前置き
この記事は、新潟県新潟市の開志専門職大学未来創造研究センターの講座、「クラウド体験実習 #2:お客様サポートの仕組み作り」向けに作った資料です。
前提
Atlassian CloudのJira Service Managementクラウド版の無料プランを登録していることを前提とします。無料プランの申し込みはこちらからできます。https://www.atlassian.com/ja/software/jira/service-management/pricing
アクセス後、Freeプランで「開始する」をクリックしてください。
作るもの
今回は、ワクチンなど接種後の健康相談の仕組みを作ります。「ロット番号」「回数」「実施日」「実施場所」の項目を作成し、状況について「説明」を投稿すると、担当者からコメントが返ってくるような仕組みにします。
コメント機能を用いて双方向でコミュニケーションを行うとともに、履歴が残りますので、言った言わないのような不安がありません。かつてインフルエンザワクチンで苦しんだ際に、声が出ない中で欲しかった仕組みをイメージしています。
Atlassian Cloudにログイン
パソコンのWebブラウザを使い、https://start.atlassian.com/ にアクセスします。アクセス後、ログインしてください。ログイン後、画面上部に表示される「Jira Service Management」のアイコンをクリックします。
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プロジェクトの作成
画面右上の「プロジェクトを作成」をクリックします。
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「Jira でプロジェクトを作成する新しい方法」と表示されます。「開始する」をクリックします。「プロジェクトテンプレート」として、「カスタマーサービス管理」をクリックします。
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テンプレートで出来ることが表示されます。「テンプレートを使用」をクリックします。
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名前を「接種後相談」とします。キーは大文字の英字である必要があります。ここでは「VS」としました。この2つを入力後、「プロジェクトを作成」をクリックします。
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下図のように表示されます。
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次の作業は、画面右上の歯車のアイコンをクリックして表示される「課題」にアクセスします。
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Jiraの設定 : 課題
課題タイプの追加
画面左側で、「課題タイプ」を選びます。
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画面右上で、「課題タイプを追加」をクリックします。
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「課題タイプ」の追加画面で、名前と説明を入力します。タイプは「標準課題タイプ」を選び、「追加」をクリックします。
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課題タイプスキームの編集
画面左側で、「課題タイプスキーム」を選びます。
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プロジェクトのキーで始まる課題タイプスキーム名を探し、「編集」をクリックします。ここでは「VS: Jira Service Management Issue Type Scheme」になります。
「VS: Jira Service Management Issue Type Scheme」の編集画面で、利用可能な課題タイプにある「体調相談」の課題タイプを、「現在のスキームの課題タイプ」にドラッグ&ドロップします。
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ドラッグ&ドロップ結果
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画面下の「保存」をクリックします。
既存画面の複製
画面左側で、「画面」を選びます。
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「名前でフィルタリング」の欄に、「VS」と入れます。VSは、プロジェクト作成時に指定したキーのことです。「VS: Jira Service Management Screen」が表示されますので、画面右端のアクションの「・・・」>>「コピー」の順にクリックします。
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画面のコピーで、画面の名前を「VS: Jira Service Management Screen 体調相談画面」とします。「コピー」をクリックします。
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画面スキームの作成
画面左側で、「画面スキーム」をクリックします。その後、画面右上の「画面スキームを追加」をクリックします。
「画面スキームを追加」画面で、「名前」を入力するとともに、「既定の画面」として、作成した画面「VS: Jira Service Management Screen 体調相談画面」を選び、「追加」をクリックします。
課題タイプを画面スキームに関連付け
画面左側で、「画面スキーム」をクリックします。プロジェクト作成時に自動生成された「VS: Jira Service Management Issue Type Screen Scheme」をクリックします。ここのVSは、プロジェクト作成時に指定したキーです。
画面右上の「課題タイプを画面スキームに関連付け」をクリックします。
「課題タイプと画面スキームの関連付け」画面で下図のように、「課題タイプ」と「画面スキーム」をそれぞれ選び、「追加」をクリックします。
カスタムフィールドの作成
画面右上の歯車のアイコンをクリックして表示される「課題」にアクセスします。
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画面左側で、「カスタムフィールド」をクリックします。次は、画面右上の「カスタムフィールドを作成」をクリックします。
ここでは、4つのカスタムフィールドを作成します。例として「ロット番号」のカスタムフィールドを作成します。
「フィールドタイプの選択」では、番号なので「数値フィールド」を選び、「次へ」をクリックします。
フィールドの「名前」として「ロット番号」を入力し、「作成」をクリックします。
画面に関連付けるため、「名前でフィルタリング」に、VSと入力し、先ほど複製した画面を探します。
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「VS: Jira Service Management Screen 体調相談画面」にチェックを入れます。チェックを入れることで、カスタムフィールドが画面に追加されます。チェック後、「更新」をクリックします。
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残りの3つのカスタムフィールドを作成します。関連付ける画面は、残り3つとも「VS: Jira Service Management Screen 体調相談画面」になります。
フィールドタイプ | 名前 | オプション |
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選択リスト(単一選択) | 回数 | 1回目、2回目、3回目 の3つの値をセット。「追加」を押すことで増やせる。 |
日付ピッカー | 実施日 | |
Short text(plain text only) | 実施場所 |
Jiraの設定 : プロジェクト
画面右上の歯車のアイコンをクリックして表示される「プロジェクト」にアクセスします。
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プロジェクトの設定に移動
「プロジェクトを管理する」画面で、作成したプロジェクトである「接種後相談」をクリックします。
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画面左下の「プロジェクト設定」をクリックします。
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リクエストタイプの作成
画面左側の「リクエストタイプ」をクリックします。
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画面右上の「新しいリクエストタイプを追加」をクリックします。
「新しいリクエストタイプ」の画面で、「名前」を「体調相談」とし、「次の課題タイプのワークフローとフィールドを使用する」として、「体調相談」を選びます。また、オプションですが、「このアイコンを変更」をクリックして、表示するアイコンを変更することも出来ます。
その後、「次へ」をクリックします。
リクエストタイプのポータルグループとして、「General」にチェックをいれ、「作成」をクリックします。
下図のように表示されます。「エージェントビュー」の画面は、問い合わせに対応する担当者の画面です。「リクエストフォーム」は、問い合わせを行う人向けの画面です。「リクエストフォーム」をクリックして、問い合わせ画面を作ります。
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画面右側に表示される「フィールドを追加」をクリックします。
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以下にチェックを入れ、「適用」をクリックします。
- 添付ファイル
- 説明
- ロット番号
- 回数
- 実施日
- 実施場所
表示フィールドが追加されました。
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「必須」の列に表示されている「いいえ」をクリックすることで、「はい」に変更することができます。「はい」に変更後、右側に表示される「更新」をクリックします。ここでは、以下について、必須の列で「はい」に変更します。
- 説明
- ロット番号
- 回数
- 実施日
- 実施場所
以下のようになります。
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「フォームをポータルで表示」をクリックすることで、Webブラウザ上で新しくタブが開き、ヘルプセンターで、どのように表示されるか確認できます。
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言語設定
画面左側の「言語サポート」をクリックします。
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「言語サポート」画面が表示されます。既存言語が「英語(アメリカ合衆国)」となっていますので、「言語を追加」をクリックします。
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下図のように表示されます。
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「顧客に表示」のトグルスイッチをクリックし、有効にします。
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動作確認
画面上部の「プロジェクト」>>「接種後相談(VS)」の順にクリックし、プロジェクト画面に戻ります。
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サンプルユーザー「カスタマー例」による、問い合わせ側の動作確認
画面左側で、「チャンネル」をクリックします。
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表示された「ヘルプセンター」にマウスのカーソルを合わせ、「開く」をクリックします。
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この時表示された ヘルプセンターのURLは、配布できるようにメモ しておくと良いでしょう。
また、ヘルプセンターのURLに、Jira Service ManagementにログインしていないWebブラウザでアクセスすることで、ヘルプセンターにログイン前の状態を確認することができます。デフォルトでは、Sign Upすることで、ユーザー登録を行うことで、ヘルプセンターが利用可能になるように設定されています。
「次のユーザーの代理でリクエストを作成:*」の欄をクリックして、動作確認用の「カスタマー例」に変更します。その後、必須入力項目となっている「添付ファイル」以外の各項目を入力し、「送信」をクリックします。
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送信後、履歴として保管されます。コメント機能を用いて担当者とコミュニケーションを行うことができます。
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エージェント(問い合わせに対応する担当者)側の動作確認
プロジェクト画面に戻ります。
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プロジェクト画面にアクセスしますと、問い合わせが届いていることがわかります。
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「要約」の列に表示されている文章をクリックします。詳細画面が表示されます。
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画面下部のコメントでは、「カスタマーに返信」をクリックし、コメントを入力、保存することで、問い合わせされたカスタマーにコメントを送信することができます。
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問い合わせされた側に、コメントについてメール通知(動作確認用のカスタマー例ではメール通知はありません)されるとともに、問い合わせされた側のヘルプセンターの問い合わせ履歴にコメントが表示されます。問い合わせ履歴は、ヘルプセンターの画面右上の「リクエスト」 をクリックします。
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問い合わせ側として登録して動作確認
ヘルプセンターのURLにアクセスします。今回の作業と同じパソコンで実施する場合は、Webブラウザのシークレットウインドウを立ち上げて確認してください。
「sign up」をクリックし、メールアドレスを入れ、「Next」をクリックしてメールアドレスを送信します。入力したメールアドレス宛に、メールが届きますので、メール本文に従って操作してください。
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指示に従って操作することで顧客登録が行われ、ヘルプセンターを利用できるようになります。
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上記の手順は、自ら利用登録する場合でした。
カスタマイズ
ヘルプセンターで使用するリクエストタイプを制限する
プロジェクトの画面に戻り、画面左側で「プロジェクト設定」をクリックします。
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画面左側の「リクエストタイプ」をクリックします。
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ヘルプセンターで非表示にしたいリクエストタイプの行で、右端の「・・・」>>「ポータルグループを編集」の順にクリックします。
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「ポータルグループに割り当て」で、「General」のチェックを外し、「保存」をクリックします。これは、ヘルプセンターで、ポータルグループが「General」となっているリクエストタイプを表示するように設定しているためです。
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非表示にしたい各リクエストタイプで、同様の操作を行います。
また、「ポータルグループ」は新規に作成できますし、どのポータルグループをヘルプセンターで表示するか制御することもできます。
非表示にしたリクエストタイプは、下図のように、リクエストタイプで表示するものと分けて表示されます。
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表示するリクエストタイプを減らしたことで、このようになりました。
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ヘルプセンターの利用者を限定する
プロジェクトの画面に戻り、画面左側で「顧客」をクリックします。
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カスタマー画面で、「許可を変更」をクリックします。
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「サービス プロジェクトへのアクセス」について、「エージェントと管理者が追加したカスタマー」をクリックし、「保存」をクリックします。
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カスタマー画面で、「カスタマーを追加」をクリックします。
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下図では架空のメールアドレスを例にしています。ヘルプセンターの利用を許可する対象の方のメールアドレスを入力し、「追加」をクリックします。入力したメールアドレスに招待メールが配信されます。
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招待メールに従って登録操作を行うことで、ヘルプセンターを利用できるようになります。
見た目の変更
大幅な変更にはアドオンが必要ですが、簡易な変更は可能です。
プロジェクト画面の画面左側で、「チャンネル」をクリックします。
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表示された「ヘルプセンター」にマウスのカーソルを合わせ、「開く」をクリックします。
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画面右端の「カスタマイズ」をクリックします。
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表示された項目をクリックすることで、簡易な見た目の変更が可能です。
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既定の言語を日本語にする
プロジェクト設定の「言語サポート」にアクセスします。
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「ステータス」に「1個のセクションでレビューが必要です」と警告が出ています。翻訳の列の「日本語」をクリックし、各フィールドの日本語翻訳を入力し、「保存」をクリックします。
これは、フィールド(カスタムフィールド含む)の既定の言語設定が英語など日本語以外の状態で作成されたため、見た目は日本語ですが、システム上は日本語以外と判定されているために生じています。
言語サポート画面から、警告が無くなりました。「既定言語の変更」をクリックします。
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「プロジェクトの既定言語を変更」画面で、日本語を選び、「変更」をクリックします。
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既定言語が入れかわり、日本語が既定言語となりました。
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困ったときの問い合わせ先
代表的な相談先をいくつか取り上げます。
- Atlassian サポート Jira Service Management サポート
- 今回使っているものは無料のFreeプランのため、電話やメールサポートがありません。Freeプランのため、オンラインドキュメントやコミュニティを活用して、問題解決してください。
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リックソフト株式会社
- Atlassianのパートナーで、Jiraなどのカスタマイズやシステム間連携、運用など様々な知見を公開しています。
まとめ
SaaSとして、Jira Service Managementを使うことで、問い合わせ管理の一例として、体調に関する問い合わせ管理の仕組みを作成しました。体験いただいた通り、クラウドサービスを適材適所で使うことで、DX対応を進めやすくなります。