プロジェクトのタスク管理表を見ていると、こんな状態になることがあります。
「優先度:高」
「優先度:高」
「優先度:高」
気づけば、タスクの半分以上に「高」が付いている。
もちろん、それぞれに理由はあります。
「このタスクは重要だから高」
「納期が近いから高」
「顧客から依頼されたから高」
「他のタスクに影響するから高」
一つひとつを見ると、どれも間違っていないように見えます。
しかし、「優先度:高」が増えすぎると、優先順位を付けている意味がなくなってしまいます。 今回は、PMOとしてプロジェクトの進捗を見ていて感じた、「優先度:高」が増えすぎたときに起きる問題について書いてみます。
「高」が増えると、何から手を付ければいいのか分からなくなる
例えば、10個のタスクがあるとします。
そのうち8個が「優先度:高」だったらどうでしょうか。
担当者からすると、
「結局、どれからやればいいの?」
となります。
優先順位とは、本来「こちらを先にやる」という順番を決めるためのものです。
しかし、ほとんどのタスクが「高」になると、順位を付けたことになりません。
結果として、担当者が自分の判断で優先順位を決めることになります。
「全部重要」は「何も決めていない」と同じになる
ここで注意したいのが、「重要度」と「優先度」は必ずしも同じではないということです。
例えば、AとBという二つのタスクがあったとします。
Aも重要。
Bも重要。
それ自体は問題ありません。
しかし、担当者が一人しかいないのであれば、どちらかを先に進める必要があります。
そこで必要になるのが優先順位です。
つまり、
「どちらも重要」と「どちらを先にやるか」は別の話です。
「全部重要だから全部高」という状態では、実際の作業順序を決めることができません。
優先度が高いタスクが増えると、割り込みが増える
「優先度:高」のタスクが多いプロジェクトでは、途中で新しい依頼が入ったときにも問題が起きます。
例えば、担当者がAという高優先度タスクを進めているところに、
「こちらも急ぎなので対応してください。」
というBタスクが入ってくる。
Bも「高」です。
さらに別の担当者から、
「この件も今日中に確認してほしいです。」
というCタスクが来る。
Cも「高」です。
こうなると、担当者は一つの仕事に集中できなくなります。
Aを進める。
Bの問い合わせが来る。
Bを対応する。
Aに戻る。
Cの確認をする。
またAに戻る。
このような状態が続くと、作業そのものよりも切り替えのコストが大きくなってしまいます。
PMOが「高」を付けるだけでは、優先順位は決まらない
タスク管理表に「高・中・低」の項目を追加するだけでは、優先順位付けとしては不十分なことがあります。
重要なのは、「なぜ高なのか」を明確にすることです。
例えば、
- 今日中に対応しないと後続工程が止まる
- 顧客への回答期限が明日
- 他チームがこの対応を待っている
- リリースに直接影響する
- 法令やセキュリティ要件に関係する
などです。
「高」というラベルだけではなく、高くする理由まで確認すると、本当に優先すべきタスクが見えやすくなります。
「期限が近い」と「優先度が高い」は違う
よくあるのが、「期限が近いから高」という判断です。
もちろん期限は重要です。
ただ、期限が近いことだけで優先順位を決めると、別の問題が起こることがあります。
例えば、明日締め切りのタスクと、1週間後が期限だけれど、完了しないと後続の5つのタスクが開始できないタスクがあったとします。
単純に期限だけを見ると、明日のタスクを優先したくなります。
しかし、プロジェクト全体への影響を考えると、後者を先に進めたほうがよい可能性があります。
つまり、優先順位を決めるときには、期限だけではなく、後続工程への影響も見る必要があります。
「高」の数を減らすことが目的ではない
ここまで読むと、
「では、優先度:高を減らせばいいのか」
と思うかもしれません。
しかし、単純に「高」を少なくすることが目的ではありません。
重要なのは、プロジェクトの状況に応じて、何を先に進めるべきかをチームで共有することです。
場合によっては、複数のタスクが同時に高優先度になることもあります。
その場合は、「どちらを先にやるか」を別の軸で決める必要があります。
例えば、
「AとBはどちらも高。ただし、Aが止まると5つのタスクに影響するのでAを先にする。」
という判断です。
PMOが確認したいポイント
「優先度:高」のタスクが増えてきたら、単純に数を見るだけではなく、次のような点を確認すると整理しやすくなります。
- なぜ優先度が高いのか
- 期限はいつなのか
- 後続タスクへの影響はあるか
- 他のタスクと比べて先にやる必要があるか
- 誰が優先順位を決めるのか
- 新しい依頼が入った場合、何を後回しにするのか
特に最後の「何を後回しにするのか」は重要です。
優先順位を決めるということは、同時に「今はやらないものを決める」ことでもあるからです。
優先順位は、一度決めたら終わりではない
プロジェクトでは、状況が変わります。
顧客から新しい依頼が来ることもあれば、仕様が変更されることもあります。
そのため、優先順位も定期的に見直す必要があります。
先週は「高」だったタスクが、今週は「中」になることもあります。
逆に、当初はそれほど重要ではなかったタスクが、別のタスクの遅延によって急に重要になることもあります。
だからこそ、優先度を固定的な属性として扱うのではなく、プロジェクトの状況を反映する情報として更新することが大切です。
「高」を増やすより、「何を先にやるか」を決める
優先度の設定は、タスク管理ツールをきれいにするためのものではありません。
目的は、限られた時間や人員の中で、プロジェクトを前に進めることです。
「これは高です。」
「これも高です。」
「これも急ぎです。」
と増やしていくのではなく、
「今、一番先に進めるべきものは何か?」
「それを先にやることで、何が動くのか?」
を考える。
その結果として優先度が決まるのだと思います。
まとめ
「優先度:高」が増えること自体が悪いわけではありません。
問題なのは、「高」が増えすぎて、何を優先すべきなのか分からなくなることです。
優先順位を決めるときには、
- なぜ優先度が高いのか
- 期限はいつなのか
- 後続工程にどんな影響があるのか
- 他のタスクより先にやる必要があるのか
- 何を後回しにするのか
まで考えることが重要です。
PMOとしてタスク管理表を見るときも、「高が何件あるか」だけではなく、「本当に今、先にやるべきタスクはどれなのか」を見る。
優先順位とは、「重要なものを決めること」だけではなく、「限られたリソースをどこに集中させるかを決めること」なのだと思います。
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