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マネージャーになりたいですか?私は別に

Last updated at Posted at 2024-09-19

管理職になんかなりたくない

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積極的に管理職になりたくないという人も多いのではないでしょうか。
私もどちらかというと、自分のペースで自分の手で収まる作業範囲の仕事を淡々と進めるのが好きです。

一人で行うように切り離された仕事で成果を出すのはある意味でとても楽です。
ただやれば良い。労力に比例して成果が出る。

これは学業で良い点数を獲得するのに似ています。
知識が不足している場合は学べば良いですし、時間が必要であれば時間を投下すれば良いだけです。パフォーマンスも予測しやすい。

一方で、チームとしての成果にコミットするのは、単純にチームリーダーやマネージャーの労力に比例しません。
恋愛を含む人間関係に似ています。
頑張ったら人に好かれるというものでもないし、自分の当たり前や価値観が通用するはずもないのです。

世間一般で管理職に求められることは下記のようなことでしょう。

  • チームに与えられた仕事や責務は漏れなく果たしなさい
    • チームに与えられた目標を達成しなさい
    • コストを上回る価値をつくれなければ、チームごとリジェクトされます
  • チームメンバーの教育を実施し成長させなさい
  • チームメンバーのエンゲージメントを向上させなさい
  • チームメンバーのメンタルヘルスケアを含む健康管理、モチベーション管理を行いなさい
    • ただし診断してはいけません、外部の専門家に任せるべきスコープか適切に判断しなさい
  • チームメンバーの離職率を下げ、定着させなさい(ハイパフォーマーは特に)
  • ローパフォーマーで改善の兆しがない場合は別のキャリアの選択を促す、または雇用継続可否の判断を下しなさい
  • 自身のチームだけでなく、組織全体の視点を持ちなさい
  • 管理職として良きロールモデルとなりなさい
    • つまりは残業や休日の労働をやめて上記の義務を果たしたうえで成果も残しなさい

一例をいくつか挙げましたが、現実社会ではもっと多くのことが求められるでしょう。

... ちょっと待ってください。
過酷すぎじゃありませんか?

ある程度は自分の人生を犠牲にして達成したとしても、最後の部分で「ああはなりたくない人」となり、良きロールモデルとなることに失敗です。残念。1

やりたくないからやらない、ではない

ただ、私が社会人として常に意識していることは、“何がやりたいか”もそうですが、“何をやるべきか”という事です。

何をやるべきか”というのは、周りから何を求められているか、社会から何を求められているか、自分の価値提供はどう行動すると高まるのか。ということです。

積極的に向き合いたくないことをやるとき、重い腰をあげるとき、いつも自分に問う言葉があります。

「そんなあなたを誰が必要とするの?」

なんだか助かる便利なおっちゃんになりたい」の記事を書いた時に概ね肯定的な意見が多かったものの、「こんなの誰が雇うの2」などの否定的な意見も複数ありました。

少し悲しい。しかし、これはこれで正しい。

自分がどう考えていようが、うまく伝わらなければ意味がありませんし、労働市場において価値を判断するのは常に他者です。

中高年以降のキャリア形成で、組織マネージャーやプロジェクトマネージャーの立ち位置を避けて、プレイヤーとして価値を提供するという戦略もまた1つです。「スタッフエンジニアの道」も良いでしょう。

もし、マネージャー職やそれに準ずる働き方を回避するのであれば、その分どのように価値を見出すか、見出してもらうかは避けられない問題です。

さぁ、実現可能性が高い道はどれだ!

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最も実現しやすく、その道を進むコストが低く、組織全体での価値が高まる道はどれでしょうか。

Case1: 他の人に管理職になってもらおう

  • 自分自身を含む、チームメンバーを統括し、リーダーシップを発揮してくれる
  • 既存の企業文化や働く人たちとマッチし、自社の価値を最大化する
  • 希望する労働条件は会社が提示できるものとフィットする

上記条件を満たす、まだ見ぬ人に入社してもらいましょう!

Case2: 自分が管理職としての仕事を全うとする

  • 自身がマネージメントの仕事と向き合い行動する

うまくいくかは別として、覚悟を決めて取り組みましょう!

現実的な落とし所

私はまだ、心のどこかで「Case1」の夢をみています。
一方で、その中途採用のマネージャー候補を屏風から出すことが困難なことも理解しています。

この文章を読んでいる人にも、今まさに上司からマネージャーになることへの打診があり、考えている最中かもしれません。
不本意であるものの、考えうる選択肢の中で自分が役割を担う「Case2」が妥当と認識している人もいるのではないでしょうか。

その場合は仕方がありませんね。
覚悟を決めましょう。

屏風から救世主のような人材を出せたら、そのときにはまた考えましょう。

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何からやろうか

覚悟は決めました。おめでとうございます。
上司からの打診を受けて、名刺の肩書が変わったかもしれません。

もしくは、私のように名刺の肩書はマネージャー的振る舞いを避けられないはずなのに、プレイヤー側にウェイトを置きすぎて、本来あるべき姿とのギャップを埋めることに取り組むのかもしれません。

ヒントを探す

クッキリとした輪郭の答えはきっとありませんが、思考する上でのヒントや補助線は世の中に沢山あるでしょう。
これまで人類はずっと長い間、組織マネジメントや教育、コミュニケーションについて何度も研究し議論してきたはずです。
読書などを通して、その知見を共有してもらうことが可能です。

エンジニアのためのマネジメント入門

マネジメントにおける広い分野で重要なポイントがわかりやすく書かれています。入門書として参考になりました。

エンジニアリングマネージャーのしごと ―チームが必要とするマネージャーになる方法

「訳者まえがき」の部分に強く共感しました。

しかし前述のとおり試行錯誤や探索が必要となる複雑な状況では、このようなやり方は機能しません。複雑な状況においてはマネージャーを含めて誰も答えを持ち合わせていません。したがって、チームに目的を与え、チームが自律的に機能し、成長を続けながらチーム自身で答えを見つけられるようにしなければいけません。マネージャーの役割はまさに機能するチームを作ることに他ならないのです。

本自体の内容は、前述のものと重複する箇所が多いですが、こちらも読みやすく参考になると思います。

何をやったか

私の場合は下記のような意識と行動を行いました。

作業に忙殺されないように

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プレイヤーとしてのキャリアを選択できるのであれば、日々の業務作業に忙殺される毎日でも良いでしょう。(健康管理には気をつけましょう)

しかし、マネージメントに力を入れる必要があれば膨大な業務から手を離さなければなりません。それが短期的には売上が下がるという痛みがあったとしても。

ここでの試みの詳細は下記の記事にまとめています。

コンフォートゾーンの外に立たせる

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コンフォートゾーンの外に立つのは苦しみが伴います。
しかし、だからといってその機会を奪うことは成長の機会を奪うことになります。
一番の学習方法は座学や理論の共有ではありません。その仕事において責任を持つ場所に立つことです。

ここでの試みの詳細は下記の記事にまとめています。

意識していること

どれだけ嫌われても良いが、意義や意図がある行動をする

チームとしての成果は恋愛を含む人間関係に似ていると前半で記載しましたが、恋愛や人間関係が非常に苦手な私にとっては、好かれることが仕事においてのゴールでないのが大きな救いです。

仕事に対する厳しいフィードバックを行う、細かな指摘や要望を出す、期待とのギャップを伝える、補助輪を外す、静観する、答えを先に用意しない。

これらは作業者にとって負担に感じるかもしれません。

何が正しいかは立場・視点・時間軸によって評価が変わるかもしれませんが、少なくとも業務においての行動や意思決定はすべて、なんらかの意図や意義をもって行うようにしています。

どんな係数がかかろうが、入力を0にはしない

10伝えて、7くらい伝わると、おおよそ想定通りです。

10伝えて、13くらい伝わる人もいます。
これは段階を踏んで伝えたほうが良いとこちら区切ったことを、そこからの展開を考えて後に予定していた3の部分も自ら理解する人です。たまにいますね。大好き。

10伝えて、3しか伝わらないこともあります。

かかる係数はその時々によって様々です。
不毛に感じることもあるでしょう。
だからといって、入力を0にすると係数がいくつであっても、必ず0にしかなりません。

しっかりと、伝える。何度でも。

誠実であること

嫌われることを避ける必要はそれほどないと思います。
しかし、不誠実ではいけません。
誠実さは簡単には伝わりませんし、アピールする必要もないと思いますが毎日の積み重ねの中で必ずにじみ出てしまうものです。
それは顧客相手でも社内でも同様です。3

顧客の成功を心から願い、そして喜ぶ。
これもまた、社内メンバーに対しても言えることです。
一緒に働くメンバーの成長やキャリアップを心から願い、そして喜びます。

望まずともその立場に立たされた人へ

この文章を読む人の中には、マネージメントのキャリアを望んでいないが、無理にその立場に立たされている人もいるでしょう。

でも、大丈夫。きっと大丈夫です。

よく考えてください。これまでに働いてきた職場で、あなたの考える“こうでなければならない”というマネージャー像を満たす人はどれだけいましたか?

管理職において満点なんてものはないでしょうし、皆に良い顔をすることはそもそも職責上できません。
新しいプログラミング言語を学ぶときと同じように、よく考え、よく調べ、試行錯誤を楽しみましょう。

募集しています

add moreではエンジニアマネージャーを募集しています。

屏風の中の中途採用のマネージャー候補は自分のことかな?
と思った人はコーポレートサイトまたはWantedlyからご応募ください。

  1. これは多くの会社でとてもよく聞くケースです。管理職は罰ゲームだと認識される所以でしょう。

  2. 表現は途中でもう少し変わりました。ちなみにこの記事についたソーシャルブックマークコメントやSNSなどの意見をみていると読んだ人によって捉え方が真逆だったりしてとても興味深かったです。マネージャーの理想像として捉える人もいれば非マネージャーとして当てはめる人も、責任感を感じる人もいれば無責任に映る人もいるようです。

  3. 「プロジェクトを推進する力とは何か」の「誠実であること」でもほぼ同じことを書いています。

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