この記事は【GAOGAO Advent Calendar 2025】の 10日目の記事です。
はじめに
普段は人に見せずに自分の中でだけ消化するのですが、機会をいただいたので公開したいと思います。関係者各位ありがとうございます。
誰のためになるのかは分からない内容ですが、2025年の棚卸しということでよろしくお願いいたします。
当時の背景、何を思っていたか、できたのか、できなかったのか、なぜやめたのか。そういうことを思い返しながら振り返っていこうと思います。
Products
絵文字の意味
💥:ボツ
🚀:完成
GitVisualizer 💥
背景
Git、というかバージョン管理の考えは世の中にもっと当然のようであって欲しいと思っていて。
Git 初学者にとって、 Git 動作は脳内イメージを作成しづらいよねと思っていた。
Git コマンドがブランチにどう影響してコミットはどう変わるのか?を視覚化してくれるサイトを作ろうかなと着手開始
やめた理由
Git コマンドによるブランチやコミットへの作用をアニメーションで表現しようと作っていたが、
その部分のロジックを作ってる時にめんどくさくなってやめた(と思う)
Git 操作のロジック化は Git 内で出来上がってるでしょ…
左側はコマンド入力欄、その下に打ったコマンドの詳細を表示して、右側に Git コマンドによるブランチ・コミットへの影響をアニメーションさせる予定だった

所感
Elephant:New layout, image viewer for iOS 💥
背景
趣味で生成 AI で画像を大量に作っていて、それをディレクトリにまとめていた。そういった、ディレクトリ構造内に大量にある画像を効率的にみたい!という思いから着手
やめた理由
いい UI が…
思い…
つかなかったんですよねぇ…
こういうビューワーアプリって UI が核も核で、そこを思いつけなかったら作る意味がないのよね
技術的には、大量の画像処理をこなせる実装と SwiftUI の未熟さが噛み合ってなかったのもある
所感
iOS 26 で刷新された写真.app をみた時に、悔しさと、向かう方向性が間違っていなかったことによる嬉しさが心に同居して複雑になった。
Hatena Anonymous Reader for Mobile 💥
背景
いわゆる増田リーダー。観測している感じだとはてなアノニマスの閲覧者は多いのですが、その割にはマシなビューワーが無いなと長年思っており。何かしらの LLM モデルが進化した際に試行してはボツを繰り返している。
やめた理由
Anonymous の情報ははてな API では取得できない(よね?)ので、自分で API を書くことになります。「はてな記法」を API でうまく表現できなくてやめた(と思う)
所感
Anonymous エントリの情報を取得できる方法を知っている方がいたら教えてください。
まだ燻っているので
Closed Podcast SNS 💥
背景
友人と Podcast を撮っていた時期があって、その Podcast を公開するサイトを作ったことが始まり。Discord じゃないけど、知ってる人だけで公開や視聴、運用できる Podcast サービスがあったら良いのではという感じ。
やめた理由
あんまり思い出せない。おそらく熱もそんなになかったんだと思う。
- 大きなサービスの「共有範囲指定機能」でよくない?
- Spotify や Voicy との差別化はどうする?
とか、この辺の問いへの答えが出せなかった
所感
身内ノリは楽しさへ繋がることをこの頃に認識した。
Line Stamp 🚀
背景
ChatGPT に DALL·E が搭載された時期に SNS で流れてきたアイディア。を、本当にやってみようと思って始めた。プロダクト制作はノリと勢いが大事。
成果物
[柴んくん(Line スタンプリンクです)]([柴んくん]
https://line.me/S/sticker/30369439/?lang=ja&utm_source=gnsh_stickerDetail)
所感
経緯と公開したことを伝えたら身の回りで数人ほど買ってくれた。額がどうこうではなく本当に嬉しかった。あの時はありがとう。
たまに送られてくるとむず痒くなるけど。
構想30分-作成2時間-公開1時間くらい
今見るとまんま「LLM産」だなー。
仕事終わりのオフィスで、あのプロンプトが良いこれが良いと騒いでいたり、かと思えば黙って作業していたり。あの時間が好きだった。
Fridge Board:Asynchronously Web Memo 🚀
背景
訳あって共同生活をすることになったのが始まり。Slack で連絡をとっていたが、「もう少しここにいる人間だけに向けたたわいもない連絡とかあるんじゃない?」と思って着手
成果物
所感
「冷蔵庫にメモ書きを貼って家族に伝える」コミュニケーションをサービスに落とし込んだ。なので URL を知っていれば誰でも参加可能、時間(30日だったかな?)が経ったら勝手に消えたり、匿名でかけたり、メモ用紙 UI の色を変えられたりできるようにした。
仮でコミュニティに公開したら、使っています報告が来てとても嬉しく感じたことを今でも思い出す。
「そのサービスを開かないといけない」という制約を突破するのがキツイよなーと思った記憶がある。
{好きなキャラクター} 口調の3行ニュース 💥
背景
Gemini 2.0 (だったかな)が出たあたり。
- 「キャラクター性が強く出せる」みたいな話
- SNS でみた「LLM で爆速ニュース要約サービスは時間がないサラリーマンに刺さる」
- 「ニュース要約は熱い」というリアル知人からのタレコミ
を信じてノリで開発着手
やめた理由
Gemini の調教がうまくいかなかったのと、キャラクター選定に最後まで困って頓挫
所感
出力されるギャル構文が嘘くさいんじゃ!と思った記憶がある。当時の壁打ち結果が存在していない事がおしい。(もう履歴から消えちゃった)
朝の満員電車に揺られながら、好きでもない会社の人間との雑談のためにギャルの3行ニュースを読んでいるサラリーマンを想像したら悲しくなったことを思い出す。
LLM と書く、恋愛 note 記事 🚀
背景
ChatGPT 4o が出た時。
文章生成が飛躍的に伸び、かなり読む人間に寄り沿う文体を出力できるようになった。LLM 開拓の潮流がものすごく激しくて、なんとかしがみつきたいと模索していた時期。とにかく使わないと話にならないので、毎日何かしら生成することを目的に始めた。
当時マッチングアプリを利用していて、そこでも LLM を用いてチャットの返答を行なっていた。
「恋愛トピックって万人共通で興味があるのでは?」と思い、note に恋愛記事を毎日投稿することに決めた。
成果物
所感
○カキンはすごい。最終的には3ヶ月に満たないくらいで飽きてしまって毎日投稿をやめた。数字増えても特に喜びを感じなかったのも大きい。
投稿初めは1つの記事を作るのに1時間かかっていた。
- サンプル提示によって出力文体をなるべく固定化する
- 1週間1サイクルで効果的な読書フローになるようにトピックを構造化
- それまでのタイトルをコンテキストとして渡すことで、次の1週間のタイトルを決定
- ChatGPT タスク(だったはず)で半自動生成
この辺りの整備を行ったことで、1記事5分で作成できるようになった。note は当時 API を公開していなかったので、文章のコピペと note 用の整形だけ手動でやる必要があった。
このエントリー執筆のために、久しぶりにダッシュボードを確認したら驚くくらいビューがあった。多分冬に近づいているからだと思う。あとコメントくれた人ありがとう。見ていないけど届いています。
Staminova:エンジニア * 診断 * 体力向上サービス 💥
背景
前提として、人生における行動力、集中力、精神力や気力というものは、体力がベースにあると思っている。
「人生を豊かに過ごすために、基礎体力を増やすにはどうすればいいか」という問いをこの時よく考えていて、その一環としてサービスを作ろうと思ったのが始まり。
- 「体力」という概念を4つの分類に分けて説明した SNS ポスト
- 知り合いから紹介された、「エンジニア人材提供会社(だったかな?)が作成した診断サイト」を試した
上記2つが同時期に発生して、くっつければいいじゃーんと思ったことを覚えている。
「4つの分類に分けられた「体力」の中から、自分に何が足りていないのかを診断する診断サイトを構築して、同ブランドとして展開したワークアウトアプリに誘導する」という流れを構築しようと計画
やめた理由
- 自分はスポーツ医学の専門家じゃない
- スポーツにおけるビッグデータを持っている会社がやった瞬間に終わる
- なんならもうやってる(はず。表出していないだけで、ビッグデータに基づいた施策を打てる)
作りながらこの辺のことを考えていたら開発の体力がなくなった。(あるいは気力
所感
行動力、集中力、精神力や気力というものは、体力がベースにある
この考えは変わらず持っていて、人・運動・健康みたいな分野は関わりたいなと思い続けている。
untitled:記憶定着支援 macOS アプリケーション 💥
背景
これはかなり薄い思いで始めたから記憶にもあんまり残っていない。
LLM が出たことによって勉強方法が変わるだろうな、という兆しを感じていて勉強のためのアプリを作成したいなと思っていた。
LLM に尋ねれば(あっているかどうかは別として)答えはすぐに出る世界を眺めながら、「人がその瞬間に憶えている、生み出す」ことの価値が上がるのではないかと考え、より良い記憶を行えるようにするサービス・プロダクトが作りたくなった
やめた理由
- 自分は脳科学の専門家ではない
- 似たようなサービスはすでにたくさんある
- 真面目な方向性でいくと差別化できないなと思った
所感
こういうのって、定量的な結果を保証するのがものすごく難しくて、そうでないと真面目な人間に虚構を押し付けることになるんじゃないかなって。専門家なら自分の理論と前に進み続けられるのかもしれないけれど、自分はそうじゃなかったので早めに辞めた。
株自動売買 bot 💥
背景
エンジニアだったら一度は挑戦してみたくなりますよね、この領域。(適当です)
株式市場にアンテナを貼っていたらある SNS の投稿が目に入ってきて、その内容が驚嘆だったので真似してみようと思った事が始まり。
やめた理由
臆したから。
所感
プロダクトとしては、株式を API 経由で取引できるサービスと、チューニング可能な取引ストラテジーを接続して自動で取引させるという、いつものやつ。
完成させるまではノリノリで実装できていて、毎日ワクワクしながらパソコンに向かっていた記憶がある。
実際に動かせるようになって、テストしてみたらなんかちがうなぁって。ボコボコに負けるなら諦めもつくんだけど、なまじ勝ってしまうせいで現実感が強く襲いかかってきたというか。自分のプロダクト疑いが出てきてしまった。
あと、プロダクトをどこに着地させようかなというのも悩んでいて。
- 自分の株式運用にだけ使用する
- そういう製品として売り出す
自分の株式運用にだけ使用する
上でも書いたけど、なまじリザルトが良かっただけに日和ってしまったんですよねぇ。自分がこういう部分で臆病なのはわかりました。こういうタイプのプロダクト開発話のオチは負けることって相場は決まってるのにねー。結果を出せなくて申し訳ないです。
そういう製品として売り出す
これは拒否感がかなり強くて。そもそも製品としての質も成果も担保出来ない。一歩間違えなくてもWEBサイトの左右どちらかに登場する怪しい広告になってしまうなと。
完成前まではそこそこ突っ込んで回してみようと思ってたんだけどな〜。
たまに存在を思い出しては動かす誘惑に襲われて止める。そういう負の遺産みたいなプロダクトになってしまった。
8-bit Surfer:モバイルゲーム 💥
背景
LLM の新しいモデルが出た時にはよくモバイルアプリを作らせていて、これがまた出力の良くないこと。Gemini 2.5 Pro が出た時に、そろそろゲームくらいは出来るんじゃない?と思って作り始めた記憶。
SNS でレトロ風なドット絵 gif を見かけて、これと昔ながらの無限スクロールポイント稼ぎゲームを混ぜようと思い至った。
やめた理由
- 自分にゲーム開発のノウハウが無い
- LLM もたいして補佐してくれない
素直に技術力不足で辞めた
所感
With LLM な素早い開発もできなかったし、そもそも情熱もそんなになかったので頓挫も早かった。
TopicBar:Meeting topics display app for macOS 💥
背景
スプリントプランニングのような長時間になりがちで、かつ画面共有が必要な会議に参加している際に、少し集中を切らすと話題迷子になることが多々あった。また、「プランニングの進め方」のような**「進行ステップ」**がすでに存在する場合は画面上に常に現在のステップが表示されていてくれた方が会議に参加している人間が迷子にならないのにな、と思ったことがきっかけで着手。
ChatGPT も 5 Codex が出たタイミングで、流石に macOS アプリも行けるようになっているのでは?と思った。
やめた理由
- 作っていて、シンプルにいらないなと思った
- 結局 Topic を操作する手間がかかる
- 手間の割には有用ではない
- =豊かにもならないし、収益も見込めない
- ニッチすぎる
*制作中途画面
上が常設のビューで、下が編集画面。ダサい。
もっといいデザインにしたい!と思って再思案し始めたけれど、その思案によってボツ入り。初期構想が弱い場合におきがち。

所感
ニッチ需要はよっぽどじゃないと気力が続かないよねぇ。自分がユーザーの一人とかだといいんだけどね。
画面共有中に表示するためのものだったので、「常設」にする必要があった。macOS はその辺がちょっと難しいんだよね。スクリーンの状態が多いから。
その辺を詰めきれなかったのも頓挫に一役買っている。
TapTaiwan:Specific area Craft Beer Curator 💻
背景
出たんだよね、Gemini 3 Pro が。これがまた評判良くて、さらに Google 謹製 IDE の Antigravity も出たとなれば試すよね、プロダクト開発。
プロダクト開発合宿で台湾に行った事と、SNS で Gemini 3 Pro で 1 時間でアプリを作ったという投稿内容を真似したくなった事がきっかけ。
そのアプリ自体が結構ニッチ向けで、軽く作るにはいいかーと思って着手。LLM と壁打ちしていけそうなニッチ分野にアイディアをスライドさせて作成することにした。
成果物
所感
Gemini 3 Pro & Antigravity はものすごく調子がいい。Swift, SwiftUI はやっぱり学習が進んでいないっぽくて、古かったり間違えていたりが多い。それでも上記のセットはビルドエラーも少なくいけている。なんなら Xcode のビルドの方が LLM の出力待ちより長いのでは?と思うこともある(流石にそんなことはない)。
PoC はもうできていて、バグもなく動くからあとは微修正するのと提出作業で終わり。
これに関しては、とりあえず出してからモノを考えようかなと思っている。
おわりに
壁打ちレベルで終わったものや PoC を作って終わりーみたいなものもありますが、自分でレビューしたり手をつけたものだけにしました。LLM のおかげで思案から PoC までが恐ろしく早くなったので、とりあえず作って試すが気軽にできて良い時代です。
自分がプロダクトを作っている時に感じる肌感覚があって、「全体の8割が終わってようやく半分」というものがあります。つまりは完成させることの難しさみたいなことですねー。LLM のおかげで8割ラインまでは爆速で行けるようになりました。ですが、そこからの2割の重さは変わらない、もしくはより重くなったと感じています。
ものやサービスを完成させる能力は完成させることでしか成長しないとも思っていますし、残り2割を埋められる力はもっと大事になっていくのでしょうね(と、ボツを大量に作った人間が言っています)。
来年もまた激動の年になるのかなー、ボツプロダクトのためのリポジトリを作るのかなーと、世界と自分に思いを馳せつつ、今日も LLM と壁打ちしています。
Let's trash and release!
それではまた来年お会いしましょう〜






