こんにちは、京セラコミュニケーションシステム 青木(@KCCS-YuyaAoki)です。
本記事は、私が気候変動問題について調べたこと・学んだことを整理し、少しでも多くの方に知って頂くために掲載するものです。不確かな情報・誤った情報があるかもしれませんが、それらも踏まえ楽しんで読んで頂けますと幸いです。
(ご意見等ありましたら、お気軽にコメントください。)
本記事は2023年7月ごろに作成しております。引用している文章などはこの時点での最新となります。
連載記事一覧(全6話)
IT視点でGXを語る 第01話 ~地球温暖化について本気出して考えてみた~ ★本記事★
IT視点でGXを語る 第02話 ~温室効果ガス(GHG)の排出はどこから?~
IT視点でGXを語る 第03話 ~GHG Protocolと自社のGHG排出量の算出~
IT視点でGXを語る 第04話 ~GHG Protocol Scope3とサプライチェーンを巻き込んだ取り組み~
IT視点でGXを語る 第05話 ~製品・サービスのGHG排出量「カーボンフットプリント」とは~
IT視点でGXを語る 第06話 ~さまざまな排出量削減の取り組み~
はじめに
近ごろ、「グリーントランスフォーメーション(GX)」をはじめ、「気候変動」「地球温暖化」「脱炭素」「カーボンニュートラル」など、さまざまな環境に関するキーワードを目にするようになってきました。そもそもグリーントランスフォーメーションとは、簡単にいうと、化石燃料をできるだけ使わずクリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のことを指します。2022年7月に岸田総理を議長とする「GX実行会議」が設置され、2023年2月には「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されていることから国を挙げた取り組みだということがわかります。このような取り組みが加速している背景や世界の動向について私なりに調べてみました。
- 国連組織等の調査によると、産業革命以降地球の平均気温は1.1℃上昇しており、それは人間活動によるものであることには疑う余地がない、と言われている。
- このまま何も手を打たずに経済活動を続けると私たちの子供、孫の世代にあたる2100年には4.8℃まで上昇するかもしれない。
- 我が国においては、2020年10月26日に菅義偉元総理大臣が「2050年カーボンニュートラル宣言」を表明している。
- 2021年11月、英国グラスゴーで開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では「気温上昇を1.5℃以内に抑える努力を追求する」ことが確認された。
- 企業に融資している金融業界においても、脱炭素・カーボンニュートラルに後ろ向きな企業についてはダイベストメント(=投資している金融資産を引き揚げること)の動きが始まっている。
- かのAppleにおいても、グローバルサプライチェーンに対して2030年までに脱炭素化することを要請している。
一口で言うと「世界中が一丸となって脱炭素、カーボンニュートラルに取り組んで気候変動対策を必死で頑張ろう」という状態になっており、また「脱炭素取り組みに出遅れた企業は、淘汰されていく世界にすでになっている」ようです。
私はIT企業に所属しておりますがどうやら他人事ではなく、これらの潮流には逆らえないと思いましたので、このブログを執筆するに至っております。
皆さんも一緒に地球温暖化について本気出して考え頂ければ幸いです。
そもそも地球の気温はどのように決まるのか
地球温暖化を考える前に、地球の気温はどのように決まっていくのかを調べてみました。
みなさん、宇宙から地球を眺めるイメージをしてみてください。
地球は太陽から常に光を浴びて熱量を受けています。一方で、宇宙空間はマイナス270℃とされています。このことから、地球は太陽光から熱を受け取ると同時に、極寒の宇宙空間に晒されることで、熱を外部に放射しているということがわかります。つまり、受け取った熱量と宇宙空間に放たれた熱量のバランスにより地球の気温が決まってくる、と考えられるわけです。
ここでさらに考慮すべきものとして「温室効果ガス(Greenhouse Gas)」というものがあります。温室効果ガスとはその名の通り、地球全体をビニールハウスに包んで温度を一定に保つ働きをするガスを指します。温室効果ガスには二酸化炭素をはじめ、下図のようにさまざまな種類が存在します。
出典)温室効果ガスインベントリオフィス/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より
つまり地球は、 温室効果ガスの働きによって、太陽光から受けた熱量を宇宙空間に放出しすぎないよう絶妙なバランスを保ちながら気温を維持している、ということになります。
では、地球温暖化とは?
ところで、現在の我々が住むこの地球の平均気温は14℃台を推移しているそうです。しかし7万年前から1万年前まで続いたとされる最終氷期では、今よりも平均気温が6.1℃低かったとされています。また、氷期(寒冷期)と間氷期(温暖期)は何万年・何十万年という大きな時間の流れの中で繰り返されており、火山活動等による二酸化炭素濃度の変化や、隕石衝突・地軸の傾き変化等による日射量の変化などのさまざまな要因が考えられています。
一方で近年問題視されている地球温暖化はここ数百年の間の気温上昇を指しており、主に温室効果ガスの影響による100年間の1℃~5℃の気温上昇の可能性と、それらに対して如何に歯止めをかけるかということを中心に議論がされています。またこれらについては人間活動が原因なのかどうかということも議論の焦点となってきました。
そのような中、2023年3月20日にIPCC(気候変動に関する政府間パネル:Intergovernmental Panel on Climate Change)から「第6次評価報告書統合報告書(AR6)」が発表され、報告書内において次のような言及があったことが注目されています。
- 気候変動による損失や損害についてはすでに深刻な影響を及ぼしている。
- 人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。
- 現在の各国の温室効果ガス排出量削減目標と実施計画にはギャップがあり、達成には不十分。
- 気候変動に対するパリ協定の目標の1つである世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるという目標を達成するためには、温室効果ガスの排出量を2035年までに2019年比で60%削減することが必要。
以下にIPCCの示す5つの予想シナリオとそれぞれのシナリオにおける気温上昇のグラフを掲載します。
出典)温室効果ガスインベントリオフィス/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より
出典)IPCC第2作業部会第6次評価報告書(https://www.ipcc.ch/report/ar6/wg2/)より
これらの内容は私たち人間の経済活動により大量の温室効果ガスが排出されおり、この排出により地球温暖化を加速させていること、またそれらの排出をとにかくゼロに近づけていかなければ地球の気温上昇を止めることができない、ということを表しています。
何万年という尺での変化(最終氷期)でも6.1℃の差だったのに対して、直近100年前後で1~5℃の変化が予測されていることが、個人的にはとても恐怖に感じます…。
今、地球はどんな状態になっているのか?
地球温暖化が及ぼす地球への影響については、環境省のホームページにて「おしえて!地球温暖化」のパンフレットが公開されており、地球温暖化に関するIPCC等の最新の知見について、シロクマ先生と子グマの対話を通して解説してくれています。
───ということで、今回はここまでです。
次回は、温室効果ガスが具体的にどこから排出されているのかを見ていきたいと思います。