はじめまして、ゴミ回収の業務効率化のプロダクトでサステナビリティやサーキュラーエコノミーにインパクトを与えようとしているWOOMSの徳増こと @koheitokumasu です。WOOMSでは、チームメンバー全員で四半期ごとに「大事にしたい価値観」を合意しながら開発を進めています。
この記事では、なぜチームで価値観を持つことが重要なのか、そしてWOOMSがどのように価値観の合意形成を行っているのかについて共有したいと思います。
WOOMSが現在大事にしている価値観
まず、WOOMSが現在(2025年Q2)大事にしている価値観をご紹介します。
プロジェクト成果として重視すること
- 品質: バグが少なく期待以上の動作
- スピード: 早いリリース、期日の死守
- 基盤: 拡張性や再現性の高い開発基盤
- リスク: セキュリティ品質が高く安全
- ユーザー数: 顧客数が多い
- 多機能: 多くの機能を有する
- 予算: 予算内に収める
チームワークとして大切にすること
- 相談・対話を重視する
- 無理のない働き方
- 厳しいことも率直に話す
- 真心や気遣いを重視する
- 無理してでも結果を出す
これらの価値観は、チームメンバー全員で四半期ごとに合意形成を行い、優先順位を付けて決定しています。特に「品質」を最優先に、「相談・対話」をチームワークの基本として位置づけているのが、WOOMSチームの特徴です。
なぜチームで価値観を持つのか?
チーム開発において、意思決定の場面で意見が分かれることは日常茶飯事です。特に以下のような場面で、チーム内で衝突が起きることがあります。
- 開発の方向性(スピード重視 vs 品質重視)
- 優先順位の付け方(新機能開発 vs 既存機能の改善)
- リスクの取り方(積極的な挑戦 vs 慎重な検証)
- チーム運営の方針(個人裁量 vs 合意形成)
こうした場面で、その場にいるメンバーだけで(誰かに相談することなく)意思決定するための「判断基準」が欲しいと思ったのが、チーム価値観を持つきっかけでした。
WOOMSの価値観合意形成の目的
WOOMSでは、チーム価値観の合意形成を以下の3つの目的で行っています。
1. チームの意思決定を加速する
価値観が明確になっていることで、個々の判断が迷いにくくなります。例えば「品質を重視する」という価値観が合意されていれば、スピードと品質のトレードオフで迷った際に、より明確な判断ができるようになります。
2. ハイコンテクストの合意を得やすくする
チームメンバー全員が同じ価値観を共有していることで、細かい説明をしなくても「なぜその判断をしたのか」が理解しやすくなります。これにより、合意形成のためのコミュニケーションコストが大幅に削減されます。
3. 個人の思いや働き方をチームに乗せることでモチベーションを維持向上する
価値観の合意形成プロセスでは、各メンバーが「自分が大事にしたいこと」を表明し、それをチーム全体で共有します。自分の価値観がチームに反映されることで、より強い当事者意識とモチベーションを持つことができます。
WOOMSの価値観合意形成のプロセス
元々はインセプションデッキを参考に
WOOMSの価値観合意形成は、アジャイル開発で使われる「インセプションデッキ」を参考にして始めました。インセプションデッキは、プロジェクトの目的や価値観を明確にするための手法で、以下のような項目を整理します。
- プロジェクトの目的
- 成功の定義
- リスクと課題
- チームの価値観
これを参考に、WOOMSでは四半期ごとに価値観を見直す仕組みを作りました。
具体的な進め方
-
事前アンケートの実施
- 各メンバーが重要だと思う価値観を選択・評価
- 自由記述で追加したい価値観を募集
- チーム運営に関するスタンスを確認
-
結果の共有と議論
- アンケート結果を全員で共有
- 意見の違いや背景を理解し合う
- チームとしての方向性を確認
-
価値観の合意形成
- 優先順位を付けて価値観を整理
- チーム全体で合意できる形に調整
- 四半期の価値観として確定
実際の価値観の変化
2025年Q1の価値観
プロジェクト成果
- スピード: 早いリリース、期日の死守
- 基盤: 拡張性や再現性の高い開発基盤
- リスク: セキュリティ品質が高く安全
- 品質: バグが少なく期待以上の動作
- スコープ: 機能を全て揃える
- 成果: 売上が高いか顧客数が多い
- 予算: 予算内に収める
チームワーク
- 相談・対話を重視する
- 真心や気遣いを重視する
- 厳しいことも率直に話す
- 無理のない働き方
- 自由に楽しくやる
- 無理してでも結果を出す
- 単独でガンガン進められる
2025年Q2の価値観(現在)
プロジェクト成果
- 品質: バグが少なく期待以上の動作
- スピード: 早いリリース、期日の死守
- 基盤: 拡張性や再現性の高い開発基盤
- リスク: セキュリティ品質が高く安全
- ユーザー数: 顧客数が多い
- 多機能: 多くの機能を有する
- 予算: 予算内に収める
チームワーク
- 相談・対話を重視する
- 無理のない働き方
- 厳しいことも率直に話す
- 真心や気遣いを重視する
- 無理してでも結果を出す
選外となった項目
- 単独でガンガン進められる
- 自由に楽しくやる
価値観の変化から見えるもの
Q1からQ2にかけて、以下のような変化が見られました。
プロジェクト成果の変化
- 品質が最優先に: Q1ではスピードが1位でしたが、Q2では品質が1位になりました
- ユーザー数への意識向上: 「成果」から「ユーザー数」に具体化され、顧客視点がより明確になりました
- 多機能への意識: 新たに「多機能」が追加され、プロダクトの充実度への意識が高まりました
チームワークの変化
- 「単独でガンガン進められる」が選外: 個人プレーよりもチームワークを重視する方向にシフト
- 「自由に楽しくやる」が選外: より目的意識を持った働き方を重視する方向に
価値観合意形成の効果
意思決定の加速
価値観が明確になったことで、以下のような場面で意思決定が加速されました。
- 開発優先順位の決定: 品質重視の価値観により、バグ修正と新機能開発の優先順位が明確になりました
- リスク判断: セキュリティ品質を重視する価値観により、セキュリティ関連の対応が迅速になりました
- チーム運営: 相談・対話を重視する価値観により、問題が起きた際の早期共有が促進されました
チームの一体感向上
価値観を共有することで、以下のような効果が得られました。
- 共通言語の形成: 「品質重視」「相談・対話重視」などの言葉が、チーム内での共通言語として機能
- 相互理解の促進: 各メンバーの価値観を理解し合うことで、より深い相互理解が生まれました
- モチベーションの向上: 自分の価値観がチームに反映されることで、より強い当事者意識を持つことができました
今後の課題と改善点
価値観の活用度向上
現在の課題として、価値観を日常的な意思決定に活用しきれていない部分があります。今後は以下のような取り組みを検討しています。
- 価値観チェックリストの作成: 重要な意思決定時に価値観に照らし合わせてチェックする仕組み
- 定期的な振り返り: 価値観に沿った行動ができているかを定期的に振り返る機会の設定
- 価値観の可視化: チームの価値観をより目に見える形で共有する仕組み
価値観の継続的な更新
価値観は固定的なものではなく、チームの成長や状況の変化に応じて更新していく必要があります。今後は以下のような取り組みを検討しています。
- より頻繁な見直し: 四半期だけでなく、必要に応じて価値観を見直す機会の設定
- 外部環境の変化への対応: 市場環境や競合状況の変化に応じた価値観の調整
- チームメンバーの成長への対応: メンバーの成長や価値観の変化を価値観に反映する仕組み
なぜ「16倍」なのか?
ここで、タイトルの「16倍」について少し説明させてください。
WOOMSのチームメンバーは現在8人です。価値観合意形成により、各メンバーの意思決定速度が約2倍になったと仮定すると:
8人 × 2倍 = 16倍のチーム全体の効率化
もちろん、これは単純な掛け算で計算できるものではありません。実際には:
- 意思決定の迷いが減ることで、会議時間が短縮される
- 共通言語ができることで、説明コストが大幅に削減される
- モチベーションが向上することで、各メンバーの生産性が上がる
- チームの一体感により、連携ミスが減り、品質が向上する
これらの効果が複合的に作用することで、単純な足し算以上の相乗効果が生まれています。実際の効果測定は難しいですが、少なくとも「価値観がない状態」と比較すると、明らかにチーム全体の動きがスムーズになったと実感しています。
まとめ
チームで価値観を持つことの意義は、単なる「理想」を掲げることではありません。それは、チームの意思決定を加速し、メンバーのモチベーションを向上させ、より良いプロダクト開発を実現するための実践的なツールです。
WOOMSでは、この価値観合意形成を通じて、チームとしての方向性を明確にし、個々のメンバーがより主体的にプロダクト開発に参加できる環境を作り上げています。
価値観は一度決めたら終わりではなく、チームの成長とともに継続的に更新していくものです。今後も、チームメンバー全員で価値観を見直し、より良いチームづくりを目指していきたいと思います。
おわりに: WOOMSではエンジニアを募集中です
ここまで読んでいただきありがとうございます。
このブログでご紹介した「チーム価値観の合意形成」は、WOOMSというプロダクトチームが大切にしている開発の姿勢そのものです。
私たちWOOMSは、廃棄物処理という社会インフラ領域に向き合うSaaSプロジェクトです。単なる"ごみの管理"にとどまらず、地域社会の課題解決と、循環型社会(サーキュラーエコノミー)実現の一歩を支えるデジタルソリューションを提供しています。
現在、このプロジェクトではエンジニアを募集しています。以下のような価値観や環境に魅力を感じていただける方は、ぜひ一緒に働きましょう。
- チームで価値観を共有し、合意形成を大切にする開発環境
- 個人の成長とチームの成長を両立させる働き方
- 社会課題の解決を通じて、より良い社会づくりに貢献する機会
プロジェクトの立ち上げ期だからこそ、コードを書くことも、チームづくりも、すべてが次の社会を形づくる"手触りある仕事"になります。
もし、未来の当たり前を一緒につくる仲間として興味を持っていただけたら、ぜひご連絡ください。