奇数の形式である。
よって、m は奇数であり、a は 63 の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-23]偶数 n に対する n^k - 1 は n - 1 の奇数倍
(命題)
$\forall n \in N_e,\ \forall k \in \mathbb{N},\ n^k - 1$ は n - 1 の奇数倍である。
(証明)
$n \equiv 1\ (mod\ (n - 1))$ なので、$n^k \equiv 1^n\ (mod\ (n - 1))$
∴$n^k - 1 \equiv 0\ (mod\ (n - 1))$
よって、$a = n^k - 1$ は、奇数かつ n - 1 の倍数である。
a は、$\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0, a = (n - 1)m$ と表現できる。
このとき、(n - 1) は奇数である。
a が奇数なので (n - 1)m は奇数×奇数の形式である。
よって、m は奇数であり、a は (n - 1) の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-24](6m + 4) 型の4倍は (6m + 4) 型
(命題)
$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, 4(6m + 4)$ は (6m + 4) 型である。
(証明)
4(6m + 4) = 24m + 16 = 6(4m + 2) + 4
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-25](6m + 4) 型の2倍は (6m + 4) 型ではない。
(命題)
$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, 2(6m + 4)$ は (6m + 4) 型ではない。
(証明)
2(6m + 4) = 12m + 8 = 6(2m + 1) + 2
よって、(6m + 4) 型の2倍は (6m + 4) 型ではない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-26]任意の奇数 n > 1 に対して、4n > g(n)
(命題)
$\forall n \in N_o \gt 1, 4n > g(n)$
(証明)
4n - g(n) = 4n - (3n + 1) = n - 1 > 0 (∵n > 1)
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-27](6k + 3) は素数ではない。
(命題)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, 6k + 3$ は、素数ではない。
(証明)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, $ を用いて、
6k + 3 = 3(2k + 1) なので、(6k + 3) は合成数である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題A-28]2, 3を除く素数は (6k ± 1) 型
(命題)
2, 3を除く素数は、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, 6k \pm 1$ である。
(証明)
命題を満たすデータ型を $\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ を用いて
mod 6 で表現する。素数は奇数なので、奇数となるデータ型を選択すると、
対象となるのは、(6k + 1) / (6k + 3) /(6k + 5) である。
[補題A-27]より (6k + 3) は除外されるので、条件を満たす対象は、
(6k + 1) / (6k + 5) である。これらは、一律に $(6k \pm 1)$ と表現できる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題B]分岐点に関する補題
自然数全体を6による除算の余りによって分類した観点で、
各集合に対して、関数 g, h を適用した場合、興味深い性質がある。
この点に関連する補題と、その証明を以下に示す。
[補題B-1]2^n の包含(N2、N4)
(命題)
$n \in \mathbb{N}$ とするとき、以下が成り立つ。
22n - 1 ∈ N2 ・・・(1)// N2:2n (n: 奇数)の包含
22n ∈ N4 ・・・(2)// N4:4n の包含
(証明)
n に関する数学的帰納法で証明する。
<$2^{2n - 1} \in N_2$ の証明>
n = 1 の場合:
$2^{2n - 1} = 2^1 = 2 \in N_2$
よって、n = 1 のとき、(1)は成り立つ。
n = k のとき正しいと仮定すると、$2^{2n - 1} \in N_2$なので、
$\exists m \in \mathbb{N}, 2^{2k - 1} = 6m + 2$ と表現できる。
次に、n = k + 1 の場合を考える。
22(k+1) - 1 = 22k - 1 + 2 = 4 * 22k - 1
= 4(6m + 2)
= $6(4m + 1) + 2 \in N_2$
よって、n = k + 1 の場合も成り立つ。
以上より、すべての自然数 n に対して、
(1)が成り立つことを証明された。
<$2^{2n} \in N_4$ の証明>
n = 1 の場合:
$2^{2n} = 2^2 = 4 \in N_4$
よって、n = 1 のとき、(2)は成り立つ。
n = k のとき正しいと仮定すると、$2^{2n} \in N_4$ なので、
$\exists m \in \mathbb{N}, 2^{2k} = 6m + 4$ と表現できる。
次に、n = k + 1 の場合を考える。
22(k+1) = 22k + 2 = 4 * 22k
= 4(6m + 4)
= $6(4m + 2) + 4 \in N_4$
よって、n = k + 1 の場合も成り立つ。
以上より、すべての自然数 n に対して、
(2)が成り立つことを証明された。
□
[補題B-2]偶数集合(N0/N2/N4)に対する関数 h の適用
(命題)
(1) $h(N_0) \in N_0 \cup N_3$ // $N_0: 6m = 2(3m) → h(N_0) = 3m$
(2) $h(N_2) \in N_1 \cup N_4$ // $N_2: 6m + 2 = 2(3m + 1) → h(N_2) = 3m + 1$
(3) $h(N_4) \in N_2 \cup N_5$ // $N_4: 6m + 4 = 2(3m + 2)h(N_4) = 3m + 2$
(証明)
以下、特に断りがない限り、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0$ である。
(1) $h(N_0) \in N_0 \cup N_3$
h($N_0$): h(6m) = 3m, where $\forall m \in \mathbb{Z} \gt 0$
$m \in N_e ⇒ \exists k \in N, m = 2k;$ $3m = 6k \in N_0$
$m \in N_o ⇒ \exists k \in N, m = 2k + 1; 3m = 6k + 3 \in N_3$
上記2つ(偶数、奇数)の場合をまとめると、
$3m \in N_0 \cup N_3$
∴$h(6m) \in N_0 \cup N_3$
(2) $h(N_2) \in N_1 \cup N_4$
h($N_2$) : h(6m + 2) = 3m + 1
$m \in N_e ⇒ \exists k \in N, m = 2k;$ $3m + 1 = 6k + 1 \in N_1$
$m \in N_o ⇒ \exists k \in N, m = 2k + 1; 3m + 1 = 6k + 4 \in N_4$
上記2つ(偶数、奇数)の場合をまとめると、
$(3m + 1) \in N_1 \cup N_4$
∴$h(6m + 2) \in N_1 \cup N_4$
(3) $h(N_4) \in N_2 \cup N_5$
h($N_4$) : h(6m + 4) = 3m + 2
$m \in N_e ⇒ \exists k \in N, m = 2k;$ $3m + 2 = 6k + 2 \in N_2$
$m \in N_o ⇒ \exists k \in N, m = 2k + 1; 3m + 2 = 6k + 5 \in N_5$
上記2つ(偶数、奇数)の場合をまとめると、
$(3m + 2) \in N_2 \cup N_5$
∴$h(6m + 4) \in N_2 \cup N_5$
□
[補題B-3]g() ∈ N4
(命題)
$\forall n \in N_o,\ g(n) \in N_4$
(証明)
$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2m + 1$ とおくと、
$g(n) = 3(2m + 1) + 1 = 6m + 4 \in N_4$
□
[補題B-4]自然数に対する ghk(n) の演算結果 ∈ N4
(命題)
$\forall n \in \mathbb{N}$ は、$\exists k, m ∈ \mathbb{Z} \ge 0$ を定めることにより、
以下の形式で記述できる。
n = (2m + 1)2k
このとき、以下が成り立つ。
ghk(n) = g(2m +1) ∈ N4
ただし、n が2の冪乗成分を含まない場合、
すなわち、k = 0 の場合、h0(n) = n と定義する。
(証明)
前半は、n を素因数分解することにより、明らかに成り立つ。
∵算術の基本定理(fundamental theorem of arithmetic)では、
任意の自然数 ≧ 2 に対して、以下の2つの事柄が主張されている。
・素因数分解の存在:素数の積に分解される。
・素因数分解の一意性:素因数分解があれば、その順序性を除き、
一意に決まる。
後半は、k の値によって、場合分けして示す。
k = 0 の場合、n = (2m + 1) なので、ghk(n) = g(n)
n は奇数なので、[補題B-5-3]より、明らかに成り立つ。
k > 0 の場合、hk(n) = (2m + 1) である。
n は奇数なので、[補題B-5-3]より、明らかに成り立つ。
□
[補題B-5]n ∈ N4 に対する(gh/gh2/h2)の演算結果 ∈ N4
(命題)
任意の $n ∈ N_4$ が与えられているとき、n に応じて、
以下の何れかの操作により、再び $N_4$ に属する値となり、
コラッツ数列が形成される。
・$gh(n) \in N_4$
・$gh^2(n) ∈ N_4$
・$h^2(n) ∈ N_4$
(証明)
仮定より、$n ∈ N_4$ なので、$\exists m \in \mathbb{N}$, n = 6m + 4 = 2(3m + 2)
と表現できる。よって、h(n) = 3m + 2 である。
この場合の(3m + 2)形式は、m に依存して、
全体が偶数/奇数になるかが決まる。
■ $m \in N_o$ の場合:m が奇数の場合
$\exists k \in \mathbb{Z} \ge 0$, m = 2k + 1 とおくと、
$h(n) = 3(2k + 1) + 2 = 6k + 5 \in N_5$
h(n) は奇数なので、関数 g を適用すると、補題2.5 より、
$gh(n) \in N_4$
■ $m \in N_e$ の場合:m が偶数の場合
$\exists k \in \mathbb{N}, m = 2k$ とおくと、
h(n) = 3m + 2 = 6k + 2 = 2(3k + 1)
よって、$h^2(n) = 3k + 1$
(3k + 1)形式は、k に依存して、
全体が偶数/奇数になるかが決まる。
◆ $k \in N_o$ の場合、(3k + 1)形式は偶数となる。
$\exists j \in \mathbb{Z} \ge 0$, k = 2j + 1 とおき、h() を適用すると、
$h^2(n) = 3(2j + 1) + 1 = 6j + 4 \in N_4$
◆ $k \in N_e$ の場合、(3k + 1)形式は奇数となる。
$\exists j \in \mathbb{N}$, k = 2j とおくと、
$h^2(n) = 3k + 1 = 6j + 1 \in N_1$
上式の結果は奇数なので、g() を適用すると、
$gh^2(n) = g(6j + 1) = 18j + 4 = 6(3j) + 4 \in N_4$
以上の経過より、適用される合成関数の種類は、
$gh(n)/h^2(n)/gh^2(n)$ のいずれかであり、
それらを利用したすべての場合で、演算結果は $N_4$ に属する。
□
[補題B-6]N4 に対するインデックス演算
(命題)
$\forall n \in \mathbb{N}$ に対して、以下が成り立つ。
(1) gh(N4[2n - 1]) = N4[3n - 1]
(2) gh2(4n) = N4[3n]
(3) h2(4n - 2) = N4[n - 1]
(証明)
(1) gh の場合
N4[2n - 1] = 6(2n - 1) + 4 = 2(6n - 1)
h(N4[2n - 1]) = 6n - 1
∴gh(N4[2n - 1]) = 3(6n - 1) + 1 = 6(3n - 1) + 4 = N4[3n - 1]
(2) gh2 の場合
N4[4n] = 6(4n) + 4 = 4(6n + 1)
h2(N4[4n]) = 6n + 1
∴gh2(N4[4n]) = 3(6n + 1) + 1 = 6(3n) + 4 = N4[3n]
(3) h2 の場合
N4[4n - 2] = 6(4n - 2) + 4 = 4(6n - 2)
∴h2(N4[4n - 2]) = 6n - 2 = 6(n - 1) + 4 = N4[n - 1]
□
[補題B-7]3 の奇数倍はコラッツ遷移の対象外
(命題)
3 の奇数倍はコラッツ遷移のリンク対象外である。
(証明)
代表値が(3*奇数)である分岐テーブルの初項を
$\forall n \in N_o, 3n$ とする。
この場合、初項の後に続く偶数列(分岐点)は、以下となる。
2*3n(=6n),4*3n(=12n),8*3n(=24n),...
これらの偶数は、いずれの場合でも 3 の倍数であり、
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (3k + 1)$ 形式ではない。
すなわち、3 で割り切れる数は、2 のべき乗倍しても、すべて
3 で割り切れるので、他の分岐テーブルがリンクできない。
よって、代表値が3 の奇数倍である分岐テーブルの分岐点は、
リンクの対象外である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題B-8](6k + 1)/(6k + 5)型 BT の分岐点に全奇数がリンク
(命題)
すべての奇数は、代表値が(6k + 1)/(6k + 5)型である
分岐テーブルのいずれかの分岐点にリンクする。
(証明)
全ての奇数は、(6k + 4) 型分岐テーブルの分岐点にリンクする。
$\because \forall n \in N_o, \forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, set\ n = 2k + 1, g(2k + 1) = 6k + 4$
また、g() 演算結果は、(6k + 4) 型である。
(6k + 1) 型に対応する分岐点にリンクするのは (8k + 1) 型である。
$\because g(8k + 1) = 24k + 4 = 4(6k + 1)$
(6k + 5) 型に対応する分岐点にリンクするのは (4k + 3) 型である。
$\because g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5)$
よって、分岐点のデータ型である (6k + 4) 型にリンクすることが
不明なのは、mod 8 ベースで、(8k + 5) 型のみである。
∵(4k + 3) 型は、mod 8 ベースで (8k + 3)/(8k + 7) 型である。
(8k + 5) 型に対する順方向遷移の g() 演算を以下に示す。
ただし、以下では、(8k + 5) 型に対して2のべき乗により
分類している。
g(8k + 5) = 24k + 16 = 8(3k + 2)
g(16k + 5) = 48k + 16 = 16(3k + 1)
g(32k + 5) = 96k + 16 = 16(6k + 1)
∴(32k + 5) 型は、(6k + 1) 型代表値にリンクする。
g(32k + 21) = 96k + 64 = 32(3k + 2)
g(64k + 21) = 192k + 64 = 64(3k + 1)
g(128k + 21) = 384k + 64 = 64(6k + 1)
∴(128k + 21) 型は (6k + 1) 型代表値にリンクする。
g(128k + 85) = 384k + 256 = 128(3k + 2)
・・・
g(64k + 53) = 192k + 160 = 32(6k + 5)
∴(64k + 53) 型は、(6k + 5) 型代表値にリンクする。
g(16k + 13) = 48k + 40 = 8(6k + 5)
∴(16k + 13) 型は、(6k + 5) 型代表値にリンクする。
(8k + 5) 型の遷移するデータ型の探索は、全体として、
データ型が (3k + 2) ~ (3k + 1) となる変化を繰り返す。
自然数は無数に存在するので、上記の分類による探索は
無限に継続する。しかし、その都度、細分類を施すことで、
(6k + 1)/(6k + 5) 型代表値のいずれかにリンクすることに帰着する。
よって、(8k + 5) 型のリンク対象点、すなわち、分岐点は、
(6k + 1)/(6k + 5) 型代表値に2のべき乗を乗算した形式
として定まる。
以上の結果より、(6k + 1)/(6k + 5) 型に対応する分岐点である
(6k + 4) 型に、mod 8 に関する全てのデータ型がリンクする。
よって、すべての奇数が (6k + 1)/(6k + 5) 型に対応する分岐点に
リンクする。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C]コラッツ演算に関する補題
ここでは、コラッツ演算に関連する補題を列挙する。
[補題C-1](コラッツ演算結果)≠(演算前の元の値)
(命題)
$\forall a \in N_o \gt 1$ に対して、コラッツ演算を適用後に
得られる奇数を b とすると、b ≠ a である。
(証明)
素因数分解の一意性より、g(a) は以下のように表現できる。
$\exists p \in \mathbb{Z} > 0,\ g(a) = 3a + 1 = b 2^p $
コラッツ演算結果が、元の値と一致すると仮定すると、
b = a なので、上式は以下となる。
$3a + 1 = a 2^p $
$1 = a(2^p - 3)$
上式が成り立つためには、左辺>0、かつ、$a \gt 1$ なので、
$2^p > 3$ でなければならない。よって、p > 1 である必要がある。
このとき、右辺>1なので矛盾である。
よって、コラッツ演算結果の奇数は、演算前の値にはならない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-2]コラッツ演算の2回連続適用結果 ≠ 演算前の元の値
(命題)
奇数である自然数 a > 0 に対して、コラッツ演算を2回適用した
結果を c とすると、c ≠ a である。
ただし、ルートテーブルは遷移の対象外とする。
(証明)
仮定より、ルートテーブルは遷移の対象外なので、a > 2 である。
a > 2 に対してコラッツ演算を行った結果の奇数である b > 0 は
以下となる。ただし、$p \in \mathbb{N} \gt 0$ は2の冪乗の指数である。
3a + 1 = b(2^p) ・・・(1)
b > 0 に対して、コラッツ演算を行った結果の奇数である c > 0 は
以下となる。ただし、$q \in \mathbb{N} \gt 0$ は2の冪乗の指数である。
3b + 1 = c(2^q) ・・・(2)
式(2)に式(1)を代入すると、以下となる。
9a + 3 + (2^p) = c(2^(p + q))
c と a が一致すると仮定し、上式に c = a を代入して、
a について整理すると、以下となる。
a((2^(p + q)) - 9) = (2^p) + 3 ・・・(3)
右辺>0なので、2^(p + q) > 9 である必要がある。
よって、上式が成り立つためには、(p + q) > 3 である必要がある。
◆p = 1 の場合:
式(3)に、p = 1 を代入すると、以下となる。
a((2^(1 + q)) - 9) = (2^1) + 3
a((2^(1 + q)) - 9) = 5
a > 2 なので、((2^(1 + q)) - 9) ≦ 5/3 である必要がある。
2^(1 + q) ≦ (9 + 5/3)
2^q ≦ 32/6
∴q = 1, 2 である必要がある。
しかし、いずれの場合も、(p + q) > 3 と
ならないので、矛盾。
◆p = 2 の場合:
式(3)に、p = 2 を代入すると、以下となる。
a((2^(2 + q)) - 9) = (2^2) + 3
a((2^(2 + q)) - 9) = 7
a > 2 なので、((2^(2 + q)) - 9) ≦ 7/3 である必要がある。
2^(2 + q) ≦ (9 + 7/3)
2^q ≦ 34/12 < 3
∴q = 1, 2 である必要がある。
(p + q) > 3 を満たすのは、q = 2 の場合のみである。
p = 2, q = 2 を式(3)に代入すると、
a((2^(2 + 2)) - 9) = 7
a(2^4 - 9) = 7
a(16 - 9) = 7
7a = 7
a = 1
しかし、仮定より a > 2 なので、矛盾。
◆p = 3 の場合:
式(3)に、p = 3 を代入すると、以下となる。
a((2^(3 + q)) - 9) = (2^3) + 3
a((2^(3 + q)) - 9) = 11
a > 2 なので、((2^(2 + q)) - 9) ≦ 11/3 である必要がある。
2^(3 + q) ≦ (9 + 11/3)
2^q ≦ 38/24 < 2
∴q = 1 である必要がある。
p = 3, q = 1 を式(3)に代入すると、
a((2^(3 + 1)) - 9) = 11
a(2^4 - 9) = 11
a(16 - 9) = 11
7a = 11
上式を満たす自然数 a は存在しないため、矛盾。
◆p = 4 の場合:
式(3)に、p = 4 を代入すると、以下となる。
a((2^(4 + q)) - 9) = (2^4) + 3
a((2^(4 + q)) - 9) = 19
a > 2 なので、((2^(4 + q)) - 9) ≦ 19/3 である必要がある。
2^(4 + q) ≦ (9 + 19/3)
2^(4 + q) ≦ 46/3
2^q ≦ 46/48 < 1
上式を満たす自然数 q > 0 は存在しないため、矛盾。
◆p > 4 の場合:
p = 4 の場合と同様に、2^q < 1 となる。
よって、式(3)を満たす自然数 q > 0 は
存在しないため、矛盾。
以上の結果より、すべての p に対して、矛盾となる。
よって、c と a が一致するとした仮定は誤りである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-3]奇数のコラッツ遷移では奇数成分の変化はモード非依存
(命題)
$\forall n \in N_o$ は、以下の形式で表現できる。
n = mk + r
ただし、モードを $\forall m \in N_e$、モードで除算した商を
$\exists k \in \mathbb{Z} \ge 0$、その余りを $\exists r \in N_o$ とする。
このとき、n に対するコラッツ遷移における奇数部分 r は、
モードに依存しない。
(証明)
n に対して、定義式は以下である。
n = mk + r ・・・(1)
式(1)に g(n) を適用すると、以下となる。
g(n) = 3mk + (3r + 1) = 3mk + g(r) ・・・(2)
式(2)は、$\exists p \in \mathbb{Z} \gt 0$ により、以下の形式で表現できる。
ただし、 p は $g(r)/2^p$ が奇数となるまで2で除算した回数と、
3mk を2で除算可能な回数との比較で小さい方の値である。
$g(n) = 2^p( (3mk + g(r)) / 2^p )$
よって、式(2)に、再度 g(n) を適用する場合の対象値は、
$(3mk + g(r))/2^p$ である。この値の奇数部分に着目すると、
それは、 $g(r)/2^p$ である。
これは、式(1)に対して g(n) を適用した場合、
式(1)の余り部分が、モード値 m に依存せず、
コラッツ遷移の変化に従うことを示している。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-4](4k + 3)型→(4k + 1)型となる場合の最小のモード係数は 8
(命題)
(4k + 3) 型において、次のコラッツ遷移が (4k + 1) 型となる
場合の最小のモード係数は 8 である。
(8k + 3) 型のコラッツ遷移は、必ず (4k + 1) 型となる。
(証明)
g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5) なので、モード係数 4 では
次のコラッツ遷移が (4k + 1) 型になるとは特定できない。
ここで、k を偶数/奇数で分類する。k = 2j / 2j + 1 とおくと、
k = 2j の場合:
6k + 5 = 12j + 5 = 4(3j + 1) + 1
よって、次のコラッツ遷移データ型は (4n + 1) 型となる。
この場合は、(8j + 3) 型を扱っていることと等価である。
k = 2j + 1 の場合:
6k + 5 = 12j + 11 = 4(3j + 2) + 3
よって、次のコラッツ遷移データ型は (4n + 3) 型となる。
この場合は、(8j + 7) 型を扱っていることと等価である。
上記の結果より、コラッツ演算対象値のデータ型が
(8k + 3)型のとき、コラッツ遷移が (4k + 1) 型となるので、
最小のモード係数は 8 である。
実際、g(8k + 3) = 24k + 10 = 2(4(3k + 1) + 1) である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-5](4k + 3) 型は、有限回で (4k + 1) 型となる。
(命題)
(4k + 3)型奇数は、コラッツ遷移を繰り返すと、
有限回で(4k + 1)型奇数となる。
(証明)
一般に、(4k + 3)型奇数のコラッツ遷移が(4k + 1)型に
遷移することを直接的に証明することは、(4k + 3)型の
コラッツ遷移が以下となるので、不可である。
g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5)
g(6k + 5) = 18k + 16 = 2(9k + 8)
すなわち、上記の過程では最終形態が (9k + 8) となるので、
(4k + 1)型とは判別不可である。
そこで、(4k + 3)型奇数のモード部分(4k)を2倍に
拡大していくことにより、さらに細分類して調べると、
結果は以下となる。
(凡例)○:(4k + 1)型として確定
×:(4k + 1)型として判別不可
(細分類の過程の全体状況)
× 4k + 3
○ 8k + 3
× 8k + 7
○ 16k + 7
× 16k + 15
・・・
(細分類の詳細例)
○ g(8k + 3) = 24k + 10 = 2(12k + 5) = 2(4(3k + 1) + 1)
× g(8k + 7) = 24k + 22 = 2(12k + 11)
g(12k + 11) = 36k + 34 = 2(18k + 17)
g(18k + 17) = 54k + 52 = 2(27k + 26)
○ g(16k + 7) = 48k + 22 = 2(24k + 11)
g(24k + 11) = 72k + 34 = 2(36k + 17) = 2(4(9k + 4) + 1)
× g(16k + 15) = 48k + 46 = 2(24k + 23)
g(24k + 23) = 72k + 70 = 2(36k + 35)
g(36k + 35) = 108k + 106 = 2(54k + 53)
上記の分類により、(4k + 3)型奇数のコラッツ遷移は、
有限回で(4k + 1)型に遷移することがわかる。
ただし、分類過程の最後の部分が必ず判定不可として残る。
(4k + 3)型奇数のデータ型の値として、自然数は無限に
存在するので、このような状態は永続する。
しかし、さらに細分類を進めれば、次の段階で、
コラッツ遷移として(4k + 1)型となることが確定する。
個々の(4k + 3)型奇数に関しては、k の乗数としての
モードは固定なので、有限回で(4k + 1)型に遷移する。
よって、(4k + 3)型奇数に対してモードを拡張して
細分類した場合、(4k + 3)型奇数のコラッツ遷移における
任意のモードで、(4k + 1)型奇数となることを確認できる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-6](8k + 5) 型へ遷移する基本データ型
(命題)
(8k + 5) 型へ遷移する基本データ型は、以下のいずれかである。
・(16k + 3) 型
・(32k + 17) 型
(証明)
最初に、命題が必要条件を満たすことを示す。
(A) (16k + 3) 型は (8k + 5) 型へ遷移する。
∵g(16k + 3) = 48k + 10 = 2(24k + 5) = 2(8(3k) + 5)
(B) (32k + 17) 型は (8k + 5) 型へ遷移する。
∵g(32k + 17) = 96k + 52 = 4(24k + 13) = 4(8(3k + 1) + 5)
次に、命題の十分条件を満たすことを示す。
分岐テーブルグループの基準値を3の奇数倍で分類すると、
以下となる。
・6k + 1 // (3n + 1) 型
・6k + 3 // 3n 型
・6k + 5 // (3n + 2) 型
これらは、分岐テーブルグループの全要素に適用される。
上記の基準値データ型に対して、分岐テーブルグループの要素の
先頭部分を展開すると、以下となる。
(6k + 1) (6k + 3) (6k + 5)
6k + 1 6k + 3 6k + 5
24k + 5 24k + 13 24k + 21
96k + 21 96k + 53 96k + 85
・・・ ・・・ ・・・
なお、代表値が (6k + 3) 型である分岐テーブルにはリンク対象点が
存在しないので、他の分岐テーブルからのリンクは存在しない。
よって、分岐テーブルグループ内の遷移対象としては、
(6k + 1) 型と (6k + 5) 型が対象となる。
上記に示したデータ型において、分岐テーブルグループの従属値、
すなわち、(8k + 5) 型として、(6k + 1)/(6k + 5) 型の係数が
最小のものを選択すると、(6k + 1) 型では (24k + 13)、
(6k + 5) 型では (24k + 5) である。
これらに遷移する具体的なデータ型を逆方向展開で求めると、
以下である。
◆(24k + 5) ← (16k + 3) // (3n + 2) 型、b = 5
∵(2b - 1)/3 = (2 * 5 - 1)/3 = 9/3 = 3 // (4k + 3) 型
24/(3/2) = 48/3 = 16 // 3/2: (4k + 3) 型の遷移倍率
◆(24k + 13) ← (32k + 17) // (3n + 1) 型:b = 13
∵(4b - 1)/3 = (4 * 13 - 1)/3 = 51/3 = 17 // (4k + 1) 型
24/(3/4) = 96/3 = 32 // 3/4: (4k + 1) 型の遷移倍率
よって、上記で得られた遷移元のデータ型が、BTG の従属値に
遷移する上で、係数が最小である基本的なデータ型となる。
これらの結果より、命題の十分条件が成り立つ。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-7](8k + 7) 型遷移は永続しない。
(命題)
(8k + 7) 型のコラッツ遷移は永続しない。
(証明)
(8k + 7)型を mod 16 で分類すると、以下である。
・(16k + 7)
・(16k + 15)
これらのコラッツ遷移は、以下である。
g(16k + 7) = 48k + 22 = 2(24k + 11) = 2(8(3k + 1) + 3)
g(16k + 15) = 48k + 46 = 2(24k + 23) = 2(8(3k + 2) + 7)
よって、(8k + 7) 型から始まるコラッツ遷移は、すべて (8k + 7) 型
または (8k + 3) 型へ遷移する。
上記の結果より、(16k + 15) 型の細分類である (32k + 15),
(64k + 31), ... は (16k + 15)型の類型なので、
これらに対する遷移のデータ型は、すべて (8k + 7) 型となる。
ex1. g(32k + 15) = 2(48k + 23) = 2(16(3k + 1) + 7)
ex2. g(64k + 31) = 2(96k + 47) = 2(32(3k + 1) + 15)
ex3. g(128k + 63) = 2(192k + 95) = 2(64(3k + 1) + 31)
よって、(8k + 7) 型のコラッツ遷移は、全体として以下となる。
・・・ → (64k + 31) → (32k + 15) → (16k + 7) → (8k + 3)
これらは、各遷移毎に、モード係数が半減し、剰余は
奇数ベースで半減するパターンであり、遷移後のモード変数 j は、
統一的に j = (3k + 1) である。
すなわち、(8k + 7) 型の遷移は最終的に (8k + 3) 型へ到達する。
よって、永久に (8k + 7) 型の遷移が継続することはない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-8](8k + 3) 型遷移は永続しない。
(命題)
(8k + 3) 型のコラッツ遷移は永続しない。
(証明)
(8k + 3) 型を mod 16 で分類すると、以下である。
・(16k + 3)
・(16k + 11)
(16k + 3) 型のコラッツ遷移は以下である。
g(16k + 3) = 48k + 10 = 2(24k + 5) = 2(8(3k) + 5)
よって、(16k + 3) 型は、(8k + 5)型へ遷移する。
(16k + 11) 型のコラッツ遷移は以下である。
g(16k + 11) = 48k + 34 = 2(24k + 17) = 2(8(3k + 2) + 1)
よって、(16k + 11) 型は、(8k + 1)型へ遷移する。
上記の結果より、(8k + 3) 型のコラッツ遷移は、(8k + 1) 型、
または、(8k + 5)型へ遷移する。
よって、永久に (8k + 3) 型の遷移が継続することはない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-9](8k + 1) 型遷移は永続しない。
(命題)
(8k + 1) 型のコラッツ遷移は永続しない。
(証明)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (8k + 1)$ 型を mod 32 で分類すると、以下である。
・(32k + 1)
・(32k + 9)
・(32k + 17)
・(32k + 25)
上記のコラッツ遷移を調べた結果を以下に示す。
・g(32k + 1) = 96k + 4 = 4(24k + 1) = 4(8(3k) + 1)
∴(32k + 1) 型は、(8k + 1)型へ遷移する。
・g(32k + 9) = 96k + 28 = 4(24k + 7) = 4(8(3k) + 7)
∴(32k + 9) 型は、(8k + 7)型へ遷移する。
・g(32k + 17) = 96k + 52 = 4(24k + 13) = 4(8(3k + 1) + 5)
∴(32k + 1) 型は、(8k + 5)型へ遷移する。
・g(32k + 25) = 96k + 76 = 4(24k + 19) = 4(8(3k + 2) + 3)
∴(32k + 25) 型は、(8k + 3)型へ遷移する。
よって、(32k + 1) 型の場合のみ、(8k + 1) 型の
遷移状態が継続する。
(32k + 1)型のコラッツ遷移が再び(32k + 1)型となるのは、
k が4の倍数の場合に限る。
∵g(32k + 1) = 4(24k + 1) = 4(8(3k) + 1)
$\forall j \in \mathbb{Z} \ge 0, k = 4j$ とおくと、32k + 1 = 128j + 1
実際、g(128j + 1) = 384j + 4 = 4(96j + 1) = 4(32(3j) + 1)
ex. 129 → 97 // 97 = 32 * 3 + 1
さらに、(128j + 1) 型が再び (32k + 1) 型となる条件は、
3j が4の倍数の場合に限る。すなわち、j が4の倍数の場合に限る。
$\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0\ |\ j = 4i$ とおくと、(96j + 1) = 384i + 1
実際、g(384i + 1) = 1152i + 4 = 4(288i + 1) = 4(32(9i) + 1)
ex. 385 → 289 // 289 = 32 * 9 + 1
よって、上記の操作が継続するには、モード変数 i が
4の倍数の場合に限る。
以上の結果より、遷移結果が (32k + 1) 型 として継続する
データ型は、以下の様な場合に限られる。
(128k + 1), (384k + 1), (1152k + 1), ・・・
// 32 * 4 96 * 4 288 * 4 ・・・
一方、コラッツ遷移における初期値は有限なので、
上記の操作を繰り返した場合、モード変数の置換において、
必ず4の倍数にならない状態に到達する。
よって、(8k + 1) 型のコラッツ遷移が再び (8k + 1) 型となる
状態は永久には継続しない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-10](8k + 5) 型遷移は永続しない。
(命題)
(8k + 5) 型のコラッツ遷移は永続しない。
(証明)
(8k + 5) 型は分岐テーブルグループの従属値、かつ (6k + 3) 型ではない。
データ型は mod 24 ベースで、(24k + 5)/(24k + 13) 型に限られる。
また、(8k + 5) 型へ遷移するデータ型は、[補題C-6]より、
(16k + 3)/(32k + 17) 型に限られる。
(24k + 5)/(24k + 13) 型のコラッツ遷移は以下である。
g(24k + 5) = 72k + 16 = 8(9k + 2)
g(24k + 13) = 72k + 40 = 8(9k + 5)
よって、遷移値が (8k + 5) 型として連続する場合は、
(24k + 5)/(24k + 13) 型からの遷移形式 (9k + 2)/(9k + 5) 型が、
同時に (16k + 3)/(32k + 17) 型である必要がある。
以下に、それらのデータ型の組合せパターンを以下に示す。
データ型 (16k + 3) (32k + 17)
(9k + 2) (144k + 83) (288k + 209)
(9k + 5) (144k + 131) (288k + 113)
上表の各データ型に対するコラッツ遷移は以下である。
g(144k + 83) = 432k + 250 = 2(216k + 125) // (8k + 5) 型
g(144k + 131) = 432k + 394 = 2(216k + 197) // (8k + 5) 型
g(288k + 113) = 864k + 340 = 4(216k + 85) // (8k + 5) 型
g(288k + 209) = 864k + 628 = 4(216k + 157) // (8k + 5) 型
上記で得られたデータ型に対する次のコラッツ遷移は以下である。
g(216k + 125) = 648k + 376 = 8(81k + 47) // 125 → 47
g(216k + 197) = 648k + 592 = 8(81k + 74) // 197 → 37 → 7
g(216k + 85) = 648k + 256 = 8(81k + 32) // 85 → 1
g(216k + 157) = 648k + 472 = 8(81k + 59) // 157 → 59
※上記において、コメント部分は、モード部分を除いた
データ部分のみに着目した遷移値である。
よって、データ型の組合せパターンに対するコラッツ遷移は、
いずれの場合も (8k + 5) 型以外の値に遷移する。
すなわち、(8k + 5) 型のコラッツ遷移は永続しない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-11]g() の2進数伸長ビット数は最大 2
(命題)
n > 1 の場合、2進数演算における g(n) 演算の
最大伸長ビット数は 2 である。
(証明)
$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$ の場合、$4n \ge (3n + 1)$ である。
$\because 4n - (3n + 1) = n - 1 \ge 0$
上式において、等号が成立するのは、n = 1 の場合である。
よって、n > 1 の場合、演算結果は元の値の2倍以上、
4倍未満なので、g(n) の2進法表現における最大伸長ビット数は
2である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-12](32k + 25) 型遷移は初期値下降シーケンス
(命題)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (32k + 25)$ 型のコラッツ遷移は
初期値下降シーケンスである。
(証明)
(32k + 25) 型を mod 64, mod 128 で分類すると、
・64k + 25
・64k + 57
- 128k + 57
- 128k + 121
(64k + 25) 型の遷移は、以下である。
g(64k + 25) = 192k + 76 = 4(48k + 19)
g(48k + 19) = 144k + 58 = 2(72k + 29)
g(72k + 29) = 216k + 88 = 8(27k + 11)
このとき、(64k + 25) > (27k + 11) なので、(64k + 25) の
コラッツ遷移は、初期値下降シーケンスである。
(128k + 57) 型の遷移は、以下である。
g(128k + 57) = 384k + 172 = 4(96k + 43)
g(96k + 43) = 288k + 130 = 2(144k + 65)
g(144k + 65) = 432k + 196 = 4(108k + 49)
g(108k + 49) = 324k + 148 = 4(81k + 37)
このとき、(128k + 57) > (81k + 37) なので、(128k + 57) の
コラッツ遷移は、初期値下降シーケンスである。
(128k + 121) 型の遷移は、以下である。
g(128k + 121) = 384k + 364 = 4(96k + 91)
g(96k + 91) = 288k + 274 = 2(144k + 137)
g(144k + 137) = 432k + 412 = 4(108k + 103)
このとき、(128k + 121) > (108k + 103) なので、(128k + 121) の
コラッツ遷移は、初期値下降シーケンスである。
以上の結果より、(32k + 25) 型のコラッツ遷移は、
出現する全パターンで、初期値下降シーケンスである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-13]上限が存在する関数の特定値への到達
(命題)
$\forall n \in \mathbb{N}, \exists f(n) \in \mathbb{N}$ である場合に、
出発点とする初期値(n)に対して、関数 f を繰り返し適用する。
関数 f に関して、以下の条件が成り立つ場合、最終的には、
必ず上限値以下のある特定の値に有限回で到達する。
(A)f(n) ≠ n // 演算結果は、必ず指定パラメタとは異なる。
(B)演算結果列内では同一値は出現しない。 // 循環参照なし
(C)f(n) には上限値(m)が存在する。
ただし、該当の特定値に到達後は、循環参照してもよい。
(証明)
仮定より、f(n) の最大実行可能回数は m 以下である。
よって、初期値(n)に対して、関数 f を繰り返し適用した場合、
必ず有限回(最大でも m 回)で特定の関数値に到達する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-14]先頭遷移最大値数のコラッツ遷移は収束する。
(命題)
先頭遷移最大値数のコラッツ遷移は、コラッツ収束する。
(証明)
先頭遷移最大値数のコラッツ遷移は、[補題C-13]の
以下の条件を満たす。
(A)f(n) ≠ n // 演算結果は、必ず指定パラメタとは異なる。
(B)演算結果列において、同一値は出現しない。// 循環参照なし
(C)f(n) には上限値が存在する。 // 先頭遷移最大値数の仮定
また、[補題F-1]より、コラッツ遷移では、1を初期値とする
演算以外には、自己参照ループとなる循環参照は存在しない。
よって、[補題C-13]より、先頭遷移最大値数のコラッツ遷移は、
必ず1に到達する。すなわち、コラッツ収束する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-15]先頭遷移最大値数へリンクする遷移は収束する。
(命題)
先頭遷移最大値数へリンクするコラッツ遷移シーケンスは、
コラッツ収束する。
(証明)
先頭遷移最大値数のコラッツ遷移は、[補題C-14]より、
コラッツ収束する。
よって、先頭遷移最大値数が、その末端に出現する
任意のコラッツ遷移シーケンスは、全体としてコラッツ収束する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-16]BTG 基準値が TAM → 従属値も TAM
(命題)
コラッツ遷移において、分岐テーブルグループの基準値が
先頭遷移最大値数ならば、その分岐テーブルグループの従属値は
先頭遷移最大値数である。
(証明)
基準値が先頭遷移最大値数である分岐テーブルグループの要素を
その先頭から $A_k = \lbrace A_1, A_2, \cdots \rbrace$ とする。
すなわち、$A_1$ が基準値である。
また、分岐テーブルグループの定義より、
$\forall k \in \mathbb{Z} \gt 1, A_k \gt A_1$ である。
$A_1$ を出発点とするコラッツ遷移で出現する奇数を
$\forall k \in \mathbb{Z} \gt 0, B_n = \lbrace B_1, B_2, \cdots \rbrace$ とおくと、
$A_1$ が先頭遷移最大値数なので、$A_1 \gt B_n$ である。
一方、$A_k \gt A_1$ なので、$A_k \gt B_n$ が成り立つ。
よって、分岐テーブルグループの従属値 $A_k$ を出発点とする
コラッツ遷移では、$A_k$ が遷移全体の最大値である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-17]BTG 基準値が TAM → 従属値はコラッツ収束
(命題)
コラッツ遷移において、分岐テーブルグループの基準値が
先頭遷移最大値数ならば、その分岐テーブルグループの
従属値のコラッツ遷移はコラッツ収束する。
(証明)
分岐テーブルグループの基準値(a)が先頭遷移最大値数なので、
a の遷移はコラッツ収束する。
a と分岐テーブルグループの従属値(b)は、同一値(c)へ遷移する。
仮定より、c のコラッツ遷移はコラッツ収束するので、
b のコラッツ遷移も収束する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-18]コラッツ遷移で極大値が発生するシーケンス
(命題)
コラッツ遷移で極大値が発生するシーケンスは、
以下の場合に限られる。
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (8k + 3) → (12k + 5) → (9k + 4)$
(証明)
奇数を mod 4 で分類すると、(4k + 1)/(4k + 3) 型の
いずれかである。(4k + 1) 型のコラッツ遷移は以下である。
g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (4k + 1) \ge (3k + 1)$ なので、k = 0 の場合を除き、
(4k + 1) 型の遷移は初期値下降シーケンスである。
よって、コラッツ遷移で初期値が増大するパターンは、
mod 4 の分類では、(4k + 3) 型に限られる。
(4k + 3) 型を mod 8 で分類すると、(8k + 3) / (8k + 7) 型の
いずれかである。(8k + 7) 型は、[補題A-13]より、
(8k + 7) 型または (8k + 3) 型へ遷移する。
すなわち、遷移値が増大する場合が (4k + 3) 型に限られる中で、
極大値が発生するパターンは (8k + 3) 型に絞られる。
また、(8k + 3) 型の遷移は、以下である。
g(8k + 3) = 24k + 10 = 2(12k + 5)
よって、(4k + 3) 型から (4k + 1) 型に遷移するパターンは、
(8k + 3) → (12k + 5) の場合しかない。
(12k + 5) 型の遷移は、以下である。
g(12k + 5) = 36k + 16 = 4(9k + 4)
まとめると、コラッツ遷移で極大値が発生するシーケンスは、
(8k + 3) → (12k + 5) → (9k + 4) に限られる。
このシーケンスは、(12k + 5) 型を極大値とする、
上に凸のグラフを成す。(ex. k = 1 の場合、11 → 17 → 13)
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題C-19]コラッツ遷移最大値のデータ型は (4k + 1) 型
(命題)
コラッツ遷移における極大値のデータ型は (4k + 1) 型である。
(証明)
[補題C-18]より、コラッツ遷移で極大値が発生するシーケンスは、
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (8k + 3) → (12k + 5) → (9k + 4)$
に限られる。
よって、極大値のデータ型は (12k + 5) 型である。
12k + 5 = 4(3k + 1) + 1 なので、(12k + 5) 型は (4k + 1) 型である。
コラッツ遷移における最大値は、少なくともコラッツ遷移における
極大値である必要がある。
コラッツ遷移における極大値のデータ型が (4k + 1) 型のみなので、
コラッツ遷移における最大値のデータ型は (4k + 1) 型に限られる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題D]分岐テーブルに関する補題
ここでは、分岐テーブルに関する補題を列挙する。
[補題D-1]BT 間リンクの一意性
(命題)
2つの分岐テーブル間のリンクは一意に定まる。
(証明)
$\forall n \in N_o, g(n)$ は全単射である。
また、偶数 m = 3n + 1 を引数とする r(m) は単射である。
よって、リンクを形成する2つの分岐テーブルの
どちらから見ても、題意の条件を満たす引数に対して得られる
g(n), r(m) の演算結果は一意に定まる。
したがって、ある分岐テーブル @n と、そのリンク対象である
分岐テーブルにおいて、(3n + 1) である要素(分岐点)は、
@n と双方向で1対1のリンク関係となる。
よって、命題は成り立つ。
□
[補題D-2]複数BT間リンクの一意性
(命題)
複数の分岐テーブルが順次リンクした形態の
分岐テーブル間リンクは、経路テーブル全体において一意に定まる。
(証明)
合成写像の性質として、一般に以下が成り立つ。
f:X → Y, g:Y → Z であるとき、
f, g がともに全単射ならば、g ∘ f も全単射である。
ここで、3つの分岐テーブル(@a, @b, @c)間に、
連続したリンク(@a → @b→ @c)が存在するものとする。
このとき、b = g(a) なので、c = g(b) = g(g(a)) である。
すなわち、@a → @c を表現する合成写像は、g ∘ g である。
一方、コラッツ演算関数 $\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, g(n) = 3n + 1$ は、
全単射である。
したがって、合成写像の性質から、g ∘ g も全単射であることが
導かれる。これは、3つの分岐テーブルに跨って連続する
分岐テーブル間リンクは、経路テーブル全体において、
一意に定まることを意味する。
以降、リンクする分岐テーブル数を増やした場合でも、
上記の議論は同様に成り立つ。
よって、命題は成り立つ。
□
[補題D-3]BT 最初のリンク対象点
(命題)
@a の代表値が (6k + 1)/(6k + 5) 型のいずれかであるかにより、
分岐テーブルのリンク基準点位置が定まる。
この場合、@a に対してリンクする分岐テーブルの
代表値 n は以下となる。
\forall n \in N_o,\ n = \left \{ \begin{array} \\
(4a - 1) \mathbin{/} 3 & (n \equiv 1 \pmod 6) \\
(2a - 1) \mathbin{/} 3 & (n \equiv 5 \pmod 6)
\end{array}
\right.
(証明)
最初に、r = 0 の場合を考える。
この場合、a は3の倍数なので、分岐テーブル@a には、
リンク対象点がない。よって、この命題の対象外である。
次に、分岐テーブルにおけるリンク対象点の
存在位置について考える。
分岐テーブル内の偶数は、ある定点の値を b とすると、
その次の値は 2b である。
a が (6k + 1) 型場合、最初の偶数 c は、
c = 2(6k + 1) = 12k + 2 = 3(4k) + 2
上式は、a が(3n + 1)型奇数の場合、最初の偶数が
(3n + 2)型となる。これは g() 演算に適合しない。
同様に、2番目の偶数 c' は、以下となる。
c' = 4(6k + 1) = 24k + 4 = 3(8k + 1) + 1
上式の最終部分は、全体として、(3n + 1) 型であり、
g() 演算に適合する。
よって、a が(6k + 1)型の場合、最初のリンク対象点は
先頭から2番目の偶数となる。
ここで、3n + 1 = 4a とおくと、n = (4a - 1) / 3 である。
a が (6k + 5) 型の場合、最初の偶数 c は、
c = 2(6k + 5) = 12k + 10 = 3(4k + 3) + 1
上式の最終部分は、全体として、(3n + 1) 型であり、
g() 演算に適合する。
よって、a が(6k + 5)型の場合、最初のリンク対象点は
最初の偶数となる。
ここで、3n + 1 = 2a とおくと、n = (2a - 1) / 3 である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題D-4]リンク対象点にリンクする奇数の関係
(命題)
分岐テーブルのリンク対象点にリンクする奇数の関係は、
以下の漸化式で表される。
$A_1 = a \gt 0$
$A_{n+1} = 4A_n + 1,\ where\ \forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$
ただし、a は分岐テーブルのリンク基準点である。
(証明)
最初に、すべての分岐テーブル構造の基本である
ルートテーブルについて考察する。
リンク対象点の関係において、ルートテーブルに関して
成り立つことは、他の分岐テーブルについても同様に成り立つ。
この理由は、すべての分岐テーブルの構造は、代表値からの
比率関係として相似であり、異なる点は代表値のみだからである。
ただし、各分岐テーブル単位で異なる点は、
代表値から見た場合におけるリンク対象点の存在位置である。
代表値の直後の偶数要素がリンク対象点である場合もあるし、
代表値から見て次の次の偶数要素がリンク対象点である場合もある。
しかし、リンク対象点が、3の除算による余りの分類上で、
(3n + 1) 型と、(3n + 2) 型が交互に現れることによる、
一つ飛ばしの位置関係である点は変わらない。
この分岐テーブル上の位置関係は、分岐テーブル構造の定義から
派生しており、漸化式に 4(= 2 * 2)という値が現れる
要因となっている。
ルートテーブルのリンク対象点4の冪乗であり、以下である。
{4|16|64|256|1024|4096|... }
また、ルートテーブルのリンク対象点にリンクする奇数は、
以下である。
1,5,21,85,341,1365,...
ルートテーブルのリンク対象点の最小値を a とおくと、
次のリンク対象点は 4a であり、リンク対象点の関係は、
直前の値の4倍となる。
また、最小値のリンク対象点 4 に対応する奇数は 1 であり、
次のリンク対象点 16 と、それに対応する奇数は 5 である。
この対応関係は、次のペアに対しても、同様である。
したがって、リンク識別子 (1, 4) と (5, 16) 間の関係を求めれば、
すべてのリンク識別子に対して適用可能となる。
実際、リンクする奇数 1 と奇数 5 の関係は、5 = 4*1 + 1 である。
よって、あるリンク識別子の奇数を a, 次のリンク識別子の奇数を
b とすると、以下の関係が成り立つ。
b = 4a + 1
この関係は、ルートテーブルだけに限定されるものではなく、
上記の考察より、任意の分岐テーブルに適用されるものであり、
2つのリンク識別子に対応する奇数 An, An+1 の関係は、
∀n > 0 ∈ $\mathbb{Z}$ として、以下の漸化式で表すことができる。
初項 : A1 = a > 0
一般項: An+1 = 4An + 1, where ∀n > 0 ∈ $\mathbb{Z}$
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題D-5](6m + 3) 型分岐テーブルにはリンク対象点が存在しない。
(命題)
(6m + 3) 型が代表値である分岐テーブルには、
リンク対象点が存在しない。
(証明)
代表値が $\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, (6m + 3)$ 型である分岐テーブルの
リンク対象点は、$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, 3(2m + 1)2^n$ と表現できる。
(6m + 3) 型分岐テーブルにコラッツ遷移のリンク対象点がある
と仮定し、そのリンク元の奇数を $\exists x \in \mathbb{Z} \gt 0$ とすると、
$3(2m + 1)2^n = 3x + 1$
上式両辺に対する3の剰余を求めると、
左辺は 0、右辺は 1 なので矛盾である。
よって、最初の仮定は成り立たない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題D-6]コラッツ演算結果として、(6m + 3) 型奇数は出現しない。
(命題)
コラッツ演算結果として、(6m + 3) 型奇数は出現しない。
(証明A)
$\forall n \in N_o, \exists m \in \mathbb{Z} \ge 0, set\ n = 2m + 1$, then
g(n) = 3n + 1 = 3(2m + 1) + 1 = 6m + 4 = 2(3m + 2)
よって、任意の奇数に対するコラッツ演算結果は(3m + 2)となる。
(3m + 2)を m のパリティで分類する。
m が偶数の場合:$\forall k \in \mathbb{Z} \gt 0$, m = 2k とおく。
3m + 2 = 6k + 2 = 2(3k + 1)
上式の (3k + 1) 部分は、3の倍数ではない。
よって、この場合の演算結果は3の倍数とはならない。
m が奇数の場合:$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$, m = 2k + 1 とおく。
3m + 2 = 6k + 5
上式は、3の倍数ではない。
よって、この場合の演算結果は3の倍数とはならない。
以上の結果より、(3m + 2) は3の倍数とはならない。
すなわち、すべての奇数に対して、そのコラッツ演算結果は、
3の倍数とはならない。
したがって、命題は成り立つ。
(証明B)
命題は、「コラッツ遷移の途中過程で 3n 型分岐テーブルを
通過することがない。」と同値である。
[補題D-5]より、(6m + 3) 型分岐テーブルにはリンク対象点が
存在しないので、すべての分岐テーブルに関して、コラッツ遷移の
途中で、(6m + 3) 型分岐テーブルを通過することはあり得ない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題D-7](8k + 1) 型 BTG 代表値は(6k + 1)型 BT にリンク
(命題)
∀k ∈ $\mathbb{Z}$ ≧ 0, (8k + 1) 型分岐テーブルグループの代表値は、
(6k + 1)型代表値を持つ分岐テーブルにリンクする。
(証明)
g(8k + 1) = 24k + 4 = 4(6k + 1)
よって、命題は成り立つ。
□
[補題D-8](4k + 3)型 BT の遷移先は (6k + 5) 型
(命題)
分岐テーブルの代表値が (4k + 3) 型の場合、そのコラッツ遷移先の
分岐テーブルの代表値は (6k + 5) 型となる。
また、(4n + 3)型であり、(16k + 3)/(16k + 5)型でない
代表値を持つ分岐テーブルのコラッツ遷移先は、(6k + 5) 型である
分岐テーブルグループの基準値となる。
(証明)
分岐テーブルの代表値を n とし、∀k ≧ 0 ∈ $\mathbb{Z}$, n = 4k + 3
とおいて、g(n) を展開する。
g(n) = 3(4k + 3) + 1
= 12k + 10
= 2(6k + 5)
よって、g(n) / 2 は (6k + 5) となる。
以上の結果より、分岐テーブルの代表値が(4k + 3)型の場合、
その遷移先の分岐テーブルの代表値は (6k + 5) 型である。
したがって、命題の前半は成り立つ。
命題の後半については、(4k + 3)型奇数において、
(16k + 3)に g(n) を適用すると以下となる。
g(n) = 3(16k + 3) + 1
= 48k + 10
= 2(24k + 5)
= 2(8(3k) + 5)
よって、(16k + 3) 型の場合、 g() 適用後の値は (8k + 5) 型となる。
(8k + 5)型は、分岐テーブルグループにおいて従属値なので、
分岐テーブルグループの基準値ではない。
また、(16k + 5) 型は (8k + 5) 型に属する。
また、(4k + 3)型奇数において、16 を法とした場合、
(16k + 3)/(16k + 5) 型以外の場合は、
(16k + 7)/(16k + 11)/(16k + 15) である。
以下に、それぞれの場合で、g(n) を適用した結果を示す。
Case (16k + 7):
g(n) = 3(16k + 7) + 1
= 48k + 22
= 2(24k + 11)
= 2(8(3k + 1) + 3)
Case (16k + 11):
g(n) = 3(16k + 11) + 1
= 48k + 34
= 2(24k + 17)
= 2(8(3k + 2) + 1)
Case (16k + 15):
g(n) = 3(16k + 15) + 1
= 48k + 46
= 2(24k + 23)
= 2(8(3k + 2) + 7)
以上の結果より、16 を法とする (16k + 3) / (16k + 5) 型以外の場合、
g(n) 適用後に、2の冪乗を除去した形式は(8k + 5)型以外なので、
分岐テーブルグループの基準値となる。
よって、命題の後半が成り立つ。
以上の結果より、命題は成り立つ。
□
[補題E]循環参照に関する補題
ここでは、循環参照に関する補題を列挙する。
[補題E-1]分岐テーブルは自分自身にリンクできない。
(命題)
ルートテーブルを除く分岐テーブルは、
自身のリンク対象点にリンクできない。
(証明)
ルートテーブルを除く分岐テーブル @a が自身のリンク対象点
a(2^i) にリンクしていると仮定する。
ただし、a は3の奇数倍でない奇数、i > 0 は自然数とする。
なお、a を3の奇数倍でない奇数としているのは、
代表値が3の奇数倍の場合、リンク対象点が存在しないことによる。
上記の仮定より、明らかに a = 1, 3 の場合は除外できるので、
以降では、奇数である自然数 a ≧ 5 の場合を考察の対象とする。
この場合、仮定より、以下が成り立つ。
3a + 1 = a(2^i) ・・・(1)
(i = 1)の場合:
式(1)に i = 1 を代入すると、
3a + 1 = 2a
a + 1 = 0
a ≧ 5 なので、これは矛盾である。
(i = 2)の場合:
式(1)に i = 2 を代入すると、
3a + 1 = 4a
a = 1
a ≧ 5 なので、これは矛盾である。
(i > 2)の場合:
式(1)に i = 3, 4, ... を代入すると、
case i = 3: 3a + 1 = 8a, 5a = 1
case i = 4: 3a + 1 = 16a, 13a = 1
case i = 5: 3a + 1 = 32a, 29a = 1
...
a ≧ 5 なので、上記のすべての場合で矛盾となる。
以上の結果より、すべての i に対して、矛盾となる。
したがって、仮定は誤りであり、命題は成り立つ。
□
[補題E-2]2つの分岐テーブル間で循環参照は発生しない。
(命題)
2つの分岐テーブル間では、循環参照は発生しない。
ただし、ルートテーブルは対象外とする。
(証明)
代表値が異なる2つの分岐テーブル間において、@a → @b であるとき、
@b → @a のリンクが確立できないことを示す。
ただし、b は、3の奇数倍ではない。
このとき、 以下が成り立つ。
・$a \ne b$
・$a \gt 2 \in N_o$
・$b \gt 3 \in N_o$
@a → @bのリンク関係式は、以下である。
$\exists n \in \mathbb{N}, 3a + 1 = b(2^n)$ ・・・(1)
ここで、@b→ @a のリンクが存在すると仮定すると、
$\exists m \in \mathbb{N}, 3b + 1 = a(2^m)$ ・・・(2)
式(2)に、式(1)を代入すると、以下となる。
3(3b + 1) = (b(2^n) - 1)(2^m)
b(2^(n + m) - 9) = 2^m + 3 ・・・(3)
式(3)において、右辺>0なので、b > 0 を考慮すると、
2^(n + m) > 9
上記を満たす (n + m) の条件は以下である。
(n + m) > 3
これより、n = m = 1 の場合、式(3)が成立しない。
ここで、代表値 b は奇数なので、k ∈ $\mathbb{N}$, b = 2k + 1 とおいて、
式(3)に代入すると以下となる。
(2k + 1)(2^(n + m) - 9) = 2^m + 3
上式を k について整理すると、以下となる。
k(2^(n + m) - 9) = 2^(m - 1)(1 - 2^n) + 6 ・・・(4)
最初に、m = 1 の場合、仮定が成立しないことを以下に示す。
式(L-2-4)に m = 1 を代入すると、
k(2^(n + 1) - 9) = 7 - 2^n
右辺は奇数であり、また、(2^(n + 1) - 9) は奇数である。
よって、上式が成立するためには、 k が奇数である必要がある。
ここで、$\forall j \in \mathbb{Z} \ge 0$, k = 2j + 1 とおく。
(2j + 1)(2^(n + 1) - 9) = 7 - 2^n
上式を j について整理すると、以下となる。
j(2^(n + 1) - 9) = 8 - 3 * 2^(n - 1) ・・・(5)
式(3)より、任意の n, m > 0 に対して、(2^(n + m) - 9) > 0
なので、上式の左辺≧0である。よって、8 ≧ 3 * 2^(n - 1)
である必要がある。
この条件を満たすには、3 > 2^(n - 1) でなければならない。
よって、2 ≧ 2^(n - 1)である必要がある。これを満たす n の候補は、
n = 1, 2 である。しかし、n = m = 1 の場合、式(L-2-3)が
成立しないので、n = 1 を除外する。
式(5)に、n = 2 を代入すると、
j(2^(2 + 1) - 9) = 8 - 3 * 2
j(2^3 - 9) = 2
j = -2
これは j ≧ 0 に反する。
よって、m = 1 の場合、仮定が成立しない。
また、式(1)および 式(2)は、(a, n) と (b, m) の置換に関する
対称性より、m に対する考察結果は同様に n に対しても適用できる。
よって、n = 1 の場合も仮定が成立しない。
以降では、m > 1, n > 1 の場合を考える。
式(4)の左辺>0であるので、以下の不等式が
成立する必要がある。
2^(m - 1)(1 - 2^n) + 6 > 0
6 > 2^(m - 1)(2^n - 1) ・・・(6)
式(6)を満たす右辺の値は、1, 2, 3, 4, 5 である。
一方、m > 1 である必要があるので、実際には偶数のみが
対象となり、式(6)の右辺の値の候補は 2, 4 に絞られる。
m = 2 の場合:
2^(m - 1) = 2 であり、(2^n - 1) < 3 を満たす n は
n = 1 のみであり、これは n > 1 の条件に反する。
m = 4 の場合:
2^(m - 1) = 8 であり、これは式(6)を満たさない。
よって、すべての m > 1 に対して、式(6)が成立しない。
したがって、式(3)が成立しないので、式(2)も成立しない。
以上より、すべての場合で、仮定が成立しない。
上記の結果より、「@b → @a のリンクが存在する」とした
仮定は誤りである。したがって、@b→ @a は存在しない。
以上の結果より、2つの分岐テーブル間の場合、起点となる
分岐テーブルに対して、終点となっている分岐テーブルが
リンクする状態は発生しない。
すなわち、2つの分岐テーブル間のリンクに関して、
循環経路は存在しない。
以上の結果より、命題は成り立つ。
□
[補題E-3]3つの分岐テーブル間で循環参照は発生しない。
(命題)
3つの分岐テーブル間では、循環参照は発生しない。
ただし、ルートテーブルは対象外とする。
(証明)
代表値が異なる複数の分岐テーブル @a, @b, @c を
以下に定義し、考察する。
ただし、@a, @b, @c は、ルートテーブル以外とする。
定義条件を以下に示す。
・a ≠ b, b ≠ c, c ≠ a
・$a, b, c \in N_o \gt 3$
・b, c は3の奇数倍ではない。
上記において、「b, c は3の奇数倍ではない。」としている理由は、
代表値が3の奇数倍の場合、リンク対象点が存在しないことによる。
また、a > 3 としている理由は、a = 3 ならば、a が3の奇数倍
なので、リンク対象点が存在しない。
よって、循環参照の対象外であることによる。
2つの分岐テーブル間の場合、[補題E-2]より循環参照は
発生しない。よって、3つの分岐テーブル間の場合で、循環参照が
発生する可能性があるのは、@c → @a の場合のみである。
@a → @b のリンク関係式は、以下である。
$\exists n \in \mathbb{N}$, 3a + 1 = b(2^n) ・・・(G-3-1)
また、@b → @c のリンク関係式は、以下である。
$\exists m \in \mathbb{N}$, 3b + 1 = c(2^m) ・・・(G-3-2)
ここで、@c → @a のリンクが存在すると仮定すると、
以下が成り立つ必要がある。
$i \in \mathbb{N}$, 3c + 1 = a(2^i) ・・・(G-3-3)
******************************************************************
最初に、式(G-3-3)で、i = 1 の場合を考える。
式(G-3-3)を変形すると以下となる。
3c = a(2^i) - 1
c > 3 は奇数なので、c = 2j + 1 (j: 自然数、j > 1)とおくと、
3(2j + 1) = a(2^i) - 1
6j + 4 = a(2^i)
3j + 2 = a(2^(i - 1))
i = 1 の場合、以下となる。
3j + 2 = a
よって、i = 1 の場合、a は(3n + 2)型である必要がある。
すなわち、a の候補は、{5, 7, ...} となる。
上式において、a > 2 は奇数なので、j は奇数である必要がある。
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$, j = 2k + 1 とおくと、
3(2k + 1) + 2 = a
6k + 5 = a
6k = a - 5 ≧ 0
上式より、a - 5 は 6 の倍数 {0, 6, 12, ...} である必要がある。
すなわち、i = 1 の場合、a = {5, 11, 17, ...} である必要がある。
この場合の b を式(G-3-1)より求めると、以下となる。
3a = {15, 33, 51, 69, ...}
3a + 1 = {16, 34, 52, 70, ...}
(3a + 1)/2 = {8, 17, 26, 35, ...}
∴ b = {17, 13, 35, ...}
(∵b > 3 は奇数、かつ a > 2 となる値を選択)
ただし、a = 5 は除外する。
この理由は、対象分岐テーブルがルートテーブルとなるからである。
上記の b から、c を式(G-3-2)より求めると、以下となる。
3b = {51, 39, 105, ...}
c(2^m) = 3b + 1 = {52, 40, 106, ...}
(3b + 1)/2 = {26, 20, 53, ...}
∴ c = {13, 5, 53, ...}
一方、i = 1 の場合、式(G-3-3)より、3c = 2a - 1 なので、
a = {11, 17, 23, ...} に対応する値は、3c = {21, 33, 45, ...} である。
よって、c = {7, 11, 15, ...} となる。
上記の経過を整理すると、以下となる。
(仮定よりの導出結果:a)
a = {11, 17, 23, ...} // (a - 5) は 6 の倍数(6, 12, 18, ...)
(上記の a に対する定義式よりの導出結果)
b = {17, 13, 35, ...}
c = {13, 5, 53, ...}
(上記の a に対する仮定よりの導出結果)
c = {7, 11, 15, ...}
よって、仮定よりの導出結果に基づいて算出した c の値が、
定義式よりの算出結果と異なるため、矛盾である。
この結果より、式(G-3-3)は、i = 1 の場合、a に対する
3の除算分類の全ての場合において成立しない。
したがって、式(G-3-3)は、i = 1 の場合、成立しない。
上記の結果より、以降は i > 1 の場合のみを考察対象とする。
******************************************************************
式(G-3-1)の両辺を3倍すると、以下となる。
3(3a + 1) = 3b(2^n)
式(G-3-2)の両辺を 2^n 倍すると、以下となる。
3b(2^n) + (2^n) = c(2^(n + m))
これらを比較すると、以下となる。
3(3a + 1) = c(2^(n + m)) - (2^n)
∴ 3(3a + 1) = (2^n)(c(2^(m)) - 1)
上式の両辺を3倍すると、以下となる。
9(3a + 1) = (2^n)(3c(2^(m)) - 3)
式(G-3-3)より、3c = a(2^i) - 1 を上式に代入すると、
9(3a + 1) = (2^n)((a(2^i) - 1)(2^(m)) - 3)
上式を a について整理すると、以下となる。
27a + 9 = (a(2^i) - 1)(2^(n + m)) - 3(2^n)
27a + 9 = a(2^i)(2^(n + m)) - (2^(n + m)) - 3(2^n)
a(2^(n + m + i)) - 27a = 2^(n + m) + 3(2^n) + 9
a(2^(n + m + i) - 27) = (2^n)(2^m + 3) + 9・・・(G-3-4)
ここで、上式の右辺>0なので、a > 3 より、
(2^(n + m + i) - 27) > 0 である。
よって、(n + m + i) > 4 である必要がある。
これは、n = m = i = 1 の場合、式(G-3-3)が
成立しないことを意味する。
******************************************************************
a > 3 は奇数なので、∀k ∈ $\mathbb{N}$, a = 2k + 1 とおいて、
式(G-3-4)に代入すると、以下となる。
(2k + 1)(2^(n + m + i) - 27) = (2^n)(2^m + 3) + 9
2k(2^(n + m + i) - 27) = (2^n)(2^m + 3) + 9 - (2^(n + m + i) - 27)
2k(2^(n + m + i) - 27) = (2^n)((2^m)(1 - 2^i) + 3) + 36
k(2^(n + m + i) - 27) = (2^(n - 1))((2^m)(1 - 2^i) + 3) + 18 ・・・(G-3-5)
******************************************************************
最初に、n = 1 の場合、仮定が成立しないことを以下に示す。
式(G-3-5)に n = 1 を代入すると、
k(2^(m + i + 1) - 27) = (2^m)(1 - 2^i) + 21 ・・・(G-3-6)
右辺は奇数であり、また、(2^(m + i + 1) - 27) は奇数である。
上式より、k > 0 が奇数である必要がある。
ここで、$\forall j \in \mathbb{N}$, k = 2j + 1 とおく。
(2j + 1)(2^(m + i + 1) - 27) = (2^m)(1 - 2^i) + 21
2j(2^(m + i + 1) - 27) = (2^m)(1 - 2^i) + 21 - (2^(m + i + 1) - 27)
2j(2^(m + i + 1) - 27) = (2^m)(1 - 2^i - 2^(i + 1)) + 48
2j(2^(m + i + 1) - 27) = (2^m)(1 - 3(2^i)) + 48
j(2^(m + i + 1) - 27) = (2^(m - 1))(1 - 3(2^i)) + 24 ・・・(G-3-7)
上式の左辺>0なので、(2^(m - 1))(1 - 3(2^i)) + 24 > 0
である必要がある。
∴ 24 > (2^(m - 1))(3(2^i) - 1) ・・・(G-3-8)
(n = 1, m = 1 の場合)
24 > 3(2^i) - 1
25/3 > 2^i
∴ 3 ≧ i
i > 1 である必要があるので、i の候補は、2, 3 となる。
式(G-3-7)に m = 1 を代入すると、
j(2^(i + 2) - 27) = 25 - 3(2^i) ・・・(G-3-9)
(i = 2 の場合)
式(G-3-9)に i = 2 を代入すると、
j(2^4 - 27) = 25 - 3(2^2)
-11j = 13
上式の結果は、j > 0 である自然数が得られないので、
矛盾である。
よって、i = 2 の場合、式(G-3-5)が成立しない。
(i = 3 の場合)
式(G-3-9)に i = 3 を代入すると、
j(2^(3 + 2) - 27) = 25 - 3(2^3)
5j = 1
上式を満たす j > 0 である自然数は存在しないので、
矛盾である。
よって、i = 3 の場合、式(G-3-5)が成立しない。
したがって、(n = 1, m = 1 の場合)、
式(G-3-5)が成立しない。
(n = 1, m > 1 の場合)
式(G-3-7)において、m > 1 なので、2^(m - 1) の最小値は
m = 2 の場合となり、以下である必要がある。
12 > 3(2^i) - 1
13/3 > 2^i
∴ 2 ≧ i
i > 1 である必要があるので、i の候補は、2 のみとなる。
この場合、式(G-3-8)に、i = 2 を代入すると、以下となる。
24 > (2^(m - 1))(3(2^2) - 1)
24/11 > 2^(m - 1)
m > 1 の条件で、上式の関係を満たすのは、
m = 2 の場合のみである。
i = m = 2 を式(G-3-7)に代入すると、以下となる。
j(2^(2 + 2 + 1) - 27) = (2^(2 - 1))(1 - 3(2^2)) + 24
j(2^(5) - 27) = (2^1)(1 - 3(4)) + 24
j(32 - 27) = 2(1 - 12) + 24
5j = 2
上式を満たす j > 0 である自然数は存在しないので、
矛盾である。
したがって、(n = 1, m > 1 の場合)、
式(G-3-5)が成立しない。
以上より、n = 1 の場合、仮定が成立しない。
******************************************************************
次に、n > 1 の場合、仮定が成立しないことを以下に示す。
(n > 1 の場合)
(n > 1, m = 1 の場合)
式(G-3-5)に m = 1 を代入すると、
k(2^(n + 1 + i) - 27) = (2^(n - 1))(2(1 - 2^i) + 3) + 18
上式の左辺>0であるので、以下の不等式が
成立する必要がある。
18 > (2^(n - 1))(2(2^i - 1) + 3)
一方、n > 1 なので、2^(n - 1) の最小値は
n = 2 の場合となり、上式は、以下である必要がある。
9 > (2(2^i - 1) + 3)
4 > 2^i
∴ i < 2
i > 1 より、該当する $i \in \mathbb{N}$ が存在せず、
式(G-3-8)は成り立たない。
よって、n > 1, m = 1の場合、式(G-3-5)が成立しない。
(n > 1, m > 1 の場合)
式(G-3-5)の左辺>0であるので、
以下の不等式が成立する必要がある。
(2^(n - 1))((2^m)(1 - 2^i) + 3) + 18 > 0
18 > (2^(n - 1))((2^m)(2^i - 1) + 3)
一方、n > 1 である必要があるので、
2^(n - 1) の最小値は n = 2 の場合となり、
以下である必要がある。
$9 > 2^m(2^i - 1) + 3$
$6 > 2^m(2^i - 1)$
一方、m > 1 であるから、2^m の最小値は4であり、
以下が成り立つ。
$6/4 > (2^i - 1)$
$5/2 \gt 2^i$
上式を満たす自然数 i の候補は 1 のみである。
しかし、i > 1 であるから、上式は成り立たない。
よって、n > 1 であるすべての場合で仮定が成立しない。
したがって、すべての n > 0 に対して、仮定が成立しない。
以上より、n, m, i に対するすべての組み合わせにおいて、
仮定が成り立たないことを検証した。
上記より、「@c → @a のリンクが存在する」とした仮定は
誤りである。したがって、@c → @a のリンクは存在しない。
以上の結果より、3つの分岐テーブル間の場合、
3つの分岐テーブルが順次リンクした状態において、起点となる
分岐テーブルに対して、終点となっている分岐テーブルが
リンクする状態は発生しない。
すなわち、3つの分岐テーブル間のリンクに関して、
循環経路は存在しない。
以上の結果より、命題は成り立つ。
□
[補題E-4]端点シーケンスでは循環参照は発生しない。
(命題)
端点シーケンスでは、循環参照は発生しない。
(証明)
端点シーケンスに含まれる分岐テーブル数を n として、
数学的帰納法を用いて証明する。
n = 1 の場合、端点シーケンスでは 3n 型代表値を持つ
分岐テーブルが対象である。この分岐テーブルにはリンク対象点が
ないので、循環参照は発生しない。
よって、n = 1 の場合、命題は成り立つ。
n = 2 の場合に循環参照が発生すると仮定すると、コラッツ遷移の
進行方向の末端の分岐テーブルから始端の分岐テーブルへのリンクが
存在する。
一方、端点シーケンスでは 3n 型代表値を持つ分岐テーブルが
始端である。始端の分岐テーブルである 3n 型代表値を持つ
分岐テーブルにはリンク対象点が無いので循環参照は発生しない。
よって、n = 2 の場合に循環参照が発生するとした仮定は
誤りである。したがって、n = 2 の場合、命題は成り立つ。
n = 3 の場合に循環参照が発生すると仮定すると、
発生する可能性があるのは、n = 1, n = 2 の場合を考慮すると、
以下の場合のみである。
(Case-1)末端の分岐テーブル → 始端の分岐テーブル
一方、端点シーケンスでは 3n 型代表値を持つ分岐テーブルが
始端である。(Case-1)の場合、循環参照は発生しない。
よって、n = 3 の場合に循環参照が発生するとした仮定は
誤りである。したがって、n = 3 の場合、命題は成り立つ。
一般的に、n = k の場合まで命題が成り立つとき、
n = k + 1 の場合に対して、n = k までに成り立っている内容を
循環参照に適用すると、以下の状態となる。
すなわち、末端 → 始端のパターンに対する循環参照の
可能性が残る。
ここで、$\forall k \in \mathbb{N} \gt 3, n = k$ の場合に、
命題が成り立つと仮定する。このとき、n = k + 1 の場合に
循環参照が発生すると仮定すると、発生する可能性のあるのは、
以下の場合のみである。
(Case-2)末端の分岐テーブル → 始端の分岐テーブル
一方、端点シーケンスでは 3n 型代表値を持つ分岐テーブルが、
リンク系統の始端であるため、(Case-2)の循環参照は発生しない。
n = k + 1 の場合に循環参照が発生するとした仮定は誤りである。
よって、n = k + 1 の場合、命題は成り立つ。
以上の結果より、すべての n に対して命題は成り立つ。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題E-5]コラッツ遷移における同一奇数の重複出現の否定
(命題)
コラッツ遷移において、同一の奇数は重複して出現しない。
ただし、ルートテーブルの代表値である 1 の場合を除く。
(証明)
コラッツ遷移の経路として、ルートテーブルを除く $V_0 \gt 1$ を
起点とする、$\forall j,k \in \mathbb{Z} \ge 0, j \neq k ⇒ V_j \neq V_k$, @$V_0$ ~ @$V_n$ 間が
リンクする場合を分岐点遷移方程式で考える。ただし、
$\displaystyle i \in \mathbb{Z} \gt 0, ∀n \in \mathbb{Z} \gt 0, i \le n, P_i \in \mathbb{Z} \gt 0, p = \sum_{i=1}^{n}P_i$ とする。
$\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = (2^p)(\frac{V_0}{2^{P_1}V_1})(\frac{V_1}{2^{P_2}V_2}) \cdots (\frac{V_{n-1}}{2^{P_n}V_n}$) ・・・(1)
上式の記述順序を逆転すると以下となる。
$\displaystyle (\frac{V_{n-1}}{2^{P_n}V_n}) \cdots (\frac{V_1}{2^{P_2}V_2})(\frac{V_0}{2^{P_1}V_1})(2^p) = \frac{V_0}{V_n}$ ・・・(2)
この場合に、「遷移途中で $V_0$ が再び現れる」と仮定すると、
以下となる。
$\displaystyle (\frac{V_{n-1}}{2^{P_n}V_n})(\frac{V_1}{2^{P_2}V_2})(\frac{V_0}{2^{P_1}V_1}) \cdots (\frac{V_0}{2^{P_1}V_1})(2^q) = \frac{V_0}{V_n}$ ・・・(3)
ただし、$\displaystyle q = \sum_{j=1}^{n}P_j$ を式(3)左辺の各項における2のべき乗成分の
指数の総和とする。
なお、ここでは、$V_0$ を再び出現する奇数としているので、
その最初の遷移値である $V_1$ は、$V_0$ が再び出現するまでの
途中の遷移過程で再度出現することはない。
何故なら、もし、$V_1$ が途中の遷移過程で出現するなら、
その直前の遷移値は $V_0$ であり、この状況の仮定に反するからである。
よって、途中の遷移過程で出現する遷移値 a は、$a \ne V_0, a \ne V_1$
でなければならない。
式(2)を式(3)に代入すると、以下となる。
$(\frac{V_0}{V_n}) \cdots (\frac{V_0}{2^{P_1}V_1})2^p = \frac{V_0}{V_n}$
両辺を $\frac{V_0}{V_n}$ で割ると、
$1 \cdots (\frac{V_0}{2^{P_1}V_1})2^p = 1$
上式は遷移方程式なので、途中の対応する
(奇数および2のべき乗)項は相殺される。
2のべき乗項を相殺した結果を $\exists r \in \mathbb{Z} \ge 0$ として、
式を整理する。なお、通常は、r = 0 である。
ここでは、r > 0 となる場合でも命題が成り立つことを示す。
$1 \cdots (\frac{V_0}{V_1})2^r = 1$ ・・・(4)
(中間項が存在しない場合)// 式(4)の $\cdots$ 部分が空
$V_0 2^r = V_1$ ・・・(5)
r = 0 の場合:
式(5)より、$V_1 = V_0$ となる。
これは、@$V_0$ → @$V_0$ を意味する。
一方、[補題E-1]より、ルートテーブルを除いて、
分岐テーブルは自分自身にリンクできないので矛盾である。
r > 0 の場合:
式(5)は、(左辺は偶数、右辺は奇数)なので矛盾。
(中間項が存在する場合) // 式(4)の $\cdots$ 部分が有効
この場合、最終項は分子が簡約対象である。奇数項の簡約で
分母に残る奇数を $\exists a \in \mathbb{N}$ とすると、式(4)は以下となる。
$a 2^r = V_1$ ・・・(6)
r = 0 の場合:
式(6)は、$a = V_1$ となる。仮定より、
遷移過程の途中で相殺されない奇数は、$a \neq V_1$ である。
よって、矛盾である。
r > 0 の場合:
式(5)は(左辺は偶数、右辺は奇数)となり、矛盾。
よって、中間項の有無に関わらず、矛盾となる。
以上の結果より、「遷移途中で $V_0$ が再び現れる」とした
仮定は誤りである。
すなわち、コラッツ遷移の過程で現れる奇数に関して、
同一の奇数は重複して出現しない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F]リンクに関する補題
ここでは、リンクに関する補題を列挙する。
[補題F-1]他の分岐テーブルへ遷移しない自己参照型分岐テーブル
(命題)
他の分岐テーブルへ遷移しない唯一の自己参照型分岐テーブルは、
ルートテーブルのみである。
(証明)
最初に、ルートテーブル(@1)が他の分岐テーブルへ
遷移しないことを示す。
次に、ルートテーブル以外に、他の分岐テーブルへ遷移しない
分岐テーブルが存在しないことを背理法で示す。
ルートテーブルのコラッツ遷移は、1 → 4 → 2 → 1 であり、
自己参照ループである。よって、ルートテーブルは、
他の分岐テーブルへ遷移しない。
ここで、ルートテーブル以外で、他の分岐テーブルへ遷移しない
分岐テーブル @x が存在すると仮定する。
ただし、ルートテーブルを除外するための制約条件が存在し、
$\exists x \in \mathbb{N} \gt 1$ である。
この場合、分岐テーブルは、自己復帰型である必要がある。
何故ならば、g(x) = 3x + 1 なので、g(x) の値は自然数として
必ず存在し、かつ、[補題D-1]より、x と g(x) の対応関係は
1対1だからである。
自己復帰型の分岐テーブルでは、リンク対象点の位置に対応する
係数$\exists n \in \mathbb{N} \gt 1$ に対して、以下が成り立つ。
nx = 3x + 1
上式を整理すると、以下となる。
(n - 3)x = 1
上式の右辺 > 0 なので、x > 1 より、n > 3 である必要がある。
一方、上式が成り立つためには、(n - 3) < 1 である必要がある。
すなわち、1 < n < 4 でなければならない。
よって、3 < n < 4 である必要がある。
しかし、そのような自然数 n は存在しないので、矛盾である。
以上の結果より、ルートテーブル以外で、@x が存在するとした
仮定は誤りである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-2]他の分岐テーブルへ遷移しない分岐テーブル
(命題)
他の分岐テーブルへ遷移しない唯一の分岐テーブルは、
ルートテーブルである。
(証明)
[補題F-1]より、コラッツ遷移において、他の分岐テーブルへ遷移しない
自己参照型分岐テーブルは、自明な経路であるルートテーブルを起点とする
1 → 4 → 2 → 1 → ・・・ 以外には存在しない。
一方、[補題E-5]より、コラッツ遷移では、上記の循環経路を除いて、
同一の奇数は重複して出現しない。
よって、コラッツ遷移においては、ルートテーブル以外を起点とする
循環経路は存在しない。
したがって、他の分岐テーブルへ遷移しない分岐テーブルは、
ルートテーブルのみである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-3]全ての分岐テーブルに他分岐テーブルからのリンクが存在
(命題)
すべての分岐テーブルには、他の分岐テーブルからのリンクが
存在する。ただし、3の奇数倍の代表値を持つ分岐テーブルを除く。
(証明)
3の奇数倍の代表値を持つ分岐テーブルには、
リンク対象点が存在しない。
よって、(3n)型代表値を持つ分岐テーブルには、
他の分岐テーブルからのリンクは存在しない。
$\forall n \in N_o$ に対する分岐点は、写像 f: n → 3n + 1 で定義される。
一方、f: n → 3n + 1 は全単射なので、自然数における奇数と、
その演算結果としての分岐点は1対1に対応する。
また、ルートテーブルには、 1 → 4 → 2 → 1 の
自己参照ループが存在する。したがって、ルートテーブル内の
自己参照ループの場合を除いて、すべての分岐テーブル内の
分岐点は、他の分岐テーブルからのリンクが存在する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-4]BT は必ず他 BT へリンク
(命題)
ルートテーブルを除く分岐テーブルは、
必ず他の分岐テーブルへリンクする。
(証明)
[補題F-2]の対偶は、以下となる。
「ルートテーブルを除く分岐テーブルは、
必ず他の分岐テーブルへリンクする。」
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-5]逆方向遷移の起点となる分岐テーブルは @1
(命題)
コラッツ遷移系統全体において、逆方向遷移の起点となる
分岐テーブルは、ルートテーブルのみである。
(証明)
逆方向リンクの起点となる分岐テーブルの必要条件は、以下である。
(a)逆方向リンクの終点となる分岐テーブルが存在する。
(b)その分岐テーブルが他の逆方向リンクの終点とならない。
(c)分岐テーブルの代表値が (6k + 1)/(6k + 5) 型である。
上記において、コラッツ遷移系統全体において、条件(b)を満たす
逆方向遷移の起点となる分岐テーブルの代表値のコラッツ遷移は
自己参照ループを形成する必要がある。これを満たす代表値は、
「[補題F-2]他の分岐テーブルへ遷移しない分岐テーブル」より、
ルートテーブルのみである。また、ルートテーブルは、上記の
条件(a)、(c)を満たす。
よって、逆方向遷移の起点となる分岐テーブルは @1 しか存在しない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-6](6k + 1) 型 BT リンク基準点へのリンクは(8k + 1)型
(命題)
代表値が(6k + 1)型である分岐テーブルのリンク基準点へリンクする
分岐テーブルの代表値のデータ型は (8k + 1) 型に限られる。
(証明)
代表値(6k + 1)型である分岐テーブル @b の
リンク基準点は、4b である。
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, b = 6k + 1$ とおくと、
4b = 4(6k + 1) = 24k + 4
$\exists x \in N_o$, @x → @b を考えると、以下となる。
g(x) = 3x + 1 = 4b = 24k + 4
上式に b = 6k + 1 を代入すると、
3x = 24k + 3
∴x = 8k + 1 // (4k + 1) type
よって、(6k + 1)型代表値を持つ分岐テーブルへリンクする
分岐テーブルの代表値は (8k + 1) 型である必要がある。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-7](6k + 5) 型 BT リンク基準点へのリンクは (4k + 3) 型
(命題)
代表値が(6k + 5)型である分岐テーブルのリンク基準点へリンクする
分岐テーブルの代表値のデータ型は(4k + 3)型に限られる。
(証明)
代表値が(6k + 5)型である分岐テーブル @b の
最初のリンク対象点は、2b である。
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, b = 6k + 5$ とおくと、
2b = 2(6k + 5) = 12k + 10
$\exists x \in N_o$, @x → @b を考えると、以下となる。
g(x) = 3x + 1 = 2b = 12k + 10
上式に b = 6k + 5 を代入すると、
3x = 12k + 9
∴x = 4k + 3 // (4k + 3) type
上式は、(6k + 1)型代表値を持つ分岐テーブルへリンクする分岐テーブルの
代表値は (4k + 3) 型である必要がある。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-8]分岐テーブル2番目の要素とリンク対象点の次要素の関係
(命題)
任意の分岐テーブルの2番目の要素 s と、そのリンク対象である
分岐テーブルのリンク対象点の次の要素 t の関係は、
t = 3s + 2 である。
(証明)
@a → @b を考える。このとき、@a の2番目の要素 s の値は
2a であり、@a のリンク対象点の値は、g(a) = 3a + 1 である。
また、@a に対する @b のリンク対象点の次の要素を
t とすると、t = 2(3a + 1) である。
一方、q = 2(3a + 1) = 6a + 2 = 3(2a) + 2 なので、
q = 3s + 2 である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-9]BTG 内で連続する分岐テーブル間での要素関係
(命題)
分岐テーブルグループにおいて、連続する2つの分岐テーブルに
関して、最初の分岐テーブルの2番目の要素 s と、
次の分岐テーブルの代表値 b の関係は、b = 2s + 1 である。
(証明)
分岐テーブルグループ内で連続する2つの分岐テーブルを
@a, @b とする。このとき、b = 4a + 1 である。
一方、@a の2番目の要素の値は、s = 2a である。
∴b = 2(2a) + 1 = 2s + 1
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-10](6k + 5) 型 BT のリンク基準点からの逆方向リンク
(命題)
$\exists a, b \in N_o$, @a → @b である場合において、
@a は @b のリンク基準点にリンクしており、b は (6k + 5) 型とする。
この場合における逆方向リンク @a ← @b の関係は以下である。
a = (2b - 1) / 3 ・・・(1)
また、a のデータ型は (4k + 3) である。
(証明)
b は (6k + 5) 型なので、 @b のリンク基準点は 2b である。
実際、2b = 2(6k + 5) = 12k + 10 = 3(4k + 3) + 1 = g(4k + 3) であり、
a = (4k + 3) とおくと、2b = g(4k + 3) が成り立つ。
よって、順方向リンク @a → @b の関係式は、以下である。
g(a) = 3a + 1 = 2b ・・・(2)
式(2)を変形すると、式(1)が得られる。
このとき、a のデータ型は (4k + 3) である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-11](6k + 1) 型 BT のリンク基準点からの逆方向リンク
(命題)
$\forall a, b \in N_o$ である順方向リンクとして、@a → @b が存在し、
@a は @b のリンク基準点にリンクしており、b は (6k + 1) 型とする。
この場合の逆方向リンク @a ← @b の関係式は以下である。
a = (4b - 1) / 3 ・・・(1)
(証明)
b は (6k + 1) 型なので、@b のリンク基準点は 4b である。
よって、順方向リンク @a → @b の関係式は、以下である。
g(a) = 3a + 1 = 4b ・・・ (2)
式 (2) を変形すると、式 (1) が得られる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-12](18n + 5) 型 BT リンク基準点逆方向リンクは3の奇数倍
(命題)
$\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0$,(18n + 5)型分岐テーブルのリンク基準点からの
逆方向リンク値は、(3n)型奇数である。
(証明)
(18n + 5)型奇数は、(3n + 2)型奇数である。
また、(3n + 2)型分岐テーブル @a の逆方向リンク値 v は、
[補題F-10]より、以下である。
v = (2a - 1) / 3 ・・・(1)
式(1)に、 a = 18n + 5 を代入すると、以下となる。
v = (2(18n + 5) - 1) / 3 = (36n + 9) / 3 = 12n + 3 = 3(4n + 1)
上式の最後の結果において、(4n + 1) は奇数である。
よって、 v は 3 の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-13](18n + 7) 型 BT リンク基準点逆方向リンクは3の奇数倍
(命題)
$\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0$,(18n + 7)型分岐テーブルの
リンク基準点からの逆方向リンク値は、(3n)型奇数である。
(証明)
(18n + 7)型奇数は、(3n + 1)型奇数である。
また、(3n + 1)型分岐テーブル @a の逆方向リンク値 v は、
[補題F-11]より、以下である。
v = (4a - 1) / 3 ・・・(1)
式(1)に、 a = 18n + 7 を代入すると、以下となる。
v = (4(18n + 7) - 1) / 3 = 24n + 9 = 3(8n + 3)
上式の最後の結果において、(8n + 3) は奇数である。
よって、 v は 3 の奇数倍である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-14](6k + 3) 型 BT へ逆方向遷移する代表値のデータ型
(命題)
分岐テーブルのリンク基準点から (6k + 3) 型代表値の
分岐テーブルへ逆方向遷移する分岐テーブルの代表値は、
(18k + 5) 型または (18k + 7) 型のいずれかである。
(証明)
(6k + 3) 型の一般形式は、 $\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2m + 1$ とおくと、
6m + 3 である。コラッツ演算を適用すると以下である。
g(6m + 3) = 3(6m + 3) + 1 = 18m + 10 = 2(9m + 5) ・・・(1)
(6k + 3) 型を代表値とする分岐テーブルには、
リンク対象点がないので、逆方向遷移する代表値のデータ型は、
(6k + 1) / (6k + 5) 型に限られる。
■(6k + 5) 型のリンク基準点にリンクする場合:
代表値が (6k + 5) 型 a である分岐テーブルのリンク基準点は
2a なので、式(1) の (9m + 5) は奇数である必要がある。
(9m + 5) が奇数であるためには、m が偶数である必要がある。
$\forall p \ge 0 \in \mathbb{Z}\ |\ m = 2p$ とおくと、9m + 5 = 18p + 5
よって、(6k + 3) 型がリンクする (6k + 5) 型の必要条件は、
そのデータ型が(18n + 5)型であることである。
■(6k + 1) 型のリンク基準点にリンクする場合:
代表値が (6k + 1) 型 a である分岐テーブルのリンク基準点は
4a なので、式(1) の (9m + 5) は偶数である必要がある。
(9m + 5) が偶数であるためには、m が奇数である必要がある。
$\forall p \in \mathbb{Z} \ge 0, m = 2p + 1$ とおくと、
(9m + 5) = 18p + 14 = 2(9p + 7)
∴g(6m + 3) = 4(9p + 7)
(9p + 7) が奇数であるためには、p が偶数である必要がある。
$\forall q \in \mathbb{Z} \ge 0, p = 2q$ とおくと、9p + 7 = 18q + 7
よって、(6k + 3) 型がリンクする (6k + 1) 型の必要条件は、
そのデータ型が (18k + 7) 型であることである。
以上の結果より、(6k + 3) 型を代表値とする分岐テーブルから、
リンク可能な分岐テーブルの代表値は、(18k + 5) 型または
(18k + 7) 型のいずれかである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-15](6k + 3) 型へ逆方向遷移する BTG 基準値のデータ型の数
(命題)
分岐テーブルグループの基準値のみを逆方向遷移の
対象とした場合、(6k + 3) 型へ逆方向遷移する分岐テーブルの
代表値の数は、以下である。
$\forall n, k \in \mathbb{Z} \gt 0,\ k \le n, C_0 = 0, \displaystyle C_n = \sum_{k=1}^{n}3^{n - k}2^k$
(証明)
逆方向遷移の演算結果 を v とすると、(6k + 5) 型 a の
逆方向遷移の演算は、分岐テーブルグループの基準値に対して、
v = (2a - 1) / 3 である。この式に a = 5 を適用すると、以下となる。
v = (2*5 - 1) / 3 = 3
上記は、#1 に属する @5 に対して、逆方向遷移の演算を
適用した結果が、@3 であることを示している。@5 に
順方向遷移する分岐テーブルは、#3 の要素として以下がある。
{@3, @13, @53, @213, ...}
コラッツ遷移の逆方向遷移は、1対 N 関係($N \in \mathbb{N}$)なので、
遷移対象が複数存在する。よって、(6k + 3) 型へ逆方向遷移する
例として、@5 ← @213 等も考えられる。
この命題においては、上記の可能性を考慮し、コラッツ遷移の
逆方向遷移に関する演算対象は、分岐テーブルグループの基準値に
限定されている。
[補題F-14]より、1回の逆方向遷移で (6k + 3) 型となる
データ型は以下のいずれかである。
・(18k + 5)型 // (3n + 2)型奇数
・(18k + 7)型 // (3n + 1)型奇数
1回の逆方向遷移で (6k + 3) 型となるデータ型である
(18n + 5)/(18n + 7)型を起点に、派生するデータ型に帰着する
データ型を次々と調べていくと、変換回数(n)に対するデータ型の
数の変化は、階層レベル1~5に関して、以下となる。
ただし、<帰着数>とは、逆方向遷移するデータ型の数を意味する。
なお、実際には、任意の階層レベルにおいて、逆方向遷移する
データ型が定まる。
【表E-14 (6k + 3) 型となるデータ型の数】
回数(n) 1 2 3 4 5
モード値 18 54 162 486 1458
含まれる奇数の総数 9 27 81 243 729
3の奇数倍の数 3 9 27 81 243
対象奇数((6k + 3) 型以外) 6 18 54 162 486
1を除くカバー対象数 ($A_n$) 5 17 53 161 485
新規帰着数(N) 2 4 8 16 32
旧帰着数展開(B) 0 6 30 114 390
帰着数 $(C_n = B + N)$ 2 10 38 130 422
上表の内容を定式化すると、
新規帰着数は $2^n$、旧帰着数展開(B)は $3C_{n-1}$ であり、
<帰着数 ($C_n$)> = <旧帰着数展開 (B)>+<新規帰着数 (N)>
よって、帰着数($C_n$)の漸化式は、以下となる。
$C_n = 3C_{n-1} + 2^n, where\ C_0 = 0$
上式を具体的にいくつか展開すると、以下である。
$C_1=3C_0+2^1=3^0 2^1$
$C_2=3C_1+2^2=3^1 2^1+3^0 2^2$
$C_3=3C_2+2^3=3^2 2^1+3^1 2^2+3^0 2^3$
$C_4=3C_3+2^4=3^3 2^1+3^2 2^2+3^1 2^3+3^0 2^4$
$C_5=3C_4+2^5=3^4 2^1+3^3 2^2+3^2 2^3+3^1 2^4+3^0 2^5$
・・・
上記の展開結果から、$C_n$ の一般形式は、以下である。
$\displaystyle C_n = \sum_{k=1}^{n}3^{n - k}2^k$
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-16]BTG 基準値の逆方向遷移は (6k + 3) 型 BT に到達
(命題)
ルートテーブルを除く、分岐テーブルグループの基準値である
分岐テーブルから逆方向遷移を繰り返すと、(6k + 3) 型を
代表値とする分岐テーブルに必ず到達する。
(証明)
以降では、[補題F-15]の内容に沿って議論を進める。
なお、ルートテーブル(@1)は順方向遷移で自己参照ループを
形成するので逆方向遷移でも同様となり、(6k + 3) 型分岐テーブルに
到達しない。
[補題F-15]の【表E-14 (6k + 3) 型となるデータ型の数】に
おける<1を除くカバー対象数($A_n$)>の数列は、以下である。
$A_1 = 5, A_2 = 17, A_3 = 53, \dots$
この数列の一般項は、回数(n)に対して$A_n = 2(3^n) - 1$である。
よって、$B_n = A_n + 1 = 2(3^n)$ である。
[補題F-15]における【表E-14 (6k + 3) 型となるデータ型の数】の
(6k + 3) 型となるデータ型を調査した結果の冒頭部分を以下に示す。
下表では、「帰着する奇数」がモード値に対するデータ型である。
ここで、<1 を除くカバー対象数($A_n$)>に関して、
帰着数($C_n$)との比として、カバー率($\frac{C_n}{B_n}$)を考える。
この場合、未カバー率は、(1 - $A_n$) である。
すなわち、(6k + 3) 型へ帰着するデータ型の網羅性に関して、
カバー率を全体に対する比率の推移を見る指標とする。
$\frac{C_n}{B_n} = \sum_{k=1}^{n}{{3^{-k}}2^{k - 1}}$
$= \sum_{k=1}^{n}{\frac{2^{k - 1}}{3^k}}$
$= \frac{1}{3}\sum_{k=1}^{n}{\frac{2^{k - 1}}{3^{k - 1}}}$
$= \frac{1}{3}\sum_{k=1}^{n}{(\frac{2}{3})}^{k - 1}$ ・・・(1)
カバー率/未カバー率の推移を計算回数(n)に対して
図示すると、以下となる。
式(1)は、n → ∞ の場合に k → ∞ であり、無限等比級数である。
初項 a、公比 r の無限等比級数 $\sum_{k=1}^{n}{ar^{k - 1}}$ は、|r| < 1 の場合、
k → ∞ で収束し、その極限値は $\frac{a}{1 - r}$ である。
式(1)に適用すると、$a = 1, r = \frac{2}{3}$ なので、|r| < 1 であり、
$\sum_{k=1}^{n}{(\frac{2}{3})}^{k - 1}$ 部分の極限値は、$\frac{a}{1 - r}$ = $\frac{1}{1 - \frac{2}{3}} = 3$ である。
∴ $ \lim_{n \to \infty} \frac{C_n}{B_n} = 1 $
上式に、$B_n = A_n + 1$ を代入し、合わせて、
n → ∞ のとき、$A_n$ → ∞ を考慮すると、以下となる。
$ \lim_{n \to \infty} \frac{C_n}{A_n + 1} = \lim_{n \to \infty} \frac{\frac{C_n}{A_n}}{1 + \frac{1}{A_n}} = \lim_{n \to \infty} \frac{C_n}{A_n} = 1 $
すなわち、カバー率($\frac{C_n}{A_n}$)の極限は 100 % となる。
これは、すべてのデータ型の逆方向遷移シーケンスが、
(6k + 3) 型へ到達する過程と見做せることを意味する。
よって、ルートテーブル以外のすべての分岐テーブルグループの
基準値を起点とした場合、逆方向遷移を繰り返すと、
(6k + 3) 型代表値を持つ分岐テーブルに必ず到達する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-17]逆方向遷移は、必ず (6k + 3) 型分岐テーブルに到達
(命題)
ルートテーブルを除く、すべての分岐テーブルの代表値は、
逆方向遷移を繰り返すと、代表値が (6k + 3) 型である分岐テーブルに
必ず到達する。
(証明)
以降では、[補題F-16]の結果に沿って議論を進める。
すなわち、すべての分岐テーブルグループの基準値は、
逆方向遷移を繰り返すと、代表値が (6k + 3) 型である分岐テーブルに
必ず到達することを前提とする。
分岐テーブルグループの要素は、基準値とそれに対する従属値で
構成されている。従って、[補題F-16]の結果から、
分岐テーブルグループの従属値である (6k + 3) 型分岐テーブルに
到達する経路が存在することを示せば、すべての分岐テーブルが
(6k + 3) 型分岐テーブルに到達することを証明したことになる。
分岐テーブルグループ内では、(6k + 1)/(6k + 3)/(6k + 5) 型の
分岐テーブルが周期的に出現する。
ここでは、分岐テーブルグループ内の従属値が (6k + 3) 型である
分岐テーブルの場合のみに焦点を絞って議論する。
順方向遷移において、分岐テーブルグループ #a の従属値
{$d_1, d_2, \cdots$} は、その基準値 a が遷移する分岐テーブルと同一の
分岐テーブル @bへ遷移する。すなわち、@a → @b であり、
1対N関係のリンク関係 {@a, @$d_1$, @$d_2$, ...} → @b が存在する。
よって、この状態を逆方向リンク @a ← @b として捉えると、
#a の従属値に対して、@$d_1$ ← @b, @$d_2$ ← @b, $\cdots$ が存在する。
以下に例を示す。
一方、[補題F-16]より、分岐テーブルグループの基準値は、
逆方向遷移を繰り返すと、(6k + 3) 型代表値を持つ分岐テーブルに
必ず到達することから、これらの経路は、端点シーケンスの
一部として機能する。
すなわち、逆方向遷移の経路途中において、通過する
分岐テーブルグループに属するそれぞれの分岐テーブルから、
上記の #a に相当する分岐テーブルグループの従属値を持つ
分岐テーブルに対しての逆方向リンクが存在する。
よって、分岐テーブルグループの(従属値、かつ (6k + 3) 型)
である全ての分岐テーブルに到達する逆方向展開の経路が存在する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-18](8k + α)型遷移パターン
(命題)
奇数に対するコラッツ遷移において、mod 8 に着目した場合の
コラッツ遷移パターンは、以下である。
ただし、”→”は、コラッツ遷移におけるデータ型の遷移の方向性を示す。
■(8k + 1) 型の遷移パターン:すべての(8k + α)型へ遷移する。
◆(32k + 1)型 → (8k + 1)型
◆(32k + 17)型 → (8k + 5)型
◆(32k + 9)型 → (8k + 7)型
◆(32k + 25)型 → (8k + 3)型
■(8k + 3) 型の遷移パターン:(8k + 1)型または(8k + 5)型へ遷移する。
◆(16k + 3)型 → (8k + 5)型
◆(16k + 11) → (8k + 1)型
■(8k + 7) 型の遷移パターン:(8k + 3)型または(8k + 7)型へ遷移する。
◆(16k + 7)型 → (8k + 3)型
◆(16k + 15)型 → (8k + 7)型
■(8k + 5) 型の遷移パターン:すべての(8k + α)型へ遷移する。
◆(64k + 13)型 → (8k + 5)型
◆(64k + 29)型 → (8k + 3)型
◆(64k + 45)型 → (8k + 1)型
◆(64k + 61)型 → (8k + 7)型
◆(128k + 5)型 → (8k + 1)型
◆(128k + 37)型 → (8k + 7)型
◆(128k + 69)型 → (8k + 5)型
◆(128k + 101)型→ (8k + 3)型
◆(256k + 53)型 → (8k + 5)型
(証明)
以降では、各データ型のコラッツ遷移を個別に計算し、命題の主張と
一致することを確認する。
■(8k + 1) 型の遷移パターン:すべての(8k + α)型へ遷移する。
◆(32k + 1)型 → (8k + 1)型
g(32k + 1) = 96k + 4 = 4(24k + 1)
24k + 1 = 8(3k) + 1 なので、
(32k + 1) 型は (8k + 1) 型へ遷移する。
◆(32k + 17)型 → (8k + 5)型
g(32k + 17) = 96k + 52 = 4(24k + 13)
24k + 13 = 8(3k + 1) + 5 なので、
(32k + 17) 型は (8k + 5) 型へ遷移する。
◆(32k + 9)型 → (8k + 7)型
g(32k + 9) = 96k + 28 = 4(24k + 7)
24k + 7 = 8(3k) + 7 なので、
(32k + 9) 型は(8k + 7) 型へ遷移する。
◆(32k + 25)型 → (8k + 3)型
g(32k + 25) = 96k + 76 = 4(24k + 19)
24k + 19 = 8(3k + 2) + 3 なので、
(32k + 25) 型は (8k + 3) 型へ遷移する。
■(8k + 3) 型の遷移パターン:(8k + 1)型または(8k + 5)型
◆(16k + 3)型 → (8k + 5)型
g(16k + 3) = 48k + 10 = 2(24k + 5)
24k + 5 = 8(3k) + 5 なので、
(16k + 3) 型は (8k + 5) 型へ遷移する。
◆(16k + 11)型 → (8k + 1)型
g(16k + 11) = 48k + 34 = 2(24k + 17)
24k + 17 = 8(3k + 2) + 1 なので、
(16k + 11) 型は (8k + 1) 型へ遷移する。
■(8k + 7) 型の遷移パターン:(8k + 3)型または(8k + 7)型
◆(16k + 7)型 → (8k + 3)型
g(16k + 7) = 48k + 22 = 2(24k + 11)
24k + 11 = 8(3k + 1) + 3 なので、
(16k + 7) 型は (8k + 3) 型へ遷移する。
◆(16k + 15)型 → (8k + 7)型
g(16k + 15) = 48k + 46 = 2(24k + 23)
24k + 23 = 8(3k + 2) + 7 なので、
(16k + 15) 型は (8k + 7) 型へ遷移する。
■(8k + 5) 型の遷移パターン:すべての(8k + α)型
◆(64k + 13)型 → (8k + 5)型
g(64k + 13) = 192k + 40 = 8(24k + 5)
24k + 5 = 8(3k) + 5 なので、
(64k + 13) 型は (8k + 5) 型へ遷移する。
◆(64k + 29)型 → (8k + 3)型
g(64k + 29) = 192k + 88 = 8(24k + 11)
24k + 11 = 8(3k + 1) + 3 なので、
(64k + 29) 型は (8k + 3) 型へ遷移する。
◆(64k + 45)型 → (8k + 1)型
g(64k + 45) = 192k + 136 = 8(24k + 17)
24k + 17 = 8(3k + 2) + 1 なので、
(64k + 45) 型は (8k + 1) 型へ遷移する。
◆(64k + 61)型 → (8k + 7)型
g(64k + 61) = 192k + 184 = 8(24k + 23)
24k + 23 = 8(3k + 2) + 7 なので、
(64k + 61) 型は (8k + 7) 型へ遷移する。
◆(128k + 5)型 → (8k + 1)型
g(128k + 5) = 384k + 16 = 16(24k + 1)
24k + 1 = 8(3k) + 1 なので、
(128k + 5) 型は (8k + 1) 型へ遷移する。
◆(128k + 37)型 → (8k + 7)型
g(128k + 37) = 384k + 112 = 16(24k + 7)
24k + 7 = 8(3k) + 7 なので、
(128k + 37) 型は (8k + 7) 型へ遷移する。
◆(128k + 69)型 → (8k + 5)型
g(128k + 69) = 384k + 208 = 16(24k + 13)
24k + 13 = 8(3k + 1) + 5 なので、
(128k + 69) 型は (8k + 5) 型へ遷移する。
◆(128k + 101)型→ (8k + 3)型
g(128k + 101) = 384k + 304 = 16(24k + 19)
24k + 19 = 8(3k + 2) + 3 なので、
(128k + 101) 型は (8k + 3) 型へ遷移する。
◆(256k + 53)型 → (8k + 5)型
g(256k + 53) = 768k + 160 = 32(24k + 5)
24k + 5 = 8(3k) + 5 なので、
(256k + 53) 型は (8k + 5) 型へ遷移する。
以上の結果より、証明対象のすべてのデータ型に対するコラッツ遷移で、
命題の内容が成立する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-19](8k + 7)→(8k + 7)遷移
(命題)
コラッツ遷移において、遷移元のデータ型が
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (8k + 7)$ 型であるとき、
遷移先のデータ型が再び(8k + 7)型となるのは、
遷移元のデータ型が(16k + 15)型の場合のみである。
(証明)
[補題F-18]より、(8k + 7)型→(8k + 7)型となるデータ型は、
(16k + 15) 型の場合のみである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F-20](4k + 1)→(4k + 1) 遷移
(命題)
コラッツ遷移において、遷移元のデータ型が
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (4k + 1) $ 型であるとき、
遷移先のデータ型が再び(4k + 1)型となるのは、
遷移元のデータ型が(16k + 1)型の場合のみである。
(証明)
(4k + 1) 型のコラッツ遷移を計算すると以下となる。
g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1)
上式の最終部分の (3k + 1) が (4k + 1) 型であるためには、
k が4の倍数である必要がある。
$j \in \mathbb{Z} \ge 0, k = 4j$ とおくと、4k + 1 = 16j + 1
また、実際のコラッツ遷移を計算すると、以下である。
g(16j + 1) = 48j +4 = 4(12j + 1) = 4(4(3j) + 1)
よって、(16j + 1) 型の場合に、(4k + 1) → (4k + 1) 型の
コラッツ遷移が成り立つ。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題G]BTG に関する補題
ここでは、分岐テーブルグループに関する補題を列挙する。
[補題G-1]奇数 n, 4n + 1 は同一値に遷移する。
(命題)
$\forall n \in N_o$ と 4n + 1 に対するコラッツ遷移値は同一である。
(証明)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2k + 1$ に対して、4n + 1 を計算する。
4n + 1 = 4(2k + 1) + 1 = 8k + 5
(2k + 1) と (8k + 5) に対して、関数 g を適用すると、以下となる。
g(2k + 1) = 6k + 4 = 2(3k + 2) // (2k + 1) → (3k + 2)
g(8k + 5) = 24k + 16 = 8(3k + 2) // (8k + 5) → (3k + 2)
よって、(2k + 1) と (8k + 5) は、同一値(3k + 2)に遷移する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題G-2]BTG 従属値のデータ型
(命題)
(4k + 1) 型分岐テーブルグループの従属値は (16k + 5) 型である。
また、(4k + 3) 型分岐テーブルグループの最初の従属値の
データ型は (16k + 13) であり、その他は (16k + 5) 型である。
(証明)
分岐テーブルグループの基準値が (4k + 1) 型である場合と、
(4k + 3)型の場合に分けて示す。
◆基準値が (4k + 1) 型の場合
分岐テーブルグループの最初の従属値を計算すると、
4(4k + 1) + 1 = 16k + 5
よって、(4k + 1) 型分岐テーブルグループの最初の従属値のデータ型は
(16k + 5) である。
分岐テーブルグループの2番目の従属値を計算すると、
4(16k + 5) + 1 = 64k + 21 = 16(4k + 1) + 5
よって、2番目の従属値は (16k + 5) 型である。
分岐テーブルグループ内で (16k + 5) 型に対する演算関係が
継続するので、分岐テーブルグループの3番目以降の従属値は、
(16k + 5) 型である。
したがって、基準値が (4k + 1) 型の場合、すべての従属値が
(16k + 5) 型である。
◆基準値が (4k + 3) 型の場合
分岐テーブルグループの最初の従属値を計算すると、
4(4k + 3) + 1 = 16k + 13
よって、(4k + 3) 型分岐テーブルグループの最初の従属値のデータ型は
(16k + 13) である。
分岐テーブルグループの次の従属値を計算すると、
4(16k + 13) + 1 = 64k + 53 = 16(4k + 3) + 5
よって、2番目の従属値は (16k + 5) 型である。
(16k + 5) 型に対する(4n + 1)演算については、基準値が
(4k + 1) 型の場合と同様であり、再び (16k + 5) 型となる。
分岐テーブルグループ内で、この関係が継続するので、
分岐テーブルグループの2番目以降のすべての従属値は、
(16k + 5) 型である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題G-3]BTG の一般項
(命題)
分岐テーブルグループの基準値が $\forall a \in N_o$ であるとき、
その一般項は、以下である。
$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, A_n = (g(a)4^p - 1)/3$
ただし、$\forall p \in \mathbb{Z} \ge 0$ は分岐テーブルグループ内インデックスである。
(証明)
分岐テーブルグループの要素 は、{ a, 4a + 1, 16a + 5, ... } である。
数列$A_n$ の初項は $A_1 = a$ であり、要素の2項関係は、以下である。
$A_{n+1} = 4A_n + 1$ ・・・(1)
式(1) に n = n + 1 を代入すると、
$A_{n+2} = 4A_{n+1} + 1$ ・・・(2)
(2) - (1) を計算すると、以下となる。
$A_{n+2} - A_{n+1} = 4(A_{n+1} - A_n)$ ・・・(3)
階差数列 $B_n = A_{n+1} - A_n$ とおくと、式(3) は以下となる。
$B_{n+1} = 4B_n$ ・・・(4)
$B_1 = A_2 - A_1 = (4A_1 + 1) - A_1 = 3a + 1$(∵$A_1 = a$)
$B_n$ の具体例は、{3a + 1, 4(3a + 1), 16(3a + 1), ... } である。
式(4) より、$B_n$ は、初項 3a + 1、公比 4 の等比数列である。
よって、 $B_n$ の一般項は、以下である。
$B_n = B_1 * 4^{n-1} = (3a + 1)4^{n-1}$
初項 a、公比 r, 項数 n の場合の等比数列の和の公式は、
a(r^n - 1)/(r - 1), where r ≠ 1 なので、
$\displaystyle \sum_{i=1}^{n-1}B_i$ = (3a + 1)(4n - 1)/3
よって、$A_n$ の一般項 A1 + $\displaystyle \sum_{i=1}^{n-1}B_i$, where n ≧ 2 は、以下となる。
$A_n$ = a + (3a + 1)(4(n-1) - 1)/3 ・・・(5)
また、式 (5) の右辺は、n = 1 の場合、a となる。
A1 = a なので、式 (5) は n = 1 の場合にも成り立つ。
すなわち、$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, A_n$ の一般項は、式 (5) である。
ここで、分岐テーブルグループ内の分岐テーブルに対して、
先頭から0相対順序番号 $\forall p \in \mathbb{Z} \ge 0$ を付与すると、
p = n - 1 である。また、g(a) = 3a + 1 なので、
これらを式 (5) に代入すると、以下となる。
$A_n$ = (3a + (3a + 1)(4p - 1))/3
= ((3a + 1)(4p) - 1)/3
= (g(a)(4p) - 1)/3
よって、命題は成り立つ。
□
[補題G-4]BTG 内 (6k + 1)/(6k + 3)/(6k + 5) 型出現の周期性
(命題)
分岐テーブルグループ内では、(6k + 3)/(6k + 1)/(6k + 5) 型の
分岐テーブルが、3個の組で周期的に出現する。
(証明)
分岐テーブルグループにおける開始位置の3の除算による余りの型は、
分岐テーブルグループ毎に異なる。
以下で、開始位置のデータ型が定まった後、
(6k + 3)/(6k + 1)/(6k + 5) 型の順序を踏襲して現れることを示す。
分岐テーブルグループにおいて、(6k + 1)/(6k + 3)/(6k + 5) 型
分岐テーブルの代表値が周期的に現れる理由は、分岐テーブルグループに
含まれる要素の関係が、ある要素を a とした場合、次の要素が
(4a + 1) で定まることによる。
以下に、a = 6k + 3, a = 6k + 1, a = (6k + 5) とおいて、
それぞれに対して、(4a + 1)演算を適用した場合を示す。
・(6k + 1) 型の場合
4(6k + 1) + 1 = 24k + 5 = 6(4k) + 5
よって、(6k + 1) 型代表値の次に出現する代表値は、
(6k + 5) 型である。
・(6k + 3) 型の場合
4(6k + 3) + 1 = 24k + 13 = 6(4k + 2) + 1
よって、(6k + 3) 型代表値の次に出現する代表値の型は、
(6k + 1) 型である。
・(6k + 5) 型の場合
4(6k + 5) + 1 = 24k + 21 = 6(4k + 3) + 3
よって、(6k + 5) 型代表値の次に出現する代表値の型は、
(6k + 3) 型である。
上記の結果より、(6k + 1)/(6k + 3)/(6k + 5) 型代表値の
次に出現する代表値の型は、以下である。
(6k + 1) 型 → (6k + 5) 型
(6k + 3) 型 → (6k + 1) 型
(6k + 5) 型 → (6k + 3) 型
よって、命題は成り立つ。
□
[補題G-5]BTG 間のリンク一意性
(命題)
ある分岐テーブル @a に対して、異なる分岐テーブルからの
複数のリンクが存在する場合、そのリンク元の分岐テーブルが所属する
分岐テーブルグループ #n が存在する。
この場合、 #n に所属しない分岐テーブルは @a にリンクしない。
(証明)
@n は、リンク対象の分岐テーブル @a のリンク基準点に
リンクしている。この場合、 #n に属する他の分岐テーブルも
リンク可能である。
また、#n 以外の分岐テーブルグループ、すなわち、
非正規のリンク元を #m とする。
分岐テーブルがリンク可能である対象の分岐テーブルは、
3による除算の余り分類で、(3n + 2)型または(3n + 1)型である。
(3n)型はリンク対象点を持たない。
リンク基準点の2の冪乗ベースの相対インデックス i は、
3による除算の余りによる分類に対応して、その値が異なる。
リンク対象分岐テーブルの代表値が(3n + 2)型ならば、i = 1、
(3n + 1)型ならば、i = 2 である。
ここで、@m が @a に対してリンクすると仮定する。
なお、以下では、$\forall i \in \mathbb{Z} \gt 0$ である。
◆(代表値 a が(3n + 2)型の場合)
a が(3n + 2)型の場合、リンク基準点を考慮した関係式は、
以下である。
3n + 1 = 2a
3m + 1 = (2^i)a // 非正規なリンク元の関係式(i = 3, 5, ...)
上記の2つの関係式から a を消去する方針で整理する。
3m + 1 = 2a(2^(i - 1)) // 2a を作るために、2 で括る!
∴3m + 1 = (3n + 1)(2^(i - 1))
if i = 1 // リンク基準点
3n + 1 = 2a
3m + 1 = 2a
∴3(m - n) = 0
上式が成り立つためには、m = n である必要が
あるが、仮定より m ≠ n なので、矛盾である。
if i = 3 // 2番目のリンク対象点
3m + 1 = (3n + 1)(2^2)
3m + 1 = (3n + 1)4
3m + 1 = 12n + 4
3m = 12n + 3
∴m = 4n + 1
上式は、m と n が(4n + 1)関係なので、
@m が #n に属することを示している。
これは、#m が #n 以外の分岐テーブルグループ
である仮定に反するので、矛盾である。
if i = 5 // 3番目のリンク対象点
3m + 1 = (3n + 1)(2^4)
3m + 1 = (3n + 1)16
3m + 1 = 48n + 16
3m = 48n + 15
∴m = 16n + 5 = 4(4n + 1) + 1
上式は、m が n に対して、(4n + 1) の漸化式を
2回連続で適用した形式なので、@m が #n に
属することを示している。
これは、#m が#n 以外の分岐テーブルグループ
である仮定に反するので、矛盾である。
以降、i が奇数の場合のリンク対象点に対して、
同様の手順で、#m が #n 以外の
分岐テーブルグループである仮定に反するので矛盾となる。
◆(代表値 a が(3n + 1)型の場合)
a が(3n + 1)型の場合、リンク基準点を考慮した関係式は、
以下である。
3n + 1 = 4a
3m + 1 = (2^i)a // 非正規なリンク元の関係式(i = 2, 4, ...)
上記の2つの関係式から a を消去する方針で整理する。
3m + 1 = 4a(2^(i - 2)) // 4a を作るために、4 で括る!
∴3m + 1 = (3n + 1)(2^(i - 2))
if i = 2 // リンク基準点
3m + 1 = 3n + 1
∴ 3(m - n) = 0
上式が成り立つためには m = n である必要があるが、
仮定より m ≠ n なので、矛盾である。
if i = 4 // 2番目のリンク対象点
3m + 1 = (3n + 1)(2^2)
3m + 1 = (3n + 1)4
3m + 1 = 12n + 4
3m = 12n + 3
∴m = 4n + 1
上式は、m と n が(4n + 1)関係なので、
@m が #n に属することを示している。
これは、#m が #n 以外の分岐テーブルグループ
である仮定に反するので、矛盾である。
if i = 6 // 3番目のリンク対象点
3m + 1 = (3n + 1)(2^4)
3m + 1 = (3n + 1)16
3m + 1 = 48n + 16
3m = 48n + 15
∴m = 16n + 5 = 4(4n + 1) + 1
上式は、m が n に対して、(4n + 1) の漸化式を
2回連続で適用した形式なので、@m が #n に
属することを示している。
これは、#m が #n 以外の分岐テーブルグループ
である仮定に反するので、矛盾である。
以降、i が偶数の場合のリンク対象点に対して、
同様の手順で、#m が #n 以外の分岐テーブルグループ
である仮定に反するので、矛盾となる。
以上より、代表値 a に対するリンク可能なすべてのデータ型に対して、
仮定が成り立たない。
よって、@a のリンク基準点に対して、@m → @a のリンクは
確立できない。
また、#m の基準値 m を持つで分岐テーブル @m が @a に対して
リンク不可ならば、#m に属する他の分岐テーブルも @a に対して
リンク不可である。
したがって、正規の分岐テーブルグループに所属しない
分岐テーブルは、該当するリンク対象の分岐テーブルにリンクできない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題G-6]分岐テーブルの2倍関係
(命題)
同一分岐テーブルグループ内で連続する(3n + 1)/(3n + 2)型の
分岐テーブルから派生したそれぞれの最初の分岐テーブルの
代表値の間には、”分岐テーブルの2倍関係”が成り立つ。
(証明)
同一の分岐テーブルグループ内で連続する(3n + 1)/(3n + 2)型の
分岐テーブルを @b, @c とする。また、@b, @c にそれぞれ
リンクする分岐テーブルを @a, @d とする。すなわち、
@a → @b, @d → @c であるリンク状態が存在するものとする。
このとき、@b, @c は、同一の分岐テーブルグループ内で
連続しているので、代表値 b, c 間は、(4n + 1)関係となっている。
すなわち、以下が成り立つ。
c = 4b + 1 ・・・(1)
また、2つの分岐テーブル間 @a → @b, @c → @d は、
コラッツ遷移の関係にあり、以下が成り立つ。
b = (3a + 1)/4 ・・・(2)//(3n + 1)型分岐テーブルへのリンク
c = (3d + 1)/2 ・・・(3)//(3n + 2)型分岐テーブルへのリンク
式(1)に、式(2)、(3)を代入すると、以下となる。
3d + 1 = 2((3a + 1) + 1) ・・・ (1)
さらに、上式を整理すると、以下となる。
3d = 6a + 3
∴d = 2a + 1
上式は、@a, @d 間の関係が、”分岐テーブルの2倍関係”である
ことを示している。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題G-7]リンク基準点には、BTG 基準値の BT のみがリンク
(命題)
分岐テーブルのリンク基準点には、その分岐テーブルにリンクする
分岐テーブルグループの基準値を持つ分岐テーブルのみがリンクする。
(証明)
分岐テーブル @x にリンクする分岐テーブルグループを #p とする。
@x に対して、 #p において、その代表値が分岐テーブルグループの
基準値 p 以外の分岐テーブル @q が @x のリンク基準点 b に
リンクすると仮定する。このとき、p < q である。
仮定より、#p に属する @p は @x に対してリンク可能であるから、
∃a < b である リンク対象点 a が存在しなければならない。
一方、 b はリンク基準点であるから、a < b であるリンク対象点 a は、
存在しない。これは矛盾である。
よって、基準値 p 以外の分岐テーブル @q が @x のリンク基準点 b に
リンクするとした仮定は誤りである。
したがって、分岐テーブルのリンク基準点には、
その分岐テーブルにリンクする分岐テーブルグループの
基準値を持つ分岐テーブルがリンクする。
以上の結果より、命題は成り立つ。
□
[補題G-8]BTG 従属値からの遷移
(命題)
分岐テーブルグループの従属値である代表値から
コラッツ遷移する場合、終点の値は、元の値よりも小さくなる。
(証明)
分岐テーブルグループの基準点以外の代表値を $\forall x \in \mathbb{Z} \gt 1$,
終点の代表値を $\exists y \in \mathbb{Z} \gt 1$ とする。
なお、分岐テーブルグループの従属値は(8k + 5)型である。
コラッツ遷移 @x → @y において、y は(3n + 1)/(3n + 2)型の
いずれかである。何故ならば、(3n)型分岐テーブルはリンク対象点が
存在しないからである。
以降では、b のデータ型を(3n + 1)/(3n + 2)型に
分類して調べる。ここでは、(3n + 1)/(3n + 2)型を
(6m + 1)/(6m + 5)型として扱う。
ただし、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0$ である。
分岐テーブルグループ間の遷移に関して、
分岐テーブルグループ内インデックスが 2 の場合のみを考察対象とする。
この理由は、分岐テーブルグループ内インデックスが
3番目以降の場合、分岐テーブルグループ内インデックスが2番目から
遷移する場合より、小さい値に遷移するのは自明だからである。
分岐テーブルへの遷移に関して、リンク基準点のみを考察対象とする。
この理由は、リンク基準点以外のリンク対象点にリンクする場合、
リンク基準点にリンクする場合より、小さい値に遷移するのは
自明だからである。
なお、(3n + 1)/(3n + 2)型分岐テーブルのリンク基準点の
分岐テーブル内インデックスは、それぞれ 4, 2 である。
また、分岐テーブルグループの出現パターンのデータ型順序は、
以下のいずれかである。
------------------------------------
パターン 基準値 2番目 3番目
------------------------------------
パターンA (3n) (3n+1) (3n+2)
パターンB (3n+1) (3n+2) (3n)
パターンC (3n+2) (3n) (3n+1)
------------------------------------
それぞれのパターンにおけるデータ型は、以下である。
------------------------------------
パターン 基準値 2番目 3番目
------------------------------------
パターンA (6m + 3) 4(6m + 3)+ 1 16(6m + 3) + 5
パターンB (6m + 1) 4(6m + 1)+ 1 16(6m + 1) + 5
パターンC (6m + 5) 4(6m + 5)+ 1 16(6m + 5) + 5
------------------------------------
上記において、必要な計算を施した結果は、以下となる。
------------------------------------
パターン 基準値 2番目 3番目
------------------------------------
パターンA 6m + 3 24m + 13 96m + 53
パターンB 6m + 1 24m + 5 96m + 21
パターンC 6m + 5 24m + 21 96m + 85
------------------------------------
以降では、上表において、2番目の列の値をコラッツ遷移の
出発点とする。つまり、コラッツ遷移結果における大小比較の
元データは、2番目の列の値である。
ただし、実際の遷移に関しては、基準値からのコラッツ遷移で
計算する。
∵同一の分岐テーブルグループに属する代表値に対する
コラッツ遷移先は、すべて同一の分岐テーブルとなる。
■パターンAの場合:遷移元は(24m + 13)
g(6m + 3) = 18m + 10 = 2(9m + 5)
遷移先が(3n + 2)型の場合:
(3n + 2)型のリンク基準点を対象とするので、
遷移値は、最大の場合でも (9m + 5) である。
(9m + 5) < (24m + 13) なので、遷移先は遷移元より小さい。
遷移先が(3n + 1)型の場合:
(3n + 1)型のリンク基準点を対象とするので、
遷移値は、最大の場合でも (9m + 5)/2 である。
(9m + 5)/2 < (24m + 13) なので、遷移先は遷移元より小さい。
■パターンBの場合:遷移元は(24m + 5)
g(6m + 1) = 18m + 4 = 2(9m + 2)
遷移先が(3n + 2)型の場合:
(3n + 2)型のリンク基準点を対象とするので、
遷移値は、最大の場合でも (9m + 2) である。
(9m + 2) < (24m + 5) なので、遷移先は遷移元より小さい。
遷移先が(3n + 1)型の場合:
(3n + 1)型のリンク基準点を対象とするので、
遷移値は、最大の場合でも (9m + 2)/2 である。
(9m + 2)/2 < (24m + 5) なので、遷移先は遷移元より小さい。
■パターンCの場合:遷移元は(24m + 21)
g(6m + 5) = 18m + 16 = 2(9m + 8)
遷移先が(3n + 2)型の場合:
(3n + 2)型のリンク基準点を対象とするので、
遷移値は、最大の場合でも (9m + 8) である。
(9m + 8) < (24m + 21) なので、遷移先は遷移元より小さい。
遷移先が(3n + 1)型の場合:
(3n + 1)型のリンク基準点を対象とするので、
遷移値は、最大の場合でも (9m + 8)/2 である。
(9m + 8)/2 < (24m + 21) なので、遷移先は遷移元より小さい。
以上の結果より、すべてのパターンの場合で、遷移先は
遷移元より小さい。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題G-9]端点シーケンスの末端
(命題)
(8k + 1)/(16k + 3)型である奇数の2倍関係のペアは、
共通の分岐テーブルグループへ遷移する端点シーケンスの
末端である。
(証明)
端点シーケンスの末端では、奇数の2倍関係のペアは、
共に共通の分岐テーブルグループへ遷移する。
(ex. k = 2 の場合の(8k + 1)/(16k + 3)型である奇数の2倍関係の
ペアは、(17, 35) である。
7 → 11 → 17 → 13
15 → 23 → 35 → 53) // #3 = {3, 13, 53, ... }
このとき、該当の分岐テーブルグループ内では、
奇数の2倍関係のペアのコラッツ遷移シーケンスがそれぞれ
(3n + 1)/(3n + 2) 型代表値の分岐テーブルへリンクする。
なお、奇数の2倍関係のペアに対する遷移先のデータ型は
(8k + 5)型とは限らない点に注意する。奇数の2倍関係の
ペアとしての遷移は、分岐テーブルグループの基準値に対しても
適用される。
これらの状態から、順方向として共通の分岐テーブルグループへ
遷移する端点シーケンスの末端の分岐テーブルの代表値の
データ型 x, y が満たすべき条件は、以下となる。
・x 型 → (6k + 1) 型
・y 型 → (6k + 5) 型
・y = 2x + 1
上記の複数の条件を同時に満たすデータ型の組の基本形は、
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$, {8k + 1, 16k + 3} である。
{8k + 1, 16k + 3} のそれぞれに g() を適用すると以下となる。
g(8k + 1) = 24k + 4 = 4(6k + 1)
g(16k + 3) = 48k + 10 = 2(24k + 5) = 2(6(4k) + 5) = 2(8(3k) + 5)
上式において、(16k + 3) 型のコラッツ遷移は、常に
(8k + 5) 型である。
なお、遷移値が (6k + 1) 型、かつ (8k + 5) 型となる条件は、
$\forall j \in \mathbb{Z} \ge 0, k = 2(2j + 1)$ である。このとき、
(8k + 1) = 16(2j + 1) + 1 = 32j + 17 である。
(32j + 17) に対する g() 適用結果は、以下である。
g(32j + 17) = 96j + 52 = 4(24j + 13) = 4(8(3j + 1) + 5)
(32j + 17) 型に対する奇数の2倍関係は 64j + 35 である。
g(64j + 35) = 192j + 106 = 2(96j + 53) = 2(8(12j + 6) + 5)
よって、k = 2(2j + 1) の場合、{8k + 1, 16k + 3} である
奇数の2倍関係のペアは、その遷移値が共に (8k + 5) 型となる。
この場合の具体的なデータ型ペアは {32j + 17, 64j + 35} である。
以下に、このペアの j を変化させた場合のコラッツ遷移例を示す。
j 具体例
0 {17, 35} → #3 = {3, 13, 53, ...} // 17 → 13, 35 → 53
1 {49, 99} → #9 = {9, 37, 149, ...} // 49 → 37, 99 → 149
2 {81, 163} → #15 = {15, 61, 245, ...}// 81 → 61, 163 → 245
...
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題G-10]x が 基準値ならば、BTG 並行シーケンス y も基準値
(命題)
x が分岐テーブルグループの基準値ならば、
x に対する BTG 並行シーケンスの起点 y も
分岐テーブルグループの基準値である。ただし、x < y とする。
(証明)
BTG 並行シーケンスの起点 @x, @y の代表値の関係は、
以下である。
y = 2x + 1
また、x が分岐テーブルグループの基準値なので、
x のデータ型は以下のいずれかである。
・(8k + 1) 型
・(8k + 3) 型
・(8k + 7) 型
以下では、x が上記のいずれかのデータ型である場合の
y を計算する。
(A)x が (8k + 1) 型である場合
y = 2(8k + 1) + 1 = 16k + 3 = 8(2k) + 3
よって、y は (8k + 3) 型である。
(B)x が (8k + 3) 型である場合
y = 2(8k + 3) + 1 = 16k + 7 = 8(2k) + 7
よって、y は (8k + 7) 型である。
(C)x が (8k + 7) 型である場合
y = 2(8k + 7) + 1 = 16k + 15 = 8(2k + 1) + 7
よって、y は (8k + 7) 型である。
したがって、x が (8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 7) 型である場合、
y のデータ型は、(8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 7) 型のいずれかとなる。
すなわち、y のデータ型は8を法とするデータ型の分類において、
x に対する全ての場合で、(8k + 5) 型以外であり、基準値となる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題G-11](8k + 5) 型へリンクする基本データ型
(命題)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (8k + 5)$ 型へリンクするデータ型は
(16k + 3)/(32k + 17) 型に限られる。
(証明)
(必要条件)
(16k + 3)/(32k + 17) 型のコラッツ遷移は、以下である。
g(16k + 3) = 2(24k + 5), 24k + 5 = 8(3k) + 5
g(32k + 17) = 4(24k + 13), 24k + 13 = 8(3k + 1) + 5
よって、(16k + 3)/(32k + 17) 型は、(8k + 5) 型へ遷移する。
(十分条件)
(8k + 5) 型を mod 24 で分類すると、以下である。
・24k + 5
・24k + 13
・24k + 21 // 24k + 21 = 3(8k + 7)
(24k + 21) 型は3の奇数倍なので、[補題B-7]より、
コラッツ遷移のリンク対象とならない。
よって、(8k + 5) 型 のリンク対象は、mod 24 において、
(24k + 5)/(24k + 13) 型に限定される。
一方、(24k + 5)/(24k + 13) 型に対するコラッツ遷移の
逆方向リンクは、以下である。
(※以下の”→”は、コラッツ遷移の逆方向リンクを示す。)
・(24k + 5) → (16k + 3)
・(24k + 13) → (32k + 17)
したがって、mod 24 における全て (8k + 5) 型に対して、
有効なコラッツ遷移が存在する。
以上の結果より、mod 24 に関して、命題に対する必要条件と
十分条件が、共に成り立つ。
また、自然数全体に対して、mod 24 による分類は適用できる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題G-12]奇数のコラッツ遷移は (8k + 5) 型へ到達する。
(命題)
奇数 $\in \mathbb{Z}$ のコラッツ遷移は、必ず (8k + 5) 型へ到達する。
ただし、#1 に属する分岐テーブルの代表値を除く。
(証明)
自然数全体において、(8k + 5) 型自体または (8k + 5) 型へ
遷移するデータ型に着目し、1を超える奇数に対して、対象範囲を
4から始めて、2倍単位に適用範囲を拡大していった観点で、
(8k + 5) 型への遷移数($A_n$)の調査結果(抜粋)を以下に示す。
[図A](8k + 5) 型への遷移数
[図A]において、$D_n = T_n - A_n$ であり、
$D_{n+2} = D_{n+1} + D_n$ が成り立つ。
$D_n ~ F_n$ 間には、$D_n = F_j (n \ge 0, j \ge 3; j = n + 3)$ の
対応関係がある。すなわち、
遷移数差分($D_n$)として、フィボナッチ数列が出現している。
ここで、自然数全体へ観察対象範囲を拡大していく過程における、
<(8k + 5) 型への未到達数($D_n$)>と該当段階における
<奇数全体数($T_n$)>の比率(未カバー率)の変化を見る。
以下に[図A]の該当データ部分のグラフを示す。
[図B]未カバー率((8k + 5) 型への未到達数の割合)
[図B]から、未カバー率は、指数関数的に単調減少し、
n → ∞において、0 に収束する傾向があることがわかる。
以降では、実際に、未カバー率の極限を求める。
フィボナッチ数列の一般項は、以下である。
$F_n = \frac{1}{\sqrt 5}{(\frac{1+\sqrt 5}{2})^n - (\frac{1-\sqrt 5}{2})^n}$
この特性方程式 $x^2 - x - 1 = 0$ の解を $\alpha,\ \beta\ (\alpha \gt \beta)$ とおくと、
$\alpha = \frac{1+\sqrt 5}{2},\ \beta = \frac{1-\sqrt 5}{2}$ ・・・(1)
上式を式(1) の $\alpha,\ \beta$ で表現すると、
$F_n = \frac{1}{\sqrt 5}(\alpha^n - \beta^n)$
一方、$|\frac{1 + \sqrt 5}{2}| \fallingdotseq 1.618 \lt 2,\ |\frac{1 - \sqrt 5}{2}| \fallingdotseq 1.236 \lt 2$
なので、$|\frac{\alpha}{2}| \lt 1,\ |\frac{\beta}{2}| \lt 1$ である。
ここで、$f(n) = \frac{F_n}{T_n)} = \frac{F_n}{2(2^n)}$ を考えると、
$f(n) = \frac{1}{2\sqrt{5}}(\frac{α^n - β^n}{2^n})= \frac{1}{2\sqrt{5}}((\frac{\alpha}{2})^n - (\frac{\beta}{2})^n)$
一方、無限等比数列 ${r^n}$ は、$|r| \lt 1$ である場合、
$\displaystyle \lim_{ n \to \infty } r^n = 0$
よって、$n \rightarrow \infty$ のとき、$(\frac{\alpha}{2})^n,\ (\frac{\beta}{2})^n \rightarrow 0$
$\therefore \displaystyle \lim_{ n \to \infty } f(n) = 0$
上記の結果より、未カバー率は、n → ∞において、0 に収束する。
よって、すべての奇数のコラッツ遷移は、(8k + 5) 型へ到達する。
ただし、ルート分岐テーブルグループ(#1)に属する
分岐テーブルの代表値を除く。この理由は、それらの g(n)
演算結果は2のべき乗となるため、直ちに1へ遷移することによる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題H]初期値下降シーケンス関連
[補題H-1](4k + 1) 型のコラッツ遷移は初期値下降シーケンス
(命題)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0,\ (4k + 1)$ 型のコラッツ遷移は
初期値下降シーケンスである。
(証明)
自然数 n に対して、n = 4k + 1 として、g(n) を計算する。
g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1) ・・・ (1)
ここで、遷移値に関して、(4k + 1) > (3k + 1) である。
k が偶数の場合:
k = 2j とおくと、
4k + 1 = 8j + 1
3k + 1 = 6j + 1
(8j + 1) → (6j + 1) の遷移なので、このデータ型の遷移は
初期値下降シーケンスである。
k が奇数の場合:
k = 2j + 1 とおくと、
4k + 1 = 8j + 5
3k + 1 = 6j + 4 = 2(3j + 2)
j が偶数の場合:
j = 2i とおくと、
4k + 1 = 8j + 5 = 16i + 5
3j + 2 = 6i + 2 = 2(3i + 1)
ここで、再び式(1)の (3k + 1) と同型が登場する。
よって、この式展開は全体として再帰的であり、
無限に継続する。
これは、(4k + 1) 型の自然数が無限に存在することに
対応しており、k の値を定めた場合に、該当する式が
初めて確定することを意味する。
一方、k の値を定めた場合は、いずれの場合でも、
初期値である (4k + 1) に対して g(n) を適用した結果は、
初期値よりも小さくなる。
よって、(4k + 1) に対するコラッツ演算結果として
生じる遷移は、常に初期値下降シーケンスとなる。
j が奇数の場合:
j = 2i + 1 とおくと、
4k + 1 = 8j + 5 = 16i + 13
3j + 2 = 6i + 5
(16i + 13) → (6i + 5) の遷移なので、
このデータ型の遷移は初期値下降シーケンスである。
以上の結果より、(4k + 1) 型のコラッツ遷移は、すべての場合で、
初期値下降シーケンスである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題H-2](16k + 3) 型のコラッツ遷移は初期値下降シーケンス
(命題)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0,\ (16k + 3)$ 型のコラッツ遷移は
初期値下降シーケンスである。
(証明)
自然数 n に対して、n = 16k + 3 として、g(n) を計算する。
g(16k + 3) = 48k + 10 = 2(24k + 5)
g(24k + 5) = 72k + 16 = 8(9k + 2)
ここで、遷移値に関して、(16k + 3) > (9k + 2) である。
よって、(16k + 3) 型のコラッツ遷移は初期値下降シーケンスである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題H-3](32k + 11) 型のコラッツ遷移は初期値下降シーケンス
(命題)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0,\ (32k + 11)$ 型のコラッツ遷移は
初期値下降シーケンスである。
(証明)
自然数 n に対して、n = 32k + 11 として、g(n) を計算する。
g(32k + 11) = 96k + 34 = 2(48k + 17)
g(48k + 17) = 144k + 52 = 4(36k + 13)
g(36k + 13) = 108k + 40 = 4(27k + 10)
ここで、遷移値に関して、(32k + 11) > (27k + 10) である。
よって、(32k + 11) 型のコラッツ遷移は初期値下降シーケンスである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題H-4]BTG 基準値の遷移が IVDS → BTG 所属代表値の遷移は IVDS
(命題)
分岐テーブルグループの基準値のコラッツ遷移が
初期値下降シーケンスであるならば、その分岐テーブルグループに
属する全ての分岐テーブルのコラッツ遷移は、
初期値下降シーケンスである。
(証明)
分岐テーブルグループに属するすべての分岐テーブルの
コラッツ遷移は、同一の分岐テーブルにコラッツ遷移する。
また、分岐テーブルグループの基準値を a とすると、#a に属する
他の分岐テーブルの代表値は、(4n + 1)関係を反映して、
先頭から順に 4a + 1, 16a + 5, $\cdots$ である。
すなわち、分岐テーブルグループの基準値は、
その分岐テーブルグループ内において、最小値である。
@a のコラッツ遷移が初期値下降シーケンスである場合の
コラッツ遷移において、最初に a より小さくなる奇数の
コラッツ遷移を b とすると、a > b である。よって、b は、
明らかに #a に属する a 以外の分岐テーブルの代表値より小さい。
したがって、#a に属するすべての分岐テーブルの代表値の
コラッツ遷移は、@bに到達するするので、
初期値下降シーケンスである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題H-5](24k + 19) 型関連の初期値下降シーケンス
(命題)
コラッツ遷移において、分岐テーブルの代表値が
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$, (24k + 19) 型である以下の場合、
初期値よりも小さい値が出現する。
・(96k + 19) 型
・(96k + 43) 型
・(96k + 67) 型
(証明)
それぞれの場合について、命題が成り立つことを以下に示す。
■(96k + 19) 型の場合
奇数成分 19 のコラッツ遷移は、19 → 29 → 11 である。
g(96k + 19) = 288k + 58 = 2(144k + 29)
g(144k + 29) = 432k + 88 = 8(54k + 11)
上式において、(96k + 19) > (54k + 11) なので、
初期値>遷移値である。
■(96k + 43) 型の場合
奇数成分 43 のコラッツ遷移は、43 → 65 → 49 → 37
g(96k + 43) = 288k + 130 = 2(144k + 65)
g(144k + 65) = 432k + 196 = 4(108k + 49)
g(108k + 49) = 324k + 148 = 4(81k + 37)
上式において、(96k + 43) > (81k + 37) なので、
初期値>遷移値である。
■(96k + 67) 型の場合
奇数成分 67 のコラッツ遷移は、67 → 101 → 19
g(96k + 67) = 288k + 202 = 2(144k + 101)
g(144k + 101) = 432k + 304 = 16(27k + 19)
上式において、(96k + 67) > (27k + 19) なので、
初期値>遷移値である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題H-6]BTG に属する代表値パターンの遷移
(命題)
$\exists a \in \mathbb{Z} \gt 0,\ \exists b \in N_o,\ \forall k \in \mathbb{Z} \ge 0,\ 2ak + b$ のコラッツ遷移が
初期値下降シーケンスならば、4(2ak + b) + 1 の遷移も
初期値シーケンスである。
(証明)
$\exists c \in N_o, c = 2ak + b$ は分岐テーブルの代表値である。
ここで、@c が所属する分岐テーブルグループを #x とし、
基準値を持つ分岐テーブル @x は、@y へ遷移するものとする。
同一の分岐テーブルグループに属するすべての分岐テーブルは、
同一の分岐テーブルへ合流するので、@c は @y へ遷移する。
$\exists d \in N_o, d = 4(2ak + b) + 1$ は、@c が所属する
#x において、@c の次の要素である。
よって、@d も @y へ遷移する。すなわち、@c と @d の
遷移は、@y 以降は同一の経路を辿る。
@c のコラッツ遷移は初期値下降シーケンスなので、
その経路において、最初に c より小さくなる奇数を z とおくと、
以下の関係が成り立つ。
z < c < d
すなわち、@d に対するコラッツ遷移は z に到達し、かつ、
z は d より小さい。
よって、@d のコラッツ遷移は初期値下降シーケンスである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題H-7](ak + b) が IVDS ⇒ (nak + b) も IVDS
(命題)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, \exists a, b \in \mathbb{Z} \gt 0, ak + b$ が初期値下降シーケンス
ならば、$\forall n \in \mathbb{Z}> 0, nak + b$ も初期値下降シーケンスである。
(証明)
i = nk とおくと、nak + b = a(nk) + b = ai + b である。
(nak + b) のコラッツ遷移は、(ak + b) のコラッツ遷移において、
k が nk の場合に相当する。
よって、(nak + b) の遷移は初期値下降シーケンスである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題I]無限経路に関する補題
[補題I-1]無限経路内 BT 代表値全体の最大値には下限が存在
(命題)
無限経路が存在する場合、$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$ として、
先頭から第 n 番目の分岐テーブルの代表値を $a_n$ とすると、
以下が成り立つ。
$\max\{a_1,\dots,a_n\} \ge (2n - 1)$・・・(1)
(証明)
背理法で証明する。
不等式 (1) が成り立たないと仮定すると、
$a_1,\dots,a_n \lt (2n - 1)$ である。このとき、
(2n - 1) より小さい奇数の個数は (n - 1) である。
一方、$a_1,\dots,a_n$ は分岐テーブルの代表値であり、
[補題E-5]より、コラッツ遷移において、同一奇数は
重複して出現しないので、n 個の相異なる奇数である。
よって、これは矛盾である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題I-2]無限経路の分岐テーブルの代表値は際限なく増大
(命題)
コラッツ遷移において無限経路が存在する場合、
その経路途中における分岐テーブルの代表値は、
経路全体としては際限なく増大していく。
(証明)
コラッツ遷移において無限経路が存在する場合、[補題I-1]より、
無限経路に含まれる全ての分岐テーブルの代表値に対する最大値は、
$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$ として、先頭から第 n 番目の分岐テーブルの代表値を
$a_n$ とすると、(2n - 1) 以上である。
よって、無限経路内の分岐テーブルを辿っていくと、n → ∞ を
考えることになるので、分岐テーブルの代表値全体に対する
最大値は、際限なく増大する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題I-3]コラッツ遷移が初期値下降シーケンスである場合の到達点
(命題)
自然数に属する全ての奇数に対するコラッツ遷移が
初期値下降シーケンスである場合、
任意の分岐テーブル ~ ルートテーブルの経路が必ず存在する。
(証明)
ここでは、コラッツ遷移において、出現する奇数のみに着目する。
コラッツ遷移の出発点である奇数を $\forall A_0 \in N_o$ とする。
$A_0$ に対するコラッツ遷移は初期値下降シーケンスなので、$A_0$ から
コラッツ遷移を繰り返した場合、 $A_0$ 未満となる奇数が存在する。
それらの中で、最初に出現する奇数を $A_1$ とする。
このとき、$A_0 \lt A_1$ である。
上記の操作を複数回繰り返すと、数列 {$A_0, A_1,\cdots$} が得られる。
要素の関係は、繰り返し回数を $\forall n \in \mathbb{N}$ とすると、以下である。
$A_0 \gt A_1 \gt \cdots \gt A_n \gt \cdots$
上式は、自然数全体の奇数の最小値に到達するまで継続する。
自然数全体の奇数の最小値は1なので、任意の分岐テーブルは
ルートテーブル(@1)に到達する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題I-4]分岐テーブルグループの従属値を経由する遷移
(命題)
分岐テーブルグループの従属値を経由してコラッツ遷移する場合、
終点である分岐テーブルの代表値が出発点の代表値より小さくなる。
ただし、出発点として、ルートテーブルは対象外である。
(証明)
3つの分岐テーブル @a, @b, @c 間に @a → @b→ @c の
関係があるとき、発生する全パターンは以下である。
始点 Phase1 Phase2 終点
------------------------------------------
(a) (3n) 型 →(3n + 2)型 →(3n + 2)型
(b) (3n) 型 →(3n + 2)型 →(3n + 1)型
(c) (3n) 型 →(3n + 1)型 →(3n + 2)型
(d) (3n) 型 →(3n + 1)型 →(3n + 1)型
(e) (3n + 1)型 →(3n + 2)型 →(3n + 2)型
(f) (3n + 1)型 →(3n + 2)型 →(3n + 1)型
(g) (3n + 1)型 →(3n + 1)型 →(3n + 2)型
(h) (3n + 1)型 →(3n + 1)型 →(3n + 1)型
(i) (3n + 2)型 →(3n + 1)型 →(3n + 2)型
(j) (3n + 2)型 →(3n + 1)型 →(3n + 1)型
(k) (3n + 2)型 →(3n + 2)型 →(3n + 2)型
(l) (3n + 2)型 →(3n + 2)型 →(3n + 1)型
上記の発生パターンに対して、コラッツ遷移値を計算する条件は、
最終的な遷移値が最大となるように、通過する遷移条件を選択する。
すなわち、以下とする。
●共通事項
・分岐テーブルのリンク基準点にリンクする。
●Phase1
・題意より、分岐テーブルグループの従属値を経由する。
・分岐テーブルグループの先頭の従属値を通過する。
●Phase2
・分岐テーブルグループの基準値に遷移する。
以下に、上記 (a) ~ (l) に対するコラッツ遷移値と、
先頭/末尾の値に関する大小比較の結果を示す。
(a) (3n)型 →(3n + 2)型 →(3n + 2)型
a g(a)/2 g(g(a)/2)/(4 * 2)
= (3((3a + 1)/2) + 1)/8 = (9a + 5)/16
ex. 243 365 137
(9a + 5)/16 = (9 * 243 + 5)/16 = 2192/16 = 137
Large and small comparison: a > (9a + 5)/16
(b) (3n)型 →(3n + 2)型 →(3n + 1)型
a g(a)/2 g(g(a)/2)/(4 * 4)
= (3((3a + 1)/2) + 1)/16 = (9a + 5)/32
ex. 771 1157 217
(9a + 5)/32 = (9 * 771 + 5)/32 = 6944/32 = 217
Large and small comparison: a > (9a + 5)/32
(c) (3n)型 →(3n + 1)型 →(3n + 2)型
a g(a)/4 g(g(a)/4)/(4 * 2)
= (3((3a + 1)/4) + 1)/8 = (9a + 7)/32
ex. 81 61 23
(9a + 7)/32 = (9 * 81 + 7)/32 = 736/32 = 23
Large and small comparison: a > (9a + 7)/32
(d) (3n)型 →(3n + 1)型 →(3n + 1)型
a g(a)/4 g(g(a)/4)/(4 * 4)
= (3((3a + 1)/4) + 1)/16 = (9a + 7)/64
ex. 945 709 133
(9a + 7)/64 = (9 * 945 + 7)/64 = 8512/64 = 133
Large and small comparison: a > (9a + 7)/64
(e) (3n + 1)型 →(3n + 2)型 →(3n + 2)型
a g(a)/2 g(g(a)/2)/(4 * 2)
= (3((3a + 1)/2) + 1)/8 = (9a + 5)/16
ex. 19 29 11
(9a + 5)/16 = (9*19 + 5)/16 = 176/16 = 11
Large and small comparison: a > (9a + 5)/16
(f) (3n + 1)型 →(3n + 2)型 →(3n + 1)型
a g(a)/2 g(g(a)/2)/(4 * 4)
= (3((3a + 1)/2) + 1)/16 = (9a + 5)/32
ex. 67 101 19
(9a + 5)/32 = (9 * 67 + 5)/32 = 608/32 = 19
Large and small comparison: a > (9a + 5)/32
(g) (3n + 1)型 →(3n + 1)型 →(3n + 2)型
a g(a)/4 g(g(a)/4)/(4 * 2)
= (3((3a + 1)/4) + 1)/8 = (9a + 7)/32
ex. 721 541 203
(9a + 7)/32 = (9 * 721 + 7)/32 = 6496/32 = 203
Large and small comparison: a > (9a + 7)/32
(h) (3n + 1)型 →(3n + 1)型 →(3n + 1)型
a g(a)/4 g(g(a)/4)/(4 * 4)
= (3((3a + 1)/4) + 1)/16 = (9a + 7)/64
ex. 49 37 7
(9a + 7)/64 = (9 * 49 + 7)/64 = 448/64 = 7
Large and small comparison: a > (9a + 7)/64
(i) (3n + 2)型 →(3n + 1)型 →(3n + 2)型
a g(a)/4 g(g(a)/4)/(4 * 2)
= (3((3a + 1)/4) + 1)/8 = (9a + 7)/32
ex. 401 301 113
(9a + 7)/32 = (9 * 401 + 7)/32 = 3616/32 = 113
Large and small comparison: a > (9a + 7)/32
(j) (3n + 2)型 →(3n + 1)型 →(3n + 1)型
a g(a)/4 g(g(a)/4)/(4 * 4)
= (3((3a + 1)/4) + 1)/16 = (9a + 7)/64
ex. 305 229 43
(9a + 7)/64 = (9 * 305 + 7)/64 = 2745/64 = 7
Large and small comparison: a > (9a + 7)/64
(k) (3n + 2)型 →(3n + 2)型 →(3n + 2)型
a g(a)/2 g(g(a)/2)/(4 * 2)
= (3((3a + 1)/2) + 1)/8 = (9a + 5)/16
ex. 1139 1709 641
(9a + 5)/16 = (9 * 1139 + 5)/16 = 176/16 = 641
Large and small comparison: a > (9a + 5)/16
(l) (3n + 2)型 →(3n + 2)型 →(3n + 1)型
a g(a)/2 g(g(a)/2)/(4 * 4)
= (3((3a + 1)/2) + 1)/16 = (9a + 5)/32
ex. 2051 3077 577
(9a + 5)/32 = (9 * 2051 + 5)/32 = 18464/32 = 577
Large and small comparison: a > (9a + 5)/32
以上の結果より、2つのコラッツ遷移を一体として見た場合、
分岐テーブルグループの従属値を経由する経路の末端の代表値は、
起点となる代表値よりも、必ず小さくなる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題I-5]分岐テーブルの代表値が減少する遷移パターン
(命題)
コラッツ遷移において、以下の場合、終点である分岐テーブルの
代表値が出発点の代表値よりも小さくなる。
・$\forall k \in \mathbb{Z} \gt 0, 4k + 1$ 型を出発点とするコラッツ遷移
・3(4k + 3) 型を出発点とするコラッツ遷移
・(16k + 3) 型を出発点とするコラッツ遷移
・(3n + 1)型分岐テーブルへ遷移する。
・分岐テーブルのリンク基準点以外へ遷移する。
・分岐テーブルグループの従属値を経由して遷移する。
(証明)
命題のそれぞれのパターンに対して、個別に証明する。
■$\forall k \in \mathbb{Z} \gt 0, 4k + 1$ 型を出発点とするコラッツ遷移
出発点とするデータ型を 4k + 1 とすると、
g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1)
(4k + 1) > (3k + 1) なので、遷移値は元の値よりも
小さくなる。
■3(4k + 3) 型を出発点とするコラッツ遷移
出発点とするデータ型を$\forall k \in \mathbb{Z} \gt 0$, 3(4k + 3) とすると、
g(3(4k + 3)) = 3(12k + 9) + 1 = 36k + 28 = 4(9k + 7)
(12k + 9) > (9k + 7) なので、遷移値は元の値よりも
小さくなる。
■(16k + 3) 型を出発点とするコラッツ遷移
出発点とするデータ型を$\forall k \in \mathbb{Z} > 0, 16k + 3$ とすると、
g(16k + 3) = 48k + 10 = 2(24k + 5)
g(24k + 5) = 72k + 16 = 8(9k + 2)
(16k + 3) > (9k + 2) なので、遷移値は元の値よりも
小さくなる。
■(3n + 1)型分岐テーブルへ遷移する。
(3n + 1)型分岐テーブルへ遷移する場合の全パターンは、
以下である。
・(3n) 型 →(3n + 1)型
・(3n + 1)型 →(3n + 1)型
・(3n + 2)型 →(3n + 1)型
これらに対して、個別に証明する。
◆3n 型 →(3n + 1)型
3n 型奇数の一般形は、$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, 6m + 3$ である。
g(6m + 3) = 18m + 10 = 2(9m + 5)
m = 0 の場合、遷移先の代表値は 5 となるので、
(3n + 1)型代表値となるための必要条件は m > 0 である。
(3n + 1)型のリンク基準点にリンクする場合、
2による除算係数は4である。
よって、上式の m が奇数の場合に相当する。
k ∈ Z > 0, m = 2k + 1 とおくと、
9m + 5 = 9(2k + 1) + 5 = 18k + 14 = 2(9k + 7)
∴g(6m + 3) = 4(9k + 7)
(6m + 3) - (9k + 7)
= 6m + 9k - 4
= 6m + 9(m - 1)/2 - 4
= (12m + 9m - 1 - 8)/2
= (21m - 9)/2
= (3/2)(7m - 3) > 0 // ∵ m > 0
∴(6m + 3) > (9k + 7)
よって、(3n + 1)型分岐テーブルへ遷移する場合、
遷移値の値は、遷移前の値よりも小さくなる。
◆(3n + 1)型 →(3n + 1)型
(3n + 1) 型奇数の一般形は$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, 6m + 1$である。
g(6m + 1) = 18m + 4 = 2(9m + 2)
(3n + 1)型のリンク基準点にリンクする場合、
2による除算係数は4である。
よって、上式の m が偶数の場合に相当する。
k ∈ Z > 0, m = 2k とおくと、
9m + 2 = 18k + 2 = 2(9k + 1)
∴g(6m + 1) = 4(9k + 1)
(6m + 1) - (9k + 1)
= 6m - 9k
= 3(2m - 3k)
= 3(2m - 3(m/2))
= 3(4m - 3m)/2
= (3/2)m > 0 // ∵ m > 0
∴(6m + 1) > (9k + 1)
よって、(3n + 1)型分岐テーブルへ遷移する場合、
遷移値の値は、遷移前の値よりも小さくなる。
◆(3n + 2)型 →(3n + 1)型
(3n + 2) 型奇数の一般形は$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, 6m + 5$である。
g(6m + 5) = 18m + 16 = 2(9m + 8)
(3n + 1)型のリンク基準点にリンクする場合、
2による除算係数は4である。
よって、上式の m が偶数の場合に相当する。
k ∈ Z > 0, m = 2k とおくと、
9m + 8 = 18k + 8 = 2(9k + 4)
∴g(6m + 5) = 4(9k + 4)
(6m + 5) - (9k + 4)
= 6m - 9k + 1
= 6m - 9m/2 + 1
= (1/2)(12m - 9m + 2)
= (1/2)(3m + 2) > 0 // ∵ m > 0
∴(6m + 5) > (9k + 4)
よって、(3n + 1)型分岐テーブルへ遷移する場合、
遷移値の値は、遷移前の値よりも小さくなる。
■分岐テーブルのリンク基準点以外へ遷移する。
@a, @b間に @a → @bの関係があるとき、@bの
リンク対象点の先頭から0相対の順序番号 n を付与する。
これを「リンク順序番号」という。
このとき、リンク基準点のリンク順序番号は 0 である。
@a が分岐テーブル内のリンク順序番号 n のリンク対象点へ
リンクする場合のコラッツ遷移値の一般形式は、以下である。
・b が(3n + 2)型の場合: g(a)/(2(4^n))
・b が(3n + 1)型の場合: g(a))/(4^(n + 1))
上記の値は、n > 0 の場合、いずれも a 未満となる。
たとえば、@a が2番目のリンク対象点へリンクする場合の
コラッツ遷移値は、リンク順序番号 n = 1 の場合であり、
以下となる。
・b が(3n + 2)型の場合: (3a + 1)/8 < a
・b が(3n + 1)型の場合: (3a + 1)/16 < a
@a が3番目以降のリンク対象点へリンクする場合も
同様である。
したがって、@a がリンク基準点以外へ遷移する場合、
それらの全ての場合で、始点である代表値 a よりも小さくなる。
■分岐テーブルグループの従属値を経由して遷移する。
この場合については、[補題I-3]で証明されている。
よって、列挙されているすべてのパターンに対して、
分岐テーブルの代表値が減少することが示された。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題I-6]遷移値が初期値よりも小さくなる(12k + 3)系データ型
(命題)
コラッツ遷移において、分岐テーブルの代表値のデータ型が
(12k + 3)型に属する以下の場合、コラッツ遷移の過程で、
初期値よりも小さい値が出現する。
ただし、$\forall k, i \in \mathbb{Z} \ge 0$ の場合である。
・(48k + 3) 型
・(96k + 75) 型
・(96k + 87) 型
・(2304k + (15 + 384i)) 型
・(2304k + (135 + 384i)) 型
・(9216k + (315 + 384i)) 型
・(4608k + (39 + 768i)) 型
・(4608k + (123 + 768i)) 型
・(2304k + (219 + 768i)) 型
・(4608k + (351 + 768i)) 型
・(4608k + (591 + 768i)) 型
・(2304k + (687 + 768i)) 型
・(9216k + (711 + 768i)) 型
(証明)
命題のそれぞれのパターンに対して、個別に証明する。
(A)(48k + 3) 型
(48k + 3) 型は、2回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを示す。
1回目:g(48k + 3) = 144k + 10 = 2(72k + 5)
2回目:g(72k + 5) = 216k + 16 = 8(27k + 2)
k が偶数の場合:∀j ≧ 0, k = 2j とおくと、
g(72k + 5) = 16(27j + 1)
48k + 3 = 96j + 3 > 27j + 1 なので、
k が偶数の場合、初期値よりも小さくなる。
k が奇数の場合:∀j ≧ 0, k = 2j + 1 とおくと、
g(72k + 5) = 8(54j + 29)
48k + 3 = 96j + 51 > 54j + 29 なので、
k が奇数の場合、初期値よりも小さくなる。
以上の結果より、2回目のコラッツ遷移値は、
いずれの場合でも、初期値よりも小さくなる。
(B)(96k + 75) 型
(96k + 75) 型は、3回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを示す。
1回目:g(96k + 75) = 288k + 226 = 2(144k + 113)
2回目:g(144k + 113) = 432k + 340 = 4(108k + 85)
3回目:g(108k + 85) = 324k + 256 = 4(81k + 64)
96k + 75 > 81k + 64 なので、3回目の遷移値は、
初期値よりも小さくなる。
(C)(96k + 87) 型
(96k + 87) 型は、3回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを示す。
1回目:g(96k + 87) = 288k + 262 = 2(144k + 131)
2回目:g(144k + 131) = 432k + 394 = 2(216k + 197)
3回目:g(216k + 197) = 648k + 592 = 8(81k + 74)
k が偶数の場合:∀j ≧ 0, k = 2j とおくと、
g(216k + 197) = 16(81j + 37)
96k + 87 = 192j + 87 > 81j + 37 なので、
3回目の遷移値は、初期値よりも小さくなる。
k が奇数の場合:∀j ≧ 0, k = 2j + 1 とおくと、
g(216k + 197) = 8(162j + 155)
96k + 87 = 192j + 183 > 162j + 155 なので、
3回目の遷移結果は、初期値よりも小さくなる。
よって、3回目の遷移値は、上記のいずれの場合でも、
初期値よりも小さくなる。
(D)(2304k + (15 + 384i)) 型
(2304k + (15 + 384i)) 型は、4回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを以下に示す。
1回目 g(2304k + 15 + 384i) = 2(3456k + 23 + 3 * 192i)
2回目 g(3456k + 23 + 3 * 192i) = 2(5184k + 35 + 9 * 96i)
3回目 g(5184k + 35 + 9 * 96i) = 2(7776k + 53 + 27 * 48i)
4回目 g(7776k + 53 + 27 * 48i) = 16(1458k + 10 + 81 * 3i)
(2304k + 15 + 384i) > (1458k + 10 + 243i) なので、
4回目のコラッツ遷移は初期値よりも小さい。
(E)(2304k + (135 + 384i)) 型
(2304k + (135 + 384i)) 型は、4回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを以下に示す。
1回目 g(2304k + 135 + 384i) = 2(3456k + 203 + 3 * 192i)
2回目 g(3456k + 203 + 3 * 192i) = 2(5184k + 305 + 9 * 96i)
3回目 g(5184k + 305 + 9 * 96i) = 4(3888k + 229 + 27 * 24i)
4回目 g(3888k + 229 + 27 * 24i) = 8(1458k + 86 + 81 * 3i)
(2304k + 135 + 384i) > (1458k + 86 + 243i) なので、
4回目のコラッツ遷移は初期値よりも小さい。
(F)(9216k + (315 + 384i)) 型
(9216k + (315 + 384i)) 型は、4回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを以下に示す。
1回目 g( 9216k + 315 + 384i) = 2(13824k + 473 + 3 * 192i)
2回目 g(13824k + 473 + 3 * 192i) = 4(10368k + 355 + 9 * 48i)
3回目 g(10368k + 355 + 9 * 48i) = 2(15552k + 533 + 27 * 24i)
4回目 g(15552k + 533 + 27 * 24i) = 64(5832k + 200 + 81 * 3i)
(9216k + 315 + 384i) > (5832k + 200 + 243i) なので、
4回目のコラッツ遷移値は初期値よりも小さい。
(G)(4608k + (39 + 768i)) 型
(4608k + (39 + 768i)) 型は、5回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを以下に示す。
1回目 g( 4608k + 39 + 768i) = 2( 6912k + 59 + 3 * 384i)
2回目 g( 6912k + 59 + 3 * 384i) = 2(10368k + 89 + 9 * 192i)
3回目 g(10368k + 89 + 9 * 192i) = 4( 7776k + 67 + 27 * 48i)
4回目 g( 7776k + 67 + 27 * 48i) = 2(11664k + 101 + 81 * 24i)
5回目 g(11664k + 101 + 81 * 24i) = 8( 4374k + 76 + 243 * 3i)
(4608k + 39 + 768i) > (4374k + 76 + 729i) なので、
5回目のコラッツ遷移値は初期値よりも小さい。
(H)(4608k + (123 + 768i)) 型
(4608k + (123 + 768i)) 型は、5回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを以下に示す。
1回目 g(4608k + 123 + 768i) = 2(6912k + 185 + 3 * 384i)
2回目 g(6912k + 185 + 3 * 384i) = 4(5184k + 139 + 9 * 96i)
3回目 g(5184k + 139 + 9 * 96i) = 2(7776k + 209 + 27 * 48i)
4回目 g(7776k + 209 + 27 * 48i) = 4(5832k + 157 + 81 * 12i)
5回目 g(5832k + 157 + 81 * 12i) = 4(4374k + 118 + 243 * 3i)
(4608k + 123 + 768i) > (4374k + 118 + 729i) なので、
5回目のコラッツ遷移値は初期値よりも小さい。
(I)(2304k + (219 + 768i)) 型
(2304k + (219 + 768i)) 型は、5回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを以下に示す。
1回目 g(2304k + 219 + 768i) = 2(3456k + 329 + 3 * 384i)
2回目 g(3456k + 329 + 3 * 384i) = 4(2592k + 247 + 9 * 96i)
3回目 g(2592k + 247 + 9 * 96i) = 2(3888k + 371 + 27 * 48i)
4回目 g(3888k + 371 + 27 * 48i) = 2(5832k + 557 + 81 * 24i)
5回目 g(5832k + 557 + 81 * 24i) = 8(2187k + 209 + 243 * 3i)
(2304k + 219 + 768i) > (2187k + 209 + 729i) なので、
5回目のコラッツ遷移値は初期値よりも小さい。
(J)(4608k + (351 + 768i)) 型
(4608k + (351 + 768i)) 型は、5回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを以下に示す。
1回目 g(4608k + 351 + 768i) = 2(6912k + 527 + 3 * 384i)
2回目 g(6912k + 527 + 3 * 384i) = 2(10368k + 791 + 9 * 192i)
3回目 g(10368k + 791 + 9 * 192i) = 2(15552k + 1187 + 27 * 96i)
4回目 g(15552k + 1187 + 27 * 96i) = 2(23328k + 1781 + 81 * 48i)
5回目 g(23328k + 1781 + 81 * 48i) = 16(4374k + 334 + 243 * 3i)
(4608k + 351 + 768i) > (4374k + 334 + 729i) なので、
5回目のコラッツ遷移値は初期値よりも小さい。
(K)(4608k + (591 + 768i)) 型
(4608k + (591 + 768i)) 型は、5回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを以下に示す。
1回目 g( 4608k + 591 + 768i) = 2( 6912k + 887 + 3 * 384i)
2回目 g( 6912k + 887 + 3 * 384i) = 2(10368k + 1331 + 9 * 192i)
3回目 g(10368k + 1331 + 9 * 192i) = 2(15552k + 1997 + 27 * 96i)
4回目 g(15552k + 1997 + 27 * 96i) = 8( 5832k + 749 + 81 * 12i)
5回目 g( 5832k + 749 + 81 * 12i) = 4( 4374k + 562 + 243 * 3i)
(4608k + 591 + 768i) > (4374k + 562 + 729i) なので、
5回目のコラッツ遷移値は初期値よりも小さい。
(L)(2304k + (687 + 768i)) 型
(9216k + (711 + 768i)) 型は、5回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを以下に示す。
1回目 g(2304k + 687 + 768i) = 2(3456k + 1031 + 3 * 384i)
2回目 g(3456k + 1031 + 3 * 384i) = 2(5184k + 1547 + 9 * 192i)
3回目 g(5184k + 1547 + 9 * 192i) = 2(7776k + 2321 + 27 * 96i)
4回目 g(7776k + 2321 + 27 * 96i) = 4(5832k + 1741 + 81 * 24i)
5回目 g(5832k + 1741 + 81 * 24i) = 8(2187k + 653 + 243 * 3i)
(2304k + 687 + 768i) > (2187k + 653 + 243 * 3i) なので、
5回目のコラッツ遷移値は初期値よりも小さい。
(M)(9216k + (711 + 768i)) 型
(9216k + (711 + 768i)) 型は、5回目のコラッツ遷移で、
初期値より小さくなることを以下に示す。
1回目 g( 9216k + 711 + 768i) = 2(13824k + 1067 + 3 * 384i)
2回目 g(13824k + 1067 + 3 * 384i) = 2(20736k + 1601 + 9 * 192i)
3回目 g(20736k + 1601 + 9 * 192i) = 4(15552k + 1201 + 27 * 48i)
4回目 g(15552k + 1201 + 27 * 48i) = 4(11664k + 901 + 81 * 12i)
5回目 g(11664k + 901 + 81 * 12i) = 4( 2916k + 676 + 243 * 3i)
(9216k + 711 + 768i) > (2916k + 676 + 243 * 3i) なので、
5回目のコラッツ遷移値は初期値よりも小さい。
以上の結果より、命題は成り立つ。
□
[補題I-7]無限経路の最小値は奇数
(命題)
循環経路が存在しないコラッツ遷移の無限経路が存在する場合、
その経路の最小値は奇数である。
(証明)
循環経路が存在しない場合において、コラッツ操作により
1 に到達しない自然数が存在する場合の最小値を n と仮定する。
n が偶数である場合、次の遷移値は n/2 となる。
これは、n が最小値である仮定に反するので矛盾である。
よって、n は奇数でなければならない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題I-8]無限経路の最小値のデータ型は (4k + 3) 型
(命題)
循環経路が存在しないコラッツ遷移の無限経路が存在する場合、
その経路の最小値のデータ型は (4k + 3) 型である。
(証明)
[補題I-7]より、無限経路の最小値 n は奇数である。
奇数を mod 4 で分類すると、(4k + 1)/(4k + 3) 型のいずれかである。
(4k + 1) 型のコラッツ遷移は、以下となる。
g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1)
よって、(4k + 1) 型のコラッツ遷移は初期値下降シーケンスである。
これは、n がコラッツ操作で 1 に到達することになり、矛盾である。
一方、(4k + 3) 型のコラッツ遷移は、以下となる。
g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5)
よって、(4k + 3) 型のコラッツ遷移は初期値上昇シーケンスである。
以上の結果より、最小値のデータ型は (4k + 3) 型で
なければならない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題I-9]無限経路のコラッツ遷移値の逆数和は発散
(命題)
無限経路が存在する場合、コラッツ遷移値の逆数和は発散する。
(証明)
コラッツ遷移において、初期値 $V_0 \in N_o$ を出発点とする
無限経路 ${V_0, V_1, \cdots V_i, \cdots }$ を考える。
このとき、[補題I-2]より、$\exists i, V_i \in \mathbb{Z} \gt 0, V_i \ge V_0$ である。
また、$V_0, V_1, \cdots V_{i-1}$ の逆数の総和を $\displaystyle S_a = \sum_{k=0}^{i - 1}\frac{1}{V_k}$ とする。
ここで、$S_a$ は、有限値である。
$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, n \ge i$ に対する部分和は、$\displaystyle S_n = \sum_{k=0}^{n}\frac{1}{V_k}$ である。
このとき、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge i, V_k \ge V_0$ なので、
$\displaystyle S_n = S_a + \sum_{k=i}^{n}V_k \gt S_a + \frac{n - i}{V_0}$
が成り立つ。ここで、上式の右辺の極限を考えると、
$\displaystyle \lim_{n \to \infty}(S_a + \frac{n - i}{V_0}) = \infty$
よって、部分和 $S_n$ の極限は、追い出しの原理より、
無限大に発散する。すなわち、コラッツ遷移値の逆数和は発散する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題I-10]無限経路は存在しない。
(命題)
コラッツ遷移に無限経路は存在しない。
(証明)
分岐テーブル間遷移回数を $\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$、
k 番目の遷移値を $\exists V_k \in N_o$ とするコラッツ遷移を考える。
ただし、$V_0$ を初期値とする。
また、@$V_k$ に対応する $P_k$ は分岐テーブル内遷移回数、
$S_n$ は分岐テーブル内遷移回数の総和とする。
ただし、$V_0, P_0, S_0$ は初期値であり、すべて 0 とする。
$\displaystyle S_n = {\sum_{k=1}^{n}}P_k = P_1 + P_1 + P_2 + \cdots + P_n$
このとき、コラッツ遷移方程式は以下である。
$\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = \frac{2^{S_n}}{3^n}\prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})$ ・・・(1)
なお、コラッツ遷移において、分岐テーブルの代表値である
$V_n$ は自然数として必ず定まる。
式(1) の右辺において、$(1 - \frac{1}{g(V_k)}) \lt 1$ である。よって、
$\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \lt 1$ ・・・(2)
上記の関係を式(1) に適用すると、
$\frac{V_0}{V_n} \lt \frac{2^{S_n}}{3^n}$ ・・・(3)
よって、任意のコラッツ遷移において、始端 $V_0$ と終端 $V_n$ の
比には上界が存在する。閾値 R = $\frac{2^{S_n}}{3^n}$ を「経過比率」という。
コラッツ遷移前の状態において、$n = S_n = 0$ なので、
R の初期値は1である。
式(3) を R で表現すると、
$V_n \gt \frac{V_0}{R} \gt 0$ ・・・(4)
上式は $V_n$ に対する下限($\frac{V_0}{R}$)による粗い近似式と見做せる。
また、コラッツ遷移方程式を $V_n$ のみを左辺において書き直すと、
$\displaystyle V_n = \frac{V_0}{R}\frac{1}{\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})}$ ・・・(5)
である。
以降の計算では、$(1 - \frac{1}{g(V_k)})$ において、$\frac{1}{g(V_k)}$ を除いた場合の
誤差($\frac{1}{g(V_k)}$)同士の積項を相対的に十分小さいものとして扱い、
計算上において無視する。
このとき、上式の乗積部分は、誤差のない状態を 1 として、
以下のように近似される。
\begin{align}
&~~~~\prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \\
&\approx 1 - (\frac{1}{g(V_0)} + \frac{1}{g(V_1)} + \cdots + \frac{1}{g(V_{n-1})}) \\
&= 1 - \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)}
\end{align}
これより、式(2)に対する近似値の誤差($E_t$)は以下である。
$\displaystyle E_t = \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)}$
絶対誤差の近似値 $0 \lt E_t \lt 1$ を評価すると、以下である。
\begin{align}
\displaystyle E_t &= \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)} \\
&= \frac{1}{3V_0 + 1} + \frac{1}{3V_1 + 1} + \cdots + \frac{1}{3V_{n-1} + 1} \\
&\lt \frac{1}{3V_0} + \frac{1}{3V_1} + \cdots + \frac{1}{3V_{n-1}} \\
&= \frac{1}{3}(\frac{1}{V_0} + \frac{1}{V_1} + \cdots + \frac{1}{V_{n-1}}) \\
&= \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k} \\
\end{align}
すなわち、奇数ベースの遷移値 $V_k$ の逆数和の $\frac{1}{3}$ が
絶対誤差の上限を与える。
よって、コラッツ遷移方程式における絶対誤差($E$)の定義を
以下とする。
$\displaystyle E = \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k}$
$\therefore \displaystyle E_t \lt E$
誤差項の関係を整理すると、
$\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \approx (1 - E_t) \gt (1 - E)$
$\therefore \displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \gt (1 - \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k})$
上式の右辺は正でなければならないので、
$\displaystyle 3 \gt \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k}$ ・・・(3)
である必要がある。
一方、[補題I-9]より、無限経路が存在する場合、
奇数ベースのコラッツ遷移値の逆数和は無限大に発散する。
無限経路が存在すると仮定し、[補題I-9]の結果を
式(3)に適用すると、$n \rightarrow \infty$ のとき、式(3)の右辺 $\rightarrow \infty$ である。
これは、矛盾である。すなわち、無限経路が存在するとした
仮定が誤りである。
よって、コラッツ遷移において、無限経路は存在しない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題J]扱う数値
[補題J-1]log23 は無理数である。
(命題)
$\log_{2} 3$ は無理数である。
(証明)
対数関数は単調増加なので、$\log_{2} 3 > \log_{2} 2 = 1$ である。
$\log_{2} 3$ が有理数であると仮定すると、
$\exists m, n \in \mathbb{Z} \gt 0$ である互いに素な整数により、
$\log_{2} 3 = m / n$
とおける。
上式は 2^(m/n) = 3 と等価なので、この両辺を n 乗すると
2^m = 3^n
m > 0, n > 0 より、2^m は2の倍数であるが、
3^n は2の倍数でない。素因数分解の一意性より、
2^m = 3^n を満たす m, n は存在しない。
これは矛盾である。
よって、$\log_{2} 3$ は有理数でなく、無理数である
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題J-2]2^p = 3^q を満たす p, q 関係
(命題)
$2^p = 3^q$ を満たす $p, q$ の関係は、以下である。
$p = q\log_{2} 3 \fallingdotseq 1.585q$
(証明)
$2^p = 3^q$ に対して、底2で両辺の対数をとると、
$p = q\log_{2} 3 = q\frac{\log{3}}{\log{2}}$
常用対数において、$\log{2} \fallingdotseq 0.301029996$、
$\log{3} \fallingdotseq 0.477121255$ なので、
$\log_{2} 3 = \frac{\log{3}}{\log{2}} \fallingdotseq 0.477121255 \div 0.301029996 \fallingdotseq 1.585$
$\therefore p \fallingdotseq 1.585q$
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題K]代表的な関係式
恒等式や不等式等の代表的な関係式を以下に示す。
[補題K-1]ln(x) ≦ x - 1 where x > 0
(命題)
$\forall x \in \mathbb{R} \gt 0, \ln x ≦ x - 1$
(証明)
$f(x) = x - 1 - \ln x$ とおいて、$f(x)$ を微分すると、
$f'(x) = 1- \dfrac{1}{x} = \dfrac{x - 1}{x}$
$f''(x) = \dfrac{1}{x^2}$
である。$f(x)$ のグラフ形状は下に凸であり、$x \le 1$ で単調減少,
$x \ge 1$ で単調増加なので、$x = 1$ で最小値を取る。
$f(x)$ のグラフを以下に示す。
また、$f(1) = 0$ なので、このとき、命題の等号が成り立つ。
なお、命題を構成する対数関数 $y = \ln x$ に対する $x = 1$ に
おける接線が $y = x - 1$ であることを以下に示す。
すなわち、$x \gt 0$ の条件で、$y = x - 1$ は $y = \ln x$ よりも、
$x = 1$ の場合を除いて、常にグラフ上で上部にある。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題L]無限級数
ここでは、無限級数に関する極限状態に関する補題を列挙する。
[補題L-1]調和級数は発散
(命題)
調和級数 $\displaystyle \sum_{k=1}^{\infty}\dfrac{1}{k}$ は、無限大に発散する。
(証明)
自然数の逆数和である調和級数の定義は、以下である。
$\displaystyle H = \sum_{k=1}^{\infty}\dfrac{1}{k} = \dfrac{1}{1}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}+\cdots$
これを以下のようにグループ分けする。
$\displaystyle H = 1+\left({\frac {1}{2}}\right)+\left({\frac {1}{3}}+{\frac {1}{4}}\right)+\left({\frac {1}{5}}+{\frac {1}{6}}+{\frac {1}{7}}+{\frac {1}{8}}\right) + \cdots$
すなわち、グループ分けの個数は、2 のべき乗数で増やしていく。
括弧でグループ分けされた部分において、最も右の値のほうが
小さいので、括弧内のその他の項をその値で置き換えれば、
式全体として小さくなる。これを適用すると、以下となる。
\begin{align}
H &\gt 1+\left({\frac {1}{2}}\right)+\left({\frac {1}{4}}+{\frac {1}{4}}\right)+\left(\frac{1}{8} + \frac{1}{8} + \frac{1}{8} + \frac{1}{8} \right) + \cdots \\
&= 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \cdots
\end{align}
上記の式変形の最終行において、以下の比較
$\displaystyle \sum _{k=1}^{2^p}{\frac{1}{k}} \gt 1 + \frac{p}{2}$ ・・・(1)
が $\forall k \in \mathbb{Z} \gt 0$ に対して成り立つ。
$p \rightarrow \infty$ のとき、式(1)の右辺は無限大に発散するので、
左辺も無限大に発散する。
以上から、調和級数が無限大に発散することが示された。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題L-2]偶数の逆数和は発散
(命題)
自然数における偶数の逆数和は無限大に発散する。
(証明)
自然数における偶数の逆数和は、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{\infty}\dfrac{1}{2k} = \frac{1}{2}\sum_{k=1}^{\infty}\dfrac{1}{k}$
である。上式の右辺の総和部分は調和級数である。
[補題L-1]より、調和級数は無限大に発散するので、
上式の左辺は無限大に発散する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題L-3]奇数の逆数和は発散
(命題)
自然数における奇数の逆数和は無限大に発散する。
(証明)
$\dfrac{1}{2k - 1} \gt \dfrac{1}{2k}$ なので、自然数における奇数の逆数和は、
$\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{2k - 1} \gt \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{2k}$
である。[補題L-2]より、自然数における偶数の逆数和は
無限大に発散する。
よって、上式の左辺は無限大に発散する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題L-4]合成数の逆数和は発散
(命題)
合成数の逆数和は無限大に発散する。
(証明)
合成数の逆数和は自然数における偶数の逆数和に含まれる項以外の
余剰な項を持つ。何故ならば、2 以外の偶数は全て合成数である。
よって、「合成数の逆数和 > 自然数における偶数の逆数和」が
成り立つ。
[補題L-2]より、自然数における偶数の逆数和は無限大に
発散するので、合成数の逆数和は無限大に発散する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題L-5]素数の逆数和は発散
(命題)
素数の逆数和 $\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{5}+\dfrac{1}{7}+\cdots$ は無限大に発散する。
(証明)
$\forall n \in \mathbb{N}$ 以下の素数の個数を与える関数を $T(n) \in \mathbb{N}$ とし、
以降では、$t = T(n)$ と書く。
$n$ 以下の素数を小さい順に $p_1,p_2,\cdots ,p_t$ とおくと、
$n$ 以下の自然数の素因数は、全て $p_1$ ~ $p_t$ のいずれかなので,
調和級数に対する大小関係として、以下が成り立つ。
$\displaystyle\sum_{k=1}^n\dfrac{1}{k} <\prod_{i=1}^t\left(1+\dfrac{1}{p_i}+\dfrac{1}{p_i^2}+\dfrac{1}{p_i^3}+\cdots\right)$
注)上式の右辺を展開して並べると、左辺の各項が全て登場し、
かつ、さらに余剰の項が存在する。
上式の右辺を等比級数の和の公式で変形する。
すなわち、初項 a、公比 $r \ne 1$、項数 $n$ の場合の等比級数の和は、
$\frac{a(r^n - 1)}{r - 1}$ なので、初項 1、公比 $\frac{1}{p_i}$ を代入すると、
$\displaystyle \prod_{i=1}^t\dfrac{1}{1 - \frac{1}{p_i}} = \prod_{i=1}^t\left(\dfrac{p_i}{p_i - 1}\right)=\prod_{i=1}^t\left(1+\dfrac{1}{p_i - 1}\right)$
である。上記の不等式の対数を取って和の形にすると、
\begin{align}
\displaystyle \ln \left(\sum_{k=1}^n\dfrac{1}{k}\right) &\lt \ln \left(\prod_{i=1}^t(1 + \dfrac{1}{p_i - 1})\right) \\
&= \sum_{i=1}^t \ln (1 + \dfrac{1}{p_i - 1}) \\
\end{align}
である。[補題K-1]より、$\forall x \in \mathbb{R} \gt 0, \ln (x + 1) ≦ x$ なので、
$\displaystyle \ln \left(\sum_{k=1}^n\dfrac{1}{k}\right) \lt \sum_{i=1}^t\dfrac{1}{p_i - 1}$ ・・・(1)
となる。i 番目の素数は (i − 1) 番目の素数より 1 以上大きいので,
$p_i - 1 \ge p_{i - 1}$ である。これを上式の右辺に適用すると、
\begin{align}
\displaystyle \sum_{i=1}^t\dfrac{1}{p_i - 1} &= 1 + \sum_{i=2}^t \dfrac{1}{p_i - 1} \\
&\leq 1+ \sum_{i=2}^t \dfrac{1}{p_{i - 1}} \\
&= 1 + \sum_{i=1}^{t-1} \dfrac{1}{p_{i}}
\end{align}
である。この結果を式(1)に適用すると、
$\displaystyle \ln \left(\sum_{k=1}^n\dfrac{1}{k}\right) \lt 1 + \sum_{i=1}^{t-1} \dfrac{1}{p_{i}}$
ここで $n \rightarrow \infty$ とすると、調和級数は発散するので、
上式の左辺は発散する。よって,右辺も発散する。
$n \rightarrow \infty$ のとき、$t \rightarrow \infty$ であることに注意すると、
$\displaystyle \lim_{t\to\infty}\sum_{i=1}^t\dfrac{1}{p_i} = \infty$
が成り立つ。
よって、素数の逆数和が発散することが示された。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題M]極限値
[補題M-1]正定数の n 乗根の極限
(命題)
定数 $\forall a \in \mathbb{Z} \gt 0$ に対して、以下が成り立つ。
$\displaystyle \forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, \lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{a} = 1$
(証明)
$\displaystyle \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{a} = \lim_{n \to \infty} a^{\raise{1ex}\hbox{$\scriptsize \frac{1}{n}$}} = a^0 = 1$
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題M-2]n の n 乗根の極限
(命題)
$\displaystyle \forall n \in \mathbb{Z} \gt 0, \lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{n} = 1$
(証明)
$n = 1$ の場合:
$\displaystyle \sqrt[n]{n} = 1 \implies \lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{n} = 1$ なので、命題は成り立つ。
$n \ge 2$ の場合:
数列 $q_n \gt 0$ を
$q_n = \sqrt[n]{n} - 1$ ・・・(1)
と定義する。式(1)を変形すると、
$\sqrt[n]{n} = q_n + 1$
である。上式の両辺を n 乗すると、
$n = (1 + q_n)^n$
二項定理を用いて右辺を展開すると、
\begin{align}
(1 + q_n)^n &= {}_n \mathrm{C}_0 + {}_n \mathrm{C}_1 q_n + {}_n \mathrm{C}_2 {q_n}^2 + \cdots + {}_n \mathrm{C}_n {q_n}^n \\
&\ge {}_n \mathrm{C}_0 + {}_n \mathrm{C}_1 q_n + {}_n \mathrm{C}_2 {q_n}^2 \\
&= 1 + n q_n + \frac{n(n - 1)}{2} {q_n}^2 \\
&\gt 1 + \frac{n(n - 1)}{2} {q_n}^2
\end{align}
である。上記の最終結果より、
$\displaystyle n - 1 > \frac{n(n - 1)}{2} {q_n}^2$
$\displaystyle 1 > \frac{n}{2}{q_n}^2$
$\displaystyle \frac{2}{n} > {q_n}^2$
である。上記の最終結果の平方根をとると、
$q_n \lt \sqrt{\frac{2}{n}}$
となる。$n \to \infty$ とすると、右辺は 0 に収束する。
$0 \lt q_n$ なので、はさみうちの原理により、
$\displaystyle \lim_{n \to \infty} q_n = 0$
$\therefore \displaystyle \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{n} = 1$
よって、すべての自然数 n に対して、$\displaystyle \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{n} = 1$ が成り立つ。
したがって、命題は成り立つ。
□
<用語集>
本稿において、使用する一般的でない用語を以下に示す。なお、
数学用語でも、定義を明確にするために収録しているものがある。
記載順序は50音順ではなく、用語定義上での発生順序を
考慮している。
■自然数(natural number)
自然数は、正の整数とする。
また、自然数全体の集合を $\mathbb{N}$ と表記する。
■モード、モード変数、基数
$\forall n \in N_o$ は、除数 $\exists m \in \mathbb{Z} \gt 0, m \lt n$ を定めると、
n を m で除算した場合の商 $\exists k \in \mathbb{Z} \ge 0$ と、その余りである
$\exists r \in N_o$ により、$n = mk + r$ と表現できる。
本書では、m を「モード」、k を「モード変数」、
r を「基数」という。
■MSB (Most Significant Bit)
MSB は、数値を2進数で表現した場合において、
最も大きな重みを持つビット位置のことである。
■LSB (Least Significant Bit)
LSB は、数値を2進数で表現した場合において、
最も小さな重みを持つビット位置のことである。
最も小さな重みは、整数を扱う場合、通常1である。
■メルセンヌ数(Mersenne number)
メルセンヌ数とは、2の冪乗よりも1小さい自然数、
すなわち、$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0,\ 2^n − 1$ のことである。
■Noo (Number Of Ones)
数値の2進数表現において、その中に含まれる1の個数を
Noo という。また、数値 n に対する Noo を Noo(n) と表記する。
ex. Noo(5) = 2 // 5 = 0b101
■Noz (Number Of Zeroes)
数値の2進数表現において、その中に含まれる0の個数を
Noz という。また、数値 n に対する Noz を Noz(n) と表記する。
ただし、Noz には、MSB より上位の0は含めない。
ex. Noz(5) = 1 // 5 = 0b101
■数値インデックス(number index)
ある集合の要素に対して、0相対の順序番号を割り当てる。
この場合の順序番号を「数値インデックス」という。
■奇数インデックス(odd number index)
奇数集合 $N_o$ に対する数値インデックスを
「奇数インデックス」という。
$\forall n \in N_o$ と、それに対する奇数インデックス $\exists m \in \mathbb{Z} \ge 0$ の
関係は、n = 2m + 1 である。また、奇数による
奇数インデックス表現は、m = (n - 1) / 2 である。
■(3n)/(3n + 1)/(3n + 2)型
自然数全体を3による除算の余りで分類する場合において、
余りが 0 / 1 / 2 の場合に応じて、
(3n)型、(3n + 1)型、(3n + 2)型という。
ex. 5 は、(3n + 2)型である。
■(4n + 1)グループ
自然数における奇数全体を(4k + 1)形式で分類した要素を
「(4n + 1)グループ」という。(4k + 1)グループの要素は、
値の昇順に並べるものとする。以下に例を示す。
ex. 3, 13, 53, 213, 853, ...
(4k + 1)グループの先頭要素を基準値という。
基準値は、該当(4k + 1)グループの最小値である。
また、(4k + 1)グループに属する基準値以外の要素を
従属値という。従属値の一般形式は、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0,\ (8k + 5)$ である。
よって、(4n + 1)グループの基準値の形式は、
(8k + 1) / (8k + 3) / (8k + 7) のいずれかである。
■因数分解形式 - 2に着目した素因数分解の一意性表現
素因数分解の一意性より、素数としての2に着目した場合、
$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$ は以下のように表現できる。
$\exists m \in N_o,\ \exists p \in \mathbb{Z} \ge 0,\ n = m(2^p)$
この形式を「因数分解形式」という。
ここで、任意の自然数 n に対して、因数分解を行う関数
P(n), Q(n) を定義する。
P(n) は、n を因数分解形式($m(2^p)$)に変換した場合、
2を除く素数のみで構成された合成数を返す関数である。
すなわち、P(n) = m である。
Q(n) は、n を因数分解形式($m(2^p)$)に変換した場合、
2の冪乗の指数を返す関数である。すなわち、Q(n) = p である。
注)因数分解形式は、分岐テーブルの代表値 $\forall n \in \mathbb{N}$ に対する
(3n + 1)形式を単一の奇数と2の冪乗値の積の形式で扱う。
(3n + 1)形式が和の形態であるのに対して、積の形態である
因数分解形式は、コラッツ遷移方程式等での分数比による
扱いが容易である。
■遷移(Transition)
ある集合の要素を辿ることを「遷移」という。
■遷移比率
値が a → b と変化した軌跡としての数列 a, b に対して、
始点 a と終点 b の関係を考える。
このとき、遷移 a → b に関して、その比率 r を
r = b / a と定義し、「遷移比率」という。
この定義より、a ~ b 間の関係は、遷移比率 r によって、
b = ar と表現できる。
■コラッツ演算(Collatz's operation)
コラッツ関数を適用することを「コラッツ演算」という。
■コラッツ遷移(Collatz's transition)
コラッツ演算を適用して遷移することをいう。
■コラッツ収束(Collatz's convergence)
ある自然数から出発して、コラッツ演算を繰り返した場合、
最終的に1に到達し、その後は自明なループの遷移を繰り返すことを
「コラッツ収束」する、または、単に「収束」するという。
■T型ブロック(T-junction block)
$\forall n \in N_o$, (n、g(n), g(n)/2、2 * g(n))の組を
「T型ブロック」という。
g(n) を「分岐値」、g(n)/2 を「半数値」、2*g(n) を「倍数値」と
呼ぶと、T型ブロックは、(奇数、分岐値、半数値、倍数値)と
定義されている。
T型ブロックは、コラッツ遷移において、$\forall n \in N_o$, g(n) = 3n + 1;
$\forall n \in N_e$, h(n) = n / 2 を適用する過程で現れる。
分岐値のデータ型は(6m + 4)型、
半数値のデータ型は(3n + 2)型である。
∵$\forall n \in N_o, \exists m \in \mathbb{N}, n = 2m + 1$,
3n + 1 = 3(2m + 1) + 1 = 6m + 4 = 2(3m + 2)
また、倍数値のデータ型は 4(3m + 2) なので(3n + 2)型である。
■分岐テーブル(Branch table)
$\forall a \in N_o$ と、a を2のべき乗倍した値全体の集合(倍数列)を
「分岐テーブル」という。分岐テーブルは、無限集合である。
分岐テーブルの初項を a とすると、一般項は、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, a(2^k)$
である。分岐テーブルの要素は値の昇順に並べるものとする。
すなわち、a を先頭に、{a, 2a, 4a, ...} である。
特定の分岐テーブルを表す場合、代表値 a を使用して、
@a と表す。例えば、分岐テーブルの代表値が 3 の場合、
@3 とする。例として、n = 5 の場合を以下に示す。
5, 10, 20, 40, 80, 160, 320, 640, ...
また、分岐テーブルを ”BT” と略記する場合がある。
なお、3の奇数倍を代表値とする分岐テーブルを除くと、
分岐テーブルは、T型ブロックの要素である
{半数値、分岐値、倍数値}をベースに、(3n + 1)型奇数の
倍数を追加要素として含めた組と見做すことができる。
■分岐テーブル内インデックス(Index of branch table)
分岐テーブルの要素先頭から付与された 0 相対の順序番号である。
具体的には、代表値 a の順序番号が 0 であり、最初の偶数の
順序番号は 1 である。
分岐テーブル内インデックス $\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0$ は、
分岐テーブル内の要素を $a(2^i)$ とした場合、
2の冪乗の指数に相当する。
■代表値(Representative value)
分岐テーブルに含まれる奇数である自然数を分岐テーブルの
「代表値」という。
また、代表値が a である分岐テーブルを @a と記述する。
■ルートテーブル(Root table)
代表値が 1 である分岐テーブル(@1)をルートテーブルという。
ルートテーブルは、2の冪乗値の集合である。
以下に、ルートテーブルの要素例を示す。
1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128, 256, 512, 1024, 2048, 4096, ...
■合流(Confluence)
複数の分岐テーブルが、同一の分岐テーブルのリンク対象点に
リンクすることを「合流する」という。
■分岐テーブルグループ(Branch table group)
ある分岐テーブルの代表値 a に対して、その代表値の
相互関係が (4a + 1) 関係にある分岐テーブルの集合を
分岐テーブルグループという。
分岐テーブルグループは無限集合である。
すなわち、分岐テーブルグループは、奇数に対する分類における
(4n + 1)グループの値を持つ分岐テーブルで構成される。
また、その場合の最初の代表値をその分岐テーブルグループの
「基準値」という。すなわち、基準値を a とした場合、
分岐テーブルグループ全体の代表値の並びは以下となる。
a, 4a + 1, 16a + 5, 64a + 21, 256a + 85, 1024a + 341, ...
分岐テーブルグループにおいて、基準値以外の要素は、すべて
「従属値」である。従属値のデータ型は(8k + 5)型、
基準値のデータ型は (8k + 1)/(8k + 3)/(8k + 7) 型である。
以降、分岐テーブルグループを ”BTG” と略記する場合がある。
また、特定の分岐テーブルグループを表す場合、基準値 a を使用し、
"#a" と表す。例えば、分岐テーブルグループの基準値が 3 の場合、
#3 と記述する。
■分岐テーブルグループ内インデックス(Index of branch table group)
分岐テーブルグループ内インデックス $\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0$ は、
分岐テーブルグループ内の要素の先頭から付与された 0 相対の
順序番号である。具体的には、基準値の順序番号が 0 である。
■ルート分岐テーブルグループ(Root Branch table group)
基準値が 1 である分岐テーブルグループを
「ルート分岐テーブルグループ」という。
ルート分岐テーブルグループの構成要素は、
{ @1, @5, $\unicode{x0040}21,\ \unicode{x0040}85$, ... }である。
■リンク(Link)
対象とする集合内、または集合間の要素を関連付けるシンボルを
「リンク」という。
結合対象には、分岐テーブル内の偶数間、2つの分岐テーブル間、
2つの分岐テーブルグループ間等がある。
リンクは、その(端点A、端点B)のペア(「リンク識別子」)で
区別される。
また、それぞれの代表値が a, b である2つの分岐テーブル間に
リンクが存在する場合、その関係性を”→”で表現し、
@a → @bと記述する。
同様に、それぞれの基準値が a, b である2つの
分岐テーブルグループ間にリンクが存在する場合、
その関係性を”→”で表現し、#a → #b と記述する。
例えば、#3 → #1 と表す。この場合、#3 に属する全ての
分岐テーブルが #1 に属する、コラッツ演算に対応した特定の
分岐テーブルにリンクすることを意味する。
#3 → #1 の実例として、@3 → @5, $\unicode{x0040}13$ → @5, ... がある。
■リンク対象点(Link target point)
分岐テーブル内のリンク結合箇所を「リンク対象点」という。
また、図形的意味と用例での意味合いを強調して、リンク対象点を
「分岐点」または「合流点」という場合もある。
リンク元の分岐テーブルの代表値を $a \in N_o$ とすると、
リンク先分岐テーブルのリンク対象点の値は偶数であり、
g(a) = 3a + 1 である。
∵∀m ≧ 0 ∈ $\mathbb{Z}$, set a = 2m + 1,
3a + 1 = 3(2m + 1) + 1 = 6m + 4 = 2(3m + 2)
なお、m を奇数インデックスとするとき、リンク対象点の
データ型は (6m + 4) である。
■リンク基準点(Link base point)
分岐テーブルのリンク対象点において、先頭のリンク対象点を
「リンク基準点」という。
リンク基準点は、該当の分岐テーブルのリンク対象点として、
最小の値を持つ。
@a, $\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ に対して、
(6k + 5) 型分岐テーブルのリンク基準点は 2a、
(6k + 1) 型分岐テーブルのリンク基準点は 4a である。
また、リンク基準点の値を b とするとき、
次のリンク対象点の値は 4b である。
※リンク基準点は分岐テーブルの最小の偶数とは限らない。
■リンク対象点インデックス(Index of link base point)
分岐テーブルのリンク基準点を相対 0 とするリンク対象点に
対する順序番号を「リンク対象点インデックス」という。
ex. @7 の要素は、{7, 14, 28, 56, 112, $\cdots$} である。
このとき、リンク基準点は 28、次のリンク対象点は
112 である。28, 112 に対するリンク対象点インデックスは
0, 1 である。
■到達値(Reached value)
分岐テーブル内または分岐テブル間を一連の関連した
演算を経て遷移した値を「到達値」という。
コラッツ予想における最終到達値(奇数)は、1である。
■順方向(Forward direction)
コラッツ遷移において、以下の場合を「順方向」という。
・分岐テーブル内遷移において、遷移先が遷移元の 1/2 となる。
・分岐テーブル間遷移において、リンクの起点 n に対して、
リンク対象点が g(n) = 3n + 1 である。
■逆方向(Reverse direction)
コラッツ遷移において、以下の場合を「逆方向」という。
・分岐テーブル内の遷移において、遷移先要素が遷移元要素の
2倍となる場合
・分岐テーブル間遷移において、リンクの終点 n に対して、
リンクの起点が g(n) = 3n + 1 である場合
■経路(Route)
分岐テーブルの内外を問わず、それらの要素間を遷移する
場合において、(始点、終点)となる要素間のペアで表現される
道筋を「経路」という。また、経路を使うことを”通過”するという。
■経路集合(Route set)
分岐テーブル全体の集合を「経路集合」という。
■経路テーブル(Path table)
経路集合において、1対1の対応関係にある分岐テーブル間の
リンクがすべて確立している状態にある分岐テーブル全体を
「経路テーブル」、または、
「コラッツ遷移系統(Collatz's link system)」という。
■BTG 並行シーケンス
分岐テーブルグループに属する連続する(6k + 1)/(6k + 5)型の
要素を終端としてリンクする2つのコラッツ遷移シーケンスを
「BTG 並行シーケンス」という。
BTG 並行シーケンスの起点は、2つのコラッツ遷移シーケンスの
どちらか一方にある(6k + 3)型の分岐テーブルである。
終端が(6k + 1)型であるBTG 並行シーケンスに属する
分岐テーブルの代表値を $\forall a \in \mathbb{Z} \gt 1$、
終端が(6k + 5)型であるBTG 並行シーケンスの分岐テーブルの
代表値を $\exists b \in \mathbb{Z} \gt 1$ とすると、b = 2a + 1 が成り立つ。
なお、BTG 並行シーケンスは、分岐テーブルグループの基準値が
(6k + 5)型で始まる分岐テーブルグループの場合、その先頭部分には
存在しない。
■BTG 仮想経路
@x → @y であるコラッツ遷移において、
@x が属する分岐テーブルグループの基準値が b である場合、
@x → @b→ @y の経路が存在すると捉えても、
@x → @y の遷移の観点としては等価である。
すなわち、本来のリンク対象点を通過する過程を
分岐テーブルグループ内を通過する仮想的な経路に置換しても、
コラッツ遷移上の最終的な遷移先は変化しない。
この観点での経路を「BTG 仮想経路」という。
以下に例を示す。
ex. (実在ルート) 13 → 40 → 20 → 10 → 5
(BTG 仮想経路)13 → 3 → 10 → 5
■コラッツ経路末端
分岐テーブルで構成される経路グラフの末端、すなわち、
コラッツ遷移の開始点としての 3n 型分岐テーブルを
「コラッツ経路末端」という。(ex. @9)
■端点シーケンス
(6k + 3) 型を代表値とする分岐テーブルを始端とする
コラッツ遷移列を「端点シーケンス」という。以下に例を示す。
ex. @9 → @7 → @11 → @17 → @13
なお、上記の遷移を分岐テーブルグループの視点でみると、
#9 → #7 → #11 → #17 → #3
端点シーケンスの終端は、分岐テーブルグループの
従属値((8k + 5) 型)を代表値とする分岐テーブルである。
■初期値下降状態
コラッツ遷移シーケンスにおいて、すべての遷移値が、
出発点とする値(初期値)よりも小さい値である状態を
「初期値下降状態」という。
■初期値上昇状態
コラッツ遷移シーケンスにおいて、すべての遷移値が、
出発点とする値(初期値)よりも大きい値である状態を
「初期値上昇状態」という。
■初期値下降シーケンス (IVDS: Initial Value Down Sequence)
コラッツ遷移列において、出発点とする値(初期値)よりも
小さい値が出現するシーケンスを「初期値下降シーケンス」という。
この場合、初期値に対する途中経過の大小関係の変化を問わない。
■初期値上昇シーケンス (IVUS: Initial Value Up Sequence)
コラッツ遷移列において、出発点とする値(初期値)よりも
大きい値が出現するシーケンスを「初期値上昇シーケンス」という。
この場合、初期値に対する途中経過の大小関係の変化を問わない。
■先頭遷移最大値数 (TAM: Top Appearing Maximum)
初期値 $\forall a \in N_o$ がそれから始まる奇数に対するコラッツ遷移の
最大値である場合、a を「先頭遷移最大値数」という。
先頭遷移最大値数の例を以下に示す。
ex. 17 → 13 → 5 → 1
■(8k + 7) 型継続シーケンス
(8k + 7) 型から始まるコラッツ遷移は、(8k + 3) 型に至るまで
(8k + 7) 型以外のデータ型に遷移しない。
(8k + 7) 型が2個以上継続するデータ型の遷移パターンを
「(8k + 7) 型継続シーケンス」という。以下にれ
・・・→(64k + 31)→(32k + 15)→(16k + 7)→(8k + 3)→(4k + 1)
※上記の (8k + 3) 型以前の (64k + 31),(32k + 15),(16k + 7) 等は、
すべて (8k + 7) 型である。
■ルート逆方向展開リンク系統(Root reverse link system)
ルート分岐テーブルグループ(#1)に属する全ての分岐テーブルを
起点として、コラッツ演算の逆方向展開した一連のリンク系統全体を
「ルート逆方向展開リンク系統」という。
■奇数の2倍関係
2つの奇数 a, b に関して、b = 2a + 1 であるとき、
a, b は「奇数の2倍関係」にあるという。
(ex. 7 と 15, 15 と 31, ...)
■分岐テーブルの2倍関係
2つの分岐テーブル @a, @bの代表値 a, b が
「奇数の2倍関係」になっているとき、@a, @bは、
「分岐テーブルの2倍関係」にあるという。
ex. @17 と @35 は代表値が2倍関係にあり、
#3 に属する @13 と @53 から、それぞれが
派生している。(@17 → @13、@35 → @53)
なお、「分岐テーブルの2倍関係」にあるからといって、
その2つの分岐テーブルが、遷移系統における図形的な意味で
関連しているとは限らない。(ex. @3 と @7)
■2n1 基準値/2n1 従属値
2つの分岐テーブル @a, @bの代表値 a, b が
「奇数の2倍関係」になっている場合、b = 2a + 1 である。
このとき、a を「2n1 基準値」、b を「2n1 従属値」という。
以下の遷移例では、17 が 2n1 基準値、35 が 2n1 従属値である。
ex. 17 → 13 → 5
35 → 53 → 5
なお、2n1 基準値となる奇数 a を $\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, a = 2k + 1$
とすると、k は偶数であるか、k が 2n1 従属値でなければならない。
ex. 15 は 7 に対する 2n1 従属値、31 は 63 に対する 2n1 基準値。
■循環経路(circulation path)
コラッツ遷移において、通過する要素としての分岐テーブルの
代表値の配置が環状であるリンク系統を「循環経路」という。
特定の起点および終点が存在しない点が特徴である。
■無限経路(Infinite path)
際限なくコラッツ遷移を繰り返すリンク系統を「無限経路」という。
■遷移方程式(Transition equation)
$\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0$, n 番目の遷移状態を $V_n \in \mathbb{N}$ とするとき、
$V_0 → V_1 → V_2 → \cdots → V_n$ である遷移に対して、
二項関係の遷移比率を重ね合わせて遷移状態を表現すると
以下となる。
Vn / V0 = (V1 / V0)(V2 / V1)$\cdots$(Vn / Vn-1) ・・・(1)
上式を「遷移方程式」という。
$\forall i \in \mathbb{N}$, i 番目の遷移比率を $R_i$ とすると、
遷移方程式は以下となる。
Vn = V0 (R1R2$\cdots$Rn) = V0ΠRi ・・・(2)
■分岐点遷移方程式(Branch point transition equation)
コラッツ遷移方程式は、コラッツ遷移における経路の通過過程を
示すものであり、以下の関係式を「分岐点遷移方程式」という。
$\frac{V_0}{V_n} = 2^{S_n} \times \frac{V_0}{V_1 2^{P_1}} \times \frac{V_1}{V_2 2^{P_2}} \times \cdots \times \frac{V_{n-1}}{V_n 2^{P_n}}$
$\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0, \forall V_i ∈ N_o$ は分岐テーブルの代表値であり、
コラッツ遷移方程式において、$V_0$ はコラッツ遷移の始点、
$V_n$ はコラッツ遷移の終点である。
また、n は分岐テーブル間遷移回数、
$P_i$ は分岐テーブル内遷移回数である。
$S_n$ は2による除算回数($P_j$)の総和であり、以下で定義される。
$\displaystyle S_n = {\sum_{i=1}^{n}}P_i = P_1 + P_2 + \cdots + P_n$
分岐テーブル間遷移回数 n と $S_n$ の初期値は 0 である。
なお、$g(V_i) = 3V_i + 1 = 2^{P_{i+1}}V_{i+1}$ であり、
因数分解形式を採用して、上式の各項における分母と分子で、
分岐テーブルの代表値と、それがリンクする分岐点を
対応させている。
■コラッツ遷移方程式(Collatz's transition equation)
コラッツ遷移に関する以下の関係式をコラッツ遷移方程式という。
コラッツ遷移方程式は、分岐点遷移方程式の別表現であり、
分岐点遷移方程式に対して、$3^n$ の観点を追加して表現されている。
$\displaystyle \frac{a}{x} = (\frac{2^{S_n}}{3^q})(1 - \frac{1}{J_0})(1 - \frac{1}{J_1})\cdots(1 - \frac{1}{J_{n-1}})$ ・・・(1)
ただし、$\exists a \in N_o$ は始点、$\exists x \in N_o$ は終点であり、
$J_0 = g(a), 0 \lt i \lt n \in \mathbb{N}, J_i = g(i)$ である。
また、$P_i$ は2の冪乗の指数であり、分岐テーブル内での
2による除算回数である。
$\displaystyle S_n = \sum_{i=1}^{n} P_i = P_1 + P_2 + \cdots + P_n$
は、分岐テーブル内での2による除算の合計回数である。
また、3の冪乗の指数として現れる q は、コラッツ遷移における
分岐テーブル間の遷移回数である。
<定義関数>
本稿において利用する関数の定義を以下に示す。
■$f(n)$ - コラッツ関数(Collatz's function)
(定義)
\forall n \in \mathbb{N},\ f(n) = \left \{ \begin{array} \\
n \mathbin{/} 2 & (n \equiv 0 \pmod 2) \\
3n + 1 & (n \equiv 1 \pmod 2)
\end{array}
\right.
(概要)
任意の自然数に対して、偶数の場合は2で割る、
奇数の場合は3倍して1を足した値を返す。
(説明)
$f(n)$ を「コラッツ関数」という。
(備考)
奇数 n を奇数インデックス m で表現すると、
$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2m + 1$ なので、以下となる。
g(2m + 1) = 6m + 4
(6m + 4) 型は、分岐テーブルにおける分岐点の
データ型である。
■$g(n)$ - 分岐点関数(Branch point function)
(定義)
$\forall n \in N_o, g(n) = 3n + 1$
(概要)
指定された奇数に対するコラッツ遷移値を返す。
(説明)
$g(n)$ は、コラッツ演算の一部を構成する関数である。
(備考)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2k + 1$ とおくと、
$g(n) = 3(2k + 1) + 1 = 6k + 4 = 2(3k + 2)$
よって、$g(n)$ は、常に偶数である。
■$h(n)$ - 半減関数(Half reduction function)
(定義)
$\forall n \in N_e, h(n) = n / 2$
(概要)
指定された偶数の 1/2 を返す。
(説明)
$h(n)$ は、コラッツ演算の一部を構成する関数である。
■$r(v)$ - 分岐点逆方向リンク
(定義)
$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, v = 6m + 4, r(v) = (v - 1) / 3$
(概要)
指定された分岐点 v に対する逆方向リンクの奇数を返す。
(備考)
定義における m は奇数インデックスである。
■$R(n, p)$ - 代表値逆方向リンク
(定義)
$\forall n,p \in \mathbb{Z} \gt 0, R(n, p) = r(n(2^p))$
(概要)
指定された代表値 n と分岐テーブル内インデックス p に
対する逆方向リンクの奇数を返す。
(備考)
$n2^p$ は $\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, (6m + 4)$ 型である必要がある。
すなわち、p は $n2^p$ が分岐テーブルの分岐点となる値
でなければならない。
■$G(n)$ - 分岐テーブルグループ関数(Branch table group function)
(定義)
$\forall n \in N_o, G(n) = 4n + 1$
(概要)
分岐テーブルグループにおいて、指定された分岐テーブルの
代表値 n に対して、分岐テーブルグループ内の次の要素である
分岐テーブルの代表値(4n + 1)を返す。
<参考文献>
[1] 宗田光一: 『コラッツ問題の肯定的解決について』第1版,
Amazon Services International LLC, 2016
<参考 URL>
■コラッツの問題
https://ja.wikipedia.org/wiki/コラッツの問題
■3n+1問題(コラッツ予想)・・・2021-10-06版を閲覧
https://www.geisya.or.jp/~mwm48961/kou3/collatz1.htm
■『未解決問題』解答・・・2021-10-06版を閲覧
http://math.a.la9.jp/amikai.htm
■コラッツ予想ノート
https://qiita.com/outlandkarasu@github/items/35205552a47383835df6
■コラッツ予想の証明(PDF 形式)・・・2023-10-26版を閲覧
http://kato.chobi.net/collatz/Collatz_kato.pdf
■コラッツ予想の証明($log_2 3$の収束)・・・2022-02-11版を閲覧
https://rabbit2202.hatenablog.com/entry/2022/02/11/214314
■7章 Collatz 予想 (E16 The 3x+1 problem) in 『数学者の密室』
https://www.asahi-net.or.jp/~kc2h-msm/mathland/math07/index.htm
■The 3x + 1 Problem and its Generalizations
https://www.cecm.sfu.ca/organics/papers/lagarias/paper/html/paper.html
■高校数学の美しい物語
https://manabitimes.jp/math
数々の数学的な証明が掲載されており、参考にしています。
私にとっては、必ずしも初等的ではないものも含まれています。
■数学の景色
https://mathlandscape.com/
基礎的な数学的概念の習得・確認に利用させていただいています。
<付録>
<付録A:循環参照に関するコラッツ遷移の考察>
最初に、循環参照が起こり得ないパターンを以下に列挙する。
◆ルートテーブルは循環参照の出発点とはならない。
∵ルートテーブルには自己参照ループがあり、他の分岐テーブルへ
リンクしない。
◆3n 型分岐テーブルへの循環参照のリンクは発生しない。
∵3n 型分岐テーブルにはリンク対象点がない。
3の奇数倍である代表値を持つ分岐テーブルは、コラッツ遷移の
出発点にはなれるが、他の分岐テーブルのリンク対象にはならない。
◆@1 へ直接リンクする分岐テーブルは循環参照の出発点とならない。
∵ルートテーブルへ直接リンクする分岐テーブルは収束する。
ルートテーブルへ直接リンクする分岐テーブルは、#1 に属し、
@5, @21, @85, @341, ...
である。
以降では、上記の可能性を除いた循環参照が発生し得る場合について
考察する。
同一の経路を複数回通過する循環参照には、発生する可能性がある
パターンが存在する。大別すると、以下となる。
■循環参照の対象となる分岐テーブルを出発点とする場合
◆通過した分岐テーブルがない場合
・自身の分岐テーブルがリンク対象となる。
ex. @a → @a
・2つの分岐テーブル間で、遷移元の分岐テーブルが
リンク対象となる。
ex. @a → @b→ @a
◆通過した分岐テーブルがある場合
・リンクが2回連続する3個の分岐テーブル間
ex. @a → @b→ @c が存在する場合の
@c → @a
・リンクが(n - 1)回連続する n 個の分岐テーブル間
ex. @$B_1$ → @$B_2$ →$\cdots$→ @$B_n$ が
存在する場合の @$B_n$ → @$B_1$
さらに、循環参照の対象となる分岐テーブルを出発点とし、通過した
分岐テーブルが存在する分岐テーブルへリンクする場合においては、
さらにリンク対象点の位置も考慮する必要がある。
この場合の例として、@a → @b→ @c の遷移過程を考えると、
@c が @bにリンクすると仮定すると、@a → @bのリンクが
既に存在するので、@c が @a がリンクしている @b上の
リンク対象点にリンク不可なのは、分岐テーブル間リンクの一意性より、
自明である。しかし、@b上のその他のリンク対象点にリンク不可か
どうかは、一般には自明ではない。
以下に、循環参照の典型的なパターン例を示す。
[図(付録A-1)]循環参照パターン例
ここでは、上記の可能性をすべて排除できることを示すことにより、
コラッツ遷移において循環参照が発生しないことを示す。
以下の形態の分岐テーブルにおいて、同一の分岐テーブルを
複数回通過する経路が存在しないことを示すことができれば、
コラッツ遷移において、循環参照は発生しない。
・代表値が3の奇数倍である分岐テーブル
・自分自身の分岐テーブルがリンク対象となる場合
・リンクする2つの分岐テーブル間
・リンクが2回連続する3個の分岐テーブル間
・リンクが3個以上離れている分岐テーブル間
以下に、証明の概要を示す。
(A) 代表値が(3*奇数)である分岐テーブルが出発点である場合
代表値が3の奇数倍である分岐テーブルは分岐点が存在しない。
よって、その分岐テーブルに属する要素については、
循環参照の対象外である。
(B) ある1つの分岐テーブル内で、循環参照がない。
@a がルートテーブル以外の場合、@a → @a の
自己参照が不可であることを[補題E-1]で証明している。
(C) 2つの分岐テーブル間で、循環参照がない。
2つの分岐テーブル @a, @bが存在する場合において、
@b→ @a の参照が不可であることを[補題E-2]で証明している。
(D) 3つの分岐テーブル間で、循環参照がない。
3つの分岐テーブル @a, @b, @c が存在する場合において、
@c → @a が不可であることを証明する。
その他の場合は、上記の(A), (B) で証明済みとなる。
この点については、[付録A-3]で示す。
(E) 4つ以上の分岐テーブル間で、循環参照がない。
n 個($n \in \mathbb{N}$)の分岐テーブル @a, @b, @c, ... , @x が
存在する場合、@x → @a が不可であることを証明する。
その他の場合については、(n - 1) 個の場合で証明済みとなる。
この点については、[付録A-4]で示す。
[付録A-1]代表値が3の奇数倍である分岐テーブル
代表値が3の奇数倍である分岐テーブルは、その要素である
偶数に対して、分岐テーブルがリンクしない。
この点に関する証明を以下の補題で扱っている。
・[補題B-7]3の奇数倍はコラッツ遷移のリンク対象外
よって、(6k + 3) 型代表値を持つ分岐テーブルの代表値を除く要素
(偶数)については、コラッツ遷移の循環参照に関して、
考慮する必要がない。
[付録A-2]2つの BT 間
[補題E-2]で、2つの分岐テーブル間で循環参照が発生しないことが
証明されている。以下に、[補題E-2]とは別の証明を示す。
(命題)
2つの分岐テーブル間では、循環参照は発生しない。
ただし、ルートテーブルは対象外とする。
(証明)
代表値が相異なる2つの分岐テーブル @a, @bが
存在する場合を考える。ただし、b は、3の奇数倍ではない。
また、@a, @bは、ルートテーブル以外とする。
なお、a が3の奇数倍の場合、@b→ @a の循環参照は
発生しない。何故ならば、分岐テーブルの代表値が3の奇数倍なら、
その分岐テーブルにはリンク対象点が存在しないからである。
よって、以降では a が3の奇数倍でない場合のみを扱う。
ルートテーブルを除く分岐テーブルは、必ず、その分岐テーブルに
リンクする @a のリンク先とは異なる代表値を持つ分岐テーブルが
存在する。よって、$\exists x \in N_o$, @x → @a である。
このとき、[I-4-1]より、@x は、@a, @bが属する
分岐テーブルグループとは相異なる分岐テーブルグループに属する。
ここで、@b→ @a のリンクが存在すると仮定する。
この場合、@b→ @a のリンクは、コラッツ遷移前の状態で
@a とリンクしている @a とは相異なる分岐テーブルグループに
属する @x のリンク(@x → @a)と並存することになる。
これは、@b, @x に関して、それらが属する
分岐テーブルグループが同一である必要があり、相異なる
分岐テーブルグループに属する必要性に反するので、矛盾である。
よって、@b→ @a のリンクを確立することはできない。
以上の結果より、命題は成り立つ。
□
[付録A-3]3つの BT 間
[補題E-3]で、3つの分岐テーブル間で循環参照が発生しないことが
証明されている。
以下に、[補題E-3]とは別の証明を示す。
(命題)
3つの分岐テーブル間では、循環参照は発生しない。
ただし、ルートテーブルは対象外とする。
(証明)
代表値が相異なる複数の分岐テーブル @a, @b, @c が
存在する場合を考える。ただし、a,b,c は、奇数である
自然数であり、b, c は、3の奇数倍ではない。
また、@a, @b, @c は、ルートテーブル以外とする。
2つの分岐テーブル間の場合、[補題E-2]より、
循環参照は発生しない。よって、3つの分岐テーブル間の場合で、
循環参照が発生する可能性があるのは、@c → @a の場合のみで
ある。
なお、a が3の奇数倍の場合、@c → @a の循環参照は
発生しない。何故ならば、分岐テーブルの代表値が3の奇数倍の
場合、その分岐テーブルにはリンク対象点が存在しないからである。
よって、以降では a が3の奇数倍でない場合のみを扱う。
ルートテーブルを除く分岐テーブルは、必ず、その分岐テーブルに
リンクする @a のリンク先とは異なる代表値を持つ分岐テーブルが
存在する。よって、$\exists x \in N_o$, @x → @a である。
このとき、[I-4-1]より、@x は、@a, @b, @c が
属する分岐テーブルグループとは相異なる分岐テーブルグループに
属する。
ここで、@c → @a のリンクが存在すると仮定する。
この場合、@c → @a のリンクは、コラッツ遷移前の状態で
@a とリンクしている、@a とは相異なる分岐テーブルグループに
属する @x のリンク(@x → @a)と並存することになる。
これは、@c, @x に関して、それらが属する
分岐テーブルグループが同一である必要があり、相異なる
分岐テーブルグループに属する必要性に反するので、矛盾である。
よって、@c → @a のリンクを確立することはできない。
以上の結果より、命題は成り立つ。
□
[付録A-4]リンクが3個以上存在する分岐テーブル間
ここでは、連結したリンク系統に属する分岐テーブル群において、
3つ以上のリンクが継続した以降の分岐テーブルから、コラッツ遷移の
逆方向に存在する分岐テーブルにリンクすることは出来ないことを示す。
分岐テーブル @b→ @c → ...→ @x があるものとする。
このとき、「3つの分岐テーブル間の場合」に相当しない、
それ以上に離れている分岐テーブル @x から、@bが
リンクされることはないことを示す。
ここでは、@x から @bへの循環参照が発生すると仮定する。
すなわち、@x → @bを仮定する。ただし、@b, @c, ... , @x は、
ルートテーブル以外とする。
なお、分岐テーブルの代表値が3の奇数倍である分岐テーブルは、
循環参照の議論の対象外である。この理由は、このような分岐テーブルは
分岐点を持たないからである。
この場合、ルートテーブルを除く分岐テーブルは、必ず、
その分岐テーブルにリンクする異なる代表値を持つ分岐テーブルが
存在する。よって、$\exists x \in N_o$, @a → @bである。
すなわち、@a → @b→ @c → ...→ @x の状態を想定する。
また、@x は、@b を出発点として、コラッツ遷移を複数回
繰り返した到達点としての分岐テーブルである。
したがって、考察条件は以下となる。
・$a \in N_o \gt 2, b \in N_o \gt 3, c \in N_o \gt 3, \cdots, x \in N_o \gt 3$
・a ≠ b, a ≠ c, a ≠ x,
b ≠ c, b ≠ x,
c ≠ x
[I-4-1]より、@x は、@a が属する分岐テーブルグループとは
異なる分岐テーブルグループに属する。
また、[補題G-5]より、正規の分岐テーブルグループに属する
分岐テーブル(@a)からリンクされた分岐テーブルに対して、
非正規の異なる分岐テーブルグループに属する分岐テーブルは
リンク不可である。
よって、 @x → @b のリンクを確立することは出来ない。
以上の結果より、リンクが3個以上離れている分岐テーブル間の場合、
起点となる分岐テーブルに対して、終点となっている分岐テーブルが
リンクする状態は発生しない。
すなわち、任意の分岐テーブル間のリンクに関して、
循環経路は存在しない。
<付録B:確率論による無限経路に関するコラッツ遷移の考察>
(付録B 目次)
[付録B-1]概要
[付録B-2]代表値の出現比率の理論的根拠
[付録B-2-1]分岐テーブルのリンク構造と特性
[付録B-2-2]奇数分類による出現確率と存在確率の関係
[付録B-2-3](3n + 1)/(3n + 2)型奇数の出現比率
[付録B-2-4]3n 型分岐テーブルのリンク確率
[付録B-3]コラッツ遷移比率
[付録B-4]コラッツ遷移モデルと収束条件
[付録B-5]コラッツ遷移の考察
[付録B-5-1]コラッツ遷移の基本パターン
[付録B-5-2]コラッツ遷移基本型
[付録B-5-3]長い経路の遷移状況
[付録B-5-4]無限経路に適用するコラッツ遷移モデル
[付録B-5-5]無限経路に対するコラッツ遷移モデル評価
[付録B-1]概要
経路テーブルにおいて、無限経路を辿る場合を考察する。
経路テーブルには、そのような無限経路が存在しないことを
統計的な確率論により、定性的に示す。
ただし、経路の循環参照がないことを前提条件とする。
[付録B-2]代表値の出現比率の理論的根拠
分岐テーブルのリンク構造とその特性が、代表値の出現比率に
決定的な影響を与えている。
この結果として、コラッツ遷移で現れる数列を
奇数のみに限定した場合、除数3による余りにより分類すると、
大量のサンプルを用いた場合、(3n + 1):(3n + 2)型代表値の
出現比率は、理論的には、1:2に近づく。
また、(3n)型代表値の出現比率は、理論的に 1/9 に近づく。
[付録B-2-1]分岐テーブルのリンク構造と特性
自然数の分類において、4の冪乗に注目した場合に、
奇数全体を整列した状態として見ることが可能であることが
「[D-2]4の冪乗による奇数分類」に示されている。
ここでは、それを踏まえて、分岐テーブルの代表値(奇数)に
着目した場合において、分岐テーブル間リンクの関係性と
自然数における奇数の対応関係の全体像を示す。
最初に、上記の全体像を下図に示す。
[図Appendix-B-2-1-1]2の除算回数の規則性(3a + 1)
[図Appendix-B-2-1-2]分岐テーブルのリンク構造と特性
上図から、自然数における奇数を分岐テーブル間リンクの
観点で捉えると、以下のように分類できる。
リンク先 出現間隔 開始点 例
・(3n + 2)型のリンク基準点へ 1個置き 3 3, 7, 11, ...
・(3n + 1)型のリンク基準点へ 3個置き 1 1, 9, 17, ...
・(3n + 2)型の2番目のリンク対象点へ 7個置き 13 13, 29, 45, ...
・(3n + 1)型の2番目のリンク対象点へ 15個置き 5 5, 37, 69, ...
・ ...
すなわち、代表値としての奇数は、リンク対象点への
リンク位置により分類可能である。奇数を昇順に並べた場合、
例えば、(3n + 2)型のリンク基準点へリンクする奇数は、
一つ飛ばしに出現し、奇数全体の半分の割合を占める。
(3n + 1)型のリンク基準点へリンクする奇数は、
三つ飛ばしに出現し、奇数全体の1/4の割合を占める。
以下に、上記の観点での分類別の数値の発生間隔に着目して
抜粋した表を示す。
[表Appendix-C-2-1]分岐テーブル間リンクに着目した場合の奇数分類
上表の発生間隔に注目すると、自然数全体における奇数において、
どのリンク対象点にリンクする奇数が多いかの存在確率がわかる。
[付録B-2-2]奇数分類による出現確率と存在確率の関係
コラッツ遷移における奇数分類による出現確率は、十分に大きな
サンプル数で見た場合、ほぼ存在確率と一致する。
以下に、各分類の定義とその存在確率、および(3n + 2)型の
リンク基準点へリンクする代表値(L2-1)を1とした場合の
相対比率を示す。
なお、存在確率の値は[表H-2-1]の発生間隔を基準に得ている。
[表Appendix-C-2-2-1]代表値のリンク分類に対する存在確率と相対確率
存在確率 相対比率
L2-1:(3n + 2)型のリンク基準点へ :1/2 1
L1-1:(3n + 1)型のリンク基準点へ :1/4 1/2
L2-2:(3n + 2)型の2番目のリンク対象点へ:1/8 1/4
L1-2:(3n + 1)型の2番目のリンク対象点へ:1/16 1/8
L2-3:(3n + 2)型の3番目のリンク対象点へ:1/32 1/16
L1-3:(3n + 1)型の3番目のリンク対象点へ:1/64 1/32
...
以下に、実際の状況を調査した結果を示す。
[図Appendix-B-2-2] 代表値の出現確率
以下に、1 ~ (2^32 - 1) の範囲で調査した結果における理論値と
実値の乖離率を示す。
この場合の差分と乖離率は、期待値(理論値)に対する値である。
[表Appendix-C-2-2-2]代表値リンク分類に対する存在確率と実際値の乖離
存在確率 差分 乖離率(%)
L2-1:(3n + 2)型のリンク基準点へ :1/2 -0.013 2.6
L1-1:(3n + 1)型のリンク基準点へ :1/4 -0.001 0.4
L2-2:(3n + 2)型の2番目のリンク対象点へ:1/8 0.027 21.6
L1-2:(3n + 1)型の2番目のリンク対象点へ:1/16 -0.003 4.0
L2-3:(3n + 2)型の3番目のリンク対象点へ:1/32 -0.005 16.8
L1-3:(3n + 1)型の3番目のリンク対象点へ:1/64 -0.003 16.8
上表からわかるように、L2-1 と L1-1 で、存在確率として
全体の 75% をカバーする。それらの場合において、
理論値との乖離率は 3% 以下である。
よって、実際のコラッツ遷移における全体的な傾向として、
出現比率≒存在比率となる。ただし、存在確率が比較的に低いもの
(ex. 1/32, 1/64, ... )については、遷移値に対する影響度が
非常に高く、出現比率が低いため発生間隔が散発的であるにしても、
周期的に発生する点が重要である。
[付録B-2-3](3n + 1)/(3n + 2)型奇数の出現比率
[表H-2-2-1]の内容は、(3n + 1)/(3n + 2)型奇数の
出現比率に関して、存在比率の観点からの理論的根拠を与える
ものとなっている。
(3n + 2)/(3n + 1)型奇数の存在比率の関係は、
[表H-2-2-1]において、L2-1 と L1-1 の関係で与えられる。
それぞれ 1/2, 1/4 なので、L1-1 を基準とすると、その比率は、
2:1である。コラッツ遷移においては、出現比率≒存在比率
なので、(3n + 1)/(3n + 2)型奇数の出現比率は、
1:2となる。
以下に、実際のコラッツ遷移の場合における(3n + 2)型奇数と
(3n + 1)型奇数の出現比率の例を示す。
[図Appendix-B-2-3](3n + 2)型奇数/(3n + 1)型奇数の出現比率
上記のグラフの傾向として、サンプル数が多くなるにつれて、
大数の法則に従って、(3n + 2) 型奇数の出現数は、
(3n + 1)型奇数の出現数の2倍に徐々に近づいている。
なお、10万件を超えるサンプル数では、ほぼ一定値と
なっている点が特徴的である。
[付録B-2-4]3n 型分岐テーブルのリンク確率
分岐テーブル間遷移において、通過する途中の分岐テーブル内に、
3n 型分岐テーブルがリンクしている理論的な確率は、1/9 である。
これは「[図Appendix-B-2-1]分岐テーブルのリンク構造と特性」
から、一つの場合を読み取ることができる。
個別の奇数に対応する分岐テーブル内の偶数展開部分において、
縦方向に数値を見ると、3の奇数倍の代表値がリンクする偶数の
間隔が3個置きであることがわかる。すなわち、該当ブロックは
9個単位となっている。このブロックが各列で周期的に現れる。
また、この間隔は、リンク対象点の各列において、すべて
同様となっている。よって、この観点での確率は 1/3 である。
一方、分岐テーブル内で、3の奇数倍の代表値がリンクする
確率は、(3n)型、(3n + 2)型、(3n + 1)型が周期的に
配置されていることから、この確率は 1/3 である。
したがって、(3n)型分岐テーブルがリンクしている確率は、
これらの合成確率となり、1/3 * 1/3 = 1/9(≒ 0.111)となる。
以下に、実際の状況を調査した結果を示す。
[図Appendix-B-2-4]3n 型代表値が遷移途中の偶数にリンクしている確率
すべてのコラッツ遷移において、少なくともリンク基準点は
通過するので、コラッツ遷移において、複数回通過する場合も
加味すると、(3n)型分岐テーブルがリンクしている確率は、
1/9 以上となる。
[付録B-3]コラッツ遷移比率
奇数である自然数 a に対して、コラッツ関数を適用した場合に、
分岐テーブルの代表値まで遷移した場合の値(到達値)と元の値
a との比率を求める。この比率を「コラッツ遷移比率」という。
分岐テーブルのリンク対象点の値 t は、t = g(a) = 3a + 1 である。
(3a + 1) は偶数なので最低1回は2の除算が可能で、その値 u は、
u = (3a + 1) / 2 となる。
よって、この場合のコラッツ遷移比率 r > 0 は以下となる。
r = u / a = (3 + 1 / a) / 2 ・・・(M-1-1)
a ≧ 3 なので、1/3 < 1/2 の関係より、
r < (3 + 1 / 2) / 2 = 7 / 4 = 1.75
すなわち、コラッツ遷移比率 r は、最大でも、1.75 未満である。
コラッツ遷移における途中で通過する分岐テーブルの種類は、
(3n + 1)型か(3n + 2)型のどちらかである。
(3n)型は分岐点を持たないため対象外となる。
分岐テーブル間遷移 @a → @b($\forall a, b \in \mathbb{Z} \ge 0$)における
最も単純な場合のコラッツ遷移比率は、(3n + 2)型の
リンク基準点に他の分岐テーブルがリンクする場合である。
このときのリンク基準点は 2b なので、1回の2の除算が
可能であり、式(M-1-1)が適用される。
(3n + 1)型の場合、リンク基準点(= 4b)に
他の分岐テーブルがリンクし、2回の2の除算が可能である。
よって、コラッツ遷移比率 r は以下となる。
r = (3 + 1 / a) / 4 ・・・(M-1-2)
[付録B-4]コラッツ遷移モデルと収束条件
無限の経路が存在すると仮定した場合、その過程では
様々な値の変化があるが、その過程における分岐テーブルの
代表値に着目した場合、全体として満たすべき条件がある
ことが判明している。
すなわち、リンク対象点にリンクする代表値の存在確率は
理論的に定まっており、代表値の出現確率は、無限経路を
辿る場合、究極的には大数の法則に従って、限りなく一致する方向に
作用するはずである。
何故ならば、この存在確率は、無限/有限の区別に関係なく、
奇数である自然数自体が、リンク対応関係として備えている
性質だからである。
実際、1 ~ 4G(=2^32)個の範囲の代表値に関して調査した
だけでも、それらの出現確率は、ほぼ存在確率と一致した状態と
なっており、途中で特異な変化を示すことなく、すべての値が
理論値に近づく傾向となっている。
この点に関しては、以下に示されている。
・[付録B-2]代表値の出現比率の理論的根拠
したがって、無限の経路が辿る場合に、全体として
上記の制約条件を満たす、適切なモデルを構築できれば、
その到達値を予測できることになる。
ここで、上記のようなモデルが構築できたと仮定すると、
そのモデルは、比較的単純なシーケンスの繰り返しで
無限経路の到達値を表現することになると予想される。
以降、そのようなモデルを「コラッツ遷移モデル」という。
出発点の分岐テーブルを @a, コラッツ遷移モデルの到達値を
v とすると、コラッツ遷移モデルのコラッツ遷移比率 r は、
r = v / a である。
コラッツ遷移モデルの組み合わせが複数回発生する場合の
漸化式は、以下となる。
$A_{n+1} = r * A_n$ (初項$A_0 = a$, n = 0, 1, ...)
コラッツ遷移モデルの組み合わせが n 回発生した場合の
到達値 w は、以下となる。
w = a(r ^ n) ・・・(M-4-1)
上式で n → ∞ の場合、すなわち、多数の遷移を繰り返した場合、
コラッツ遷移比率の絶対値 |r| が 1 未満の場合、w は 0 に収束する。
また、 |r| が 1 以上の場合、w は発散する。
(※これは、振動する場合を含む。)
[付録B-5]コラッツ遷移の考察
以下に、コラッツ遷移の類型を分類した結果を示す。
[付録B-5-1]コラッツ遷移の基本パターン
分岐テーブル @a をコラッツ遷移の出発点として、
@a → @b→ @c を考える。
これを「コラッツ遷移基本パターン」という。
ただし、リンク対象点は、各コラッツ遷移後の分岐テーブルの
リンク基準点とする。
この場合、リンク対象点から代表値までの遷移回数は、
1または2となる。つまり、代表値に到達するまでの2の除算の
適用効果は、 1/2 または 1/4 である。
また、ルートテーブルへリンクする場合を除外する。
なお、@b, @c の(3n + 1)型/(3n + 2)型の発生順序は
問題とならないので、@bを(3n + 2)型、
@c を(3n + 1)型とする。
この場合、@a に対する @bのリンク対象点は、g(a) である。
よって、@b のリンク対象点は、以下のように表現できる。
3a + 1 = 2b ・・・(M-2-1)
@bに対する @c のリンク対象点は、g(b) である。
よって、@c のリンク対象点は、以下のように表現できる。
3b + 1 = 4c ・・・(M-2-2)
式(M-2-2)に式(M-2-1)を代入すると、以下となる。
4c = 3((3a + 1) / 2) + 1
4c = (9a + 3) / 2 + 1
4c = (9a + 5) / 2
c = (9a + 5) / 8 ・・・(M-2-3)
この場合の例として、@11 → @17 → @13
がある。
よって、@a → @c のコラッツ遷移比率 r は、以下となる。
r = c / a = (9 + 5/a) / 8 ・・・(M-2-4)
a ≧ 3 なので、5/a < 2 の関係より、
r < (9 + 2) / 8 = 11 / 8 = 1.375
この場合のコラッツ遷移比率 r は、最大でも、1.375 未満である。
a → ∞ の場合、r → 9/8 = 1.125 である。
具体的な値として、a = 2^32 - 1 = 4,294,967,295 とした場合、
5 / a = 5 / 4294967295 < 1 なので、
式(M-2-4)に適用すると、以下となる。
r < (9 + 1) / 8 = 10 / 8 = 1.25
[付録B-5-2]コラッツ遷移基本型
分岐テーブル @a をコラッツ遷移の出発点として、
@a → @b → @c → @d を考える。
ただし、ルートテーブルへリンクする場合を除外する。
また、(3n + 1)型と(3n + 2)型の構成比率は、1:2とする。
この形式は、(3n + 1)型と(3n + 2)型の理論的な構成比率を
反映している。この点に関しては、以下に示されている。
・[付録B-2-2]奇数分類による出現確率と存在確率の関係
リンク対象点は、各コラッツ遷移後の分岐テーブルの
リンク基準点とする。リンク対象点から代表値までの遷移回数は、
(3n + 1) / (3n + 2) 型に応じて、1または2となる。すなわち、
代表値に到達するまでの2の除算効果が、1/2、または 1/4 である。
なお、@b, @c, @d の (3n + 1) / (3n + 2) 型の対応関係は、
@b, @c を(3n + 2)型、@d を(3n + 1)型とする。
この場合、@a → @b の到達値は、h(g(a)) = (3a + 1) / 2 である。
よって、この値を(M-2-3)に適用すると、以下となる。
d = (9((3a + 1) / 2) + 5) / 8
= (((27a + 9) / 2) + 5) / 8
= ((27a + 19) / 2) / 8
= (27a + 19) / 16 ・・・(M-3-1)
この例として、@7 → @11 → @17 → @13
がある。
遷移の詳細は、7 → 22 → 11 → 34 → 17 → 52 → 26 → 13 である。
実際、(27*7 + 19) / 16 = (189 + 19) / 16 = 208 / 16 = 13 となる。
よって、@a → @d のコラッツ遷移比率 r は、以下となる。
r = d / a = (27 + 19/a) / 16 ・・・(M-3-2)
a ≧ 3 なので、19/a < 7 の関係より、
r < (27 + 7) / 16 = 34 / 16 = 2.125
この場合のコラッツ遷移比率 r は、最大でも、2.125 未満である。
a → ∞ の場合、r → 27/16 = 1.6875 である。
具体的な値として、a = 2^32 - 1 = 4,294,967,295 とした場合、
19/a = 19/4294967295 < 1 なので、式(M-3-2)に適用すると、
以下となる。
r < (27 + 1) / 16 = 28 / 16 = 1.75
[付録B-5-3]長い経路の遷移状況
比較的長い経路の代表として、2つの値(871, 2610744987)の
場合を以下に示す。を取り上げる。
871 のコラッツ遷移回数は 178 回であり、奇数のみに
着目した場合、66 回である。また、2610744987 の
コラッツ遷移回数は 1050 回であり、奇数のみに着目した場合、
393 回である。
2,610,744,987 は、1 ~ 2^32 において、
最大の遷移回数を持つ値である。
なお、以降で図示するグラフにおいて、基準倍率と相対倍率を
使っている。基準倍率は、基準値(コラッツ遷移の開始値)に対する
相対比率である。相対倍率は今回の遷移値と前回値の相対比率である。
(A)871 の場合
以下に、871 のコラッツ遷移状況を表すグラフを示す。
図[Appendix-C-5-3a]遷移状況(871)
上図のグラフから読み取れる傾向を以下に示す。
・相対倍率は、全般に大きく変化しない。
・基準倍率と相対倍率には、緩やかな相関がある。
しかし、見た目の数値と連動する基準倍率の変化は、
グラフ全体から見れば、局所的であり、
大きな値のままでは推移しない。すなわち、
収束の観点から見た場合、本質的な変化ではない。
・収束の観点で重要な変化は、リンク対象点が通常でない
場合に起きる。すなわち、分岐テーブルのリンク対象点が
2番目以降となる場合では、コラッツ遷移の値として、
1/8, 1/16 等となり、大幅な値の変化をもたらす。
・リンク対象点が通常でない場合は周期的に発生している。
(B)2610744987 の場合
以下に、2,610,744,987 のコラッツ遷移状況グラフを示す。
図[Appendix-C-5-3b]遷移状況(2610744987)
2,610,744,987 の場合も、定性的には、871 の
コラッツ遷移状況と同様の傾向となっている。
[付録B-5-4]無限経路に適用するコラッツ遷移モデル
ここでは、無限経路の到達値を表現する実際のモデルを設計する。
コラッツ遷移基本型を基本に[付録B-2-2]のコラッツ遷移時の
出現確率と存在確率の関係を反映したモデル構成を以下に示す。
以下のモデル(以降、モデル64という。)では、
コラッツ遷移基本型を22 個使用している。
よって、モデル全体の遷移回数は、66 回である。
また、出現比率に対応する場合に対して、(A) ~ (F) の
分類記号を付与する。なお、”+α効果”とは、コラッツ遷移基本型を
利用した場合における追加の除算を意味する。
分類 説明 個数 +α効果
(A)(3n + 2)型:1 / 2 34 -
(B)(3n + 1)型:1 / 4 18 -
(C)(3n + 2)型:1 / 8 8 1/4
(D)(3n + 1)型:1 / 16 4 1/4
(E)(3n + 2)型:1 / 32 0 1/16
(F)(3n + 1)型:1 / 64 0 1/16
<無限経路に適用するコラッツ遷移モデル構成>
--- 0
A01 ・(3n + 2)型:1 / 2
A02 ・(3n + 2)型:1 / 2
B01 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 1
A03 ・(3n + 2)型:1 / 2
A04 ・(3n + 2)型:1 / 2
B02 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 2
A05 ・(3n + 2)型:1 / 2
C01 ・(3n + 2)型:1 / 8 // 分類(C) 適用(1/4)
B03 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 3
A06 ・(3n + 2)型:1 / 2
A07 ・(3n + 2)型:1 / 2
B04 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 4
A08 ・(3n + 2)型:1 / 2
C02 ・(3n + 2)型:1 / 8 // 分類(C) 適用(1/4)
B05 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 5
D01 ・(3n + 1)型:1 / 16 // 分類(D) 適用(1/4)
A09 ・(3n + 2)型:1 / 2
A10 ・(3n + 2)型:1 / 2
--- 6
A11 ・(3n + 2)型:1 / 2
A12 ・(3n + 2)型:1 / 2
B06 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 7
C03 ・(3n + 2)型:1 / 8 // 分類(C) 適用(1/4)
A13 ・(3n + 2)型:1 / 2
B07 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 8
A14 ・(3n + 2)型:1 / 2
A15 ・(3n + 2)型:1 / 2
B08 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 9
A16 ・(3n + 2)型:1 / 2
C04 ・(3n + 2)型:1 / 8 // 分類(C) 適用(1/4)
B09 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 10
A17 ・(3n + 2)型:1 / 2
E01 ・(3n + 2)型:1 / 2 // 分類(E) 適用(1/16):未適用
D02 ・(3n + 1)型:1 / 16 // 分類(D) 適用(1/4)
--- 11
A18 ・(3n + 2)型:1 / 2
A19 ・(3n + 2)型:1 / 2
B10 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 12
A20 ・(3n + 2)型:1 / 2
C05 ・(3n + 2)型:1 / 8 // 分類(C) 適用(1/4)
B11 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 13
A21 ・(3n + 2)型:1 / 2
A22 ・(3n + 2)型:1 / 2
B12 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 14
A23 ・(3n + 2)型:1 / 2
A24 ・(3n + 2)型:1 / 2
B13 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 15
C06 ・(3n + 2)型:1 / 8 // 分類(C) 適用(1/4)
A25 ・(3n + 2)型:1 / 2
D03 ・(3n + 1)型:1 / 16 // 分類(D) 適用(1/4)
--- 16
A26 ・(3n + 2)型:1 / 2
A27 ・(3n + 2)型:1 / 2
D04 ・(3n + 1)型:1 / 16 // 分類(D) 適用(1/4)
--- 17
A28 ・(3n + 2)型:1 / 2
C07 ・(3n + 2)型:1 / 8 // 分類(C) 適用(1/4)
B14 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 18
A29 ・(3n + 2)型:1 / 2
A30 ・(3n + 2)型:1 / 2
B15 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 19
A31 ・(3n + 2)型:1 / 2
A32 ・(3n + 2)型:1 / 2
B16 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 20
C08 ・(3n + 2)型:1 / 8 // 分類(C) 適用(1/4)
A33 ・(3n + 2)型:1 / 2
B17 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 21
E02 ・(3n + 2)型:1 / 2 // 分類(E) 適用(1/16):未適用
A34 ・(3n + 2)型:1 / 2
B18 ・(3n + 1)型:1 / 4
--- 22
※上記のモデル構成において、「(E)(3n + 2)型:1 / 32」、
「(F)(3n + 1)型:1 / 64」は、理論的には、32/64 個の
分岐テーブルがあれば、数個は存在する確率であるが、
ここでは意図的に適用していない。
上記のモデルの存在比率に関する全体のカバー率は、
以下で求められる。
1/2 + 1/4 + 1/8 + 1/16
= (8 + 4 + 2 + 1)/16 = 15/16 = 0.9375
よって、このコラッツ遷移モデル構成は、存在比率に関して、
全体の約 94% をカバーしている。これは、同時に出現比率としても
捉えることができる。
[付録B-5-5]無限経路に対するコラッツ遷移モデル評価
(A)モデル64 のコラッツ遷移比率
コラッツ遷移基本型のコラッツ遷移比率は、
最大でも 2.125 である。これは、
「[付録B-5-2]コラッツ遷移基本型」で示されている。
モデル64 では、コラッツ遷移基本型を 22 回適用している。
よって、+α効果を無視した場合のコラッツ遷移比率は、
最大で以下となる。
2.125 ^ 22 ≒ 15,918,296
これに対して、モデル64 では以下の除算効果を
加味する必要がある。
---
分類 説明 個数 +α効果
(C)(3n + 2)型:1 / 8 8 1/4
(D)(3n + 1)型:1 / 16 4 1/4
---
4^(8+4) = 4^12 = 16,777,216
よって、モデル64 のコラッツ遷移比率 r は、以下となる。
r = 15,918,296 / 16,777,216 ≒ 0.9488
モデル64 のコラッツ遷移比率 r が1以上となることはない。
上記で得られた値は、コラッツ遷移比率が最大となるように
配慮した非常に控え目な値である。
実際には、1 / 32 以上の除算効果を持つ場合が散発的に
発生する。また、コラッツ遷移基本型のコラッツ遷移比率は、
出発点とする奇数 a > 0 に依存しており、a → ∞ の場合、
1.6875 である。
よって、コラッツ遷移基本型のコラッツ遷移比率の
平均値を 2 と仮定した場合、2 ^ 22 = 4,194,304 であり、
モデル64 のコラッツ遷移比率は、さらに小さくなる。
(B)モデル64 のコラッツ収束
無限経路として、モデル64が連続している遷移系統を考える。
このとき、出発点の奇数を a > 0 として、モデル64 を n > 0 回、
実行した時点の到達値 v は、コラッツ遷移比率を r とするとき、
v = a(r^n) となる。
「[M-3]コラッツ遷移モデルと収束条件」で
示したように、コラッツ遷移比率が1未満の場合、
その遷移の到達値は0に収束する。
モデル64 のコラッツ遷移比率 r は、|r| < 1 である。
よって、n → ∞ の場合、v → 0 である。
すなわち、v は 0 に収束する。
(C)無限経路に対するコラッツ遷移の存在否定
無限の経路が存在すると仮定した場合のコラッツ遷移の
到達値は、そこに達する過程をモデル64 で近似した場合、
0 に収束する。
モデル64 の信頼性は、理論面および現実の状況を調査した
結果より、確かめられている。また、モデル64 自体の構成も
到達値が最大となるように配慮して設計されている。
よって、無限の経路を持つコラッツ遷移系統が
1以下の値となることは、自然数の演算で構成されている
コラッツ演算に対して矛盾である。したがって、
無限経路を持つコラッツ遷移系統は定性的に存在しない。
これは、すべてのコラッツ遷移系統が、ある特定の値に
収束することを意味する。
(D)コラッツ収束
無限経路に対するコラッツ遷移系統が存在しないことを、
大数の法則を前提に、一様な発生確率であることを条件として、
定性的に示したが、一般には、その収束値が1であるとは
限らない。
一方、「[J]分岐テーブル集合の構造」より、
ルートテーブル以外にはリンクが行き着く先の分岐テーブルは
存在しない。
よって、すべてのコラッツ遷移系統の遷移は
ルートテーブルに到達し、1に達することになる。
<付録C:2進数パターンによるアプローチ>
コラッツ予想に対して、数値を2進法で表現した場合における
発生パターンで、コラッツ遷移を分析した調査結果を以下に示す。
■Bit patterns of Collatz transitions (0~255)
0~255 の奇数に対するコラッツ遷移を2進数表現した表を以下に示す。
decimal <Collatz transitions (bit patterns)>
1 1 1
3 11 101 1
5 101 1
7 111 1011 10001 1101 101 1
9 1001 111 1011 10001 1101 101 1
11 1011 10001 1101 101 1
13 1101 101 1
15 1111 10111 100011 110101 101 1
17 10001 1101 101 1
19 10011 11101 1011 10001 1101 101 1
21 10101 1
23 10111 100011 110101 101 1
25 11001 10011 11101 1011 10001 1101 101 1
27 11011 101001 11111 101111 1000111 1101011 10100001 1111001 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 110111101 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 100101111101 1110001111 10101010111 100000000011 110000000101 1001000001 110110001 101000101 111101 10111 100011 110101 101 1
29 11101 1011 10001 1101 101 1
31 11111 101111 1000111 1101011 10100001 1111001 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 110111101 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 100101111101 1110001111 10101010111 100000000011 110000000101 1001000001 110110001 101000101 111101 10111 100011 110101 101 1
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37 100101 111 1011 10001 1101 101 1
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53 110101 101 1
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61 111101 10111 100011 110101 101 1
63 111111 1011111 10001111 11010111 101000011 111100101 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 110111101 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 100101111101 1110001111 10101010111 100000000011 110000000101 1001000001 110110001 101000101 111101 10111 100011 110101 101 1
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235 11101011 101100001 100001001 11000111 100101011 111000001 101010001 11111101 1011111 10001111 11010111 101000011 111100101 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 110111101 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 100101111101 1110001111 10101010111 100000000011 110000000101 1001000001 110110001 101000101 111101 10111 100011 110101 101 1
237 11101101 1011001 1000011 1100101 10011 11101 1011 10001 1101 101 1
239 11101111 101100111 1000011011 1100101001 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 110000000101 1001000001 110110001 101000101 111101 10111 100011 110101 101 1
241 11110001 10110101 10001 1101 101 1
243 11110011 101101101 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 110111101 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 100101111101 1110001111 10101010111 100000000011 110000000101 1001000001 110110001 101000101 111101 10111 100011 110101 101 1
245 11110101 10111 100011 110101 101 1
247 11110111 101110011 1000101101 11010001 10011101 111011 1011001 1000011 1100101 10011 11101 1011 10001 1101 101 1
249 11111001 10111011 100011001 11010011 100111101 1110111 10110011 100001101 1100101 10011 11101 1011 10001 1101 101 1
251 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 100101111101 1110001111 10101010111 100000000011 110000000101 1001000001 110110001 101000101 111101 10111 100011 110101 101 1
253 11111101 1011111 10001111 11010111 101000011 111100101 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 110111101 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 100101111101 1110001111 10101010111 100000000011 110000000101 1001000001 110110001 101000101 111101 10111 100011 110101 101 1
255 11111111 101111111 1000111111 1101011111 10100001111 11110010111 101101100011 1000100010101 11001101 1001101 11101 1011 10001 1101 101 1
■基準値ベースのコラッツ遷移ビットパターン (0~255)
0~255 の奇数に対するコラッツ遷移を2進数表現した値に対して、
末尾の "101" 部分の "01" を除いた値の表を以下に示す。すなわち、
(8k + 5)型の場合において、(4k + 1)倍されている状態を除去した
結果の値で表示している。この操作は、該当する値に対して再帰的に
適用している。つまり、"101" 部分が連結している場合、複数個の
"01" を除去している。(ex. "101010101" の表記は、"1")
ただし、コラッツ遷移の初期値に対しては、この操作を適用していない。
これは分岐テーブルグループの基準値による演算で表現したものとなる。
このように表現する理由は、分岐テーブルグループに所属する
分岐テーブルの代表値は、すべて同一の値に遷移することによる。
演算対象値が異なっても同一の値に遷移するならば、それは、実際上、
ビット表現上で末尾の "01" が g(n) 演算上で無視できることを意味する。
これは、実質的に、個別の "101" パターン毎に、演算対象値のビット長が
2ビット分削除して計算可能な状態となっていると見做すことができる。
decimal <Collatz transitions (bit patterns)>
1 1 1
3 11 1 1
5 101 1
7 111 1011 10001 11 1 1
9 1001 111 1011 10001 11 1 1
11 1011 10001 11 1 1
13 1101 1 1
15 1111 10111 100011 11 1 1
17 10001 11 1 1
19 10011 111 1011 10001 11 1 1
21 10101 1
23 10111 100011 11 1 1
25 11001 10011 111 1011 10001 11 1 1
27 11011 101001 11111 101111 1000111 1101011 10100001 1111001 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 1101111 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 1100000001 1001000001 110110001 1010001 1111 10111 100011 11 1 1
29 11101 1011 10001 11 1 1
31 11111 101111 1000111 1101011 10100001 1111001 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 1101111 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 1100000001 1001000001 110110001 1010001 1111 10111 100011 11 1 1
33 100001 11001 10011 111 1011 10001 11 1 1
35 100011 11 1 1
37 100101 111 1011 10001 11 1 1
39 100111 111011 1011001 1000011 11001 10011 111 1011 10001 11 1 1
41 101001 11111 101111 1000111 1101011 10100001 1111001 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 1101111 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 1100000001 1001000001 110110001 1010001 1111 10111 100011 11 1 1
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231 11100111 101011011 1000001001 110000111 1001001011 1101110001 101001 11111 101111 1000111 1101011 10100001 1111001 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 1101111 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 1100000001 1001000001 110110001 1010001 1111 10111 100011 11 1 1
233 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 1101111 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 1100000001 1001000001 110110001 1010001 1111 10111 100011 11 1 1
235 11101011 101100001 100001001 11000111 100101011 111000001 101010001 111111 1011111 10001111 11010111 101000011 1111001 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 1101111 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 1100000001 1001000001 110110001 1010001 1111 10111 100011 11 1 1
237 11101101 1011001 1000011 11001 10011 111 1011 10001 11 1 1
239 11101111 101100111 1000011011 1100101001 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 1100000001 1001000001 110110001 1010001 1111 10111 100011 11 1 1
241 11110001 1011 10001 11 1 1
243 11110011 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 1101111 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 1100000001 1001000001 110110001 1010001 1111 10111 100011 11 1 1
245 11110101 10111 100011 11 1 1
247 11110111 101110011 10001011 11010001 100111 111011 1011001 1000011 11001 10011 111 1011 10001 11 1 1
249 11111001 10111011 100011001 11010011 1001111 1110111 10110011 1000011 11001 10011 111 1011 10001 11 1 1
251 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 1100000001 1001000001 110110001 1010001 1111 10111 100011 11 1 1
253 11111101 1011111 10001111 11010111 101000011 1111001 1011011 10001001 1100111 10011011 11101001 10101111 100000111 110001011 1001010001 1101111 10100111 11111011 101111001 100011011 110101001 100111111 111011111 1011001111 10000110111 11001010011 1001011111 1110001111 10101010111 100000000011 1100000001 1001000001 110110001 1010001 1111 10111 100011 11 1 1
255 11111111 101111111 1000111111 1101011111 10100001111 11110010111 101101100011 100010001 110011 10011 111 1011 10001 11 1 1
■排他的論理和(XOR)の真理値表(Truth table)
入力をA, B、出力を Y とした場合の XOR の真理値表を以下に示す。
表1 XOR の真理値表(Truth table of XOR)
A B Y
----------------
0 0 0 // 同一入力 → 0
0 1 1 //
1 0 1 //
1 1 0 // 同一入力 → 0、+1演算の carry 発生相当
XOR 演算 $\oplus$ の特徴は、以下である。
・2つの入力値が同一の場合は0、異なる場合は1となる。
・$0 \oplus X = X$ // equal to OR(0, X)
・$1 \oplus X = \overline { X }$ // equal to NOT(X)
・2進法の加算と同一視できる。
A = B = 1 の場合が加算の carry 発生に対応する。
■2進法による自然数の表現
すべての数値は、2進法で表現できる。
2進法における各桁の重みを $\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, d_k$ とすると、
$\forall n \in \mathbb{N} \gt 0$ は、以下で表現できる。
$n = 2^{n-1}d_{n-1} + 2^{n-2}d_{n-2} + \cdots + 2d_1 + d_0$
■2進数における桁数の拡大・縮小と値の増減
本稿では、コラッツ遷移値に対する2進数表現に関して、
"桁数の変化"と"値の変化"を分けて考える。
一般に、2進数の有効な部分の桁数が変化した場合、その値は増減する。
また、桁数が変化しない場合でも、内部のビットパターンが変化すれば、
その値は増減する。
なお、値が増大しても、桁数が変化しない場合がある。例えば、
35 → 53 のコラッツ遷移は、2進法表現では 100011 → 110101 である。
この場合、コラッツ演算の適用前後の桁数は6であり、桁数の変化は無い。
しかし、同じ桁数の範囲内で、内部のビットパターンが変化している。
■2進数における値の拡大率(3倍値)
$\forall n \in N$ を3倍する場合、2進数で考えると、最上位桁の1が
3倍になるので、2の冪乗の指数としての拡大率を x とすると、
最低でも全体の値は 2^x = 3 となる。この式に対して、
底を2とする両辺の対数をとると、
x = $log_{2} 3 = log_{10} 3/log_{10} 2$
よって、g(n) 演算における 3n が寄与する値拡大率は$log_{2} 3$である。
なお、$log_{2} 3$は無理数である。(※証明は、[補題J-1]を参照。)
常用対数で、log2 ≒ 0.30102999566、log3 ≒ 0.47712125472 なので、
x ≒ 1.585
従って、ビット値 1 に対する 3n の2進数の理論的な拡大率は、
約 1.585 である。
ビット 1 に対する 3n の値拡大率>1なので、数値を3倍した場合、
2進数ベースの元の桁数より、最低でも+1桁拡大する。すなわち、
部分的なビットパターンの桁数変化として、少なくとも1 → 2である。
■ビットパターンの3倍値(基本形)
以下に、2進数における基本的なビットパターン n の3倍値を示す。
n 3n // remarks (by decimal)
1 → 11 // 1 → 3
10 → 110 // 2 → 6
11 → 1001 // 3 → 9
100 → 1100 // 4 → 12
101 → 1111 // 5 → 15
110 → 10010 // 6 → 18
111 → 10101 // 7 → 21
1000 → 11000 // 8 → 24
1001 → 11011 // 9 → 27
1010 → 11110 // 10 → 30
1011 → 100001 // 11 → 33
1100 → 100100 // 12 → 36
1101 → 100111 // 13 → 39
1110 → 101010 // 14 → 42
1111 → 101101 // 15 → 45
■奇数ビットパターンのコラッツ遷移値
奇数ビットパターン n に対する 3n、3n + 1、コラッツ遷移値の例を示す。
decimal binary 3n (3n + 1) transition // remarks (3n)
1 1 → 11 100 1 // 1 → 3 → 4 → 1
3 11 → 1001 1010 101 // 3 → 9 → 10 → 5
5 101 → 1111 10000 1 // 5 → 15 → 16 → 1
7 111 → 10101 10110 1011 // 7 → 21 → 22 → 11
9 1001 → 11011 11100 111 // 9 → 27 → 28 → 7
11 1011 → 100001 100010 10001 // 11 → 33 → 34 → 17
13 1101 → 100111 101000 101 // 13 → 39 → 40 → 5
15 1111 → 101101 101110 10111 // 15 → 45 → 46 → 23
■1が連続するビットパターンの3倍値(2進法表現)
メルセンヌ数($M_n$)の2進法表現は、すべての桁が1である。
すなわち、MSB から LSB まで1が連続するビットパターンである。
$M_n$ のビットパターン "(1)*1" の3倍値(例)を2進数で以下に示す。
patten → 3n
1 → 11 // by decimal: 1 → 3
11 → 1001 // by decimal: 3 → 9
111 → 10101 // by decimal: 7 → 21
1111 → 101101 // by decimal: 15 → 45
上記の結果より、1が2つ以上連続するビットパターンの3倍値は、
MSB が "10"、LSB が "01" へ変化する。
このとき、中央部分に1がある場合、それらをそのまま残して、
MSB と LSB の 1 が、それぞれ、1 → "10"、1 → "01" と変化する。
■メルセンヌ数のコラッツ遷移
1を除いて、すべてのメルセンヌ数のビットパターンは、
(4k + 3)型である。g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5) なので、
奇数ベースのコラッツ遷移は(4k + 3)→(6k + 5)である。すなわち、
1を除くメルセンヌ数の奇数ベースのコラッツ遷移値は、必ず増大する。
メルセンヌ数のビットパターン "(1)*1" のコラッツ遷移例を2進数で以下に示す。
patten → 3n → g() → result (remove 2^p)
1 → 11 → 100 → 1 // by decimal: 1 → 3 → 4 → 1
11 → 1001 → 1010 → 101 // by decimal: 3 → 9 → 10 → 5
111 → 10101 → 10110 → 1011 // by decimal: 7 → 21 → 22 → 11
1111 → 101101 → 101110 → 10111 // by decimal: 15 → 45 → 46 → 23
全ビットが 1 であるメルセンヌ数のビットパターンでは、コラッツ遷移の
最終結果において、初期値の MSB が "10" に変化する。このとき、桁数は
+1増加する。(MSB増加分(1)+LSB増加分(1)+2^p除去(-1)=1)
これは、+1演算が(3n + 1)計算の最後に適用される効果であり、
1が連続するビットパターンが下位桁部分にある場合の特徴である。
■コラッツ遷移における (4k + 3) 型が継続して出現するパターン
コラッツ遷移において、遷移値が再び (4k + 3) 型となるのは、
2進数のビットパターンにおいて、末尾に1が連続している場合である。
コラッツ遷移において、初期値に対して遷移値が増大するパターンは、
mod 4 に着目した場合、(4k + 3) 型に限る。
(※(4k + 1) 型の遷移は、初期値下降シーケンスを構成する。)
以下に、2進数ビットパターンで1が連続している場合の遷移例を示す。
ex1. "11" → "101" // 3 → 5 : (8k + 3) → (4k + 1) type
ex2. "1011" → "10001" // 11 → 17 : (16k + 11) → (24k + 17) type
ex3. "111" → "1011" // 7 → 11 : (16k + 7) → (8k + 3) type
ex4. "10111" → "111011" // 23 → 35 : (16k + 7) → (8k + 3) type
ex5. "1111" → "10111" // 15 → 23 : (32k + 15) → (16k + 7) type
ex6. "101111" → "10111" // 47 → 71 : (32k + 15) → (16k + 7) type
1が連続するビットパターンの3倍値は、中央部分に1がある場合、
それらをそのまま残して、MSB と LSB の 1 が、それぞれ、
1 → "10"、1 → "01" と変化する。
このとき、g(n) 演算では最後に+1されるので、末尾2ビットは、
最終的に、"10" となり、奇数ベースでは、2による除算結果として、
末尾の0は除去される。
末尾に1が連続している (4k + 3) 型において、ビット1の連続数に
着目した場合、コラッツ演算の結果として、ビットパターン内の
<1の連続数>は一つ減少する。
したがって、コラッツ演算結果のデータ型が (4k + 3) 型である状態が
継続するのは、末尾で1が連続している場合に限る。その継続数は、
末尾に存在している1の数をn とすると、その継続数は (n - 1) である。
なお、上記の例でわかるように、(8k + 3) → (4k + 1) 型と遷移するため、
(4k + 3) 型が継続した後では、必ず (4k + 1) 型へ遷移する。さらに、
(4k + 1) → (3k + 1) 型と遷移するため、全体のデータ型遷移は以下となる。
・・・ → (32k + 15) → (16k + 7) → (8k + 3) → (4k + 1) → (3k + 1)
以上の結果から、コラッツ遷移において、(4k + 3) 型が継続して
出現する場合、同一ビット数での最長パターンを与えるのは、
初期値がメルセンヌ数の場合である。
何故ならば、メルセンヌ数の2進数ビットパターンは、
すべての桁が1だからである。
ex1. "11" → "101" // 3 → 5
ex2. "111" → "1011" → "10001" // 7 → 11 → 17
ex3. "1111" → "10111" → "111011" → "110101" // 15 → 23 → 35 → 53
ex4. "11111" → "101111" → "1000111" → "1101011" → "10100001" // 31 47 71 107 161
■2進数のビットパターン ".*101" は、(8k + 5)型である。
分岐テーブルの代表値が(8k + 5)型である場合、その代表値は、
基準値が(2k + 1)型である分岐テーブルグループの最初の
従属値であるか、代表値が(2k + 1)型である直前の分岐テーブルと共に、
ある分岐テーブルグループの従属値である。
任意の分岐テーブルグループに属する全て分岐テーブルは、
同一の分岐テーブルへ遷移する。したがって、ビットパターン ".*101" の
遷移値は、"01" を除いたビットパターン ".*1" の遷移値と同一である。
ex. "1101"(13) の遷移先は、"11"(3) の遷移先と同一である。
2つの出発点(13, 3)のコラッツ遷移は、13 → 5, 3 → 5 であり、
同一の遷移先に達する。
また、ビットパターン ".*101" は、元のビットパターンから "01" を
除いた後でも再適用が可能な場合がある。つまり、"01" の除去は再帰的に
適用可能である。この点は、分岐テーブルグループ内のどの位置の従属値に
リンクしているかということに対応している。分岐テーブルグループ内の
要素インデックスの値に応じて、次に遷移する場合のリンク元の値に対する
遷移値の減少率が大きくなる。
■2進数のビットパターン "(10)*1" は、コラッツ収束する。
[補題A-12]で、奇数ベースでの1回のコラッツ遷移で1に到達する
唯一の2進数パターンは、"(10)*1" であることを証明した。
ビットパターン "(10)*1" のコラッツ遷移例を2進数で以下に示す。
101 → 10000 → 1 // by decimal: 5→ 16 → 1
10101 → 1000000 → 1 // by decimal: 21→ 64 → 1
1010101 → 100000000 → 1 // by decimal: 85→ 256 → 1
101010101 → 10000000000 → 1 // by decimal: 341→ 1024 → 1
2進数のビットパターン "(10)*1" である数値は、1を除いて、
すべて(8k + 5)型であり、{5, 21, $\cdots$} は #1 の従属値である。
よって、ビットパターン "(10)*1" は、1に遷移する。
ビットパターン "101" が連結している奇数のコラッツ遷移は、
奇数ベースで1回の遷移で1に到達する。以下に例を示す。
■2進数での桁上りの影響
奇数の場合、2進法表現の最下位桁は常に1である。末尾の1自体は
+1演算により必ず 10b となるので桁上りが生じる。さらに、
隣接する上位桁が1であれば、桁上げによる影響が上位桁に伝搬する。
例えば、単独の1の場合、桁伸長数は2となる。
ex. 01 * 11 + 1 = 11 + 1 = 100 // 2桁の伸び(隣接上位桁が1)
なお、+1演算時の隣接する上位桁が0の場合、桁上げによる影響は
さらなる上位桁へ伝搬しない。すなわち、桁上げ対象値の途中にある
0の位置で桁上りの伝搬は止まる。
ただし、末尾の桁自体で見ると、1 → 10 となるので、1桁伸びる。
ex. 11 × 11 + 1 = 1001 + 1 = 1010 // 1001 としての伸長数は0
■<3n MSB側拡大ビット数>
数値 n に対する3倍値(3n)は、元のビットパターンに対して、
ビット数が伸長する。伸長するビット数が MSB 側でどうなっているかを
調査した結果を以下に示す。
基本的なビットパターンの<3n 拡大ビット数>を以下に示す。
・拡大ビット数( 1b → 11b) : 1
・拡大ビット数( 10b → 110b) : 1
・拡大ビット数( 11b → 1001b) : 2
・拡大ビット数( 101b → 1111b) : 1
・拡大ビット数( 111b → 10101b) : 2
・拡大ビット数(1001b → 11011b) : 1
・拡大ビット数(1011b → 100001b): 2
・拡大ビット数(1011b → 100111b): 2
・拡大ビット数(1111b → 101101b): 2
上記の結果より、ビット 1 が連続する場合、<3n 拡大ビット数>は
1を超える。実際には、パターンとして "11" が含まれる場合が、
これに該当する。
なお、<3n 拡大ビット数>は最低でも1、最大2である。
<3n 拡大ビット数>の規則を以下に示す。
◎最上位桁のビットパターンが "11*" の場合、拡大ビット数は 2。
○最上位桁のビットパターンが "1011*" の場合、拡大ビット数は 2。
●最上位桁のビットパターンが "1?1011*" の場合、拡大ビット数は 2。
※その他の "10*" の拡大ビット数は 1。
上記の規則を導出した根拠を以下に示す。
これらは、n = 1 ~ 63 に対する 3n の2進数パターンを列挙している。
------------------------------------------------------------------------
decimal pattern 3n (3n+1) Remove0 MSB 拡大ビット数(3n)
------------------------------------------------------------------------
1 1 11(3) 100(4) 1(1) 1
2 10 110(6) 1
3 11 1001(9) 1010(10) 101(5) 2 ◎
4 100 1100(12) 1
5 101 1111(15) 10000(16) 1(1) 1
6 110 10010(18) 2 ◎
7 111 10101(21) 10110(22) 1011(11) 2 ◎
8 1000 11000(24) 1
9 1001 11011(27) 11100(28) 111(7) 1
10 1010 11110(30) 1
11 1011 100001(33) 100010(34) 10001(17) 2 ○
12 1100 100100(36) 2 ◎
13 1101 100111(39) 101000(40) 101(5) 2 ◎
14 1110 101010(42) 2 ◎
15 1111 101101(45) 101110(46) 10111(23) 2 ◎
---
16 10000 110000(48) 1
17 10001 110011(51) 110100(52) 1101(13) 1
18 10010 110110(54) 1
19 10011 111001(57) 111010(58) 11101(29) 1
20 10100 111100(60) 1
21 10101 111111(63) 1000000(64) 1 1
22 10110 1000010(66) 2 ○
23 10111 1000101(69) 1000110(70) 100011(35) 2 ○
24 11000 1001000(72) 2 ◎
25 11001 1001011(75) 1001100(76) 10011(19) 2 ◎
26 11010 1001110(78) 2 ◎
27 11011 1010001(81) 1010010(82) 101001(41) 2 ◎
28 11100 1010100(84) 2 ◎
29 11101 1010111(87) 1011000(88) 1011(11) 2 ◎
30 11110 1011010(90) 2 ◎
31 11111 1011101(93) 1011110(94) 101111(47) 2 ◎
---
32 100000 1100000(96) 1
33 100001 1100011(99) 1100100(100) 11001(25) 1
34 100010 1100110(102) 1
35 100011 1101001(105) 1101010(106) 110101(53) 1
36 100100 1101100(108) 1
37 100101 1101111(111) 1110000(112) 111(7) 1
38 100110 1110010(114) 1
39 100111 1110101(117) 1110110(118) 111011(59) 1
40 101000 1111000(120) 1
41 101001 1111011(123) 1111100(124) 11111(31) 1
42 101010 1111110(126) 1
43 101011 10000001(129) 10000010(130) 1000001(65) 2 ●
44 101100 10000100(132) 2 ○
45 101101 10000111(135) 10001000(136) 10001(17) 2 ○
46 101110 10001010(138) 2 ○
47 101111 10001101(141) 10001110(142) 1000111(71) 2 ○
48 110000 10010000(144) 2 ◎
49 110001 10010011(147) 10010100(148) 100101(37) 2 ◎
50 110010 10010110(150) 2 ◎
51 110011 10011001(153) 10011010(154) 1001101(77) 2 ◎
52 110100 10011100(156) 2 ◎
53 110101 10011111(159) 10100000(160) 101(5) 2 ◎
54 110110 10100010(162) 2 ◎
55 110111 10100101(165) 10100110(166) 1010011(83) 2 ◎
56 111000 10101000(168) 2 ◎
57 111001 10101011(171) 10101100(172) 101011(43) 2 ◎
58 111010 10101110(174) 2 ◎
59 111011 10110001(177) 10110010(178) 1011001(89) 2 ◎
60 111100 10110100(180) 2 ◎
61 111101 10110111(183) 10111000(184) 10111(23) 2 ◎
62 111110 10111010(186) 2 ◎
63 111111 10111101(189) 10111110(190) 1011111(95) 2 ◎
ここで、bit 0, 1 の発生確率を大数の法則を考慮して、
共に 1/2 と仮定した場合の 3n の場合における MSB 側拡大ビット数の
期待値を計算してみる。
単純に、"10*", "11*" の発生確率が同一値(1/2)と仮定した場合、
ビット数拡大の期待値は以下となる。
表1 ビット数拡大の期待値(簡易版)
----------------------------
出現確率 拡大率 拡大期待値
----------------------------
10* 0.5 1 0.5
11* 0.5 2 1
----------------------------
拡大期待値合計:1.5
◆"1011*" の発生確率
"10*" のパターン内において、"1011*" の出現確率は、
出現確率(先頭から3番目の1):1/2
よって、先頭から3番目が1、かつ、
先頭から4番目が1となる確率は、
(1/2)(1/2) = 1/4
全体ケースにおいて、"10*"の出現確率は 1/2 なので、
全体ケースにおける"1011*" の出現確率は、(1/2)(1/4) = 1/8
これから、"10*"におけるその他の出現確率は、
1/2 - 1/8 = (4 - 1)/8 = 3/8
よって、"10*"に対するビット数拡大期待値は、以下となる。
"1011*" :2(1/8) = 1/4 = 0.25
"1011*"以外:1(3/8) = 3/8 = 0.375
したがって、"10*" 全体のビット数拡大期待値は、
上記2つの合計なので、0.625 である。
◆"1?1011*" の発生確率
"1?" 部分の発生確率は 100% である。
よって、先頭から3番目以降の出現確率を求めれば、
それがそのまま"1?1011*" の出現確率となる。
その値は、2^(-4) = 1/16 である。
これを "101011*" と "111011*" に分離して適用すると、
それぞれ 1/32 である。
"10*" の場合に、"101011*" を適用する。
"10*" は、"1011*" とそれ以外の場合に分類済みなので、
"1011*" 以外の場合をさらに細分類する。
"10*" の場合において、継続して"1011*"が出現する確率は
1/16 である。また、"10*" の場合において、"1011*" でない
確率は 3/4 である。
よって、"10*" の場合において、"101011*" となる確率は
(3/4)(1/16) = 3/64 である。
したがって、"10*" の場合の出現確率の内訳は、以下となる。
"101011*" となる確率:3/64
"1011*" の出現確率 :1/4
上記以外の出現確率 :(1 - 1/4 - 3/64) = 45/64
したがって、"10*" の場合の出現確率の内訳は、以下となる。
表2A ビット数拡大の期待値("10*")
------------------------------------------------
10* (1/2)
------------------------------------------------
確率 相対割合 拡大率 拡大期待値
------------------------------------------------
101011* 3/64 2 (1/2)(3/64)2 = 3/64 ≒ 0.047
1011* 1/4 2 (1/2)(1/4)2 = 1/4 = 0.25
1011* 以外 45/64 1 (1/2)(45/64)1 = 45/128≒ 0.352
計:0.649
------------------------------------------------
"11*" の場合、継続して"1011*"が出現する確率は 1/16 である。
"11*" の場合のその他の出現確率は 15/16 (= 1 - 1/16)である。
したがって、"11*" の場合の出現確率の内訳は、以下となる。
表2B ビット数拡大の期待値("11*")
------------------------------------------------
11* (1/2)
------------------------------------------------
確率 相対割合 拡大率 拡大期待値
------------------------------------------------
111011* 1/16 2 (1/2)(1/16)2 = 1/16
上記以外 15/16 2 (1/2)(15/16)2 = 15/16
------------------------------------------------
計:1
よって、"11*" 全体の拡大期待値は、
「表1 ビット数拡大の期待値(簡易版)」から変化しない。
◆ビット数拡大の期待値(総合版)
表1に対して、「"1011*" の発生確率」、
「"1?1011*" の発生確率」の考察結果を総合すると、以下となる。
表3 ビット数拡大の期待値(総合版)
----------------------------
出現確率 拡大率 拡大期待値
----------------------------
10* 0.5 1 0.649
11* 0.5 2 1
----------------------------
拡大期待値合計:1.649
よって、<3n MSB側拡大ビット数>の期待値は、1.649 である。
■<+1縮小ビット数>
g(n) = 3n + 1 演算における+1演算に対して、有効ビット数の
縮小効果に関して調査した結果を以下に示す。
奇数 n に対する<3n 演算>結果は、必ず奇数となる。この値に対する
+1演算結果は偶数なので、2進数パターンの末尾は必ず0となる。
また、このとき、2進数演算の carry が発生する。
よって、<3n + 1 演算>の末尾は、コラッツ遷移値として、
最低でも1ビットは縮小する。
pattern +1 LSB側縮小ビット数
------------------------------------
0001 0010 1
0011 0100 2
0101 0110 1
0111 1000 3
1001 1010 1
1011 1100 2
1101 1110 1
1111 10000 4
また、<3n 演算>結果の LSB から連続するビット 1 のパターンが
存在する場合、+1演算結果に対するコラッツ遷移値は、
ビット 1 の連続数に応じた縮小ビット数となる。
pattern +1 連続数 縮小ビット数
--------------------------------------------
ex1. "0011" → "0100" 2 2
ex2. "0111" → "1000" 3 3
ex3. "1011" → "1100" 2 2
ex4. "1111" → "10000" 4 4
ここで、奇数の2進数末尾パターンに対するコラッツ遷移時の
縮小ビット数の期待値を計算してみる。
すべての奇数は、(4K + 1)/(4K + 3) 型のいずれかである。
この分類の詳細は、(8K + 1)/(8K + 3)/(8K + 5)/(8K + 7) 型である。
2進数ビットパターン 0/1 がコラッツ遷移において出現する確率は、
大数の法則を考慮した場合、共に 1/2 であると仮定する。
また、上記のデータ型がコラッツ遷移において出現する確率は、
大数の法則を考慮した場合、ほぼ均等であり、(4K + 1)/(4K + 3)型の
分類では、1/2、(8K + 1)/(8K + 3)/(8K + 5)/(8K + 7)型の分類では
1/4 であると仮定する。
すなわち、末尾パターンの2進数表現において、
"*01"/"*11"である確率は 1/2、
"*001"/"*011"/"*101"/"*111"である確率は 1/4
であると見做す。
このとき、"*001"/"*011"/"*101"/"*111" に対するコラッツ遷移時の
縮小ビット数は、以下となる。
なお、末尾パターンが "*101" の場合は (8K + 5) 型であり、
この場合は特に、分岐テーブルグループの従属値がコラッツ遷移の
演算対象である。このとき、分岐テーブルグループの基準値と従属値の
コラッツ遷移値は一致する。
よって、ビットパターンにおける "*101" 部分の "01" を除外して、
"*1" として扱っても、遷移結果は同一となる。
下記におけるパターン "*10101" に対する遷移は、この場合に該当し、
"1" として扱った場合と一致する。すなわち、この場合の遷移結果は、
""部分の値に依存するので、遷移結果のデータ型は固定的に特定できない。
--------------------------------------------------------------------
*001 1/4 // *001 → 011 → 100 ※ReductionBits = 2
pattern 出現確率 origin 3n (3n + 1) ReductionBits ToType
*00001 1/16 // 00001 → 00011 → 00100 2 8k1
*01001 1/16 // 01001 → 11011 → 11100 2 8k7
*10001 1/16 // 10001 → 110011 → 110100 2 8k5
*11001 1/16 // 11001 → 1001011 → 1001100 2 8k3
Each probability = 2/16 = 1/8
∴Total reduced bits of "*001": 4*(1/8) = 4/8 = 1/2 [unit: bit]
--------------------------------------------------------------------
*011 1/4 // 011 → 1001 → 1010 ※ReductionBits = 1
pattern 出現確率 origin 3n (3n + 1) ReductionBits ToType
*00011 1/16 // 00011 → 01001 → 01010 1 8k5
*01011 1/16 // 01011 → 100001 → 100010 1 8k1
*10011 1/16 // 10011 → 111001 → 111010 1 8k5
*11011 1/16 // 11011 → 1010001 → 1010010 1 8k1
Each probability = 1/16
∴Total reduced bits of "*011": 4*(1/16) = 4/16 = 1/4 [unit: bit]
--------------------------------------------------------------------
*101 1/4 // 101 → 1111 → 10000
pattern 出現確率 origin 3n (3n + 1) ReductionBits ToType
*00101 1/16 // 00101 → 01111 → 10000 4 8k1
*01101 1/16 // 01101 → 100111 → 101000 3 8k5
*10101 1/16 // 10101 → 111111 → 1000000 6 (any type)
*11101 1/16 // 11101 → 1010111 → 1011000 3 8k3?
Total reduced bits of "*101":
(1/16)*4 + (1/16)*3 + (1/16)*6 + + (1/16)*3
= (1/16)*(4 + 3 + 6 + 3)
= (1/16)*16
= 1 [unit: bit]
--------------------------------------------------------------------
*111 1/4 // 111 → 10101 → 10110 ※ReductionBits = 1
pattern 出現確率 origin 3n (3n + 1) ReductionBits ToType
*00111 1/16 // 00111 → 10101 → 10110 1 8k3
*01111 1/16 // 01111 → 101101 → 101110 1 8k7
*10111 1/16 // 10111 → 1000101 → 1000110 1 8k3
*11111 1/16 // 11111 → 1011101 → 1011110 1 8k7
Each probability = 1/16
∴Total reduced bits of "*111": 4*(1/16) = 4/16 = 1/4 [unit: bit]
各パターンを総合した縮小ビット数は、"*001"/"*011"/"*101"/"*111" に
関する出現確率を考慮した個別演算における縮小ビット数の効果を
合計したものである。よって、全体の縮小ビット数は、以下である。
1/2 + 1/4 + 1 + 1/4 = 2 [unit: bit]
すなわち、コラッツ遷移における縮小ビット数の期待値は 2 である。
特に目立つ点は、(8k + 5)型の場合における縮小ビット数が
他の場合と比較して、より大きいことである。
■2進数パターン分析によるコラッツ収束の考察
任意の奇数 n に対するコラッツ演算において、その過程に含まれる
3n 演算による2進数パターンとしての MSB側拡大ビット数の期待値は、
1.649 である。
また、任意の奇数 n に対するコラッツ演算において、g(n) の過程
(3n + 1)の+1演算における2進数パターンとしての
LSB 側縮小ビット数の期待値は2である。
よって、期待値ベースで比較した場合、以下の関係が成り立つ。
(MSB 側拡大ビット数)<(LSB 側縮小ビット数)
これは、奇数のみに着目したコラッツ演算結果で見た場合、2進数での
最下位桁の1が最上位桁の1に”追い着く”ことを意味する。
したがって、2進数パターン分析による期待値でコラッツ遷移状態を
見た場合、定性的に、コラッツ遷移は1に収斂する。
すなわち、2進数パターンによる期待値ベースで見た場合、
コラッツ予想は肯定的に成り立つ。この結果は、
「<付録B:確率論による無限経路に関するコラッツ遷移の考察>」の
結果と整合する。
以下に、初期値 9 からのコラッツ遷移例で、この見方を示す。
なお、下表において、(No reduction) では、本来のコラッツ演算では
2による除算で抹消する末尾の連続する 0 を除去せずに示している。
この場合の "." は小数点位置を示す。
また、2進数パターンの末尾に付与している()内の数字は、
該当する2進数に対する 10 進数を示す。
N_R は、g(n) に対する<2による除算回数>である。
--------------------------------------------------------------------
0dd only g(n) Up/Down MSB~LSB間隔 N_R (No reduction)
--------------------------------------------------------------------
1001(9) 11100(28) - 2 2 11100.
111(7) 10110(22) ↓ 1 1 10110.00
1011(11) 100010(34) ↑ 2 1 100010.000
10001(17) 110100(52) ↓ 3 2 110100.0000
1101(13) 101000(40) ↓ 2 3 101000.000000
101(5) 10000(16) ↓ 1 4 10000.000000000
1(1) ↓ 0 - 1.0000000000000
--------------------------------------------------------------------
■収束ビットパターン一致度
奇数に対するコラッツ収束におけるビットバターン変化を追跡した結果の
例(ex. 27)を以下に示す。
・末尾の 1 を除いて、ビット 0, 1 が交互に出現する場合、
ビットバターン状態が均衡していると見做す。
ex1. 均衡状態 :1010101b (85)
ex2. 不均衡状態:1110111b (119)
・コラッツ収束に向かう対象値の均衡状態を考える上で、
末尾の 1 を除いて、2ビット単位で数値を扱う。
上図から読み取れる点は、比較的長い奇数に関するコラッツ遷移で、
次回のコラッツ遷移で1に収束するビットパターン("(10)*101")に
一致する度合いは、中間である 50% を境にして、途中段階では大きく
揺れ動くことである。
すなわち、コラッツ収束するビットパターンに到達することは、
段階的な一定の変化を経て起こるわけではないと言える。
<付録D:@5 を経由するコラッツ遷移の割合>
[概要]
1 を除く 1 ~ 1024 の範囲の奇数において、@5 にコラッツ遷移の
結果が帰着する割合は、約 94 [%] (= 482/511)である。
この傾向は、約数としては、値の小さい方が頻出することによる。
また、この結果は、1024 以上の場合にも、その傾向が反映されると
予想される。
すなわち、コラッツ遷移の結果は、ある自然数 n > 0 を割合算出上の
上限と定めた場合、その約9割が @5 を通過すると予想される。
[図Appendix-D-1]コラッツ予想の収束値に現れる @5 関連の奇数の割合
<付録E:コラッツ遷移値の近似による最大誤差率>
コラッツ遷移方程式を $V_n$ で表現した場合、以下である。
$\displaystyle V_n = \frac{V_0}{R}\frac{1}{ (1 - \frac{1}{g(V_0)}) (1 - \frac{1}{g(V_1)}) \cdots (1 - \frac{1}{g(V_{n-1})})} \gt \frac{V_0}{R}$ ・・・(1)
である。これに対する近似値としての絶対誤差は以下である。
$\displaystyle E_t = \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)} = \frac{1}{g(V_0)} + \frac{1}{g(V_1)} + \cdots + \frac{1}{g(V_{n-1})}$
絶対誤差の近似値 $0 \lt E_t \lt 1$ を評価すると、以下である。
\begin{align}
\displaystyle E_t &= \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)} = (\frac{1}{g(V_0)} + \frac{1}{g(V_1)} + \cdots + \frac{1}{g(V_{n-1})}) \\
&= \frac{1}{3V_0 + 1} + \frac{1}{3V_1 + 1} + \cdots + \frac{1}{3V_{n-1} + 1} \\
&\lt \frac{1}{3V_0} + \frac{1}{3V_1} + \cdots + \frac{1}{3V_{n-1}} \\
&= \frac{1}{3}(\frac{1}{V_0} + \frac{1}{V_1} + \cdots + \frac{1}{V_{n-1}}) \\
&= \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k} \\
\end{align}
すなわち、奇数ベースの遷移値 $V_k$ の逆数和の $\frac{1}{3}$ が絶対誤差を示す。
コラッツ遷移方程式における絶対誤差($E$)の定義は以下である。
$\displaystyle E = \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k}$
3 ~ 101 に含まれる奇数を対象として、奇数の逆数和を求めると、
以下となる。ただし、下表において、odd は奇数、E は最大誤差率である。
Odd E
3 0.178
5 0.067
7 0.190
9 0.227
11 0.142
13 0.092
15 0.119
17 0.112
19 0.171
21 0.016
23 0.097
25 0.185
27 0.184
29 0.154
31 0.163
33 0.195
35 0.082
37 0.199
39 0.197
41 0.172
43 0.219
45 0.119
47 0.153
49 0.206
51 0.165
53 0.073
55 0.165
57 0.224
59 0.189
61 0.102
63 0.147
65 0.211
67 0.180
69 0.097
71 0.146
73 0.170
75 0.011
77 0.158
79 0.185
81 0.107
83 0.159
85 0.004
87 0.207
89 0.183
91 0.133
93 0.086
95 0.142
97 0.173
99 0.195
101 0.175
103 0.127
105 0.188
107 0.141
109 0.175
111 0.118
113 0.007
115 0.216
117 0.145
119 0.180
121 0.136
123 0.200
125 0.155
127 0.167
129 0.176
131 0.203
133 0.187
135 0.225
137 0.129
139 0.195
141 0.075
143 0.139
145 0.177
147 0.163
149 0.192
151 0.005
153 0.218
155 0.124
157 0.191
159 0.112
161 0.138
163 0.100
165 0.165
167 0.115
169 0.169
171 0.182
173 0.213
175 0.120
177 0.189
179 0.178
181 0.114
183 0.127
185 0.197
187 0.186
189 0.147
191 0.165
193 0.179
195 0.168
197 0.201
199 0.148
201 0.006
203 0.223
205 0.160
207 0.122
209 0.193
211 0.183
213 0.068
215 0.136
217 0.102
219 0.198
221 0.161
223 0.113
225 0.171
227 0.002
229 0.220
231 0.169
233 0.121
235 0.152
237 0.185
239 0.110
241 0.115
243 0.132
245 0.098
247 0.195
249 0.187
251 0.113
253 0.143
255 0.163
257 0.180
259 0.172
261 0.207
263 0.118
265 0.149
267 0.010
269 0.176
271 0.221
273 0.161
275 0.126
277 0.094
279 0.191
281 0.184
283 0.111
285 0.142
287 0.163
289 0.103
291 0.173
293 0.167
295 0.188
297 0.114
299 0.146
301 0.008
上表において、max(E) = 0.227 である。すなわち、3 ~ 101 の
奇数に対する逆数和の最大値は、初期値 $V_0 = 9$ の場合に出現する。
なお、実際のコラッツ遷移の最大絶対誤差率は約 23% と予想している。
<付録F:参考プログラム(CollatzAnalyzer)>
--------------------------
[目的]
(3n + 1)/(3n + 2)型奇数の出現比率を求める。
[概要]
(3n + 1)/(3n + 2)型奇数の出現比率を求めるために作成した
コラッツ遷移シーケンスの出力プログラムを今回の記事のデータ作成時点の
記録として掲載しています。プログラム名を "CollatzAnalyzer" です。
このプログラムは、コラッツ遷移の数列だけでなく、関心事項の
統計情報も出力します。この出力結果を後述の
「[付録B-2-3](3n + 1)/(3n + 2)型奇数の出現比率」における
グラフ生成用のデータとして使用しました。
[利用環境]
・ソースプログラムによる提供。
(※確認するためには、実行形式プログラムの生成が必要。)
・コンソール・アプリケーション(ex. Command prompt 等で利用)
・.NET Framework 4.8 (.NET core 3.1 以上)
[ビルド確認環境]
・Machine : IBM-PC compatible (Intel Core i7 2.3GHz, Memory 8GB)
・Compiler: Microsoft Visual Studio Community 2019 Version 16.11.7
[プログラムの特徴]
符号なし 64 bit 整数演算のみを使用しています。このため、
演算オーバーフロー例外の発生を捕捉する処理を追加しているので、
該当の例外が発生した場合、エラーメッセージが表示されます。
(ex. "Arithmetic operation resulted in an overflow.")
指定可能な最大値は、(2^56 - 5 = 72,057,594,037,927,931) です。
この点の詳細については、[制限事項]の欄を参照してください。
なお、コマンドのパラメタは、大文字・小文字を区別しません。
[利用方法]
利用方法の概要は、以下です。
CollatzAnalyzer にパラメタを指定しない場合、以下の内容が
Usage として出力されます。
Usage: CollatzAnalyzer [ E [ S [ T [ D ] ] ] ]
E: Ending value. ex. 1024
S: Starting value. The default value is one.
T: Target type for input. { A(ll) | O(dd) | E(ven) }
D: Display type. { A(ll) | O(dd) | E(ven) | Nd | Ns | No }The default of T is All, and the default of D is All.
If you select Odd/Even in T, Odd/Even in D will be selected.The delimiter for data is a tab.
The limit of ending value is 4611686018427387904 (2 ^ 62)
But, it's no warranty to calculate for the limit value normally.If you set no arguments, this usage will be displayed.
Let's enjoy Collatz's problem!
[使用例]
(a)1 ~ 7 の範囲を対象に、すべての情報を出力する。
> CollatzAnalyzer 7
(b)3 ~ 7 の範囲を対象に、すべての情報を出力する。
> CollatzAnalyzer 7 3
(c)7 だけを対象に、すべての統計情報とコラッツ遷移シーケンスを出力する。
> CollatzAnalyzer 7 7
(d)1 ~ 7 を対象に、すべての統計情報と奇数のみの
コラッツ遷移シーケンスを出力する。
> CollatzAnalyzer 7 1 ALL ODD
(e)1 ~ 7 を対象に、すべての統計情報と偶数のみの
コラッツ遷移シーケンスを出力する。
> CollatzAnalyzer 7 1 ALL EVEN
(f)1 ~ 7 の奇数のみに対し、すべての統計情報とコラッツ遷移シーケンスを
出力する。
> CollatzAnalyzer 7 1 ODD
(g)1 ~ 7 の偶数のみに対し、すべての統計情報とコラッツ遷移シーケンスを
出力する。
> CollatzAnalyzer 7 1 EVEN
(h)1 ~ 7 の奇数のみに対し、統計情報のみを出力する。
> CollatzAnalyzer 7 1 ODD Nd
(i)1 ~ 7 の奇数のみに対し、コラッツ遷移シーケンスのみを出力する。
> CollatzAnalyzer 7 1 ODD Ns
(j)1 ~ 7 の奇数のみに対し、全体の統計情報のみを出力する。
> CollatzAnalyzer 7 1 ODD No
[実行結果例]
以下に、1 ~ 2^32 (=4,294,967,296) の範囲の(3n + 2)/(3n + 1)型
奇数の出現比率を求めた例を示します。実行時のパラメタは、以下です。
> CollatzAnalyzer 4294967296 1 odd No
An example of getting the ratio for number of (3n + 2)/(3n + 1) types
Arguments: 4294967296 1 odd No
Value <Total steps> N(3n+2) N(3n+1) N(3n) Ratio(3n+2/3n+1)
15 89 14 4 0 3.5
31 401 84 32 0 2.625
63 1114 239 101 0 2.366
255 6778 1516 643 0 2.358
511 15146 3369 1465 0 2.3
1023 33892 7501 3361 0 2.232
2047 75765 16750 7664 0 2.186
4095 167601 37059 17192 0 2.156
8191 364539 80508 37756 0 2.132
16383 783069 172802 81442 0 2.122
32767 1672181 368593 174584 0 2.111
65535 3574724 787897 374901 0 2.102
131071 7628609 1682501 803108 0 2.095
262143 16211118 3578034 1711483 0 2.091
524287 34323611 7579191 3633958 0 2.086
1048575 72389765 15986813 7684456 0 2.08
2097151 152290098 33639022 16203351 0 2.076
4194303 319673982 70630879 34081661 0 2.072
8388607 669487973 147950441 71511826 0 2.069
16777215 1399504532 309341763 149753313 0 2.066
33554431 2920239555 645616282 312982096 0 2.063
67108863 6082654038 1345027425 652875021 0 2.06
134217727 12650813866 2797965209 1359697763 0 2.058
268435455 26272078231 5811619699 2827205270 0 2.056
536870911 54483769454 12054260334 5869889927 0 2.054
1073741823 112847787228 24970745603 12170951463 0 2.052
2147483647 233455051849 51665749229 25204043118 0 2.05
4294967295 482426045964 106779154955 52132058491 0 2.048
--------------------------------------------------------------------
[Summary]
<Total steps> N(3n+2) N(3n+1) N(3n) Ratio(3n+2/3n+1)
482426045964 106779154955 52132058491 0 2.048
Max steps: 1050 at 2610744987
Max present value: 7125885122794452160 at 1410123943
--------------------------------------------------------------------
Elapsed time: 187112321 [ms]
--------------------------------------------------------------------
[制限事項]
指定可能な最大値は、(2^56 - 5 = 72,057,594,037,927,931) です。
実行確認しているのは、手持ちマシンの能力と計算時間の兼ね合いで、
2^32 (4,294,967,296) までで、2^32 < n < (2^56 - 5) 間の値に
関しては、未確認です。ただし、上記の n は自然数です。
最大値を(2^56 - 5)としている理由は、以下のコマンドにより、
この値で正常に実行できることを確認したという意味です。
> CollatzAnalyzer 72057594037927931 72057594037927931
[備考]
・ライセンス提供形態は、MIT ライセンスです。実行結果に関して、
いかなる場合でも、無保証である点に注意願います。
・CollatzAnalyzer の実行時の占有メモリ量は、確認した環境では、
約 12 MB でした。
・このプログラムを作成してみて判明したことは、64bit マシンを
使用する場合の単純な予測として、符号なしの整数演算を利用した場合、
2^62 近辺くらいまでが利用可能な最大値であることを期待したにも
かかわらず、実際には、より小さい冪乗値までしか使用可能な値は
届かなかった点です。
・掲載ソースプログラム中で、以下の定義は、(3n + 1)/(3n + 2)型
奇数の出現比率を求める場合に、途中経過を表示するための
オプション設定です。これは、通常のプログラム利用では不要です。
#define CHECK_POINT_DISPLAY
[ソース・プログラム]
Source program of CollatzAnalyzer
//******************************************************************
//* CollatzAnalyzer - Display numeric sequence for Collatz' problem
//*----------------------------------------------------------------
//* This is a console application made by .NET core 3.1.
//* the usage of this program and a display sample are as below.
//*----------------------------------------------------------------
//* [Testing environments]
//* Machine: IBM-PC compatible
//* Memory : 8 GB
//* OS : MS Windows 10
//******************************************************************
/* [Usage]
====================================================================
Usage: CollatzAnalyzer [ E [ S [ T [ D ] ] ] ]
E: Ending value. ex. 1024
S: Starting value. The default value is one.
T: Target type for input. { A(ll) | O(dd) | E(ven) }
D: Display type. { A(ll) | O(dd) | E(ven) | Nd | Ns | No }
The default of T is All, and the default of D is All.
If you select Odd/Even in T, Odd/Even in D will be selected.
The delimiter for data is a tab.
The limit of ending value is 4611686018427387904 (2 ^ 62)
But, it's no warranty to calculate for the limit value normally.
If you set no arguments, this usage will be displayed.
Let's enjoy Collatz's problem!
====================================================================
*/
/* [A display sample for 7]
====================================================================
Arguments: 7
--------------------------------------------------------------------
[Details]
Value Steps N(3n+2) N(3n+1) N(3n) Sequence
1 2 0 0 0 1 4 1
2 1 0 0 0 2 1
3 7 1 0 0 3 10 5 16 8
4 2 1
4 2 0 0 0 4 2 1
5 5 0 0 0 5 16 8 4 2
1
6 8 1 0 1 6 3 10 5 16
8 4 2 1
7 16 3 1 0 7 22 11 34 17
52 26 13 40 20 10 5 16 8
4 2 1
--------------------------------------------------------------------
[Summary]
TotalSteps N(3n+2) N(3n+1) N(3n)
41 5 1 1
Max steps: 16 at 7
Max present value: 52 at 7
--------------------------------------------------------------------
Elapsed time: 4 [ms]
--------------------------------------------------------------------
====================================================================
(Remarks)
Value : Target value for Collatz' operations.
Steps : Total steps for the sequence
N(3n+2), N(3n+1), N(3n): Number of (3n), (3n+1), (3n+2) types
Sequence : Natural numbers for Collatz' sequence
TotalSteps: Sum of steps
Max steps : Maximum number of step in all for sequence
Max present value: Maximum value in Collatz' sequence
*/
/* [Remarks]
It's 72,057,594,037,927,931 as the maximum value at this
program that I have comfirmed normally in Collatz' operations.
The Command prompt made by by hand is as follows.
--------------------------------------------------------------------
> CollatzSequencer 72057594037927931 72057594037927931
--------------------------------------------------------------------
The number (72,057,594,037,927,931) is (2^56 - 5).
Some other values may not be completed to 1 by this program.
*/
//******************************************************************
//* [License]
//*----------------------------------------------------------------
//* This software is released under the MIT License, see below.
//******************************************************************
/*
Copyright (c) 2021 Shiraishi Kiyoshi
Permission is hereby granted, free of charge,
to any person obtaining a copy of this software and
associated documentation files (the "Software"),
to deal in the Software without restriction,
including without limitation the rights
to use, copy, modify, merge, publish, distribute, sublicense,
and/or sell copies of the Software,
and to permit persons to whom the Software is furnished to do so,
subject to the following conditions:
The above copyright notice and this permission notice shall be
included in all copies or substantial portions of the Software.
THE SOFTWARE IS PROVIDED "AS IS",
WITHOUT WARRANTY OF ANY KIND, EXPRESS OR IMPLIED,
INCLUDING BUT NOT LIMITED TO THE WARRANTIES OF MERCHANTABILITY,
FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE AND NONINFRINGEMENT.
IN NO EVENT SHALL THE AUTHORS OR COPYRIGHT HOLDERS BE LIABLE
FOR ANY CLAIM, DAMAGES OR OTHER LIABILITY,
WHETHER IN AN ACTION OF CONTRACT, TORT OR OTHERWISE,
ARISING FROM, OUT OF OR IN CONNECTION WITH THE SOFTWARE OR
THE USE OR OTHER DEALINGS IN THE SOFTWARE.
*/
//******************************************************************
//* Using components
//******************************************************************
//#define CHECK_POINT_DISPLAY
using System;
using System.Diagnostics; // Stopwatch
namespace CollatzProblemSolution
{
/// <summary>
/// Input target type
/// </summary>
enum eTargetType
{
TargetTypeAll,
TargetTypeEven,
TargetTypeOdd,
N_TargetType
};
/// <summary>
/// Main program
/// </summary>
class Program
{
const string cstrDisplayTypeAll = "All";
const string cstrDelimiterLine = "--------------------------------------------------------------------";
const string cstrInputRequestMessage = "Please input some charcters to quit and enter return key.";
/// <summary>
/// Main function for Collatz's problem solutions
/// </summary>
/// <param name="args">
/// CollatzSequence [<Ending value> [ [<Starting value>] [ { A(ll) | O(dd) | E(ven) } ] [ { A(ll) | O(dd) | E(ven) | No } ] ] ]
/// <Ending value> : Ending value to calculate
/// <Starting value> : Starting value to calculate. (Default = 1)
/// : If you want to output for only one value, set the same number of <End value>.
/// <Target type> : All | Odd | Even | No (Default = "A(ll)")
/// <Display option> : All | Odd | Even | No (Default = "A(ll)")
/// </param>
/// <!-- If you set no arguments, you will get to the usage of this function. -->
static void Main(string[] args)
{
const string cstrProgramName = "CollatzAnalyzer";
// General constants
const string cstrSpace = " ";
// Usage
const string cstrFormatUsage = "Usage: {0} [ E [ S [ T [ D ] ] ] ]";
const string cstrUsageE = "E: Ending value. ex. 1024";
const string cstrUsageS = "S: Starting value. The default value is one.";
const string cstrUsageT = "T: Target type for input. { A(ll) | O(dd) | E(ven) }";
const string cstrUsageD = "D: Display type. { A(ll) | O(dd) | E(ven) | Nd | Ns | No }";
const string cstrUsageOption = "The default of T is All, and the default of D is All.";
const string cstrUsageOption2 = "If you select Odd/Even in T, Odd/Even in D will be selected.";
const string cstrUsageOption3 = "Nd in D is an option to display withi no Collatz's sequence.";
const string cstrUsageOption4 = "No in D is an option to display withi no details. i.e. Summary only.";
const string cstrUsageDelimiter = "The delimiter for data is a tab.";
const string cstrFormatLimitValue = "The limit of ending value is {5} (2 ^ 56 - 5)";
const string cstrUsageLimitValue = "But, it's no warranty to calculate for the limit value normally.";
const string cstrMessageNoArguments = "If you set no arguments, this usage will be displayed.";
const string cstrMessageLetEnjoyCollatzProplem = "Let's enjoy Collatz's problem!";
// Format for error messages
const string cstrFormatArgumentError = "Error: Argument error ({0})";
const string cstrFormatLimitationError = "Error: Limitation error ({0})";
const string cstrFormatElapsedTime = "Elapsed time: {0} [ms]";
// Target value type: All numbers | Odd numbers
const string cstrTargetValueTypeAll = "ALL";
const string cstrTargetValueTypeEven = "EVEN";
const string cstrTargetValueTypeOdd = "ODD";
// <Display option> : All | Odd | Even | No (Default = "A(ll)")
const string cstrDisplayTypeAll = "ALL";
const string cstrDisplayTypeEven = "EVEN";
const string cstrDisplayTypeOdd = "ODD";
const string cstrDisplayTypeNo = "NO";
const string cstrDisplayTypeNoDetails = "ND";
const string cstrDisplayTypeNoSummary = "NS";
// 2^56 = 72,057,594,037,927,936
// > CollatzAnalyzer 72057594037927931 72057594037927931 // OK
const ulong MaxExponentOf2 = 56; // Max exponent of 2 in this program
ulong nLimitValue = (ulong) Math.Pow(2, MaxExponentOf2);
nLimitValue -= 5; // 72057594037927931 = 72,057,594,037,927,936 - 5
if (0 == args.Length)
{ // No arguments
string strUsage = string.Format(cstrFormatUsage, cstrProgramName);
string strFormat =
"{0}" + Environment.NewLine + // Usage
"\t{1}" + Environment.NewLine + // E
"\t{2}" + Environment.NewLine + // S
"\t{3}" + Environment.NewLine + // T
"\t{4}" + Environment.NewLine + // D
Environment.NewLine +
cstrUsageOption + Environment.NewLine + // Description for argument T
cstrUsageOption2 + Environment.NewLine + // Description for argument D
Environment.NewLine +
cstrUsageOption3 + Environment.NewLine + // Description for Nd in D
cstrUsageOption4 + Environment.NewLine + // Description for No in D
Environment.NewLine +
cstrUsageDelimiter + Environment.NewLine + // Delimiter for data is a tab
cstrFormatLimitValue + Environment.NewLine + // Limit value to input
cstrUsageLimitValue + Environment.NewLine + // No warranty to calculate for the limit value
Environment.NewLine +
cstrMessageNoArguments + Environment.NewLine + // Message for no argument
cstrMessageLetEnjoyCollatzProplem
;
string strEdit = string.Format(strFormat,
strUsage, cstrUsageE, cstrUsageS, cstrUsageT, cstrUsageD, nLimitValue
);
Console.WriteLine(strEdit);
}
else
{ // Some argument(s)
// Default parameters
const ulong nStartingValueDefault = 1;
const string strDisplayTypeDefault = cstrDisplayTypeAll; // Default display type
ulong nStartingValue = nStartingValueDefault; // Starting value
string strDisplayType = strDisplayTypeDefault; // Display types
// Display arguments
if (null != args)
{
Console.Write("Arguments: ");
ulong ix = 0;
foreach (string s in args)
{
Console.Write((0 < ix ? cstrSpace : string.Empty) + s);
ix++;
} // !foreach
Console.WriteLine();
}
ulong nEndingValue = 0;
eTargetType targetType = eTargetType.TargetTypeAll;
string strValue = args[0]; // Top argument: Ending value
bool bSuccess = ulong.TryParse(strValue, out nEndingValue);
if (bSuccess)
{
if (nLimitValue > nEndingValue)
{
bool bErrorFound = false; // Error found flag
if (1 < args.Length)
{ // <Ending value>
ulong nTmp = 0;
strValue = args[1]; // Top argument: Ending value
bSuccess = ulong.TryParse(strValue, out nTmp);
if (bSuccess)
{ // <Starting value>
nStartingValue = nTmp;
if (2 < args.Length)
{ // Target value type: All numbers | Odd numbers
string args2 = args[2];
strValue = args2.ToUpper(); // Top argument: Ending value
string strTopChar = strValue.Substring(0, 1);
if (cstrTargetValueTypeOdd == strValue || "O" == strTopChar)
{ // Target value type: Odd numbers
targetType = eTargetType.TargetTypeOdd;
}
else if (cstrTargetValueTypeEven == strValue || "E" == strTopChar)
{ // Target value type: All numbers
targetType = eTargetType.TargetTypeEven;
}
else if (cstrTargetValueTypeAll == strValue || "A" == strTopChar)
{ // Target value type: All numbers
targetType = eTargetType.TargetTypeAll;
}
else
{
Console.WriteLine(cstrFormatArgumentError, args2);
bErrorFound = true; // Error found flag
}
if (false == bErrorFound)
{
if (3 < args.Length)
{ // Display options
string args3 = args[3];
strValue = args3.ToUpper(); // Top argument: Ending value
strTopChar = strValue.Substring(0, 1);
string strTopChar2 = string.Empty;
if (1 < strValue.Length)
{
strTopChar2 = strValue.Substring(1, 1);
}
if (cstrDisplayTypeAll == strValue || "A" == strTopChar)
{
strDisplayType = cstrDisplayTypeAll;
}
else if (cstrDisplayTypeOdd == strValue || "O" == strTopChar)
{
strDisplayType = cstrDisplayTypeOdd;
}
else if (cstrDisplayTypeEven == strValue || "E" == strTopChar)
{
strDisplayType = cstrDisplayTypeEven;
}
else if (cstrDisplayTypeNo == strValue ||
("N" == strTopChar && "O" == strTopChar2) )
{ // NO
strDisplayType = cstrDisplayTypeNo;
}
else if (cstrDisplayTypeNoDetails == strValue ||
("N" == strTopChar) && ("D" == strTopChar2))
{ // ND
strDisplayType = cstrDisplayTypeNoDetails;
}
else if (cstrDisplayTypeNoSummary == strValue ||
("N" == strTopChar) && ("S" == strTopChar2))
{ // NS
strDisplayType = cstrDisplayTypeNoSummary;
}
else
{
Console.WriteLine(cstrFormatArgumentError, args3);
bErrorFound = true; // Error found flag
}
}
else
{
if (eTargetType.TargetTypeOdd == targetType)
{ // Target value type: Odd numbers
strDisplayType = cstrDisplayTypeOdd;
}
else if (eTargetType.TargetTypeEven == targetType)
{ // Target value type: Odd numbers
strDisplayType = cstrDisplayTypeEven;
}
else
{
strDisplayType = cstrDisplayTypeAll;
}
}
}
}
}
else
{
Console.WriteLine(cstrFormatArgumentError, strValue);
bErrorFound = true; // Error found flag
}
}
if (false == bErrorFound)
{
Stopwatch sw = Stopwatch.StartNew(); // Stopwatch: starting
CollatzTransitions.Print(nEndingValue, nStartingValue, targetType, strDisplayType);
sw.Stop(); // Stopwatch: ending
Console.WriteLine(cstrFormatElapsedTime, sw.ElapsedMilliseconds);
}
}
else
{ // Argument error (Limitation)
Console.WriteLine(cstrFormatLimitationError, strValue);
}
}
else
{
Console.WriteLine(cstrFormatArgumentError, strValue);
}
Console.WriteLine(cstrDelimiterLine);
}
#if DEBUG
Console.WriteLine(cstrInputRequestMessage);
Console.ReadLine(); // Make pause timing to quit this program
#endif
} // !Main
} // !class Program
/// <summary>
/// Transition representation class for Collatz' problem
/// </summary>
static class CollatzTransitions
{
const string cstrDisplayTypeAll = "ALL"; // Print all information
const string cstrDisplayTypeOdd = "ODD"; // Odd numbers only in details
const string cstrDisplayTypeEven = "EVEN"; // Even numbers only in details
const string cstrDisplayTypeNoDetails = "ND"; // No display for sequence.
const string cstrDisplayTypeNo = "NO"; // No details. Summary information only.
const string cstrDisplayTypeNoSummary = "NS"; // No summary
/// <summary>
/// Public class of results for a Collatz transition
/// </summary>
public class ResultValues
{
public ulong nTargetValue; // Target value
public ulong nStep; // Number of for Collatz transitions as the total
public ulong n3n; // Number of for multiples of 3
public ulong n3nPlus1; // Number of for type (3n + 1)
public ulong n3nPlus2; // Number of for type (3n + 2)
public ulong nMaxPresentValue; // Max present value in the sequence
public string strSequence; // Sequence of for Collatz transitions
// Constructor
public ResultValues()
{
nTargetValue = 0; // Target value
nStep = 0; // Number of for Collatz transitions
n3n = 0; // Number of for multiples of 3
n3nPlus1 = 0; // Number of for type (3n + 1) except 1.
n3nPlus2 = 0; // Number of for type (3n + 2)
nMaxPresentValue = 0; // Max present value in the sequence
strSequence = string.Empty; // Sequence of for Collatz transitions
}
};
public static ulong nSumType3n; // Sum of number of for type (3n)
public static ulong nSumType3nPlus1; // Sum of number of for type (3n + 1)
public static ulong nSumType3nPlus2; // Sum of number of for type (3n + 2)
/// <summary>
/// Print results for Collatz transitions
/// </summary>
/// <param name="nEndingValue">Ending value to calculate</param>
/// <param name="nStartingValue">Starting value to calculate</param>
public static void Print(ulong nEndingValue,
ulong nStartingValue = 1,
eTargetType targetType = eTargetType.TargetTypeAll,
string strDisplayType = "ALL")
{
const string strTab = "\t"; // Horizontal tab
const string cstrDelimiterLine = "--------------------------------------------------------------------";
const string cstrFormatMaxSteps = "Max steps: {0} at {1}";
const string cstrFormatMaxPresentValue = "Max present value: {0} at {1}";
const string cstrFormatStatistics = "{0} {1} {2} {3} {4}";
const string cstrFormatValueSequenceAll = "{5}";
#if CHECK_POINT_DISPLAY
const string cstrFormatStatistics2 = "{0} {1} {2} {3} {4} {5}";
#endif // !CHECK_POINT_DISPLAY
const string strCsvHeaderDetails = "Value Steps N(3n+2) N(3n+1) N(3n) Sequence";
const string strCsvHeaderDetails2 = "Value Steps N(3n+2) N(3n+1) N(3n)";
const string strCsvHeaderDetails3 = "Sequence";
#if CHECK_POINT_DISPLAY
const string strCsvHeaderLineSummary = "Value <Total steps> N(3n+2) N(3n+1) N(3n) Ratio(3n+2/3n+1)";
#endif // !CHECK_POINT_DISPLAY
const string strCsvHeaderTotal = "<Total steps> N(3n+2) N(3n+1) N(3n) Ratio(3n+2/3n+1)";
const string cstrCsvDataTotal = "{0} {1} {2} {3} {4}";
const string cstrHeaderDetails = "[Details]";
const string cstrHeaderSummary = "[Summary]";
const string cstrErrorMessageOverflow = "Error: It's overflow in Collatz' operations!";
ResultValues rv = null;
ulong nTotalSteps = 0; // Total steps
string strCurrentDisplayType = strDisplayType; // Display type
#if CHECK_POINT_DISPLAY
// Middle check points of results
ulong[] nCheckPointArray = new ulong[]
{
16, 32, 64, 256, // 16 | 32 | 64 | 256
512, 1024, 2048, 4096, // 512 | 1,024 | 2,048 | 4,096 |
8192, 16384, 32768, 65536, // 8,192 | 16,384 | 32,768 | 65,536 |
131072, 262144, 524288, 1048576, // 131072 | 262,144 | 524,288 | 1,048,576 |
2097152, 4194304, 8388608, 16777216, // 2,097,152 | 4,194,304 | 8,388,608 | 16,777,216 |
33554432, 67108864, 134217728, 268435456, // 33,554,432 | 67,108,864 | 134,217,728 | 268,435,456 |
536870912, 1073741824, 2147483648, 4294967296 // 536,870,912 | 1,073,741,824 | 2,147,483,648 | 4,294,967,296
};
#endif // !CHECK_POINT_DISPLAY
nSumType3n = ulong.MinValue; // Sum of number of for type (3n)
nSumType3nPlus1 = ulong.MinValue; // Sum of number of for type (3n + 1)
nSumType3nPlus2 = ulong.MinValue; // Sum of number of for type (3n + 2)
ulong maxN = ulong.MinValue; // Maximum number for the limit number
ulong nStepsMaxN = ulong.MinValue; // Number of steps for maximum number
ulong nMaxPresentValue = ulong.MinValue; // The max present value
ulong nMaxPresentValueN = ulong.MinValue; // Target value for the max present value in the sequence
bool bNoDetails = false;
if (cstrDisplayTypeNo == strDisplayType)
{
bNoDetails = true;
}
bool bNoSummary = false;
if (cstrDisplayTypeNoSummary == strDisplayType)
{
bNoSummary = true;
}
if (false == bNoDetails)
{
Console.WriteLine(cstrDelimiterLine);
if (cstrDisplayTypeNoDetails != strDisplayType)
{
Console.WriteLine(cstrHeaderDetails);
}
// Output CSV header
if (false == bNoSummary)
{
if (cstrDisplayTypeNoDetails == strCurrentDisplayType)
{ // "ND": No display for details
Console.WriteLine(strCsvHeaderDetails2);
}
else
{
Console.WriteLine(strCsvHeaderDetails);
}
}
else
{
Console.WriteLine(strCsvHeaderDetails3);
}
}
bool bArithmeticOverflow = false; // Overflow flag for arithmetic operations
bool bLogicalOverflow = false; // Overflow flag for logical operations
ulong nErrorValue = ulong.MinValue; // Target value for overflow error
#if CHECK_POINT_DISPLAY
if (cstrDisplayTypeNoSummary == strDisplayType)
{
Console.WriteLine(strCsvHeaderLineSummary);
}
#endif // !CHECK_POINT_DISPLAY
for (ulong ix = nStartingValue; ix <= nEndingValue; ix++)
{
if (eTargetType.TargetTypeOdd == targetType)
{ // Target type is odd numbers
if (0 == (0x01 & ix))
{ // An even number
continue; // Request is for odd numbers only
}
}
else if (eTargetType.TargetTypeEven == targetType)
{ // Target type is odd numbers
if (0 != (0x01 & ix))
{ // An odd number
continue; // Request is for odd numbers only
}
}
bool bSuccess = CollatzOperation(out rv, ix, nStartingValue, targetType, strDisplayType);
if (bSuccess)
{
if (rv != null)
{
bool bContinue = true;
if (eTargetType.TargetTypeOdd == targetType)
{ // Target type is odd numbers
if (0 != rv.n3n)
{ // Operation result of(3n)type is zero.
bLogicalOverflow = true; // Error: Overflow!
bContinue = false;
}
}
if (bContinue)
{ // Operation result of(3n)type is zero.
// This is a a necessary condition for success status of Collatz's operations!
string strFormat = string.Empty;
nTotalSteps += rv.nStep; // Total steps
nSumType3n += rv.n3n; // Sum of number of for type (3n)
nSumType3nPlus1 += rv.n3nPlus1; // Sum of number of for type (3n + 1)
nSumType3nPlus2 += rv.n3nPlus2; // Sum of number of for type (3n + 2)
// Max steps
if (nStepsMaxN < rv.nStep)
{
nStepsMaxN = rv.nStep;
maxN = ix;
}
// Max present value
if (nMaxPresentValue < rv.nMaxPresentValue)
{
nMaxPresentValue = rv.nMaxPresentValue; // Exchange the max present value
nMaxPresentValueN = ix; // Target value for the max present value in the sequence
}
if (cstrDisplayTypeNoDetails == strCurrentDisplayType)
{ // "ND": No display for details
string strEdit = string.Format(cstrFormatStatistics,
rv.nTargetValue,
rv.nStep,
rv.n3nPlus2,
rv.n3nPlus1,
rv.n3n
);
Console.WriteLine(strEdit);
}
else if (bNoSummary)
{ // No summary, i.e. sequence only
Console.Write(rv.strSequence); // Display sequence
}
else if (false == bNoDetails)
{ // Default: "All" : Display all
string strFormatAll = cstrFormatStatistics +
strTab + cstrFormatValueSequenceAll;
string strEdit = string.Format(strFormatAll,
rv.nTargetValue,
rv.nStep,
rv.n3nPlus2,
rv.n3nPlus1,
rv.n3n,
rv.strSequence);
Console.Write(strEdit);
}
}
else
{ // Operation result of(3n)type is not zero.
if (eTargetType.TargetTypeOdd == targetType)
{ // Target type is odd numbers
// It isn't satified the necessary condition for success status of Collatz's operations!
nErrorValue = ix; // Target value for overflow error
bLogicalOverflow = true; // Error: Overflow!
break;
}
}
}
}
else
{ // Error in Collatz's operations
bArithmeticOverflow = true; // Overflow flag for arithmetic operations
break;
}
#if CHECK_POINT_DISPLAY
// Check point search
bool bFound = false;
foreach (var v in nCheckPointArray)
{
if ((v - 1) == ix)
{
bFound = true;
}
} // !foreach
if (bFound)
{ // It's a checkpoint now.
string strRoundRatio2by1 = "-";
if (0 < nSumType3nPlus1)
{
double dblRatio2by1 = ((double)nSumType3nPlus2) / ((double)nSumType3nPlus1);
double dblRoundRatio2by1 = Math.Round(dblRatio2by1, 3);
strRoundRatio2by1 = dblRoundRatio2by1.ToString();
}
Console.WriteLine(cstrFormatStatistics2,
rv.nTargetValue,
nTotalSteps, // Total steps
nSumType3nPlus2, // Sum of number of for type (3n + 2)
nSumType3nPlus1, // Sum of number of for type (3n + 1)
nSumType3n, // Sum of number of for type (3n)
strRoundRatio2by1
);
}
#endif // !CHECK_POINT_DISPLAY
rv = null;
} // !for
if (false == bArithmeticOverflow && false == bLogicalOverflow)
{ // It's normal status
if (cstrDisplayTypeNoDetails == strDisplayType)
{
Console.WriteLine();
}
Console.WriteLine(cstrDelimiterLine);
Console.WriteLine(cstrHeaderSummary);
// Ratio for <number of (3n + 2)> / <number of (3n + 1)>
string strRoundRatio2by1 = "-";
if (0 < nSumType3nPlus1)
{
double dblRatio2by1 = ((double)nSumType3nPlus2) / ((double)nSumType3nPlus1);
double dblRoundRatio2by1 = Math.Round(dblRatio2by1, 3);
strRoundRatio2by1 = dblRoundRatio2by1.ToString();
}
// Total steps
Console.WriteLine(strCsvHeaderTotal);
// Summary for a line
Console.WriteLine(cstrCsvDataTotal,
nTotalSteps, // Total steps
nSumType3nPlus2, // Sum of number of for type (3n + 2)
nSumType3nPlus1, // Sum of number of for type (3n + 1)
nSumType3n, // Sum of number of for type (3n)
strRoundRatio2by1 // Ratio for <number of (3n + 2)> / <number of (3n + 1)>
);
// Information
Console.WriteLine();
// Information: Max steps
Console.WriteLine(cstrFormatMaxSteps, nStepsMaxN, maxN); // Max steps
// Information: Max present value
Console.WriteLine(cstrFormatMaxPresentValue, nMaxPresentValue, nMaxPresentValueN); // The max present value
Console.WriteLine(cstrDelimiterLine);
}
else
{ // Error: Overflow
Console.WriteLine(cstrErrorMessageOverflow);
}
} // !Print
/// <summary>
/// Remainder for integer numbers
/// </summary>
/// <param name="n">An integer number</param>
/// <param name="divider">Divider for an integer number</param>
/// <returns></returns>
public static ulong Mod(ulong n, ulong divider)
{
ulong remainder = ulong.MaxValue;
if (0 != divider)
{
ulong quotient = n / divider;
remainder = n - quotient * divider;
}
return remainder;
}
/// <summary>
/// Calculate (3n + 1) for n.
/// </summary>
/// <param name="n">An odd number in a natural numbers</param>
/// <returns>3n + 1</returns>
public static ulong g(ulong n)
{
ulong nResult = ulong.MinValue; // 0: This is the error number at some overflow actions.
bool bOverflow = false;
string strErrorMessage = string.Empty;
ulong operationValue = n;
try
{
checked
{
// Calculate (3n + 1)
operationValue *= 3;
operationValue++;
}
}
catch (Exception e)
{
strErrorMessage = e.Message;
bOverflow = true;
}
finally
{
if (false == bOverflow)
{
nResult = operationValue;
}
}
return nResult;
}
/// <summary>
/// Divide n by 2.
/// </summary>
/// <param name="n"></param>
/// <returns>Half value of n</returns>
public static ulong h(ulong n)
{
return (n >> 1);
}
/// <summary>
/// Select the larget value for directed values
/// </summary>
/// <param name="currentMax">The current maximum value</param>
/// <param name="newValue">New value</param>
/// <returns></returns>
public static ulong Larger(ulong currentMax, ulong newValue)
{
return (currentMax < newValue) ? newValue : currentMax;
}
/// <summary>
/// Collatz's function
/// </summary>
/// <param name="rv">result area</param>
/// <param name="n">values in a natural numbers</param>
/// <param name="nStartValue">Starting value</param>
/// <param name="strDisplayType">
/// Display type:
/// "ALL" : Display all
/// "NO" : No display
/// "ODD" : Display odd numbers
/// "EVEN": Display even numbers
/// </param>
/// <returns>true: it's normal, false: some error was found.</returns>
public static bool CollatzOperation(out ResultValues rv,
ulong n,
ulong nStartValue = 1,
eTargetType targetType = eTargetType.TargetTypeAll,
string strDisplayType = "ALL")
{
//******************************************************************
//* Constants
//******************************************************************
const ulong cnOne = 1; // 1
const ulong cnMaxCalcValue = (ulong.MaxValue >> 2); // Maximum number for Collatz function
//******************************************************************
//* Variables
//******************************************************************
bool bResult = false; // Return information
//******************************************************************
//* Prolog
//******************************************************************
rv = new ResultValues();
rv.nTargetValue = n;
//******************************************************************
//* Main processing
//******************************************************************
if (cnMaxCalcValue >= n)
{ // The limits for the calculations
bool bOverflow = false; // Found flag for overflow
if (cnOne < n)
{ // More than 1
rv.strSequence += n.ToString(); // Current value in the sequence
// Collatz's operations
ulong nStepAll = 0; // Number of steps for all cases
ulong nStepOddTotal = 0; // Number of steps for odd number's cases
ulong nStepEvenTotal = 0; // Number of steps for even number's cases
ulong nStepOddOnly = 0; // Number of steps for odd number's cases
ulong nStepEvenOnly = 0; // Number of steps for odd number's cases
ulong nMaxPresentValue = 0; // Max present value in the sequence
while (cnOne < n)
{
ulong nProcessValue = n; // The current processing value
bool bTargetNumberOdd = (0 != (0x01 & n)); // Check status before the conversion
//------------------------------------------------------------------
// Calculation for Collatz' operation
//------------------------------------------------------------------
// Judge the current number
if (bTargetNumberOdd)
{ // Odd: g(n) = 3n + 1
n = g(n);
}
else
{ // Even: h(n) = n / 2
n = h(n);
}
if (0 == n)
{ // We get an arithmetic overflow in Collatz' operation.
bOverflow = true; // Found flag for overflow
break;
}
bool bOdd = (0 != (0x01 & n)); // Check status after the conversion
//------------------------------------------------------------------
// Diaplay by target settings
//------------------------------------------------------------------
if (cstrDisplayTypeOdd == strDisplayType)
{ // "Odd"
if (bOdd)
{ // Odd number
if (cnOne < n)
{
rv.strSequence += "\t" + n.ToString(); // Current value in the sequence
nMaxPresentValue = Larger(nMaxPresentValue, n);
}
}
nStepOddTotal++;
}
else if (cstrDisplayTypeEven == strDisplayType)
{ // "Even"
if (false == bOdd)
{ // Even number
rv.strSequence += "\t" + n.ToString(); // Current value in the sequence
nMaxPresentValue = Larger(nMaxPresentValue, n);
nStepEvenTotal++;
}
}
else
{ // Default: "All"
rv.strSequence += "\t" + n.ToString(); // Current value in the sequence
nMaxPresentValue = Larger(nMaxPresentValue, n);
}
nStepAll++;
if (0 == (0x01 & n))
{
nStepEvenOnly++;
}
else
{ // n is odd number.
// Remainder types for division by 3
switch (Mod(n, 3))
{
case 2:
rv.n3nPlus2++; // Number of for type (3n + 2)
break;
case 1:
if (1 != n)
{ // The current processing value is not 1.
rv.n3nPlus1++; // Number of for type (3n + 1)
}
break;
default: // type: 3n
rv.n3n++; // Number of for type (3n)
break;
} // !switch
nStepOddOnly++;
}
//------------------------------------------------------------------
// Guard of overflow for execution forever
if (ulong.MaxValue == nStepAll)
{
bOverflow = true; // Found flag for overflow
break;
}
} // !while
if (false == bOverflow)
{ // The overflow is not found.
// Counts of steps
if (eTargetType.TargetTypeOdd == targetType)
{ // Odd number only
if (cstrDisplayTypeOdd == strDisplayType)
{ // "Odd"
if (0 < nStepOddOnly)
{
rv.nStep = nStepOddOnly - 1; // -1: remove the count of the last 1
}
}
else if (cstrDisplayTypeEven == strDisplayType)
{ // "Even"
rv.nStep = nStepEvenTotal; // Counts of steps
}
else
{ // Default: "All"
rv.nStep = nStepAll; // Counts of steps
}
}
else if (eTargetType.TargetTypeEven == targetType)
{ // Even number only
if (cstrDisplayTypeOdd == strDisplayType)
{ // "Odd"
rv.nStep = nStepOddOnly - 1; // -1: remove the count of the last 1
}
else if (cstrDisplayTypeEven == strDisplayType)
{ // "Even"
rv.nStep = nStepEvenOnly; // -1: remove the count of the last 1
}
else
{ // Default: "All"
rv.nStep = nStepAll; // Counts of steps
}
}
else
{ // All
if (cstrDisplayTypeOdd == strDisplayType)
{ // "Odd"
if (0 < nStepOddTotal)
{
rv.nStep = nStepOddTotal - 1; // -1: remove the count of the last 1
}
}
else if (cstrDisplayTypeEven == strDisplayType)
{ // "Even"
rv.nStep = nStepEvenTotal; // Counts of steps
}
else
{ // Default: "All"
rv.nStep = nStepAll; // Counts of steps
}
}
rv.strSequence += Environment.NewLine; // Sequence of for Collatz transitions
rv.nMaxPresentValue = nMaxPresentValue; // Fixed max value
bResult = true; // Return information
}
}
else
{ // Case: 1
const string cstrOneAll = "1\t4\t1"; // Case: All
const string cstrOneOdd = "1"; // Case: Odd
const string cstrOneEven = "1\t4"; // Case: Even
rv.nStep = 2; // Number of steps for 1
rv.n3nPlus1 = 0; // Number of for type (3n + 1)
if (cstrDisplayTypeOdd == strDisplayType)
{ // "Odd"
rv.strSequence = cstrOneOdd; // 1
rv.nStep = 1; // Number of steps for 1
}
else if (cstrDisplayTypeEven == strDisplayType)
{ // "Even"
rv.strSequence = cstrOneEven; // 1 → 4
rv.nStep = 1; // Number of steps for 1
}
else
{ // Default: "All"
rv.strSequence = cstrOneAll; // 1 → 4 → 1
rv.nStep = 2; // Number of steps for 1
}
rv.strSequence += Environment.NewLine; // Sequence of for Collatz transitions
bResult = true; // Return information
}
}
//******************************************************************
//* Epilog
//******************************************************************
return bResult;
} // !CollatzOperation
}
} // !namespace CollatzProblemSolution
////////////////////////////////////////////////////////////////////
<付録G:コラッツ予想解析用 Excel VBA 関数>
MS Excel 上でコラッツ予想を調査するために作成した以下の VBA 関数を
記事投稿時の記録として掲載します。利用方法等に関しては、ソースファイルの
コメント欄を参照願います。
・GetOddNumber - 自然数から2の冪乗成分を取り除く。
・GetRepresentativeValue - 分岐テーブルの代表値から
分岐テーブルグループの基準値を求める。
利用するには、対象の VBA 関数を標準モジュールとして、
MS Excel に登録します。なお、セキュリティ関連については、
状況に応じた適切な設定を選択してください。
著作権は、Public domain の扱いとし、その利用結果に関しては、
いかなる場合でも無保証です。必要に応じて、自由にご利用ください。
Source program of Excel VBA functions
'--------------------------------------------------------------------
' Excel VBA functions to analyze a Collatz sequence
'--------------------------------------------------------------------
'--------------------------------------------------------------------
' 関数名 :GetOddNumber
' 機能概要:自然数 > 0 から2の冪乗成分を除く。
' 引数 :任意の自然数 > 0
' 使用例 :Dim v As Long: v = GetOddNumber(4)
' :期待値 = 1 // 4 → 2 → 1
' 備考 :素数(prime number)とは、2 以上の自然数で、
' :正の約数が 1 と自分自身のみであるものをいう。
' :最小の素数は 2 である。
' :算術の基本定理(素因数分解の一意性)より、
' :1 を除く任意の正整数は、因子の順序の差異を除いて、
' :素数の積は、ただ一通りに表すことができる。
' :GetOddNumber() は、自然数 n を ΠPi(2^m) と見做して処理する。
' :ただし、Πは乗積記号であり、Pi は2以外の素数を表す。
'--------------------------------------------------------------------
Function GetOddNumber(n As Long)
While (n And 1) = 0 ' 2進数の LSB が 0 である間
n = n \ 2 ' 商・整数部を求める。
Wend
GetOddNumber = n ' Return information
End Function
'--------------------------------------------------------------------
' 関数名 :GetRepresentativeValue
' 機能概要:分岐テーブルの代表値から分岐テーブルグループの基準値を求める。
' 引数 :(4a + 1)形式の奇数 > 0
' 使用例 :Dim v As Long: v = GetRepresentativeValue(13)
' :期待値 = 3 // (4n + 1) 関係:4 * 3 + 1 = 13
'--------------------------------------------------------------------
Function GetRepresentativeValue(n As Long)
Dim v As Long: v = 0
Dim rc As Long: rc = n
If 0 < n Then ' 正の整数
If (n Mod 2) = 1 Then ' 奇数
If 4 < n Then ' (4a + 1)形式
v = n - 1 ' 初期値(偶数)
If (v Mod 4) = 0 Then ' 4の倍数
While (v Mod 4) = 0
v = v \ 4 ' 商・整数部を求める。
If (v Mod 2) = 0 Then
'v = n ' そのまま復帰値とする。
GoTo ExitWhile ' 4による除算結果が偶数になるなら、対象外!
End If
rc = v
If 4 < v Then ' 4a + 1 形式
If (v Mod 2) = 1 Then ' 奇数
v = v - 1 ' 偶数に変換
End If
End If
Wend
ExitWhile:
'Else ' 入力値は、(4a + 1)形式ではない!
' v = n ' そのまま復帰値とする。
End If
'Else ' 入力値は、4 以下
' v = n ' そのまま復帰値とする。
End If
End If
End If
GetRepresentativeValue = rc ' Return information
End Function
' 関数名 :GetCollatzResult
' 機能概要:自然数に対するコラッツ遷移値を求める。
' 引数 :自然数
' 使用例 :Dim v As Long: v = GetCollatzResult(3)
' :// リンク対象点 (3n + 1) :3 * 3 + 1 = 10
' :// 期待値 = 10 / 2 = 5
Function GetCollatzResult(n As Long)
Dim rc As Long: rc = n
If 0 < n Then ' 正の整数
If n = 1 Then ' 奇数
rc = 1
ElseIf (n Mod 2) = 1 Then ' 奇数
rc = GetOddNumber(3 * n + 1)
Else ' 入力値は、4 以下
rc = n / 2
End If
End If
GetCollatzResult = rc ' Return information
End Function
' 関数名 :GetReverseLink
' 機能概要:(3n + 1)/(3n + 2)型奇数に対する逆方向リンク値を求める。
' 引数 :奇数 > 0
' 特記事項:不正なパラメタに対しては、 0 を返す。
' 使用例 :Dim v As Long: v = GetReverseLink(5)
' :// 一般式 for (3n + 2) :(2n - 1) / 3
' :// 期待値 3: (2n - 1)/3 = (2*5 - 1)/3 = 9/3 = 3
Function GetReverseLink(n As Long)
Dim rc As Long: rc = 0 ' Return information
If 0 < n Then ' 正の整数
If n = 1 Then ' 特殊例
rc = 1
ElseIf (n Mod 2) = 1 Then ' 奇数
If (n Mod 3) <> 0 Then '(3n + 1)/(3n + 2)型
If (n Mod 3) = 1 Then '(3n + 1)型
rc = (4 * n - 1) / 3 '(4n - 1) / 3
Else '(3n + 2)型奇数
rc = (2 * n - 1) / 3 '(2n - 1) / 3
End If
End If
End If
End If
GetReverseLink = rc ' Set return information
End Function
<付録Y:コラッツ演算の早見表>
奇数 n に対するコラッツ遷移において、2のべき乗をモードとする
データ型 $\exists m \in N_e, m \lt n, \exists r \in N_o, \forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, mk + r$ に対する
計算結果を早見表として、以下に示す。
下表では、モードとして、以下の場合を列挙している。
2, 4, 6, 8, 12, 16, 24, 32, 48, 64, 96, 128, 256
--------------------------------------------------------------------
g(2k + 1) = 6k + 4 = 2(3k + 2) ・・・ (e-2-1)
--------------------------------------------------------------------
g(4k + 1) = 12k + 4 = 4(3k + 1) ・・・ (e-4-1)
g(4k + 3) = 12k + 10 = 2(6k + 5) ・・・ (e-4-3)
--------------------------------------------------------------------
g(6k + 1) = 18k + 4 = 2(9k + 2) ・・・ (e-6-1)
g(6k + 3) = 18k + 10 = 2(9k + 5) ・・・ (e-6-3)
g(6k + 5) = 18k + 16 = 2(9k + 8) ・・・ (e-6-5)
--------------------------------------------------------------------
g(8k + 1) = 24k + 4 = 4(6k + 1) ・・・ (e-8-1)
g(8k + 3) = 24k + 10 = 2(12k + 5) ・・・ (e-8-3)
g(8k + 5) = 24k + 16 = 8(3k + 2) ・・・ (e-8-5)
g(8k + 7) = 24k + 22 = 2(12k + 11) ・・・ (e-8-7)
--------------------------------------------------------------------
g(12k + 1) = 36k + 4 = 4(9k + 1) ・・・ (e-12-1)
g(12k + 3) = 36k + 10 = 2(18k + 5) ・・・ (e-12-3)
g(12k + 5) = 36k + 16 = 4(9k + 4) ・・・ (e-12-5)
g(12k + 7) = 36k + 22 = 2(18k + 11) ・・・ (e-12-7)
g(12k + 9) = 36k + 28 = 4(9k + 7) ・・・ (e-12-9)
g(12k + 11) = 36k + 34 = 2(18k + 17) ・・・ (e-12-11)
--------------------------------------------------------------------
g(16k + 1) = 48k + 4 = 4(12k + 1) ・・・ (e-16-1)
g(16k + 3) = 48k + 10 = 2(24k + 5) ・・・ (e-16-3)
g(16k + 5) = 48k + 16 = 16(3k + 1) ・・・ (e-16-5)
g(16k + 7) = 48k + 22 = 2(24k + 11) ・・・ (e-16-7)
g(16k + 9) = 48k + 28 = 4(12k + 7) ・・・ (e-16-9)
g(16k + 11) = 48k + 34 = 2(24k + 17) ・・・ (e-16-11)
g(16k + 13) = 48k + 40 = 8(6k + 5) ・・・ (e-16-13)
g(16k + 15) = 48k + 46 = 2(24k + 23) ・・・ (e-16-15)
--------------------------------------------------------------------
g(24k + 1) = 72k + 4 = 4(18k + 1) ・・・ (e-24-1)
g(24k + 3) = 72k + 10 = 2(36k + 5) ・・・ (e-24-3)
g(24k + 5) = 72k + 16 = 8(9k + 2) ・・・ (e-24-5)
g(24k + 7) = 72k + 22 = 2(36k + 11) ・・・ (e-24-7)
g(24k + 9) = 72k + 28 = 4(18k + 7) ・・・ (e-24-9)
g(24k + 11) = 72k + 34 = 2(36k + 17) ・・・ (e-24-11)
g(24k + 13) = 72k + 40 = 8(9k + 5) ・・・ (e-24-13)
g(24k + 15) = 72k + 46 = 2(36k + 23) ・・・ (e-24-15)
g(24k + 17) = 72k + 52 = 4(18k + 13) ・・・ (e-24-17)
g(24k + 19) = 72k + 58 = 2(36k + 29) ・・・ (e-24-19)
g(24k + 21) = 72k + 64 = 8(9k + 8) ・・・ (e-24-21)
g(24k + 23) = 72k + 70 = 2(36k + 35) ・・・ (e-24-23)
--------------------------------------------------------------------
g(32k + 1) = 96k + 4 = 4(24k + 1) ・・・ (e-32-1)
g(32k + 3) = 96k + 10 = 2(48k + 5) ・・・ (e-32-3)
g(32k + 5) = 96k + 16 = 16(6k + 1) ・・・ (e-32-5)
g(32k + 7) = 96k + 22 = 2(48k + 11) ・・・ (e-32-7)
g(32k + 9) = 96k + 28 = 4(24k + 7) ・・・ (e-32-9)
g(32k + 11) = 96k + 34 = 2(48k + 17) ・・・ (e-32-11)
g(32k + 13) = 96k + 40 = 8(12k + 5) ・・・ (e-32-13)
g(32k + 15) = 96k + 46 = 2(48k + 23) ・・・ (e-32-15)
g(32k + 17) = 96k + 52 = 4(24k + 13) ・・・ (e-32-17)
g(32k + 19) = 96k + 58 = 2(48k + 29) ・・・ (e-32-19)
g(32k + 21) = 96k + 64 = 32(3k + 2) ・・・ (e-32-21)
g(32k + 23) = 96k + 70 = 2(48k + 35) ・・・ (e-32-23)
g(32k + 25) = 96k + 76 = 4(24k + 19) ・・・ (e-32-25)
g(32k + 27) = 96k + 82 = 2(48k + 41) ・・・ (e-32-27)
g(32k + 29) = 96k + 88 = 8(12k + 11) ・・・ (e-32-29)
g(32k + 31) = 96k + 94 = 2(48k + 47) ・・・ (e-32-31)
--------------------------------------------------------------------
g(48k + 1) = 144k + 4 = 4(36k + 1) ・・・ (e-48-1)
g(48k + 3) = 144k + 10 = 2(72k + 5) ・・・ (e-48-3)
g(48k + 5) = 144k + 16 = 16(9k + 1) ・・・ (e-48-5)
g(48k + 7) = 144k + 22 = 2(72k + 11) ・・・ (e-48-7)
g(48k + 9) = 144k + 28 = 4(36k + 7) ・・・ (e-48-9)
g(48k + 11) = 144k + 34 = 2(72k + 17) ・・・ (e-48-11)
g(48k + 13) = 144k + 40 = 8(18k + 5) ・・・ (e-48-13)
g(48k + 15) = 144k + 46 = 2(72k + 23) ・・・ (e-48-15)
g(48k + 17) = 144k + 52 = 4(36k + 13) ・・・ (e-48-17)
g(48k + 19) = 144k + 58 = 2(72k + 29) ・・・ (e-48-19)
g(48k + 21) = 144k + 64 = 16(9k + 4) ・・・ (e-48-21)
g(48k + 23) = 144k + 70 = 2(72k + 35) ・・・ (e-48-23)
g(48k + 25) = 144k + 76 = 4(36k + 19) ・・・ (e-48-25)
g(48k + 27) = 144k + 82 = 2(72k + 41) ・・・ (e-48-27)
g(48k + 29) = 144k + 88 = 8(18k + 11) ・・・ (e-48-29)
g(48k + 31) = 144k + 94 = 2(72k + 47) ・・・ (e-48-31)
g(48k + 33) = 144k + 100 = 4(36k + 25) ・・・ (e-48-33)
g(48k + 35) = 144k + 106 = 2(72k + 53) ・・・ (e-48-35)
g(48k + 37) = 144k + 112 = 16(9k + 7) ・・・ (e-48-37)
g(48k + 39) = 144k + 118 = 2(72k + 59) ・・・ (e-48-39)
g(48k + 41) = 144k + 124 = 4(36k + 31) ・・・ (e-48-41)
g(48k + 43) = 144k + 130 = 2(72k + 65) ・・・ (e-48-43)
g(48k + 45) = 144k + 136 = 8(18k + 17) ・・・ (e-48-45)
g(48k + 47) = 144k + 142 = 2(72k + 71) ・・・ (e-48-47)
--------------------------------------------------------------------
g(64k + 1) = 192k + 4 = 4(48k + 1) ・・・ (e-64-1)
g(64k + 3) = 192k + 10 = 2(96k + 5) ・・・ (e-64-3)
g(64k + 5) = 192k + 16 = 16(12k + 1) ・・・ (e-64-5)
g(64k + 7) = 192k + 22 = 2(96k + 11) ・・・ (e-64-7)
g(64k + 9) = 192k + 28 = 4(48k + 7) ・・・ (e-64-9)
g(64k + 11) = 192k + 34 = 2(96k + 17) ・・・ (e-64-11)
g(64k + 13) = 192k + 40 = 8(24k + 5) ・・・ (e-64-13)
g(64k + 15) = 192k + 46 = 2(96k + 23) ・・・ (e-64-15)
g(64k + 17) = 192k + 52 = 4(48k + 13) ・・・ (e-64-17)
g(64k + 19) = 192k + 58 = 2(96k + 29) ・・・ (e-64-19)
g(64k + 21) = 192k + 64 = 64(3k + 1) ・・・ (e-64-21)
g(64k + 23) = 192k + 70 = 2(96k + 35) ・・・ (e-64-23)
g(64k + 25) = 192k + 76 = 4(48k + 19) ・・・ (e-64-25)
g(64k + 27) = 192k + 82 = 2(96k + 41) ・・・ (e-64-27)
g(64k + 29) = 192k + 88 = 8(24k + 11) ・・・ (e-64-29)
g(64k + 31) = 192k + 94 = 2(96k + 47) ・・・ (e-64-31)
g(64k + 33) = 192k + 100 = 4(48k + 25) ・・・ (e-64-33)
g(64k + 35) = 192k + 106 = 2(96k + 53) ・・・ (e-64-35)
g(64k + 37) = 192k + 112 = 16(12k + 7) ・・・ (e-64-37)
g(64k + 39) = 192k + 118 = 2(96k + 59) ・・・ (e-64-39)
g(64k + 41) = 192k + 124 = 4(48k + 31) ・・・ (e-64-41)
g(64k + 43) = 192k + 130 = 2(96k + 65) ・・・ (e-64-43)
g(64k + 45) = 192k + 136 = 8(24k + 17) ・・・ (e-64-45)
g(64k + 47) = 192k + 142 = 2(96k + 71) ・・・ (e-64-47)
g(64k + 49) = 192k + 148 = 4(48k + 37) ・・・ (e-64-49)
g(64k + 51) = 192k + 154 = 2(96k + 77) ・・・ (e-64-51)
g(64k + 53) = 192k + 160 = 32(6k + 5) ・・・ (e-64-53)
g(64k + 55) = 192k + 166 = 2(96k + 83) ・・・ (e-64-55)
g(64k + 57) = 192k + 172 = 4(48k + 43) ・・・ (e-64-57)
g(64k + 59) = 192k + 178 = 2(96k + 89) ・・・ (e-64-59)
g(64k + 61) = 192k + 184 = 8(24k + 23) ・・・ (e-64-61)
g(64k + 63) = 192k + 190 = 2(96k + 95) ・・・ (e-64-63)
--------------------------------------------------------------------
g(96k + 1) = 288k + 4 = 4(72k + 1) ・・・ (e-96-1)
g(96k + 3) = 288k + 10 = 2(144k + 5) ・・・ (e-96-3)
g(96k + 5) = 288k + 16 = 16(18k + 1) ・・・ (e-96-5)
g(96k + 7) = 288k + 22 = 2(144k + 11) ・・・ (e-96-7)
g(96k + 9) = 288k + 28 = 4(72k + 7) ・・・ (e-96-9)
g(96k + 11) = 288k + 34 = 2(144k + 17) ・・・ (e-96-11)
g(96k + 13) = 288k + 40 = 8(36k + 5) ・・・ (e-96-13)
g(96k + 15) = 288k + 46 = 2(144k + 23) ・・・ (e-96-15)
g(96k + 17) = 288k + 52 = 4(72k + 13) ・・・ (e-96-17)
g(96k + 19) = 288k + 58 = 2(144k + 29) ・・・ (e-96-19)
g(96k + 21) = 288k + 64 = 32(9k + 2) ・・・ (e-96-21)
g(96k + 23) = 288k + 70 = 2(144k + 35) ・・・ (e-96-23)
g(96k + 25) = 288k + 76 = 4(72k + 19) ・・・ (e-96-25)
g(96k + 27) = 288k + 82 = 2(144k + 41) ・・・ (e-96-27)
g(96k + 29) = 288k + 88 = 8(36k + 11) ・・・ (e-96-29)
g(96k + 31) = 288k + 94 = 2(144k + 47) ・・・ (e-96-31)
g(96k + 33) = 288k + 100 = 4(72k + 25) ・・・ (e-96-33)
g(96k + 35) = 288k + 106 = 2(144k + 53) ・・・ (e-96-35)
g(96k + 37) = 288k + 112 = 16(18k + 7) ・・・ (e-96-37)
g(96k + 39) = 288k + 118 = 2(144k + 59) ・・・ (e-96-39)
g(96k + 41) = 288k + 124 = 4(72k + 31) ・・・ (e-96-41)
g(96k + 43) = 288k + 130 = 2(144k + 65) ・・・ (e-96-43)
g(96k + 45) = 288k + 136 = 8(36k + 17) ・・・ (e-96-45)
g(96k + 47) = 288k + 142 = 2(144k + 71) ・・・ (e-96-47)
g(96k + 49) = 288k + 148 = 4(72k + 37) ・・・ (e-96-49)
g(96k + 51) = 288k + 154 = 2(144k + 77) ・・・ (e-96-51)
g(96k + 53) = 288k + 160 = 32(9k + 5) ・・・ (e-96-53)
g(96k + 55) = 288k + 166 = 2(144k + 83) ・・・ (e-96-55)
g(96k + 57) = 288k + 172 = 4(72k + 43) ・・・ (e-96-57)
g(96k + 59) = 288k + 178 = 2(144k + 89) ・・・ (e-96-59)
g(96k + 61) = 288k + 184 = 8(36k + 23) ・・・ (e-96-61)
g(96k + 63) = 288k + 190 = 2(144k + 95) ・・・ (e-96-63)
g(96k + 65) = 288k + 196 = 4(72k + 49) ・・・ (e-96-65)
g(96k + 67) = 288k + 202 = 2(144k + 101) ・・・ (e-96-67)
g(96k + 69) = 288k + 208 = 16(18k + 13) ・・・ (e-96-69)
g(96k + 71) = 288k + 214 = 2(144k + 107) ・・・ (e-96-71)
g(96k + 73) = 288k + 220 = 4(72k + 55) ・・・ (e-96-73)
g(96k + 75) = 288k + 226 = 2(144k + 113) ・・・ (e-96-75)
g(96k + 77) = 288k + 232 = 8(36k + 29) ・・・ (e-96-77)
g(96k + 79) = 288k + 238 = 2(144k + 119) ・・・ (e-96-79)
g(96k + 81) = 288k + 244 = 4(72k + 61) ・・・ (e-96-81)
g(96k + 83) = 288k + 250 = 2(144k + 125) ・・・ (e-96-83)
g(96k + 85) = 288k + 256 = 32(9k + 8) ・・・ (e-96-85)
g(96k + 87) = 288k + 262 = 2(144k + 131) ・・・ (e-96-87)
g(96k + 89) = 288k + 268 = 4(72k + 67) ・・・ (e-96-89)
g(96k + 91) = 288k + 274 = 2(144k + 137) ・・・ (e-96-91)
g(96k + 93) = 288k + 280 = 8(36k + 35) ・・・ (e-96-93)
g(96k + 95) = 288k + 286 = 2(144k + 143) ・・・ (e-96-95)
--------------------------------------------------------------------
g(128k + 1) = 384k + 4 = 4(96k + 1) ・・・ (e-128-1)
g(128k + 3) = 384k + 10 = 2(192k + 5) ・・・ (e-128-3)
g(128k + 5) = 384k + 16 = 16(24k + 1) ・・・ (e-128-5)
g(128k + 7) = 384k + 22 = 2(192k + 11) ・・・ (e-128-7)
g(128k + 9) = 384k + 28 = 4(96k + 7) ・・・ (e-128-9)
g(128k + 11) = 384k + 34 = 2(192k + 17) ・・・ (e-128-11)
g(128k + 13) = 384k + 40 = 8(48k + 5) ・・・ (e-128-13)
g(128k + 15) = 384k + 46 = 2(192k + 23) ・・・ (e-128-15)
g(128k + 17) = 384k + 52 = 4(96k + 13) ・・・ (e-128-17)
g(128k + 19) = 384k + 58 = 2(192k + 29) ・・・ (e-128-19)
g(128k + 21) = 384k + 64 = 64(6k + 1) ・・・ (e-128-21)
g(128k + 23) = 384k + 70 = 2(192k + 35) ・・・ (e-128-23)
g(128k + 25) = 384k + 76 = 4(96k + 19) ・・・ (e-128-25)
g(128k + 27) = 384k + 82 = 2(192k + 41) ・・・ (e-128-27)
g(128k + 29) = 384k + 88 = 8(48k + 11) ・・・ (e-128-29)
g(128k + 31) = 384k + 94 = 2(192k + 47) ・・・ (e-128-31)
g(128k + 33) = 384k + 100 = 4(96k + 25) ・・・ (e-128-33)
g(128k + 35) = 384k + 106 = 2(192k + 53) ・・・ (e-128-35)
g(128k + 37) = 384k + 112 = 16(24k + 7) ・・・ (e-128-37)
g(128k + 39) = 384k + 118 = 2(192k + 59) ・・・ (e-128-39)
g(128k + 41) = 384k + 124 = 4(96k + 31) ・・・ (e-128-41)
g(128k + 43) = 384k + 130 = 2(192k + 65) ・・・ (e-128-43)
g(128k + 45) = 384k + 136 = 8(48k + 17) ・・・ (e-128-45)
g(128k + 47) = 384k + 142 = 2(192k + 71) ・・・ (e-128-47)
g(128k + 49) = 384k + 148 = 4(96k + 37) ・・・ (e-128-49)
g(128k + 51) = 384k + 154 = 2(192k + 77) ・・・ (e-128-51)
g(128k + 53) = 384k + 160 = 32(12k + 5) ・・・ (e-128-53)
g(128k + 55) = 384k + 166 = 2(192k + 83) ・・・ (e-128-55)
g(128k + 57) = 384k + 172 = 4(96k + 43) ・・・ (e-128-57)
g(128k + 59) = 384k + 178 = 2(192k + 89) ・・・ (e-128-59)
g(128k + 61) = 384k + 184 = 8(48k + 23) ・・・ (e-128-61)
g(128k + 63) = 384k + 190 = 2(192k + 95) ・・・ (e-128-63)
g(128k + 65) = 384k + 196 = 4(96k + 1) ・・・ (e-128-65)
g(128k + 67) = 384k + 202 = 2(192k + 5) ・・・ (e-128-67)
g(128k + 69) = 384k + 208 = 16(24k + 1) ・・・ (e-128-69)
g(128k + 71) = 384k + 214 = 2(192k + 11) ・・・ (e-128-71)
g(128k + 73) = 384k + 220 = 4(96k + 7) ・・・ (e-128-73)
g(128k + 75) = 384k + 226 = 2(192k + 17) ・・・ (e-128-75)
g(128k + 77) = 384k + 232 = 8(48k + 5) ・・・ (e-128-77)
g(128k + 79) = 384k + 238 = 2(192k + 23) ・・・ (e-128-79)
g(128k + 81) = 384k + 244 = 4(96k + 61) ・・・ (e-128-81)
g(128k + 83) = 384k + 250 = 2(192k + 125) ・・・ (e-128-83)
g(128k + 85) = 384k + 256 = 128(3k + 2) ・・・ (e-128-85)
g(128k + 87) = 384k + 262 = 2(192k + 131) ・・・ (e-128-87)
g(128k + 89) = 384k + 268 = 4(96k + 67) ・・・ (e-128-89)
g(128k + 91) = 384k + 274 = 2(192k + 137) ・・・ (e-128-91)
g(128k + 93) = 384k + 280 = 8(48k + 35) ・・・ (e-128-93)
g(128k + 95) = 384k + 286 = 2(192k + 143) ・・・ (e-128-95)
g(128k + 97) = 384k + 292 = 4(96k + 73) ・・・ (e-128-97)
g(128k + 99) = 384k + 298 = 2(192k + 149) ・・・ (e-128-99)
g(128k + 101) = 384k + 304 = 16(24k + 19) ・・・ (e-128-101)
g(128k + 103) = 384k + 310 = 2(192k + 155) ・・・ (e-128-103)
g(128k + 105) = 384k + 316 = 4(96k + 79) ・・・ (e-128-105)
g(128k + 107) = 384k + 322 = 2(192k + 161) ・・・ (e-128-107)
g(128k + 109) = 384k + 328 = 8(48k + 41) ・・・ (e-128-109)
g(128k + 111) = 384k + 334 = 2(192k + 167) ・・・ (e-128-111)
g(128k + 113) = 384k + 340 = 4(96k + 85) ・・・ (e-128-113)
g(128k + 115) = 384k + 346 = 2(192k + 173) ・・・ (e-128-115)
g(128k + 117) = 384k + 352 = 32(12k + 11) ・・・ (e-128-117)
g(128k + 119) = 384k + 358 = 2(192k + 179) ・・・ (e-128-119)
g(128k + 121) = 384k + 364 = 4(96k + 91) ・・・ (e-128-121)
g(128k + 123) = 384k + 370 = 2(192k + 185) ・・・ (e-128-123)
g(128k + 125) = 384k + 376 = 8(48k + 47) ・・・ (e-128-125)
g(128k + 127) = 384k + 382 = 2(192k + 191) ・・・ (e-128-127)
--------------------------------------------------------------------
g(256k + 1) = 768k + 4 = 4(192k + 1) ・・・ (e-256-1)
g(256k + 3) = 768k + 10 = 2(384k + 5) ・・・ (e-256-3)
g(256k + 5) = 768k + 16 = 16(48k + 1) ・・・ (e-256-5)
g(256k + 7) = 768k + 22 = 2(384k + 11) ・・・ (e-256-7)
g(256k + 9) = 768k + 28 = 4(192k + 7) ・・・ (e-256-9)
g(256k + 11) = 768k + 34 = 2(384k + 17) ・・・ (e-256-11)
g(256k + 13) = 768k + 40 = 8(96k + 5) ・・・ (e-256-13)
g(256k + 15) = 768k + 46 = 2(384k + 23) ・・・ (e-256-15)
g(256k + 17) = 768k + 52 = 4(192k + 13) ・・・ (e-256-17)
g(256k + 19) = 768k + 58 = 2(384k + 29) ・・・ (e-256-19)
g(256k + 21) = 768k + 64 = 64(12k + 1) ・・・ (e-256-21)
g(256k + 23) = 768k + 70 = 2(384k + 35) ・・・ (e-256-23)
g(256k + 25) = 768k + 76 = 4(192k + 19) ・・・ (e-256-25)
g(256k + 27) = 768k + 82 = 2(384k + 41) ・・・ (e-256-27)
g(256k + 29) = 768k + 88 = 8(96k + 11) ・・・ (e-256-29)
g(256k + 31) = 768k + 94 = 2(384k + 47) ・・・ (e-256-31)
g(256k + 33) = 768k + 100 = 4(192k + 25) ・・・ (e-256-33)
g(256k + 35) = 768k + 106 = 2(384k + 53) ・・・ (e-256-35)
g(256k + 37) = 768k + 112 = 16(48k + 7) ・・・ (e-256-37)
g(256k + 39) = 768k + 118 = 2(384k + 59) ・・・ (e-256-39)
g(256k + 41) = 768k + 124 = 4(192k + 31) ・・・ (e-256-41)
g(256k + 43) = 768k + 130 = 2(384k + 65) ・・・ (e-256-43)
g(256k + 45) = 768k + 136 = 8(96k + 17) ・・・ (e-256-45)
g(256k + 47) = 768k + 142 = 2(384k + 71) ・・・ (e-256-47)
g(256k + 49) = 768k + 148 = 4(192k + 37) ・・・ (e-256-49)
g(256k + 51) = 768k + 154 = 2(384k + 77) ・・・ (e-256-51)
g(256k + 53) = 768k + 160 = 32(24k + 5) ・・・ (e-256-53)
g(256k + 55) = 768k + 166 = 2(384k + 83) ・・・ (e-256-55)
g(256k + 57) = 768k + 172 = 4(192k + 43) ・・・ (e-256-57)
g(256k + 59) = 768k + 178 = 2(384k + 89) ・・・ (e-256-59)
g(256k + 61) = 768k + 184 = 8(96k + 23) ・・・ (e-256-61)
g(256k + 63) = 768k + 190 = 2(384k + 95) ・・・ (e-256-63)
g(256k + 65) = 768k + 196 = 4(192k + 1) ・・・ (e-256-65)
g(256k + 67) = 768k + 202 = 2(384k + 5) ・・・ (e-256-67)
g(256k + 69) = 768k + 208 = 16(48k + 1) ・・・ (e-256-69)
g(256k + 71) = 768k + 214 = 2(384k + 11) ・・・ (e-256-71)
g(256k + 73) = 768k + 220 = 4(192k + 7) ・・・ (e-256-73)
g(256k + 75) = 768k + 226 = 2(384k + 17) ・・・ (e-256-75)
g(256k + 77) = 768k + 232 = 8(96k + 5) ・・・ (e-256-77)
g(256k + 79) = 768k + 238 = 2(384k + 23) ・・・ (e-256-79)
g(256k + 81) = 768k + 244 = 4(192k + 61) ・・・ (e-256-81)
g(256k + 83) = 768k + 250 = 2(384k + 125) ・・・ (e-256-83)
g(256k + 85) = 768k + 256 = 256(3k + 1) ・・・ (e-256-85)
g(256k + 87) = 768k + 262 = 2(384k + 131) ・・・ (e-256-87)
g(256k + 89) = 768k + 268 = 4(192k + 67) ・・・ (e-256-89)
g(256k + 91) = 768k + 274 = 2(384k + 137) ・・・ (e-256-91)
g(256k + 93) = 768k + 280 = 8(96k + 35) ・・・ (e-256-93)
g(256k + 95) = 768k + 286 = 2(384k + 143) ・・・ (e-256-95)
g(256k + 97) = 768k + 292 = 4(192k + 73) ・・・ (e-256-97)
g(256k + 99) = 768k + 298 = 2(384k + 149) ・・・ (e-256-99)
g(256k + 101) = 768k + 304 = 16(48k + 19) ・・・ (e-256-101)
g(256k + 103) = 768k + 310 = 2(384k + 155) ・・・ (e-256-103)
g(256k + 105) = 768k + 316 = 4(192k + 79) ・・・ (e-256-105)
g(256k + 107) = 768k + 322 = 2(384k + 161) ・・・ (e-256-107)
g(256k + 109) = 768k + 328 = 8(96k + 41) ・・・ (e-256-109)
g(256k + 111) = 768k + 334 = 2(384k + 167) ・・・ (e-256-111)
g(256k + 113) = 768k + 340 = 4(192k + 85) ・・・ (e-256-113)
g(256k + 115) = 768k + 346 = 2(384k + 173) ・・・ (e-256-115)
g(256k + 117) = 768k + 352 = 32(24k + 11) ・・・ (e-256-117)
g(256k + 119) = 768k + 358 = 2(384k + 179) ・・・ (e-256-119)
g(256k + 121) = 768k + 364 = 4(192k + 91) ・・・ (e-256-121)
g(256k + 123) = 768k + 370 = 2(384k + 185) ・・・ (e-256-123)
g(256k + 125) = 768k + 376 = 8(96k + 47) ・・・ (e-256-125)
g(256k + 127) = 768k + 382 = 2(384k + 191) ・・・ (e-256-127)
g(256k + 129) = 768k + 388 = 4(192k + 97) ・・・ (e-256-129)
g(256k + 131) = 768k + 394 = 2(384k + 197) ・・・ (e-256-131)
g(256k + 133) = 768k + 400 = 16(48k + 25) ・・・ (e-256-133)
g(256k + 135) = 768k + 406 = 2(384k + 203) ・・・ (e-256-135)
g(256k + 137) = 768k + 412 = 4(192k + 103) ・・・ (e-256-137)
g(256k + 139) = 768k + 418 = 2(384k + 209) ・・・ (e-256-139)
g(256k + 141) = 768k + 424 = 8(96k + 53) ・・・ (e-256-141)
g(256k + 143) = 768k + 430 = 2(384k + 215) ・・・ (e-256-143)
g(256k + 145) = 768k + 436 = 4(192k + 109) ・・・ (e-256-145)
g(256k + 147) = 768k + 442 = 2(384k + 221) ・・・ (e-256-147)
g(256k + 149) = 768k + 448 = 64(12k + 7) ・・・ (e-256-149)
g(256k + 151) = 768k + 454 = 2(384k + 227) ・・・ (e-256-151)
g(256k + 153) = 768k + 460 = 4(192k + 115) ・・・ (e-256-153)
g(256k + 155) = 768k + 466 = 2(384k + 233) ・・・ (e-256-155)
g(256k + 157) = 768k + 472 = 8(96k + 59) ・・・ (e-256-157)
g(256k + 159) = 768k + 478 = 2(384k + 239) ・・・ (e-256-159)
g(256k + 161) = 768k + 484 = 4(192k + 121) ・・・ (e-256-161)
g(256k + 163) = 768k + 490 = 2(384k + 245) ・・・ (e-256-163)
g(256k + 165) = 768k + 496 = 16(48k + 31) ・・・ (e-256-165)
g(256k + 167) = 768k + 502 = 2(384k + 251) ・・・ (e-256-167)
g(256k + 169) = 768k + 508 = 4(192k + 127) ・・・ (e-256-169)
g(256k + 171) = 768k + 514 = 2(384k + 257) ・・・ (e-256-171)
g(256k + 173) = 768k + 520 = 8(96k + 65) ・・・ (e-256-173)
g(256k + 175) = 768k + 526 = 2(384k + 263) ・・・ (e-256-175)
g(256k + 177) = 768k + 532 = 4(192k + 133) ・・・ (e-256-177)
g(256k + 179) = 768k + 538 = 2(384k + 269) ・・・ (e-256-179)
g(256k + 181) = 768k + 544 = 32(24k + 17) ・・・ (e-256-181)
g(256k + 183) = 768k + 550 = 2(384k + 275) ・・・ (e-256-183)
g(256k + 185) = 768k + 556 = 4(192k + 139) ・・・ (e-256-185)
g(256k + 187) = 768k + 562 = 2(384k + 281) ・・・ (e-256-187)
g(256k + 189) = 768k + 568 = 8(96k + 71) ・・・ (e-256-189)
g(256k + 191) = 768k + 574 = 2(384k + 287) ・・・ (e-256-191)
g(256k + 193) = 768k + 580 = 4(192k + 145) ・・・ (e-256-193)
g(256k + 195) = 768k + 586 = 2(384k + 293) ・・・ (e-256-195)
g(256k + 197) = 768k + 592 = 16(48k + 37) ・・・ (e-256-197)
g(256k + 199) = 768k + 598 = 2(384k + 299) ・・・ (e-256-199)
g(256k + 201) = 768k + 604 = 4(192k + 151) ・・・ (e-256-201)
g(256k + 203) = 768k + 610 = 2(384k + 305) ・・・ (e-256-203)
g(256k + 205) = 768k + 616 = 8(96k + 77) ・・・ (e-256-205)
g(256k + 207) = 768k + 622 = 2(384k + 311) ・・・ (e-256-207)
g(256k + 209) = 768k + 628 = 4(192k + 157) ・・・ (e-256-209)
g(256k + 211) = 768k + 634 = 2(384k + 317) ・・・ (e-256-211)
g(256k + 213) = 768k + 640 = 128(6k + 5) ・・・ (e-256-213)
g(256k + 215) = 768k + 646 = 2(384k + 323) ・・・ (e-256-215)
g(256k + 217) = 768k + 652 = 4(192k + 163) ・・・ (e-256-217)
g(256k + 219) = 768k + 658 = 2(384k + 329) ・・・ (e-256-219)
g(256k + 221) = 768k + 664 = 8(96k + 83) ・・・ (e-256-221)
g(256k + 223) = 768k + 670 = 2(384k + 335) ・・・ (e-256-223)
g(256k + 225) = 768k + 676 = 4(192k + 169) ・・・ (e-256-225)
g(256k + 227) = 768k + 682 = 2(384k + 341) ・・・ (e-256-227)
g(256k + 229) = 768k + 688 = 16(48k + 43) ・・・ (e-256-229)
g(256k + 231) = 768k + 694 = 2(384k + 347) ・・・ (e-256-231)
g(256k + 233) = 768k + 700 = 4(192k + 175) ・・・ (e-256-233)
g(256k + 235) = 768k + 706 = 2(384k + 353) ・・・ (e-256-235)
g(256k + 237) = 768k + 712 = 8(96k + 89) ・・・ (e-256-237)
g(256k + 239) = 768k + 718 = 2(384k + 359) ・・・ (e-256-239)
g(256k + 241) = 768k + 724 = 4(192k + 181) ・・・ (e-256-241)
g(256k + 243) = 768k + 730 = 2(384k + 365) ・・・ (e-256-243)
g(256k + 245) = 768k + 736 = 32(24k + 23) ・・・ (e-256-245)
g(256k + 247) = 768k + 742 = 2(384k + 371) ・・・ (e-256-247)
g(256k + 249) = 768k + 748 = 4(192k + 187) ・・・ (e-256-249)
g(256k + 251) = 768k + 754 = 2(384k + 377) ・・・ (e-256-251)
g(256k + 253) = 768k + 760 = 8(96k + 95) ・・・ (e-256-253)
g(256k + 255) = 768k + 766 = 2(384k + 383) ・・・ (e-256-255)
--------------------------------------------------------------------
<付録Z:MathJax 表現>
MathJax 利用に関する記述方法を収集・整理しています。
実際には、今回記事を執筆している Qiita 上において、
数式関連が美しく表示できることを目指しています。
現状は、必要に応じて追加・編集を行っているので、雑多な状態です。
【テーブル表現】
左揃え | 中央揃え | 右揃え |
---|---|---|
align-left | align-center | align-right |
列1 | 列2 | 列3 |
セルの左揃え | セルの中央揃え | セルの右揃え |
[表](4k + 3)型コラッツ遷移(~ (4k + 1)型)
※・・・→(128k+63)→(64k+31)→(32k+15)→(16k+7)→(8k+3)→(4k+1)
type | next type | Collatz transitions for odd numbers | remarks |
---|---|---|---|
4k+1 | - | (4k+1)→(3k+1) | 2^1-1 |
8k+3 | 4k+1 | (8k+3)→(12k+5)=4(3k+1)+1 | 2^1-1 |
8k+7 | 8k+3 | (16k+7)→(24k+11)=8(3k+1)+3 | 2^2-1 |
8k+7 | 16k+7 | (32k+15)→(48k+23)=16(3k+1)+7 | 2^3-1 |
8k+7 | 32k+15 | (64k+31)→(96k+47)=32(3k+1)+15 | 2^4-1 |
8k+7 | 64k+31 | (128k+63)→(192k+95)=64(3k+1)+31 | 2^5-1 |
8k+7 | 128k+63 | (256k+127)→(384k+191)=128(3k+1)+63 | 2^6-1 |
【分数(fraction)】
分数(1):$\frac{b}{a}$
分数(2):$\displaystyle x=\frac{b}{a}$
【累乗根】
$\sqrt[ n ]{ x }$
$\displaystyle \sqrt[n]{x}=x^{\frac{1}{n}}=e^{\frac{1}{n}ln{x}}$
【対数(logarithm)】
自然対数:$\ln x$
底を2とする3の対数:$\log_{2} 3$
$\forall n \gt 0$ の常用対数:$\log{n}$ or $\log_{10} n$
【指数と対数の相互関係】
指数と対数は、同一内容を異なる形式で表現している。
$a \gt 0, a \ne 1, M \gt 0$ のとき、
$a^p = M \Leftrightarrow p = \log_{a}M$
【集合記号(set)】
$\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0, V_0, V_1, \cdots, V_n \gt 0$ である遷移を考える。
ここで、$V_0$ を初期値、$V_i$ を $\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0$, i 番目の遷移値とする。
g(n) は、分岐テーブルの代表値 n に対する分岐点の値を与える。
素因数分解の一意性より、$\exists V_{i+1} \in \mathbb{Z} \gt 0, \exists P_i \in \mathbb{Z} \ge 0$,
g($V_i$) = 3$V_i$ + 1 = $V_{i+1}2^{P_{i+1}}, V_{i+1} \neq V_i$ が成り立つ。
【総和記号(sum)】
総和記号(0..n-1):$\displaystyle \sum_{i=0}^{n-1}x_i$
総和記号(1..n):$\displaystyle \sum_{i=1}^{n}x_i$
総和記号(1..∞):$\displaystyle \sum_{i=1}^\infty x_i = x_1 + x_2 + x_3 + \cdots$
公式(k):$\displaystyle \sum_{k=1}^{n} k = \frac{1}{2}n(n+1)$
公式($k^2$):$\begin{eqnarray}
\sum_{ k = 1 }^{ n } k^2
= \overbrace{ 1^2 + 2^2 + \cdots + n^2 }^{ n }
= \frac{ 1 }{ 6 } n ( n + 1 ) ( 2n + 1 )
\end{eqnarray}$
公式($k^3$):$\displaystyle \sum_{k=1}^{n} k^3 = \left\{ \frac{1}{2}n(n+1) \right\}^2$
【総乗記号(product)】
総乗(1):$\prod_{i=1}^n x_i = x_1 \times x_2 \times \cdots \times x_n$
総乗(2):$\displaystyle \prod_{i=0}^n x_i$
【床関数(floor function)、天井関数(ceiling function)】
床関数 :$\lfloor x \rfloor$
天井関数:$\lceil x \rceil$
以下に、ガウス記号(Gauss symbol)を床関数を利用して
定義する例を示す。
$\begin{eqnarray} [x] = \lfloor x \rfloor = \max\{ n\in\mathbb{Z} \mid n \leqq x \} \end{eqnarray}$
【位取り記数法(positional notation)】
記数法:${d_{n-1}\cdots d_{1}d_{0}.d_{-1}\cdots}$
【二進法(binary numeral system)】
一般形:$\displaystyle \sum_{k}^{n-1}d_{k}2^{k}=d_{n-1}2^{n-1}+\cdots +2d_{1}+d_{0}+{\frac {d_{-1}}{2}}+\dotsm$
自然数:$\displaystyle \sum_{k}^{n-1}d_{k}2^{k}=d_{n-1}2^{n-1}+\cdots +2d_{1}+d_{0}$
【自然数 n に対して、二進法で1の補数を与える2のべき乗を返す関数】
$f_c = \lceil log_{2} n \rceil //\ p = min\{\forall n \in \mathbb{N}, \exists p \in \mathbb{N}\ |\ n < 2^p\} \to \log_{2} n < p$
【遷移方程式(transition equation)】
遷移方程式(1):$\displaystyle \frac{3}{1} = \frac{3}{g(3)} \times \frac{5}{g(5)} \times \frac{2^{\sum_{i=1}^{n}P_i}}{1}$
遷移方程式(2):$\displaystyle \frac{9}{1} = \frac{9}{28}\times\frac{7}{22} \times \frac{11}{34} \times \frac{17}{52} \times \frac{13}{40} \times \frac{5}{16} \times \frac{2^p}{1}$,
:where p = $\sum_{i=1}^{6}P_i = 2 + 1 + 1 + 2 + 3 + 4 = 13$
遷移方程式(3a):$\displaystyle v_0 \times v_1 = \frac{v_0 \times g_1(v_0) \times g_2(v_1)}{2^{\sum_{i=1}^{n}P_i}}$
遷移方程式(3b):$\displaystyle v_1 = \frac{g(v_0)g(v_1)}{2^{\sum_{i=1}^{n}P_i}}$ (ex. 5 = $\frac{g(3)g(5)}{2^5}$)
状態継続表現:$\cdots$
極限(limit):$\displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} = 0$
関数の極限(ε-δ論法):
$\begin{eqnarray}
& & {}^\forall \varepsilon \gt 0, {}^\exists \delta \gt 0 \mbox{ s.t. } \
& & {}^\forall x \in \mathbb{ R }, 0 \lt |x - a| \lt \delta
\implies |f(x) - b| \lt \varepsilon
\end{eqnarray}$
【メルセンヌ数】
$M_n = 2^n - 1$
$M_1=1, M_2=3, M_3=7, M_4=15, M_5=31, M_6=63, \cdots$
【テーラー展開】
$\displaystyle e^{x}=1+x+\frac{1}{2!} x^{2}+\frac{1}{3!} x^{3}+\frac{1}{4!} x^{4} \cdots$
【ド・モルガンの法則(De Morgan's laws)】
$\overline{A \cup B}=\overline{A}\cap\overline{B}$
$\overline{A \cap B}=\overline{A}\cup\overline{B}$
【2進数に対する排他的論理和】
$\ d_n \cdots d_1 d_0$ // n
xor) $d_n \cdots d_1 d_0 0$ // 2n
-----------------
$d_n ***** d_0$
【n乗の差の因数分解公式】
$a^n-b^n=(a-b)(a^{n-1}+a^{n-2}b+\cdots+ab^{n-2}+b^{n-1})$$\ \cdots(1)$
右辺2つ目の括弧部分$a^{n-1}+a^{n-2}b+\cdots+ab^{n-2}+b^{n-1}$は
初項 $a^{n-1}$、公比 $\dfrac{b}{a}, a \neq b$、項数$n$ の等比数列なので、
等比数列の和の公式から
$a^{n-1}+a^{n-2}b+\cdots+ab^{n-2}+b^{n-1}$
$\ = \dfrac{a^{n-1}(1-(\tfrac{b}{a})^n)}{1-\tfrac{b}{a}}$
$\ = \dfrac{a^n-b^n}{a-b}$
なお、式(1)は、a = b である場合も、両辺=0となって成り立つ。
b = 1 の場合:
$a^n-1=(a-1)(a^{n-1}+a^{n-2}+\cdots+a+1)$
【n乗の和の因数分解公式】
$a^n+b^n=(a+b)(a^{n-1}-a^{n-2}b+\cdots-ab^{n-2}+b^{n-1})$
b = 1 の場合:
$a^n+1=(a+1)(a^{n-1}-a^{n-2}+\cdots-a+1)$
【数式を改行】
(begin ~ end で一連の式をまとめて記述)
$\begin{eqnarray}
aaa \\
bbb
\end{eqnarray}$
${\begin{align}
& \hspace{13pt} 2^c3^{-1}(2^b3^{-1}(1 \cdot 2^a - 1) - 1) \\
& = 2^{b+c}3^{-2}(2^a - 1) - 2^c3^{-1} \\
& = 2^{a+b+c}3^{-2} - 2^{b+c}3^{-2} - 2^c3^{-1} \\
& = 3^{-2}(2^{a+b+c} - 2^{b+c} - 2^c3^1)
\end{align}
}$
(展開式を行単位にインライン形式で分離して個別に記述)
$\hspace{10pt} 2^c3^{-1}(2^b3^{-1}(1 \cdot 2^a - 1) - 1)$
$=2^{b+c}3^{-2}(2^a - 1) - 2^c3^{-1}$
$=2^{a+b+c}3^{-2} - 2^{b+c}3^{-2} - 2^c3^{-1}$
$=3^{-2}(2^{a+b+c} - 2^{b+c} - 2^c3^1)$
【二項定理】
\begin{align}
(a+b)^n = &{}_n \mathrm{C}_0 a^n b^0 + \\
& {}_n\mathrm{C}_1 a^{n-1} b^1 + \\
& {}_n \mathrm{C}_2 a^{n-2} b^2 + \cdots + \\
& {}_n \mathrm{C}_r a^{n-r} b^r + \cdots + \\
& {}_n \mathrm{C}_n a^0 b^n
\end{align}
【位数】
初等整数論において、互いに素である a, n に対して、
$a^m \equiv\ 1\ mod\ n$ となる最小の正の整数 m を
n を法とする a の位数という。
例)$2^m \equiv\ 1\ mod\ 11$ となる最小の正の整数は 10 である。
これを、「11 を法とする 2 の位数は 10 である」という。
■定理($x^n - 1$ の因数分解)
(命題)
以下の恒等式が成り立つ。
$x^n - 1 = (x - 1)(x^{n-1} + x^{n-2} + \cdots + x + 1)$
(証明)
$1 + x + \cdots + x^{n-2} + x^{n-1}$ は、
初項 1、公比 x、項数 n の等比数列の和なので、$x \neq 1$ の場合、
$1 + x + \cdots + x^{n-2} + x^{n-1} = \dfrac{x^n-1}{x-1}$
分母を払うと,
$x^n - 1 = (x - 1)(x^{n-1} + x^{n-2} + \cdots + x + 1)$
この最後の等式は $x=1$ の場合にも成り立つ。
したがって、命題は成り立つ。
□
■定理(メルセンヌ数が素数ならば、その指数は素数)
(命題)
$\forall a, n \in \mathbb{Z} \ge 2,\ a^n - 1$ が素数ならば,
a = 2 かつ n は素数である。
(証明)
メルセンヌ数(Mersenne number)とは、2の冪乗よりも
1小さい自然数、すなわち、$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0,\ 2^n − 1$ のことである。
$\forall a \in \mathbb{Z} \gt 0, a^n - 1 = (a-1)(a^{n-1}+a^{n-2}+\dots + 1)$ である。
$a^{n-1}+a^{n-2}+\dots + 1 \gt 1$ である点と、これが素数である
ことから、a - 1 = 1 である必要がある。∴a = 2 である。
よって、$a^n - 1$ はメルセンヌ素数である。
$n \ge 2$ が素数でないと仮定すると、p, q を素数として、
$\exists p,q\in \mathbb{Z} \gt 1,\ n = pq$ と表現できる。このとき、
$2^{pq} - 1 = (2^p-1)(2^{p(q-1)}+2^{p(q-2)}+\dots + 1)$ であり、
仮定より、左辺は素数である。
一方、$2^p-1 > 1,\ 2^{p(q-1)}+2^{p(q-2)}+\dots + 1 > 1$ より、
右辺は有効な自然数で構成される合成数である。
これは、左辺が素数であることに矛盾する。
よって,n は素数である。
したがって、命題は成り立つ。
□
(Qiita でのMathJax 表現例)
順方向のコラッツ遷移において、遷移値を $\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0, x_n$、
奇数の遷移値を $\exists V_0=x_0, V_1=x_2, V_2=x_4 \in N_o$、
偶数の遷移値を $\exists B_0=x_1, B_1=x_3, B_2=x_5 \in N_e$,
数値のべき乗の指数を $\exists P_0, P_1, P_2 \in \mathbb{Z} \gt 0$,
コラッツ遷移が $V_2→B_1→V_1→B_0→1$ である場合に、
1からの逆方向遷移値の展開を以下に示す。
以下では、分岐テーブルの分岐点("Branch Point")を "BP"、
逆方向リンク("Reversed Link")を "RL" と略記する。
\begin{align}
&x_0 = 1 //\ V_0:\ 1\ in\ @1 \\
&x_1 = 2^{P_0} //\ B_0:\ some\ BP\ in\ @1,\ i.e.\ 1 \cdot 4^n\\
&x_2 = 3^{-1}(x_1 - 1) //\ V_1:\ some\ RL\ from\ @1\\
&x_3 = 2^{P_1}x_2 //\ B_1:\ some\ BP\ in\ @V_1\\
&x_4 = 3^{-1}(x_3 - 1) //\ V_2:\ some\ RL\ from\ @V_1\\
&x_5 = 2^{P_2}x_4 //\ B_2:\ some\ BP\ in\ @V_2\\
&\cdots
\end{align}
もし、コラッツ予想が正しい場合、逆方向展開したこれらの $x_n$ が
対応する自然数と一致する。
<謝辞>
記事のレビューしていただいた方々に、感謝を申し上げます。
また、先行研究をされた先人の方々に敬意を表します。
自身の見解を公表するにあたり、コメントや批評等をいただいて、
記述内容に関する様々な誤り等を改善できました。
計算誤りや記述等で様々な問題が多い中で、貴重な時間を割いて
読んでいただき、誠にありがとうございました。
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【論文編(日本語草稿版)】
お知らせ(2024-11-07)
新規発見内容([補題I-10]無限経路は存在しない。)に関する
記事の修正にあたり、従来内容が他の記事からリンクされている
ことに配慮して、簡潔な正味の内容のみを記した【論文編】を
全体作業のまとめとして、別途、新規追加する方針とします。
また、従来の記事を【研究編】として残すようにします。
従いまして、【論文編】は暫くの間、工事中となります。
なお、執筆の時間的な都合、および論文作成に不慣れなため、
非常にゆっくりとした作業進捗となる予定です。
また、同時に【研究編】内容のレビュー&再評価を実施します。
この過程で、コラッツ予想の証明として、誤りが見つかった場合、
迷わず撤回するつもりです。その折は、再び研究段階に戻ります。
最終更新日(論文編 - 日本語草稿版):2024-12-17
コラッツ予想の証明
\begin{gather}
\\
\\
\mathsf{ Aska\ International,\ inc. } \\
\mathsf{ @kshi }
\end{gather}
はじめに
コラッツ予想の正否を解決した。コラッツ予想は、肯定的に成り立つ。
すなわち、すべての自然数に関して、コラッツ演算を繰り返すと、有限回で
1 に到達する。1 に到達した後は、自明なループである 1 -> 4 -> 2 -> 1
の遷移を繰り返す。
本稿では、コラッツ予想を証明するために、その命題の要件を明確化し、
規定した命題に対する証明を行った。
証明における焦点は、コラッツ遷移において存在する可能性がある
循環経路および無限経路を排除することである。
目次
第 1 章 コラッツ予想
1.1 コラッツ予想の主張
1.2 コラッツ収束しない要因
1.3 証明すべき命題
1.3.1 コラッツ収束しない条件
1.3.2 コラッツ遷移の終端
1.3.3 証明対象の命題
第 2 章 コラッツ遷移の定式化
2.1 コラッツ演算の性質
2.1.1 分岐点のデータ型
2.1.2 分岐点の収容能力
2.2 分岐テーブル
2.2.1 偶数に対するコラッツ遷移の包含
2.2.2 分岐テーブル間リンクの一意性
2.2.3 (6k + 3) 型分岐テーブルの性質
2.2.4 唯一の自己参照型分岐テーブル
2.3 コラッツ遷移過程
2.3.1 分岐点遷移方程式
2.3.2 コラッツ遷移方程式
2.3.3 経過比率
2.3.4 コラッツ遷移方程式の特徴
2.4 コラッツ遷移値の制限
2.4.1 コラッツ遷移の下界
2.4.2 コラッツ遷移の上界
第 3 章 循環経路の排除
3.1 循環経路の存在可能性
3.2 循環経路の存在否定
第 4 章 無限経路の排除
4.1 無限経路の存在可能性
4.2 無限経路の存在否定
第 5 章 コラッツ遷移経路
5.1 初期値下降シーケンス
5.2 コラッツ収束
おわりに
記号
用語集
定義関数
補題集
[補題A]2の冪乗因数による自然数の一般表現
[補題B]分岐テーブル間リンクの一意性
[補題C]3 の奇数倍はコラッツ遷移の対象外
[補題D]自己参照型分岐テーブル
[補題E]循環経路は存在しない。
[補題F]無限経路の遷移値は際限なく増大する。
[補題G]コラッツ遷移終端となる分岐テーブルは @1 のみである。
[補題H]無限経路は存在しない。
謝辞
参考文献
第 1 章 コラッツ予想
コラッツ予想の主張に対する証明すべき命題を定義する。
1.1 コラッツ予想の主張
コラッツ予想とは、自然数 $n \gt 0$ に対して、以下の操作を行うと、
・n が偶数の場合、n を 2 で割る。
・n が奇数の場合、n に 3 をかけて 1 を足す。
「どんな初期値から始めても、有限回の操作で必ず 1 に到達する。」
という主張である。
ただし、1 に到達後は、自己参照(1 → 4 → 2 → 1)を繰り返す。
1.2 コラッツ収束しない要因
コラッツ遷移を繰り返したときに 1 に到達しない要因の可能性を
列挙すると、以下である。
(A) 自明なループ以外の循環経路が存在する。
(B) 遷移値が無限大に発散する
コラッツ操作によって得られる数列を $\lbrace A_n \rbrace$、
m 番目以降に現れた数列の中で最も大きい値を $M_m$ とした場合、
m を大きくしていくと、$M_m$ は無限大に発散する。
すなわち、$A_n$ の状態は以下となる。
$\displaystyle \limsup_{n \to \infty} A_n = \infty$
(C) 無限大に発散せず、循環経路にも突入せずに、遷移を繰り返す。
1.3 証明すべき命題
コラッツ予想の主張は、演算方法と導かれる結果のみを提示している。
すなわち、何を証明すべきかは、その主張の範囲外である。
ここでは、その主張を規定する命題を定義する。
1.3.1 コラッツ収束しない条件
1.2, (A)、(B) の場合、明らかに、何度コラッツ操作を繰り返しても、
1 に到達しない。
ここで、1.2, (C) となる場合があると仮定する。
コラッツ操作によって得られる数列を $\lbrace A_n \rbrace$ とすると、
$\exists x, y \in \mathbb{N}, x \lt A_n \lt y$ が成り立つ。
このとき、$\lbrace A_n \rbrace$ の最大要素数は $(y − x + 1)$ である。
仮定から、経路途中には循環経路は存在しないので、
すべてのコラッツ操作の結果は、常に相異なる値となる。
よって、最大で (y − x + 1) 個の数から、常に異なる値を
無限にとり続けることになる。これは矛盾である。
すなわち、(C) の場合は存在しない。
したがって、コラッツ収束しない要因は、1.2.1, (A)、(B) の
2つの場合に絞られた。
1.3.2 コラッツ遷移の終端
コラッツ遷移の途中に循環経路が存在する場合、コラッツ遷移の終端は
存在しない。
また、コラッツ遷移が無限経路である場合、コラッツ遷移の終端は
存在しない。
[補題G]より、コラッツ遷移において、循環経路も無限経路も
存在しない場合、遷移の終端となる分岐テーブルは、
ルートテーブルのみである。
実際、ルートテーブルは、自己参照ループ(1 → 4 → 2 → 1 )を
形成する。コラッツ遷移の終端がルートテーブルに絞られた点は、
「最終的に 1 に到達する」というコラッツ予想の主張を満たす。
1.3.3 証明対象の命題
1.3.1 より、コラッツ収束しない要因は、以下の2つである。
(A) 自明なループ「1 → 4 → 2 → 1」以外の循環経路が存在する。
(B) 遷移値が無限大に発散する
以降では、循環経路が存在する場合を論じるときは、
自明なループは除外して考えるものとする。
上記より、コラッツ予想の主張は、以下と言い換えることができる。
「コラッツ予想が成り立たないならば、初期値 $\exists n \in \mathbb{N}$ に対する
コラッツ遷移は、循環経路に入るか、遷移値が無限大に向かう。」
上記の命題の対偶は、以下である。
「初期値 $\forall n \in \mathbb{N}$ に対する遷移過程が、循環経路に入らず、
無限経路が存在しなければ、コラッツ予想は正しい。」
上記の命題は、暗黙的に、コラッツ遷移の終端が 1 である
ことを含む。この点については、「1.3.2 コラッツ遷移の終端」において、
コラッツ遷移の終端が存在する場合、ルートテーブル(@1)のみである
ことを示した。
よって、証明すべき命題は、以下となる。
「初期値 $\forall n \in \mathbb{N}$ に対するコラッツ遷移が、循環経路に入らず、
無限経路が存在しなければ、すべてのコラッツ遷移は、
有限回でルートテーブルに到達する。」・・・(命題)
なお、コラッツ遷移が最終的にルートテーブルに到達した場合、
ルートテーブル内で分岐テーブル内遷移を繰り返して、1 に到達する。
その後のコラッツ遷移は、自明なループを繰り返す。
これらの結果として、コラッツ予想の主張が満たされる。
したがって、本稿では、上記の命題を証明する方針で臨む。
第 2 章 コラッツ遷移の定式化
コラッツ遷移の過程を数式化する。
2.1 コラッツ演算の性質
コラッツ演算の基本的な性質を示す。
2.1.1 分岐点のデータ型
分岐テーブルのリンク対象点(i.e. 分岐点)のデータ型は、
必ず (6k + 4) 型である。
これは、奇数インデックスを k とおくと、すべての分岐テーブルの
代表値 $\forall n \in N_o$ に対して、$n = 2k + 1$ なので、
g(n) = 3(2k + 1) + 1 = 6k + 4
であることによる。
2.1.2 分岐点の収容能力
すべての奇数は、(4k + 1)/(4k + 3) 型の2種類に分類できる。
これらのデータ型に g() を適用すると、以下となる。
g(4k + 1) = 12k + 4 = 6(2k) + 4
g(4k + 3) = 12k + 10 = 6(2k + 1) + 4
よって、分岐点のデータ型 である (6k + 4) 型は、
すべての奇数パターンに対するリンク対象となっている。
したがって、コラッツ演算の結果として生じる、
分岐テーブルのリンク対象である分岐点のデータ型は、
(6k + 4) 型に統一されている。
すなわち、(6k + 4) 型は、すべての奇数リンクを収容する。
2.2 分岐テーブル
コラッツ遷移が分岐テーブル内または分岐テーブル間の遷移として、
統一的に扱えることをを示す。
2.2.1 偶数に対するコラッツ遷移の包含
[補題A]より、すべての自然数は、$\exists a \in N_o, p \in \mathbb{Z} \ge 0, n = a(2^p)$
と表現できる。これは、分岐テーブルの表現方法と一致する。
よって、分岐テーブル全体は、すべての自然数を含む。
コラッツ演算における 2 による除算を分岐テーブル内の遷移と
見做せば、分岐テーブル間の遷移は、奇数→奇数の遷移として扱える。
よって、コラッツ遷移全体は、分岐テーブル全体を対象とした遷移と
見做せる。
これにより、分岐テーブルを扱うことで、コラッツ遷移における
偶数に対する遷移を内包した状態になる。
よって、コラッツ遷移を扱う場合、分岐テーブル全体を対象とすれば、
自然数全体を対象とすることになる。
2.2.2 分岐テーブル間リンクの一意性
2つの分岐テーブル間のリンクは、双方向に一意に定まる。
この点に関する証明を[補題B]に示す。
2.2.3 (6k + 3) 型分岐テーブルの性質
(6k + 3) 型は、3 の奇数倍である。($\because 6k + 3 = 3(2k + 1)$)
(6k + 3) 型を代表値とする分岐テーブルには、リンク対象点が存在しない。
この点に関する証明を[補題C]に示す。
2.2.4 唯一の自己参照型分岐テーブル
他の分岐テーブルへ遷移しない自己参照型分岐テーブルは、
ルートテーブルのみである。
この点に関する証明を[補題D]に示す。
2.3 コラッツ遷移過程
コラッツ遷移の過程をコラッツ遷移方程式により定式化する。
2.3.1 分岐点遷移方程式
分岐テーブル間遷移回数 $\exists n \in \mathbb{Z} \ge 0$、コラッツ遷移の途中で現れる
奇数が $V_0, V_1, \cdots, V_n \in \mathbb{Z} \gt 0$ であるコラッツ遷移を考える。
ただし、$V_0$ を初期値、$V_i$ を $\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0$, i 番目の遷移値とする。
なお、(6k + 3) 型は、初期値に対してのみ出現する。代表値が
(6k + 3) 型である分岐テーブルにはリンク対象点が存在しないため、
初期値以外の $V_i$ は、(6k + 3) 型には成り得ない。この点に関しては、
「2.2.3 (6k + 3) 型分岐テーブルの性質」で示している。
このときのコラッツ遷移を $V_0 → V_1 → \cdots → V_{n-1} → V_n$ とすると、
分岐テーブル間遷移毎に、遷移前後の値の比を考えると、
以下の恒等式が成り立つ。
$\frac{V_0}{V_n} = (\frac{V_0}{V_1})(\frac{V_1}{V_2}) \cdots (\frac{V_{n-1}}{V_n})$ ・・・(1)
$V_i$ のコラッツ遷移を、@$V_i$ から、@$V_{i+1}$ の分岐点への
リンクとして考えると、素因数分解の一意性より、
分岐テーブル内遷移回数 $\exists P_{i+1} \in \mathbb{Z} \gt 0$ であり、
以下の関係式が成り立つ。
$g(V_i) = 3V_i + 1 = V_{i+1}2^{P_{i+1}}$ ・・・(2)
2つの分岐テーブル間遷移のみに着目して、g() を導入した
関係式は、以下である。
$\frac{V_i}{V_{i+1}} = \frac{V_i}{V_{i+1}2^{P_{i+1}}} \times 2^{P_{i+1}} = \frac{V_i}{g(V_i)} \times 2^{P_{i+1}}$
上式を分岐テーブル内遷移回数の総和を $\displaystyle S_n = {\sum_{i=1}^{n}}P_i$ として、
式(1) に適用すると、
$\frac{V_0}{V_n} = 2^{S_n} \times \frac{V_0}{g(V_0)} \times \frac{V_1}{g(V_1)} \times \cdots \times \frac{V_{n-1}}{g(V_{n-1})}$ ・・・(3)
上式に式(2)を適用すると、
$\frac{V_0}{V_n} = 2^{S_n} \times \frac{V_0}{V_1 2^{P_1}} \times \frac{V_1}{V_2 2^{P_2}} \times \cdots \times \frac{V_{n-1}}{V_n 2^{P_n}}$ ・・・(4)
上式を「分岐点遷移方程式」という。分岐点遷移方程式は、
遷移方程式の一種であり、分岐テーブルの代表値と、分岐点を
2のべき乗とその他の素因数による合成数の積で表現した2つの要素で、
遷移過程を表現している。すなわち、始点の分岐テーブルの代表値から
出発して、終点の分岐テーブルの代表値に到達する過程を表現している。
式(4)において、対応する部分を取り消し線でマーキングすると、
$\frac{V_0}{V_n} = \bcancel{2^{S_n}} \times \frac{V_0}{\cancel{V_1} \bcancel{2^{P_1}}} \times \frac{\cancel{V_1}}{\cancel{V_2}\bcancel{2^{P_2}}} \times \cdots \times \frac{\cancel{V_{n-1}}}{V_n \bcancel{2^{P_n}}}$
上式からわかるように、右辺から中間項をを間引くと、明らかに、
分岐点遷移方程式は恒等式であり、コラッツ収束の可否に依存しない。
すなわち、コラッツ遷移方程式は、本来の値に帰着する状態を保ったままで
変形可能であり、適切な値を選択すれば、必ず定式化できる。
遷移方程式内に現れる”たすき掛け”の分子と分母の値を同一に保つ限り、
必要に応じて、中間項の数を任意に拡張可能である。
また、恒等式を成立させるという意味において、中間項の値は任意である。
すなわち、出発点とした遷移比率に対して途中で挿入した中間項が
全体として相殺できるならば、任意の値を中間項としてよい。
式(4)では、分岐点遷移方程式の値は、途中の遷移過程に依存せず、
$V_0 / V_n$ となっている。ただし、分岐点遷移方程式の場合、
中間項に関して g() を使うという制約を受ける。
2.3.2 コラッツ遷移方程式
コラッツ遷移方程式は、「2.3.1 分岐点遷移方程式、式(3)」の
定義を継承する。再掲すると、以下である。
$\frac{V_0}{V_n} = 2^{S_n} \times \frac{V_0}{g(V_0)} \times \frac{V_1}{g(V_1)} \times \cdots \times \frac{V_{n-1}}{g(V_{n-1})}$
上式の右辺の各分数を 3 倍後、恒等式として成立させるために、
右辺全体を $3^n$ で割ると、
$\frac{V_0}{V_n} = \frac{2^{S_n}}{3^n} \times \frac{3V_0}{g(V_0)} \times \frac{3V_1}{g(V_1)} \times \cdots \times \frac{3V_{n-1}}{g(V_{n-1})}$
式(2) より、$3V_i = g(V_i) - 1$ なので、
$\frac{V_0}{V_n} = \frac{2^{S_n}}{3^n} \times \frac{g(V_0) - 1}{g(V_0)} \times \frac{g(V_1) - 1}{g(V_1)} \times \cdots \times \frac{g(V_{n-1}) - 1}{g(V_{n-1})}$
$\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = \frac{2^{S_n}}{3^n} (1 - \frac{1}{g(V_0)})(1 - \frac{1}{g(V_1)}) \cdots (1 - \frac{1}{g(V_{n-1})})$ ・・・(1)
式(1)を乗積で表すと、以下である。
$\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = \frac{2^{S_n}}{3^n} \prod_{i=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_i)})$ ・・・(2)
式(1)または式(2)を「コラッツ遷移方程式」という。
2.3.3 経過比率
「2.3.2 コラッツ遷移方程式」、式(2) において、$R = \frac{2^{S_n}}{3^n}$ とおくと、
$\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = R \prod_{i=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_i)})$ ・・・ (1)
R を「経過比率」という。遷移前の状態において、$n = S_n = 0$ なので、
R の初期値は 1 である。
コラッツ遷移において、分岐テーブル間遷移回数 n と $S_n$ は、
以下の場合を除いて、常に連動して+1ずつ増加する。
・(4k + 1) 型から遷移する。
・(8k + 5) 型へ遷移する。
よって、$\exists q \in \mathbb{Z} \ge 0,\ n \ge q,\ S_n = n + q$ と書ける。
このとき、q の初期値は 0 であり、$V_0 \ge 1,\ S_n \ge n$ である。
R に対する q による表現は以下である。
$\displaystyle R = \frac{2^{S_n}}{3^n} = \frac{2^{n + q}}{3^n} = (\frac{2}{3})^n 2^q$ ・・・(2)
2.3.4 コラッツ遷移方程式の特徴
「2.3.2 コラッツ遷移方程式」、式(2) の右辺において、
R を除く乗積に着目すると、その一般項は $(1 - \frac{1}{g(V_i)})$ である。
$g(V_i) \gt 1$ なので、$\frac{1}{g(V_i)} \lt 1$である。一般項は有界であり、
$1 \gt (1 - \frac{1}{g(V_i)}) \gt 0$ ・・・ (1)
が成り立つ。
よって、「2.3.2 コラッツ遷移方程式」、式(2) の乗積は有界であり、
$\displaystyle 1 \gt \prod_{i=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_i)}) \gt 0$ ・・・ (2)
が成り立つ。
2.4 コラッツ遷移値の制限
すべてのコラッツ遷移に対して、遷移状態を表す変数が存在する。
この変数は有界であり、上界/下界が存在する。
2.4.1 コラッツ遷移の下界
「2.3.4 コラッツ遷移方程式の特徴、式(2)」より、
「2.3.3 経過比率、式(1)」の右辺は R よりも小さい。
よって、$\frac{V_0}{V_n} \lt R$ であるので、以下の関係式が成り立つ。
$V_n \gt \frac{V_0}{R}$ ・・・ (1)
上式より、$V_n$ には下界が存在し、その閾値は $\frac{V_0}{R}$ である。
2.4.2 コラッツ遷移の上界
最初に、「$\frac{V_0}{R}$ の2倍が必ず $V_n$ より大きい」ことを以下に示す。
次に、すべての遷移過程において成り立つ「コラッツ遷移不等式」が
存在することを示す。
コラッツ遷移方程式を $V_n$ を左辺において書き直すと、
以下である。
$\displaystyle V_n = \frac{V_0}{R}\frac{1}{\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})}$ ・・・(1)
式(1) の右辺において、$(1 - \frac{1}{g(V_i)}) \lt 1$ である。よって、
$\displaystyle 0 \lt \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \lt 1$ ・・・(2)
が成り立つ。
なお、以降の計算では、$(1 - \frac{1}{g(V_k)})$ において、$\frac{1}{g(V_k)}$ を除いた場合の
誤差($\frac{1}{g(V_k)}$)同士の積項を相対的に十分小さいものとして扱い、
計算上において無視する。
このとき、式(2)の乗積部分は、誤差のない状態を 1 として、
以下のように近似される。
\begin{align}
&~~~~\prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)}) \\
&\approx 1 - (\frac{1}{g(V_0)} + \frac{1}{g(V_1)} + \cdots + \frac{1}{g(V_{n-1})}) \\
&= 1 - \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)}
\end{align}
これより、式(2)に対する近似値として、誤差($E_t$)は以下である。
$\displaystyle E_t = \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)}$
絶対誤差の近似値 $0 \lt E_t \lt 1$ を評価すると、以下である。
\begin{align}
\displaystyle E_t &= \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{g(V_k)} \\
&= \frac{1}{3V_0 + 1} + \frac{1}{3V_1 + 1} + \cdots + \frac{1}{3V_{n-1} + 1} \\
&\lt \frac{1}{3V_0} + \frac{1}{3V_1} + \cdots + \frac{1}{3V_{n-1}} \\
&= \frac{1}{3}(\frac{1}{V_0} + \frac{1}{V_1} + \cdots + \frac{1}{V_{n-1}}) \\
&= \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k} \\
\end{align}
すなわち、奇数ベースの遷移値 $V_k$ の逆数和の $\frac{1}{3}$ が
絶対誤差の上限を与える。
よって、コラッツ遷移方程式における絶対誤差($E$)の定義を
以下とする。
$\displaystyle E = \frac{1}{3} \sum_{k=0}^{n-1} \frac{1}{V_k}$
$\therefore \displaystyle E_t \lt E$
以下では、$2\frac{V_0}{R}$ と $V_n$ の差分を計算し、大小関係を判定する。
\begin{align}
2\frac{V_0}{R} - V_n &= 2\frac{V_0}{R} - \frac{V_0}{R}\frac{1}{\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})} \\
&= \frac{V_0}{R}(2 - \frac{1}{\displaystyle \prod_{k=0}^{n-1} (1 - \frac{1}{g(V_k)})}) \\
&\approx \frac{V_0}{R}(2 - \frac{1}{1 - E_t}) \\
&= \frac{V_0}{R}(\frac{1 - 2E_t}{1 - E_t}) \\
\end{align}
上式の最終項に着目した場合、式変形の結果は以下である。
$\displaystyle 2\frac{V_0}{R} - V_n \approx \frac{V_0}{R}(\frac{1 - 2E_t}{1 - E_t})$ ・・・(3)
上式の右辺において、$1 \gt E_t \gt 0$ なので、$(1 - E_t) \gt 0$ である。
よって、上式の符号は $(1 - 2E_t)$ に依存して決まる。すなわち、
$(1 - 2E_t) \gt 0$, i.e. $E_t \lt 0.5$ ならば、上式の右辺>0である。
1 を除く 1 ~ 301 に含まれる奇数の逆数和は、
$\displaystyle \sum_{k=0}^{150} \frac{1}{2k + 1} \approx 3.4904$
である。上式で、$1$ の逆数 = 1 を除外すると、$2.4904$ である。
この範囲における3の奇数倍の逆数の総和は $0.9793$ なので、
これを除去すると、$1.5111$ である。絶対誤差は、この $\frac{1}{3}$ なので、
$E \fallingdotseq 0.5037 \gt 0.5$ である。
この結果より、コラッツ遷移で発生する上記の $E$ 以外の
$(1 - E)$ は、$303$ 以降の奇数の逆数和で生成される。
すなわち、コラッツ遷移において出現する、$301$ を超える
奇数全体の逆数和は、理論値として、誤差項の性質($1 \gt E$)より
0.5 を超えない。
よって、コラッツ遷移値が $301$ を超える場合の $V_k$ では、
絶対誤差は $0.5$ を超えない。
実際、初期値 $270271$ の場合を例にとると、最初に $301$ 以下である
奇数が出現する $199$ 時点での最大誤差は、$0.003 $ である。すなわち、
1% にも満たない。この状態は、すべてのコラッツ遷移において、
共通の現象である。
したがって、1 ~ 301 に含まれる奇数に対するコラッツ遷移において、
それらの奇数の逆数和の具体値が 0.5 を超えなければ、
理論値対応として、すべてのコラッツ遷移において、奇数の逆数和が
0.5 を超えないことを実証したことになる。
「<付録E:コラッツ遷移値の近似による最大誤差率>」より、
$max(E) = 0.227~at~V_0 = 9$ であり、この要請は実際に成り立つ。
したがって、$E_t \lt E$ なので、すべての $E_t$ に対して、
式(3)の右辺>0が成り立つ。
よって、「2.4.1 コラッツ遷移の下界」の関係式と併せて、
以下の関係が成り立つ。
$2 \frac{V_0}{R} \gt V_n \gt \frac{V_0}{R}$ ・・・(4)
上式を「コラッツ遷移不等式」という。
式(4)より、$V_n$ には上界が存在し、その閾値は $2 \frac{V_0}{R}$ である。
すなわち、コラッツ遷移の下界の閾値の2倍が上限の候補の一つである。
第 3 章 循環経路の排除
コラッツ遷移において、自明なループ以外の循環経路が
存在しないことを示す。
3.1 循環経路の存在可能性
コラッツ遷移においては、循環経路として、
自明なループ(1 -> 4 -> 2 -> 1)が存在する。
コラッツ遷移全体として、自明なループ以外の循環経路が存在しない
ことは自明ではない。すなわち、循環経路は存在する可能性がある。
3.2 循環経路の存在否定
[補題E]より、自明なループ以外の循環経路は存在しない。
第 4 章 無限経路の排除
コラッツ遷移において、無限経路が存在しないことを示す。
4.1 無限経路の存在可能性
コラッツ遷移において、無限経路が存在しないことは自明ではない。
すなわち、無限経路は存在する可能性がある。
無限経路が存在する場合、[補題F]より、
無限経路の遷移値は際限なく増大する。
4.2 無限経路の存在否定
[補題H]より、コラッツ遷移に無限経路が存在しない。
第 5 章 コラッツ遷移経路
コラッツ遷移には、自明なループを除くと、循環経路も無限経路も存在しない。
これらを合わせると、すべてのコラッツ遷移がコラッツ収束することを示す。
5.1 初期値下降シーケンス
[補題H]より、コラッツ遷移値は無限大に発散しない。また、
[補題E]より、循環経路は存在しないので、以下が成り立つ。
系I-9-A:任意の初期値に対するコラッツ遷移には上限が存在する。
初期値 $\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$ で始まるコラッツ遷移 $T_n$ の初期値を $V_0 = n$、
系I-9-A により定まる上限を M、遷移値を $\forall i \in \mathbb{Z} \ge 0, V_i$ とおく。
ここで、n からコラッツ遷移が繰り返された場合の経過を考える。
M と $V_0$ の大小関係でコラッツ遷移経過を分類すると、以下となる。
Case $M \le V_0$: // 初期値 $V_0$ は先頭最大値数
常に $V_i \lt M \le V_0$ なので、$T_n$ は初期値下降シーケンスである。
Case $V_0 \lt M$:
$V_0 \le V_i \lt M$ である $V_i$ の個数は有限である。
よって、コラッツ遷移を繰り返した場合、
いずれ、$V_i \lt V_0$ である状態となる。
したがって、$T_n$ は初期値下降シーケンスである。
以上の結果より、系I-9-A の下で、$T_n$ は必ず
初期値下降シーケンスとなる。よって、以下が成り立つ。
系I-9-B:コラッツ遷移の全パターンが初期値下降シーケンスである。
5.2 コラッツ収束
[系I-9-B]より、コラッツ遷移は、任意の自然数である初期値に対して、
初期値下降シーケンスである。
これより、更に[補題H]の系が成り立つ。
系I-9-B から、以下が成り立つ。
系I-9-C:すべての奇数のコラッツ遷移は、有限回で 1 に到達する。
系I-9-C と分岐テーブルの性質から、以下が成り立つ。
系I-9-D:すべての偶数のコラッツ遷移は、有限回で 1 に到達する。
系I-9-C、系I-9-D から、以下が成り立つ。
系I-9-E:すべてのコラッツ遷移は、有限回で 1 に到達する。
したがって、すべてのコラッツ遷移は、コラッツ収束する。
おわりに
コラッツ予想が肯定的に成り立つための要件を規定した
以下の命題を証明した。
「初期値 $\forall n \in \mathbb{N}$ に対するコラッツ遷移が、循環経路に入らず、
無限経路が存在しなければ、すべてのコラッツ遷移は、
有限回でルートテーブルに到達する。」
したがって、コラッツ予想は正しい。
記号
本稿で用いる記号の定義を以下に示す。
$\mathbb{Z}$:整数全体の集合。
$\mathbb{N}$:自然数(正の整数)全体の集合。
k:文中で特に断らない限り、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0$ を表す。
$N_e$:$\mathbb{N}$ における偶数全体の集合。
$N_o$:$\mathbb{N}$ における奇数全体の集合。
@n :代表値が n である分岐テーブル
#n :基準値が n である分岐テーブルグループ
max{}:{} 内に含まれる要素の最大値を表す。
用語集
本稿で独自に使用している用語の一覧を以下に示す。
なお、用語の掲載順序は、日本語の 50 音順である。
■奇数インデックス(odd number index)
奇数集合 $N_o$ に対する数値インデックスを
「奇数インデックス」という。
$\forall n \in N_o$ と、それに対する奇数インデックス $\exists m \in \mathbb{Z} \ge 0$ の
関係は、n = 2m + 1 である。
■コラッツ演算(Collatz's operation)
コラッツ関数 $f(n)$ を適用することを「コラッツ演算」という。
■コラッツ遷移(Collatz's transition)
コラッツ演算を適用して遷移することをいう。
■コラッツ収束(Collatz's convergence)
ある自然数から出発して、コラッツ演算を繰り返した場合、
最終的に1に到達し、その後は自明なループの遷移を繰り返すことを
「コラッツ収束」する、または、単に「収束」するという。
■自明なループ
コラッツ遷移には、以下の繰り返しシーケンスが存在する。
1 -> 4 -> 2 -> 1
これを「自明なループ」という。
■循環経路(circulation path)
コラッツ遷移において、一度出現した値が再度現れる経路を
「循環経路」という。
■初期値下降シーケンス (IVDS: Initial Value Down Sequence)
コラッツ遷移列において、出発点とする値(初期値)よりも
小さい値が出現するシーケンスを「初期値下降シーケンス」という。
この場合、初期値に対する途中経過の大小関係の変化を問わない。
■分岐テーブル(Branch table)
$\forall a \in N_o$ と、a を2のべき乗倍した値全体の集合(倍数列)を
併せた集合を「分岐テーブル」という。
分岐テーブルの初項を a とすると、一般項は、$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, a(2^k)$
である。分岐テーブルの初項を分岐テーブルの「代表値」という。
分岐テーブルを表す場合、代表値 a を使用して、@a と表す。
■分岐テーブルグループ(Branch table group)
ある分岐テーブルの代表値 a に対して、その代表値の
相互関係が (4a + 1) 関係にある分岐テーブルの集合を
「分岐テーブルグループ」という。
また、その場合の先頭の代表値を分岐テーブルグループの
「基準値」という。すなわち、基準値を a とした場合、
分岐テーブルグループ全体の代表値の並びは以下である。
a, 4a + 1, 16a + 5, 64a + 21, 256a + 85, 1024a + 341, ...
分岐テーブルグループにおいて、基準値以外の要素を
分岐テーブルグループの「従属値」という。
■無限経路(infinite path)
際限なくコラッツ遷移が継続する経路を「無限経路」という。
■リンク(Link)
対象とする集合内、または集合間の要素を関連付けるシンボルを
「リンク」という。
結合対象には、分岐テーブル内の偶数間、2つの分岐テーブル間、
2つの分岐テーブルグループ間等がある。
また、それぞれの代表値が a, b である2つの分岐テーブル間に
リンクが存在する場合、その関係性を”→”で表現し、
@a → @bと記述する。
同様に、それぞれの基準値が a, b である2つの
分岐テーブルグループ間にリンクが存在する場合、
その関係性を”→”で表現し、#a → #b と記述する。
■リンク基準点(Link base point)
分岐テーブルのリンク対象点において、先頭のリンク対象点を
「リンク基準点」という。
■リンク対象点(Link target point)
分岐テーブル内のリンク結合箇所を「リンク対象点」という。
また、図形的意味と用例での意味合いを強調して、リンク対象点を
「分岐点」または「合流点」という場合もある。
■ルートテーブル(Root table)
代表値が 1 である分岐テーブル(@1)をルートテーブルという。
■ルート分岐テーブルグループ(Root Branch table group)
基準値が 1 である分岐テーブルグループを
「ルート分岐テーブルグループ」という。
定義関数
本稿において利用する関数の定義を以下に示す。
■$f(n)$ - コラッツ関数(Collatz's function)
(定義)
\forall n \in \mathbb{N},\ f(n) = \left \{ \begin{array} \\
n \mathbin{/} 2 & (n \equiv 0 \pmod 2) \\
3n + 1 & (n \equiv 1 \pmod 2)
\end{array}
\right.
(概要)
任意の自然数に対して、偶数の場合は2で割る、
奇数の場合は3倍して1を足した値を返す。
(備考)
奇数 n を奇数インデックス m で表現すると、
$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2m + 1$ なので、以下となる。
g(2m + 1) = 6m + 4
(6m + 4) 型は分岐テーブルにおける分岐点のデータ型である。
■$g(n)$ - 分岐点関数(Branch point function)
(定義)
$\forall n \in N_o, g(n) = 3n + 1$
(概要)
指定された奇数に対するコラッツ遷移値を返す。
(備考)
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, n = 2k + 1$ とおくと、
$g(n) = 3(2k + 1) + 1 = 6k + 4 = 2(3k + 2)$
よって、$g(n)$ は、常に偶数である。
■$r(v)$ - 分岐点逆方向リンク
(定義)
$\forall m \in \mathbb{Z} \ge 0, v = 6m + 4, r(v) = (v - 1) / 3$
(概要)
指定された分岐点 v に対する逆方向リンクの奇数を返す。
(備考)
定義における m は奇数インデックスである。
補題集
コラッツ予想に関連する補題を以下に示す。
[補題A]2の冪乗因数による自然数の一般表現
(命題)
$\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$ は、$\exists a \in N_o, p \in \mathbb{Z} \ge 0, n = a(2^p)$ と表現できる。
(証明)
すべての自然数 n は、素数か合成数である。
自然数が素数の場合:
n が素数である必要十分条件は、
(a が素数、かつ、p = 0)である。
・n = 2 の場合、a = 2, p = 0 であり、命題は成り立つ。
・n ≠ 2 の場合、2の冪乗成分 ($2^p$) がないので、
p = 0 であり、n = a となって、命題は成り立つ。
自然数が合成数の場合:
素因数分解の一意性より、合成数は素数の積で
一意に表現できる。よって、n は、2を特別扱いした場合、
2の冪乗成分 $2^p$ と、それ以外の素数の合成数 a > 0 の
積と見做すことが出来る。
よって、$n = a(2^p)$ と表現できる。
上記の結果より、任意の自然数が $n = a(2^p)$ と表現できる。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題B]分岐テーブル間リンクの一意性
(命題)
2つの分岐テーブル間のリンクは一意に定まる。
(証明)
$\forall n \in N_o, g(n)$ は全単射である。
また、偶数 m = 3n + 1 を引数とする r(m) は単射である。
よって、リンクを形成する2つの分岐テーブルの
どちらから見ても、題意の条件を満たす引数に対して得られる
g(n), r(m) の演算結果は一意に定まる。
したがって、ある分岐テーブル @n と、そのリンク対象である
分岐テーブルにおいて、(3n + 1) である要素(分岐点)は、
@n と双方向で1対1のリンク関係となる。
よって、命題は成り立つ。
□
[補題C]3 の奇数倍はコラッツ遷移の対象外
(命題)
3 の奇数倍はコラッツ遷移のリンク対象外である。
(証明)
代表値が(3*奇数)である分岐テーブルの初項を
$\forall n \in N_o, 3n$ とする。
この場合、初項の後に続く偶数列(分岐点)は、以下となる。
2*3n(=6n),4*3n(=12n),8*3n(=24n),...
これらの偶数は、いずれの場合でも 3 の倍数であり、
$\forall k \in \mathbb{Z} \ge 0, (3k + 1)$ 形式ではない。
すなわち、3 で割り切れる数は、2 のべき乗倍しても、すべて
3 で割り切れるので、他の分岐テーブルがリンクできない。
よって、代表値が3 の奇数倍である分岐テーブルの分岐点は、
リンクの対象外である。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題D]自己参照型分岐テーブル
(命題)
コラッツ遷移において、他の分岐テーブルへ遷移しない
自己参照型分岐テーブルは、ルートテーブルのみである。
(証明)
最初に、ルートテーブル(@1)が他の分岐テーブルへ
遷移しないことを示す。
次に、ルートテーブル以外に、他の分岐テーブルへ遷移しない
分岐テーブルが存在しないことを背理法で示す。
ルートテーブルのコラッツ遷移は、1 → 4 → 2 → 1 であり、
自己参照ループである。よって、ルートテーブルは、
他の分岐テーブルへ遷移しない。
ここで、ルートテーブル以外で、他の分岐テーブルへ遷移しない
分岐テーブル @x が存在すると仮定する。
ただし、ルートテーブルを除外するための制約条件が存在し、
$\exists x \in \mathbb{N} \gt 1$ である。
この場合、分岐テーブルは、自己復帰型である必要がある。
何故ならば、g(x) = 3x + 1 なので、g(x) の値は自然数として
必ず存在し、かつ、[補題B]より、x と g(x) の対応関係は
1対1だからである。
自己復帰型の分岐テーブルでは、リンク対象点の位置に対応する
係数$\exists n \in \mathbb{N} \gt 1$ に対して、以下が成り立つ。
nx = 3x + 1
上式を整理すると、以下となる。
(n - 3)x = 1
上式の右辺 > 0 なので、x > 1 より、n > 3 である必要がある。
一方、上式が成り立つためには、(n - 3) < 1 である必要がある。
すなわち、1 < n < 4 でなければならない。
よって、3 < n < 4 である必要がある。
しかし、そのような自然数 n は存在しないので、矛盾である。
以上の結果より、ルートテーブル以外で、@x が存在するとした
仮定は誤りである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題E]循環経路は存在しない。
(命題)
コラッツ遷移において、同一の奇数は重複して出現しない。
ただし、ルートテーブルに含まれる1の場合を除く。
(証明)
コラッツ遷移の経路として、ルートテーブルを除く $V_0 \gt 1$ を
起点とする、$\forall j,k \in \mathbb{Z} \ge 0, j \neq k ⇒ V_j \neq V_k$, @$V_0$ ~ @$V_n$ 間が
リンクする場合を分岐点遷移方程式で考える。ただし、
$\displaystyle i \in \mathbb{Z} \gt 0, ∀n \in \mathbb{Z} \gt 0, i \le n, P_i \in \mathbb{Z} \gt 0, p = \sum_{i=1}^{n}P_i$ とする。
$\displaystyle \frac{V_0}{V_n} = (2^p)(\frac{V_0}{2^{P_1}V_1})(\frac{V_1}{2^{P_2}V_2}) \cdots (\frac{V_{n-1}}{2^{P_n}V_n}$) ・・・(1)
上式の記述順序を逆転すると以下となる。
$\displaystyle (\frac{V_{n-1}}{2^{P_n}V_n}) \cdots (\frac{V_1}{2^{P_2}V_2})(\frac{V_0}{2^{P_1}V_1})(2^p) = \frac{V_0}{V_n}$ ・・・(2)
この場合に、「遷移途中で $V_0$ が再び現れる」と仮定すると、
以下となる。
$\displaystyle (\frac{V_{n-1}}{2^{P_n}V_n})(\frac{V_1}{2^{P_2}V_2})(\frac{V_0}{2^{P_1}V_1}) \cdots (\frac{V_0}{2^{P_1}V_1})(2^q) = \frac{V_0}{V_n}$ ・・・(3)
ただし、$\displaystyle q = \sum_{j=1}^{n}P_j$ を式(3)左辺の各項における2のべき乗成分の
指数の総和とする。
なお、ここでは、$V_0$ を再び出現する奇数としているので、
その最初の遷移値である $V_1$ は、$V_0$ が再び出現するまでの
途中の遷移過程で再度出現することはない。
何故なら、もし、$V_1$ が途中の遷移過程で出現するなら、
その直前の遷移値は $V_0$ であり、この状況の仮定に反するからである。
よって、途中の遷移過程で出現する遷移値 a は、$a \ne V_0, a \ne V_1$
でなければならない。
式(2)を式(3)に代入すると、以下となる。
$(\frac{V_0}{V_n}) \cdots (\frac{V_0}{2^{P_1}V_1})2^p = \frac{V_0}{V_n}$
両辺を $\frac{V_0}{V_n}$ で割ると、
$1 \cdots (\frac{V_0}{2^{P_1}V_1})2^p = 1$
上式は遷移方程式なので、途中の対応する
(奇数および2のべき乗)項は相殺される。
2のべき乗項を相殺した結果を $\exists r \in \mathbb{Z} \ge 0$ として、
式を整理する。なお、通常は、r = 0 である。
ここでは、r > 0 となる場合でも命題が成り立つことを示す。
$1 \cdots (\frac{V_0}{V_1})2^r = 1$ ・・・(4)
(中間項が存在しない場合)// 式(4)の $\cdots$ 部分が空
$V_0 2^r = V_1$ ・・・(5)
r = 0 の場合:
式(5)より、$V_1 = V_0$ となる。
これは、@$V_0$ → @$V_0$ を意味する。
一方、[補題E-1]より、分岐テーブルは自分自身に
リンクできないので矛盾である。
r > 0 の場合:
式(5)は、(左辺は偶数、右辺は奇数)なので矛盾。
(中間項が存在する場合) // 式(4)の $\cdots$ 部分が有効
この場合、最終項は分子が簡約対象である。奇数項の簡約で
分母に残る奇数を $\exists a \in \mathbb{N}$ とすると、式(4)は以下となる。
$a 2^r = V_1$ ・・・(6)
r = 0 の場合:
式(6)は、$a = V_1$ となる。仮定より、
遷移過程の途中で相殺されない奇数は、$a \neq V_1$ である。
よって、矛盾である。
r > 0 の場合:
式(5)は(左辺は偶数、右辺は奇数)となり、矛盾。
よって、中間項の有無に関わらず、矛盾となる。
以上の結果より、「遷移途中で $V_0$ が再び現れる」とした
仮定は誤りである。
すなわち、コラッツ遷移の過程で現れる奇数に関して、
同一の奇数は重複して出現しない。
よって、ルートテーブルを除いて、コラッツ遷移に
循環経路は存在しない。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題F]無限経路の遷移値は際限なく増大する。
(命題)
コラッツ遷移において無限経路が存在する場合、
コラッツ遷移値は際限なく増大する。
(証明)
コラッツ遷移において無限経路が存在する場合、
無限経路に含まれる全ての分岐テーブルの
代表値に対する最大値は、先頭から $\forall n \in \mathbb{Z} \gt 0$ 番目の
分岐テーブルの代表値を $a_n$ とすると、以下が成り立つ。
$\max\{a_1,\dots,a_n\} \ge (2n - 1)$・・・(1)
よって、無限経路内の分岐テーブルを辿っていくと、
n → ∞ なので、$a_n$ → ∞ である。
すなわち、分岐テーブルの代表値は際限なく増大する。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題G]コラッツ遷移終端となる分岐テーブルは @1 のみである。
(命題)
コラッツ遷移において、循環経路も無限経路も存在しない場合、
遷移の終端となる分岐テーブルは、ルートテーブルのみである。
(証明)
コラッツ遷移が無限経路ではなく、その途中に循環経路が
存在しない場合、コラッツ遷移の終端は、自己参照型の
分岐テーブル内を循環しなければならない。
何故ならば、奇数に対するコラッツ演算には、必ず次にリンクする
分岐点が対応するからである。分岐点が存在するからには、当然、
対象となる分岐テーブルが存在する必要がある。
コラッツ遷移の終端であるためには、他の分岐テーブルに
リンクしてはならない。したがって、遷移の終端である
分岐テーブルは、自己参照型とならざるを得ない。
一方、[補題D]より、ルートテーブルを除いて、自己参照型の
分岐テーブルは存在しない。よって、コラッツ遷移の終端となる
分岐テーブルは、ルートテーブル(@1)のみである。
したがって、命題は成り立つ。
□
[補題H]無限経路は存在しない。
(命題)
コラッツ遷移に無限経路は存在しない。
(証明)
[補題F]より、無限経路が存在する場合、コラッツ遷移値は、
無限大に発散する。この命題の対偶は、
「遷移値が無限大に発散しないならば、無限経路は存在しない。」
である。以降では、この命題を証明する。
以下のコラッツ遷移不等式は、すべての遷移状態において、
成り立つ。
$2 \gt V_n\frac{R}{V_0}$ ・・・(1)
ただし、コラッツ遷移における初期値を $\forall V_0 \in N_o$、
分岐テーブル間遷移回数を $\forall n \in \mathbb{Z} \ge 0$、
n 番目の遷移値を $\exists V_n \in N_o$、R は経過比率である。
式(1) は、コラッツ遷移状態の上界を与える。
この関係の導出については、「2.4.2 コラッツ遷移の上界」を
参照されたい。
式(1) において、分岐テーブル間遷移回数 n に依存する部分を
右辺に集約すると、
$2V_0 \gt V_nR$
上記の不等式に、$\displaystyle R = \frac{2^{S_n}}{3^n} = \frac{2^{n + q}}{3^n} = (\frac{2}{3})^n 2^q$ を代入すると、
$2V_0 \gt V_n(\frac{2}{3})^n 2^q$
ただし、@$V_k$ に対する分岐テーブル内遷移回数 を $\exists P_k \in \mathbb{Z} \gt 0$、
$\displaystyle S_n = {\sum_{k=1}^{n}}P_k, \exists q \in \mathbb{Z} \ge 0,\ S_n = n + q$ である。
上式に対して、底2で両辺の対数をとると、
$(1 + \log_{2}V_0) \gt \log_{2}V_n + n\log_{2}(\frac{2}{3}) + q$
$(1 + \log_{2}V_0) \gt \log_{2}V_n + n(1 - \log_{2}3) + q$
$\log_{2}3 - 1 \fallingdotseq 1.585 - 1 = 0.585$ なので、
$(1 + \log_{2}V_0) \gt \log_{2}V_n + q - 0.585n$
両辺を n で割ると、
$\frac{1 + \log_{2}V_0}{n} \gt \frac{\log_{2}V_n}{n} + \frac{q}{n} - 0.585$ ・・・(1)
遷移値が無限大に発散する場合、分岐テーブル間遷移回数
$n \rightarrow \infty$ である。このとき、(4k + 1) 型の通過時に q は漸増する。
すなわち、$n \rightarrow \infty$ のとき、$q \rightarrow \infty$ である。よって、
$\displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{q}{n} = 1$ である。
$n \rightarrow \infty$ の場合の式(1)の極限は、$V_0$ が初期値なので、
$\displaystyle 0 \gt \lim_{n \to \infty}\frac{\log_{2}V_n}{n} + 1 - 0.585$
$\therefore \displaystyle 0 \gt \lim_{n \to \infty}\frac{\log_{2}V_n}{n} + 0.415$
である。ここで、上式の右辺>0なので、矛盾である。
すなわち、分岐テーブル間遷移回数 $n \rightarrow \infty$ のとき、
コラッツ遷移不等式から導出された関係が成り立たない。
よって、奇数である任意の初期値に対するコラッツ遷移は、
無限大に発散しない。
これより、冒頭で対象とした命題が成り立つことが証明された。
したがって、命題は成り立つ。
□
謝辞
完成する目途のない私の道楽とも言える作業を温かく見守ってくれた
妻に感謝する。
また、研究過程等において、公開した記事に対して、
コメントを寄せていただいた皆様方に厚く御礼申し上げます。
参考文献
[1] 宗田光一: 『コラッツ問題の肯定的解決について』第1版,
Amazon Services International LLC, 2016
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