この記事は、株式会社スピードリンクジャパン Advent Calendar 2025 の22日目の記事です。
こんにちは。最近『Webを支える技術』の第2章を読みました。
まだ未経験なので、実務でがっつり触っているわけではありませんが、歴史を追うと、未来もなんとなく予想できるのが面白かったのでまとめます。
結論としていちばん残ったのはこれです。
Webは「最強の技術」だから勝ったというより、
「誰でも使えるように割り切った仕組み」だったから広がった
Webはどうして今の形になったのか
1. Web以前:RPCは「身内の世界」では強い
Webの前にも、ネットワークで複数のコンピュータをつないで動かす仕組みがありました。
その代表が RPC(Remote Procedure Call) です。
RPCはざっくり言うと、別のコンピュータの処理を「関数みたいに呼ぶ」イメージ。
ただ、不特定多数が相手になってくると問題が出ます。
- ネットワーク越しは遅くなる(呼び出し回数が増えるほど辛い)
- 言語が違うとデータの形が合わない(変換が面倒)
- 仕様を変えると古いクライアントが動かない(互換性の地獄)
- サーバが状態を持つと負荷分散しにくい(スケールしづらい)
つまり、相手が決まってる閉じた環境なら成立しやすいけど、
世界中の誰が来るか分からない環境では難しくなりやすい。
2. Webの強さ:「不特定多数」を前提に割り切った
Webは、いろんなOS・端末・ブラウザの人が使う世界です。
だからこそ、難しい前提を置かずに、シンプルなルールで動くようになっている。
リンクも「単方向でシンプル」。
一見すると不完全にも見えるけど、だからこそ分かりやすくて、広がりやすかったんだなと思いました。
3. 標準化があったから「だいたい動くWeb」になった
Webが急に広がると、実装がバラバラになりがちです。
そこでIETFやW3Cなどで標準化が進んでいって、今のWebが成り立っている。
標準が揃うから、誰でも同じように使えるという土台になっているのが印象的でした。
4. RESTで「Webっぽい設計」が整理された
Webの設計を理解する上で、RESTが出てきます。
- RPCは「手続きを呼ぶ」感じ(関数を呼ぶ)
- RESTは「リソース(データ)をやりとりする」感じ(対象をURLで表す)
例:
-
GET /users/1→ ユーザー1を取る -
DELETE /users/1→ ユーザー1を消す
不特定多数が使うWebでは、RESTのようにルールが整理されている方が相性が良い、という流れが腑に落ちました。
5. そして「全部Web」になっていく
昔はソフトをPCに入れて使うのが中心だったけど、今はWebで使うのが普通になっていく。
地図サービスの例なども、データはサーバ側に置いて、必要な分だけWebで取る方向が強くなっていった、という話が出てきます。
未来(予想):歴史を追ったからこそ見えてきた「この先」
ここからは本の内容を踏まえた「予想」です。
断言ではなく、歴史の流れから自然にそうなりそう、くらいの温度感で書きます。
予想①:Webは“見る場所”というより「最初からそこにある空気」になりそう
今でも、何かやるときにブラウザを開く場面は多いです。
- 調べる(検索)
- 連絡する(チャット/メール)
- 予定確認する(カレンダー)
- 仕事する(ドキュメント、チケット)
「アプリを入れて使う」より「リンク踏んで使う」が当たり前になっていく流れは、今後も進みそうです。
未来は、Web=特別なサービスというより、OSみたいに最初からある土台になっていく気がします。
予想②:標準化はもっと大事になる。でも、たぶんずっと揉める
Webが大きくなるほど、関わる人も会社も増える。
その分、利害も方向性もバラバラになります。
- 会社ごとにやりたいことが違う
- 儲かるポイントも違う
- 便利さの方向性も違う
だから今後も
標準化は必要 → でも揉める → それでも少しずつ揃う
を繰り返していくと思います。
「揉める=悪」ではなく、揉めながらでも揃えていくのがWebの強さ、という見方ができそうです。
予想③:データ形式は「より扱いやすい方」が勝つ(たぶんこれからも)
本の中でも、データのやり取りが増える中で
- RSSが乱立して混乱
- Atomで整理
- XMLは表現力はあるけど重い
- 結果的にJSONがよく使われる
という流れが出てきます。
この歴史を見ると、今後も
難しくて完璧より軽くて使いやすいが勝ち続けそうです。
(扱いやすさ=普及しやすさ、という感じ)
予想④:「壊れにくい設計」がさらに当たり前になる(でも難しい)
RPCの弱点として出てきたポイントは、Webでもずっと付きまとう前提だと思いました。
- ネットワーク越しは遅い
- いつか壊れる
- 仕様は変わる
- 相手は増える
だから今後はもっと
- いきなり壊さない(互換性を保つ)
- 状態を持ちすぎない
- 失敗前提でリトライできるようにする
- 仕様変更の出し方を丁寧にする
みたいな “壊れないようにする工夫” が当たり前になっていきそうです。
ただ、理想と現実(スピード)のバランスは、ずっと難しいテーマとして残りそうです。
まとめ
歴史を追って思ったのは、Webは「すごい技術だから勝った」というより、
現実に合わせて“広がる形”を選び続けたから勝ったということでした。
そして同じ流れで、未来も
Webが空気みたいな土台になっていく方向に進みそうだな、と予想しました。