はじめに
複数LPAR間でテープ装置を共有して使う場合の、資源の切り替え検証を行いました。
今回は以下の2種類の検証を実施しております。
- HMCから資源の割り当てを直接切り替える方法
- 仮想SCSIを用いて切り替える方法 手順資料
(2の方法は物理LPARではなく、IBM i ホスト-クライアントの構成である必要があります)
環境情報
- マシン:9009-42A (IBM Power S924)
- OS:IBM i 7.4
- ドライブ:LTO5
- テープ:LTO6
- SASアダプター:PCIe デュアル x4 SAS アダプター (FC 5901)
- HMCバージョン:V10 R3 SP1050
LPAR 情報
- ホスト区画:IBMINWS
- クライアント区画:IBMITS01、IBMITS03
1.HMCから資源の割り当てを直接切り替える方法
本検証ではクライアント区画であるIBMITS01とIBMITS03間で資源の切り替えを行います。
この方法は、IBM iホスト-クライアントの構成である必要がなく、物理LPARでも実施できます。
事前準備
マシンの資源情報を確認する
HMCのシステムから該当マシンを選択、
左側のプロセッサー、メモリ、物理I/Oアダプターから、SASアダプター(PCI-E SAS Controller)が未割り当てであることを確認します。
アダプターを割り当てる
IBMITS01にSASアダプター(PCI-E SAS Controller)を割り当てます。
システム>リソースからIBMTS01を選択し、左側の物理I/Oアダプターを選択します。
そこからアダプターの追加を行ってください。
変更が終了したら右上の保管ボタンを押します。
IBM i から資源の情報を見る
WRKHDWRSC
コマンドでOSがアダプターおよびテープを認識しているか確認します。
CMB08のDC04が今回アサインしたアダプターです。
DC04でオプション7を選択すると、TAP01としてテープ装置が認識されていることがわかります。
(テープ装置だと認識するまでには少し時間がかかります、2-3分くらい待ちました)
WRKCFGSTS CFGTYPE(*DEV)
でテープの状況を見てみます。
では、IBMITS01からIBMTSI03にテープ資源を切り替えます。
テープをオフに構成変更する
IBMITS01にて以下のコマンドを実行し、テープの構成をオフにします。
VRYCFG CFGOBJ(TAP01) CFGTYPE(*DEV) STATUS(*0FF)
HMCでアダプターを付け替える
IBMITS01からSASアダプターを剥がします。
該当LPARを選択し、物理I/Oアダプターを選択します。
除去対象のアダプターを選択し、アダプターの除去を押します。終わったら保管を押します。
IBMITS03にアダプターを割り当てると同じ手順でアダプターを割り当てます。
移動先LPARにてテープ装置をVary Onする
IBMITS03にサインオンし、WRKHDWRSC
やWRKCFGSTS
でテープがOS側から認識されているかを確認します。
装置が自動構成になっていれば、自動的にVary Onになりますが、なっていない場合は以下のコマンドでテープ装置をVary Onします。
VRYCFG CFGOBJ(TAP01) CFGTYPE(*DEV) STATUS(*ON)
Vary onが失敗した場合は、2-3分待ってからもう一度実行してみてください。
(テープの移動後、OSに認識されるまで少し時間がかかるため)
2.仮想SCSIを用いて切り替える方法
ホスト区画であるIBMINWSを用いて、1のようなアダプターの物理付け替えを行わずにテープ装置をIBMITS01からIBMITS03に切り替えます。
環境概要として、IBMINWSがホスト区画で、2つのクライアント区画(IBMITS01とIBMITS03)がある環境で検証を実施いたしました。
AIXでいうVIOS環境のようなものです。
またNWSDの作成から行う場合はこちらの手順を参考にしてください。
手順資料
事前準備
ホスト区画にSASアダプターがアサインされていることを確認
HMCからテープ装置に接続されているSASアダプターがホスト区画にアサインされていることを確認します。
ホスト区画でテープ装置を使用不可にする
クライアント区画でテープ装置を使用するためには、ホスト区画でテープ装置を使用不可にする必要があります。
WRKCFGSTS CFGTYPE(*DEV)
のオプション2で、今回はTAP02として見えているテープ装置を使用不可に変更します。
ホスト区画からクライアント区画の回線記述をオンにする
ホスト区画であるIBMINWSにサインオンし、下記コマンドでクライアント区画を確認します。
WRKCFGSTS CFGTYPE(*NWS)
テープを認識させたいクライアント区画に対して、オプション 1 (オンに変更) を実行します。
クライアント区画からテープ装置の状況を確認する
オンに構成変更したクライアント区画(今回はIBMITS01)にサインオンし、テープの状況を確認します。
以下のようにTAP02として使用可能になっていることがわかります。
このテープ装置をIBMITS03で使用したい場合、同様に以下を実行して切り替えることができます。
- IBMITS01でテープ装置を使用不可にする
- IBMINWSで
WRKCFGSTS CFGTYPE(*DEV)
からIBMITS01の構成をオフにする - IBMITS03の構成をオンにする
Tips
テープ装置の構成をオフにするとドライブからテープが飛び出してきてしまう問題
オフに構成変更時の装置のアンロードを*NOにするとテープが飛び出てこなくなります。
CHGDEVTAP
で設定変更が可能です。
この構成だとオフにした際、飛び出てきてしまいます。
ドライブとテープ装置問題
ドライブはテープを読み取る装置のこと、テープはテープ本体です。
(私は語彙がごちゃごちゃになっていたので、、)
ちなみにOSにTAP01として認識されているのはドライブです。