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ゼロイチコンサルの経験

Last updated at Posted at 2022-01-08

あいさつ

どうも、【ヒトと循環を科学するカタリスト】のランディフです!

今回は、私が以前サービスデザイナーという職種でやっていたゼロイチのコンサル(新規事業開発特化型のコンサル)の経験をもとに、近年の「企業の組織構造」といったものに対して、比較的新たな視点を提供したく考えました。

この記事を読んでいただくことで、下記の点がわかります。

ゼロイチを外から形作ろうとするときの限界
世の中でサービスデザインという領域が流行っている理由
上記2点を通しての、企業が持続的に価値を生み続ける上での前提条件(の一考察)
少し長い文章になりますが、最後まで読んでいただけると幸いです!\(^o^)/

ゼロイチを外から形作ろうとするときの限界

まずゼロイチの立ち上げ方としては、大きく分けて下記の4つの場合があります。

  • 新たに会社を設立して実行する場合
    • ①一緒に創業した仲間と少数のコアメンバー(社員等)で実行する場合 (一般的に言うスタートアップ)
    • ②一緒に創業した仲間と外部コンサルで実行する場合
  • 既にある会社の中で新事業や新会社としてやる場合
    • ③自社の人員でやる場合 (サイバーエージェントなど)
    • ④外部のコンサルといっしょにやる場合 (大企業に対する新規事業開発支援コンサル)

一般的なスタートアップ(イケイケドンドンで急成長を目指す会社)の場合は、上記の分類の中の①に該当します。私がサービスデザイナーとしてやっていたことは、大企業に対する新規事業開発視点コンサルなので上記の分類の中の④に該当します。(会社が打ち出していたキャッチコピーとかは忘れましたが、伴走型の新規事業開発特化型のサービスデザインカンパニーにいました。)

私の経験は④がメインなので、その中で感じ、またそれをメタ認知した上でボトルネックとなっていたことを、下記の問題(1)と問題(2)で記載しています。

問題(1):大企業の上申が通らない問題 (上流の意思決定レイヤーをグリップできていない問題)

日本では大手の広告代理店系の会社で、新規事業創出の支援のコンサルをしている会社がいくつかあります。(私はその中の1つの会社におりました。)

そのようなコンサルでは、大企業を顧客とする案件として、その顧客から数百万~数千万円の予算は稟議が通ることもあります。

ただし多くの場合、大企業が依頼する内容が、広告の運用の委託とかCM制作のマネジメントといったこれまで広告代理店に委託していた内容からから、新規事業立ち上げ支援に依頼内容が変わっているだけのため、自分たちでマネジメントしきらなくても良いと考えていることを外注しているという構造自体は変わっていないです。

image.png

上記に関連して、大企業においては、一般的には下記のような社内論理があるため、新規事業の立ち上げには経営陣がその環境を作る/コミットするという体制が必要となることが多いです。

数十億~数千億円(トヨタとかだと数兆~数十兆円)規模の既存事業に対して、新規事業はそもそも比較して小さい。

  • 規模として比較した上では、例えば同じ収益の増加率であれば、大きい規模のものを優先する方が(短期では)合理的とされる。
  • 外部から新規事業の立ち上げを支援する立場のコンサルファーム等は、上記の社内論理を突破するために、上流の意思決定レイヤーを抑える必要が出てきます。ここを実現できているのは、戦略コンサルやアクセンチュア等の総合コンサルというのが現実的には多いです。(戦略コンサルや総合コンサルが支援した新規事業が、世の中でどれほど持続的に価値を生んでいるのか、ということはここでは一旦捨象。)

特にアクセンチュアは、その中に戦略部隊も持っていること自体は他の総合コンサルと同様ですが、「サービスデザイン」といった領域に関してかなり積極的に開拓しています。例えば、2013年5月にはFjordという英国発のデザイン会社を、2019年4月にはDroga5というニューヨークとロンドンに拠点があるクリエイティブエージェンシーを買収しており、超上流コンサルを手掛けていたりもします。
※アクセンチュアによるFjordの買収
※アクセンチュアによるDroga5の買収
※Fjordの超上流コンサル

近年、デザインというキーワードがビジネス界隈で多く語られるようになっていますが(既に1~2周した感はありますが)、その本質は、下記の4つで領域として分けられてきたものに対して、今後は統合的に捉えてアプローチしなければいけなくなったということだと考えられます。

  • ビジョン/ミッション
  • 戦略 (これまで企業活動の上流として位置づけられてきた)
  • 戦術
  • 現場

つまり、外部環境の変化が激しい中で企業がそれに適応して生き残っていくためには、統合的アプローチが最も合理的な企業活動の方法論となったということです。

↓これまでの構図 (ヒエラルキー型組織を前提)
image.png

↓今後の構図 (ヒエラルキー型組織を前提)
image.png

Fjordの「超上流コンサル」というのが何に対してコンサルティングをしているのかというと、これまで上流として位置づけられてきた戦略に対するコンサルの枠を超え、企業の存在理由であるビジョン/ミッションにも踏み込んでコンサルしていっているということです。これは、企業の存在理由そのものを変化させることが求められている、ということを必ずしも意味するわけではなく、企業の存在理由から現場までを統合的にアプローチしていく必要があるが故に、現場・戦術・戦略・ビジョン/ミッションのどこに対してコンサルすることも、閉じた形で切り離してコンサルしていくことはできなくなりつつあるということを意味していると考えられます。

まとめると、上申が通らないということに関する解決策は上流をそもそも抑えるということで、ただ、上流を押さえれば現場までうまくいくかと言うと、上で図と言葉で表現したような背景からそうとも言い切れないということになります。近年流行りのデザインという表現の本質は、企業を面~立体で捉えて、且つ、深く入り込んでいくということで、それができることが外部の組織が新規事業の立ち上げを支援する上では必要条件になります。

問題(2):コンサルだと時間の制限がある問題

2021年3月19日に3Sunnyさんの資金調達の記事「年間1,000万人超「入退院」の非効率をなくせーー“異端児”3Sunnyが手がけるCAREBOOKの挑戦」がリリースされました。この記事(及びその中のPodcast)の最大の特徴は、「時間の制限」とどう向き合うかということに対するアプローチとしての3Sunnyさんの泥臭さだと思います。

私が属していたような新規事業開発支援のコンサルの場合、ある一定期間内に答えを出すことが求められます。そのアウトプットは、レポート(必死に作るパワポ/keynote資料)だったりします。

その会社の最終的なミッション、つまりはWhatが決まっている場合には、Howを徹底的に探ることが必要で、その意味でのHowを見つけるためのゼロイチの期間は一定程度は必要なことが多いと思います。

対してコンサルが絡む場合は、コンサルに支払うフィーが発生することと、コンサルも多くの場合は3カ月や6ヶ月といった期間を決めてプロジェクト受注をするため、「うまくいくまでHowを探す」ということがその期間内にできないまま終わることが多いです。それができないがゆえに、レポートティングが最終成果物としてケリをつけたり、うまくいくという前提が過剰に盛り込まれたプレゼンでケリをつけたりすることが多くなります。

どんなにレポーティングを頑張っても、実際に価値が発生している瞬間、そして価値が持続的に生み続ける構造を作る営みに深く関わることができているわけではないです。その原因は、冒頭の記事の最大の特徴として記載した通り、「時間の制限」との向き合い方、もう少し具体的に表現すれば、「うまくいくまでHowを探す」ために時間の制限を小さくするということが、コンサルだとできないことが多いためです。

タイトな時間の制限がある中で、連続的に実際に価値を生み続ける新規事業の立ち上げの支援ができるコンサルファームがあれば、それはメチャすごいことです。

※本来は、「時間」だけでなく「お金」も制約条件となりますが、お金があれば時間の制限を緩和できるという因果律を働かせることは可能なことも多いため、「時間」の制限という表現でまとめています。

問題(1)(2)を通した、本稿の示唆

本稿における示唆として、以下の点を考えます。

  • 上流~下流が溶け合う。
  • 意思決定できる裁量と責任を負うことのできる個人がチームとして集まることが、企業の存在理由を支える。
    • 企業の存在理由に対して、意思決定と実行を通して貢献できること以外は、アウトソース/自動化される。
    • 企業の存在理由に対して、意思決定と実行を通して貢献できること個人が複数集まってシナジーを効かせることが重要となる。(個々人が単独でできることには限界があることがほとんどなため。)
  • 情報の非対称性は足かせでしか無い。
    • 意思決定できる裁量と責任を負うことのできる個人を支える前提として、意思決定するのに必要な情報の透明性が必要となる。
    • 上流としての戦略、戦術、下流としての現場、といったことが、主にコンサルファーム目線で(わかりやすく表現するために)語られてきたが、それらの学びとフィードバックに行き来のコストがかかることは、企業の生存能力(外部環境の変化に対する適応能力)を弱める事となる。
  • ある企業を外部からサポートするコンサルファームなどは、その企業を、面~立体でサポートしなければならない。
    • ある企業の一部のみ(点)をサポートすることは、本質的にはアウトソース/自動化できることをサポートしているだけとなり、価値が一定以上には上がらなくなる。

ちなみに

本稿では、ROI(Return on Investment)を意識した記載は極力捨象しました。本来は、ROIを短期でも長期でも見ることは、柔軟な範囲では意義があることで、逆にROIを全く意識しないこと自体には私も否定的です。

ただし、ゼロイチ自体が成功確率が低いということは客観的な事実であり、最終的にはうまくいくまでやり続けるという泥臭さが、短期のROIと比べたら遥かに重要であるということを正面から捉えるべきだと考えています。

短期のROIと、うまくいくまでやり続けるという泥臭さを両立する方法論が、リーンスタートアップでありジョブ理論なのだと言うのが私の理解です。

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