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【Sysdig事例紹介シリーズ#6】Syfe:コンプライアンス作業時間を75%削減、CISスコアを30ポイント向上

Last updated at Posted at 2025-11-19

エグゼクティブサマリー

シンガポールに本社を置くデジタル投資プラットフォーム企業Syfeは、Sysdigクラウドセキュリティプラットフォームの導入により、以下の顕著な成果を達成しました:

  • セキュリティ・コンプライアンス管理時間を75%削減
  • CIS AWS Foundations BenchmarkスコアをTier1のうち60%から90%に向上
  • ビルドパイプライン効率を10-15%改善
  • 手動ルール更新時間を90-95%削減
  • インシデント対応時間を80-90%短縮
  • 月次監査時間を約10-12時間削減

シンガポール、香港、オーストラリアといった厳格な規制市場で事業を展開する同社は、Sysdigによって包括的なクラウドネイティブセキュリティ体制を確立しました。


企業プロファイル

Syfeは、個人向け資産運用および証券取引の仲介サービスを提供する国際的なデジタル投資プラットフォームです。

基本情報

  • 本社所在地: シンガポール
  • 事業領域: フィンテック(金融テクノロジー)
  • 展開地域: シンガポール、香港、オーストラリア
  • 業種特性: 高度に規制された金融サービス業界

技術インフラ

  • クラウドプロバイダー: AWS(Amazon Web Services)
  • オーケストレーション: Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS)
  • アーキテクチャ: クラウドネイティブ、コンテナベース

直面していた課題

Syfeは、事業拡大とともに複数の深刻なセキュリティ課題に直面していました。

1. 可視性の欠如

  • クラウドネイティブ環境全体への不十分な可視性
  • コンテナやKubernetes環境におけるセキュリティ状況の把握困難
  • 分散したセキュリティツールによる情報の断片化

2. 運用効率の低下

  • カスタムFalcoルール作成に長時間を要するプロセス
  • セキュリティチームのリソースが手作業に費やされる
  • 脅威検知ルールの更新とメンテナンスの負担

3. コンプライアンスの複雑性

  • 複数の規制市場におけるコンプライアンス要件の証明が困難
  • 手動監査プロセスによる時間とコストの浪費
  • CISベンチマークなどの業界標準への対応の遅れ

4. 脆弱性管理の非効率

  • 開発者に対する脆弱性の優先順位付けが不明確
  • 修復パスの可視性不足
  • 外部データベースのダウンロードと管理の手間

5. 認証情報管理のリスク

  • クレデンシャル管理への可視性不足によるセキュリティギャップ
  • 長期的なアクセスキーの存在
  • 不審なログイン試行の検知困難

ソリューション:Sysdigプラットフォームの導入

段階的なアプローチ

フェーズ1:オープンソースFalcoの採用

Syfeは最初に、Sysdigのオープンソース脅威検知エンジンであるFalcoを導入しました。

  • 全サーバーへのFalcoデプロイ
  • カスタムポリシーの作成
  • Slackアラート統合による通知体制の構築

フェーズ2:Sysdig統合プラットフォームへの移行

EKSサーバーのアップグレードを機に、SyfeチームはSysdigの包括的なプラットフォームを採用し、断片化していたセキュリティツールセットを統合する決断を下しました。

Abhishek Garg氏(Director of Engineering)のコメント:

「Falcoは基盤的なセキュリティを提供してくれましたが、Sysdigはセキュリティをワークフロー全体に完全に統合してくれました。」

主要実装機能

1. 統合脆弱性管理

  • 一元化されたダッシュボードによる脆弱性の可視化
  • 外部データベースのダウンロード不要
  • 自動化されたアラート配信
  • ランタイム脆弱性スキャン機能
  • 責任者への自動レポート配信
  • 開発者向けの明確な修復パス

2. 自動化された脅威検知

  • Sysdig Threat Research Teamによる継続的なルール更新
  • 手動でのルールメンテナンス作業を90-95%削減
  • 最新の脅威インテリジェンスに基づく自動保護
  • カスタマイズ可能なアラートポリシー

3. AWS統合セキュリティ

  • 事前構築されたポリシーによるAWSセキュリティサービスとの自動連携
  • 監査ログ統合による包括的なセキュリティインサイト
  • IAM改善による長期アクセスキーの削除
  • 複数回の失敗したログイン試行などの不審なアクティビティの検知

4. GenAI搭載のセキュリティアナリスト

Sysdig Sage™ の導入により、脅威分析を大幅に効率化:

「インターフェースやドキュメントを探し回る代わりに、単にSysdig Sageに尋ねるだけです。」

  • 自然言語による脅威分析クエリ
  • インシデント調査時間の短縮
  • セキュリティ知識のギャップを埋めるAIサポート

5. コンプライアンス自動化

  • CISベンチマークのスコアリングと追跡
  • 手動介入を排除した自動通知
  • EKS固有のコンプライアンスカバレッジの拡張基盤
  • 複数地域の規制要件への対応準備

導入成果:定量的・定性的効果

定量的成果

指標 改善結果
ビルドパイプライン効率 10-15%向上
セキュリティ/コンプライアンス管理時間 75%削減
CIS AWS Foundations Benchmark (Tier 1) 60% → 90% (30ポイント向上)
手動ルール更新時間 90-95%削減
インシデント対応時間 80-90%短縮
月次監査時間 約10-12時間削減

定性的効果

ワークフロー統合

「Sysdigを使えば、セキュリティは単なるチェックポイントではなく、シームレスに組み込まれています。」

  • セキュリティがDevOpsワークフローに自然に統合
  • 開発者の生産性とセキュリティの両立
  • 摩擦の少ないセキュリティ実装

ツール統合の簡素化

  • 断片化した複数ツールから単一プラットフォームへの移行
  • 運用の複雑性削減
  • チーム間のコラボレーション向上

開発者エクスペリエンスの改善

  • 明確な脆弱性の優先順位付け
  • 具体的な修復手順の提供
  • セキュリティと開発速度のバランス

規制対応の効率化

  • 複数の規制市場への対応が容易に
  • 自動化された証拠収集
  • 継続的なコンプライアンス状態の可視化

技術的詳細

アーキテクチャ構成

┌─────────────────────────────────────────────────────┐
│                  Sysdig プラットフォーム                │
├─────────────────────────────────────────────────────┤
│                                                     │
│  ┌──────────────┐  ┌──────────────┐  ┌──────────┐ │
│  │  Sysdig      │  │  Sysdig      │  │  Sysdig  │ │
│  │  Secure      │  │  Sage™       │  │  Monitor │ │
│  │              │  │  (GenAI)     │  │          │ │
│  └──────┬───────┘  └──────┬───────┘  └────┬─────┘ │
│         │                 │               │       │
└─────────┼─────────────────┼───────────────┼───────┘
          │                 │               │
          ▼                 ▼               ▼
┌─────────────────────────────────────────────────────┐
│                    AWS インフラ                       │
├─────────────────────────────────────────────────────┤
│                                                     │
│  ┌────────────────────────────────────────────┐   │
│  │     Amazon EKS (Kubernetes)                │   │
│  │  ┌──────┐  ┌──────┐  ┌──────┐  ┌──────┐  │   │
│  │  │ Pod  │  │ Pod  │  │ Pod  │  │ Pod  │  │   │
│  │  └──────┘  └──────┘  └──────┘  └──────┘  │   │
│  │         Falco エージェント統合              │   │
│  └────────────────────────────────────────────┘   │
│                                                     │
│  ┌──────────┐  ┌──────────┐  ┌──────────┐         │
│  │   IAM    │  │  Audit   │  │ Security │         │
│  │          │  │   Logs   │  │ Services │         │
│  └──────────┘  └──────────┘  └──────────┘         │
│                                                     │
└─────────────────────────────────────────────────────┘

主要技術スタック

セキュリティレイヤー

  • Falco: オープンソースランタイム脅威検知エンジン(基盤)
  • Sysdig Secure: 包括的なクラウドセキュリティプラットフォーム
  • Sysdig Sage™: 生成AIセキュリティアナリスト

コンプライアンスフレームワーク

  • CIS AWS Foundations Benchmark: AWS環境のセキュリティベストプラクティス
  • 地域別規制要件(シンガポール、香港、オーストラリア)

インフラストラクチャ

  • Amazon EKS: Kubernetesオーケストレーション
  • AWS IAM: アイデンティティとアクセス管理
  • AWS Audit Logs: 監査ログとコンプライアンス証跡

統合ポイント

AWS Security Services統合

  1. 自動アラート生成: 事前構築されたポリシーによるAWSセキュリティイベントの検知
  2. 監査ログ分析: CloudTrailログの継続的監視
  3. IAMセキュリティ: 長期アクセスキーの識別と削除支援
  4. 異常検知: 複数回の失敗したログイン、権限昇格の試み等

開発ワークフロー統合

  1. ビルドパイプライン: CI/CDへのセキュリティスキャン統合
  2. 脆弱性フィードバック: 開発者へのリアルタイム通知
  3. 修復ガイダンス: コンテキストに応じた修正提案

学びと教訓:他社にも応用できる知見

1. 段階的な導入アプローチの有効性

Syfeの成功事例は、オープンソースから商用プラットフォームへの段階的移行が効果的であることを示しています。

推奨アプローチ:

  • まずFalcoなどのOSSで基盤を構築
  • ユースケースを検証後、統合プラットフォームへ移行
  • 既存の投資を活かしながら拡張

2. 統合の重要性

断片化したツールセットから単一の統合プラットフォームへの移行により:

  • 運用効率が劇的に向上(75%の時間削減)
  • セキュリティの可視性が向上
  • チーム間のコラボレーションが円滑に

教訓:
多数のポイントソリューションよりも、包括的な統合プラットフォームの方が長期的にはコスト効率が高い。

3. 自動化による人的リソースの最適化

手動作業の自動化により:

  • ルール更新時間を90-95%削減
  • 月次監査時間を10-12時間削減
  • セキュリティチームが戦略的業務に集中可能

ベストプラクティス:

  • 繰り返し作業は徹底的に自動化
  • 人間は判断と戦略立案に注力
  • GenAI活用で専門知識のギャップを埋める

4. コンプライアンスの継続的な可視化

CISスコアの30ポイント向上(60% → 90%)は、継続的な測定と改善の成果です。

実装のポイント:

  • ベンチマークスコアの自動追跡
  • 定期的な進捗レビュー
  • 自動通知による迅速な対応
  • 証拠の自動収集でコンプライアンス証明を簡素化

5. 開発者エクスペリエンスの重視

セキュリティを「チェックポイント」から「シームレスな統合」に変革:

  • 開発速度を犠牲にしない
  • 明確な優先順位と修復パス
  • 摩擦の少ない実装

成功要因:
開発者の生産性とセキュリティ要件を両立させることで、組織全体のセキュリティ文化を醸成。

6. 規制対応のスケーラビリティ

複数の規制市場(シンガポール、香港、オーストラリア)への対応を効率化:

  • 地域別要件への柔軟な対応
  • 標準化されたコンプライアンスフレームワーク
  • 自動化による一貫性の確保

応用可能性:
金融、医療、政府系など、高度に規制された業界での展開に有効。


まとめ

Syfeの事例は、クラウドネイティブセキュリティの包括的なアプローチが、フィンテック企業にとって競争優位性をもたらすことを実証しています。

主要な成功要因

  1. 段階的な導入: OSSから商用プラットフォームへの自然な移行
  2. 統合プラットフォーム: 断片化したツールの統合による効率化
  3. 自動化の徹底: 手作業を最小化し、人的リソースを戦略業務へ
  4. 継続的改善: CISスコア30ポイント向上に見られる測定と改善
  5. 開発者中心: セキュリティをワークフローにシームレスに統合
  6. AI活用: Sysdig Sage™による専門知識のギャップ解消

定量的インパクト

カテゴリ 改善度
運用効率 75%時間削減
コンプライアンス CISスコア30ポイント向上
脅威対応 80-90%高速化
自動化 90-95%の手作業削減
ビルド効率 10-15%向上

Director of Engineeringからの最終評価

「Sysdigは、私たちが使用している最高の商用セキュリティツールの一つです。もう一度選ぶとしても、間違いなくSysdigを選びます。」
Abhishek Garg氏, Director of Engineering, Syfe

今後の展望

Syfeは、Sysdigプラットフォームを基盤として:

  • EKS固有のコンプライアンスカバレッジのさらなる拡張
  • 新規市場への事業展開におけるセキュリティ要件への迅速な対応
  • AI機能(Sysdig Sage™)の活用拡大
  • 開発者のセキュリティ意識とスキルの継続的向上

を推進していきます。


参考情報


記事作成日: 2025年11月19日
原文: Syfe Customer Case Study - Sysdig
翻訳: Claude (Anthropic)

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