はじめに
Synology NAS をここ3年ほど使用しているのですが,いかんせん1ベイのためストレージの冗長化がされておらず HDD の故障によるデータ破損が心配になってきました。
そこで,バックアップをパブリッククラウド(ここではOCI)にアップロードすることで可用性を高めていきたいと思います。
使用するツール
Synology ではクラウドと連携する代表的なツールとして次の2つがあります。
- Cloud Sync
Synology NASを、BackBlaze B2、Dropbox, Google Drive、Microsoft OneDriveなどのクラウドサービスに簡単に接続し、パブリッククラウドとプライベートクラウド相互の利点を組み合わせます。
https://www.synology.com/ja-jp/dsm/feature/cloud_sync
- Hyper Backup
Synology システムのフォルダ、システム設定、ソフトウェア パッケージをさまざまな保存先にバックアップします。ベアメタル復元でシステム全体のクローンを作成したり、ファイルレベルの復元で指定したデータを取り出したりできます。
https://www.synology.com/ja-jp/dsm/feature/hyper_backup
Cloud Sync は様々なストレージサービスとリアルタイムで同期するソフトのようで,バックアップとして使うのは Hyper Backup のほうが良さそうです。そのため,今回は Hyper Backup を使用します。
OCI 側での準備
OCIユーザーと IAMポリシー
Hyper Backup に OCI の口は用意されていませんが S3互換のAPIが使用できるのでこれを使用します。この場合,Object Storage にアクセスするためには「顧客秘密キー」が必要になります。
このようなクレデンシャルはOCI IAMユーザー1人に紐づくので,普段使いのユーザーで発行してもいいのですが,セキュリティを考慮して今回は別にOCIユーザーを切り出すことにしています。
OCIユーザーを作成したら,このユーザーでコンソールにログインすることはないので使用できるクレデンシャルは顧客秘密キーに限定しておきます。
バックアップのためのグループも作成し,使用するユーザーを所属させておきます。また,少し広めではありますが以下のようなポリシーを付与しておきます。
Allow group <backup-group> to manage object-family in compartment <backup-compartment>
顧客秘密キーを生成し,アクセスキーとシークレットを控えておきます。
Object Storage の作成
Object Storage を作成し,S3互換の URL を控えておきます。
今回は以下のような形式を使用します。
https://<namespace>.compat.objectstorage.<region>.oci.customer-oci.com
そのほかの URL の形式については以下のリンクから参照できます。
Hyper Backup 側での設定
Hyper Backup を起動して設定を進めます。
バックアップタイプとして「フォルダとパッケージ」と「LUN」の2つから選択できますが,今回は「フォルダとパッケージ」を選択しています。
バックアップ先には「S3 ストレージ」を選択。
上記で用意した必要な情報を入力します。使用するURLに応じてスタイル要求は選択し,うまく接続できていれば Bucket名が選択できるはずです。
バックアップするフォルダやアプリケーションを選択します。
バックアップ設定を入力します。
暗号化するように構成した場合,以下のような警告がされますので「はい」を押します。
次にローテーションの設定になりますので,適当に入力します。
Smart Recycleというのは次のようにいい感じにバックアップを間引いてくれる機能のようです。
Smart Recycle:指定したバージョン数を超えるまで、システムは各バックアップ バージョンを維持します。ローテーションが実行されると、システムはまずどの条件にも当てはまらないバージョンから交代し、既存のバージョンが次の条件に合う場合は、システムが最も古いバージョンを交代させます。
- 過去 24 時間分の時間ごとのバージョンを維持する:システムは、毎時作成した分から最初のバージョンを維持します。
- 日時バージョンを過去 1 日~1 ヶ月分維持する:システムは、毎日作成した分から最初のバージョンを維持します。
- 1 か月以上前の 1 週間毎のバージョンを維持する:システムは、毎週作成した分から最初のバージョンを維持します。
https://kb.synology.com/ja-jp/DSM/help/HyperBackup/data_backup_settings?version=7
最後にサマリを確認して「完了」を選択します。
次のようなエラー文がでることがあります。
ネットワーク接続が不安定であるか、またはシステムがビジー状態であるため、この操作を実行できません。後でやり直してください。
このエラーが出る原因としては様々あるようなのですが,私が遭遇したものとしては Object Storage のタイプをアーカイブにしているとクライアント側の都合で出るようです。アーカイブにしていた場合,標準にしてからもう一度試してみてください。
無事完了することができたら,OCIからもバックアップが作成されたことが確認できます。
復旧する
念の為,復旧する際の手順も確認しておきます。
虫眼鏡アイコンをクリック。
暗号化している場合はパスワードを入力。
「復元」をクリック
「復元されました」という通知を確認します。










