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ネットワークエンジニアの救世主!~AIで複数設定ファイルを比較する方法①~

Last updated at Posted at 2025-11-12

私自身、様々なシーンでAIを利用しています。
元々はネットワークエンジニアだったので、AIって業務で利用できないのかな?と
思い試してみました。

Cursorで実現する「設定ファイル比較業務」の完全自動化

こんな経験、ありませんか?

「本番環境とテスト環境、何が違うんだっけ...?」
「設定変更したけど、どこを変えたか忘れた...」
「複数台のスイッチ、設定が統一されているか確認したい...」

ネットワークエンジニアにとって、複数の設定ファイルを比較する作業は日常茶飯事。
しかし、従来の方法では:

  • 手作業で1行ずつ確認見落としのリスク大
  • diffコマンドの結果が読みにくい重要な差分を見逃す
  • 設定の意味を理解しながら比較時間がかかりすぎる

今回は、AIツール「Cursor」を使って、複数のConfigファイルを瞬時に比較し、
重要な差分を自動的に抽出する方法を徹底解説します。

なぜCursorがConfigファイル比較に最適なのか?

従来の比較方法の限界

❌ 方法1: 手作業での目視確認

  • 問題点:
    • 見落としのリスクが高い
    • 重要度の判断が難しい

❌ 方法2: diffコマンド

$ diff Switch1.txt Switch2.txt
  • 問題点:
    • 出力が読みにくい(+/- だけでは意味不明)
    • 設定の意味を理解できない

❌ 方法3: 専用ツール(WinMerge等)

  • 問題点:
    • 差分は見えるが、意味の解釈は手作業
    • 複数ファイル(3つ以上)の比較が困難

✅ Cursorを使った比較の優位性

項目 従来の方法 Cursor利用
差分抽出 手作業 自動
重要度判断 経験に依存 AIが自動判定
設定の理解 マニュアル確認 AIが即座に解説
改善提案 なし AIが自動提案
複数ファイル対応 困難 何個でもOK

実践!Cursorで設定ファイルを比較する方法

テクニック1️⃣:基本の2ファイル比較

シーン:本番環境とテスト環境の差分確認

ステップ1: ファイルを開く

1. Cursorを起動
2. 「比較Configファイル1」を開く
3. サイドバーから「比較Configファイル2」も開く

ステップ2: AIに質問

あなた: 「この2つのスイッチ設定ファイルの違いを、重要度順に教えてください」

今回は以下のようなファイルを参考にしています。
設定ファイル1:必要最低限の設定を入力したConfig
設定ファイル2:設定ファイル1に一部コマンドを実行したConfig

AIの回答例:

【🔴 重要度:高】
1. spanning-tree設定の違い
   - 設定ファイル1: "no spanning-tree vlan 10,20" 
   - 設定ファイル2: "no spanning-tree vlan 10"
   → VLAN 20のSTP無効化範囲が異なります
   
【🟡 重要度:中】
2. interface設定の違い
   - 一部ポートのVLAN割り当てが異なります
   
【🟢 重要度:低】
3. hostname設定
   - 機器名が異なるのは正常です

💡 ポイント:

  • AIが自動で重要度を判定してくれる
  • ただの差分ではなく、設定の意味を解説
  • 影響範囲まで教えてくれる

テクニック2️⃣:設定変更前後の差分レビュー

シーン:設定変更後の変更内容確認

実務での使い方:

1. 変更前の設定ファイル: 設定ファイル1.txt
2. 変更後の設定ファイル: 設定ファイル2.txt

AIへの質問:

あなた: 「設定変更の前後を比較して、
        1) 意図した変更が正しく反映されているか
        2) 意図しない変更が紛れ込んでいないか
        を確認してください」

AIの回答例:

【✅ 意図した変更(想定)】

1. VLAN 30追加
   interface FastEthernet0/21-23
    switchport access vlan 30
   → 正常に追加されています

2. 未使用ポートのshutdown解除
   interface FastEthernet0/21-23
    no shutdown
   → 正常に設定されています

【⚠️ 予期しない変更の可能性】

1. spanning-tree設定の変更
   変更前: no spanning-tree vlan 10,20
   変更後: no spanning-tree vlan 10,20,30
   
   → VLAN 30のSTP無効化は意図的ですか?
   → 意図的でない場合、ループ発生のリスクがあります

2. タイムスタンプ設定の変更
   変更前: service timestamps log datetime msec
   変更後: no service timestamps log datetime msec
   
   → この変更は意図的ですか?
   → トラブルシューティング時にログの時刻が記録されません

💡 変更管理の強い味方:

  • 意図した変更の確認
  • 意図しない変更の検出
  • リスク評価まで自動実施

テクニック3️⃣:複数台(3台以上)の一括比較

シーン:複数拠点のスイッチ設定の統一性確認

3台のスイッチを同時に比較

1. Switch_HQ.txt(本社)
2. Switch_Branch1.txt(支社1)
3. Switch_Branch2.txt(支社2)

AIへの質問:

あなた: 「この3台のスイッチ設定を比較して、
        ・共通している設定
        ・各スイッチ固有の設定
        ・標準から逸脱している設定
        を整理してください」

AIの回答例:

【✅ 共通設定(標準化されている)】
- service password-encryption
- ip ssh version 2
- transport input ssh
- logging synchronous

【📋 各スイッチ固有の設定(正常)】
- hostname(機器名)
- interface IP address(各拠点固有)
- VLAN数(拠点規模による)

【⚠️ 標準から逸脱している設定】

Support Branch1のみ:
1. spanning-tree設定が無効化されている
   "no spanning-tree vlan 10,20"
   → 本社・支社2では有効
   → ループリスクあり、統一推奨

Support Branch2のみ:
2. タイムスタンプが無効化されている
   "no service timestamps log datetime msec"
   → 本社・支社1では有効
   → トラブルシューティング時に支障

【推奨アクション】
1. 支社1のSTP設定を本社・支社2に統一
2. 支社2のタイムスタンプ設定を有効化
3. 設定標準化ドキュメントの作成

💡 複数台比較の威力:

  • 3台以上でも一度に比較できる
  • 標準化の度合いが一目瞭然
  • 改善の優先順位が自動で提示される

テクニック4️⃣:設定差分の説明

シーン:設定変更の日本語による説明

AIへの質問:

あなた: 「@git commit 今回の変更内容を日本語で纏めてください」

AIの回答例:

2つのファイルを比較した結果、以下の変更が行われています:
変更内容のまとめ
1. FastEthernet0/5のVLAN割り当て変更
変更前: VLAN 10
変更後: VLAN 20
該当箇所: 45-47行目

設定ファイル2.txt
Lines 45-47
interface FastEthernet0/5 
 switchport access vlan 20
 switchport mode access
2. Spanning Tree設定の変更
変更前: no spanning-tree vlan 10,20 (VLAN 10と20の両方を無効化)
変更後: no spanning-tree vlan 10 (VLAN 10のみ無効化)
該当箇所: 25行目
設定ファイル2.txt
Line 25
no spanning-tree vlan 10
影響範囲
FastEthernet0/5がVLAN10からVLAN20に移動したことで、VLAN20のポート割り当てが変更されました
VLAN 20でSpanning Treeプロトコルが有効化されたことにより、ループ防止機能が動作するようになります

💡 活用シーン:

  • 機器更改の前後で設定を比較
  • トラブル発生時、正常時の設定と比較
  • 標準設定からの逸脱をチェック

今日から始める!設定ファイル比較の実践ガイド

ステップ1️⃣:初めての比較(所要時間:10分)

準備するもの

  • Cursor(公式サイトから無料版をダウンロード)
  • 比較したい設定ファイル2つ

📝 コピペで使える!質問テンプレート集

テンプレート1:基本比較

この2つの設定ファイルを比較して、以下を教えてください:
1. 主な違い(重要度順)
2. 各違いの影響範囲
3. 注意すべきリスク
テンプレート2:セキュリティ重視
この2つの設定ファイルをセキュリティ観点で比較し、
以下を指摘してください:
1. セキュリティリスクのある差異
2. 推奨される修正内容
3. 優先度の高い対応項目
テンプレート3:変更管理
設定変更の前後を比較して、以下を確認してください:
1. 意図した変更が正しく反映されているか
2. 意図しない変更が混入していないか
3. 変更によるリスクの有無
4. 推奨される追加対応
テンプレート4:複数台比較
この[N]台のスイッチ設定を比較して、以下を整理してください:
1. 全台に共通する設定
2. 機器固有の設定(正常な差異)
3. 標準から逸脱している設定(要対応)
4. 推奨される統一化項目
テンプレート5:レポート生成
この2つの設定ファイルの比較結果を、
Markdown形式のレビュー報告書として作成してください。

含める内容:
- 比較サマリー(表形式)
- 重要な差異のリスト(重要度別)
- セキュリティ評価
- 改善推奨事項
- 対応優先順位

よくある質問(FAQ)

Q1: 何台まで同時に比較できる?

A: 理論上は制限なし、実用的には5〜10台まで

💡 推奨アプローチ:

  • 2〜3台:最も分析精度が高い
  • 4〜5台:十分に実用的
  • 6台以上:グループ分けして段階的に比較

実例:

ステップ1:本社の3台を比較
ステップ2:支社Aの3台を比較
ステップ3:本社と支社Aの代表機を比較

Q2: 大きな設定ファイル(数千行)も比較できる?

A: はい、可能です!

サイズ別の対応:

  • 〜500行:全体を一度に比較できる
  • 500〜2000行:セクション別に比較を推奨
  • 2000行以上:特定の設定項目に絞って比較

Tips:
大きいファイルの場合は質問を具体的に:
「この2つの設定ファイルのVLAN設定だけを比較して」
「interface設定の違いだけを教えて」


Q3: AIが間違った分析をすることはある?

A: あります。必ず人間が最終確認してください!

AIが苦手なケース:

  • 特殊なベンダー固有の設定
  • 非常に複雑な設定の依存関係
  • ビジネスコンテキストが必要な判断

安全な使い方(3ステップ):

  1. AIに分析させる
  2. 自分で内容を確認
  3. 疑問点はAIに再度質問

AIの分析結果を確認せずに、そのまま報告書に使用


Q4: セキュリティ上、設定ファイルを外部送信しても大丈夫?

A: 環境によって対策が必要です

リスク別の対応:

🟢 テスト環境・検証環境

  • そのまま使用してOK
  • 本番データが含まれない設定で練習

🟡 本番環境(機密度:中)

  • パスワードハッシュをマスキング
  • 公開IPアドレスを10.x.x.xに置換

🔴 本番環境(機密度:高)

  • Cursorのローカルモード使用
  • または社内環境で動作するAIツール導入を検討

💡 安全な始め方:

  1. まずテスト環境の設定で練習
  2. 慣れたら本番環境(マスキング済み)で試す
  3. セキュリティポリシーに準拠しているか確認

Q5: diffコマンドとCursorの使い分けは?

A: 両方使い分けると効率的!

用途 推奨ツール 理由
変更箇所の特定 Cursor 重要度を自動判定
詳細な行単位の確認 diff 正確な行番号がわかる
影響分析 Cursor AIが自動で分析
最終確認 両方 ダブルチェックで安全性向上

実務での組み合わせ:

  1. Cursorで全体像と重要な差分を把握
  2. diffで詳細な行レベルを確認
  3. Cursorで影響範囲を分析

Q6: 無料版と有料版の違いは?

A: 比較作業なら無料版で十分スタート可能!

機能 無料版 有料版
基本的な比較
複数ファイル比較
AI応答速度 🟡 普通 🟢 高速
月間使用量 🟡 制限あり ✅ 無制限
高度な分析 🟡 一部制限 ✅ 全機能

推奨:
最初の1ヶ月:無料版で試す
→ 業務効率化を実感したら有料版にアップグレード
→ 削減できた時間で十分にコスト回収可能

終わりに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、あなたの業務効率化の一助となれば幸いです。


🔗 Cursor関連

公式サイト

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