#プランニング・ポーカーとは
アジャイル開発においてチームが一丸となって常に同じ目標を持ちながら開発サイクルを進めていくのはとても重要なことです。
しかし違う思考を持った人間の集まりである以上、意見の相違や目標のとらえ方の違いが出てくるのは必至です。
それを防ぐためには全員で会議をするのが一番でしょうが、全員が均等に意見を出すことはとても難しいことですし、時間がかかって決して楽しいものではありません。
その一つの解決法になりうる手段がこのプランニング・ポーカーです。
ウェブサービスでもありますし、カードそのものも売っていますし、厚紙さえあれば容易に作れます。
#ルール
- チームのメンバーはプロダクトオーナーを除いて全員、それぞれに同じ枚数同じ内容のカードを受け取ります。(考案者はフィボナッチ数列になったカードを推奨)
- 議題としてバックログからユーザーストーリーを作り出します。
- そのユーザーストーリーを具象化するにあたって自分の評価に値するカードをメンバーが一斉に出します。
- 出されたカードの数字のうち最大のものと最小のものを出した人の意見を聞きます。
- その意見を聞いたのち、再度カードを出し合い、先ほど同様突出した数字のメンバーの意見を聞きます。
- 最終的にすべてのメンバーが同じカードを出したとき、コンセンサスが得られます。
#注意
このゲームでコンセンサスを得るうえで大事な注意がいくつかあります。
- 一度のゲームで複数のユーザーストーリーを扱うこと。
- 明確な一つの評価基準を設けないこと。
- 安易に結果を平均化しないこと。
1.についてはコンセンサス獲得に向けて、それぞれ特化したものがあり、違う視点を持ったメンバーたちの意見を受けながら次のストーリー、また次へと進んで行くことでより高度なコンセンサス獲得の可能性を阻害しうるからです。
2.はいくらか3.にも共通するのですが、時間なり、技術なり、資源なりその他評価の基準になりそうなものを選んで一元化してしまったり、評価が一元的にならざるを得ないほど小規模なユーザーストーリーしか用意していなければ結論ありきのゲームになりかねません。
3.このゲームにおける最大の障害でもあるのですが、一人だけ評価が違う人物へ平均化するように雰囲気で圧力をかけてしまうことです。このゲームの目的はコンセンサス獲得であって議論が白熱しないように迂回することではありません。評価が譲れない人はその理由を皆に周知するべきですし、皆はそれに耳を傾けて自らの評価の足しになるか判断しなければなりません。
#最後に
チームが一丸となって同じ展望を持つというのは簡単なことではありません。
プロジェクトの開始とともにメンバーはそれぞれ展望をもっているでしょうが、それは自分の能力をベースにしているでしょうし、それはつまり無意識に自分が苦手とするものや興味の薄い分野での評価に高すぎたり低すぎたりする点を与えていることでもあり、いびつなものとなっています。
コンセンサスを得るにはこれのほかにもSwimlanes Wall方式などいろいろなやり方がありますが、個人的にこのやり方は楽しくて、しっくりきました。
ウェブサービスで行う場合以外、全員で囲めるテーブルなどがいる点はホワイトボードさえあればできるSwimlanes方式のほうにも利点がありますし、スクラムマスターの好み次第ですね。