はじめに
2025年6月下旬にリリースされたGoogleの「Gemini CLI」。ローカルファイルを直接操作できる強力なAIツールで、非常に便利です。
しかし、Windows環境でいざ導入しようとすると導入解説記事を見ても、
- 「まずNode.jsをインストールしてPATHを通してください」
- 「
npm install -g
かnpx
で実行します」 - 「ターミナルから
gemini
コマンドで起動します」
といった解説が多く、普段コマンドラインを多用しない初心者にとっては、この「最初の環境構築」が意外と高いハードルになっています。
そこで、これらの面倒な手順をすべて自動化し、数クリックで導入が完了するWindows向けのインストーラー(バッチファイル)を作成しました。
Gemini CLIの主な特徴(おさらい)
そもそも「Gemini CLI」がなぜ注目されているのか、その特徴を簡単にまとめます。
-
高性能AIが無料で使える:
Gemini Pro
モデルが、1日1,000回まで無料で利用できます。 - ローカルファイルを直接操作:PC上のソースコードやドキュメントをAIに直接読み込ませ、修正や要約をさせることが可能です。ファイルやフォルダの整理もできます。
- 自律的なタスク実行(AIエージェント):Web検索、ファイル編集、コマンド実行などをAIが自ら計画し、一連のタスクとして実行します。
作成したインストーラー(バッチファイル)について
以下のことを自動で行います。
-
Node.jsの環境チェックと導入:
winget
を使い、Node.js(LTS版)がなければインストール、古ければ更新します。 -
Gemini CLIのインストール:
npm
を使い、Gemini CLI本体をグローバル環境にインストールします。 - デスクトップショートカットの作成:導入後、すぐに使えるようにショートカットを自動で作成します。
使い方:導入手順
-
ツールのダウンロードと解凍
- こちらのGitHubリリースページにアクセスします。
- 最新版の
gemini-cli-easy-installer.zip
をダウンロードし、ファイルを右クリックして「すべて展開」します。
-
インストーラーの実行
- 解凍してできたフォルダの中にある
install-gemini-cli.bat
をダブルクリックします。 - 「WindowsによってPCが保護されました」と表示された場合は、「詳細情報」→「実行」の順にクリックしてください。
うまく動かない場合は、ファイルを右クリックして「管理者として実行」を試してください。
- 解凍してできたフォルダの中にある
-
再実行の案内(必要な場合のみ)
インストール中に「一度ウインドウを閉じて、もう一度このファイルを実行してください」と表示されたら、指示に従ってください。これは、Node.jsをインストールした際にPCの環境変数を正しく反映させるために必要な手順です。
セットアップが完了すると、デスクトップに「Gemini CLI」のショートカットが作成されます。
【こだわりポイント】インストーラーの技術的な解説
このツールを作成するにあたり、こだわった点をいくつか技術的に解説します。
1. Node.jsの更新チェック:バージョン比較からの脱却
winget
には、インストール済みのパッケージバージョンと最新バージョンを簡単に取得&比較する機能がありません。そのため、アプローチは「変化の観測」のアプローチを行っています。
rem 処理前のバージョンを記録
for /f "tokens=*" %%v in ('node -v') do set "ver_before=%%v"
rem とにかく更新を試みる
winget upgrade OpenJS.NodeJS.LTS --silent >nul 2>&1
rem 処理後のバージョンを記録
for /f "tokens=*" %%v in ('node -v') do set "ver_after=%%v"
rem 前後の文字列を比較
if "!ver_before!" NEQ "!ver_after!" ( ... )
この方法なら、環境に依存せず、確実に更新の有無を判定できます。
2. 環境変数問題への現実解:手動再実行の採用
Node.jsを新規インストールした直後は、OSがPATHの変更を即座に認識しないため、後続のnpm
コマンドが失敗します。
start "" "%~f0"
による自動再起動ではこの問題が解決しなかったため、最も確実な「ユーザーによる手動再実行」をお願いする方式に落ち着きました。コマンドプロンプト単体では限界があるので、完全自動化は実現しませんでしたが、安定性には代えられません。
echo 一度ウインドウを閉じて、もう一度このファイルを実行してください。
pause
exit /b
3. npmの警告に惑わされない成否判定
npm install
は、funding
の警告が出ただけでもERRORLEVEL
が1
になるため、単純な||
でのエラーハンドリングは誤判定を招きます。
そこで、インストール処理の後に、コマンドの存在そのものをwhere
で確認する方法を採用しました。
call npm install -g @google/gemini-cli
where gemini >nul 2>&1
if %ERRORLEVEL% NEQ 0 ( ... エラー処理 ... )
npm
の機嫌に左右されない、事実ベースの堅牢な判定です。
よくある質問(FAQ)
Q. 「'npm' は内部コマンドまたは...」と表示されます。
A. Node.jsのインストール直後で、環境変数の変更がPCに反映されていない可能性があります。PCを再起動してから、再度インストーラーを管理者として実行してみてください。
Q. ショートカットから起動しても、すぐにウィンドウが閉じてしまいます。
A. Gemini CLI本体のインストールに失敗している可能性があります。お手数ですが、一度PCを再起動し、再度install-gemini-cli.bat
を管理者として実行して、再インストールを試みてください。
まとめ
Gemini CLIは非常に強力ですが、その入り口でつまずいてしまうのはもったいないことです。この記事で紹介したインストーラーが、Windowsユーザーにとって「最初の一歩」を踏み出す助けになれば幸いです。
- 面倒な環境構築は全自動。数クリックで導入が完了します。
- 開発が捗る活用法を試せます。
- 完全無料で、1日1,000回までAIのパワーを体験できます。
ぜひこの機会に、Gemini CLIを導入してみてください。