はじめに
Node.jsにおいて、モジュールシステムは重要な役割を果たしています。現在、Node.jsではCommonモジュールとESモジュールという2つのモジュールシステムが存在しています。本記事では、これらのモジュールシステムの概要と違いについて解説します。
Commonモジュール
Commonモジュールは、Node.js誕生当時から使用されていたモジュールシステムです。モジュールをインポートする際には、require
関数を使用し、エクスポートする際にはmodule.exports
を使用します。
// モジュールのインポート
const myModule = require('./myModule');
// モジュールのエクスポート
module.exports = {
// エクスポートする内容
};
ESモジュール
ESモジュールは、現在のスタンダードなモジュールシステムであり、多くの開発現場で使用されています。ESモジュールは、ECMAScript標準のモジュールシステムです。
モジュールをエクスポートする際には、export文を使用します。エクスポートには、名前付きエクスポートとデフォルトエクスポートの2種類があります。
// 名前付きエクスポート
export const myFunction = () => {
// 関数の内容
};
// デフォルトエクスポート
export default {
// エクスポートする内容
};
モジュールをインポートする際には、import文を使用します。
Copy code
// 名前付きインポート
import { myFunction } from './myModule';
// デフォルトインポート
import myModule from './myModule';
CommonモジュールとESモジュールの違い
1. 動的vs静的
Commonモジュールは動的なモジュールシステムです。つまり、モジュールの依存関係や公開内容は実行時に解決されます。Node.jsはCommonモジュールの依存関係や公開内容を静的に解析することができません。これは、require関数が実行時に呼び出され、モジュールの読み込みが動的に行われるためです。
一方、ESモジュールは静的なモジュールシステムです。モジュールの依存関係や公開内容は、モジュールのパース段階で解析されます。つまり、import文やexport文は常にモジュールのトップレベルに記述する必要があり、条件分岐やループ内で使用することはできません。これにより、モジュールの依存関係が明確になり、パフォーマンスの向上や最適化が可能になります。
2. 同期的vs非同期的
Commonモジュールは同期的に動作します。つまり、require関数を呼び出すと、モジュールの読み込みが完了するまで、その行で処理がブロックされます。これは、モジュールの読み込み順序を制御しやすい反面、大規模なアプリケーションではパフォーマンスの問題につながる可能性があります。
ESモジュールは非同期的に動作します。つまり、import文を使用してモジュールを読み込む際、モジュールの読み込みが完了するまで待機する必要がありません。これにより、アプリケーションの起動時間が短縮され、パフォーマンスが向上します。ただし、モジュールの読み込み順序を制御するには、追加の工夫が必要になる場合があります。
3. strictモード
Commonモジュールはデフォルトで非strictモードで動作します。これは、JavaScriptのいくつかの機能(例えば、暗黙のグローバル変数の作成など)が許容されることを意味します。非strictモードは、既存のコードとの互換性を維持するために使用されていますが、予期しないバグを引き起こす可能性があります。
ESモジュールはデフォルトでstrictモードで動作します。strictモードでは、暗黙のグローバル変数の作成などの潜在的な問題を引き起こすコードが禁止されており、より安全で予測可能なコードを書くことができます。これにより、開発者はよりクリーンで保守性の高いコードを書くことが求められます。
ESモジュールの使用方法
Node.js v13.2.0以降では、package.jsonに"type": "module"を指定することで、.js拡張子のファイルをESモジュールとして実行できるようになりました。ただし、Commonモジュールを使用する場合は、拡張子を.cjsにする必要があります。
まとめ
Node.jsにおいて、CommonモジュールとESモジュールは共存しています。開発者は、プロジェクトの要件に応じて適切なモジュールシステムを選択する必要があります。ESモジュールは現在のスタンダードであり、多くの開発現場で使用されていますが、Commonモジュールとの違いを理解することも重要です。