はじめに
これまで社内SEとして地方の建設系企業に勤務していましたが、このたび転職活動を行いフルリモートの受託開発企業の内定を得ることができました。
エンジニアとしてのキャリアを今まで満足な形で進められていなかったので、本当に転職できるのだろうか…と漠然とした不安もあったのですが、採用ポイントと自分の現状がしっかりと把握できていれば、ビハインドがある中でも挽回は可能だと感じました。
私個人の限られた経験ではありますが、一事例として参考にしていただければ幸いです!
これまでの経歴
現在31歳で、建設系のコンサル会社に社内SEとして約7年間従事していました。
社内SEなのでアカウント管理やヘルプデスクもやっていましたが、独学ながらもNextJSやFlaskで社内Webアプリを構築したり、古のFortran77で書かれた社内システムをGoにリプレイスしたり、Cloud Run、Terraform、IAPを用いて社内Webアプリを用意したりといった開発も行っていました。
ただし、学歴と職歴は紆余曲折あり、電気電子系の学部に5年通った後に中途退学して、その後派遣社員としてバックオフィスを2年続けていました。
その次の派遣先企業にしばらくお世話になった後、正社員登用される形で社内SEとなりますが、基本的に開発タスクは1人で行っていた・・・という経緯のエンジニアでした。
転職活動の流れ
選考について
| 書類 応募 |
書類 通過 |
一次面接 通過 |
最終面接 お見送り |
内定 |
|---|---|---|---|---|
| 30社 | 13社 | 7社 | 3社 | 3社 |
- 時系列
- 5月
- プロジェクトの切れ目を目処に退職の意向を伝える
- 9月
- 残作業や引継ぎの関係で時間がとれず、転職活動は特になし
- そのまま会社を退職
- 10月
- 本格的に転職活動を開始する
- 以前から志望していた受託会社に応募。一次面接でお見送りとなる
- 転職ドラフトに登録
- 転職ドラフトエージェントにも登録して求人紹介を受ける
- 11月
- 紹介企業に10社ほど応募するも、書類通過は1件のみ
- 転職ドラフトで2社から指名をもらい、計3社の面接対策を進める
- うち2社は一次選考でお見送りとなる
- 1社は最終面接まで進むもお見送りとなる
- 12月
- 職務経歴書をブラッシュアップし、レバテックキャリアに登録
- ここからはSIer・SES企業も含めて応募を進める
- 書類通過率が格段に上がる。15社中9社に書類通過する
- ひたすらWeb会議。10日間で面接12件、対策面談10件
- 3社から内定をいただく🎉
- 5月
面接の中で確認された点
これは人や職種によって異なると思いますが、自分の場合(バックエンドの開発経験2~3年程度が要求レベル)は以下のようなことを聞かれました。
- よく聞かれたこと
- 志望動機、転職の軸、転職の理由、今後のキャリア像
- なんで大学やめた?その後はどうしてた?
- どのようにプロジェクト進行を管理・報告していた?
- なぜこの技術スタックを選定したのか?
- 要件定義や開発のすり合わせ等で開発メンバー以外と打ち合わせする際はどんなことを意識していた?
- たまに聞かれたこと
- フルリモートで働きたいのはなぜ
- フルリモートで働くためにどんなことが必要か
- あなたの長所と短所は?
- 開発ドキュメントはどのように残していた?
- プロジェクトのリリースが遅れた、または思うようにいかなかったことはあるか
- 今までどんなレビューを受けた/したことがあるか
- 最も自分がパフォーマンスを出せたプロジェクトについて、開発はどの順番で意識していたか並べてください(安全性、可用性、UI/UX、開発速度、開発生産性)
- 技術質問
- HTTPのステータスコードを知ってる限り挙げてください
- Webのアプリ端末から銀行の送金処理を行うケースを考えます。この処理をバックエンドのAPIとして実装する際に起こりうるエラーを思いつく限り挙げてください
- 選定したライブラリ/フレームワークと類似の機能を持つものを挙げてください。それはどんな違いがあり、今回使わなかったものを選定するとすれば、それはどんな時なのか教えてください
- 選定した言語やライブラリに起因する、最も解決に苦労したバグや不具合を教えてください
- メンバーが自走して開発するためには何が必要?
転職の軸をどう決めていったか
まず、転職活動の中で最も大事なのは転職の軸を固めていくことだと思っています。
面接官の視点で考えると、面接でまず明らかにしておくべきことは、「なぜ現職をやめて、うちに転職しようとしているのか?」 です。
自分の場合は基本軸として以下を用意していて、志望企業の文化ごとに動機をチューニングしていました。
- Go、TypeScript、Pythonで開発でき、AWSなどクラウドインフラにも関われる
- ソフトウェアエンジニアリングを好きな人たちがいて、各個人の技術を伸ばすための土壌が整っている
- リモートワークでも働きやすい環境である
ここで転職理由の意味づけが出来ていないと、具体的なエピソードが絡んだ志望動機や今後のキャリア像が浮かんできません。採用面接においては志望者の価値観や行動特性を炙り出すことが重要なので、ありきたりな回答しか出てこなければ基本的には採用ラインに到達するのは難しいのが現実だと感じました。
とはいっても、普通は「楽して働きたい、知ってるアプリやエンジニア、開発環境のところにいってみたい、今の開発しんどい、組織体制が違うところに行きたい、、、」のような、どの転職先でも当てはまる、ふわっとした動機しか出てこないかなと思います(自分がそうでした)。
ここは転職エージェントを活用して、企業研究と動機の深堀りをお願いするのが良いと思います。生成AIとの壁打ちでも整理できますが、私の場合は実際に会話しながら腹落ちする言い回しや、経験したいスキルと自分の実現したいことを議論させてもらったほうが効率が良かったです。
志望企業の情報をどう集めたか
DeepResearchで企業調査をしたり、テックブログやインタビュー記事があればNotebookLMに読ませて技術スタックやビジネス課題を調べたり、ストレングスファインダーの結果を取り込ませてその組織と比較した自分の強み・弱みをAIに聞いたりしていました。
ただし、Webに上がっている情報はあくまで表面的な部分なので、その企業の人事担当者と面識が深い転職エージェントの方を紹介してもらうのが良いと思います。採用基準だったりよく出る質問を教えてもらえるので、準備にどれくらい時間をかけるべきか把握することができます。なお、エージェント会社によって企業との付き合いの深さには違いがあるので、最初の顔合わせの段階でどの程度サポートしてくれそうかは確認しておくとよいです。
また、長い目で見て転職するのであれば、エンジニア交流などの場がある勉強会やカンファレンスに出席するなどして人脈を作ってみるのも良さそうです。どんな人が実際に働いているのか知るだけでも解像度がだいぶ変わります。
逆質問で何を聞くか
逆質問では割と無難なことを聞いていました。その会社で達成目標などが提示されていれば現状どうなのかとか、伸びている人はどんなことをしていますかとか、自分のレベル感が組織やチームの中でどのレンジに収まっていそうかをチェックしていました。
自己PRの得点を稼ぐために逆質問を活用しよう、みたいな意見もたまに見かけますが、企業側が用意した質問が終わった時点で合否はほぼ確定しており、それを覆すことは難易度がかなり高いと思いました。まだアピールできてない自分の強みにつながる質問ができれば良いですが、面接官からの掘り下げもなく一問一答形式で逆質問が進行するのであれば挽回はほぼ無理だと感じました。熱量で面接官の閉じた門をこじ開けるぐらいのパッションが必要そうです。
面接の中で評価いただいた点
フィードバックとして、受け答えが理路整然としており落ち着いて対応できている点や向上心・知的探求心の強さ、案件の中で自発的に活動し課題解決できていることやLT登壇、Web開発ブートキャンプに参加し自己研鑽し続けている点を評価いただきました。
話し方や知的探求心などはコンサル会社に勤めていましたし、ストレングスファインダーでは問題解決・収集心・学習欲がトップ資質だったのでこれまでの社会環境で身についた習慣がたまたま刺さったものだと思っています。
自己研鑽でのアピールの仕方
Web開発ブートキャンプはプラハチャレンジというものに2年ほど参加しているのですが、割と高評価でした。LT登壇や勉強会出席もそうですが、自分の時間や貯蓄を外向きの学習活動に充てている人はエンジニア全体の母集団で見るとマイノリティのはずなので、差別化ポイントとしては有効だな~と思いました。
同様の理由で技術記事投稿やOSS活動も有効ですが、IPA資格やクラウドベンダー資格なども、早い段階でやっておくほど技術習得の過程が線として伝わりやすく、有効手段になりやすいと思っています。
選考通過率を高めるためには何をすべきか
職務経歴書に情報を詰める
まずは、できるだけ相手の作業負荷をかけずに「なんかこいつ優秀そう感」を演出する必要があります。ポートフォリオでスキルを示したり、自分でホスティングしたHTMLを職務経歴書にする方もいらっしゃると思いますが、よくあるWordの職務経歴書でも「内容が良ければ」良い選択肢だと思っています。HTMLやNotionだとどうしても余白が増えがちなので、コンテキストをできるだけ詰め込んだ4ページぐらいのPDFを渡した方が自分の身の上を伝えやすい気がしました。
また、相手から見て質問しやすいポイントを経歴に盛り込んでおくと、面接時の質問がパターン化されてくるのでこちら側としても質問対策がやりやすくなります。
私はFortran77からGoへのリプレイス経験があったので書いてみたところ、面接官が50歳ぐらいの方だとFortranに高確率で食いついていました。For文がなくGOTO文しかないし、オブジェクトや構造体も使えず、静的配列のサイズを超えた参照をした場合でもエラーを出さず動作し続ける、そんな時代のコード解読はつらかった・・・ということを伝えると同情していただけました。評価にはつながってなさそうでしたが。
職務経歴を書き出すのは難しい
職務経歴書の読み応えをいかに作るのかが肝なのですが、プロジェクトの全体像や言語化の観点、表現方法などうまくまとめ上げるのはかなり難しいタスクだと思っています。それ故に差別化ポイントとなるため、職歴に自信がない人ほどクオリティを追求する必要があると思っています。
例えば転職ドラフトでは他の参加者の公開状態の経歴を閲覧することができるので、自分と見比べて情報の粒度やプロジェクト全体像の伝わりやすさ、自分のアクションのアピールの書き方を比較することができます。
転職エージェントの経歴書添削については、人材紹介というビジネス上、一定レベルのものができた時点でGOサインを出して案件提案にシフトしてしまうのであまり鵜呑みにしないほうが良いです。自分の中でとことん突き詰めましょう。
目標から逆算して、できるだけ早く行動する
採用面接のよくある質問として「今後どうしていきたいのか、現状はどうなっていて目標達成のためにどんな行動をしていたのか」という主体性を確認されます。ここで自分のキャリアや目標設定が甘いと面接の場で言葉に詰まってしまうことになります。
まずは本格的に転職活動する前に、求人票などで求められているスキルや取り組んでいる事業と技術課題を確認して、内容が自分とマッチしたものなのであれば、その延長線上に自分のやりたいことを設定し、将来と現状の間でどのようなストーリーラインが作れそうか作戦を立ててみるとよいかと思います。
エンジニアリングと絡めたアピールポイントを見つける
大前提として、どんなスキルを学ぶ必要があるかは、これまでのキャリアや業界、職種など各個人によります。その中で、自分のキャラ付けがうまくできる切り口を見つけて、その延長線に今のスキルがあるんだよ、ということを提示する必要があるのですが・・・めちゃくちゃ難しいです。
私の場合は整理された情報源から何かしらインプットし続けるのが好きなので、原点になっている知的好奇心を伝えるためにどう戦略を立てるかをよく考えていました。よくあるストーリーや動機を伝えても面接官から見るとただの応募者としか捉えられないからです。
例えば私はRSSを毎日チェックするなど、日々更新される技術記事で少しでも琴線に触れるものがあればNotionにスクラップしていました。Notionのチャートを見てみると、去年の9月頃からストックし始めて、1日に15記事くらいのペースで追加して現在6000記事ほどのストックになっています(面接を意識してこの習慣を始めたわけではないですが、メモツールを渡り歩いた末に気づいたらやるようになっていました)。
こういったインプットの強みがあるものの、アウトプットができていなければ意味がない。なので、ブートキャンプという環境を利用して、知識レベルを自分の言葉で説明できるところまで引き上げるようにしていました。その結果、このプロジェクトではこのようなパフォーマンスが発揮できました・・・という感じで自分の強みを起点にしたエピソードを準備していました。
話が散らかってしまいましたが、結論としては人にアピールするなら自分の何を伝えればいいんだろう、というのを意識しておくのが大切だと思っています。Web開発の業務未経験の方であれば、今までの業種で学んだノウハウとエンジニアリングのノウハウがつながった瞬間などをエピソードとして提示するならどんなことか、など考えてみると良いと思います。
活動のふりかえり
実践に勝る経験なしと良く言われますが、結局のところ転職を成功させるためには面接をこなし、企業研究・自己分析・面接結果のフィードバックサイクルを回すことが一番の近道かなと思いました。新卒の就職活動を自分は行っていなかったので、普通は20代前半で触れる感覚を今頃体感したんだな・・・と感じました。
また、転職活動を行う際は精神的に余裕をもてるタイミングで活動するのが大事かもしれないです。今年の11月頃は書類も通らない、一次も通らない、という状況だったので1つの面接に対するプレッシャーがかなり大きかったです・・・。面接対策のために他の転職記事を読んだり、生成AIと音声入力で壁打ちしたりしてみましたが、いざ実践となるとしっくりこない場面も多くあり、面接の振り返りができる精神状態を保つためには周囲の理解や金銭的貯蓄が大事だと思います。
おわりに
お忙しいところ、お時間を割いてくださった採用担当者や転職エージェントの皆様ありがとうございました。対話の中で自分でも意識できていなかった動機や足りない部分を知るきっかけが得られ、学びになりました。この3か月間で感じたことを1つの記事として整理することで、転職活動成果の区切りとさせていただこうと思います。
何はともあれ、ついに念願の「バックエンドエンジニア」を名乗れるようになりました。今後も精進して参ります!
参考文献
余談ですが、自分が企業にとって有益な人材であることを、建前も使いつつ演じていく必要がある、という体裁にむずがゆさを感じていました(世の中そういうものなのでしょうが)。
自分の中で許容できるキャリアプランやストーリーラインを考える上で、以下の文献が参考になりました。あとは、最近出版された『ITエンジニアの転職学』もかなり良さそうでした。転職活動が終わった後にこの本を書店で見つけたのですが、本記事のトピックをさらに深く掘り下げているようで、もっと早くこの本を知っていれば・・・というところでした。
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