イントロダクション
あなたが「渋谷に行きたい」と思った瞬間、何が起きているでしょうか。
頭の中の意図:
「渋谷に行きたい」
現実:
Uberを開く → 行き先入力
別のタクシーアプリを開く → また入力
友人に聞く → 口頭で説明
同じ意図を、なぜ何度も言い直さなければならないのか?
なぜ一度の表明で、すべての選択肢が集まらないのか?
この違和感こそが、Intent Statement(IS)が解決しようとしている問題です。
問題の本質:意図は「流通」していない
意図はサービスに閉じ込められている
2026年のWebでは、次のようなことが日常です。
- 病院Aで説明した症状を、病院Bでもう一度説明する
- 学習サービスで得た実績を、大学に個別交渉する
- 災害時に「必要な支援」が届かず、別の物資が山積みになる
これらに共通するのは、意図がサービスごとに分断されていることです。
現在の構造:
あなた → サービスA
あなた → サービスB
あなた → サービスC
※ サービス間で意図は共有されない
これはAPIの問題ではありません。
「意図をサービス横断で共有する前提」が、そもそもWebに存在しなかったのです。
解決策:Intent Statement(IS)
ISとは何か
Intent Statement(IS)は、「私はこうしたい」という意図を、
特定のサービスに属さず、公開・共有するための仕組みです。
IS:
発行者: あなた
内容: "明日10時に渋谷へ行きたい"
状態: 未確定(これから判断される)
ISは要求でも契約でもありません。
あくまで「判断の起点となる意図の表明」です。
IS / RS / VC ― 役割の分離
Intent Statementは、次の3層構造の一部として機能します。
IS(Intent Statement): Why
- 何をしたいのか
- 判断の前提条件
- サービス横断で共有される
RS(Response Statement): How
- 各主体がどう判断したか
- 複数の応答が並立
- 説明責任を伴う
VC(Verifiable Credential): What
- 何が確定したか
- 完了・実績の証明
- 携帯可能・法的証拠
重要なのは、ISとVCは代替関係ではないという点です。
IS/RSは「進行中の判断」、VCは「確定した結果」を扱います。
何が変わるのか
1. 一度の意図表明で、複数サービスが応答する
あなた:
IS発行 →「渋谷に行きたい」
応答:
Uber RS: 3,000円 / 5分
タクシーA RS: 2,500円 / 10分
相乗り RS: 1,500円
友人 RS: 無料
あなたは比較して選ぶだけ。
同じ説明を何度も繰り返す必要はありません。
2. 判断プロセスが可視化される
AIや専門家の提案も、RSとして記録されます。
IS:
「低リスクでESG重視の投資をしたい」
RS:
AI-A: 債券70% / ESG株30%
理由: リスク許容度が低いため
AI-B: ESG基準適合銘柄を抽出
なぜその判断に至ったかが後から検証可能になります。
代表的ユースケース
課外学習の単位認定
- 学習者がISで「この学習を単位として認めてほしい」と表明
- 学習サービス・大学がRSで判断
- 最終的にVCで単位取得を証明
👉 サービス横断の認定プロセスが、透明に成立します。
災害時の支援マッチング
- 自治体がISで「重機オペレーター3名必要」と表明
- 企業・NPOがRSで可否を応答
- 実施結果はVCとして実績化
👉 ミスマッチと重複支援を防ぎます。
なぜ今まで実現できなかったのか
DID / VC だけでは足りなかった
VCは「確定した事実」を証明する技術です。
しかし、
- 判断前の意図
- 比較検討されたプロセス
を扱う設計にはなっていません。
IS/RSは、VCが扱えなかった「暫定状態」を担います。
技術的ポイント(要点のみ)
-
IS/RSはブロックチェーン上に公開記録される
-
VCはオフライン検証可能な証明書
-
Symbol Blockchainは
- メタデータのkey列挙
- 世界共通の意味解釈
をプロトコル標準で提供
👉 意図を「意味ごと」共有できる基盤として機能します。
パラダイムシフト
従来:
サービス中心
→ ユーザーが合わせる
IS後:
意図中心
→ サービスが応答する
- 囲い込みから開放へ
- ブラックボックスから透明へ
- 結果中心からプロセス重視へ
結論
Intent Statementは、
「意図」を社会インフラとして流通させるための仕組みです。
- 一度の意図表明
- 複数主体の判断
- 検証可能なプロセス
- 必要な場面での結果証明
これは単なる新技術ではなく、
意思決定の構造そのものを変える提案です。
