エグゼクティブサマリー
1990年創業のITコンサルティング企業ICG Consultingが、Sysdig SecureとSysdig Monitorを活用し、クラウド移行における課題を解決。アラート数30%削減、クラウドコスト15%削減、リリース頻度10%向上を実現しました。5つのツールを統合し、週4時間の運用工数削減と、2名分のアナリスト採用コストを削減しながら、金融・エネルギー業界のコンプライアンス要件にも対応した革新的な事例です。
企業プロファイル
企業名: ICG Consulting
設立: 1990年
事業内容: バックオフィスアプリケーション、ビジネスプロセス自動化、システムインテグレーション
主要顧客: 金融サービス、エネルギー企業、ホスピタリティブランド、物流企業
ビジネスモデル: SaaSプロバイダー
インフラ: Amazon Web Services (AWS)
オーケストレーション: Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS)
導入ソリューション: Sysdig Secure, Sysdig Monitor
ICG Consultingは、オンプレミスからクラウドホスト型サービスへ移行し、顧客の事業拡大とビジネスアジリティ向上を支援しています。
直面していた課題
1. クラウドインフラの可視性不足
- クラウドリソース全体の監視とレポート機能が限定的
- ノード、ポッド、ユーザーレベルでの問題特定が困難
- 包括的な可視性の欠如
2. 運用効率とコスト最適化の必要性
- 大手企業との競争力維持のため、コストと人員の効率化が必須
- 既存のセキュリティツールで人員増強を避けつつ成長する必要
- 2名分のアナリスト採用コストを削減したい
3. アラート疲労の深刻化
- Kubernetes環境の既存セキュリティソリューションから大量のアラート
- 日々のアラート数が膨大で、重要な問題に集中できない
- 誤検知が多く、セキュリティチームの負担が増大
4. イメージスキャンツールの複雑化
- 5つの異なるツールを使用してイメージスキャンを管理
- ツール間の統合が複雑
- CI/CDパイプラインの運用負荷が高い
- 週4時間がイメージスキャン管理に消費
5. コンプライアンス検証の負担
- 金融・エネルギー業界の規制対応が必要
- NIST準拠の実装と検証が複雑
- 顧客へのSOCコンプライアンスレポート作成が手作業
Sysdig による ソリューション
1. 包括的な可視性の実現
Sysdig Monitor による統合監視:
- クラウド、コンテナ、ホストインフラ全体の可視化
- ノード、ポッド、ユーザーレベルでの問題特定が可能
- リアルタイムダッシュボードで状況把握
技術的ポイント:
- AWS EKS クラスターの完全可視化
- コンテナレベルのメトリクス収集
- アプリケーションパフォーマンス監視
2. アラート最適化とオートチューニング
Sysdig Secure の自動チューニング機能:
- 従来のFalcoオープンソースルールから移行
- インテリジェントなアラートフィルタリング
- セキュリティを犠牲にせず、ノイズを削減
成果:
「Sysdigのオートチューニング機能により、セキュリティを犠牲にすることなく、アラートを30%削減できました」
— Marcus Boelter氏
具体的な改善:
- 日次アラート数: 膨大な数 → 30件未満
- 重要な問題への集中が可能に
- セキュリティチームの生産性向上
3. ツール統合とCI/CD効率化
イメージスキャンの統合:
- 5つのツールを Sysdig Secure + AWS ECR に統合
- CI/CDパイプラインの簡素化
- 週4時間の運用工数削減
成果:
- リリース頻度: 週次で10%向上
- 人員増強なしで実現
- デプロイメントプロセスの効率化
4. コンプライアンス自動化
NIST準拠の簡素化:
- Sysdigの標準ルールセットで即座に対応
- 手作業での実装が不要
- 継続的なコンプライアンス監視
レポーティング:
- 中央集約型のレポートスイート
- 顧客へのSOCコンプライアンス証明が容易
- 監査対応の効率化
5. コスト最適化
クラウドリソースの最適化:
- 不要なリソースの特定と削減
- 15%のクラウドコスト削減
- 可視性向上によるリソース使用率の改善
人件費の削減:
- 2名分のアナリスト採用を回避
- 既存チームで成長に対応
- 運用効率の向上
導入成果
定量的成果
| 指標 | 成果 |
|---|---|
| クラウドコスト削減 | 15% |
| リリース頻度向上 | 週次で10% |
| アラート削減 | 30%(導入数週間で達成) |
| 運用工数削減 | 週4時間(イメージスキャン) |
| 人件費削減 | アナリスト2名分の採用コスト削減 |
| ツール統合 | 5つ → 2つ(Sysdig + AWS ECR) |
| 日次アラート数 | 膨大 → 30件未満 |
定性的成果
✅ 包括的な可視性の獲得
クラウド、コンテナ、ホスト全体の統合監視により、問題の迅速な特定が可能に
✅ セキュリティチームの生産性向上
アラート疲労の解消により、重要な問題に集中できるようになった
✅ 開発速度の向上
CI/CDパイプラインの簡素化により、人員増強なしでリリース頻度を向上
✅ コンプライアンス対応の効率化
NIST準拠の自動化により、手作業での実装が不要に
✅ 顧客信頼の向上
SOCコンプライアンスの証明が容易になり、顧客への信頼性が向上
✅ 競争力の強化
大手企業との競争において、コストと効率の両面で優位性を獲得
技術的アーキテクチャ
┌─────────────────────────────────────────────────┐
│ AWS Cloud │
│ ┌───────────────────────────────────────────┐ │
│ │ Amazon EKS Cluster │ │
│ │ ┌─────────────┐ ┌─────────────┐ │ │
│ │ │ Application │ │ Application │ │ │
│ │ │ Pods │ │ Pods │ │ │
│ │ └──────┬──────┘ └──────┬──────┘ │ │
│ │ │ │ │ │
│ │ ┌────▼───────────────────▼─────┐ │ │
│ │ │ Sysdig Agent (DaemonSet) │ │ │
│ │ │ - Runtime Monitoring │ │ │
│ │ │ - Security Detection │ │ │
│ │ │ - Image Scanning │ │ │
│ │ └──────────────┬────────────────┘ │ │
│ └───────────────────┼───────────────────────┘ │
│ │ │
│ ┌───────────────────▼───────────────────────┐ │
│ │ AWS ECR (Container Registry) │ │
│ │ - Image Storage │ │
│ │ - Vulnerability Scanning │ │
│ └───────────────────────────────────────────┘ │
└──────────────────────┬──────────────────────────┘
│
┌────────▼──────────┐
│ Sysdig Backend │
│ - Sysdig Secure │
│ - Sysdig Monitor │
│ - Analytics │
│ - Compliance │
│ - Alerting │
└───────────────────┘
技術スタック詳細
インフラストラクチャ:
- AWS EKS (Amazon Elastic Kubernetes Service)
- Amazon ECR (Elastic Container Registry)
- AWS Cloud Services
セキュリティ:
- Sysdig Secure
- Runtime threat detection
- Image scanning
- Compliance automation
- Autotuning for alert optimization
監視:
- Sysdig Monitor
- Infrastructure monitoring
- Application performance monitoring
- Cost optimization insights
以前の構成:
- Falco オープンソースルール
- 5つの異なるイメージスキャンツール
学びと教訓
1. ツール統合の重要性
複数ツールの課題:
- 管理コストの増大
- 統合の複雑性
- チーム間の情報サイロ
統合によるメリット:
- 運用工数の削減
- 一元化された可視性
- CI/CDパイプラインの効率化
2. アラート最適化の価値
アラート疲労の影響:
- セキュリティチームの生産性低下
- 重要な問題の見逃しリスク
- 対応遅延
オートチューニングの効果:
- 誤検知の削減
- 重要なアラートへの集中
- セキュリティ品質の向上
3. 可視性がコスト削減につながる
可視性の欠如:
- 無駄なリソース使用
- 問題の特定遅延
- コスト最適化の機会損失
包括的な可視性:
- 不要リソースの特定
- 15%のコスト削減
- データドリブンな意思決定
4. コンプライアンス自動化の必然性
手作業の課題:
- 時間とリソースの浪費
- ヒューマンエラーのリスク
- 継続的な監視が困難
自動化のメリット:
- 標準ルールセットで即座に対応
- 継続的なコンプライアンス監視
- 監査対応の効率化
5. 小規模チームでも大企業と競争可能
ICG Consultingの戦略:
- ツール統合による効率化
- 自動化による生産性向上
- コスト最適化
成果:
- 人員増強なしで成長
- 大手企業との競争力維持
- 顧客満足度の向上
まとめ
ICG Consultingの事例は、適切なツール選択とツール統合が、小規模なITコンサルティング企業でも大企業と競争できる基盤を作ることを証明しています。
主要な成果:
- ✅ セキュリティとコスト削減の両立
- ✅ 運用効率の劇的な改善
- ✅ コンプライアンス対応の自動化
- ✅ 開発速度の向上
- ✅ 人員増強なしで成長
成功の要因:
- 包括的な可視性 - クラウド、コンテナ、ホスト全体の統合監視
- インテリジェントな自動化 - アラートのオートチューニング
- ツール統合 - 5つのツールを2つに集約
- コンプライアンス自動化 - NIST準拠の標準ルールセット
- コスト最適化 - 可視性によるリソース効率化
他社への示唆:
中小規模のITサービス企業が大手と競争するには、効率性と自動化が鍵となります。Sysdigは、セキュリティ、監視、コンプライアンスを統合し、限られたリソースで最大の成果を生み出すプラットフォームです。
特に、金融・エネルギーなどの規制業界の顧客を持つ企業にとって、コンプライアンス自動化は競争優位性の源泉となります。
関連リソース
本記事は、Sysdigの公式カスタマーストーリーを基に作成されています。
翻訳日: 2025-12-10