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片耳で聴いたブルーハーツが良い音だなんて

Last updated at Posted at 2025-12-10

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この記事は、Voicy Advent Calendar 2025 10日目の投稿です。
9日目の記事・づーさんの「文系50代・団塊ジュニア・非エンジニアの私がGeminiと「パチンコ打法」でSQLを操るようになるまで」は以下から読めるのでこちらもぜひ!
https://qiita.com/sotaro_ishizu/items/5d53edd8399f44b55763

小林幸子がトラブルでマカオに入国できなかった記事は以下から読めるのでこちらもぜひ!
https://www.daily.co.jp/gossip/2025/12/08/0019793540.shtml?pu=20251209

バトンを受け取りましたが…

皆さん、はじめまして。
Voicyでイベントとか音響周りのことをしております、ホッタ和樹$ \tiny \text{(苗字は”堀田”と書きますが「ほりた」か「ほった」かどちらかわからない、という方向けに最近はカタカナで表記してるんだね)} $と申します。


この度、大変光栄なことに、輝かしいVoicyシステムエンジニアの皆様が連なる「Voicy Advent Calendar 2025」のバトンを受け取りました。

……受け取ったのですが、いきなり皆様に謝らなければならないことがあります。

私は、音響エンジニア/サウンドデザイナーです。

残念ながら、私はコードを1行も書けません。
なんなら、エンジニアのみなさんが日々睨みつけているあの黒い画面も怖いですし、GitもDockerもわかりません。
一度、Geminiを使役して将棋の対局時計のアプリを作ってみようと試みましたが、開始10分ほどで「今の俺に必要なのは休憩だな」と判断したっきりアプリが完成することはありませんでした。
(余談ですが僕が高校生の頃バイトしていた餃子の王将の店長はコンピューターウィルスが空気感染するものだと思い込んでいました。)

そんな私ですが長年音響の世界をウロウロしておりまして、テレビや舞台、ラジオの現場で音を収録したり編集したり先輩からいきなり殴られたりと、エンジニアの皆様が日々向き合われている「技術」とは、少しく畑違いの場所で楽しく暮らしてきました。

では、そんな私がなぜこのアドベントカレンダーに登場しているのか………答えは空の上です。

しかし!せっかくいただいた機会ですので、今日は私が生業としている「音」のエンジニアリングっつーかなんかそれっぽいことについて、少し毛色の違う話をさせてください。

テーマは、『"良い音"に正解なんてない(イケボ)』です。

世の中が求める「良い音」という幻想

「良い音」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。


何十万円もするスピーカーやアンプを揃える「ピュアオーディオ」の世界。

より高音質な音源を求め、「ハイレゾ」や「ロスレス」といった言葉に惹かれる探求心。

最近では、ご家庭のテレビの音をリッチにするための「サウンドバー」も人気ですね。


もちろん、技術の進歩によって、私たちはより解像度が高く、ノイズの少ない、クリアな音を手軽に楽しめるようになりました。それは素晴らしいことです。

しかし、私はふと思うのです。「スペックが良い=本当に"良い音"なのだろうか?」 と。

「良い音」の記憶

少し、私個人の話をさせてください。

私が「良い音」として記憶している、風景がいくつかあります。


ひとつは、私の故郷、京都の街を走る路面電車、『嵐電(らんでん)』の車内アナウンスです。

おそらく何十年も使われているであろう、枯れきったスピーカー。そこから流れるノイズ混じりの車掌さんの声。お世辞にも「高音質」とは言えません。「サー」というホワイトノイズも、声の帯域(周波数)も、今の技術で言えば「悪い音」の典型です。


もうひとつは、家族にバレないように布団に潜って聴いた、0.3Wの小さなスピーカーから流れる深夜ラジオの音。

こもっていて、音量も小さく、パーソナリティ(ブラマヨさん)が何を言っているか聞き取れないこともありました。当然、低音なんてまったく出ていません。


そして、学生時代。
友達とイヤホンを片耳ずつ分け合ってMDウォークマンで聴いた、ザ・ブルーハーツ。
技術的に言えば最悪です。ステレオ音源の片チャンネル(LかR)しか聴こえていない、モノラル以下の劣悪な再生環境です。


でも、私にとって、あの瞬間のあの音は、どんな高級オーディオで聴く音よりも、心を揺さぶる「良い音」でした。


故郷の情景を思い出させる、ノイズ混じりの車掌の声。

背徳感とワクワクをくれた、布団の中のラジオの声。

青くさい情熱を共有した、片耳のブルーハーツ。


"良い音"とは、技術的な正解(スペック)ではなく、個人の体験や感情、記憶と強く結びついた「主観的な正解」なのではないでしょうか。

では、音響エンジニア/サウンドデザイナーの仕事とは何か?

「おいおい、そんなことを言ったらエンジニアの仕事がなくなるぞ」

「主観がすべてなら、プロの技術はいらないじゃないか」

「俺は宇宙世紀以外認めないぞ!」

そう思われるかもしれません。

もちろん、そんなことはありません。
私たち音響エンジニア/サウンドデザイナーの仕事は、その「主観」や「体験」に、意図的にアクセスすることです。


私の主な仕事はポッドキャストやボイスドラマ、ナレーションといった「音声コンテンツ」の収録・編集です。

私たちが仕事で追求する「良い音」とは、スペック上の数値ではありません。

それは、「コンテンツの意図を、100%以上でリスナーに届けるための音」です。


例えば、
ポッドキャストなら、パーソナリティの息遣いや人柄が伝わり、長時間聴いても疲れない、明瞭な声。

ボイスドラマなら、その声が役者の感情の機微を余すところなく拾い、リスナーが情景を思い浮かべられる音。

企業のVP(ビデオパッケージ)なら、ナレーターの声に信頼感と説得力を持たせる音。

私たちは、その「目的」を達成するために、最適なマイク位置を探り、邪魔なノイズ(空調音や反響)を取り除き、イコライザーで声の聴きやすさを整え、リバーブ(残響)で空間を演出します。

いわば、「コンテンツとして届けるべき、プロとしての"良い音"」を追求するのが、私たちの仕事です。

それは「枯れたスピーカー」や「MDウォークマン」の音とは、確かに対極にある「技術的な最適解」です。

エンジニアリングと、エモーションと。

しかし、だからこそ、私はプロの音響屋として強く思うのです。

私たちは「コンテンツの意図を伝えるための最適解」を追求するプロフェッショナルであると同時に、「個人の記憶に紐づく音」を誰よりも尊重する存在であるべきだ、と。

エンジニアの皆さんが日々向き合っている「プロダクト」にも、似たような側面があるのではないでしょうか。


「完璧な機能(スペック)」と、ユーザーが「これ、使いやすい!」「これが欲しかった!」と感じる「素晴らしい体験(UX)」の間には、しばしばギャップがあるはずです。

私たちはエンジニアとして、技術的な最適解を追求し続けます。

しかし、その先にいる「人」の感情や体験を忘れてはならない。


拙い文章でしたが、これが、コードも書けない音響屋が、皆様に伝えたかった「エンジニアリング」の話です。
バイク、革ジャン、ロックンロール。

皆さんにとっての「良い音」は、何ですか?

もしよろしければ、皆さんが忘れられない「音の記憶」も教えてください。

また、音声コンテンツの編集でわからないことがあったらなんでも聞いてください。今のところ音声編集はAIには代替されていませんから。(協業はしてます)

また、私は『サブカルの引き出し』というPodcastをVoicyとかSpotifyとかで配信しているのでそちらもお聴きいただけますと幸いです!
同僚のみやちゃんと中年男女の悲喜こもごも(悲多め)について明け透けに、時折ナーバスに語っております。
マジで聴くだけ時間の無駄ですが耳のデジタルデトックスだと思って。ね。意味の無い時間を過ごせる生活って、なんて豊かなんだろう。って感じで。
https://open.spotify.com/show/6dndrnAMe3OUUwbJUPuj8p?si=9eeeb5cae54246d7

明日はまあやによる「企画とか分析とか」です!
三日連続非エンジニア!まあやの記事楽しみにしています!
よろしくお願いします!

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