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機密データを外に出さない「特許FTO」自律エージェントの設計 — Harness / Session / Sandbox / Skill と、件数ベースのクエリ最適化

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Last updated at Posted at 2026-07-02

知財FTO(他社特許への抵触調査)の自律エージェントを作っています。本記事はアーキテクチャと実装の勘所を、再利用できる形で共有します(適用ドメインがFTOというだけで、設計自体は機密×ライブDB×エージェント全般に効きます)。動きは先にこちらで👇

題材:実在訴訟をベースにした「架空の開発案件」を入力に取る

評価を再現可能にするため、入力は現場で実際に回る書類に寄せています。架空の中堅工具メーカー「マルトー工機」の新型インパクトレンチ MT-180 開発案件で、エージェントへの入力は次の社内ドキュメント群です(すべて架空・社外秘想定)。

  • 設計諸元書(QCD目標:300N·m / 1.2kg / 全長150mm、駆動=アウタロータ型BLDC)
  • 競合ベンチマーク/ティアダウン(他社6機種の分解調査。アウタロータ採用は外資D社のみ)
  • BOM抜粋(ロータ磁石 N52・リング保持 などの部品構成)
  • 設計レビュー(DR-1)議事録+課題管理マトリックス

社内資料_競合ベンチマーク.png

肝はこの DR 議事録です。課題管理マトリックスに No.2「駆動方式(アウタロータ型)の他社特許FTO=重要度:高 / 状態:未着手」 が明記されています。エージェントの仕事は、この"未着手の盲点"を、機密を外に出さずに数分で埋めること。
社内資料_DR議事録_課題マトリックス.png

(背景:この構図は実話=特許第4362657号の侵害訴訟と同型。アウタロータ型採用が侵害認定/インナロータ型は非侵害。)

要件:なぜ"正確さ"の前に"機密"なのか

開発部署の未公開の発明・設計(上記の設計諸元・BOM等)は、社外クラウドに送った時点で新規性喪失のリスク。よって 「データを外に出さない」が機能要件になります。出力品質はその制約の中で最大化します。

全体構成(4レイヤ)

  • Harness(制御ループ):「次に何をすべきか」を判断する中心。構成分解→検索→対比→回避策、という工程を状態機械として回す。
  • Tools:J-PlatPatライブ検索、構成対比、社内文書横断(RAG)などの実行手段。
  • Session:エージェントの行動・思考・ツール応答をすべて記録するイベントログ。実行単位で隔離し状態を持ち越さない。
  • Sandbox:コード実行・ファイル操作を隔離環境に限定。外部送信経路を絞り権限最小化。

Skill による拡張

検索・構成対比・社内横断などを skill として宣言的に組み込み、監査・差し替え・テストが可能。エージェントの手順がブラックボックス化せず、顧客ごとの要件差分に skill 単位で対応できます。

件数ベースのクエリ最適化(ここが効く)

ライブDB(J-PlatPat)相手に、いきなり最適な検索式は組めません。そこで件数をフィードバックに段階的に絞り込む設計にしています。

ツール画面_C_本検索の多段絞り込み.png

  • 母集団が広すぎる(例:7,258件)→ 最も広く効いている軸の汎用語を外し、中核語へ。
  • 過小(0件)→ 最も限定的なAND軸を1つ外して再検索。
  • 目標レンジ(例:30〜1,000件)に収束させる(例:7,258→1,337→404)。

この「件数→次のクエリ」のループにより、属人的だった検索式作成を機械化しています。

ツール画面_D_予備検索0to10件.png

出力:検索結果でなく"成果物"

最終的に構成要件ごとの抵触(claim chart)と回避策まで。題材でいえば「F1=アウタロータ型 → 請求項1の核心に落入=高リスク」、かつ「社内のMW-130(インナロータ型)設計資産で回避可能」。動画でも検索 → 結果リスト → claim chart の順で締めています。

ツール画面_A_構成対比claimchart.png

工程の勘所(実ログより)

  • 構成分解:開発アイテムを構成要素(background / problem / solution と重要度)に分解。
  • HITL(人間の確認):構成要件表を人がレビュー・承認してから次工程へ。全自動の暴走を防ぐ要。
  • 単語化:各構成要素を検索用の主題・副題へ展開(例:アウタロータ→外転型・ブラシレス・永久磁石)。
  • 予備検索の自己修正:0件なら最も限定的なAND軸を1つ外して再検索(実例:0件→10件)。
  • 分類付与:ヒット文献のFI / F-term / IPCを抽出し、構成要素に紐付けて網羅性を担保。

機密×ライブDB の運用メモ

  • 入力(未公開設計)と社内文書は環境内で処理、外部にはクエリ最小限。
  • コスト/失敗時のハンドリング(リトライ・上限)。

続編で skill 定義の具体や評価方法を書きます。

一次スクリーニングと claim chart 草稿です。FTOの最終判断は弁理士・専門家による前提。題材(マルトー工機・MT-180)は公開情報に基づく架空事例。


© 2026 構知創研合同会社 | 本記事および図版の著作権は構知創研合同会社に帰属します。無断転載を禁じます。

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