漫画王に俺はなる!
小学6年生だった俺少年はONE PIECEを見て衝撃を受けていた。
アーロンをルフィ達が倒しにいく回がアニメで放送されている頃のことだ。なかなか助けを求めることのできないヒロインのナミがアーロンの悪行にとうとう限界迎え、苦しみながらルフィに助けを求め、それに呼応するようにルフィが「当たり前だー!!!」という今では伝説となっているシーンを感動しながら見ていたのを覚えている。(その直後に成敗BGMが流れ、一味が集合しアーロンパークを目指すシーンは鳥肌を立てながら見ていた)
そんな尾田先生の凄さにあてられ、純粋な俺少年は将来の夢を聞かれるたびに、漫画家になる!と絵もろくに書けないのに吹聴していた。
絵が描けねェ・・・!!!
俺少年は全くもって美術のセンスがなかった。授業中、ノートや教科書の端に暇があれば絵を描いていた。その時の俺少年は人の顔ばかり描いていた、というか顔しか描けなかった。偉人の肖像画を模写することもあったけど、かろうじて描けた顔すらも全く似てもにつかぬものだった。大好きだったルフィも、どこかの国の無許可で販売されているグッズのルフィみたいな顔のルフィしか描けなかった。どんなに見ながら描いても、パチモンキー・D・ルフィになるのである。
おれがなるって決めたんだからその為に戦って死ぬんなら別にいい
絵はろくに描けなかった俺少年だったが、諦めは悪かった。4コマ漫画ぐらいであれば下手な絵でも内容が面白ければみんなに読んでもらえることに気づいた。そこで大量に4コマ漫画を描き、親や友達に見せまくっていた。結果は、内容は面白い!と評価上々であった。
しかし、俺少年の内心は、複雑だった。内容は面白い、、、でも絵は、、、、
ある一定の絵のレベルから全く描いても描いても上達しなくなっており、その上達しない期間が徐々に漫画熱を冷ましていっていた。
幼き俺少年の心の火は徐々に消えていっていた。
10年後に!!!シャボンディ諸島で!!!
それから10年の月日が経った。
俺少年は漫画家になりたいという夢を心の奥にしまって、すっかり大人になってしまっていた。
モノづくりには携わりたいという気持ちから、かろうじてソフトウェアエンジニアという職についていた。ソフトウェアエンジニアなら絵心がなくても、タイピングさえ最低限できれば世の中の人たちに何かしら届けることができると思ったのである。
漫画は描けなくても、漫画アプリに携わって、尊敬する漫画家先生の作品を世に広めるお手伝いはできるし、などと自分を納得させる日々を続けていた。
ただいつかの日のために自分が得意とする物書きについては修行を続けていた。いつか、作画はできなくても原作ならと。
そんな日々を過ごしているときヤツがやってきていた・・・
「ChatGPTだ!!!」 ドドン!
彗星の如く現れたChatGPTにソフトウェアエンジニアとして、心惹かれたのと同時に、漫画家としての道への可能性にも心が躍った。漫画の原作を書くのにこんなにうってつけのツールはない!と思ったのである。少しの構想レベルのプロンプトを書くだけで、物語を作ってくれることに感動した。
より面白い構想を与えると、より面白い物語にしてくれることも発見し、これは何か漫画家を支援するツールを作れるのでは?と思い始めた。
そんなことを思っていると、次に画像生成AIまで登場してきたのである。
こ、これは、絵が下手でも、文章が下手でも、誰でも漫画家になれる時代がくるのでは!と感じた。
心の中に眠っていた、ワンピースに感動し、漫画家を目指していた俺少年が目覚める音が聞こえてきた。
奇跡は諦めない奴の頭上にしか降りて来ない!!!! “奇跡”ナメるんじゃないよォ!!!!
AIという奇跡によって、絵の描けない俺少年の漫画家になりたいという夢を叶えることができそうという実感で居ても立っても居られなくなっていた。
ソフトウェアエンジニアとして、画像生成AIと文章生成AIを組み合わせて漫画を作れるアプリを作る、そして漫画家になる!そう決めた。
ソフトウェアエンジニアとして、物書きとして修行を続けたことが実りつつあると感じていた。
おれの”夢の果て”だ
そこからなんやかんやあって、ついにWebアプリが完成した。
文章を書くのが不得意な人も、絵を描くのも不得意な人でも漫画を簡単に作れるアプリ。MashiroKit。
そして、これが自分で作った初めての漫画、「ご近所さんは宇宙人」、読んでみてほしい。
夢が叶った・・・!感無量である。さっそくインターネット上に、自分が作った漫画を公開してみると、嬉しい読者の声が届いた!
めっちゃ嬉しい!これが漫画家なのか!
AIや技術には感謝だ、叶うはずのないと思っていた夢がこうして奇跡的に叶ってしまった。
漫画を描いて、読者から感想をもらう。これは立派な漫画家だ。今までの歩んできた道のりは紆余曲折あったけど、間違いはなかったと思う。ありがとう、AI。
これがおれの”夢の果て”だ



