結論:正しいジャッジは難しいが、大まかなムーブの理解やそれっぽい評価は可能。
はじめに
対象読者は、AI x ストリートダンスで何か面白いことをしたいと考えている人。(いる??)
筆者自身も 2008 年の学生時代から Popping を始め、今現在も社会人POPPER としてゆるーく続けており、たまにバトルにも参加している。友人とセッションしている時に「AIにどっちが勝ったかジャッジしてもらえるんじゃね?」という話になりその場でやってみるとそこそこ納得感のある回答が得られた。一方でどれほど信憑性があるか気になり、データサイエンティストとして働く社会人ダンサー的目線で結果を考察する。
やったことは単純で、YouTube の公開動画の URL を Gemini API にそのまま渡し、「どちらが勝ちか」を答えさせた。聞き方を 2 通り、モデルを 2 つ、フレームレートを 1〜24 fps で振り、同じ条件を 3 回ずつ流して答えのブレも見た。
題材バトルとVLMモデル
SHIROFES.は青森県弘前市の弘前公園で 2016 年から毎年開かれているダンスとパフォーマンスの複合フェスティバルで、国内外のダンサーが集まるバトルが看板のひとつ。その中で開催されるPOP-SAMURAI はPopping の 1on1 バトル部門で、今回はその 2026 年大会(各 2 ムーブ)から 4 バトルをピックアップ。いずれも実際のジャッジは 5-0 で割れていない比較的ジャッジしやすいバトルを選定した。ただし、全員今をときめくPOPPERでありどちらが勝ってもおかしくないメンツで 5-0とは言えハイレベル過ぎて正直ジャッジが難しいことは否めない。大会の優勝は POPPIN'Cさん(主催者のInstagram投稿)。
| 試合 | 先攻 | 後攻 | 勝者 |
|---|---|---|---|
| 準決勝 | バファリン | POPPIN'C | POPPIN'C |
| TOP8 | Haku | SHOW-GO | SHOW-GO |
| TOP16 | Ayaha | POPPIN'C | POPPIN'C |
| TOP16 | BOO | Joy | BOO |
VLMモデルは Gemini 3.8 Flash(比較で Gemini 3.1 Pro Preview)。Gemini は公開 YouTube 動画の URL を直接受け取れ、区間とフレームレートを指定できる。判定シーンを切り落として踊っている区間だけを渡し、フレームレートは上限の 24 fps にした。
part = types.Part(
file_data=types.FileData(file_uri="https://www.youtube.com/watch?v=E1k2jMCousE", mime_type="video/mp4"),
video_metadata=types.VideoMetadata(fps=24, start_offset="8s", end_offset="194s"),
)
4 パターンの実験
パターン 1: シンプルに聞く
まずは基準も観点も与えず、シンプルに「どちらが勝ちか決めて」と聞いた。ダンサーの識別とラウンド構成を書かせたうえで、勝者、信頼度(confidence)、判定理由、各ダンサーへの一言を返させる。
使ったプロンプト
あなたはストリートダンスバトルのジャッジ。この動画は 1on1 の Popping バトル。
動画を見て、どちらのダンサーが勝ちかを判定する。
手順:
1. まず 2 人のダンサーを A と B として、それぞれの服装や外見を短く記述する(dancers)。
A は最初に踊り始めた方、B はもう一方。
2. 何ラウンドあり、それぞれ誰が踊ったかを 1 行で書く(rounds_observed)。
3. あなた自身の見方で勝者を決める。基準は指定しない。
4. 判定理由を 3 文以内で書く(reason)。confidence は判定にどれだけ自信があるか(0〜1)。
5. 各ダンサーへ、ジャッジからの一言(comment_to_A, comment_to_B)。具体的な動きに触れること。
動画内に映っているジャッジの判定や勝者の発表、観客の反応は判断材料にしないこと。
ダンスの内容だけで判定する。出力は日本語。
出力の例(Haku vs SHOW-GO、1 回目)
{
"dancers": {
"A": "紫色の帽子に薄紫/グレー系の半袖シャツ、ゆったりとしたグレーのパンツを着用したダンサー",
"B": "緑と白の柄入り半袖シャツにライトグレーのパンツを着用したダンサー"
},
"rounds_observed": "全2ラウンド(1R: A→B、2R: A→B)",
"winner": "A",
"confidence": 0.85,
"reason": "Aは音の微細なニュアンスまで捉えたクリアなアイソレーションと、質感豊かなアニメーションスタイルで一貫して高い集中力を維持していました。Bも重みのあるヒットと力強いグルーヴで素晴らしい迫力を見せましたが、ムーブの展開力と音の視覚化の精度でAが一歩リードしました。特に2ラウンド目の複雑なリズムアプローチにおいて、Aのコントロールの正確さが際立っていました。",
"comment_to_A": "ウェーブから指先や首の細かいアイソレーションへの繋ぎが非常に滑らかで、音の質感を細部まで見事に表現できていました。後半に見せたタットとストップの緩急も非常に効果的で、世界観に引き込まれました。",
"comment_to_B": "重厚なポップとダイナミックなフットワークで、ステージ全体を大きく使った存在感ある踊りでした。足元のスライドや低重心でのタフなアプローチは非常に格好良かったので、細かい音の質感の変化をさらに取り入れるとより一層説得力が増すはずです。"
}
結果は次のとおり(4 バトル × 3 回。正解数は 3 回のうち実際の勝者と一致した回数。✅ は 2 回以上正解、❌ はそれ未満)。
| バトル(正解) | 正解数 |
|---|---|
| バファリン vs POPPIN'C(後攻) | 0/3 ❌ |
| Ayaha vs POPPIN'C(後攻) | 3/3 ✅ |
| BOO vs Joy(先攻) | 1/3 ❌ |
| Haku vs SHOW-GO(後攻) | 0/3 ❌ |
正解は 12 回中 4 回。全然ジャッジできてないやん!!confidence は毎回 0.8〜0.85 で、外しているバトルでも自信満々。
パターン 2: 観点を定義して採点させる
パリ五輪のブレイキンで使われた 5 観点(technique、vocabulary、execution、musicality、originality)を借り、Popping 向けに書き直したうえで、観点ごとに「動画のどこを見るか」の手順を付けた。先に 2 人のムーブを時系列で観察させ、時刻付きの根拠を書かせてから採点する流れにしている。
使ったプロンプト
あなたはストリートダンスバトルのジャッジ。この動画は 1on1 の Popping バトル。
動画を見て、どちらのダンサーが勝ちかを判定する。
手順:
1. まず 2 人のダンサーを A と B として、それぞれの服装や外見を短く記述する(dancers)。
A は最初に踊り始めた方、B はもう一方。
2. 何ラウンドあり、それぞれ誰が踊ったかを 1 行で書く(rounds_observed)。
3. 採点の前に、各ダンサーのムーブを時系列で観察する(observations)。
「何秒に、どの部位で、何をして、そのとき何の音が鳴っていたか」を、ラウンドごとに
目安 8拍(1x8:ワンエイト)毎に 1 件書く。評価はまだしない。見えなかったことは見えなかったと書く。
4. 次の基準と手順に従い、観点ごとに根拠(evidence)を書く。根拠は observations の中の
具体的な時刻と見えたことを参照する。基準の手順で確認できなかった項目は、その旨を書く。
5. 観点ごとに 1〜10 で採点する(scores)。根拠がない観点を高く付けない。
6. 判断できなかったこと(undeterminable)を正直に列挙する。
## 判定の前提
これはバトルなので、技が多い方や難しい技をした方が勝ちではない。
5 つの観点はどのレベルのバトルにも同じ物差しとして当てる。
Popping のHITには質の違いがある。
- 鋭い: HITの開始から終了までが短く速い
- 鈍い: HITの開始から終了までが長く遅い
- 重い: 深く沈み、余韻がある
- 軽い: リズムを刻むように小さく弾く
上手いPopperは音の質に合わせてこれを使い分ける。musicality ではその使い分けができているかを、
technique ではその精度を見る。HITの回数は評価に関係ない。
## 観点と、動画のどこを見るか
### technique(技術の精度)
狙った質のHITを、狙った部位で、狙った瞬間に出せているか。
見方:
1. HITの瞬間に、体全体、あるいは部分的に揺れ・振動を表現できているか
2. 鋭いHITのつもりが鈍っていないか、重いHITが単に遅れているだけでないかを見る
3. 体幹が安定しているか。HITのたびに軸がぶれる、上体が流れる場合は低い
4. アイソレーション(首、胸、腰、腕を独立に動かす)で、動かしていない部位が動いていないか
### vocabulary(動きの引き出し)
使った動きの種類と、それらを一つの流れとしてつなげているか。
見方:
1. HIT、ウェーブ、スライド、ツイスト、アニメーション、タット、フロア、ステップなど、
使った動きの種類を数え上げる。ただし多ければ良いというわけではない
2. 動きと動きの間が途切れていないか。技を並べているだけなら低い
3. 立ち、低姿勢、フロア、移動と、空間の使い方に幅があるか
### execution(やり切り)
やろうとしたことを最後までミスなく完遂したか。
見方:
1. 動きの始まりと終わりがはっきりしているか
2. バランスを崩す、足がもつれる、途中で動きを捨てる、といったミスの有無
3. ラウンドの構成が最後まで持っているか。終盤に息切れして動きが小さくなっていないか
4. 締め(ラウンドの終わり方)が音とタイミングに収まっているか
### musicality(音の表現)
音の質に合わせてHITや動きの質を使い分け、曲の構造に乗れているか。
見方:
1. アクセントの瞬間に鳴っている音を特定する(キック、スネア、ベース、メロディ、ボーカルの語尾、
効果音、ブレイク)
2. その音の質(重い、鋭い、軽い、伸びる)と、ダンサーが出したHITの質が対応しているか
3. 同じ質のHITばかりではなく、音に応じて質を変えているか
4. 音を外している、または用意した振りを音と無関係に踊っている箇所がないか
5. 拍に乗り続ける「ノリ」があるか。HITの合間の体の揺れが曲のグルーヴと合っているか
6. あえて音を外す、ためる、といった意図的なズラしは減点ではなく評価する
### originality(独自性)
その動きがそのダンサー固有のもので、その場で生まれているか。
見方:
1. Popping の定番の動きをそのまま出しているか、独自の解釈や変形が入っているか
2. キャラクターが立っているか。表情、立ち姿、間の取り方に本人らしさがあるか
3. 相手のムーブや会場の反応に応答しているか。用意したルーティンを出しているだけなら低い
4. 曲のその瞬間にしか成立しない動きがあるか
## 採点と勝敗
観点ごとに 1〜10 で採点し、それぞれ根拠となる時刻と見えたことを書く。
見えなかったこと、判断できなかったことは推測で埋めず「判断できない」と書き、
その観点の採点には使わない。
合計点ではなく、実際のジャッジがどちらに手を挙げるかで勝者を決める。
7. 判定理由を 3 文以内で書く(reason)。confidence は判定にどれだけ自信があるか(0〜1)。
8. 各ダンサーへ、ジャッジからの一言(comment_to_A, comment_to_B)。具体的な動きに触れること。
動画内に映っているジャッジの判定や勝者の発表、観客の反応は判断材料にしないこと。
ダンスの内容だけで判定する。出力は日本語。
出力の例(Haku vs SHOW-GO、1 回目)
{
"dancers": {
"A": "紫のキャップにグレーの半袖開襟シャツ、グレーのワイドパンツを着用したダンサー",
"B": "短髪で緑系の柄物半袖シャツに薄いグレーのパンツを着用したダンサー"
},
"rounds_observed": "各ダンサーが交互に2ラウンドずつ(A 1R→B 1R→A 2R→B 2R)踊った。",
"observations": {
"A": "1R目:00:04-00:10で指先を使ったタットやダイムストップで音の輪郭を捉える。00:11-00:19で首のアイソレーションから腕のウェーブを滑らかに通しスネアに合わせて鋭いポップを打つ。00:20-00:28で重心を落とした固定点移動とアニメーションのコマ送りを披露。00:29-00:36で手首と胸の重いヒットを鳴らし、00:37-00:43で軽快なステップからBに合図を送り交代。2R目:01:28-01:36で曲調の変化に合わせて浮遊感のあるアームウェーブを展開。01:37-01:46で細かなティッキングから静止への緩急を見せ、スネア音に正確にヒットを合わせる。01:47-01:56で体を倒し込むツイストとロボットの質感で音を表現。01:57-02:05で複雑なアームスルーとフィンガーロールを交え、02:06-02:13で首と胸の連続ヒットから綺麗に締めくくる。",
"B": "1R目:00:46-00:52でアップテンポなビートに合わせてベーシックなステップを踏みながら体を揺らす。00:53-01:02で胸と腕に重いヒットを打ち込みながら左右への移動を行う。01:03-01:11で低く沈み込んで膝と大腿部のポップを強調し、01:12-01:20でAの正面に歩み寄って上半身の強いヒットでプレッシャーをかける。01:21-01:27でツイスト系の切り返しから決めポーズでフィニッシュ。2R目:02:14-02:22でどっしりとした立ち姿から重低音に合わせて胸のポップを刻む。02:23-02:32で両腕を広げて空間を使い、強いスネアに合わせて全身を弾く。02:33-02:42でサイドへのスライドと足元のステップを組み合わせ、02:43-02:50で上半身を前傾させながら重いヒットを連打。02:51-02:56でカウントダウンに合わせてストップをかけ終了。"
},
"evidence": {
"A": {
"technique": "00:12や01:40で見られるように、鋭いHITの瞬間にも体幹がぶれず、動かす部位と静止させる部位のアイソレーションが極めて高精度に保たれている。",
"vocabulary": "タット、ウェーブ、アニメーション、ティッキング、ツイスト、フロアレベルの沈み込みなど多彩な技法を淀みなくシームレスに連結している。",
"execution": "00:22や01:50の難度の高いバランス変化でも足元がふらつくことなく、各ムーブの始点と終点が明確にコントロールされていた。",
"musicality": "00:06のボーカルの余韻に合わせた伸びやかなウェーブから、01:42の鋭いスネアへの強いポップまで、音の質感に応じたHITの強弱と緩急の使い分けが徹底されている。",
"originality": "00:25や01:58に見られる独特な指先の軌道や、身体の角度をずらしたアニメーションの表現にダンサー固有のシルエットと世界観が色濃く出ている。"
},
"B": {
"technique": "00:58や02:26で放たれる胸と腕のHITは非常に重く深い弾きを持っており、強い衝撃を正確に表現できているが、一部でHIT時に肩がやや力む場面が見られた。",
"vocabulary": "オールドスクールなフレズノやツイスト、ウォークアウトを中心に構成されており、クラシックなポッピングの土台がしっかりしている。",
"execution": "2ラウンド通じてエネルギーが途切れず、01:15のように相手に向き合ってのアグレッシブな立ち回りを力強くやり切った。",
"musicality": "02:18からの重いキックとベースラインを的確に捉え、ビートの太さに合わせた重厚なノリを維持して踊っていた。",
"originality": "堂々とした体格を活かしたパワフルなアプローチとバトル特有の威圧感あるキャラクター性は明確に伝わってきた。"
}
},
"undeterminable": "屋外ステージの反響と撮影マイクの位置関係により、微細なハイハット等の高音域に対する極小のヒット反応までは完全に判別できない部分があった。",
"scores": {
"A": {
"technique": 9,
"vocabulary": 9,
"execution": 9,
"musicality": 9,
"originality": 8
},
"B": {
"technique": 8,
"vocabulary": 7,
"execution": 8,
"musicality": 8,
"originality": 7
}
},
"winner": "A",
"confidence": 0.85,
"reason": "AはHITの強弱や鋭さの使い分けが極めて緻密であり、音の細かなニュアンスまで全身のアイソレーションで可視化していました。Bの放つ重厚で力強いポップも非常に魅力的でしたが、技の引き出しの幅と緩急の質感変化においてAが上回りました。2ラウンドを通じて構成が途切れず高い完成度を保ったAの勝利と判断します。",
"comment_to_A": "1R目終盤のアニメーションのコマ送りと、2R目の曲調変化に即座にアジャストしたウェーブから鋭いスネアへの繋ぎが圧巻でした。指先から首・体幹への連動が美しく、音の隙間を埋める質感が素晴らしかったです。",
"comment_to_B": "どっしりとした立ち姿から繰り出される胸と腕の重いHITは破壊力抜群で、ベースラインへのノリの深さは非常に魅力的でした。重いポップに加えて、軽快なステップや小刻みな質感のバリエーションが加わるとさらに攻め幅が広がるはずです。"
}
結果は次のとおり(4 バトル × 3 回)。
| バトル(正解) | 正解数 |
|---|---|
| バファリン vs POPPIN'C(後攻) | 2/3 ✅ |
| Ayaha vs POPPIN'C(後攻) | 3/3 ✅ |
| BOO vs Joy(先攻) | 1/3 ❌ |
| Haku vs SHOW-GO(後攻) | 0/3 ❌ |
正解は 12 回中 6 回。うーん。少し正解が増えたが。。パターン1と比較してバファリン vs POPPIN'C(後攻)の正解数が増えた形。それ以外はパターン 1 と同じである。
パターン 3: モデルを変える
観点+採点のプロンプトはそのままに、モデルを Gemini 3.1 Pro Preview に変えて 4 バトル × 3 回を回した。
出力の例(Haku vs SHOW-GO、Pro、1 回目)
{
"dancers": {
"A": "グレーの半袖シャツ、グレーの太めパンツ、紫のバケットハット。",
"B": "緑系の柄の半袖シャツ、グレーのパンツ、サングラス、髪は短め。"
},
"rounds_observed": "1ラウンド。Aが先攻、Bが後攻。",
"observations": {
"A": "0:03-0:10: グルーヴに乗りながら、重いビートに対して胸と腕のアイソレーション。0:10-0:15: 手首のスナップ、腕のウェーブからヒット。スネアに合わせている。0:16-0:20: ロボットのようなアイソレーション、体の角度を変えながらヒット。0:21-0:25: 左右への体重移動、首と肩のヒット。0:26-0:30: 両腕を広げて連続的な細かいヒット。0:30-0:35: 足元のステップ、つま先を使った動きから、最後の音に合わせてポーズで締める。",
"B": "0:44-0:50: リズムを取りながら、手のひらを叩くような仕草で音に乗る。0:50-0:55: 重いキック音に合わせて胸の大きなヒット。0:56-1:02: 片足立ちになりながらバランスを保ち、鋭いヒットを打つ。1:03-1:08: 床に近い低い姿勢でのステップ、素早い体重移動。1:09-1:15: 前後左右へ移動しながら、音の隙間を埋めるような細かいアイソレーション。1:16-1:22: 腕を大きく使ったウェーブ、スネアでの強いヒット。1:23-1:30: メロディに合わせて体を流し、最後は音に合わせてピタッと止まりポーズ。"
},
"evidence": {
"A": {
"technique": "0:10-0:15での腕のウェーブからヒットへの流れが滑らかで、アイソレーションの精度が高い。ヒット時の体幹のブレも少ない。",
"vocabulary": "ウェーブ、タット、ロボットアニメーションなど、上半身を中心とした多様な動きをシームレスに繋げている(0:16-0:25)。",
"execution": "終始自分のペースを崩さず、0:30-0:35の最後も音の切れ目に合わせてしっかりとポーズを決めてやり切った。",
"musicality": "0:10-0:15でのスネアに対する鋭いヒットや、ベース音に対する重いアプローチなど、音の質に合わせて動きを変えている。",
"originality": "0:16-0:20で見せた独特の体の角度やシルエット、ゆったりとした間の取り方に独自のスタイルが表れている。"
},
"B": {
"technique": "0:50-0:55の胸の大きなヒットや、0:56-1:02の片足立ちという不安定な体勢での鋭いヒットなど、極めて高い技術と体幹の強さを示した。",
"vocabulary": "ヒットやウェーブに加え、1:03-1:08での低姿勢のステップや空間を広く使った移動など、全身を使った多様なアプローチを見せた。",
"execution": "強いヒットを打ち続けながらもスタミナ切れを起こさず、1:23-1:30の最後まで高いエネルギーと正確性を維持した。",
"musicality": "0:50-0:55のキック音に対する重いヒット、1:16-1:22のスネアに対する鋭いヒットなど、音の強弱や質に対する反応が非常に的確。",
"originality": "パワフルなヒットとステップを組み合わせたダイナミックなスタイルや、0:44-0:50の音の取り方などに独自のキャラクターが強く出ている。"
}
},
"undeterminable": "帽子やサングラスを着用しているため、目線や細かな表情の変化による表現は完全に確認できなかった。",
"scores": {
"A": {
"technique": 8,
"vocabulary": 8,
"execution": 8,
"musicality": 8,
"originality": 9
},
"B": {
"technique": 9,
"vocabulary": 8,
"execution": 9,
"musicality": 9,
"originality": 8
}
},
"winner": "B",
"confidence": 0.8,
"reason": "両者とも高い技術を持っていたが、Bのヒットの力強さと体幹の安定性、空間を広く使ったダイナミックなムーブがより際立っていた。特に片足立ちでの鋭いヒットや、音の重さに合わせた的確な表現力でBが優位に立ったと判断した。",
"comment_to_A": "独特のシルエットと間の取り方が非常に魅力的でした。特にウェーブからヒットへの繋ぎの滑らかさは素晴らしかったです。",
"comment_to_B": "重いキック音に対する胸のヒットや、片足立ちでのバランスとヒットの精度が圧巻でした。最初から最後までエネルギーが落ちない素晴らしいムーブでした。"
}
結果は次のとおり(4 バトル × 3 回。Flash の列はパターン 2 の再掲)。
| バトル(正解) | Flash | Pro |
|---|---|---|
| バファリン vs POPPIN'C(後攻) | 2/3 ✅ | 1/3 ❌ |
| Ayaha vs POPPIN'C(後攻) | 3/3 ✅ | 3/3 ✅ |
| BOO vs Joy(先攻) | 1/3 ❌ | 1/3 ❌ |
| Haku vs SHOW-GO(後攻) | 0/3 ❌ | 3/3 ✅ |
| 合計 | 6/12 | 8/12 |
さすがProモデル、8/12まで正解数が伸びた。Flash が 3 回とも外していた Haku vs SHOW-GO を Pro は 3 回とも当てた一方、Flash が 2/3 だったバファリン vs POPPIN'C は 1/3 に下がった。 結果だけ見るとそこそこうまくジャッジできているように見える。
パターン 4: フレームレートを変える
Pro の出力を眺めていて、勝敗の前の段階で引っかかった。出力には「ラウンド構成」を書く欄がある。実際はどのバトルも 2 人が 2 ムーブずつ踊っているのだが、Pro はバファリン vs POPPIN'C で 3 回とも「1 ラウンド」と出力した。1 回は「途中で音楽が止まって、無音の中でパフォーマンスが続く」とまで書いている。そんな場面はない。Flash は同じ欄を 12 回すべて正しく書いていた。
原因として最初に疑ったのはフレームレートである。24 fps だと 3 分で 4,000 枚を超える画像を渡すことになる。Pro にはそれが多すぎて、時間の流れを見失っているのかもしれない。それなら fps を下げれば直るはずなので、同じバトルを 1、5、10、15、24 fps で 3 回ずつ、両方のモデルで流した。
結果は次のとおり(バファリン vs POPPIN'C、各 3 回。正解は「2 人が 2 ムーブずつ」)。
| モデル | fps | ラウンド構成を正しく書いた回 | ラウンド構成の欄に書かれた、存在しない場面 |
|---|---|---|---|
| Flash | 1 | 3/3 ✅ | なし |
| Flash | 5 | 3/3 ✅ | なし |
| Flash | 10 | 3/3 ✅ | なし |
| Flash | 15 | 3/3 ✅ | なし |
| Flash | 24 | 3/3 ✅ | なし |
| Pro | 1 | 2/3 ❌ | なし |
| Pro | 5 | 1/3 ❌ | 「A が 3 ムーブ目を踊っている途中で動画が終了」 |
| Pro | 10 | 1/3 ❌ | なし |
| Pro | 15 | 1/3 ❌ | なし |
| Pro | 24 | 0/3 ❌ | 「音楽が止まり無音でのパフォーマンス」 |
Flash はどの fps でも全部正解。Pro はどの fps でも 3 回に 1〜2 回しか合わず、24 fps は全滅だった。fps を下げても直らなかったので、フレームの枚数の問題ではない。念のため API 側も確かめたが両モデルに送っている内容は同じで、入力トークン数も一致する。音声も届いている(冒頭 30 秒の歌詞を聞かせると、両モデルが同じ歌詞を書き出す)。「無音」は おそらくPro のハルシネーション。
誰がいつ踊ったかを取り違えたまま出した勝敗は、当たっていても信用できない。パターン 3 で Pro が 8/12 だったのは、たまたまと見る。以降の考察は Flash の結果で進める。
まとめると
パターン 1〜3 の勝敗を並べると次のとおり。
| バトル(正解) | シンプル(Flash) | 観点+採点(Flash) | 観点+採点(Pro)※参考値 |
|---|---|---|---|
| バファリン vs POPPIN'C(後攻) | 0/3 ❌ | 2/3 ✅ | 1/3 ❌ |
| Ayaha vs POPPIN'C(後攻) | 3/3 ✅ | 3/3 ✅ | 3/3 ✅ |
| BOO vs Joy(先攻) | 1/3 ❌ | 1/3 ❌ | 1/3 ❌ |
| Haku vs SHOW-GO(後攻) | 0/3 ❌ | 0/3 ❌ | 3/3 ✅ |
| 合計 | 4/12 | 6/12 | 8/12 |
Pro の 8/12 はラウンド数のカウントすら間違えているので一番正解率は高いがたまたまの可能性が高い。観点+採点(Flash)はシンプル(Flash)よりも正解率が高いとは言え、50%なので確率的にはコイントスと変わらない。プロンプトに記載したジャッジの基準自体私が考えたものであり実態と異なる可能性も否めないので、AIがバトルの内容をどれだけ理解できているか次節以降で深掘りしていく。
何が理解できていて、何が理解できていないのか
ここからは Flash のパターン 2 の出力(12 回分)を読み込む。採点の前に 2 人のムーブを時刻付きで観察させている(observations)ので、勝敗とは別に、モデルが映像から何を読み取っているかが分かる。準決勝のラウンド 1 を例にする。
理解していそうなもの: 大まかなムーブの組み立て・動きの名称
先攻バファリンのラウンド 1(0:08〜0:43)。
run 1(勝者バファリン判定)
| 時刻 | 記述(原文) |
|---|---|
| 0:08〜0:15 | 足元をスライドさせながらスネアに合わせて腕と胸に軽いHITを打ち、視線と首をアイソレーション |
| 0:16〜0:23 | ビートのシンコペーションに合わせて首と肩のダイムストップを刻み、両腕を水平に開くアームコントロール |
| 0:24〜0:31 | ボーカルフレーズに合わせて体を深く沈め、重いキックに脚と胸の重いHITを同期させながら低姿勢へロール |
| 0:32〜0:43 | 指先のアニメーションから腕のウェーブを通し、MCのカウントダウンに合わせて鋭いストップとポーズで締め |
run 2(勝者POPPIN'C判定)
| 時刻 | 記述(原文) |
|---|---|
| 0:08〜0:15 | 軽いステップと上半身のアイソレーションでスネアに合わせヒット |
| 0:16〜0:23 | レッグロールから手首のツイストを展開しベースラインに呼応 |
| 0:24〜0:31 | 重心を低く落として両腕を広げたスライドからボトムコントロール |
| 0:32〜0:43 | 立ち上がり腕のロールと指差しでビートを捉えターンで締め |
run 3(勝者POPPIN'C判定)
| 時刻 | 記述(原文) |
|---|---|
| 0:08〜0:15 | ステップを踏みながら軽いチェストとアームのヒットで曲のビートにノリを開始 |
| 0:16〜0:24 | スネア音に合わせて腕の鋭いポップと上体のアイソレーションを交互に展開 |
| 0:25〜0:33 | 低いスタンスへ沈み込みながらツイストと下半身の体重移動を披露 |
| 0:34〜0:41 | 片足立ちのバランスからアイソレーションを入れて第1Rを終了 |
後攻 POPPIN'C のラウンド 1(0:45〜1:26)。
run 1(勝者バファリン判定)
| 時刻 | 記述(原文) |
|---|---|
| 0:44〜0:54 | 合掌の構えから両腕に流れるハンドウェーブを通し、ベース音に合わせて胸と肩にHIT |
| 0:55〜1:05 | 片足を軸にしたツイストとサイドステップ、キックの音に合わせたアームポップ |
| 1:06〜1:17 | 背中を向けながら肩甲骨と胸のアイソレーション、ベースラインに合わせたスローモーションな身体の引き伸ばし |
| 1:18〜1:28 | 横方向へのグライドから正面に向き直り、ビートのブレイクに合わせて腕を固定したポーズで締め |
run 2(勝者POPPIN'C判定)
| 時刻 | 記述(原文) |
|---|---|
| 0:44〜0:52 | 合掌のようなタットの構えから腕の固定と鋭いアイソレーション |
| 0:53〜1:03 | 片足を浮かせて高いバランスを保ちつつ、キック音に合わせた重いチェストポップ |
| 1:04〜1:13 | 背中を向けた体勢で肩と背筋を弾くティッキングと細かいストップ |
| 1:14〜1:21 | 首と腕のアイソレーションを複合させ鋭いアクセントを連打 |
| 1:22〜1:28 | ボディーウェーブを流しながら余韻を残し相手へパス |
run 3(勝者POPPIN'C判定)
| 時刻 | 記述(原文) |
|---|---|
| 0:44〜0:52 | 合掌のポーズから静止し、重いベースとスネアに合わせて重厚な胸と腕のポップをヒット |
| 0:53〜1:01 | 片足を浮かせた状態で強烈なレッグとチェストのポップを打ち、体幹の完全な静止を維持 |
| 1:02〜1:10 | スライドとウォークアウトから背中向きでロールとストップを組み合わせる |
| 1:11〜1:19 | 背中側へのアームポップ連打と空間を固定するようなアイソレーション |
| 1:20〜1:28 | 重心を低く落としたスライドからターンして第1Rをパス |
まずAIがこんなにPoppingのムーブ・スタイル名とそれに相当する動きを理解していることに驚いた。一方であくまでも動きの組み立て・繋がりを説明しているだけで、そのダンサーが実際に表現していることのほんの一部に過ぎない。
他のバトルの観察の詳細は割愛するが以下においておく。
3 回分の観察(Ayaha vs POPPIN'C)
# run 1(判定 B)
ラウンド構成: 2ラウンド(R1: A 00:08-00:47, B 00:51-01:34 / R2: A 01:38-02:20, B 02:22-03:00)
A(Ayaha):
R1:
00:08-00:16は歩きながら腕の指差しと胸の軽いポップ
00:16-00:24は正面を向き細かなアームウェーブと首のアイソレーションを刻み
00:24-00:32はワイドスタンスから右腕を伸ばした固定ポーズとロール
00:32-00:40はスネアに合わせて肩と胸の鋭いヒットを連打
00:40-00:47は歩きながらカウントダウンに合わせて軽くヒットを打ち終了
R2:
01:38-01:46は軽快なステップから手首のツイストと指先のアイソレーション
01:46-01:54は腰を落としてフレズノ気味の体重移動に胸のヒットを合わせ
01:54-02:02は相手側へ体を向けながら腕のウェーブを通し
02:02-02:10は低めのスタンスでアームコントロールとストップ
02:10-02:20はボーカルのアクセントに合わせて胸と腕の連打からターンして終了。
B(POPPIN'C):
R1:
00:51-00:59は脱力した立ち姿から指先・手首のタットとアニメーション的なコマ送り
00:59-01:07は重いベース音に合わせた深い胸と首の重いヒット
01:07-01:15はスローモーションから急停止するダイムストップと広がり
01:15-01:23は腕を大きく広げたところから胸を突き出す重厚なヒット
01:23-01:31は極限まで低いスタンスに沈み込みながら下半身と腕を固定したスライドとポップ
01:31-01:34は立ち上がり余韻を残して終了
R2:
02:22-02:30はステップを踏みながら手首のスナップと首のアイソレーション
02:30-02:38はスネアに合わせて左右の腕と胸を交互に弾くタイトなポップ
02:38-02:46は背中を反らせるような深い角度から全身を震わせるヒット
02:46-02:54は大きく開脚した超低姿勢でのウェーブ伝達とストップ
02:54-03:02は上半身を深く倒した状態から細かくビートを拾い上げて終了。
# run 2(判定 B)
ラウンド構成: 各ダンサー2ラウンドずつ実施(1R目: A→B、2R目: A→B)。
A(Ayaha):
【1R】
00:08-00:15はビートに合わせて胸と腕の軽いヒットを刻みながら横移動
00:16-00:23はスネア音に合わせて肘・手首の鋭いアイソレーションとポインティング
00:24-00:31はステップを踏みながら体幹をツイストさせボディウェーブ
00:32-00:39は高音メロディに合わせ手首のロールと指先のアニメーション的表現
00:40-00:47はバックステップからスネアのアクセントでストップし1R終了
【2R】
01:36-01:44はファンクのリズムに乗って軽快な足元のステップと手首のロールで開始
01:44-01:52は強いビートに合わせて腕と胸のシャープなポップを連打
01:52-02:00はツイストと方向転換を交えながらグルーヴを維持
02:00-02:08は小刻みなビートを拾う細かなヒットと相手へのアピール
02:08-02:16はメロディの伸びに合わせたアームロールと指差し
02:16-02:20は音のキメに合わせてポーズを決めてBへ交代。
B(POPPIN'C):
【1R】
00:51-01:00は立ち姿から音を待ち、腕から胸へのウェーブと手首のコントロール
01:00-01:08はヘビーなスネアに合わせて重く鋭い胸・腕のポップ、リバースウェーブ
01:08-01:16はステップから腰を落とし、スネアに合わせて下半身から連動する深いヒット
01:16-01:24は両腕を掲げた姿勢から超低姿勢へと沈み込みながらのアイソレーション
01:24-01:32はワイドスタンスで床を滑るようなグライドと重低音に合わせた全身の強いポップ
01:32-01:35はターンから直立し音の終息に合わせてフィニッシュ
【2R】
02:20-02:28はリズミカルなステップと小刻みなポップでスタート
02:28-02:36は背中を向けながら首と肩甲骨のアイソレーション、音のタメを意識したアプローチ
02:36-02:44はアームウェーブからダイナミックな上半身のロールとスネアに同期した強打
02:44-02:52は深いスタンスを取り、重厚な重心移動と強烈なポップの連打
02:52-02:58は足元のツイストから全身のウェーブへ繋げる立体的な展開
02:58-03:02は上半身を深く折り畳むアニメーション的なストップで音を完全に締め括り終了。
# run 3(判定 B)
ラウンド構成: 全2ラウンド実施。1R先行A(00:08-00:47)・後攻B(00:51-01:34)、2R先行A(01:38-02:20)・後攻B(02:22-03:00)
A(Ayaha):
【1R】
00:10-00:17に胸と腕の軽快なヒットでリズムを取り
00:18-00:25でアームウェーブから首のアイソレーションをスネアに同期
00:26-00:33は上半身のロールと細かいステップワークで移動し
00:34-00:41でタット風の角度変化と指先のトレース
00:42-00:47にカウントに合わせてステップバックし一礼して終了
【2R】
01:39-01:46に速いファンクリズムに合わせて足元のステップと手元のヒットを連動
01:47-01:54でアームロールから鋭いチェストポップ
01:55-02:02は相手に視線を送りつつ細かなストップ動作
02:03-02:11でツイスト系の足運びからトークボックスの音に合わせた胸のヒット
02:12-02:20でカウントダウンに合わせてステップを刻みターンして終了。
B(POPPIN'C):
【1R】
00:52-01:00にステージ中央へ歩み寄りながら両腕の重いヒットをスネアに打ち込み
01:01-01:09で手首・肘の鋭いポップとリキッドウェーブをメロディに追従
01:10-01:19はアニメーション的な首のアイソレーションとダイムストップを交え
01:20-01:28で極端に低いスタンスへ沈み込みながらのスライドと重いコントラクションヒット
01:29-01:34で立ち上がりつつ余韻を残して終了
【2R】
02:23-02:31にトークボックスの歌声に合わせてティッキングとパペットの質感を提示
02:32-02:40で滑らかなグライドからスネアアクセントへ強いヒットを炸裂
02:41-02:49で深遠な開脚ローレベルへ移行し広背筋と腕を大きく使ったダイナミックなストップ
02:50-02:57でクレイジーレッグスを交えた床を滑るようなフットワーク
02:58-03:01で最後のお辞儀のフェイクから深いストップで締めくくり。
3 回分の観察(BOO vs Joy)
# run 1(判定 A)
ラウンド構成: 全2ラウンド。第1ラウンド:A(00:04〜00:47)、B(00:48〜01:30)。第2ラウンド:A(01:31〜02:20)、B(02:21〜03:02)。
A(BOO):
00:04〜00:11:軽快なステップと重心移動でリズムを取りつつ、スネアに合わせて胸と脚に軽いヒットを入れる
00:11〜00:19:片足立ちのアイソレーションから跳ねるようなステップを入れ、ビートのアタックに合わせて鋭い胸・首のヒット
00:19〜00:27:上半身を傾けながらアームウェーブとロールを通し、ベースのうねりを表現
00:27〜00:35:低い重心のツイストと骨盤のコントロールでファンクネスを強調し、スネアに重いヒット
00:35〜00:47:相手を指差し意識しつつ、脱力からスネアに合わせて腕と胸を弾いて1ラウンド目を終了
01:31〜01:40:袖をまくり上げて入場、肩と胸を揺らしながらビートに乗り、スネアで重いヒットを打つ
01:40〜01:48:背中を相手に向けながら腰・背筋を連動させたポップを連打し、音の隙間をステップで繋ぐ
01:48〜01:58:上半身のしなりを使ったウェーブから首のアイソレーションでメロディをトレース
01:58〜02:08:コミカルな表情を交えつつ、激しい手足のコンビネーションステップと強いポップを炸裂させる
02:08〜02:20:会場を広く使いながら大きなストップとステップを踏み、ラスト音に合わせて締める。
B(Joy):
00:48〜00:56:細かいハンドウェーブと手首のスナップを効かせ、シンセ音に合わせたアイソレーションで導入
00:56〜01:04:アームタットと固定点を作ったアイソレーションを展開し、キックに合わせて手首・腕に鋭いヒット
01:04〜01:12:腰を落としたスタンスからサイドスライドとロールを交え、音の隙間を埋める
01:12〜01:21:両腕を上に伸ばすリフレクション的なポーズから、スネアに合わせて胸と腕のタイトなヒット
01:21〜01:30:体の軸を保ちながら角度を変えるボトミングと指先のディテールを見せて1ラウンド目を終える
02:21〜02:29:首と頭部のアイソレーションでゆったりと音を聴き、タットのフレームを構築
02:29〜02:38:腕の幾何学的なラインを維持したまま、上半身のウェーブを滑らかに通す
02:38〜02:47:相手の方向へ視線を向けながら手先のディテールとリズミカルなステップを刻む
02:47〜02:55:手首のロールと細かなスナップで高音域の音を拾い、スネアで胸のポップ
02:55〜03:02:全身のダイナミクスを広げるムーブから静止を作り、きれいに踊り終える。
# run 2(判定 B)
ラウンド構成: 2ラウンド(第1R: A 00:04〜00:46 / B 00:48〜01:30、第2R: A 01:31〜02:20 / B 02:20〜03:02)
A(BOO):
00:04-00:11:足元でリズムを取りながら中央へ前進し、スネアに合わせて腕と胸に重いHITを入れる
00:11-00:19:ジャンプからの着地で全身のポップを響かせ、首のアイソレーションとステップを組み合わせる
00:19-00:27:後方へ下がりながら指差しジェスチャーを交え、スネアのアクセントで胸を鋭く弾く
00:27-00:34:ワイドスタンスで腰と胸のローリングを展開し、ベース音に合わせて深く重いHITを落とし込む
00:34-00:46:腕のウェーブからサイドステップへ繋ぎ、相手へ視線を送りながらターンしてラウンドを終える
01:31-01:42:ノースリーブ姿で軽快にバウンスしながら入り、重いキックに合わせて腕と肩に強いHITを連打する
01:42-01:54:足元のステップと膝のポップを連動させ、ベースラインのグルーヴを体幹全体でキープする
01:54-02:04:腕のウェーブからスライドステップへ移行し、アクセント音に合わせて胸と背中を大きく収縮させる
02:04-02:14:相手ダンサーの至近距離までステップで詰め寄り、挑発的な表情とともに強烈なHITを叩き込む
02:14-02:20:足元のクロスステップから上半身を脱力させ、カウントダウンに合わせて自然に立ち止まる。
B(Joy):
00:48-00:56:小刻みなティッキングとマイクロポップで入り、手首のロールから胸のHITをスネアに同期させる
00:56-01:05:フレズノの軌道から角度を変えたタットへ移行し、高音のシンセ音に対して鋭いストップをかける
01:05-01:14:深い腰の沈み込みからアームウェーブを通し、首と胸の独立したアイソレーションを見せる
01:14-01:23:直角の幾何学的なタットのポージングを連続させ、各頂点で正確に腕のHITを弾く
01:23-01:30:滑らかなステップからダイムストップを決め、余韻を残しながら落ち着いてムーブを締めくくる
02:20-02:30:ビートの頭から頭部と首のアイソレーションを刻み、指先から腕へと流れるウェーブをコントロールする
02:30-02:40:低姿勢のスタンスから素早いタットの切り替えを行い、スネアドラムの連打に完全一致したポップを打つ
02:40-02:50:ツイスト系の身体の捻りとダイムストップを交差させ、音の隙間を埋めるように滑らかな軌道を描く
02:50-03:00:手首のロールとアームアニメーションを連動させ、細かな音の粒を拾いながら相手へ向き直る
03:00-03:02:最後のビートに合わせて正確に静止し、余裕のある立ち姿でフィニッシュする。
# run 3(判定 B)
ラウンド構成: 全2ラウンド。第1ラウンド:A(00:04〜00:46)、B(00:47〜01:30)。第2ラウンド:A(01:31〜02:20)、B(02:20〜03:02)。
A(BOO):
R1:
00:04〜00:10で歩きながら右足を軽く蹴り出しリズムをキープ
00:10〜00:15でジャンプから重心を落としてスネアに合わせて重いチェストヒットを打ち込む
00:16〜00:23で片足立ちのアイソレーションから腰と首の連動を意識したツイストを見せる
00:24〜00:32で腕を伸ばした固定から低姿勢への重心移動と骨盤のロールを重いベース音に一致させる
00:33〜00:42でコミカルな表情を交えつつ足元の細かなステップと肩のポップを刻み
00:43〜00:46で音のブレイクに合わせて相手に視線を向けて一礼しムーブを締める
R2:
01:31〜01:39で袖をまくりノースリーブ姿になりリラックスしたステップでイン
01:40〜01:49で力強いアームポップと胸の連打をアップテンポなビートに叩き込む
01:50〜02:00で背中を見せつつ肩甲骨と背筋のアイソレーションを強調
02:01〜02:10で左右のサイドステップからスネアへの強いヒットを連発し会場を煽る
02:11〜02:20で相手の正面に立ち、両手を前に押し出すタット風の止めから呼吸を整えて終了。
B(Joy):
R1:
00:47〜00:54で中央に進み、繊細な手首のロールと指先のタットからスタート
00:55〜01:03で鋭いスネアに対して首と肘のシャープなスナップヒットを正確に当てる
01:04〜01:12でディメーションやアニメーションを織り交ぜ、ロボット的なカクつきを細かい音粒に合わせる
01:13〜01:21で両腕を広げたウェーブを通し、指先から胸、反対側の指先へと滑らかに伝達
01:22〜01:30で細かな足のロールとターンを入れ、音の消え際に合わせて帽子に手を添えてストップ
R2:
02:20〜02:28で体を前傾させて低く構え、細かく刻まれるハイハットに対して首と指先のマイクロアイソレーションを展開
02:29〜02:37で全身を使った大きなストップモーションから鋭いチェストポップへ急激にシフト
02:38〜02:46で相手の目の前まで間合いを詰め、スネアに合わせてダイレクトなアームヒットを提示
02:47〜02:54で流れるようなウェーブから急停止するアニメーションの質感を維持
02:55〜03:02で背中を反らせたポーズからリズムを拾い直し、余韻を残してムーブを完了。
3 回分の観察(Haku vs SHOW-GO)
# run 1(判定 A)
ラウンド構成: 各ダンサーが交互に2ラウンドずつ(A 1R→B 1R→A 2R→B 2R)踊った。
A(Haku):
1R目:
00:04-00:10で指先を使ったタットやダイムストップで音の輪郭を捉える
00:11-00:19で首のアイソレーションから腕のウェーブを滑らかに通しスネアに合わせて鋭いポップを打つ
00:20-00:28で重心を落とした固定点移動とアニメーションのコマ送りを披露
00:29-00:36で手首と胸の重いヒットを鳴らし
00:37-00:43で軽快なステップからBに合図を送り交代。2R目:
01:28-01:36で曲調の変化に合わせて浮遊感のあるアームウェーブを展開
01:37-01:46で細かなティッキングから静止への緩急を見せ、スネア音に正確にヒットを合わせる
01:47-01:56で体を倒し込むツイストとロボットの質感で音を表現
01:57-02:05で複雑なアームスルーとフィンガーロールを交え
02:06-02:13で首と胸の連続ヒットから綺麗に締めくくる。
B(SHOW-GO):
1R目:
00:46-00:52でアップテンポなビートに合わせてベーシックなステップを踏みながら体を揺らす
00:53-01:02で胸と腕に重いヒットを打ち込みながら左右への移動を行う
01:03-01:11で低く沈み込んで膝と大腿部のポップを強調し
01:12-01:20でAの正面に歩み寄って上半身の強いヒットでプレッシャーをかける
01:21-01:27でツイスト系の切り返しから決めポーズでフィニッシュ。2R目:
02:14-02:22でどっしりとした立ち姿から重低音に合わせて胸のポップを刻む
02:23-02:32で両腕を広げて空間を使い、強いスネアに合わせて全身を弾く
02:33-02:42でサイドへのスライドと足元のステップを組み合わせ
02:43-02:50で上半身を前傾させながら重いヒットを連打
02:51-02:56でカウントダウンに合わせてストップをかけ終了。
# run 2(判定 A)
ラウンド構成: 全2ラウンド。第1ラウンドはA(00:03〜00:43)先行、B(00:49〜01:25)後攻。第2ラウンドはA(01:30〜02:12)先行、B(02:13〜02:56)後攻。
A(Haku):
R1:
00:04〜00:10で細かな指先と手首のロールからスタートしボーカルに合わせて胸と腕の軽いヒットを入れる
00:11〜00:19で左腕を伸ばしたアイソレーションとゆったりとしたステップでリズムをキープ
00:20〜00:28で両腕を水平に広げて体を沈め、細かなフレズノとサイドへの体重移動を展開
00:29〜00:36で低姿勢のまま指先を細かく動かすタット的な操作から背中を反らせるロールへ移行
00:37〜00:43でスネアに合わせて鋭い腕と胸のヒットを打ち、相手に合図を送って立ち去る
R2:
01:30〜01:38でファンクビートのベースラインに合わせて手首のロールと首のアイソレーションを交互に展開
01:39〜01:46で両腕を滑らかに通すウェーブから胸の重いヒットを打つ
01:47〜01:54で低姿勢に潜り込み、背中と肘の角度を変えながら音の隙間に合わせたストップモーションを反復
01:55〜02:03でテンポの細かいハイハットに合わせて指先と腕のマイクロウェーブを通す
02:04〜02:12でダイナミックな上半身のロールから腕のシャープなヒットをアクセントに締め、交代する。
B(SHOW-GO):
R1:
00:50〜00:58で足元のステップから入り、スネアのアクセントに合わせて肘と首を鋭く弾く
00:59〜01:06で低重心のステップから胸を強く弾く重いヒットを連打
01:07〜01:14で右足を前方に伸ばす変則的なツイストと重心移動で相手の前に詰める
01:15〜01:22で相手の目前で体を大きく左右に振るダイナミックなステップと腕のヒットを見せ
01:23〜01:25で正面を向いてポーズをキメてラウンドを終える
R2:
02:13〜02:21でビートの変わり目で胸を鋭く弾き、片手を挙げて観客・相手へアピール
02:22〜02:29で両腕を広げたオープンな構えから肩と背中の連動した重いヒットを打ち込む
02:30〜02:37で腰のツイストと細かな足さばきで重心を左右に揺らしグルーヴを強調
02:38〜02:46で下半身を沈めたワイドスタンスから腕と胸の強烈なヒットを連続で打つ
02:47〜02:56で重心を深く落としたまま膝と足首の角度を操作し、ラストの音に合わせて胸の強打と前傾のストップで締めくくる。
# run 3(判定 A)
ラウンド構成: 計2ラウンド(Round 1: ダンサーA → ダンサーB、Round 2: ダンサーA → ダンサーB)
A(Haku):
【Round 1】
00:04-00:11では腕と手首のダイムストップを基点にスネアへ鋭いHITを当て、首のアイソレーションを連動
00:12-00:20ではアームウェーブからティッキングへ移行し、電子音の余韻に合わせてHITの減衰を調整
00:21-00:28では胸のポップと固定点(フィックスポイント)を用いたマリオネット風の連動を展開
00:29-00:36では低重心に落とし膝と手首を弾くステップを挿入
00:37-00:43ではスライドで距離を保ちながら音のブレイクに合わせて正確に静止して交代
【Round 2】
01:27-01:36では細かな指先・手首のタットとアニメーションで音の立ち上がりを表現
01:37-01:46ではスネアに合わせて鋭利なポップを打ち、ロボティックな浮遊感を維持
01:47-01:56では深い前傾姿勢から背中・首のアイソレーションとストロボ効果を同期
01:57-02:05ではメロディのアクセントに質感を変化させた軽快なHITを連打
02:06-02:13では滑らかなバックグライドからダイムストップで締めくくり。
B(SHOW-GO):
【Round 1】
00:45-00:53ではアップテンポなビートに合わせて重心を落としたバウンスから胸のヒットを始動
00:54-01:03では重いスネアに対して体幹全体を震わせるヘビーなポップと腕振りを提示
01:04-01:13では相手に正対して足元のレッグポップと胸の連打を力強く打ち込む
01:14-01:25では歩行動作(ウォーク)を交えながらブラス音のアクセントを逃さずヒットし、低めの構えで締め
【Round 2】
02:14-02:22ではファンキーなノリを全面に出し、胸と肩のポップでグルーヴを形成
02:23-02:32ではワイドスタンスからフレズノの軌道を描き、重厚なスネアに同期したHITを繰り出す
02:33-02:42ではツイストやボディロールを織り交ぜて高低差のある空間構成を展開
02:43-02:51ではベースラインを捉えた連続的な胸のヒットで押し出し
02:52-02:56では腕を伸ばしたポージングから音の終端で確実にストップ。
理解できていないもの: HITや音との対応
HITそのもの、HITの質(重い、軽い、鋭い)と、乗っている音に触れた箇所を抜き出し、筆者が動画と突き合わせた。
| 動画 | AI の記述 | 実際 |
|---|---|---|
| バファリン 0:08〜0:15 | 軽い HIT | 比較的重いヒット |
| POPPIN'C 0:53〜1:05 | 片足を浮かせて重いチェストポップ | 片足を浮かせながら腕の鋭いヒット |
| POPPIN'C 0:59〜1:08 | 重いヒット | 重いヒット |
| BOO 0:27〜0:35 | 重い HIT | 軽いヒット |
| SHOW-GO 0:53〜1:03 | 胸と腕に重いヒット | 滑るような動きの中に正確な鋭いヒット |
| SHOW-GO 2:43〜2:56 | 前傾しながら重いヒットの連打 | リズムに乗った軽快なヒット |
| Haku 1:37〜1:46 | スネアに鋭いヒット(2 回)/ 胸の重いヒット(1 回) | ヒットは打っておらず、スライド、ウェーブ、コブラを組み合わせたヌメっとした表現 |
| Ayaha 0:32〜0:41 | 肩と胸の鋭いヒットを連打(1 回)/ 手首と指先(2 回) | ウェーブ、スローモーション、ストップで緩急をつけた表現 |
| 動画 | AI が挙げた音 | 実際 |
|---|---|---|
| バファリン 0:08〜0:15 | スネア(3 回とも) | 打ち込み系の重いビート |
| バファリン 0:24〜0:31 | 重いキック | ボーカルフレーズ |
| POPPIN'C 0:53〜1:05 | キック | メロディライン |
HITの表現、音との対応はほぼ間違っているのでそれらしいことを出力したと考えられる。私がダンスバトルを始めたての頃、先生・先輩からよく「音をよく聞いてHITを弾け!」と怒られたものだが、AIはそれが理解できないということなので、非常に残念な早ドリの後輩を見ている気持ちになった。
考察
AIはなぜジャッジができないか
今回の実験で、ムーブの大枠はAIで捉えることができるが、音楽との親和性やHITのディテールは理解できていないことが分かった。動きだけで分かる技のコンビネーションやスムーズさ、シルエットのクオリティなどは確かに評価に値するが、実際のジャッジにおいては動きだけでなくそれが音楽とマッチしているか、グルーヴがあるか、HITの質感が音に合っているか、なども重要な評価観点であるので、それが理解できないことにはジャッジを間違えるのは当然の結果と言える。
AIの活用ポイント
勝敗は当てにならないが、講評は良いことを言っており自主練のお供になりそう。今回の実験では超ハイレベルなダンサーさんばかりなのでAIの講評と言えど大変恐縮ですが、例として挙げさせていただきます。
バファリンさんへの講評(バファリン vs POPPIN'C)
音楽に自然に乗るグルーヴ感と軽快なステップワークが非常に心地よく、00:25の低姿勢からのツイストや02:00前後のスムーズな展開は見事でした。Bのような超重量級のポップに対して、さらにヒットの質感のコントラストや空間の緩急を広げるとより脅威になるはずです。
Ayaha さんへの講評(Ayaha vs POPPIN'C)
メロディやボーカルに対する繊細なアプローチと軽快なステップワークが素晴らしかったです。ヘビーなビートの瞬間に、下半身から連動する重く深い質感のヒットを打ち分けることができると、さらに踊りにメリハリが生まれます。
BOO さんへの講評(BOO vs Joy)
体幹の強さと背中や下半身まで連動した重厚なヒットが素晴らしく、踊り全体から溢れるファンクネスと遊び心が見事でした。
今後の展望
モデルの性能向上に期待!!
だけでは他責すぎるので、、やるなら姿勢推定で関節の速度と止まりの鋭さを、音声解析で拍とアクセントの時刻差を数値化して渡せば、「どう打ったか」「音のどこに乗せたか」を判定材料にできる余地はある。グルーヴの数値化とかできると面白いが、、色々とハードルが高いのでなんやかんやしている間に良いモデルが出てきそう。
あと本記事の内容以外でも「AI x ストリートダンス」で面白いことしたい。
以上!!
注意書き
- 動画は主催者の公式チャンネルの公開動画を YouTube の埋め込みで参照している。ダウンロードや静止画の転載はしていない
- AI の判定と講評は実験の結果であって、出場ダンサーの評価ではない
- 4 バトルはすべて同じ大会のもので、正解率はこの範囲の話でしかない
