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製品の概要

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CVITEK社のCV1800Bが実装されたLinux評価ボードです。スペックについては公式ページを見てもらうとして、結局何が新しいのかが伝わってない印象をうけるのでそれについて説明していこうと思います。

milk-v duoは基本的に監視カメラ向けのハードウェアが実装されていますが、有線LANのインターフェイスも持っているため、ネットワーク系のアクセサリ開発にも使えます。

価格

評価ボードの価格は9ドルです。Linuxが動く割にはすごく安いと思うかもしれませんが、実はこれに搭載されているMCU(CV1800B)は量産価格で3ドルを大幅に下回るので、そっちの方が驚きです。

CVITEK社は中国の企業でシャオミ社が出資していますが、調達に関しては日本に代理店はなく、CV1800Bは中国で調達する必要があります。「自社製品で採用したい」というチャレンジャーがいれば中国調達がんばりましょう。色々障害が多そうですが...。

アーキテクチャ

CV1800Bについては価格を抑えるためにアーキテクチャがすごい割り切りで作られているので、あまり高機能ではないです。逆にシンプルで使いやすい印象は受けます。

milk-v duo単体でCV1800Bの機能はほぼすべて使えるので、製品開発の先行評価には十分です。この価格で評価可能な環境が整うのは魅力的ですね。

CV1800Bのアーキテクチャの基本的なところは以下の通りです。

Item Spec
プロセッサ CVITEK CV1800B (C906@1Ghz + C906@700MHz)
アクセラレータ TPU (AIアクセラレータ)
メモリ DDR2-SDRAM (SoCに内蔵)
ストレージ MicroSD or 外付けNAND/NORフラッシュ
USB Type-C
カメラ MIPI-CSI2 (2レーン)
ネットワーク 有線イーサネット (100Base-TX)

コミュニティの状況

実はまだ盛り上がっていないです。これからといったところ。中国でもそんなに濃密なやりとりがされている感じではないです。

結局のところ、流行るかはやらないかはコミュニティの力、個人の意思と偶然の産物です。良いデバイスなので何とか盛り上げたいなあと思っています。

開発における勝負どころ

「milk-v duo回路図」

外付け部品(電源のDCDCコンバータと水晶、フラッシュメモリぐらい)が少なく、回路設計がめちゃくちゃ簡単なところがいいところです。SDRAMが内蔵なのが大きいです。

SDRAMが64MBというのがこの価格を実現する上で重要なポイントです。メモリ64MBでLinuxを動かすのは大変ですが、buildrootによるユーザランドがとても小さいため、単一のアプリケーションを動かすだけであれば何とかなります。色々動かそうとすると無理になるので単機能の製品を作るのがポイントです。

「メジャーなAIアルゴリズムYOLO」

iPhoneですらAIのソフトウェアを動かすにはメモリが足りないことがあるぐらいなので、かなりの最適化が必要です。ぶっちゃけ監視カメラで使うAIのアルゴリズムはYoloと相場が決まっているのでYoloを動かすかだけに注力しましょう。ちなみに自分はまだ動かせていません。

TPUに関する情報は2023年10月に公開されたばかりです。またカメラのサンプルソフトウェアがソースコードが公開されていないため、個人でカメラの開発を行うのは現状困難です。待っていれば新しい情報が順に公開されているので気長に待ちましょう。

アプリケーション

想定されるアプリケーションは監視カメラが最大のものですが、ネットワークにも対応しているため、いろいろなものが考えられます。これを考えるのも重要なことですね。

  • カメラによるセンシング
    • 特定の何かが映ったらログを採ったり、照明を付けたりなどのリアクションしたり、物理的な自動化ができます
  • オートリブーター
    • ネットワークが疎通しなくなったら電源を再起動する装置が作れます
  • DHCP/DNSサーバ
    • ネットワークが100Base-TXで速度が遅いですが、DHCP/DNSならさばけます
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