私自身、様々なシーンでAIを利用しています。
元々はネットワークエンジニアだったので、AIって業務で利用できないのかな?と
思い試してみました。
Cursorで実現する「設定ファイル比較業務」の完全自動化
こんな経験、ありませんか?
「本番環境とテスト環境、何が違うんだっけ...?」
「設定変更したけど、どこを変えたか忘れた...」
「複数台のスイッチ、設定が統一されているか確認したい...」
ネットワークエンジニアにとって、複数の設定ファイルを比較する作業は日常茶飯事。
しかし、従来の方法では:
- 手作業で1行ずつ確認 → 見落としのリスク大
- diffコマンドの結果が読みにくい → 重要な差分を見逃す
- 設定の意味を理解しながら比較 → 時間がかかりすぎる
今回は、AIツール「Cursor」を使って、複数のConfigファイルを瞬時に比較し、
重要な差分を自動的に抽出する方法を徹底解説します。
なぜCursorがConfigファイル比較に最適なのか?
従来の比較方法の限界
❌ 方法1: 手作業での目視確認
-
問題点:
- 見落としのリスクが高い
- 重要度の判断が難しい
✅ Cursorを使った比較の優位性
| 項目 | 従来の方法 | Cursor利用 |
|---|---|---|
| 差分抽出 | 手作業 | 自動 |
| 重要度判断 | 経験に依存 | AIが自動判定 |
| 設定の理解 | マニュアル確認 | AIが即座に解説 |
| 改善提案 | なし | AIが自動提案 |
| 複数ファイル対応 | 困難 | 何個でもOK |
実践!Cursorで設定ファイルを比較する方法
テクニック1️⃣:基本の2ファイル比較
シーン:本番環境とテスト環境の差分確認
ステップ1: ファイルを開く
1. Cursorを起動
2. 「比較Configファイル1」を開く
3. サイドバーから「比較Configファイル2」も開く
ステップ2: AIに質問
あなた: 「この2つのスイッチ設定ファイルの違いを、重要度順に教えてください」
今回は以下のようなファイルを参考にしています。
設定ファイル1:必要最低限の設定を入力したConfig
設定ファイル2:設定ファイル1に一部コマンドを実行したConfig
AIの回答例:
【🔴 重要度:高】
1. spanning-tree設定の違い
- 設定ファイル1: "no spanning-tree vlan 10,20"
- 設定ファイル2: "no spanning-tree vlan 10"
→ VLAN 20のSTP無効化範囲が異なります
【🟡 重要度:中】
2. interface設定の違い
- 一部ポートのVLAN割り当てが異なります
【🟢 重要度:低】
3. hostname設定
- 機器名が異なるのは正常です
💡 ポイント:
- AIが自動で重要度を判定してくれる
- ただの差分ではなく、設定の意味を解説
- 影響範囲まで教えてくれる
テクニック2️⃣:設定変更前後の差分レビュー
シーン:設定変更後の変更内容確認
実務での使い方:
1. 変更前の設定ファイル: 設定ファイル1.txt
2. 変更後の設定ファイル: 設定ファイル2.txt
AIへの質問:
あなた: 「設定変更の前後を比較して、
1) 意図した変更が正しく反映されているか
2) 意図しない変更が紛れ込んでいないか
を確認してください」
AIの回答例:
【✅ 意図した変更(想定)】
1. VLAN 30追加
interface FastEthernet0/21-23
switchport access vlan 30
→ 正常に追加されています
2. 未使用ポートのshutdown解除
interface FastEthernet0/21-23
no shutdown
→ 正常に設定されています
【⚠️ 予期しない変更の可能性】
1. spanning-tree設定の変更
変更前: no spanning-tree vlan 10,20
変更後: no spanning-tree vlan 10,20,30
→ VLAN 30のSTP無効化は意図的ですか?
→ 意図的でない場合、ループ発生のリスクがあります
2. タイムスタンプ設定の変更
変更前: service timestamps log datetime msec
変更後: no service timestamps log datetime msec
→ この変更は意図的ですか?
→ トラブルシューティング時にログの時刻が記録されません
💡 変更管理の強い味方:
- 意図した変更の確認
- 意図しない変更の検出
- リスク評価まで自動実施
テクニック3️⃣:複数台(3台以上)の一括比較
シーン:複数拠点のスイッチ設定の統一性確認
3台のスイッチを同時に比較
1. Switch_HQ.txt(本社)
2. Switch_Branch1.txt(支社1)
3. Switch_Branch2.txt(支社2)
AIへの質問:
あなた: 「この3台のスイッチ設定を比較して、
・共通している設定
・各スイッチ固有の設定
・標準から逸脱している設定
を整理してください」
AIの回答例:
【✅ 共通設定(標準化されている)】
- service password-encryption
- ip ssh version 2
- transport input ssh
- logging synchronous
【📋 各スイッチ固有の設定(正常)】
- hostname(機器名)
- interface IP address(各拠点固有)
- VLAN数(拠点規模による)
【⚠️ 標準から逸脱している設定】
Support Branch1のみ:
1. spanning-tree設定が無効化されている
"no spanning-tree vlan 10,20"
→ 本社・支社2では有効
→ ループリスクあり、統一推奨
Support Branch2のみ:
2. タイムスタンプが無効化されている
"no service timestamps log datetime msec"
→ 本社・支社1では有効
→ トラブルシューティング時に支障
【推奨アクション】
1. 支社1のSTP設定を本社・支社2に統一
2. 支社2のタイムスタンプ設定を有効化
3. 設定標準化ドキュメントの作成
💡 複数台比較の威力:
- 3台以上でも一度に比較できる
- 標準化の度合いが一目瞭然
- 改善の優先順位が自動で提示される
テクニック4️⃣:設定差分の説明
シーン:設定変更の日本語による説明
AIへの質問:
あなた: 「@git commit 今回の変更内容を日本語で纏めてください」
AIの回答例:
2つのファイルを比較した結果、以下の変更が行われています:
変更内容のまとめ
1. FastEthernet0/5のVLAN割り当て変更
変更前: VLAN 10
変更後: VLAN 20
該当箇所: 45-47行目
設定ファイル2.txt
Lines 45-47
interface FastEthernet0/5
switchport access vlan 20
switchport mode access
2. Spanning Tree設定の変更
変更前: no spanning-tree vlan 10,20 (VLAN 10と20の両方を無効化)
変更後: no spanning-tree vlan 10 (VLAN 10のみ無効化)
該当箇所: 25行目
設定ファイル2.txt
Line 25
no spanning-tree vlan 10
影響範囲
FastEthernet0/5がVLAN10からVLAN20に移動したことで、VLAN20のポート割り当てが変更されました
VLAN 20でSpanning Treeプロトコルが有効化されたことにより、ループ防止機能が動作するようになります
💡 活用シーン:
- 機器更改の前後で設定を比較
- トラブル発生時、正常時の設定と比較
- 標準設定からの逸脱をチェック
今日から始める!設定ファイル比較の実践ガイド
ステップ1️⃣:初めての比較(所要時間:10分)
準備するもの
- Cursor(公式サイトから無料版をダウンロード)
- 比較したい設定ファイル2つ
📝 コピペで使える!質問テンプレート集
テンプレート1:基本比較
この2つの設定ファイルを比較して、以下を教えてください:
1. 主な違い(重要度順)
2. 各違いの影響範囲
3. 注意すべきリスク
テンプレート2:セキュリティ重視
この2つの設定ファイルをセキュリティ観点で比較し、
以下を指摘してください:
1. セキュリティリスクのある差異
2. 推奨される修正内容
3. 優先度の高い対応項目
テンプレート3:変更管理
設定変更の前後を比較して、以下を確認してください:
1. 意図した変更が正しく反映されているか
2. 意図しない変更が混入していないか
3. 変更によるリスクの有無
4. 推奨される追加対応
テンプレート4:複数台比較
この[N]台のスイッチ設定を比較して、以下を整理してください:
1. 全台に共通する設定
2. 機器固有の設定(正常な差異)
3. 標準から逸脱している設定(要対応)
4. 推奨される統一化項目
テンプレート5:レポート生成
この2つの設定ファイルの比較結果を、
Markdown形式のレビュー報告書として作成してください。
含める内容:
- 比較サマリー(表形式)
- 重要な差異のリスト(重要度別)
- セキュリティ評価
- 改善推奨事項
- 対応優先順位
よくある質問(FAQ)
Q1: 何台まで同時に比較できる?
A: 理論上は制限なし、実用的には5〜10台まで
💡 推奨アプローチ:
- 2〜3台:最も分析精度が高い
- 4〜5台:十分に実用的
- 6台以上:グループ分けして段階的に比較
実例:
ステップ1:本社の3台を比較
ステップ2:支社Aの3台を比較
ステップ3:本社と支社Aの代表機を比較
Q2: 大きな設定ファイル(数千行)も比較できる?
A: はい、可能です!
サイズ別の対応:
- 〜500行:全体を一度に比較できる
- 500〜2000行:セクション別に比較を推奨
- 2000行以上:特定の設定項目に絞って比較
Tips:
大きいファイルの場合は質問を具体的に:
「この2つの設定ファイルのVLAN設定だけを比較して」
「interface設定の違いだけを教えて」
Q3: AIが間違った分析をすることはある?
A: あります。必ず人間が最終確認してください!
AIが苦手なケース:
- 特殊なベンダー固有の設定
- 非常に複雑な設定の依存関係
- ビジネスコンテキストが必要な判断
安全な使い方(3ステップ):
- AIに分析させる
- 自分で内容を確認
- 疑問点はAIに再度質問
AIの分析結果を確認せずに、そのまま報告書に使用
Q4: セキュリティ上、設定ファイルを外部送信しても大丈夫?
A: 環境によって対策が必要です
リスク別の対応:
🟢 テスト環境・検証環境
- そのまま使用してOK
- 本番データが含まれない設定で練習
🟡 本番環境(機密度:中)
- パスワードハッシュをマスキング
- 公開IPアドレスを10.x.x.xに置換
🔴 本番環境(機密度:高)
- Cursorのローカルモード使用
- または社内環境で動作するAIツール導入を検討
💡 安全な始め方:
- まずテスト環境の設定で練習
- 慣れたら本番環境(マスキング済み)で試す
- セキュリティポリシーに準拠しているか確認
Q5: diffコマンドとCursorの使い分けは?
A: 両方使い分けると効率的!
| 用途 | 推奨ツール | 理由 |
|---|---|---|
| 変更箇所の特定 | Cursor | 重要度を自動判定 |
| 詳細な行単位の確認 | diff | 正確な行番号がわかる |
| 影響分析 | Cursor | AIが自動で分析 |
| 最終確認 | 両方 | ダブルチェックで安全性向上 |
実務での組み合わせ:
- Cursorで全体像と重要な差分を把握
- diffで詳細な行レベルを確認
- Cursorで影響範囲を分析
Q6: 無料版と有料版の違いは?
A: 比較作業なら無料版で十分スタート可能!
| 機能 | 無料版 | 有料版 |
|---|---|---|
| 基本的な比較 | ✅ | ✅ |
| 複数ファイル比較 | ✅ | ✅ |
| AI応答速度 | 🟡 普通 | 🟢 高速 |
| 月間使用量 | 🟡 制限あり | ✅ 無制限 |
| 高度な分析 | 🟡 一部制限 | ✅ 全機能 |
推奨:
最初の1ヶ月:無料版で試す
→ 業務効率化を実感したら有料版にアップグレード
→ 削減できた時間で十分にコスト回収可能
終わりに
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、あなたの業務効率化の一助となれば幸いです。
🔗 Cursor関連
公式サイト
- Cursor公式: https://cursor.sh/
- ダウンロード: https://cursor.sh/download
- ドキュメント: https://cursor.sh/docs